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不法行為法における「胎児の被害法益」 : わが国および英法系諸国の問題状況概観(その一)

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(1)目. の概念ほ、「人格Pers6nlichkeit」. の謂いにはかならない(1).. 概念を想起することであろう.いうまでもな-、これら1連の「人」. れば人にあらずとかいうような、ご-日常的用例として登場する「人」. における「人」概念や'女子供は人にあらずとか、某大学出にあらざ. わが国および英法系諸国の問題状況概観(その一). 不法行為法における「胎児の被害法益」. 問題状況概観. 日本における場合 イギリスにおける場合. 「胎児ほ人にあらず」という. 明なことほ結構なことだ、と人ほ言うかもしれない。そのこと自体を. およそ法の規定は事柄を簡明にするために設けられるのだから、簡. てしまってよいのであろうか。. わけである。しかし、問題ほしか-簡明であろうか。いや、簡明にし. り権利能力を有しないものであるo. 生」のものではないか。したがって、胎児は私権を享有しない、一つ普. あるではないかo「胎児」とは、受胎後その母の胎内にあって「未胡. 「私権ノ享有ハ出生二始マル」とわが民法典第1粂ノ三に競走して. て、既に論じっ-された簡明な問題のようにみえてくるかもしれない。. ける「個人的法益」としての「生命」論や「身体」論(3)'などにおい. て'それほ、民法学における「胎児の権利能力」論'又ほ、刑法学にお. のアルファに対する解答を用意すれば何ら. るか」という民法学上(2). むすび. 法学上のこの古くからの問を問われると'ちょ. の表象でほいけなさそうだということに想到し、そして、「平家にあ. 合、「人」という言葉が、生物学的ないし生理学的な意味での「ヒト」. と尋ねられれば、「あたりまえだ。」と多-の人ほ答えながら、この場. であろう。しかしさらにかさねて、「嬰児ほ人か?」、「子供ほ人か?」、. ぅど「水は氷か?」と尋ねられてその答に窮するような当惑を感ずる. 「胎児ほ人か?」. 問題状況概観. サウスアフリカにおける場合. カナダにおける場合(以下次号). 「胎児ほ人か」という問も、鬼面をほずせば、「胎児に人格を認めう. 那. 驚-に当らない、コロンブスの卵のように見えてくるであろう。そし. アメリカにおける場合. 関 オ-ストラリアにおける場合. らざれば人に非ず」とか、「天ハ人ノ上二人ヲ造ラズ--」という場合. l. -. 不法行為法における「胎児の被害法益」. -. はしがき. ほしがき. -次. -. 1. ≡. 四 六五 七.

(2) 不法行為法における「胎児の被害法益」. いて民法学は説-0. 格説」又ほ「法定解除条件説」ほ採用されておらないこと、等々につ∫. て、死んで生まれたらこの擬制約人格を消滅させるという「制限的人. の所与の規定がすなわち簡明であることの理由にほならないし、また、. しかし、ふりかえって'何故に「制限的人格説」や'「一般主義」. 異なるのか'民法学でも「一部露出」ではいけないのであろうか。 むしろ、1歩を進めて(「懐胎」後'胎芽期・胎児期の全期間を「出. でほいけないのか'また何故に刑法学と民法学とで「出生」の解釈が. 生」というのはやや語義を超えるので)、「私権ノ享有」の始期を「懐. の規定は、他の近代諸国家のそれと同様、すべて自然人に「出生」と いう事実を唯一の要件として「私権享有能力(権利能力)」つまり「法. 胎」時とし、胎児に全面的に人格性を承認すべきではないか。いまやI. げて、「胎生」、「胎芽」、或いは「懐胎」のところに新らたな線引きを して、「胎児」の人格性を全面的に承認し、個人主義最後の言葉を「私. 下に引かれ、その線をのりこえない老にほ権利能力が承認されないか、 もしくはそれが制限されている。法がさらにこの限界線を押し下げ拡. 奴隷の上に引かれ、非人の上に引かれ、あるいは、「T」や「男」や 「成年」の下に引かれていた、人格権の限界線は'いまや「出生」の. 社会的要請に迫られているのでほないかと思われのである。 おもえば、法の歴史ほ、人格権拡大の歴史にほかならない。かつて. 法は、胎児に対し被害者性を承認しなければ、公平を害う時代状況又 ほ社会状況に当面しており、「胎児ほ人なり」とするべき、現実的・. にょって保障された関係の中に入り込む能力、および、これによって. いうまでもなく'「私権ノ享有ハ出生二始マル」というわが民法典. 定がすなわち永久に簡明でありつづけることの理由にもならない(4)0. その趣旨で設けられたその当時はそれで簡明であったかもしれない規. 否定ほしまい。しかし'それほ、その趣旨で現に設けられたあれこれ. 二. 与えられた・法的に保護された利益を享有する可能性」(エ-アリッ ヒ「権利能力論」川島・三藤訳一五頁)が付与されるべきことの原理 的宣言であり'機能的には、各人のこの「法主体性」ないし「人格 性」を恒子として、前近代社会の非自由人を解放し'身分的不平等を 打破して、個人主義、自由主義、平等主義へと'近代社会の道を切り 描-歴史的意義をもった、マニフェストであった、と民法学ほ説-0 そしてまた、ここにい-「出生」とほ、母胎から子供が「全部露出」 したときを指すこと、刑法上ほ「一部露出」したときでも「出生」と しこれを「人」として取扱うので、民法上の取扱いに比し、若干の時. 間差があること'ただし、「全部露出」前でも、「死産」でなく「生産」 の場合は、個別にこれを不法行為訴権者(七二一条)、相続人(八八六. 条)および受遺著(九六五条)たりうる者として扱い、「懐胎」時に. や、「懐胎」があれば殆んど「分娩」がある時代を向かえ、たとえ、. 「胎児」に慮認し、これを舶児中に生じる権利義務掬係の傭属点とし. くて個別主義であること)、そしてこの擬制に閲し、判例すなわち後. 条件説」が頻用され、爾来、懐胎後、全面釣に人格を凝倒しておい. 期まで遡及して人格を擬制するという「人格遡及説」又は「法定停止. 述する昭和七・一〇・六大判において、生きて生まれたら、問題の時. ではないのか。「間引」や「死産」の高率であった時代は去り、いま. 権ノ享有ハ懐胎二始マル」と読みかえることも、時にほ必要かつ可能. ヽ. サリドマイド胎児や水俣病胎児でも、その悪しき結果を背負ったまま 「生産」となる。少な-とも現在のところ、被害者としての法主体性を. 遡って権利能力があったものとみなす(擬制)こと(1般主義ではな. ヽ.

(3) て取扱うのが、彼らに生じ、あるいは生ずるであろう不利益・不公平. ぶ試静的考察たる性格をも併せ有つものでもある。 EZ)本における場合. 一般に'「胎児の被害法益」とい-場合(ここではその「被侵害利. 益」とも称したが)、当然のことながら、「被害者としての胎児」'「人. の結果を是正する、法的次善ではないであろうか。 しかし他方、これに対する天界の声'地底の叫びがほね返ってくる0 「1歩を進めれば、五十歩を進めない理由に窮するのでほないか.」. 問題ほしか-簡明ではないのである.. 随ってまず、胎児自身、民法七〇九条以下にいう「他人」なのであ り、「生命」を別として、叙上の法益を害された場合ほ、因って生じた. べきであろう(例えば、岡村玄治「債権法要論」二八九頁参照)。. 嫡たるを問わず'彼がその「父母」ないし「近親者」の生命が害され た場合ほ'因って生じた精神的損害につき加害者を訴求し得ると解す. そしてまた、胎児自身、七一一条にいう「子」なのであり、嫡・罪. 得ると解すべきであろう。. が七11条に基づき、因って生じた精神的損害につき加害者を訴求し. 侵害(即ち、侵害による早・流・死産等)の場合にほ、その「父母」. 胎児の被害者性、その被害法益(被侵害利益)、あるいほその不法行. 場に立つ以上、これら諸法益の各々につき侵害があった場合には、そ の加害者に対して、不法行為責任を訴求しうると解すべきであろう。. わが民法七二l条が、擬制的にもせよ胎児の被害者性を承認する立. 等の一切を、胎児の被害法益・保護法益とみることができる。. こから流出するもの、その周辺にあるもの、そしてそれを支えるもの. (特に親族権)」「財産(特に扶養請求権)」等々、胎児自身の人格とそ. すなわち、その「生命」「身体(人身)」「自由」「名誉(声評)」「地位. ほ「人一般」の被害法益類型にはとんど準ずるといってよいであろう0. あるいは、その被害法益類型として如何なるものをあげうるか。それ. さて、それでは'胎児の被害法益又ほ保護法益とは如何なるものか、. 格性を実有するか又は擬制された胎児」の観念を前提とする。. 「あれか、これか」. の原理に変ずるのではないのか。」と。. る個人主義・人格権拡大主義も、強者のために市場をきり拓く不正義. て'弱者を再生産することに手を貸そうとする。かくてほ、法におけ. の共同体をことごと-分解しっ-した。いままた家族共同体を分解し. いままた胎母一体を胎母別体にせんとする。か-てほ家族の運命ほど ぅなるだろうかo」「法はまさにその主義によって'村落・都市・民族. の個別化原理Individualismによって夫婦1体を夫婦別体にした.. 「近代法における個人主義ほそんな処まで行っていいのか。」「法はそ. l. 財産的・精神的損害につき加害者を訴求し得るし、特にその「生命」. ギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア'サウス・アフリカ等'. いわゆる英米法ないしコモン・ロウ法系の諸外国の問題状況. を概. 観し、総じて不法行為法におけ右「胎児の被害法益」について検討を. とこれに適って-る英米法の学説および判決例を素材として. ではとくに、イギリス国会において最近成立した、「胎児侵害賠償法」 とでもいう''(き内容の「1九七六年先天性心身障害(民事責任)法」. -. 加える.これほ'「胎児の被害者性ないし法人格性1般」の問題に及 不法行為法における「胎児の被害法益」. 三. そこ. 為訴権等の問題に関するわが国の問題状況をまず概観し、次いで、イ. 本稿でほ、右の問題の一部分にすぎないが'不法行為法における、. る問題を盈み、そのすべてを論じっくすことほ、筆者の能力にあまる0. 以上の如-、A胎児は人なり>,とする考え方がきわめて多岐にわた. -.

(4) 不法行為法における「胎児の被害法益」. イング・ケ-スともなるべき、昭和七年一〇月六日の大審院判決(い. 性ないし法人格性をどのように考えるべきか」について、いわゆる阪. .筆者ほかねてこの問題に関心を抱き、かつて「乗出生胎児の被害者. ところが、のちにみるように、かかる問題についての我国のリ-デ. わゆる阪神電鉄事件判決)は、内縁の妻の「胎児」が、その父を殺さ. 神電鉄事件(大審院昭和七年10月六日判決・昭和六年帥第二七七1. 法益侵害の賠償請求を排斥した。これによって、わが国の胎児の不法. 「胎児の権利能力」セミナ-法学全集・民法Il三六貢以下等参照)d. 求めて」東京都立大学法学会雑誌八巻二号四六九貢以下、閑潤一郎. 右二論考ほ、いわゆる阪神電鉄事件について、未発表の判決資料を. 紹介し、著名なこの大審院判決の先例的意義を(そのデイメリットも. ふくめて)、再吟味しょうとしたものであり、と-に「胎児の被害法. 益」についての右大判の判示とその差戻後の推移は、かえりみて極埼 て重要であることを明らかにした。この昭和七年の大審院判決を'さ しあたり本稿の目的とする「不法行為法における胎児の被害法益」に. ついての考察との関連で少し詳し-説明しておきたい。. 社(阪神電鉄株式会社-Y)に対する、Ⅹの請求は、「認知請求権」. (石野童子Ⅹ.の内縁の夫、定森徳市A). いわゆる阪神電鉄事件における'原告・胎児(石野寿雄-Ⅹ)の父 を死亡せしめた、被告・会. 国のそれと基本的には大差がないと思われる。にもかかわらず、諸外. 侵害などのYの不法行為による損害の賠償であり'そして、その内容. Ⅹの請求について示した判断は、次のようなものであった。すなわち、. そして、下級審の経過ほ省略するが、結局、昭和七年大判が右胎児. 金三、000円-以上①㊥の合計金五、六三五円三四銭であった。. 額(1時全額支払請求額)、金二、六三五円三四銭と、㊥その出生前 に父を喪い、生涯を私生児としてお-る精神上の苦痛に対する慰籍料'. ほ、①その得べかりし財産上の利益(金三、六〇〇円)の現在の損害. 国においては、この問題に対応する法的判断の豊富な蓄積があり、実. あるに止まらず、社会諸科学ならびに自然諸科学の課題でもあろう。. もってわが国の問題状況を再省・三省することほ、あに法学の課題で. このような趨勢を捉え、そこから学ぶべき多-のことをひき出し、. ろまで、法ないし法学の対応ほ進捗しているのである。. 児性-ナマタ病禍を契機として、「胎児侵害」責任を立法化するとこ. に立って、例えば、イギリスにおいては、近時のサリドマイド禍、胎. にわが国とほ雲泥の相違ともいうべき状況がみられる。その蓄積の上. 諸外国の問題状況も、多かれ少かれ、あるいほ深かれ浅かれ、わが. 逸し続けているように思われてならないのである(6)0. ているが、依然、わが裁判所ほ七一一条の法解釈を明確にすべき機を. 題の著増に伴って(5)'胎児被害ほ明らかに広汎深刻なものとなり'そ の法益侵害を理由に数多-の事件が裁判所に登場する勢威を示してき. 他方、近時における交通事故、食品公害、企業公害、薬禍、医禍問. た憾なしとしないのである。. を呈し、胎児の保護法益ほかなり限局されたものとして取扱われてき. 行為訴権ほ、「扶養利益」侵害の場合にのみ行使しうるかのような観. 京都立大学家族法研究会「判例における婚姻. れ、加害会社に対して'少な-とも、その「声評」「地位」「財産」の. 四. 号)の全判決を再検討する作業を通じて若干論及したことがある(東. ×. 侵害を豪むったとして、損害賠償を訴求した事案において、わずかに その「財産」侵害のうちの「扶養利益」の侵害のみを認め、その余の. ×.

(5) Ⅹハ遂:Aノ子-シテノ地位ヲ取 要する。. ここで、民法七一〇条との関連が必ずしも判然しなかった点ほ注意を. て原判決の修正を期待して、事件を原審に差戻したものと思われる。. シテ認知シタルモノニアラサレハ 同人ノ身分ハ民法第七首十7条列. まず㊥については、「--Åハ本件事故二困り死亡シⅩヲ私生児ト 得スルニ由ナカリシ者ナルヲ以テ. (本件のその後の推移については、前掲拙稿参照。なお、鈴木ハツ ヨ「胎児の権利能力・未認知子の損害賠償請求」別冊ジュリス-・民. 11・二八大判が無造作に援用されているが、この有名なる判決の'. なおまた、本件大判の判示中にいわゆる大学湯事件の判決大正一四. 法判例官選-7二貢以下に本件判旨についての綿密な考証があるo. 挙ノ何レノ場合ニモ該当セサルカ故二同条二基クⅩノ慰籍料請求ハ之 ヲ是認シ得サルモノナリ」と。. Ⅹハ其ノ間二生マレタル者ナリトセハ. しかし、①については、「-Ⅹ1ニシテ果シテAノ内線ノ妻トシテ 同人卜同棲シタル者ニシテ Ⅹハ砂クモAノ収入二依り生計ヲ維持スルヲ得可カリシ者ニシテ ハAノ死亡二困り如上ノ利益ヲ喪失シタルモノト云フヲ得可シ. が鏡-指摘している。原島重義「わが国における権利論の推移」・法. 法的保護の拡大を目指した点を評価しうるとしても'その論理ほ、タ ウトロギ-に陥っており、「被害法益論」が明確でない点を原島教授. テ民法第七百九条二俵ル損害賠償ハ厳密ナル意味二於テハ権利卜云フ ヲ得サルモ法律上保護セラルヘキ利益二該ルモノノ侵害アリ其ノ侵害. ⅩカAノ生存二田り有シタル右利益ハ民法. 請求スルヲ得ルモノニシテ(大正十四年十一月二十八日言渡当院同年 帥第六二五号判決参照). 第七百九条二依り保護ヲ受ク可キ利益ナリ--・他人ヲ傷害シタル場合. わが民法第七二7粂ほ、「胎児ハ損害賠償ノ請求権二付テハ既二生 マレタモノト看倣ス」と規定し特に「死産」の場合を除外していない。. かくて、「出生」を権利能力の始期とする原則(民法1粂ノ三)に例. しかも'昭和七年大判の判示ほ、読み方によってほ、胎児Ⅹの請求. のも故なしとしない。. る限り、「懐胎」があたかも権利能力の始期であるかのようにみえる. 児の権利能力を擬制し、胎児は、財産的ならびに精神的損害について㌔. 外をもうけ、「子」と「胎児」の利益の均衡上、損害賠償に関して胎. 若yニシテAノ死亡二付キ. 行為ノ結果此等ノ者ノ利益ヲ侵害スヘキコトアルハ当然之ヲ予想スヘ. 多言ヲ要セスシテ明ナルカ故二. 原審ハ砂クトモ財産上ノ利益ノ損失二. については、これを認めなかったのであるが、民法七〇九条に基-そ. ヽ. ヽ. っいては、七〇九条に基き「砂クトモ財産上ノ利益ノ損失二閑スル請. ヽ. 求」はこれを容認しうる旨を肯定的に判示しながら、七一〇粂に基き. 五. れ①についてほ、これを認めるべしとし、1見した処、①のみに閲し 不法行為濃における「胎児の被害法益」. ヽ. っまり、昭和七年大判ほ、民法七二条に基-胎児の被侵害利益㊥権が右七二一条に基-ことを前提としつつ、その損害と賠償の範囲に. 閑スルⅩノ請求ハ之ヲ容認ス可カリシモノ-謂ハサル可カラス」と。. 其ノ責ヲ負フ可キモノトセハ. ルコト. 固有の賠償請求権を取得しうるかに解されるため、不法行為法に関す. 其ノ老二妻子或ハ之卜同視スヘキ関係二在ル老ノ存シ. ×. キモノナルヲ以テ 本件二於テYハ其ノ被用老カAヲ傷害シタルカ為 Ⅹノ利益ヲ侵害シタルニ困り Ⅹノ被ル可キ損害ヲ賠償スヘキ義務ア. 二於テ. ×. の科学第四号〓九七六〕七二頁参照。). Ⅹ. 二対シ不法行為二基ク救済ヲ与フルヲ正当トスヘキ場合二於テハ之ヲ. 而シ 如上.

(6) える」とした応答であり、矛盾、撞着の甚だしいものであるといわね. 不法行為法における「胎児の被害法盗」. 「精神上の利益の損失に関する請求」はこれを容認しうるか否か'肯 ばならない。. こと」の苦痛を理由とする精神損害ほありえない。かかる損害は、非. いうまでもなく、摘出子や認知子には、「嫡出子又ほ認知子でない. 一条の請求については確然と否定し去ったものの、七一〇条のそれの. 摘出子や未認知子に特有のものであり、かつこれは非嫡出胎児や未認. 児認知ほ未だ可能ではなかったのであるから、なおさらそうである)0. 認否については再審理を要すると考えていたことの証左である、とい しかし、右判示を厳格に読むなら、ここで認容された「胎児の被侵. 知胎児においても同然であると解すべきであろう(昭和七年当時、胎. 害利益」とほ'「扶養請求権の侵害」のみであり、これを七〇九条の. 父を殺された、ー非嫡・未認知の胎児の精神損害(これには「父を殺 された」損害のはかに、「私生子のまま遺された」損害を含む). えなくほないからである。. 即ち、七〇九条の請求を「砂クトモ」肯定しうるとの文言ほ、七一. 定も否定もしていない、と解し得る余地がある。. 六. 財産的権利侵害に該るとしたまでであって、「認知請求権の侵害」や 「生涯私生児たる地位を強いられる精神侵害」などを七一〇条の精神. い又はすりかえがあったように思われるのである。. 定し'財産損害のみを肯定した判旨には、やや奇妙な論点のすれちが. 昭和七年大判の矛盾せる判示あるいほ少-とも精神的損害(七一〇. 条の問題)についての判断を欠き、あまつさえ、七一1条の縮小解釈. わが国の胎児の法的地位を論じた判決は、大審院でほこの一件のみ. である。これほ通常ほ「胎児を代理して母親が加害者との間で締結し. に基づく精神損害(七一〇粂)であったのに対し、大審院ほ、その苦. した利益が、「非嫡出子または未認知子であること」そのことの苦痛. 胎児は、摘出子として生まれることを要するのか」という問題に極め. ることを要するのか」、「七二1条にょって生まれたものとみなきれる. 稿との関連でほ少し角度をかえて、不法行為法上「胎児の被侵害利益 ほ何か」、「七一一条の慰籍料請求権着たる『子』とは『締出子』であ. た和解契約の効力」の問題を解いた判例として有名なのであるが、本. 痛に基づく請求をなしうるのは、七11粂にいう「子」即ち「摘出子」. 注(1). て消極的にこたえた判例としてさし当り注目しておきたいのである.. はいうならば、「非嫡出(又ほ未認知)だから痛い」といってきた者 に対して、「非嫡出(又は未認知)の者ほ痛いとはいえない」、「摘出 千(又ほ認知子)だけが、非嫡(又ほ未認知)であることを痛いとい. 「人格」というときに、読者ほ、法制史家ミグタイスの論旨を簡潔に 述べた世良教授の次の要約を想起されたい。すなわち、 「法の理念とほ『人格』Pers6n)ichkeitにはかならない.法は窮極にお. 又ほ「認知子」であるという奇怪な応答をしていることになる。これ. 法律上の親子関係」にある「子」でなければ私らないとし、従って 「胎児」もまた同様に「嫡出胎児」または「認知胎児」でなければな らないものと狭-解しているので、その結果、Ⅹがまさに主張し請求. とは'被害者との間に「嫡出親子関係」またほ少-とも「認知を得た. だとすれば、右大判は、七二条にょる慰籍料を請求しうる「子」 をもって応答した理由不備の論理をここに窺知しうるであろうか(6b)0. 固有の慰籍料請求権を取得しうるとしたものでもさらさらない。. を問わず'すべて「胎児」は七11条にいう「子」に競るものとして、. 的権利侵害に該るとしたものでほな-、ましてや、右胎児の嫡・非摘. を否.

(7) (2). (5). 言-マのモソストルム」の話は、胎児や崎形嬰児の人格性が当然問題. いて人格の実現と保護とに奉仕しなくてほならないのである。しかし' ここに『人格』とほ'決して孤立した個人の意味ではなく'人間共同体 の1員としての人、他者との社会的連帯関係に立っている人格者であ る。だから、法の理念は、『みずから人格者でありかつ他者をも人格者 として尊重せよ』(Hege),Rechtsphi)osophie,S36)という命題に端的 に表現される。」〔(Ieinrich Mitt2is}D2utSCheRechtsgeschichte.世 良晃四郎訳「ドイツ法制史概説」、五八四貫参照)。 本稿は、民法ないし民事法の領域に問題を限らぎるを得ないのである が'刑事法の領域においても、これが古-からの問題であったであろう ことは想像に難-ないo たとえば'母親による崎形児殺を無罪とした. (6). -胎児の傷. になったと思われる、きわめて示唆に富む寓話である(我妻栄「法律に おける理屈と人情」法律時報二四巻1号). この寓話ほ'峻厳なる法規の適用を緩和させるための事実認定上の 「虚認」ないし「擬制」の妙味を教えるものであるが、指六木の崎形児 をモソストルムであるとして、母を死罪から救った'ロ-マの名判官の 「事実認定」は'現代の先天異常医学ないし奇形医学または胎児医学か らみてどういうものであろうか、深く考えさせられるのである。. (6b). に応答したことにほならないというべきであろう. 「胎児ほ人か?」と問われて当惑する感覚こそ貴重であり'何故にそ. の間が問われねばならないのか'その発問の問題性はどこにあるのか、. そして、所与の法規定のもっていた意味内容は何であったのか、それほ 現実社会への適用性を減じ'相勉する利害情況を正しく裁断しえないも のになったのか、「靴に合せて足を削る」のではな-、「足に合せて牝を 用意すべきである」ならば、いかなる法の靴がいかなる現実の足に適合 的であるのか、等々を吟味する法感覚こそ、その間に真に応答し、その 解答の実質合理性を担保する所以のものであろう。. 唄孝1 「科学と法と生命と」(「生命科学ノ-ト」 7九七四・東大出版 会所収)二o二-三頁ほ、「健康の破壊が天与の自然現象ではなく、む しろ社会的性格をもったもの」として把捉すべきことを示唆ずるoこの. 点のみならず'本稿ほ右の論考によって多大の示唆を受けた。ある意味 で本稿ほ、右論考の二二四頁以下で提起された問題に対する未熟な、し かも出しお-れの答案のごときものである。 なお'唄孝1 「ライフ・サイエンスと法」(日本公衆衛生雑誌二1巻 五号二六五-六貫)参照。 例えば'東京地判昭和四六・六・三(判時六三七-六三)や大阪地判 昭和五〇・三・二八(判時八〇〇-八〇)等の事案ほ、まさに「胎児侵 害」のケ-スとして再吟味に価するものであり、七11粂の解釈を1歩 進め得べきものだったように思われる。 この大判に対し、学説ほ、内縁の妻および未認知の私生子を、七一. 一条にいう「配偶者及ヒ子」に該らないとしたことを難詰し(穂積重遠・ 判民昭和七年度一五九事件評釈)、家族共同生活の一員として事実上の 夫であり親である老が殺されたことの「悲嘆」を「法律上保護セラルベ キ利益」の侵害と看倣さない点を批難した(我妻栄・判例漫策二1. 限定せず、社会的に適正な配偶者や血縁ある実親子をも含むとして、拡 大的に解する下級審判決があらわれている(盛岡地判昭和三一・五・三 l、下民七-一四三八、福岡地判昭和三四・一〇・1二〇'下民70-二 二九二'東京高判昭和三六・七・五、高民集一四-五-≡〇九など)o また、右請求権者に「兄弟姉妹」 「近親者」 も含むとして、頬推的に 解する見解もある(例えば、中川善之助・身分法の経則的課題・六九頁. 近時に至って漸-、七二条の請求権者を法律上の身分を有する老に. 7貢).. (3). (4). ご-最近の刑法学分野の文献に、斉藤誠二「胎児は人か 害と傷害罪」ジュリスト六二二号九1貢以下があるo 所与の法規定の内容ほ、むしろ設けられた当時から'まさにそれを設 けざるを得ないという理由それ自体が示すように、さまざまな利害・損 益の相勉を反映して、しか-簡明でほないのが一般であり'しかも時と 共にその意味内容の許すかぎり、かつ矛盾破綻を来たす寸前まで、いわ ば積み得るものはすべて積み込んで進行する荷車のごとく肥大化して' 次第に簡明さを減ずるのが一般である。 法規走は'それがどんな内容をもっていたかということと同時に'ど. んな内容をもっていなかったかということがきわめて重要であり、そし. てさらに、それがどんな内容をもち続けたかということと同時に'どん な内容をもち続けなかったかということがそれ以上に重要であるといわ ねばならない。所与の法規定を金科玉条として疑わず、その文言の外 延・内包を吟味せずに論証の出発点とし'単に論理の形式合理性を貫い て、謂うところの簡明な結論を得たとしても、それだけでほその間に其 不法行為法における「胎児の被害法益」. 七.

(8) 以下)。. 不法行為法における「胎児の被害法益」. なお、七一一条をめぐる学説・判例の問題状況については、好美清光 「慰帝料請求権者の範囲」損害賠償法講座七巻二一五頁参照。. イギリスにおける場合 イギリスにおける胎児の法的地位はどのようなものであろうか。. いわゆるサリドマイド事件(7)を機縁として、胎児の「被害者性」 すなわち、その「法人格性」、「法主体性」ないしほ「法的地位」の問 題について、比較的いやおそら-最も綿密な検討を加えたのほイギリ スの法律家たちであり、いまやこの問題に対して最も周到な解答を用 意しうるのほ彼らであろう。. 昨1九七六年七月二二JEE'別稿に掲げる「先天性心身障害(民事責 任)法CongenitalDisabilities(CivilLiability)Act1976]が国王 の裁可をうけて施行されるに至った経過とその内容をみていると、そ. こには学ぶべき多くのことがらがあるように思われるし、今後のこの. どなかったのである。. イギリス本国の裁判所の先例でこの種の問題を争った事例は、実は殆. 六年七月'右法案は国会を通過し、国王の裁可を得て、法律となった。 この立法過程に現われる諸論議ほ極めて示唆に富むものであるが、. Biuとして上摸し、下院、上院、およびその各委員会審議を経て、七. した形のものを、七五年1二月、議員提出立法案PrivateMembers. 八. イギリス法系諸国の裁判所において、「胎児」について言及する時. にしばしば引用されるのほ、コ-ク卿SirEdwardCoke(.. )634)の所説である(のちにみる、1八八四年のアメリカのディ-ト. リッヒ・ケ-スに於てもホ-ムズ判事がこれを援用している).1即ちF. 「ある婦女が子供を懐妊中、飲物にょりまたほその他の方法によ、畑. その子宮内の子を殺害した場合は、また、ある人が彼女を殴打し、そ. した場合ほ、これは重大な非行gr2atmispris-でほあるが、謀殺. れにょってその子が彼女の体内で死亡し、それから彼女が死児を娩出. murderではない。しかし'その子が生きて生まれ、それからその飲. なぜなら,この子が生きて生まれた時ほ、事物自然の性ijして、. naiuraその子は、法において1個の理に適った被造物と. the. SirWilliamB)ackstone()723-)780). Eng・. 物、殴打もしくはその他の原因で死亡した場合ほ、これほ謀殺である。 in,e,um. )and.3rd.p.50). laws. 制定法の運用と運命について深い関心を喚起させられるのである。 のちに述べるように、一九七二年一一月、大法官の要請に基づいて. 1562-. ×. 故殺manslaughterではあった.しかし、現代の法ほ、この凝罪行. にょれば、これは謀殺murdeぺではないが、殺人bomicide(8)即ち、. も同様の見解を述べたあと、死亡後娩出の場合ほ、「--古代の法律. また、ブラックスト-ソ. of. 「出生前侵害の場合の民事責任の性質と範囲Th2natureandextent ofcivil)iabilityforante・natalinjury」について勧告を求められた Congenital. Bi)lの多少手直し. sections())(E)oftheLawCommissiorlAct. Dis・. ×. みなされるからである。」(Coke.Institutes 法律零貝会LawCommi.ssionほ、約二年間の考査・審理を経て、七. 四年八月、右法律の骨子となった法律草案Draft. under. oninjuriestounbornchi)dr2n-AdvicetotheLord. abi)ities(Civi(Liabi)ity)BillwithExp)anatoryNotes並びに報 告書Report chancellor. 1965を発表した.この後、国会はこの草案Draft. of. 二.

(9) England(,pp.)29-)30)と補足する.. misdemean・ourとみるo」(Blackstone,Commentariesonthe. 為をまった-そのように凶暴視せず、単に1個の憎むべき軽罪ahei・ nous. Laws. 胎児についての、以上のような刑事法的評価とあわせて民事法的評. 「母の胎内の未成年者ほ、儀律上、多-の目的について生まれたも. 価についても彼ほ言及する。. のと想定される。その子は動産遺贈-egacyまたほ謄本保有不動産権 copybo-d estate の委譲 surrender をしてもらう能力を有す る。〔また.〕あたかもその子がその時現存するかのように'その子ほ. use. のために限定してもらうことも、のちに、かかる限. 後見人を指定してもらうことができ、また、その子ほある不動産権を そのユ-ス. p.)30). 定を引きうけることもできる。この点に関しては、大陸法Civi)Law も我々に賛同するo」(Blackstone〉Ibid. ここでほしかし、胎児の不法行為訴権について(9)'触れてほいない。. tionの三つにまとめ、胎児がこれらを訴求しうるとし'その問題点. を吟味している(り教授・前掲・ケ法律雑誌八八1九〇頁)o. 同教授によれば、イギ-ス法においては、出生前侵害を理由に出生. FatalAccident. Act)846(9. decisionほないという。ただ、いわゆるキャムベル卿. 児が不法行為訴訟を提起し維持しうるかどうかについて、直接こたえ た決定direct. Vict・c・93)によって(-1)、加害者の不法行為で死亡した父親の損. 法、即ち一八四六年の致命事故法. question. tortとしてとらえたわけでほな. one agr'oup 立法によって選定された該当者グル-プの1人 designated the Legislatureであるにすぎなかったので. めに裁定される損害賠償の分配をうける資格(権限)あるものとして、. -'そこでは、子供ほ単に、その父親に対してなされに不法行為のた. を不法行為の1問題. しかし、これらいずれの立法的決定も、胎児自身に対する侵害行為. ることになったことが指摘されている(同・前掲八二-八三頁)0. )6Geo・Vc・84) によって、胎児は、死亡した父親の 「被扶養者 dependaロt」として、その喪失した損害の賠償を訴求しうると解され. さらに、労働者保障法Workmen'sCompensationAct)925()5&. 害賠償を分配する為に、胎児は生まれたものとみなされることになり、. &. あり、被害者、不法行為訴権者としての胎児の問題について、そわも. のずばりの'適切な制定法も先例もなかったというのである。. ただ、同教授ほ、若干関連性のある事例として'妊娠中の妻が夫の. 経営する飲食店pub-i?Fouseの張場内にいた処、被告の使用人の駁. 'その子ほ白痴 結果病気となって、子供を早産しprematurelyborn, idiotであったという事案に関する、1九〇1年のデュ-リユ-対ホ. する二頭立の荷馬車が店内に突入してきたのでショックをうけ、その. of. ところで、胎児の被害者性、不法行為訴権'被侵害利益等の諸点に. )0. persons. of. ついてほ、1九四二年の-ロント法律雑誌及ケムブ-ッジ法律雑誌に. L.I.76〔)942〕)oここで. Chi)d.4U.. 発表された、ウインフィ-ルド教授の「未出生児」と題する論文が詳 L.I.278〔1942〕.8Cambridge. 細であるように思われる(P.H.Winfie)d.TheUnborn Toronto. 同教授は、-財産法、Ⅱ刑事法、Ⅲ契約法、Ⅳ不法行為法という四領. the. 域から未出生児の法的地位を考察する。そして、最後の不法行為法の の問題の部分に最も多 観点からみた「未出生児」(すなわち「胎児」) -の紙幅を割き、制定法や先例の検討、各国の概況(-o) を説明し、結 語として、「未出生児の被侵害利益」を、M人身侵害Injury. a. a. personS財産侵害Injurytoproperty細評価侵害]njurytoreputa・. of. of. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 九. to. by. of.

(10) of. ワイト事件Dulieuv.White〔)90)〕2K.B.669,(S)をあげ、また. 重要な先例的意義を認むべき判決例として、一八九〇年のアイルラン. 以上の意味をもたないのではあるが'という慎重な前置きをし乍らも、. 転じ'イギリスの裁判所では「説得的権威pursuasive. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 未公表であるが、妊娠中に街を歩いていた原告女の上に被告の過失で. ドのウォ-カ-・ケ-ス(アイルランド大北部鉄道事件)におけるそ. authority」. 梯子が落ち、その事故の結果、翌日子供が生まれたが、たった1日間. れ(1)と、1九三三年のカナダのルヴュイユ・ケ-ス(モソトリオ-. 女とその夫の請求ほ、例のキャム..(ル卿(1八八四年)法の改正法(1. 児」中の侵害で生まれかつ死亡したその子の財産管理人としての原告. て判決が何もふれなかったことを指摘し、又'後者においてほ、「胎. damages」として弁護士が問題にしたにも拘らず'この点につい. わば「乗出生児の被侵害利益肯定論」を組みたててゆくのである。. の判決の判旨(と-にレイモソ判事の判示)を基礎に据えて、彼のい. た最高裁判決を、きわめてたかく評価しているもののようであり、こ. 償請求を認容(五、五〇〇ドルと裁定)した原審判決とそれを肯定し. に、後者のケースで、ジャンニイ・ルヴュイユの胎児期被害の損害賠. ル電鉄事件)におけるそれ(5)をとりあげるのであるo同教授はとく. 九三四年法)の規定に基づ-ものであったにも拘らず、裁判官は和解. aggravations. を承認し'「出生前侵害」という難物に立ち向うことを未然に回避し. の子供の被害が、母親の損害賠償請求額の「増額理由. 生きていただけであったという事案に関する、一九三九年のリグァプ -ル巡回裁判所の一和解事例(-3)をあげ、前者においては'「胎児」中. 10. 最後に、ウインフィ-ルド教授ほ、私見的かつ試論的であることを ことわりながら、胎児の被侵害利益を、前述の三つのタイプ. たのだということを指摘している(同・前掲八三-八四頁).. v.C)arke()795)H.B)ackst.399.40()に言及. v.Lancashire(1792)5T.R.49.63ならび. 結局、ウインフィ-ルド教授ほ、乗出生児の財産権に関する利害も しくはそれに対する侵害が問題になった、イギリスの二つの古い判決 deLancashire deClarke. Chi)dについて念頭にしているものの'. 上の被害pre・natalpersonalinjuryについては誰も考慮を払ってい なかったのであるから、これらの判決が、不法行為責任の問題もカバ -するとみるのほ危険unsafeであるとし'ついにイギリス本国の戟 判所に依拠すべき先例のないことを見究める。 そして、そこから1竜して、他のコモンロウ系諸国の裁判所に目を. り人 身侵害lnjurytotheperson. に分け、このそれぞれについてさら. S財産侵害Injurytoproperty川 に詳論する。即ち、. ここでは二つの事柄が明確に区別されねばならないo. 評価侵害(njurytoreputatior]. -. にとどせっていることになろぅといぅ.また'未出生児ほ実働ができ. がないからということが妥当な理由になるというなら、コモンロウは プランタジネット時代〔十二世紀中葉から十三世紀末頃まで〕のまま. いての確かな理由をみつけかねるという。そして、イギリスでほ先例. 前者について彼は、どうしてかかる訴訟が提起され得ないのかにつ. を立証する適切な証拠の入手可能性如何の問題、がこれであるとする。. その二ほ、出生前の侵害行為と出生後の障害結果との間の因果的連関. その1は、1体全体かかる訴訟を認めることの利害得失如何の問題、. 3人身侵害. -. (Doe に、Doe. unborrl. し、そこにおける裁判官たちが、未出生児の財産上の被害injury thepropertyof. to. それは単に思弁的空論spec己ati昌であり、ましてや未出生児の人身. an.

(11) ないというなら'それは事実であるが、しかし一体、不法行為上'子 供に対する責任のことをどうにかしようというのに、その事実ほ何に 例の有害無益な謬論を想起するがよい.即ち、AがBと 洩るのか? の契約を破る、この破約がCに侵害を賓す、cほAを不法行為上訴求 できない、「何故なら」彼cとAとの間に何の契約もないから、とい. ぅ身の謬論をoダナヒュウ対ステイ-ゲンスソ事件Donoghue Stever]son〔)932〕A・C・562において、貴族院ほこの謬論に、悼も v.Austra)ian Kr)itting. Mills、Ltd.. 味もあるとどめをさしcoupdegra^ceグラント対オ-ストラリア編 物工業株式会社事件Grant. [)9361A・C・85において、枢密院司法委員会はこの謬論の墓所に土 盛りしてその上に締め木を当ててけりをつけた筈でほないかという. そして又、彼は刑事法の準則が未出生児を〔法益の担い手として〕 認めていることをあげ、かつ同7事実が、1方でほ1犯罪となり他方 でほ7不法行為となることが屡々あることをあげ、かなり激越な語調 でつづける。いまAが出生前の子に侵害を加え、その結果その子が出 生後に死亡したら、それほおそら-殺人homicideになるであろうの に、何故、その時それほAの不法行為にほならないとすべきなのか? 又、子が出生前に受難の1撃を-らって〔出生後に〕死亡した場合と、 出生後にそれを-らって死亡した場合とを-らべて、いずれの場合も 後者の場合に. その子が息絶える前に生きて生まれていたものと仮定すれば、その手 の悲痛さにおいてそこに如何はどの蓬庭があろうか?. は、キャムベル卿(1九三四年改正)法に基づいてその子の遺産〔賠 償訴権〕のために訴訟は維持されうるが、まさし-前者の場合にも同 法が適用あるべきものであろう。立証の困難性の点は格別の問題とし. きつづいて〕死が直ちに継起したのに対し'前者においてほ 〔加害 後〕死が1定時間をまって訪れたということにすぎない.しかもこの. 区別は'仮に後者の場合に、受難後数ヶ月間、その子がこの世を去り. かねてぐずっていたとしたら、完全に消滅してしまう区別なのである、. そして'この項の最後に同教授は、財産法の準則と未出生児との関. ある。」と結んでいる。. 定することの不正義なる旨を判示しているといい、これぞ彼のカナダ のモソトリオ-ル電鉄事件におけるレイモソ判事の力強い論述に他な らないことを強調し、「私はその論旨に敬意をもって同意するもので. tortsを胎児に認容せんが為になされた第1綾の論述は、該訴権を否. 類推も斥けて'人身上の不法行為訴権arigbtofacti昌forpersoロa-. になるのだ、という。そして、法準則の他の諸部分からするいかなる. 価値尺度において高いものであるかに評価するという〔奇妙な〕こと. を財産法上の権利に制限するのほ、財産を、生命・身体よりも、法的. を認めるという7般的法命題を許容し得るものであるのに'この命賓. 妙な片手落であるとし、イギリス法の準則は他の諸国と同様、その子 に人格性を承認すればその子の利益になる場合にほ、胎児の法人格性. 害賠償の権利ほ獲得できないよ。」などというのであれば、これほ奇. は出生前の財産(権)を獲得できるが、出生前に被むった人身侵害の損. 係についてふれ、その準則が不法行為法上の準則とかけはなれ'峻別 されていることを指摘し、〔もし〕法の準則が、子どもに対して'「君. と。. S財産侵害 胎児にとって、不動産もし-は動産に対する権利を もつことが可能なら'その母の妊娠中、その不動産もしくほ動産に対. して加えられた侵害について、生まれおちてから'不法行為上の訴求. 二. て、彼此両者の間に存する唯7の区別ほ、後者においては〔加害にひ 不法行為法における「胎児の被書法益」. -. vI.

(12) 不法行為法における「胎児の被害法益」. をなしえないとする理由はなにもないように思われる、と彼はいう. そして、胎児は生まれるまでほそのガラガラやオペべを所有しえない かもしれない。しかし不動産や動産はある人Ⅹのための信託財産とな. かかる不法行為の立証については何の困難もないと結んでいるのであ. 子の身体若-は精神の周辺の附帯物なのであるから、と述べ、最後に. しかし、そのことは重要ではない。けだし、評判というものは、その. 一二. 以上、ウインフィ-ルド教授の所説の紹介にかなりの統幅を費した. ×. 教授にょって喝采を博するまでもな-、胎児の被害者性の問題に関す. ほ、同教授自身の言葉に照らして明らかなところである(因みに、同. 1九三三年のカナダのレヴュイユ・ケ-スに於るレイモン判事に代表 された最高裁判決に触発され、鼓舞されて登場したものであったこと. 知しうるであろう.そして、1九四二年のこの論文がその紛十年前、. 被侵害利益」を類型化し、その不法行為訴権を肯定していることを窺. が、同教授が一見控え目でほあるが実は不抜の確信をもって「胎児の. る。. 的いずれの面でもその子に直接にほ影響を及ぼしえない。ではあるが. ほ心神約能力をもたないし、それ故、名誉較損も、身体的若-ほ精神. 観に関するものであり、主観に関するものではない。なるほど'胎児. てその人自身が思うところのものでほないのだ、と。それは即ち、客. ある人について他の人々が思うところのものであり、自分自身につい. 判ももつものではないというならば、答えて日-、評判なるものは、. と述べる。そして、もし反論あり、人は生まれ出るまでほ、何らの評. すanimpu-alionofbastardy-o-hechildようなことであろう、. れほ、たとえば、胎児が乗出生の間に、その子に私生子の汚名を負わ. slander又ほ文書誹鞍)ibelのいずれかを理由とするものであり、そ. るといわねばならない、と彼はいう.そして、それほ、口頭誹鞍. ケ-スの判決Bonbrestv・Ko-2(1946)65F・Supp・13B(後述)は. この問題に関してアメリカ判例法史に一期を劃するポンプレスト・. 諸国の裁判所の考え方に重要な影響を及ぼしたことは想像に難-ない。. 静的認知は、この判決の先例的意義をたかめ、その後の言ソ. であるが、ウインフィ-ルド教授にょる、レヴュイユ・ケ-スの法理. 右論文は、カナダの「トロント法律雑誌」に掲載され、さらに間も なく、イギリスの「ケムブリッジ法律雑誌」に転載されたもののよう. 「扶養利益」だけの計算に携っていたわけである)。. 当該胎児の被侵害利益中'「私生子たることの精神的損害」を陵き、. いわゆる阪神電鉄事件について判決し、事件を差戻された大阪高裁ほ、. 準を抜いた,まさにその頃(一九三二年)、我が国の大審院は、前述の. る限り,いわばその先進性にょってカナダ最高裁が各国の裁判所の水 榊評価侵害-これについてもまた、その訴訟ほ維持しうべきであ. されるような証明上の諸問題は何もない、と結ぶのである。. ×. ることがあり、もし〔受託者〕Ⅹがその唯一の子を母の胎内に置いた まま死亡した場合に、その子がまだ生まれる前にその不動産や動産に. conversion又は何らかの不法行為を理由に、. とであり、かかる事態においては、その子の出生に基づいて'. 対して何らかの不法行為がなされるということはよ-起こりそうなこ. trespass又は横領. 訟ほ維持されうるのである、という。そして彼は〔財産に対する〕 子どもの衡平法上の法的利益をもおかすものであり、また、そのよう. 法行為侵害は、単に信託受託者の法的利益をおかすのみならず、その. 侵. な侵害を理由とする訴訟においては、出生前の人身侵害の場合に提起. 不訴奪.

(13) この論文の四年後に登場し、そのあとを続々とアメ-カ諸州の判決が 追いかけたのである(-)0. ワット・ケ-スにおける、三人の裁判官Winneke. C.)こPape].. Gi))ard].ほ、いずれも結論において、胎児の不法行為訴権ならび紅. 被侵害利益を認容するが、よってもって依拠した法準則が、ダナヒュ ウ・ケ-スで宜明された法理であった点は、まことに興味深い。. そして、レヴュイユ・ケ-スの先例的機能は、裁判所の域をこえて さらにその射程をのばし、此度のイギリスにおける「先天性心身障害. この点に就ては別諭するが、さしあたり、ダナヒュウ・ケ-スの考. ると思われることだけを述べてお-に止めようO.. イギ-スの心身障害(民事責任)法の考え方に重大な影響を与えてい. のポンプレスト・ケ-ス以後の諸判決とともに、これ又、このたびの. え方が'さきに述べたカナダのレヴュイユ・ケ-スならびにアメリカ. (民事責任)法」の考え方にまでもその磯能範囲をひろげてきたといっ てよいように思われる。. R.353があらわれた.. に依拠しっつ判決した、ワット対ラ-マ事件. 1方、オ-ストラ-アにおいてほ、一九七二年、交通事故によって damageを被むった胎児の損害賠償請求事件を、ダナ 脳障害 brain ヒュウ対ステ-ゲンスン事件でア-キン卿がのべた 「隣人の法理 princip)e」. の判決Watt v.Rama〔1972〕VI. ダナヒュウ事件ほスコットランドからの上告事件であり、ジンジャ -・ビ-ルの製造業者(被告)が不透明なビン入りビ-ルを小売業者. に飲ませたところ、そのビ-ルのコップに、. に売りわたし、その小売業暑がさらにこれを甲に売り、甲がまたこれ を知人の若い帝人(原告). 製造過程で入りこんだ、腐敗せるカタツムリが浮き上がり、すでに中. Lordsの多数意見は、原告. 味を飲んでいた原告ほ、これをみてショックをうけ、重病に躍ったと いう事案に関する。. イギリスの貴族院〔裁判所〕House. privi.ty. が何ら存しないことほ明らかであったにもかかわらず、被. 婦人と被告製造業老との問には、契約上の当事者関係 contract. また一方'サウス・アフリカにおいては、一九六三年、ピンチソ対. サンタム保険株式会社事件の判決Pinchinv.SantamlnsuranceCo./. Ltd.∩)963〕2S.A.254が登場し、アフ-カにおけるサリドマイド. 胎児の不法行為訴権ならびにその被侵害利益について判示し、イギリ スにおけるサリドマイド事件を刺乾し、かつ、リ-ドしたにちがいな. い処の、ヘイムストラ判事Heimstra).の見解が按摩された.. David. この点に就いてものちの別論にゆずるが、この判決の二年後、サウ. ス・アフリカ最高裁の弁護士ディヴィド・A・ゴ-ドン. Reviewに寄せ、ウイ. Gordor)は、「乗出生の原告TheUnbornPlaintiff」と題する静稿を. アメリカの,,,シガソ法律評論MichiganLaw. ンフィ-ルド論文以後、本問題に関する約四半世紀の判例法の展開を. 総括し、とりわけ、サリドマイド薬害に象徴されたような、薬禍・医. 禍にさらされた胎児の諸問題が、コモンロウの裁判所ないし法学にも. たらしたイムパクトを丹念に検討した。そこにおける、数多くの胎児. の医禍・薬禍が、具体約には如何なる〝原因″に困るものか. -. 告は原告に対して、有害な物質が'ri)ンの中に入らないように注意する 義務を負うものであり、したがって、その義務違反があれば、それに ついて真に任ずべきものであると判示した(5).. A.. 日-. of. ×. × of. ×. ×. 不法行為濃における「胎児の被害法益」. !三. neighbour.

(14) wasadark. cornerofthelaw,-Mr,Ray. Carter議員. '. ヽ. '. ヽ. 不法行為法における「胎児の被害法益」 nata)injury. '. ヽ. F&州酸素症Anoxia」'日く「伝染性疾患Disease」(風疹Rubel)aと梅. '. ヽ. Aborti-. ヽ. 毒Syphilis.)、日-「放射線症(rradiation」、日-「薬源症Drugs」 Progestinsと堕胎薬. ヽ. Synthetic. ヽ. The. ヽ. (合成黄体ホルモン. '. ヽ. ヽ. ヽ. 1四. の言葉)について真筆な検討を重ね、二省三省して一歩を進め、所期し たと否とにかかわらず各国に魁けて右法律を制定した事ほ厳然たる事実 である。このような事実を前にして、次のような言葉を読むときほ'顔 みて思い半ばを過ぎるのは筆者のみであろうか。 「現在では、世界のあらゆる薬事監督官庁が-あるいほ日本だけが例. ヽ. ficientsとサリドマイド鎮静薬Tb巴idmide)、日く「外傷Trauma」. ヽ. (身体外傷Physica〓rumaと精神外傷Psycbictrauma)等々. ヽ. 医禍・薬禍のいわば〝禍困″類型についての分析や、胎児侵害と先天. ヽ. ヽ. and. the. Powerofthe. Drug. Companies.(1972)r#&. 右のような見解は'我国の政府当局者ないし企業関係者、ひいてほ社 すなわち、自然科学はもちろん社会 会意識1般のある種の思考傾向 科学的真偽の問題(いや、時にほ文芸的美醜の問題さえも)が、「裁判の 結果が明らかになるまでほ--実証されない」と解する考え方'裏から いえば、科学的真偽の実証ほ、実験室や研究室の研究作業においてで紘 なく、裁判所の判断作業においてなされるという奇妙で不遜な考え方、 そして実験室や研究室の見解や結論よりも、裁判所のそれに従順である. れる医薬産業」〔松居弘道訳〕岩波書店一六一貫)0. Thalidmide. 証されたことがないと主張せざるを得ないという事情以外に考えられな い。その他どういう夙に言訳をしてみても、それほ罪の告白に等しくな Sj6str6m&Robert Nilsson, るからである。(傍点筆者)」(Henning. ヽ. 障害との因果関係についての考察は、ピンチソ・ケ-スとともに、今. '. 外かもしれないが-サリドマイドが胎児の障害を招-作用を事実として 認めており、その結果多-の場合、関係法規がかなり強化されている。 サリドマイドの悲劇にかんがみ、大抵の国では'市販されるすべての新 薬紅ついて'胎児に対する影響を検査することが今や義務づけられてい るo・・・-レンツ博士の発見や他国でサリドマイドが回収されたことにつ いて一年以上も前に知りながら、これを回収させる措置を何もとらなか ったために日本の高官が民事裁判で責任を問われているという事実に、. ヽ. 同国政府当局がとった態度の理由をはっきりとみることができる。日杏 ヽ. ヽ. 政府当局の態度を合理的に説明する理由としては、裁判の結果が明らか になるまでは、サリドマイドが実際に胎児に損傷を与えるとは一度も実 ヽ. ヽ. 回の立法の資とされたであろうこともまた付言するに止める. (7). イギリスにおけるサリドマイド訴訟については、内田教授の詳細な紹 介があり'本稿はこの論考から数多くの教示と示唆を得たものである その和解 (内田力蔵「イギリスにおけるサリドマイド裁判について 過程を中心として」ジュリスト五五七、五五九、五六〇、五六一、五六 二、五六四号参照)。記して感謝の意を表する次第である。 なお、この十数年の間'イギリスから到着する新刊の法律雑誌の広告 欄にほ、毎号必ずといってよいほど、「あざらし症」児の写真が掲載さ childrenが救済さるべき れ、彼らdisabled children.handicapped こと'彼らの家族の悲劇を-りかえさざるべきこと、その為に人々から あれこれの善意の手をさし出してほしいこと等々を訴える文章が掲載さ れつづけている。それらは単なる広告的キャソペ-ソの域を出て'イギ リス法曹界ないしイギリス社会全体の叫び声のように筆者にほ映ってい. ヽ. ヽ. ヽ ヽ. -. た。そして、いわゆるサリドマイド訴訟は、かの国でもまた和解で終結 したにもかかわらず、人々がサリドマイドの「悲劇tragedy」またほ 「惨事 disaster」を決して終結させず、むしろその余波を、ますます大 きな波にして、イギ-ス社会の各層に及ぼし、ついには立法府を動かし て'別稿するような「先天致傷児賠償保障法」ともいうべき立法を実現 するところまで持ち込む経緯をみていると、まことにイギ-ス社会のね ばり強さもし-はイギリス人の保守性といったものに改めて思いを深する感があった。このような感慨ほあるいは当っていないかもしれない けれども、彼らが少なくとも「法の晴部」とか「法の盲点」とか称され た'「出生前の胎児侵害に対する法的責任」の問題(liabi)ity for ante-. を軽々に捨て去り'当事者の無知・窮迫・疲弊・困優等に乗じて「和解」. れる所まで追い込まれれば、それまで依拠してきた裁判所や法律の聖檀. においてそうであるにすぎず、足元が暗-なって漸く脱帽を余儀なく4il. かのようなゼスチュアを示すのでほあるが、それも自ら敗訴しない限り. -. -.

(15) (co). a. れる)'これはさらに「謀殺murder」と「故殺manslaughter」と「嬰 児殺infanticide」と「危険運転致死death dangerousdriving」 の四種類に分れるという(S・W・スチェア-ト'現代イギリス刑法1. (9). ゲルダート、イギリス法原琴天七頁では、「嬰児整を独立した殺. を指示するようになり'事前の聖息ほないが事情によっては重罪とな. 人範時には数えず、111分類になっている。なお、「謀殺」ほ、元来ほ, 例えば夜間ないし待伏せによる、秘密のないしは人目を盗んだ殺害にの み専用された用語だったようであるが'1五〇〇年に至るまでに、あら ゆる種類の犯意によるないしほ予謀した、「計画的犯意に基づく」殺害. English. legal. 殺害という残余の範時は、その際、単に「故殺」として類別されるよう. になったという(]・H・Bak2r,Anln-roduc-ion. history,1st・ed・()97))pp.284-285)o. 胎児の不法行為訴権に関して'ペイス教授ほ、従来少なくとも四つの 考え方が可能であったとして、整理する。すなわち, 3ローマ法に基づき大陸法の裁判所で適用されてきた擬制Ⅰ山ction即 ち、胎児がもし生きて生まれたら'その子の利益になるときほ遡っ て既に生まれたものとみなす'とするいき方 S胎児に法人格12galp2rSOnali-yを付与するいき方,これは,生き て生まれる1ivebirth〔生産〕ということがなくなるわけであるか ら'堕胎法改正Abortionlawr2formに関する対案および支実に っいて重要な関連をもつことになる〔結局ほ殺人罪に止揚されて堕 胎罪ほ廃されるべきことになる意味か?-筆者〕o. のであるから'母が妊娠中、他人の過失で損害を被むったとすれば、. 糾生物学的には完壁とほいいがたいが、未出生児は単に母. その母のためにする訴訟のみがありうるのであって'その子自身の. ためにする訴訟ほありえない'とするいき方 S,ネグリジェンスという不法行為ほ'原告(被害者)において損害が 生じないうちほ未成立なのであるから、この不法行為は,障害児が 生きて生まれたlivebirth〔生産があった〕ときに現実に成立する ことになり、その侵害が胎児中に被むったものでもpその〔生産〕. P・]・Pac2・CivilLiabi)ityforPr2占ata)(njuries40M.. 時に'その子ほ法人格をもち、その近友n2Xtfli2ndを介して訴 求しうる、とするいき方' であるo. わが民法の考え方は3に属し'此度のイギリスの立法の考え方はSに 属するのではないかと思われる。歴史的には'川131叫1Sという塀. L・R・No・2.p)41()977). 悪聖石次″とする'いわば逆立ちした裁判至上主義ないし法律万能主. 契紛にもちこみiこれを免責符として自らの無答真の根拠とし、剰えそ の和解が当事者に対する恩恵であるかのようにさえ誇示し、ついにほ事 件が裁判所から姿を消せば、"裁判で問題にならない以上、事の真偽善 義(というよりは、政府当局の悪意を自ら物神化し合法化する悪意合法 に対する痛烈な皮肉というべきであろうO かくて、わが日本国政府が、不名誉にも'製薬企業の為に「最後まで. 主義). 生命の安全が国王によって保証されている人に対し'不法な殺害行為を なし'1年と1日以内に死亡せしめること Unlawfu])y killing human beingunderthe deathfollowing [Queen.s]peace.the andaday」と定義され、(Osborn's year Concise Law Dictionary,6thed・p166・この定義はCokeの影響によるものといわ. イギリス法において「殺人homicide」ほ、「現に生存し、かつその. ど)、いわゆる「薬禍」や「医禍」 に関する調査、対策について行政や 立法が緊喫の課題を負わされていることがあらためて強調された。 訴訟の終結が、薬禍、医禍一般の終結ではない。蓋し'国民の被害や 訴訟をまってその対策を講ずるのではなく'被害や訴訟そのものが生じ ないような対策を講ずるのが、あるべき厚生行政の姿ではなかろうかo. そして、現に'国および大日本製薬株式会社、セイセ-薬品工業株式 会社を被告とし、サリドマイド被害者11六名を原告としたわが国のい わゆるサリドマイド訴訟は'漸-昭和四九年一〇月二六日東京地方裁判 所において「和解」で終結したo そして、皮肉なことに、訴訟の方が「和解」で「終結」した同じ頃に' 「先天異常児が、急速に増加しているかどうか?」というまさに真偽の 問題が激しい論争点となって登場し、(たとえば、木村正文・平山雄「最 近に見られる先天異常の急増現象」厚生の指標・昭和四九年七月号、松 永英「先天異常は急増しているか」厚生の指標・昭和四九年一〇号な. 頑張った国の代表になった」(佐久間昭「-すりとからだ」1八三頁) のも、いわばお定まりの運びであった。. -. 七三頁)ら. 不法行為法における「胎児の被害法益」. by. to. 1五. withina.

(16) (ほ). 不法行為法における「胎児の被害法益」 で、「胎児の人格性」を拡大化する傾向が窺われる。 各国の概況にふれた箇所で、ただ一行だけ、日本では胎児の不法行為. われる)として生まれ、よって生じた損害の賠償を求めた事案において'. cripp-edというのであるから、片披いわゆる「びっこ」でほないかと思. 1六 (ほ). して責任を負うものである。」. ろうということを識知している場合には、その讐迫業者ほ'消費. 欠き,その結果,消費者の生命もし-ほ財産に対する侵害が生ずるであ. 製品を販売し,かつ'その警Eの調製もし-は保存につき相当な注. 検査が途中に介在する何らの相当なる可能性もないままに、最終の消費 者のところに到達すること意図していたことを示すようなかたちでその. 「製品の製造業者は'その響叩が手元をほなれたままの形態で、. ア-キン卿1ordA-昏の判示は次のようなものである。即ち、. prenatalinjuries.90L・Q・R・No・5,p・531参照。. R.H.Griffith⊥ones"1h2SinsoftheFath2rS"-Tortliabilityfor. ていること,等であると考えられている。たとえばP・A・Lovell&. の変化にみられるような、いわば描代精神〟におけるl変化がおこっ. と、川〃祭や〃死″や〃家族〟などに関する哲学的、社会学的諸観. の傾向を促した諸要因ほ、り科学1及び医学上の知識が著しい発達を遂 げ、これを尺度として、その被害の原因を的確、公平に測定しうるよう になったこと,Sいわゆる製造物責任の分野の展開で、契約の当事者関 係という〃砦″ほ攻撃にさらされ、また、過失責任が拡張されるなど、 全体として、法的責任の射程ほかなり遠隔まで及ぶようになってきたこ. 胎児の被侵害利益を認め、その賠債請求を認容する言ソ冒. 案において、ケベック地方王座裁判所がその請求を認容したので'被告 会社から上訴した所、これを斥けたという、カナダ最高裁判所の事例で あり、この判決はきわめて重要な意義をもつものと思料される。. 手の過失で路上にふりおとされるという侵害をうけ、その結果、ニケ月 後に「内反足clubfeel」(いわゆる「うちまた」ではないかと思われ る〕という奇形を伴って生まれ、よって生じた損害の賠償を訴求した事. 本件は、原告ルヴュイ芸、妊娠七ケ月の妻が'被告会社の電. る注意義務を負わせ難いとして'出生後におけるその子供の固有の損害 賠償請求を否定したという事例である。詳細は別に叙べる。 TlamWaySV・Leveillか〔1933〕4 ルヴュイユ・ケ-スMontreal D.L.R.337は、或いは「モソトリオ-ル電鉄事件」と称せよう0. 裁判所が,胎児の存在とその生存を知らない整呈社に'右胎児に対 訴権が認められているとして'脚注に民法典七三条を掲げたところが. ある。ここで、前述した、いわゆる阪神電鉄事件(大判昭和七・一〇・ 六)が引用されていないのは無理もない所であろう。しかし顧みれば' この大判の翌年、一九三三年にウインプィ-ルド教授の賞賛してやまな いカナダのモソト-オ-ル電鉄事件の最高裁判決が出たわけであり、彼 と此と偶然ながら'「胎児」を扱うその軽重の差が如実に浮かび上がる。 内田教授によれば、キャムベル卿(一八四六年)法ほ'コモンpウの 「人的訴訟は人とともに死滅する」(Actiop2rSOnalismoriturcum. (16) (17). pers呂a.)という格言または理論にもとづく従来の判例法理に、はじめ て例外を設けたもので'これによって、被害者の遺族の損害賠償請求権 がみとめられた(第1条・二条)という。そして、同法により、権利を 有する者ほ、M配偶者、S父母、祖父母、義父母(五条)'川子、孫、 義子(五条)であるが、ここにいう「子chi)d」には、当初考慮されて いなかった「養子」「私生子」も含まれ(1九三四年改正法)'また、被 害者(父母)の死亡時には「未出生」でその後生まれた子p.sthum.us childも含まれるようである(内田力蔵「英国不法行為法に於ける最近 の改正について」法協五四巻三号1二四、l三三頁'四号二〇二-三頁 等参照)。ただし、筆者にはここにいう損害賠償請求権が、遺族の相続 した死者の権利に基づくものか'遺族固有の権利に基づ-ものか'必ず しも判然としない。. v.Britishpictur2C.rp.rationLtd・のようである。. 「アイルラン. が蒙った侵害に因り'原告はのちに不具者(片端の内容は明確でないが'. negligenceで、乗客であった妊婦mother. ド大北部鉄道事件」とでも称してよいと思うが'被告鉄道会社の過失. ゥオ-カ-・ケ-スMabelWalk2rv・Great oflreland(1890)28L.R.(ire)and)69・は、或いほ. Railway. このケ-スについては、末延三次丁精神的衝動による損害の賠償-莱 1九八 米法におけるNervoussh.ckについて」、英米法の研究(上) 真にその概要が紹介されている。 (1939)83So)icitors.I.urnal,185当事者名ほ判然としないが'お Northern. このケ-スでの和解金は一〇〇ポソドだったようである。. そらくDavis. whi)eshewase,mi'ue. 1). (10) (1. (望 (14).

(17) アメリカにおける場合. ぅである(前掲Workingpap2rでほこの点にふれていない).. ほ好ましいことでほない、とするいわば政策的理由づけもみられるよ. の増加をきたし、家族道徳上に由々しい事態を招-ことになり、それ. のでほないかという事実上の推定が働く結果)、両親を訴求する子供. Administratorv.inhabitar.tsofNorthamp 母親の利益のために、ある制定法(Pub.St. 二十世紀に入って多発したこの種の訴訟を導き、いわばリ-ディン グ・ケ-スとして機能した先例ほ、1八八四年マサチエ-セッツ最高. 裁判所の判決'いわゆるディー-リッヒ・ケ-スPeter. である.. 本件は、ある女性が、妊娠四・五ケ月の頃に'被告(ノ-ザムプトン. 児自身でほな-'母親によって訴求しうべきものであること、などを. 児は母体の7部であるから、胎児に対する侵害に困る損害賠償ほ、胎. のであるが、要するに、胎児による民事上の損害賠償請求の事案に、 コーク卿の古典的定義たる刑事法上の法準則を類推しえないこと、胎. この却下判決をのべたホ-ムズ判事の判示ほ必ずしも明快でほない. 議を申立てたが、結局、これも却下された。. 告ピ-メ-・ディ-トリッヒほ、マサチエ-セッツ州最高裁判所に異. 賠償を訴求したが、原審はこの訴訟は維持されえないと決定した。原. 筆者ほ参看しえていない)に基づいて、「町(氏)」を被告として損害. のために、遺産管理が開始され、遺産管理人ほ、近親者としての当該. さの故に死亡したという事案である.この死んだ胎児(出生後死亡児). 熟のまま娩出され、十ないし十五分問は生きていたが、結局その未熟. ぁった畷疲のために転倒し、その転倒のために流産し、その胎児ほ未. 住民ないしノ-ザムプトン町当局)の町の公道を通行中、その公道に. )4). Dietri阜. アメリカ合衆国においてほ、妊娠中の女性が何者かの過失行為であ. る侵害を受け、その結果、引き続き娩出した子供に崎形やその他の心. など). 身諸障害が発現したというような場合(-8) にその子供(もしくほその 子の親、「近友nextfri2nd」'「財産管理人administrator」 から、その心身障害を理由とする損害賠償damagesを求める訴訟(-9) が、比較的多-報告されているoしかし、1九世紀後半から7九四六 年頃までの問、これら訴訟における子供の請求ほ、いくつかの理由な いし根拠に基づいて'ほとんど否定され、排斥されてきたのである。. その理由として通常二つあげられるのほ、1つには、被告ほ、その. 過失行為の時にこの世に現存していない人(人格)apers昌Wbowas notexistenceatth2timeofhis"negligent"actに対して、何ら. の注意義務dutyofcar2も負いうるはずがないということ'二つに は、右の過失行為negligenceと損害damageとの間の因果関係を立 証することprovingacausa)c.nnecti.nがあまりにも困難であり、. 多くの担造的請求fabricatedc-aims(プロッサ-教授ほ架空的請求 fictitiousc)aimsともいう)が、登場して-る危険性がかなり高いと いうこと、これである(20)0 明示的であれ黙示的であれ、おおむねこの二つの理由ないし根拠に. もとづき、子供によるまたほ子供の為の訴訟ほ働訴に終っているが,. にこのような訴求原因Causeof. もちろん、各判決を仔細にみると、理由としてほ、このはかにもたと. えば、胎児(のちに障害児となる). actionを認めることほ、ゆきつ-ところ、(つまり障害の因果関係立 証の困難さのあまり、発現したその障害は結局、両親の過失によるも 不法行為法における「胎児の被嘗法益」. 一七. 三.

参照

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