• 検索結果がありません。

地域教育協議会の活動と連携担当者の役割に関する一考察 ―T市における実態分析を通して―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地域教育協議会の活動と連携担当者の役割に関する一考察 ―T市における実態分析を通して―"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

地域教育協議会の活動と連携担当者の役割に関する一考察

―T市における実態分析を通して―

One study about the community education conferences activities

and reference to the role of the conference coordinators

through the actual conditions in T city

森本嘉代子

MORIMOTO Kayoko

要旨 大阪府では,2000 年度から地域教育協議会を府下 334 中学校区に設置し学校・家庭・地域の「協働」による「教育コミュ ニティ」 形成を進めてきた。地域教育協議会の活動とはいかなるものであろうか。また,学校と地域を繋ぐ地域連携担当 者の役割にはどのようなものがあるのであろうか。T市における先進的な二つの地域教育協議会の活動を取り上げ考察する とともに,地域連携担当者へのアンケート調査に基づいて連携担当者の役割と課題を明らかにする。 はじめに 1996 年の第 14 期中央教育審議会答申の中で,「地域教 育連絡協議会」や「地域教育活性化センター」という名 称を用いて地域ぐるみの教育の大切さが盛り込まれた1。 また1998 年 9 月の中央教育審議会答申「今後の地方教育 行政の在り方について」2では,学校教育活動への学校支 援ボランティアが提案され地域コミュニティの育成が掲 げられた。そこでは,近年のいじめや不登校など教育諸 課題を解決し子どもたちに豊かな教育を保障していくた め,「開かれた学校づくり」を目指すとともに地域の教育 力を学校教育に導入することが大切であると指摘し,学 校支援ボランティアを活用する仕組みを整えるよう求め ている。20 世紀末以降,国は地域社会を挙げて子どもた ちを育んでいく教育環境を構築しようとしてきたのであ る。 このような国の要請と地域住民自らが地域の教育を推 進していこうとする動きを受け3,大阪府では,1999 年 4 月に打ち出した教育改革プログラムに則り4,2000 年度 より地域教育協議会を立ち上げ,学校・家庭・地域が「協 働」で地域ぐるみの教育を推進している。「協働」の関係 は深い部分での情報の共有と双方がその必要性を認識し 共に力を合わせる関係を意味するのである。地域教育協 議会は「すこやかネット」とも呼ばれ中学校区を一つの 「地域」に活動する形で,大阪府下334 中学校区に順次 設立された。この地域教育協議会の設立には,大阪府の 社会教育委員会議の一員であった池田寛の「教育コミュ ニティ」5理論が反映されている6。2000 年以降,地域教 育協議会は府の財政支援を受けて活動を継続してきた7。 当初4 年間,府の補助事業であったが 2 年間の期間延長 がなされ,その後,2003 年度以降の地域教育協議会の活 動拠点整備補助事業が最後になった8。つまり,2008 年 度からは府による地域教育協議会への支援は無くなり総 合的教育力活性化事業へと移行したのである9。T 市にお いても地域教育協議会に対する補助を終了する予定であ ったが10,教育基本法13 条及び学校教育法 21 条の制定 を受けて,地域・家庭・学校の連携の必要性と人間関係 が希薄化する現代社会の変化を考慮し,地域における教 育力の向上という課題は今後も必要であると判断し,地 域教育協議会に対する財政支援を継続することにした。 T 市では今も市独自の予算で「ひとが輝く育みのまちづ くり」の委託金として総額 4,565,000 円を確保し,従来 の地域教育協議会の活動を保障している11。そのため, 2009 年度は T 市の地域教育協議会と学校支援地域本部は 別組織となっているが12,大阪府下の他市の多くは,2008 年度より学校支援地域本部事業が国の施策として導入さ れた事を契機に,地域教育協議会と学校支援地域本部事 業とを融合し実質的に活動を継続している13。 本研究は,大阪府T 市における地域教育協議会の活動 の実態と地域ぐるみの教育を推進する地域連携担当者14 に求められる役割を明らかにすることを目的にする。そ のため,地域教育協議会の設置完了時期が2002 年である ことから本研究では活動が軌道に乗った 2003 年度以降 を研究対象とし,T 市の中でも先進的に取組んできた XY 中学校区に焦点を当て「教育コミュニティ」設立の

(2)

理念である「協働」の成果を検証するとともに連携担当 者へのアンケートを通して連携担当者の気持ちや今後の 課題を解明することにしたい。 1.地域教育協議会の活動の実際 T 市においては 2000 年度から 2002 年度にかけて順次 地域教育協議会を立ち上げ活動を開始したのである。地 域教育協議会は学校と地域の橋渡し役となり,地域教育 活動の活性化,学校教育活動への支援協力,広報誌の発 行を大きな役割としている。地域教育活動の主なものは 支援を要する子どもたちや家庭への子育て支援やフェス ティバルの開催,教育講演会の開催などである。学校教 育活動への支援の主なものは総合学習のボランティアや 体験学習のための施設提供,「セーフティーボランティ ア」15による見守り活動の推進,学校の環境整備などで ある。 さて,次に地域教育協議会の具体的な活動について考 察するわけであるが,その前に,本論考で取り上げる T 市のX と Y の地域の特色と地域教育協議会の目的及びメ ンバー構成を紹介する。X 地域教育協議会が関与してい る地域は,市の北部に位置し村落と新興住宅地を併せ持 つ中学校区であり,そこには自然豊かな渓谷や田園地帯 があり伝統産業や地域の祭りも継承されているという特 色がある。また,人々は学校のボランティア活動にも協 力的であり,その学校は1990 年代より各教科や総合的な 学習の時間に地域のボランティアを招いたり,クラブ活 動に地域人材を活用したりしている。 X 中学校区地域教育協議会は会の目的を次のように規 定している。 本会議は,学校園,家庭,地域が連携して様々な 教育活動を展開し,開かれた学校園づくりを進める と共に,学校教育や地域社会での子どもたちの諸活 動を活性化させ,豊かな人間関係づくりを通して子 どもたちの「生きる力」を育み,子どもたち一人ひ とりが自己実現できるように支援する。また校区の 学校園と家庭,地域社会の教育力の再構築とその向 上を図ることを目的とする16。 X 中学校区地域教育協議会の組織は,2003 年には 43 の団体及び組織の代表者66 人で構成された。構成は中学 校区の保育所,幼稚園,小学校,中学校,高等学校,各 学校園の PTA,児童養護施設,青少年健全育成協議会, コミュニティ協議会,自治会,校庭開放委員会,民生委 員会,体育指導員,保護司会,防犯協議会,青少年補導 員,福祉員会,市教育委員会指導主事などである。 次に取り上げるY 中学校区地域教育協議会は市の中央 部に位置し,駅前から高速道路沿いの新興住宅地にかけ た地域である。この地域はマンション群の多い地域で村 落と新興住宅地やマンション群の住民の交流はほとんど なかったところであった。そのため,顔と顔の見える関 係をつくり出そうと,地域教育協議会設立前の1998 年よ り地域の祭りを立ち上げて活動してきた。その結果,毎 年盛大なフェスティバルが行われるようになっている。 Y 中学校区でも X 中学校区とほぼ同様の目的の規定があ り,ほぼ同様の人員で構成されている。 (1) X 中学校区地域教育協議会の活動 X 中学校区地域教育協議会では,地域教育協議会の会 長の強力なリーダーシップの下,地域の安全を中心課題 と考え,学校,PTA,地域が一体となった取組を展開し てきた。地域の特色ある取組としては子どもたちの安全 を守る地域集会や子育て講演会の開催があげられる。ま た,地域相互の協力体制もでき,「子どもカーニバル」(後 に2005 年からナインフェスタと改称)という地域のフェ スティバルも盛大に行われている。 2003 年度の活動事業としては,①学校教育支援,②学 校と家庭・地域社会の連携と交流,③地域教育活動の活 性化,④広報誌発行の四つの事業を行った。これらの活 動を行うために各組織の代表者ら 66 人は,四つの部会 「子ども支援部会」,「学校支援部会」,「子育て支援部会」, 「広報部会」を設け全員がいずれかの部会に所属した。 この組織は大阪府が提示した「教育コミュニティ」形成 に必要な四つの支援内容に基づいて忠実に構成されてい る。会議は定期的に月一回の事務局会議,各部会議,執 行部役員会議を行っている。執行部役員会は協議会の円 滑な運営のために事前に審議案件について協議し,事務 局会議では円滑な事務の執行と具体的作業を行っている。 2003 年度には各部会で次のような活動をしている。 では,X・Y 中学校区地域教育協議会ではどのような 活動をしてきたのであろうか。その活動を具体的に紹介 することにしたい。 ①学校支援部会の活動 学校支援部会の活動には,主に三つの柱があった。そ れらは,子どもの安全見守り活動,地域美化活動,教育 講演会の開催である。その中でも子どもたちの安全を一 番に考え,地域の学校を様々な面で支援し,子どもの安 全見守り活動を展開してきた。それは,新年早々,校区 の公園で遊んでいる小学生が不審な男に暴行をうけると いう事件が発生し17,また,別の公園でも小学生が千枚 通しで刺されるという事件が続いて発生したからである。 この他にも校区の中学生が下校途中に不審な車に後をつ けられたり,刃物を突きつけられたりする事件も発生し ていた18。このような悪しき問題状況の中で先ず必要な ことは,事件を未然に防ぐための情報の共有と,それぞ

(3)

れの持っている情報を判りやすく早く伝えるシステム作 りであった。地域教育協議会は,子ども110 番の家の活 用や通学路の点検,パトロール体制の整備,子ども防犯 教室などを実施することによって,まず地域住民が危機 意識を持つことが必要であるという考えに至った。そこ で,子ども達が安全に安心して育つ環境作りを進めてい くために何をなすべきか,地域住民みんなで知恵を出し 合おうと住民集会を企画したのである。 それが,2004 年 1 月 17 日,校区の中学校体育館にお いて地域住民500 人ほどが集まり「みんなで守ろう 地 域の 子ど も! 地域 の子 ども たち の安 全を 確保 する ため に!」という緊急集会の開催につながった。そのアピー ルは次のようなものであった。 参加者からは,「学童保育の子どもたちが暗い中一人で 帰っている姿を見かける。集団下校の子どもたちだけで なく,学童の子どものことも考えて声をかけ,地域で見 守っていこう。」,「地域で子どもたちを見守ることによっ て地域の安全性が高まっていく。犬の散歩がてら,買い 物の道中で子どもたちに声かけをしていこう。」など, 様々な意見や提案が出された。この集会の様子や地域教 育協議会の活動はNHK の報道番組で放送された19。これ ら「地域の子どもたちは地域で守ろう」という取組は「腕 章協力隊」として活動を始めることになり,それは,全 市的な「セーフティーボランティア」のさきがけとなっ た。そして,その取組は全国各地へと広がって行った。 子どもの安全を脅かす事件が発生した当時は,毎日, 児童の送迎をPTA や学校教職員で行っていた。教職員が 日々子どもたちの送迎を続けることは,学校側の負担が 大きく,本来の学校業務に支障を来たすことになる。そ こで,市に子どもたちの安全を地域で守るための放送を 流すよう依頼し,その結果,市の防災無線が使えるよう になった。毎日,「こちらはT 市です。T 市では,子ども の見守り啓発運動を推進しています。皆様,子どもを犯 罪から守るため,地域での見守りをお願いします。」と, 下校時刻に合わせて放送されたのである20。この放送は, その後,市全体に流されるようになり,2009 年現在も継 続されている。 時を同じくして,登校時の子ども達の安全を見守るセ ーフティーボランティアが募集され,各学校・園ごとに 協力者名簿が作成され,学校や自治会を通じて協力者に セーフティーボランティアの腕章が配布された。このこ とは初めての試みであったにもかかわらず,370 名の協 力者を得る結果となった。そして,約2 ヵ月後の 3 月 21 日には地域教育協議会主催で腕章着用協力者の交流会が 開催され,取組の交流や意見交換が行われるまでになっ たのである。 その他にも多様な取組が行われた。たとえば,PTA の 協力を得て,自転車の前かごに「子どもパトロール」の ラミネート板をつけてパトロールをするようになった。 また,郵便局の集配車にも「安全パトロール」のステッ カーをつけ,郵便配達中にも子どもたちの安全を見守る 体制が作られ,不審者を発見した時には通報するシステ ムが構築された。地域の在宅家庭には,子どもが事件に 巻き込まれそうになった時に駆け込んで助けを求められ るように「子ども 110 番の家」21も設けられた。登下校 の子どもたちにも「子ども110 番の家」がわかるように と玄関に「子ども110 番の家」のステッカーが貼られた。 さらに,また,地域パトロールは,地域教育協議会と 青少年指導員,少年補導員,防犯委員,青少年健全育成 協議会,PTA,各校生徒指導担当者が協力し,定期的に 行われた。地域の治安は警察だけでは守れず,地域の力 が必要である。愛着の持てる地域活動に積極的に参加す ることは地域の防犯,非行,犯罪のない社会に繋がると の認識を持って,一致団結して取組んでいる。また,PTA を中心にした校区の危険箇所の総点検や中学校区安全マ ップの作成を進め,広いX 中学校区の危険箇所を確認す ることも可能になったのである。 子どもの安全を守る取組み以外にも「協働」活動とし て取組まれたのは環境美化推進活動である。地域,学校, 子どもたちが協力して自分たちの校区を住みよいきれい な地域にしようと,2003 年 5 月からは学校の花壇作り, 緑化推進運動にも地域の方々の協力を呼びかけている。 校区の小学校では毎月1 回クリーンキャンペーンを行い, 保護者,教員,児童,地域住民が一緒になって学校内外 の美化活動に汗を流す活動もしている。花壇の清掃,校 舎のペンキ塗り,窓ガラス拭き,体育館清掃,トイレ掃 除,溝掃除など,子ども達も一緒になった活動が展開さ れ,美化活動の日はあらかじめ学校便りで知らされるま でになり,毎回50 名ほどの人々が清掃活動に集まり,そ のたびに校舎は見違えるように美しくなっている。また, 保護者も積極的に美化活動に参加し,校舎の案内板やク ラスボード,階段壁面の装飾など,芸術的な作品も作ら れ,手作りの木工細工による温かみと学校全体に学び舎 としての雰囲気が感じられるようになるという活動が展 開されていった。学校が美しくなると子ども達の意識も 変わり,児童自らが各教室の美化活動に精を出したり, 1. 「子どもは地域で育つ」を再確認し,「みんなで 守ろう 地域の子ども」を合言葉に,一人一人が 子どもを守るために行動します。 2. 毎月九日を「X 中校区防犯の日」とし,地域パト ロー ル 等防 犯 活動 を 展開 し 防犯 活 動の 高 揚を 図 ります。 3. 挨拶運動を行い,お互いの声かけから,明るい地 域づくり,安全な地域づくりを行います。

(4)

児童会が校庭の一角に庭造りをしたりと新たな取組も生 まれることになる。 その次に挙げたいのが子育て講演会の実施である。現 代の子どもたちを取り巻く状況については様々な問題が あり,地域ぐるみで子どもたちの教育に関わっていこう と地域教育協議会主催の子育て講演会を毎年開催してき ている。2003 年 7 月 12 日には山田冨美雄氏22による「ス トレスマネジメント」についての講演会が行われたので ある。学校における問題行動の増加,非行の低年齢化, ストレスによる不調といった現在の子どもを取り巻く課 題についてストレスマネジメント教育は有効な対応策で ある。ストレスマネジメント教育によって子どもの不適 応反応を無くしたり,ストレスを減らしたりすることを 参加者は学んでいる。また,ワークショップでエリザベ ス・ソリンの「あなたの特別な場所」23を学習している。 参加者からは,「大変気持ちが落ち着いてリラックスでき た。このような取組をぜひ学校でもしてほしい。」と好評 であったとのことである。 2005 年 10 月 15 日には大阪大学人間科学部教授である 小野田正利氏を招いて「学校・地域そして保護者は,ど うあるべきか」というテーマで講演を依頼している。小 野田氏は学校へのイチャモンについて研究されており, 人と人が結び合える社会であり続けるためにはどうすべ きかを事例を紹介しながら話された24。その他にも学校 支援部会はK小学校でのサマースクールの応援など25, その時々の各学校の要請に応じて活動を展開している。 ②子ども支援部会の活動 子ども支援部会では,2003 年度の青少年健全育成協議 会主催の「子どもカーニバル」26に全面的に協力し,幼 稚園・小学校・中学校・地域住民が楽しんで参加できる 新しい子どもカーニバルを創造していくことを主な活動 としている。会場は毎年持ち回りで行われ,2003 年 118 日の「子どもカーニバル」では,縄跳び,竹馬,的 当て,輪投げなどの遊びが行われ,野球部の子どもたち がアシスタントとして円滑な遊びの進行を支援し,準備 や後片付けも協力している。体育館では,一輪車パレー ド,和太鼓発表,放送部全国コンクール優勝作品の朗読, 民舞ソーラン節,小学生・高校生のダンスが行われてい る。中庭では,たこ焼き,フランクフルト,マジック風 船,飲み物などの模擬店と子育て支援部会の活動の PR としてチラシが地域住民に配られている。2006 年度から 「子どもカーニバル」は「ナインフェスティバル」と名 称を変えて地域教育協議会が主催となって運営した。会 場に子どもたちの歓声が響き渡り大盛況であったと報告 されている27。 ③子育て支援部会の活動 子育て支援部会は,子育て中の父・母や家族を支援す るために子育て相談を主な活動としている。子育て相談 が立ち上げられたのは,当時の子どもたちの状況から地 域で支援を必要とする子どもや家庭への支援が是非必要 であるとの共通認識があったからである28。そこで,専 門家と連携し,子ども達の発育,健康,生活,行動,学 習,友達関係,家族関係などについての悩みの相談を受 けている。各学校園に子育て支援の窓口を開設し専門的 なアドバイスを希望する人には専門家への相談取次もし ている。相談料は無料でプライバシーを厳守し子育てに 悩む保護者への支援を行っている。 ④広報部会の活動 広 報部 会 は 心 と 心を 繋 ぐ 新 聞 を目 指 し 広 報 づく り に 励むとともに地域の全戸(10000 戸)に広報誌を配布し ている。掲載内容は教育活動への支援の呼びかけや活動 報告が主なものである。より親しみのある広報誌にと活 動写真や子どもたちの感想文を掲載している。2003 年度 には「地域教育協議会で取組むべき課題とはなにか」と いうテ ーマ で 地域教 育協 議 会のメ ンバ ー で座談 会を 開 き話し合われた内容を要約して広報誌に掲載している。 このように,広報誌の役割には,地域教育協議会への理 解と協力を得るための啓発誌の役割,活動の記録を保存 するアルバムの役割,イベントを伝える情報誌の役割, 地域の 各団 体 の様子 を紹 介 し相互 理解 を 深める 架け 橋 の役割などがある。そのため,企画段階から多くの広報 部会のスタッフが取材に出かけ,原稿を書き,構成を考 え,労力と時間の許す限り活動して完成を目指している。 (2) Y中学校区地域教育協議会の活動 Y 中学校区の組織としての特徴は,地域の団体の中に 地域人材バンクや地域企業,社会就労センター,郵便局が 加わっている点である。地域企業が加わっていることに よって地域での体験活動が容易にできる利点がある。ま た,地域人材バンクが加わることによって,土曜日のお はなし広場の活動や学校の教育支援がよりスムーズに行 われている。 Y 中学校区地域教育協議会は,開かれた学校づくりと 子どもたちが地域に愛着を持ち,豊かな人間関係を育み, 自ら主体的に活動しようとする「生きる力」を育むこと を目的としている。そのための活動としてY 中学校区地 域教育協議会会則に①学校教育への支援,②学校園と地 域の協働,③地域の教育活動の活性化,④いじめ・不登 校・非行についての情報・課題交流が掲げられている29。 では,この協議会はどのような活動をしてきたのであ ろうか。以下に具体的な活動を紹介したい。

(5)

①「ふるさとふれあいフェスティバル」の開催 この中学校区の活動の特徴は,「ふるさとふれあいフェ スティバル」という盛大な運動会・バザー(模擬店)を 実施していることである。毎年3000 人以上の地域住民の 参加があり,それは大きなイベントになっている。この ような大規模のフェスティバルになると会場校の負担が 大きいため実施会場は,校区の小中学校で毎年持ち回り となっている。2004 年 10 月 24 日に第4回「ふるさとふ れあいフェスティバル」がY中学校のグラウンドで実施 された。プログラムとしては,中学生の呼び込み太鼓, 各小学校・幼稚園・保育所の演技,玉入れ,パン食い競 争,綱引き,チーム対抗リレー,引越しゲーム,二人三 脚,ダンスなどがあり,最後に抽選会が開かれている。 グラウンドの周りには,各自治会・PTA・婦人会などか19 団体が模擬店を出している。模擬店には,焼きそば, たこ焼き,綿菓子,もち,おでん,しめじご飯,うどん, そば,一銭焼き,フランクフルト,ケーキ,ジュース, 手作り品,スーパーボールすくいなどの店が出ている。 店の一つに地域の障害者社会就労センターの人々が工房 で作った手作りの作品やパンを販売しているテントがあ る。これは就労センターの活動を地域の人々に理解して もらい,地域の人々との交流を深めたいと願って毎年出 店されている30。 抽選会では景品が用意されている。2004 年度は地域の 農家が栽培した新鮮な野菜など(大根 40 本,キャベツ 32 個,白菜 30 個,バナナ 30 房,グレープフルーツ 5 個 入り20 袋など)が景品として運び込まれ,先着 1000 名 に抽選券を配布し,抽選で152 人に頒布されている。こ の年のフェスティバル会場が急な坂の上にあったことか ら,できるだけ多くの地域の人々に参加してもらおうと 巡回バスの運行を行い,無料で乗車できるようにもして いる。 ②クリーンキャンペーン31 自分たちの周りを,自分たちで美しくしようと,地域 の子どもたち,保護者,地域住民が参加して地域の清掃 活動を行った活動である。このクリーンキャンペーンは 地域を美しくする活動を子どもと大人が「協働」でする ことによって愛着の持てる町にしようと開催されている。 2004 年 11 月 13 日の第 10 回クリーンキャンペーンでは, 1500 名の地域住民や児童生徒・教職員の参加があったと の報告がある。大きなゴミ袋を持って各地域に散らばり, 道路,溝,公園,学校などのゴミや落ち葉拾い,草引き などを行っている。2時間ほどの清掃活動で各小学校の 校門前にはゴミ袋が積み上げられ,地域は大変きれいに なっている。共に汗を流した後には飲み物が用意され, お互いの労をねぎらい歓談する姿が見られている。 Y 中学校区地域教育協議会便りには32「きれいになり ましたクリーンキャンペーン!」として次のような記事 が見られる。「Y 校区地域教育協議会,I 地区クリーンキ ャンペーン実行委員会主催による「第10 回 I 地区クリー ンキャンペーンが11 月 13 日に実施されました。自分た ちの 周り を自 分た ちで 美し くす る活 動を ,将 来を 担う 幼・小・中・高生と地域の大人とともに『美しい愛着の ある町づくり』のために開催しています。地域の方を初 めとして,各小学校の諸団体,校区の保育所,幼稚園, 小学校,中学校,高校,教職員と合わせて1500 名もの参 加がありました。早くから皆さんお疲れ様でした!」と, クリーンキャンペーンの実施報告がある。異世代間交流 を活発にし,地域の活性化を図るという「教育コミュニ ティ」づくりの一つの姿がここにある。 ③「子ども会議」の開催33 子ども会議は子どもたちの意見を地域の大人が聞く機 会を持とうとして始められたものである。2002 年度から 夏休みの半日,地域教育協議会の活動をよりよいものに するため,地域の2 小学校児童会代表・Y 中学校生徒会 代表と地域教育協議会の役員がコミニティーセンターに 集ま って 地域 の様 々な 問題 につ いて 話し 合っ てい る。 2008 年度は約 30 名の参加があった。 子ども会議の開催については,T市教育改革懇話会の 提言「21 世紀の新たな学校づくり」に次のような提言が ある。「各学校や地域社会における子どもの活動を全市的 な取組へと反映させるシステム作りについても検討する 必要がある。・・・継続的な活動を行うものとして,「子 ども会議」が望ましい。そして,子どもの提案や主張を 市の施策へと実現するシステムを構築し,子どもの声を 学校づくり,町づくりに生かしていく必要がある。」ここ にも異世代交流の促進と民主的な社会の形成者を地域ぐ るみで育てていこうという「協働」の意図が汲み取れる。 ④子ども支援 絵本の読み聞かせ会「おはなし広場」の 開催34 「おはなし広場」は,地域教育協議会主催の絵本の読 み聞かせ会である。「おはなし広場」が始まったのは,学 校5 日制となった 2002 年度からである。子どもたちが主 体的に休日の過ごし方を考え,人と人とのつながりの中 で楽しい休日を過ごして欲しいと願って始まった。各月 1 回,土曜の午前中 10 時から 11 時まで,公民館で絵本 の読 み聞 かせ を行 って いる 。小 学校 低学 年の 子ど も達 100 名ほどが,絵本の読み聞かせ・紙芝居・影絵劇・ペ ープサート・手遊び歌などを楽しみに集まっている。読 み聞かせが始まるとあっという間にお話の世界に引き込 まれ子どもたちは静かに聞き入っている。地域教育協議 会では読み聞かせボランティアを一般から広く募集する とともに,地域の朗読サークルや人形劇団の方々を招い

(6)

て実施している。もっと気軽に保護者にも読み聞かせに 参加してもらおうと,2005 年度には,「子どもゆめ基金」 の助成金交付を受け「読み聞かせ講習会」をY 中学校で 実施し,活動の充実を図っている。「おはなし広場」は 2002 年度から始まり年に約 10 回の開催で継続されてい る。お話会の案内は各学校・園を通じて各家庭に配布さ れており,子どもたちは毎月の「おはなし広場」を楽し みにして集まってきている。公民館の会場では,おはな しの世界に引き込まれるように紙芝居を見つめる子ども たちの姿があった。 2005 年度の読み聞かせ題目には次のようなものなど がある。絵本「かもとり ごんべい」「かわいそうなぞう」 「むく鳥とぶどうのき」「となりのたぬき」「そよそよと かぜがふいている」「ぐりとぐらのおきゃくさま」「ふと ん山トンネル」「かえる君に気をつけて」「一ぽん橋わた る」「小さいねずみ」「かぐやひめ」「かさじぞう」「ババ ヤガーの白い鳥」「花さきやま」35。 (写真)出典 Y 中学校区地域教育協議会事務局「地域教育 協議会だより」№6.2002 年 7 月 13 日 ⑤子育て支援 教育講演会の開催 地域教育協議会では,保護者の子育てに関する悩みに 応えようと教育問題に関する講演会を年度末の総会に合 わせて開いている。地域教育協議会設立当時の2000 年に は大阪大学人間科学部教授の池田寛氏による地域の教育 力活性化のための講演会が開催されている。講演の中で 池田氏は「地域教育協議会のねらいは,地域活動と学校 活動の橋渡しであり,学校と地域の壁を取り除き,大人 が協力し合って活動を進めていくことが大事である。総 合学習・体験学習においても大人がその意義づけをする ことが大事である。大人が本気になれば,子どもは必ず 変わる」36と述べている。2001 年には「子どものほめ方 叱り方」というテーマで追手門学院大学准教授の三川俊 樹氏を講師に学習会を開いている。2005 年度には,「子 どもの願いが生かされるには 今,求められている大人 の役割」というテーマで元茨木市立幼稚園園長の米谷美 和子氏による講演を実施している。このような講師招聘 からも「教育コミュニティ」づくりを推進しようとする 意図が窺える。 ⑥広報「地域教育協議会だより」の発行 「子どもたちにふるさとを!」の願いから生まれた地 域教育協議会便りは,地域の全世帯に年に2 回~3 回, 2000 年より発行されてきた。地域教育協議会の行事や活 動紹介だけでなく,感想文,学校紹介,中学生の職業体 験,ボランティア活動,地域の伝統文化や名所旧跡の紹 介など,各号様々に工夫されている。たとえば,地域の 紹介として地域にある社会就労センターの施設長さんに よる園の活動が掲載されている。活動報告の中に就労支 援として「パン工房」ではパンを製造し,「作品工房」で は手芸・木工作品なども製造しており,それらは駅構内 や地域フェスティバルで販売していることが紹介されて いる。広報紙にはこのような地域の諸施設を紹介するこ とによって地域との交流を深めていきたいというメッセ ージが込められている。ここにも,「教育コミュニティ」 づくりの一環として地域の障害を持つ人々とも交流を深 め,地域ぐるみでサポートをしていこうとする姿勢が窺 われる。 (3) X・Y 中学校区地域教育協議会の成果と課題 では,このような各地域教育協議会の活動によってど のような成果がもたらされたのであろうか。まず,地域 の人と人とを結びつけるためにと始められたフェスティ バルについて考察してみよう。 ①フェスティバルについて フェスティバルの多くは池田の「教育コミュニティ」 理論に基づき地域の人々のつながりを再構築しようとし て行われたものである。X・Y 両地域のフェスティバル は年々大きな取組へと進化発展してきている。今では, 運動会とバザーを組み合わせて行われるようになり年々 規模を拡大し,参加人数は3000 人から 6000 人までと多 く,それは地域の団結力の大きさを実感するまでになっ ている。Y 中学校区の地域のフェスティバルを観覧した 池田寛はかつて以下のようなコメントを寄せている。 人の多さにはびっくりしました。華やかで,にぎ わいのある,心うきうきするフェスティバルでした。 お年寄りと小さな子が共に楽しんでいたのが印象的 でした。自治会のテントがずらりと並び,テントの 中の方もいい顔をして作業をしており,地域をあげ ての催しになっていると感じました37。 この言葉からも当時のフェスティバルの楽しい様子が 垣間見られる。このような地域の祭りによって,人と人 の交わりが生まれ,コミュニケーションだけでなく肌と

(7)

肌の触れ合いや感動を共有することによって人々の心に 地域への愛着が醸成されていくことであろう。Y 中学校 区のフェスティバルは今では運動会と模擬店が中心にな っているが,当初は体育館での展示,舞台発表,バザー, スポーツコーナーなどがある総合的なものであった38。 毎年趣向を凝らした模擬店や子どもたちの演技が披露さ れ好評である。当日,民舞を披露した子どもたちからは, 次のような声が寄せられている。 ふるさとふれあいフェスティバルで『よさこい鳴 子おどり』をしました。運動会の時はせんとうじゃ なかったのに,フェスティバルの時にはせんとうに なりました。せんとうだからすごくドキドキしまし た。運動会ではパパに見てもらえなかったけど,フ ェスティバルでは見てもらえました。うれしかった です。鳴子おどりは一番好きです。 私は,運動会の踊りをもう一度踊れるなんてすご くうれしかったです。でも目の前におどりをみてい る人がいっぱいいたので,すごく『ドキドキ』して いました。中学校のグラウンドが小学校より,すご く大きかったのでいいなあと思いました。来年もお どりたいなと思いました。すごく楽しかったです39。 このように子どもたちの参加の場面をプログラムに組 み入れたことによって,子どもたちは,大勢の観客の前 で民舞を踊り終えたという達成感と満足感を持つ。そし て,そのことが自信になって自尊感情の醸成につながっ ていく。また,来年も踊りたいという願望が子どもたち をフェスティバルに誘う原動力になり,さらに,また, 子や孫の元気な姿を見ようと多くの人々が集うのである。 ボルノウは祭りの意義を「祭りは,高揚した状態が,彼 にはじめて共同感を経験せしめるのである」,「祭りは, 今日でもなお形而上的な経験,しかも,人間誰しもが近 づくことができる最も深い経験のひとつとみなされなけ ればならない」40,と述べているが,地域フェスティバ ルによって人々の心に地域の一員であるという帰属意識 が芽生え,高揚した雰囲気や臨場感を共有することによ って人々に感動と一体感が生まれている。このような盛 大なフェスティバルの陰には,多くの人々の温かな支援 の輪の広がりがある。新興住宅地やマンション群の建ち 並ぶ祭りのなかった地域に,一大イベントとしての地域 フェスティバルが行われるようになったことで,希薄で あった隣近所の人々のつながりができている。祭りによ って人々の関係が顔と顔の見える関係へと変化し,ふれ あうことによって人々の繋がりが絆へと徐々に変化して きている。 しかしながら,拡大してきたフェスティバルには課題 も見えてきた。それは,大イベントになればなるほど会 場準備・太鼓やダンスの練習・模擬店の商品準備など, フェスティバルにかかわる人々の負担が大きいというこ とである。たとえば,学校の運動会や文化祭と地域のフ ェスティバルが同じ月の開催になる場合もあり,保護者 や演技者である子どもたちの負担は一段と大きなものと なっている。 フェスティバルのもう一つの課題は,参加者の多くが 児童とその保護者が大半を占め,逆に青年の参加が少な い点である。フェスティバルを地域ぐるみで支えるには 参加の機運を盛り上げる必要がある。地域の後継者を育 成し人と人との繋がりを作るという理念を浸透させ,あ くまでも地域住民が主体になって運営することが望まし い。そのためには,プログラム内容を若者が喜んで参加 する内容に変える必要性があるのではないだろうか。な ぜなら,若者のパワーは場を高揚させ,彼らの力強さが 人々に勇気と希望を与えるからである。たとえば,第 1 回のフェスティバルの内容を取り入れ,音楽コンサート や吹奏楽部の生演奏なども取り入れ,若者の力を地域教 育協議会に導入することをしてみてはどうかという意見 もある41。 その次の課題として資金の確保があげられる。フェス ティバルの模擬店は地域住民の大きな善意と地域自治会, コミュニティ,福祉委員会,民生児童委員会,地域住民 の寄付に依存している点である42。このような特定組織 の負担によって,これらの活動が維持されるという状況 をできるだけ少なくする必要もあろう。多くの人が楽し みにしている催しであるからこそ,広く地域住民自らの 負担があってもよいのではないだろうか。貸切バスの運 行も,市街地からフェスティバルの開催場所まで多くの 人を動員しようと考案されたものであり,また,17 店舗 の模擬店の材料費も各団体の善意に依存している。この ようなことから特定の団体からの寄付に頼らなくても運 営できるような方法を検討する必要もある。 ②セーフティーボランティアについて 地域の安全に力点を置いて取組んできたX 中学校区の 成果としては,セーフティーボランティアの立ち上げが あげられる。セーフティーボランティアとして各校区で 300 人ほどの住民が登録し,日々子どもたちの登下校を 見守る体制ができあがった。その活動によって登下校時 に地域で見守りを続ける方々に「おはよう」「さようなら」 と挨拶が交わされるようになってきた。また,広域的な T 市の緊急防災無線放送によって子どもの見守り活動が 円滑に行われるようになった。さらに,当初は,X 中校 区だけであったが,全市的に子どもの安全見守り活動へ の協力を呼びかける放送が流されるようになった。この 放送は 2009 年度もなされており市民による見守り活動 を促している。この放送があるために教師が子どもたち

(8)

に付き添って地区ごとに集団下校しなくてもよくなり, 本来の教育業務に専念できるようになったという声も聞 かれる。 両地域教育協議会に共通する反省点の第1 として挙げ られるのは,セーフティーボランティアの人数は限られ ており,子どもたちへの安全を保障することには限りが あるということである。設立当時より地域住民がセーフ ティーボランティアとして登録し,安全を見守る組織は 出来上がってきたが,学童保育の子どもたちや夕方の下 校時の子どもたちへの保障体制という点については極め て手薄である。 そこで安全保障の観点から三つ課題を提示することに したい。一つにはより多くの地域の人々に協力を呼びか ける必要があるということである。玄関の掃除や犬の散 歩を児童の登下校時に合わせてもらうなど,誰もが気軽 にできることから始めることが必要である。団塊の世代 や父親の協力を求めることも必要であろう。二つにはセ ーフティーボランティアを全校児童の前で紹介し,直接 的な対面の機会の中で,日ごろの見守りに感謝すること も大切である。お手紙や感謝状で心と心の交流を深める ことは,見守り活動を継続する力となるであろう。三つ には子どもたちの下校時間が学年によって一定ではなく, セーフティーボランティアが長時間通学路で見守ってい る状況に関わっている。この状態を改善するには下校時 間をボランティアにメール配信で連絡するなど,見守り 活動が長時間に及ぶことのないように,時間帯で分担す るなどの工夫が必要である。また,地域住民に見守りを 頼むだけでなく,子どもたち自らが「自分の命は自分で 守る」という自覚を高め,日ごろからルールを守る習慣 を身につけ,危険を察知し回避するにはどうしたらよい のかを学習する必要がある。学校園で定期的に警察や警 察OB と連携した学習会を実施することも有効な方法で ある。 ③子育て支援部会の取組 X 中学校区の子育て支援部会では子育てに悩む親たち の相談窓口を開設し,専門機関への橋渡しができるよう にしている。相談者が担当のスタッフとだけでなく,専 門家(大学教授)にも相談できるようにしたことで,子 育てに悩む親たちの心の負担を軽くできる。また,親た ちが地域行事に参加しやすいようにと,子育て支援部会 が中心になって幼児の一時保育をしている。幼児を預か り保育をしたことによって,保護者は安心して地域諸行 事に参加できる。このような子育て支援の取組の重要性 が認識され,今ではT 市の子育て支援の施策として子ど もの預かり施設や親同士が子育てについて話し合う場を 子育て支援センターに設けており,子育て事業が着々と 進められている43。 ④クリーンキャンペーン X・Y 両地域教育協議会に共通する成果としては地域 ぐるみのクリーンキャンペーンの実施が挙げられる。ク リーンキャンペーンの目的は「自分たちの周りを,自分 たちで美しくする」活動を,将来を担う子どもたちと地 域の大人が共に行い,「美しい・愛着のある町づくり」の ために開催するというものである。クリーンキャンペー ンの活動を通して,子どもたちや地域住民には自分たち の地域を自分たちで美しくしようという意識が芽生え, その結果,学校・地域が以前よりまして美しくなった。 Y 中学校区地域教育協議会ではクリーンキャンペーンに 毎年1000 人もの人々が参加し一斉清掃をしている。 ⑤学校支援 成果の一つとして学校支援体制の構築が挙げられる。 特にX 地域教育協議会の会合では,月ごとに出される地 域の課題を組織の構成員全員が共有し,話し合う中で, 中学校区としての相互協力関係を作っている。例えば, サマーキャンプ,フィールドワーク,体験学習,フェス ティバル,見守り活動,クリーンキャンペーンなどで, 地域教育協議会の組織をあげて協力・支援体制が出来上 がった。各小学校や中学校の総合学習や44,地域での職 業体験を通して子どもたちと地域との結びつきが促進さ れ,米作り,菓子作り,看護,介護,保育など様々な体 験活動が実現した。地域の人たちから聞き取りをしたり 体験をしたりすることによって,子どもたちの責任感や 感性が育ち,興味・関心が広がり,さらに学ぶ意欲へと 繋がっている。地域の病院で看護体験をした生徒は「ま すます看護師さんになりたいと思いました。看護師さん たちは,患者さんにいつも笑顔で接しておられました。 わたしはあまり上手に患者さんたちとコミュニケーショ ンをとることができなかったのですが,またこういう機 会があれば,少しずつでもコミュニケーションをとって いきたい」45,と感想を寄せている。このような職業体 験をすることによって,生徒は自分の将来の職業への夢 を抱くことができるであろうし,また,医療現場の状況 を目の当たりにすることで命を預かるプロの看護師の厳 しさにも接し人の生き方についても考える機会となるで あろう。 ⑥お話広場 Y 中学校区地域教育協議会の成果として絵本の読み聞 かせ会「お話広場」の継続が挙げられる。地域公民館で の絵本の読み聞かせ会には地域にある各幼稚園,保育所, 小学校の子どもたちが集まり,日常のクラス集団とは異 なった異年齢集団での交流の輪が広がっている。このよ うな活動が継続されることによって,幼少期に一緒に交 流した経験が将来の人間関係づくりに生かされるものと

(9)

期待できる。また,幼い時から絵本に触れることによっ て読書に対する興味関心が生まれ,豊かな人間性が育ま れるものと推察される。下記の地域教育協議会便りの参 加者数の記録を見ても盛況であることが窺える。 本の読み聞かせ会参加者数 第1 回 5 月 11 日(土) 約 100 名 2 回 5 月 25 日(土) 約 100 名 3 回 6 月 8 日(土) 約 120 名 4 回 6 月 22 日(土) 約 130 名 出典「Y 地域教育協議会便り」№6 より 2002 年 しかし,『お話広場』の年10 回の実施計画を年度当初 に立案することは難しく読書ボランティアの層を拡大し 多くの人々に関わってもらうようにする必要がある。そ のための方策として地域の大学と連携することによって エプロンシアター,影絵,人形劇,漫才,ブックトーク など様々な活動が組織的に展開できるであろう。 3.X・Y 地域連携担当者へのアンケート分析と考察 2009 年度は地域教育協議会の設立から早 10 年を迎え ようとしている節目の年であり,担当者の役割や地域教 育協議会に求められている課題を明らかにすることは今 後の発展にとって有意義なことである。本アンケートの 実施対象はX 中学校区と Y 中学校区の 2 地域教育協議会 とし,期間は2009 年 10 月 15 日に X 中学校区地域教育 協議会,11 月 7 日・16 日・18 日に Y 中学校区地域教育 協議会に依頼した。X 地域では 38 名,Y 地域では 25 名 で合計63 名から回答を得た。配布部数は 75 部で回収率84%であった。アンケートの集計結果と分析を示すと 次のようになる。 (1) アンケート分析 設問1.あなたは,地域教育協議会のメンバーになって から何年になりますか。 地域教育協議会の経験年数を見ると,比較的経験の浅 い1 年目~2 年目は 36 人(57.1%),3 年~4 年は 10 人15.9%),5 年~10 年は 16 人(25.4%),10 年以上は 1 人(1.6%)と 3 年以上の経験を持つ人の合計が 27 人42.9%)である。経験年数 10 年以上という地域教育協 議会の設立準備会当時からの経験者も一人存在し,設立 の経緯や変遷を理解する貴重な存在であるといえよう。3 年以上の経験者も多く経験者の知恵を生かした会の運営 や経験の浅い人への行事の継承も円滑に行われる構成に なっている。 設問2 地 域 活動に 参加 し たこと によ っ てあな たの 気 持ちや暮らし方などに変化がありましたか。 (図2) 担当者の気持ちや生活の変化 0% 20% 40% 60% 80% 100% 挨拶をする 話し合う 教育に関心 教育の創造 多忙感 変化なし よく当てはまる 当てはまる あまり当てはまらない 当てはまらない 分からない 無回答 担当者が地域教育協議会に参加したことによってどの ような気持ちや暮らし方に変化があったのであろうか。 50 人(79.4%)が変化したと答えている。変化なし 9 人 (14.3%)であった。そして,40 人(63.5%)が多忙に なったと答えている半面,否定的な回答も22 人(34.9%) あり,特定の人に仕事が偏っていることが窺えた。また, 地域教育協議会に参加することによって地域の人々と話 し合う機会が増えた59 人(93.7%),教育への関心が高 くなった53 人(84.1%),より良い教育を創造したい 52 人(82.5%)と多くの人が何らかの変化を感じ,意欲を示 している。 細かく見ていくと,地域の人々と話し合うことが増え たという意見が多かった理由としては地域教育協議会の 会議で話し合う時間が多いことからも頷ける。また,「地 域の各学校の様子を知り,教育活動への関心が強くなっ た」には,「よく当てはまる」17 人(27.0%),「当ては まる」36 人(57.1%)と,8 割以上の人が教育への関心 を示している。このことから,地域教育協議会の活動や 会議を通して多くの教育情報を得ていることが窺える。 また,「地域連携を推進し,よりよい教育活動を創造した いと思う」に「よく当てはまる」18 人(28.6%)「当ては まる」34 人(54.0%)と約 8 割の人がよりよい教育を創 造したいと意欲を示している。 「地域の子どもたちとのあいさつをすることが多くな った」という項目には40 人(63.5%)が肯定的に答えて いる。しかし,否定的な回答も20 人(31.7%)あった。 ( 図1)地域教育協議会に関わった年数 57.1% 15.9% 25.4% 1.6% 1~2年 3~4年 5~10年 10年以上

(10)

否定的な回答の内訳は「あまり当てはまらない」13 人20.6%)「当てはまらない」に7 人(11.1%)であった。 これは地域連携に携わる人たちでさえ子どもたちとの挨 拶があまりできていないということが窺われる。 設問3.地域活動に参加している子どもたちの様子や態 度に変化は見られましたか。(複数回答可とする。) 下のグラフは,子どもたちの態度や様子の変化を項目 別に表したものである。 (図3)子どもたちの態度や様子の変化 0% 20% 40% 60% 80% 100% 異世代交流 健全育成 達成感・充実感 地域への愛着 自主性・自立性 思いやり よく当てはまる 当てはまる あまり当てはまらない 当てはまらない 分からない 無回答 地域活動に参加している子どもたちにはどのような変 化がもたらされたのであろうか。子どもたちは達成感や 充実感を感じているとする意見が 50 人(79.4%),青少 年の健全育成に繋がっている49 人(77.8%)であった。 地域への愛着に繋がっている40 人(63.5%),異世代交 流の機会が増えた39 人(61.9%)であった。以上のこと から日常の安全見守り活動やクリーンキャンペーン,Y 地域のお話広場,サマーキャンプなどの効果が表れてい ると言える。「分からない」と答えた人は地域への愛着で 14 人(22.2%),異世代交流で 12 人(19.0%)であった。 「異世代の交流」と「地域への愛着」の双方とも否定的 な回答は9 人(14.3%)であった。肯定的な回答が多い とはいえ「異世代の交流」の機会を増やすことや「地域 への愛着」を醸成するような新たなプログラムや企画が 求められている。 自主性・自律性が育ってきているかを尋ねたところ, 肯定的な意見は「よく当てはまる」が5 人,「当てはまる」 が14 人の合計 19 人(30.2%)と低く,否定的な意見は 「あまり当てはまらない」が27 人,「当てはまらない」1 人で,合計 28 人(44.4%)であった。また「分から ない」と答えた人は16 人(25.4%)であった。これらの ことから,自主性・自律性の育成については地域教育協 議会の地域行事の中で取組むだけでは不十分で,学校教 育や家庭教育も含め総合的に取組む必要がある。次に, 「人 々と かか わり 相手 を思 いや るよ うに なっ てき てい る」と肯定的な意見は33 人(52.4%)で,否定的な意見11 人(17.5%)であった。「わからない」は17 人(27・ 0%)であった。このことから今後とも異世代交流を促進 する中で思いやりの心を育てられるような直接的なふれ あいの機会と場を設定する必要性がある。 設問4.地域連携担当者として,子どもにかかわる地域 活動や教育を進めていく上で今後どのような活動が必 要だと考えますか。(これは複数回答可能として行った ものである。) (図4)今後の課題 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 意見 交換 の場 予算 の確 保 学校 との 連携 強化 企画 ・プロ グラ ム作 り 広報 活動 の充 実  公 募制 と入 れ替 わり 体験 施設 の開 拓 人数 今後の課題として多い順に①「地域の課題や情報交換 の場づくり」39 人(61.9%),②「活動を保障するため の予算の確保」37 人(58.7%),③「学校との連携の強化 と学校教育への地域人材や資源の活用」35 人(55.6%), ④「若者の参加を促す新たな企画・プログラム作り」31 人(49.2%)であった。⑤「地域活動への住民の参加を 促進する広報活動の充実」29 人,⑥「地域連携担当者の 公募制と一定の割合での入れ替わりが必要」17 人,⑦「地 域での職業体験を実現するため,新たな体験施設の開拓」 15 人であった。以上のことから,地域での話し合いの機 会を十分保障できるような「場」の設定と「学校との連 携の強化と地域人材の活用」が求められているといえる。 また,若者の参加を促す新たな企画・プログラム作りの 必要性を挙げる人が約半数おり,今後どのように若者の 力を取り込んでいくかが課題といえる。 また,予算について地域教育協議会として使える委託 金は市の単費予算となり,2007 年度までの 30 万円が 2008 年度からは各小学校に委託料(約10 万円)が支払われて いる。そのため,今後の資金確保が課題の一つである。 以前は「子どもゆめ基金」をX中学校区のフェスティバ ルやY 中学校区の本の読み聞かせに活用するということ も行われてきたが,政府の2010 年度予算の事業仕分けに

(11)

おいて「子どもゆめ基金」46は廃止となった。従前と同 じ活動を続けるためには,今後どのように予算確保をす るかが課題であるといえる。 地域活動へ住民の参加を促進する広報活動の充実を挙 げた人は 29 人(46.0%),地域連携担当者の公募制と一 定 割 合 で の 入 れ 替 わ り が 必 要 と 回 答 し た 人 は 17 人27.0%),地域での職業体験を実現する施設の開拓が必 要であるとした人は15 人(23.8%)であった。自由記述 欄に「公募制も必要である」との意見があった。公募制 も視野に入れ,意欲のある人の力を臨機応変に生かすこ とも今後の検討課題であろう。 職業体験については現在各中学校で毎年スムーズに行 われており,現状以上の体験施設の開拓はこのアンケー トからは強く表れてはこなかった。しかし,大阪府教育 委員会が「志学」47を提唱し,今後小学校・中学校・高 等学校でもキャリア教育のカリキュラムを作成して体験 学習の機会を広げようとしていることから,地域での職 業体験施設の開拓は今後も必要であると推察される。 その他の記述欄に「多くの人に加わってもらうこと」, 「地域が一つになった」,「地域連携担当者は,5~10 年 活動や教育を行い,少しずつ担当者を広げるとよいので はないか。(公募も含め)」との意見もあった。このよう に,地域教育協議会の意義を知らせ,多くの人のネット ワークを構築することが大切である。そのため,大人だ けでなく高校生や中学生の参加を促し,若者が喜んで参 加する企画やプログラム作りが求められている。「地域が 一つになった」という記述には子どもの安全見守り活動 や地域行事を通して多くの人々が集う場が毎年地域の学 校で確保できたことや,今まで各団体が個々に取組んで いた活動が子どもを中心にして地域の人々が協力し一致 した行動へと繋がっていったことが大きいと推察される。 設問5.地域連携に関わって日ごろ感じておられること があればお知らせください。(自由記述) 記載されている内容を「評価する意見」と「今後の運 営に参考となる意見」に分類した。 評価する意見 ①「地域教育協議会ができて学校と地域が一緒になって 子育ての連携が強くなった。」 ②「隣の人がよく見えるようになった。」 ③「会長さん,実行委員さんの日々の努力(企画・立案・ 話し合いなど)と,行事への組織力はすばらしいも のです。本当にご苦労様です。」 今後の運営に参考となる意見 ④「子どもを見守る組織がたくさんあり,取組もあまり 大差ないので,1 つの大きな組織になれば良い。」 ⑤「地域=中学校区の必要はない。地域に応じた『くく り』にすべし。X校区の場合小学校区地域連携で十 分です。中学校区は広すぎます。」 ⑥「今年初めて体験したため,余り実感がわかない。年 1~2回地域教育協議会の内容を各自治会に回覧す るのも一つの手ではないか。」 ⑦「地域の広報活動のあり方が悪いのか,あまり盛り上 が り が な く 行 事 等 も 義 務 的 に 行 わ れ て い る 感 が あ る。」 ⑧「より深い異世代間交流。」 ⑨「もっと地域人材を活用し,異世代交流の場と豊かな 学びを保障していきたい。そのため,教員と地域人 材バンクの人々が話し合って具体的な活動をつくっ ていきたい。」 ⑩「地域が一体となっての活動を行うことにより青少年 育成につながる。」 ⑪「今年初めてX 校区に来た者なので,分からないこと が多いです。すみません。」 ⑫「より良い教育活動のためには地域連携がとても大切 なことだと常日頃感じていますが,私自身不勉強な 面がありますので,これからも継続して勉強しより よい活動になるよう頑張っていきたいと思います。」 まず,評価する意見は3 点あった。地域教育協議会が できたことによって,①「学校と地域が一緒になって子 育ての連携が強くなった」と,子育て支援に力を入れて 取組んでいる点が評価されていることが窺える。また, 先述の通りPTAと「協働」で地域・学校の教育環境を 良くしようと活動していることからも推察される。 次に,②「隣の人がよく見えるようになった」という 評価は新興住宅地やマンション群も多く隣にどのような 人が住んでいるのかわからない状況から,地域教育協議 会の諸活動を通し顔と顔をあわせ挨拶をしたり話し合っ たりする住民相互の関係が徐々にできていることを窺わ せる。これは地域教育協議会の「豊かな人間関係作り」 と「地域社会の教育力の再構築」というねらいに近づい ているといえる。また,③「会長さん,実行委員さんの 日々の努力(企画・立案・話し合いなど)と,行事への 組織力はすばらしいものです。本当にご苦労様です。」と, 地域教育協議会の会長の強力なリーダーシップが評価さ れている。常日頃,会長が地域の教育力向上のため尽力 し,様々な企画を実行に移し,実現してきたからであろ うと推察される。 設問6.あなたは地域教育協議会以外に個人や団体・組 織で何か活動をされていますか。 (アンケートの回答者は全63 名,無回答は 3 名であっ た。グラフは両協議会の人々が兼務する仕事や活動を延 べ人数で表している。)

(12)

(図5)地域教育協議会の構成員が関係する組織団体 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 教員 PTA 自治会 青少年健全育成 福祉 子育てサー クル セー フテ ィー ボラ ンテ ィア 行政 その 他 無回答 人数 アンケート回答者が関係している主な地域連携組織と して最も多いのは教員,次にPTA ,自治会,青少年健全 育成協議会の順になっている。地域教育協議会に関わっ ている人の多くが何らかの地域活動に参加していること が明らかになった。回答者60 人中 3 つ以上の地域活動を 兼務する人は26 人(43.3%)で,中には地域教育協議会 と自治会,福祉協議会,青少年健全育成協議会,子育て サークルと5 つを兼務する人もいる。このことから約半 数の人が忙しい生活を送っており会議時間等を短縮する 必要がある。 以上,アンケート全体の考察結果から地域連携担当者 の多くが地域の課題や情報を共有する情報交換の場づく り(61.9%)と学校との連携の強化・学校教育への地域 人材や資源の活用(55.6%)を挙げている。また,若者 の 参 加 を 促 す 新 た な 企 画 や プ ロ グ ラ ム 作 り も 必 要 (49.2%)と感じている。それは,また,一方で子ども たちの課題として浮き彫りになってきた「自主性・自立 性」,「思いやりの心」の育成とも関係して今後の課題で ある。 では,次に,アンケートから見えてきた課題,意見交 換の場作りと学校との連携強化,「自主性・自律性」の育 成と新たな企画に焦点を当て考察する。 (2) X・Y 地域教育協議会へのアンケートから見えてきた課題 ①意見交換の場づくりと学校との連携強化 「今後の課題」で多かったのは,「地域の課題や情報を 共有する意見交換の場作り」(61.9%)と「学校との連携 の強化と学校教育への地域人材や資源の活用」(55.6%) であり,多くの人が意見交換の場と学校との連携強化を 望んでいることがわかった。そこで,まず,地域の課題 を話し合う「場」について考えてみる。X 中学校区では 中学校(会議室),Y 中学校区では地域コミュニティセン ターが話し合いの「場」になっている。このように「場」 を学校にするか地域にするかで,地域教育協議会の活動 にも少なからず違いが現れている。X地域は中学校に本 部があり,普段は足を運ぶことがない中学校の様子を会 議の度に垣間見ることができる。たとえば,廊下に掲示 された生徒の制作物や生徒会新聞・掲示物などから子ど もたちの様子を読み取ることができる。また教室の広さ の会議室では 30 人~50 人が入ると手狭ではあったが, 和気藹々とした雰囲気で話し合いが進められた。X 地域 の会議では各学校の取組や活動状況,地域パトロールの 報告などが行われ,情報が構成員全員に共有された。こ のように,地域の人々に中学校という「場」が活用され ることによって中学校の姿を地域に発信し,教育に対す る信頼を得ることもでき,また,生徒の姿から地域の子 どもたちの実態について問題提起をすることもできる。 中学校という場を生かした一つの戦略として,生徒会 の代表・役員を地域教育協議会の構成員として迎え,生 徒会で話し合われている問題を地域と共に考えることが できるであろう。たとえば,挨拶運動であったり,地域 パトロールから見えてきた問題であったり共に話し合う ことで「協働」の取組が生まれる可能性が高いといえよ う。 次に,話し合いの「場」がコミュニティセンターの場 合はどのような効果があるのだろうか。コミュニティセ ンターは地域の人々が日常的に文化・スポーツ活動や自 治会の会合などに利用しており,人々の出入りも活発で 地域のコミュニティづくりの拠点となっている。このよ うなコミュニティセンターが会議の「場」として利用さ れることの意義は,コミュニティが持つ多様な人々のネ ットワークを生かし,より多くの人々を束ねることがで きるという利点がある。また,そこに勤務する社会教育 担当者の力やハード面で施設設備を借りることもできる。 コミュニティセンターには人と人とのつながりを通して 地域の子どもを育てる「教育コミュニティ」づくりの拠 点としての機能と約100 人ものメンバーが集まるに相応 しい「場」としての利便性がある。Y 地域教育協議会の メンバーがコミュニティセンターに足を運ぶことによっ て各組織の人々が身近にふれあい,コミュニティセンタ ーの職員(社会教育)とも情報交換することもでき,広 報誌の配布や行事の案内ポスターの掲示等,地域のネッ トワークシステムをより有効に活用することもできてい る。また,地域行事の開催に際しては多くの地域組織を 統合したり,共同開催したりする関係も生まれてきてい る。たとえば,Y 中学校区地域教育協議会では青少年健 全育成協議会主催のサマーキャンプや縄跳び大会に地域 教育協議会が協力して活動するようになっている。この 他にも,コミュニティセンターを学校のクラブ活動や総 合的な学習の時間にも利用して地域の人と児童が「協働」

参照

関連したドキュメント

・HSE 活動を推進するには、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、造船所で働く全 ての者及び来訪者を HSE 活動の対象とし、HSE

の 立病院との連携が必要で、 立病院のケース ー ーに訪問看護の を らせ、利用者の をしてもらえるよう 報活動をする。 の ・看護 ・ケア

層の項目 MaaS 提供にあたっての目的 データ連携を行う上でのルール MaaS に関連するプレイヤー ビジネスとしての MaaS MaaS

・難病対策地域協議会の設置に ついて、他自治体等の動向を注 視するとともに、検討を行いま す。.. 施策目標 個別目標 事業内容

1.実態調査を通して、市民協働課からある一定の啓発があったため、 (事業報告書を提出するこ と)

対策等の実施に際し、物資供給事業者等の協力を得ること を必要とする事態に備え、

● 生徒のキリスト教に関する理解の向上を目的とした活動を今年度も引き続き

定を締結することが必要である。 3