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ある死体損壊等被告事件の情状鑑定を通して

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Academic year: 2021

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ある死体損壊等被告事件の情状鑑定を通して

脇 中  洋

は じ め に  筆者は供述心理学の研究者として、死体損壊等被告事件(大阪地裁平成 28 年(わ)第 1161 号、第 103 号、第 584 号強盗殺人、有印私文書偽造・同行使、詐 欺、窃盗、電磁的公正証書原本不実記録・同供用、死体損壊、死体遺棄被告事件) 被告人の心理学的特性および供述特性から本件情状に関して、弁護人(小 田幸児氏、出井義行氏)から鑑定意見を求められ、被告人と面接し、また被 告人に係る供述等を閲覧して鑑定意見を記すとともに、裁判員裁判におい て証言台に立つ機会を得た。  本稿は、これら情状鑑定の内容を可能な範囲で(1)紹介し、情状鑑定のあ り方についての考察を加えたものである。 Ⅰ.事件の概要  本件被害者A子(25 歳)はシェアハウスのルームメイトB子(事件当時 29 歳)と共に、その夜シェアハウスの住人数名で行う予定だったパーティの 買い出しや飾り付けの準備を行うため、B子が借りていた別のマンション の一室に居た。  その後B子はシェアハウスに短時間立ち寄り、本人によれば再びマンシ ョンに戻るとA子が玄関先でうつ伏せに倒れて亡くなっていたという。B 子はその場で救急車を呼んだり警察に通報したりすることも無いまま、被 害者の遺体を部屋の押し入れに入れ、被害者の携帯電話からシェアハウス の他の住人に向けて、本人になりすましてクリスマスパーティに出られな

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くなった旨を SNS で伝えている。  被害者は行方不明ということで警察の捜査が始まり、マンションへの訪 問を受けたB子は、室内を案内することになる。すると被害者の遺体の一 部が切断されたり、生ゴミ処理機に入れられた状態で発見されて、事件が 発覚することとなった。  取調べでB子(以下被告人と表記する)は死体損壊や死体遺棄については マンションの浴室で切断して骨だけを残そうとした事実を認めたが、殺人 に関しては黙秘した。だが被害者のカードを盗み出して本人になりすまし てカードローンを組んでいたこともあり、検察は強盗殺人や詐欺について も起訴した。  裁判員裁判で被告人は、強盗殺人に関しては否認し、死体損壊・死体遺 棄については認めている。筆者は情状鑑定の専門家証人として公判出廷し、 強盗殺人については解離性障害の可能性を指摘した。一審の裁判は強盗殺 人を含めて有罪を認定し無期懲役の判決が出され、被告人は控訴している。 Ⅱ.情状鑑定要旨  弁護人が筆者に対して情状鑑定を嘱託した事項は、以下の3点である。 * 被告人が本件死体損壊・死体遺棄におよんだ心理学的要因として、何 が考えられるか。 * 被告人が本件殺人に関して否認している状況について心理学的に説明 せよ。 * 被告人の再犯可能性及び更生可能性について意見を述べよ。  これら嘱託事項について精査するため、被告人とX拘置所面会室におい て、刑務官と弁護人双方立会いのもと、アクリル板越しに約1時間半ずつ 2回面会を行った。被告人が知的障害や認知症等の精神疾患に罹っている のか否かについての指摘は事前に受けていなかったが、念のために日付や 場所に関する見当識を確認したところ、その応答はしっかりしていた。  1回目の面会では、面会室のアクリル板越しに口頭で行うことができる

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心理テストとして、被暗示性テストと迎合性テストを行い、PF スタディ に関しては、検査用紙を差し入れて後日回収することとした。  また2回目の面接では補足的な質問をした上で、弁護人を通じて樹木画 テスト、人物画テストおよびその他描画を依頼した用紙と NEO PI‒R 性格 テストを差し入れてもらい、その結果を後日回収した。  1.心理テスト結果  (1)見当識の確認  受け答えはしっかりしており、認識状態も明晰で、この後の心理検査を 実施しても問題ないことが確認できた。ただ応答内容が短めだったり質問 内容をややずれる面があり、言い直しなどして相手に分かりやすく伝えよ うとしたり、相手の意図を知って受け止めようとする意欲はそれほど強い とは言えなかった。

 (2)被暗示性テスト(Gudjonsson Suggestibility Scale2:1987・日本版)  一般に尋問において誘導を受ける場合、供述者が尋問内容そのものを 「そうに違いない」「そうなのかもしれない」などと感じて誘導される場合 と、「本当はそんなはずはない」と感じつつも対人圧力を感じて、尋問を 肯定してしまう場合がある。前者は尋問内容に暗示を受けて誘導されてお り、こうした誘導の受けやすさを被暗示性(suggestibility)という。後者は 尋問内容を受け入れてはいないが表面的に相手に同調するものであり、こ のような態度を迎合性(compliance)という。

 グッドジョンソンは、被暗示性テスト(Gudjonsson Suggestibility Scale: GSS)および迎合性テスト(Gudjonsson Compliance Scale:GCS)を作成して 様々な検証を行ってきた(Gudjonsson, 1991 他)。

 なおグッドジョンソンは2つの被暗示性テスト(GSS)を作成している。 初期に作成されたテストである GSS1 では、テストに犯罪に関する物語を 用いている。だが被暗示性テストに必ずしも犯罪にまつわる物語を用いる 必要はないということで、日常的な物語を用いた GSS2 が作成された。

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 日本でもこのグッドジョンソンによる被暗示性テスト(GSS2)や迎合性 テスト(GCS)を翻訳して大学生や刑事裁判の被告人に実施したいくつか の前例があり(仲 1998, 脇中 2001, 村山 2003)、被告人に対する心理学的査定 においても、GSS2 および GCS の日本語版を用いた。  〈被告人の被暗示性テスト結果〉  被告人の被暗示性テスト(GSS2)の主な結果は次のようなものであった。  「③物語の読み聞かせ」後の1度目の直後自由再生で挙げられたのは、 10 項目に留まった。グッドジョンソンによると物語の記憶項目総数は 40 あり、このうち平均的知能で 21 項目(標準偏差6)の再生が可能とされる。 なお刑事事件関係者では平均 15(標準偏差8)とのことである(以下、平均 値、標準偏差、相関係数等は Gudjonsson(1992)による)。  被告人は直後自由再生で 10 項目再生しているので、記憶の再生数とし ては標準を下回るということになる。注意能力、集中力、記憶能力は標準 的な成人の範囲の中で低い部類に位置づけられる。ただし被告人は積極的 に伝えようとする意欲を強く表に出さないため、再生可能でもそれ以上語 ろうとしなかった可能性もある。  その後「⑤遅延自由再生」を求めた。被告人が遅延再生したのは5項目 に低下していた。遅延再生記憶得点の平均得点は 20、刑事事件関係者で 13.5 とのことなので、被告人の新たな記銘能力はかなり低い。  ところで遅延再生時の記憶低下率と「変遷」には有意な相関係数(r=0.52、 p<0.001)があるとされているが、被告人の遅延再生項目数は 10 から5へ と5つ低減しており、「変遷」も相当高いことが見込まれる。  その後さらに「⑥1回目の再認質問」を行った。また2回目の面会時に 「⑧2回目の再認質問」を行った。被告人の応答結果は「変遷」(1回目と2 回目で回答が変化した質問項目数)に相当するのは、20 問中6問(内訳は①③ ⑥⑨⑯⑰)であった。この変遷項目の平均は 2.5(標準偏差 2.2)であり、統 計的には7以上だと母集団に占める位置から正常とは言えないが、被告人 の「変遷」は正常値の上限近くにあり、相当程度高い。

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 1回目に誤導に引っかかった質問項目数である「誘導1」は、誤導設問 15 問中 12 問(内訳は③⑤⑦⑩⑫⑬⑭⑮⑯⑱⑲⑳)であった。誘導1の平均は 4(標準偏差3)であり、9以上だと正常とは言えないが、被告人は誘導1 に関して正常範囲を越えて高い。  2回目に誤導に引っかかった質問項目数である「誘導2」は、誤導設問 15 問中 15 問すべて(内訳は②③④⑤⑥⑦⑩⑪⑫⑭⑮⑯⑱⑲⑳)であった。「誘 導2」の平均は5で、10 以上だと正常とは言えない。被告人は「誘導2」 に関しても正常範囲を外れてきわめて高い。なお「誘導2」は「変遷」と の相関が高く、対人的な圧力のもとでの被誘導性を示すものとされている ので、被告人の迎合性も相当高いことが見込まれる。  グッドジョンソンは、「変遷」と「誘導1」を合わせた得点を「被暗示性 総点」としており、被告人の「被暗示性総点」は、35 点満点中 18 点であ った。「被暗示性総点」の平均は7点(標準偏差5)であり、統計的には母 集団の 95%が 14 点以下ということになる。被告人の被暗示性総点は正常 値を越えてきわめて高いと言うことができる。なお刑事事件関係者の平均 は 10(標準偏差 5.5)とされている。  このほか作話については、平均 0.5 項目で、3以上見られたら正常範囲 を外れるとされている。被告人は、「サドルをつかんで停めた」「自転車こ けそうになった」の2項目であり、実際の物語の内容を外れて作話する傾 向を若干持っている。  以上、被告人の示した数値は、「変遷」=6 「誘導1」=12 「誘導2」=15 「被暗示性総点」=18  「作話」=2 という結果となった。  被告人は、作話傾向は若干ある程度だが、暗示を受けたり他者からの圧 力によって応答を変える傾向がきわめて高い。つまり他者による影響を受 けて記憶の変遷を起こしやすい傾向がかなり高いと言うことができる。  (3)迎合性テスト(Gudjonsson Compliance Scale:GCS)

 上記のとおり、被告人の迎合性テスト(GCS)の結果は 20 点満点中 15 点というかなり高めの得点を示した。Gudjonsson(1989)によると一般看護

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学生(72 名)の平均は 9.2 点であり、村山(2002)によると日本人学生(193 名)の迎合性テストの平均点は 10.5 点(標準偏差 3.7)であった。また有罪 判決を受けたが警察の取調べでは抵抗して自白しなかった自白抵抗者(13 名)の迎合性テストの平均値は 6.8 点と一般学生の平均を下回っており、 警察の取調べで一旦自白した後に自白を撤回して虚偽自白を訴えている 55 名の迎合性テストの平均は 14.4 点と、かなり高かった(Gudjonsson, 1989)。 これらのデータと比べても、被告人の迎合性得点は正常値内ながら、かな り高いものと言うことができる。  グッドジョンソンは、警察の取調べで自白した後に虚偽自白を訴えてい る 76 名(虚偽自白者とする)と、刑事事件に関わって自白を撤回せずに犯罪 への関与を認め続けた 38 名(自白維持者とする)、そして他の有罪証拠があ って結果的に有罪判決を受けたが警察の取調べでは抵抗して自白しなかっ た 15 名の被告人(自白抵抗者とする)の3群の被暗示性テスト(GSS1)と迎 合 性 テ ス ト(GCS)の 平 均 点 に は、高 い 有 意 差 が 認 め ら れ た と い う (Gudjonsson, 1991)。つまり虚偽自白者を一群としてみたときに、一般男性 の平均に比べて被暗示性と迎合性はともに顕著に高く、これと対照的に自 白抵抗者は暗示や尋問圧力への抵抗力が並外れて強い。  なお GSS1 と GSS2 の被暗示性総点の相関係数は 0.9 で、標準値はきわ めて似ており、入れ替えて使用することができるという(Gudjonsson, 1987)。  そこで縦軸に迎合性、横軸に被暗示性総点を取り、Gudjonsson(1991)に よる自白抵抗者(15 名)、自白維持者(38 名)、虚偽自白を訴える者(76 名) 計3群の被暗示性テスト(GSS1)における被暗示性総点と迎合性テスト (GCS)の平均点、および被告人と一般学生の被暗示性テスト(GSS2)にお ける被暗示性総点と迎合性テスト(GCS)の結果を重ねてグラフに示して みた。  これを見ると、被告人の被暗示性総点と迎合性の得点は、きわめて高く 「虚偽自白者」群の平均を上回っていることがわかる。  グッドジョンソンによると、被暗示性と自己主張の強さの間には負の相

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関が見られるという(Gudjonsson, 1988)。つまり被暗示性が強ければ強いほ ど、自己主張は弱い傾向が見られている。したがって被告人の自己主張は かなり弱いことが推測される。

 なお、被暗示性と年齢、迎合性と年齢の間には有意な相関は見出されな かったという(Gudjonsson,1984; Gudjonsson and Lister,1984; Gudjonsson,1989)。現 在の被告人の被暗示性や迎合性、あるいは自己主張の強さは加齢に伴って 変化したものではなく、事件当時よりかなり前から被告人の人格特性とし て持ち合わせていたと思われる。  (4)新版 TEG Ⅱエゴグラム・テスト結果  TEG エゴグラムとは、交流分析に基づいた性格診断法で示される自我 の状態を表したものである。親らしさの P(Parent)、大人らしさの A(Adult)、 子どもらしさの C(Child)の3要素のうち、P を厳しい親である CP(Critical Parent)と優しい親である NP(Nurturing Parent)に、C を自由奔放な子どもで ある FC(Free Child)と従順な子どもである AC(Adapted Child)に分割して、

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以下に示す計5つの自我状態が放出する心的エネルギーの高さをグラフに したものである。  以上の5項目の得点から、男女別の分布上の位置をパーセンタイルで示 すと、その相対的位置からプロフィールを描くことによって、被験者の特 性を示すことができる。個々の得点が高ければ良いとか、特定のプロフィ ールが良い悪いというわけではなく、全体のプロフィールから、被験者の 自我の特性を表すものである。  具体的な手続きは、27 の質問項目に「はい」「いいえ」「どちらでもない」 の三択で回答することによって得点化する。被告人の各項目ごとの 20 点 満点中の得点は以下の表のとおりであり、女性全体におけるパーセンタイ ルで示したエゴグラムプロフィールを描いたグラフは次の図のとおりであ った。  エゴグラムの図を見ると、NP(寛容性あるいは保護的な親)がきわめて高 く、CP(支配性あるいは厳格な親)は 50 パーセンタイルで標準的だが、被告 人の中で相対的には低めである。また A(論理性あるいは大人の心)が相対 的にかなり低く位置づけられている。FC(奔放性あるいは自由な子ども)お よび AC(順応性あるいは従順な子ども)も標準よりかなり高い。  これらのうち NP の高さは他者に対して寛容で世話好きな側面につなが ると思われる。また、FC や AC の高さは、奔放であるとともに順応性や従 順さを示すので、他者の意向をうかがう特性は相当持ち合わせているとみ なすことができる。その一方で A の低さは、論理的・客観的な思考習慣が やや乏しいことを意味しており、CP の低さと相まって、自他への厳しさ に乏しく、規範を遵守することが困難であることにつながるとみられる。  このようなエゴグラムの特徴を持つ人物の一般的な自我特性としては、 おとなしく他人に気を遣い世話好きで母性的な印象を持つものの、自己を 律したり厳しく指導したりするのはあまり得意ではないということがある。 いわゆる頼もしいタイプではなく、自分に自信がなく、流されやすいとい った特徴が挙げられる。

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 こうしたエゴグラムのプロフィールに見られる自我の特性は、格別特異 なものではない。また、エゴグラムのプロフィールは、時間の経過ととも に一定の変容を見せるものなので、事件当時ではなく事件から相当の月日 が経過し、公判に臨む前の面会当時の被告人のものであることにも留意さ れたい。

 (5)P‒F スタディ(Rosenzweig Picture Frustration Study 日本版・成人用)の結果  P‒F スタディは、対人関係において問題の発生している 24 の場面をイ ラストに示し、そこに描かれた吹き出し部分に思い浮かぶ会話を自由記述 させることによって、被験者の問題解決場面における攻撃性や自責感の強 さ等の自我の防衛傾向を分析する投影法に基づく心理テストである。  本来このテストはテスターと被験者が対面した状態で記入を求めるが、 今回はアクリル板越しに時間も制約された状態であったので、例題も含め

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て弁護人から差し入れてもらい、単独室にて記入してもらい、後日宅下げ されたものを分析した。  その結果から、被告人は一問ずつ丁寧に記入していたが、その内容の受 け止め方としては、全般的に相手に失望や不満を表明することは少なく、 相手を咎める他責性はほとんど見られない。また自分を責めたり言い訳し たりする自責性もあまり高くなく、時には必要以上に謝罪する自罰的な傾 向も垣間見える。  比較的多く見られた特徴は、相手の問題をそのまま受け入れて、自分か ら努力しようとするもので、設問3の如く、前席の婦人の帽子で前が見え なくても、自分が移動することで解決しようとするものである。その一方 で時には攻撃性を孕んだ問いかけを行う場合(たとえば設問 10)もある。こ のため単純な自責固執反応とは言えないが、他責性や自己主張性が低い傾 向は一貫している。  (6)NEO PI‒R 性格検査(日本版)  NEO PI‒R 性格検査とは、因子分析を用いた性格の5因子説に基づいて、 人格特性を5つの主要な次元から説明するために作成されたものである。 測 定 さ れ る 5 つ の 次 元 は、神 経 症 傾 向(N:Neuroticism)、外 向 性(E: Extraversion)、開放性(O:Openness)、調和性(A:Agreeableness)、誠実性(C:

〈神経症傾向〉被告人の N:神経症傾向はやや高めだが、下位次元では N1:不安と N4:自意識がかなり高い。逆に N2:敵意は低く、N3:抑うつと N6:傷つきやすさ はやや高い。 被告人 成人女性平均 成人女性標準偏差 N1:不安 27 17.1 4.7 N2:敵意 8 14.3 4.3 N3:抑うつ 20 15.5 4.4 N4:自意識 22 16.0 3.5 N5:衝動性 18 16.2 4.3 N6:傷つきやすさ 20 15.5 3.8

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〈外向性〉被告人は E1:温かさがかなり高く、人懐こさを持っている。E2:群居性 や E3:断行性も高めだが、E5:刺激希求性は低い。 被告人 成人女性平均 成人女性標準偏差 E1:温かさ 26 19.5 3.4 E2:群居性 20 16.4 4.2 E3:断行性 18 13.9 4.2 E4:活動性 17 15.6 4.0 E5:刺激希求性 10 14.5 4.1 E6:よい感情 20 18.4 4.4 〈開放性〉被告人は、O1:空想と O3:感情がかなり高い得点を示し、O6:価値と O5:アイディアもやや高めである。 被告人 成人女性平均 成人女性標準偏差 O1:空想 25 17.4 4.1 O2:審美性 17 19.5 4.6 O3:感情 25 19.4 3.5 O4:行為 17 16.5 3.6 O5:アイデア 21 17.5 4.9 O6:価値 20 16.8 3.2 〈調和性〉被告人は、A4:応諾の得点がかなり高く、逆に A2:実直さの得点がきわ めて低い。A3:利他性と A1:信頼の得点もやや高めである。 被告人 成人女性平均 成人女性標準偏差 A1:信頼 22 20.0 3.5 A2:実直さ 15 21.9 3.9 A3:利他性 22 19.2 3.3 A4:応諾 26 18.9 3.8 A5:慎み深さ 17 18.1 3.6 A6:優しさ 20 18.7 2.8

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Conscientiousness)であり、各次元は6つの下位次元から構成されている。  質問数は全部で 240 項目あり、5段階評定で答える形式となっている。 5次元とその下位次元の内容と被告人の特徴については、上記5つの表の とおりである。  なおこれら被告人のプロフィールからは、典型的なパーソナリティ障害 のプロフィールに合致することは無かった。  (7)描画  被告人はインターネットで注文を受けてイラストを描いて収入を得た経 験も持っていたため、事件当時の状況の描画も可能であると判断し、拘置 所で2回目に面会する際に、弁護人を介して A4 コピー紙を何枚か差し入 れて、「樹木画テスト」、「人物画テスト」の他に、次の2種類の描画も被告 人が見たとおりに描くように依頼した。一つは被告人が生前の被害者を見 た最後の様子ということで、「非常階段のところで携帯電話で通話してい る被害者の様子」、もう一つは被告人が帰宅時にマンションのドアを開け た際の「被害者が倒れて亡くなっていた様子」である。  これらのうち樹木画テストの結果を以下に提示する。  〈樹木画テスト〉  用紙の使い方は一般的だが、筆圧は強いところと弱いところがあり、情 〈誠実性〉被告人は、C1:コンピテンス、C3:良心性、C6:慎重さの得点がいずれ もきわめて低い。つまり有能感が低く、自分のことを思慮深くないと感じていると 思われる。 被告人 成人女性平均 成人女性標準偏差 C1:コンピテンス 11 16.5 3.3 C2:秩序 19 17.4 4.2 C3:良心性 13 20.9 3.4 C4:達成追求 17 17.8 3.8 C5:自己鍛錬 16 16.8 3.9 C6:慎重さ 10 17.1 4.3

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緒的に不安定であることが窺われる。絵を描く早さや順番は確認できてい ないが、比較的丁寧に時間をかけたことが推測され、慎重な面を持ってい る。用紙に対して木は大きめで、枝が左右にはみ出しているところが特徴 的である。この枝は太い部分で左右に大きく分かれ、樹皮表面が黒く描か れていたり、切り株が描かれていたりしている。幹の下の部分には竹のよ うな継ぎ目があり、左右の樹皮の模様も一様ではないところから、乳児期 および思春期にそれぞれ虐待による心的外傷体験の可能性があり、他者へ の信頼感を喪失していたり、他者の目を気にして自己防衛が強い可能性、 さらには人格的な同一性が損なわれている可能性がある。自分自身の存在 を肯定的に受け止めにくく、幼児期に親の愛情をあまり感じていない可能 性もある。  細い枝は無く、太い枝が大きめの葉によって覆われている点からは、外 交的だが人に影響されやすく無力感を持ちながらも表面的には適応して、 人前で本音を出さない傾向が見られる。  〈人物画テスト〉  人物画は被験者の知的発達の程度や情緒面を見るものだが、自己像の投 影として描かれている場合は、比較的意識レベルの高い自覚的な自己像と される。被告人はイラストの仕事を引き受けていただけあって、全身像の 描写に欠落等は見られない。ただし左手は親指が外側になっている(また は極端に太短い小指?)など基本的なデッサンの教育は受けていないと思わ れる。  全身像は細身で下着姿のまま伏し目がちであり、不安で心細そうな様子 で佇んでおり、現在の被告人の精神状態を反映したものと思われたが、後 日被告人から自己像ではなく被害者像である旨の指摘があった。

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 2.被告人が犯行に至った心理学的要因  (1)面会記録から見た心理学的評価  *性的虐待を含む被虐待経験  被告人は「小3までは楽しかった」と述べているが、被告人に対する養 父からの性的虐待が始まったのは「小1か小2から」とのことであり、幼 少期から性的虐待を受けている。また小3までの大都市に在住していた頃 から田舎に転居して以降も、養父から理由を付けては長時間正座させられ たり、蔵に閉じ込められたりするなどの身体的虐待を受けている。  *いじめ、妊娠中絶  田舎に転居してからも身体的虐待と性的虐待は持続しており、中学時代 にはわずか数名の小規模校で無視されるいじめ被害に遭い、高校時代には 性的虐待の結果として妊娠中絶を経験している。  *楽しかった時期  被告人はこれまで最も楽しかった時期として、専門学校時代を挙げてい る。自分の将来の夢に向けて学業に取り組みながら、牛丼屋でアルバイト をしたことも楽しかったという。これまでの人間関係を離れて友人との関 係も良好だったようだが、母親と養父の逮捕を契機に退学を余儀なくされ てしまう。母親や養父の事件が起きた時点での対処について、弟からは 「お姉ちゃんは頼りない」と言われ、本人も幼かったと後悔している。  *空想に陥りがち  家庭での養父からの身体的虐待は母親が止めに入ることもなく、2人の 弟から庇われることもない状態で持続しており、さらに性的虐待は小学校 低学年から高2までのおよそ 10 年間ほかの家族に知られることもないま ま続いていたという。さらに全校生徒わずか8名の中学校で無視されると いういじめに遭っており、それまでの友人関係を離れた高校時代には妊娠 と中絶を経験し、専門学校に進学して1年ほどで母親の逮捕を機に退学を 余儀なくされ、小学校、中学校、高校、専門学校以降のいずれの時期にお いても、相当過酷な生育下にあったということができる。そうした状況下

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で被告人が現実を受け止めるのは困難であったと推測されるが、被告人は しばしばぼんやりしたり空想の世界に逃避したことを窺わせるエピソード を吐露している。  また被暗示性テスト中の「夫婦が飼っていたのは犬でしたか、猫でした か」という設問は、実は誤導問題で物語中にそのような話は不在なのだが、 被告人は面会室では犬と答え、さらに「前回部屋に帰ってから猫だと思い 出した」と述べている。被告人が暗示を受けるなどして記憶の変容を起こ しやすく、またその記憶を確信することを示すエピソードである。日常生 活でもファンタジーやゲームの世界に没頭しがちであるという。  *信頼できる人との関係  被告人は生育歴の中で信頼できる人物と出会った経験がほとんど無いと 思われる。高3で好きになってその後同居した同性の友人とは、被告人が 友人の名義を使って金銭をだまし取るという形で被告人自ら信頼関係を裏 切ることで破綻している。  異性との関係では、一方的に憧れることはあっても積極的に個人的な交 際をした事実は聞かれなかった。「お兄ちゃんが欲しいと思ったことがあ る」反面、「男の人がすごく嫌だった時期がある」とのことだが、被告人は 生活費を得るために風俗関係の仕事をしてきており、被告人が経験した肉 体的な関係は、性的虐待を含めて精神的な信頼関係を伴わないものであっ たと推認される。  被告人は好きな人として祖母と母親を挙げたが、母親との関係には愛憎 相半ばする 藤が感じられる。自分が身体的、性的に虐待を受けていたこ とを、母親には受け止めて欲しかったことが窺われるが、そのことを訴え ても十分に受け止めてもらえなかったことが、被告人にとってショックだ ったと思われる。それにも拘わらず、母親に対する思慕の情が強い。  *「無かったことにされる」と「無駄な自己犠牲」と本件犯行との関係  被虐待的な生育歴を持つ被告人は母親を慕っており、自分を受け止めて 理解して欲しかったのは母親であると思われるが、被告人が子ども時代を

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回想して母親に訴えても、母親自身は「覚えていない」等の受け答えをし て、まるで無かったかのように対応されたという。そうした母親の受け止 め方によって、被告人は母親に対して憎しみや恨みの気持ちを抱くことも 想定されるのだが、被告人によれば「ま、いっか」「言っても無駄」という 感じで、「不思議だけど、お母さんしか居ないと思ってる」のだという。た しかに母親自身から直接虐待されたのでは無いのだが、被虐待経験を受け ているのを知っている母親に受け止めてもらえておらず、まるで「無かっ たようにされている」割には、母親を慕う気持ちが強い。  特に性的虐待に関しては、養父に対して自殺をも覚悟しながら抗議した 際に、養父自身が土下座して謝罪し、その後優しくなったことから「もう 無かったことにした」のだという。その後パソコンのカメラで養父に監視 されていたことが発覚した際に、母親は被害届を「出さないで」と言って 養父を庇ったとのことである。  母親のパートナーであった男性と性的関係を持っていた娘に対して、一 般に母親の立場からは男性を奪った女性として複雑な 藤を抱くことが考 えられる。娘の立場である被告人は、養父を許し自分さえ我慢すれば母親 のためになると考えて自己犠牲的に怒りを収めたと思われる。だがその後 (事実関係はともあれ)母親が養父に されて収監される結果となって、母 親の幸せを願った被告人の自己犠牲は逆効果になってしまったと受け止め ている。ここから母親に対しては、男に された女としての思慕の情を母 親に対して抱いた可能性が窺われる。  こうしたエピソードからは、自分にとって過酷な被害体験を無かったこ とにされるという経験があり、被告人が抱いて然るべき怒りの気持ちも、 自己犠牲的に自分さえ収めて無かったことにするという経験が積み重ねら れ、衝撃的な体験を正面から受け止めて行くことなく「無かったことにす る」という方略によって、その場の精神的な 藤をしのぎながら生き延び てきたと指摘することができる。  本件で被害者が死亡したことについても、その場で動揺しながらも「行

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方不明にした方が周囲の人間が悲しまないで済む」という発想から、死体 を損壊するという被告人独自で特異な対処方法に至っているが、被告人が 問題場面に直面するたびに現実と向き合わずに「無かったことにする」方 略を取ってきたことが、本件死体損壊の動機の一つとして作用したと考え られる(2)  (2)被告人の人格的特性  被告人は小学校時代から性的虐待、身体的虐待を受けており、中学時代 にはいじめ、高校時代には性的虐待による妊娠と中絶、専門学校在学中に 母親と養父の逮捕に伴う退学を体験しており、心理的な傷つきや挫折経験 を持続的に重ねながら、経済的にはそれなりに稼働を続けてこれまで生き 延びてきた。  心理テスト結果からは、不安が高く情緒的にやや不安定で、強い倫理観 や良心に法って慎重に行動しようとする意識は強くない。また自己効力感 に乏しくて自信が無く、むしろ無力感を抱いていることが窺われ、傍から は頼りなく流されてしまう印象を抱かされる。他者に対する迎合性がかな り高く、被暗示性も相当程度高い。  また比較的人当たりが良く、他者に対する攻撃性が乏しくて、世話好き な側面を持っていて、一見すると社会的な適応は良好である。問題 藤場 面においても、他者を批判する前に自分で受け止め、問題解決を図ろうと する傾向が強い。  その一方で集中力が途切れてぼんやりしがちであり、空想やファンタジ ー、ゲームなどの仮想現実に逃れる傾向が強い。これは虐待的環境で生育 したことに起因している可能性がある。  また人ごみが苦手で迷いやすく、(知能テストで認知的特性の確認はしてい ないが)空間認知や空間把握が弱い可能性がある。顕微鏡を覗き込んでい るうちに目眩を起こして寝込んでしまったというエピソードからは知覚的 に過敏な側面を持つ可能性もある。  対人的なエピソードからは、信頼し合える関係を維持し続けた経験がほ

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とんどなく、自己肯定感が低く自己を尊重する気持ちが低いと同時に、他 者を信頼することも困難と思われる。これは尊重されて育ってこなかった ことを反映していると推認される。このため自他ともに尊重する関係を築 くことが難しいと思われる。  ただし被告人は他者に対する敵意や操作性は乏しくパーソナリティ障害 を窺わせるエピソードは窺われない。また心理テストの結果(特に NEOPI‒ R)からも、パーソナリティ障害の可能性は高くないと思われる。  (3)被告人の解離性健忘の可能性について  被告人は、帰宅時に被害者が倒れて死亡していたという場面については 涙ながらに語ることができ、その後の死体損壊・死体遺棄の経緯について は詳しく供述しているが、被害者が死亡に至った経緯については、一切目 撃していないという。  ここで被告人が被害者死亡の経緯について目撃や何らかの関与をしてい るにも拘わらず、その強いストレスのために想起が不可能になっている解 離性健忘の疑いは否定できない。少なくとも、(解離性健忘を伴う)解離性 同一性障害を起こしていた可能性以上に、解離性健忘のみを引き起こして いる可能性は高いと言うことができる。  もしも解離性健忘(局限性健忘)を引き起こしているならば、記憶の空白 となっている期間(時間帯)は、どの時点からどの時点までなのかを、解離 性障害の診断や治療経験のある精神科医の指導のもとで精査する必要があ る。また被告人の解離性健忘の要因となった心理的外傷体験について、精 神科医または臨床心理士のもとに十分な査定を受けて、回復に向けた治療 を受けることが望ましいと考える。  (4)被告人の再犯可能性と更生  被告人は、幼時から受けてきた心的外傷経験からの回復を計る必要があ る。すなわち外傷経験を精神科医等の実在する他者に受け止めてもらいな がらそれに直面することで癒し、現実から逃避する傾向の改善を図ること によって、外傷体験を乗り越える必要がある。そのためには、性的虐待被

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害者に対する臨床経験を持つ精神科医や臨床心理士の指導のもとで治療を 受けることが望ましい。  人は相手から尊重されることで自らも他者を尊重し、相互に信頼関係を 培っていくことで自己への信頼感や自己肯定感を醸成していくものである。 被告人は虐待的環境の中で育っており、生育歴の中で十分に尊重されて育 てられたとは言えない。このため被告人は改めて信頼できる人間関係を構 築する必要がある。幸い被告人は世話好きで他者に対する攻撃性が低く、 相手に合わせて適応的に振舞うことができるので、社会内処遇の場で健全 な人間関係を築く能力を持っている。  そこで被告人は心的外傷経験からの回復については通院医療の範囲で足 りると思われるし、生活保護や就労支援といった福祉的な支援を受けなが ら新たな社会適応を図れば、再犯の可能性はきわめて低いと思われる。 Ⅲ.本件情状鑑定を通しての考察  ここまで紹介してきた情状鑑定の分析資料を含めた心理学的鑑定意見書 を、公判の約4か月前に裁判所および検察官に提出した。裁判員裁判に先 立って検察官からも内容について問い合わせがあり、事前に面会して質疑 を受ける機会があった。また裁判において専門家証人としてプレゼンテー ション用のパワーポイント原稿を提示した上で、弁護側主尋問と検察側の 反対尋問、さらに裁判官質問を受けて証言した。  本件では、死体損壊・死体遺棄についての争いは無いものの、強盗殺人 に関しては否認している。強盗殺人に関する物的証拠としては、損壊され た死体の一部から窒息死が窺われることが挙げられるが、それ以外は自白 も無く、いくつかの犯行を窺わせる状況証拠が挙げられている。  心理学を専門とする筆者の立場から事実関係を争うことを目的とする場 合には、被告人の取調べ段階の供述調書や録音・録画テープを分析したり、 当事者の目撃条件を検討したりする手法を取ることが一般的である。それ に対して情状鑑定を依頼された場合は、原則として事実関係を争わずに、

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被告人の生育歴や障害特性等から むべき事情を指摘して、量刑判断に資 する資料を提供することになる。  だが本件では、被告人が強盗殺人について取調べ段階では黙秘し、公判 段階では否認していたため、筆者は被告人が強盗殺人を犯したのかどうか について、どちらの立場にも与することができず、いずれの可能性の余地 もあるものとして中立的に検討を進めることとなった(本件で被告人の取調 べ段階の強盗殺人に関する自白があれば、自白供述の体験性に関する供述分析を行 う余地もあったであろう)。  その結果として、本件被告人の生育歴に見られる被虐待経験が、実際に 起こった出来事を「無かったことにしてしまう」という回避的な心理傾向 を持つこと、もしも強盗殺人に関与していたとするならば、解離性障害 (解離性健忘)の可能性を否定できないことを指摘するに至った。  このことは、検察側にとって「周到に計画された強盗殺人である」とい う立証趣旨に相反することになる一方で、弁護側にとっても事実関係を争 っている強盗殺人に関する認識と相容れないため、解離性障害の発症機序 についての尋問が数多く発せられることになった。  だが筆者は精神科医ではなく、精神疾患や障害について診断を下せる立 場にはない。あくまでも解離性障害が発症する可能性が高いことについて、 心理学の専門家として証言することしかできない。被告人の解離性障害発 症の有無について問題としていくのであれば、訴訟の中で被告人に対する 医師による精神鑑定を行うべきだったと思われる。  いずれにしても一般に情状鑑定は事実関係について争わず、量刑判断に 資する資料を提示するものとされているが、本件のように事実関係の争い に抵触するケースは少なくない。  特に、犯罪の実行行為や様態について争いはなくても、起訴状に記され た犯行動機や計画性という被疑者・被告人の心の内にある事実については、 心理学の立場から疑問を感じる案件がしばしば見受けられる。しかも動機 や計画性の事実認定は、犯罪内容そのものの事実認定につながるため、情

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状鑑定も事実関係の争いを含むもの(3)として検討していくことを前提にす べきではないかと考えられる。 (1) 本件当事者の個人情報保護については、被告人の同意を得た上で固有名詞、地 名、年月日をできる限り用いないようにした。ただし本件は公訴提起され公開の 上行われた裁判員裁判事件でもあり、諸証拠についての改変は行っていない。ま た弁護人と筆者が入手した資料を中心に検討を行っているため、刑事訴訟法 481 条第4項(検察官による開示証拠の目的外使用の禁止)に抵触することはないこ とを付記しておく。 (2) その後の弁護人による被告人の母親からの聞き取りで、被告人は中学生時代に 飼っていたペットが亡くなった際に、その死体を家族に黙って庭に埋めたり、ベ ッドの下に隠したりしていたというエピソードが明らかとなっている。 (3) たとえば「殺意の有無」という動機の違いによって、罪名自体も殺人と傷害致 死と大きく異なることになる。 【鑑定資料】 1.被告人との面会記録 (1)見当識の確認 (2)被暗示性テスト (3)迎合性テスト (4)エゴグラムプロフィール (5)PF スタディ (6)NEO PI‒R 性格検査 (7)樹木画テスト、人物画テストおよびその他描画 (8)面会記録メモ 2.取調べ段階の供述調書(但し、本稿では一切引用していない。) 被告人の取調べ段階の供述書および供述調書(計7通) 3.被疑者ノート 4.弁護人への書簡 【文献】 グッドジョンソン(庭山英雄他訳)1994『取調べ・自白・証言の心理学』酒井書 店

Gudjonsson, G. H. (1984). A new scale of interrogative suggestibility. Personality and Individual Difference, 5, 303‒314.

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British Journal of Clinical Psychology, 26, 215‒222.

Gudjonsson, G. H. (1989) Compliance in a n interrogation situation: a new scale. Personality and Individual Difference, 10, 535‒540.

Gudjonsson, G. H. (1991) Suggestibility and compliance among alleged false confessors and resisters in criminal trials. Medical Science and Law, 31, 147‒151.

Gudjonsson, G. H. and Lister, S. (1984) Interrogative suggestibility and its relationship with perceptions of self-concept and control. Journal of Forensic Science Society, 24, 99‒110. 村山満明 2002 「Gudjonsson 被暗示性尺度の翻案(GSS2j)の採点手順と統計的デ ータならびに Gudjonsson 迎合性尺度の翻案(GCSj)の統計的データ」県立広 島女子大学子ども文化研究センター研究紀要7., 109‒125. 仲真紀子 1998 「偽りの記憶と諸尺度—被暗示性尺度(GSS, CIS)と解離体験尺 度(DES)」 千葉大学教育学部研究紀要1.,教育科学編 109‒125. 脇中洋 2001 「想起における暗示の受けやすさは、性格類型とどのような関連を 持つか」 花園大学社会福祉学部研究紀要9.,43‒52. 山田早紀,脇中洋,村山満明,浅田和茂,大倉得史 2016 「供述分析と情状鑑定」 法と心理 16(1).日本評論社 75‒79. (大谷大学教授 発達心理学・法心理学) 〈キーワード〉犯行の心理学的要因、解離性障害、事実関係の争い

参照

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