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教科書の行間埋めによる授業構想 —中学校数学「関数」を中心として—

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教科書の行間埋めによる授業構想

∼中学校数学「関数」を中心として∼

2015SS028加藤良祐 指導教員:佐々木克巳

1

はじめに

本研究の目的は,教科書の行間埋めにより授業構想に必 要な情報を整理し,よりよい授業づくりにつなげていくこ とである.この行間埋めは,東京書籍の教科書[2]をもと に,予想される生徒の反応,目標([3])に照らして強調すべ きこと,既習の内容とその関係,その部分が必要な理由, 別解,誤答例,啓林館の教科書[1]との比較などをふまえ て行う.対象とする単元は,中学校数学の「関数」とした. 本稿では,その行間埋めから一部を抽出して示す.

2

教科書の行間埋め

この節では,[2]の1年生で学ぶ「比例と反比例」,2年 生で学ぶ「1次関数」に対する行間埋めの一部を抽出して 示す.具体的には,[2]の各単元に対し,目標,教科書の引 用,補う内容をまとめる.行間埋めをする内容が複数ある 場合は,(1),(2),· · · のように示す.  例1比例と反比例 目標:身のまわりの問題を,関数や比例の考えを利用して 解決することを通して,そのよさを理解する. 引用([2]):図1のとおり. 図1:例1の図 補う内容:複数の解答がある. (解答例1)4人買い終わるのにかかる時間から考える. 5分で8人買い終わる. 2.5分では4人買い終わる. 12人だと2.5×3 = 7.5 よって,7.5分(7分30秒)かかる(表1を参照). 表1:時間と人数の関係 時間 2.5分 5分 7.5分 人数 4人 8人 12人 (解答例2)1人買い終わるのにかかる時間から考える. 1人で58 分かかる. 12人だと12×58 = 7.5 よって,7.5分(7分30秒)かかる. (解答例3)比例式の性質を利用して考える. さくらさんが買い終わるまでの時間をx分とする.   5 : 8 = x : 12 8x = 60 x = 7.5 よって,7.5分(7分30秒)かかる. 各解答の特徴は次のとおりである. (解答例1)ともなって変わる2つの数量が人数と時間であ ることが明確である. (解答例2)人数を変えても「1人58分」を用いて,すぐに 解を導ける.このことを用いて,時間と人数の関係を説明 できる. (解答例3)直前の単元「方程式」の手法を用いていて,そ の復習となる. 例2 1次関数 目標:2元1次方程式axbycで,a=0やb=0の 場合のグラフをかくことができる. 引用([2]):図2のとおり. 図2:例2の図 1

(2)

補う内容: (1)xy平面を前提として考える. (2)グラフと2元1次方程式0x + 2y = 6を用いながらx がどんな値ををとっても必ずy座標が3になることを示 す.また,グラフとしてはx軸に平行な直線であるという ことを強調する. 例3 1次関数 目標:グラフが通る2点から,1次関数を求めることがで きる. 引用([2]):図3のとおり. 図3:例3の図 補う内容: (1)2点がわかることによって,傾きを求められることを強 調する. (2)求めた式が誤答のおそれがあるので,問題文にある 点の座標を式に代入して解答が正しいことの確認を補 う.具体的には,y = 2x− 1に点x = 5を代入すると, y = 2×5− 1 = 9となる.よって,直線y = 2x− 1は点 (5, 9)を通ることがわかるので式は正しい. (3)これまでに学習してきた,1次関数y = ax + bの式 (すなわち,傾きaと切片b)の求め方をまとめる. 1.グラフが与えられているとき,傾きと切片を読みとる. 2.グラフの傾き(もしくは切片)とグラフが通る1点が与 えられているとき,1次関数の式に1点を代入し,切片(も しくは傾き)を求める. 3.グラフが通る2点が与えられているとき,2点を利用し てグラフの傾きを求めて1次関数の式に1点を代入し,切 片を求める. 4.グラフが通る2点が与えられているとき,連立方程式を 利用して1次関数の傾きと切片を求める. [2]では,1から順に学んでいく.4通りの方法があるがそ れぞれの方法のよさを述べていく.1では,グラフを利用 することで傾きと切片が視覚的に読みとることができる. 2ではグラフを利用しなくても傾き(もしくは切片)と1 点から値で求めることができる.3では,傾きと切片がわ からなくても2 点がわかれば求めることができる.4 で は,連立方程式を利用して,傾きと切片を同時に求めるこ とができる.傾きと切片が分かる場合から学んでいき,最 終的には,傾きと切片がわからなくても2点がわかれば1 次関数の式が求められることを生徒が気づける流れになっ ている. 例4 1次関数 目標:1次関数のグラフを利用して,身のまわりの問題を 解決することができる. 引用([2]):図4のとおり. 図4:例4の図 補う内容: (1)表を見るだけではすれ違う時間がわかりにくいが,問 1のようなグラフを用いればすれ違う時間がわかりやすく なる.そして,1次関数のグラフを利用することのよさを 生徒に気づかせる. (2)ジェットフォイルが新潟港発であることを補う.カー フェリーが両津港発であり,ジェットフォイルと前方から すれ違うという条件があるためである.

参考文献

[1] 岡本和夫 他44名,『未来へひろがる数学1,2』, 啓林 館,大阪,2017. [2] 藤井斉亮・俣野博 他38名,『新しい数学1,2』,東京書 籍,東京,2016. [3] 東京書籍,平成28年度用 「新編 新しい数学」年間 指導計画作成資料,学習指導計画・評価基準例, https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/keikaku/sugaku/ 2

参照

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