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利用者の状況に応じた柔軟な配信情報の切り替えを実現するソフトウェアアーキテクチャの提案 − 歩行者支援を題材に −

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Academic year: 2021

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利用者の状況に応じた柔軟な配信情報の切り替えを実現する

ソフトウェアアーキテクチャの提案

歩行者支援を題材に

2017SE016本田一輝 指導教員:沢田篤史

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はじめに

利用者の状況に応じて情報を切り替えて提供すること で,利用者にとって簡単で便利な情報の取得が可能になる. 利用者の状況に合わせた柔軟な情報提供をするソフト ウェアを構築するためには,利用者の状況の変化に応じて 動的に情報を切り替える必要がある.一般に,状況に合わ せた動的な情報の切り替えを実現するためには,複雑な切 り替え条件を実行中に変更する仕組みが必要となり,その 開発は容易ではない. 本研究の目的は,利用者の状況に応じた柔軟な情報提供 をするためのアーキテクチャの定義である.アーキテク チャを定義するために,基本構造を定義する.基本構造の 定義にPBRパターンを用いる.定義する基本構造を具体 化することで,題材とする歩行者支援アプリケーション のためのアーキテクチャを定義する.提案するアーキテク チャを使用することで,利用者の状況に応じた柔軟な情報 提供を可能にするソフトウェアの作成が容易になる. 提案するソフトウェアアーキテクチャに基づいて,歩行 者の状況に応じて配信する情報を切り替えるためのプロト タイプシステムを構築した.プロトタイプシステムの実行 結果による考察,他アーキテクチャを用いてソフトウェア アーキテクチャを作成した場合との比較,歩行者支援の観 点で関連研究との比較を行い,定義したアーキテクチャの 妥当性を考察した.

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利用者への柔軟な情報提供に関する課題

利用者の状況に合わせた柔軟な情報提供をするソフト ウェアを構築するためには,利用者の状況の変化に応じて 動的に情報を切り替える必要がある.状況に合わせた動的 な情報の切り替えを実現するためには,複雑な切り替え条 件を実行中に変更する仕組みが必要となり,その開発は容 易ではない.この要求に応えるために,利用者の状況に応 じた柔軟な情報提供をするソフトウェアの構築を容易にす る基盤が必要である. 本研究で題材とする歩行者支援においては,歩行弱者だ けではなく多くの歩行者を対象として必要に応じた情報を 入手できる環境が必要だと言及されている[1][2]. 矢入らの研究[3]の身体状況に合わせた詳細な経路選択 を実現するための歩行者支援GISの開発において,すべて のユーザが快適にサービスを利用するためには天候などの 動的な情報を監視する環境監視端末との連携も必要とされ ている.

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利用者への柔軟な情報提供のためのソフト

ウェアアーキテクチャ設計

本研究で提案するアーキテクチャの要求は,利用者の 状況に応じて配信情報の構成を動的に変更できることで ある.この要求に応えるために,江坂ら [4]が提案する PBRパターンを適用する.PBR(Policy-Based Reconfig-uration)パターンとは,静的および動的に再構成を行う自 己適応のためのアーキテクチャパターンである.PBRパ ターンを用いた利用者への柔軟な情報提供のための基本構 造を図1に示す. 図1 柔軟な情報提供のための基本構造 本研究において,配信情報とコンテキスト間の関連線か ら配信情報切り替えポリシに向かう破線は,配信情報切り 替えポリシが配信情報とコンテキストの間の関連クラスで あることを意味する.この構造により,コンテキストを更 新するために配信情報から送られるメッセージを実行時に 横取りし,配信情報切り替えポリシを適用するための機構 を定義している.

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歩行者支援システムの設計と実装

4.1 歩行者支援システムのためのソフトウェアアーキテ クチャ 3章で示した基本構造をもとに,歩行者支援システムに 静的構造を図2,動的振舞いを図3に示した. 図中の各コンポーネントについて以下に説明する. コンテキスト: 天候と時間帯の組み合わせと利用者の 位置情報のこと. 配信情報 : コンテキストに応じて構成される情報の こと. 配信情報切り替えポリシ: コンテキストに応じて配信 情報切り替え機を生成しメッセージを送る. 配信情報切り替え機: 配信情報切り替えポリシからの メッセージに応じて配信情報を切り替える. 歩行者支援システム: 利用者の位置情報の変化を検知 する.また,再構成された情報を配信する. 1

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歩行者支援システムの振舞いを以下に説明する.歩行者 支援システムに送られる利用者の位置情報の変化を表す メッセージを,配信情報切り替えポリシが横取りする.コ ンテキストとしての位置情報の変化によって,変化先の天 候と時間帯を更新する.更新されたコンテキストと配信情 報がポリシ記述と一致するかを判定し,配信情報を切り替 えて再構成する.再構成された情報に配信情報と歩行者支 援システムを更新する. 図2 歩行支援システムアーキテクチャの静的構造 図3 歩行支援システムアーキテクチャの動的振舞い 利用者が安全で便利な移動をできるようにすることが歩 行支援において重要であるので,想定する状況は天候の晴 れ・雨・雪と時間帯の昼・夜の組み合わせ,配信する情報 の内容はその状況の時に危険だと思われる場所についてと した. 4.2 歩行者支援システムプロトタイプの実装 4.1節で定義したアプリケーションアーキテクチャに基 づいて,歩行者支援システムプロトタイプをJavaで実装 した.プロトタイプの作成において,利用者の位置情報, 天候,時間帯は全て取得したものとみなして実装した. コンテキストの条件が変化することで配信情報の切り替 えが可能であることが分かった.

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考察

基本構造にPBRパターンを用いることでコンテキスト に応じた振舞いを切り離して記述することができるので, コンテキストの追加や変更をする場合もコンテキストに 合わせた振る舞いの追加や変更が容易にできると考えら れる. 本研究で提案するアーキテクチャと多相型アーキテク チャ,Mediatorパターン,Proxyパターンに基づくアー キテクチャを比較し,プログラムの保守性の観点で本研究 においてPBRパターンを適用したことが妥当であったと 考えられた.

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おわりに

本研究では,利用者の状況に応じた柔軟な配信情報切り 替えのためのソフトウェアアーキテクチャを定義した. 本研究では,利用者の状況に応じた柔軟な配信情報切り 替えのためのソフトウェアアーキテクチャの定義を目的と している.アーキテクチャを定義するために,基本構造を 定義した.基本構造の定義には江坂ら[4]が提案するPBR パターンを用いた.定義する基本構造を具体化すること で,題材とする歩行者支援アプリケーションのためのソフ トウェアアーキテクチャの提案を目指した.提案するソフ トウェアアーキテクチャに基づいて,歩行者の状況に応じ て配信する情報を切り替えるためのプロトタイプシステム を構築し,配信情報の切り替えが可能であることが分かっ た.本研究で提案するアーキテクチャを使用することで, 利用者の状況に応じた柔軟な情報提供を可能にするソフト ウェアの作成が容易になる.また,ソフトウェアの保守性 が高められ,コンテキストや配信する情報の追加や変更が 容易になると考えられる. 今後の課題として,コンテキストや切り替え条件の追加 を行うことで,システムの保守性にどのような影響を与え るか調べること,他アーキテクチャパターンを用いてプロ トタイプの作成を行いソフトウェアアーキテクチャの妥当 性をより正確に調査すること,センサを用いてコンテキス トの値を計測してのプロトタイプシステムの検証,ユーザ インタフェースへの反映を行う必要があると考える.

参考文献

[1] 国 土 交 通 省 ,“オ ー プ ン デ ー タ に よ る 歩 行 者 移 動 支 援 サ ー ビ ス の 普 及 促 進 に 向 け た 提 言”,https: //www.mlit.go.jp/common/001087780.pdf,2015. (Accessed 2021.1.6) [2] 国 土 交 通 省 ,“ICT を 活 用 し た 歩 行 者 移 動 支 援 シ ス テ ム の 水 平 展 開 に 向 け た 事 例 と ノ ウ ハ ウ に つ い て ∼ ユ ニ バ ー サ ル 社 会 に 対 応 し た 歩 行 者 移 動 支援の推進∼”,https://www.mlit.go.jp/common/ 000144606.pdf,2011.(Accessed 2021.1.6) [3] 矢入 郁子,猪木 誠二,“高齢者・障害者を含む全ての歩 行者を対象とした歩行空間アクセシビリティ情報提供 システムの研究”,情報処理学会論文誌,Vol. 46,No. 12,pp. 2940-2951,2005. [4] 江坂 篤侍,野呂 昌満,沢田 篤史,“インタラクティ ブシステムのための共通アーキテクチャの設計”,コ ンピュータソフトウェア,Vol. 35,No. 4,pp. 3-15, 2018. 2

参照

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