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若年非正規雇用者の社会学的考察―「やりたいこと」志向の再解釈― [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)若年非正規雇用者の社会学的考察 ―「やりたいこと」志向の再解釈― キーワード:非正規雇用、フリーター、 「やりたいこと」志向、安定雇用規範. 人間共生システム専攻 益田 仁. 1. はじめに. ある。その背景には不況による業績の落ち込みや既存の. 格差社会論の隆盛にともない、非正規雇用をめぐる論. 労働者を優先的に庇護する法制度(玄田 2002) 、ニュー. 調も変化を見せている。これまで非正規雇用の研究は既. エコノミーの進展による職の二極化現象(山田 2004)な. 婚女性のパートタイム労働(いわゆる主婦のパート)の. どにより企業が正社員の採用を手控えていることが指摘. 文脈でなされ、男女の均等処遇に強調的が置かれてきた。. されている。. しかし2000年辺りから正規/非正規の雇用格差―および. 「意識・ヤル気還元論」とは若者の職業観や就業意識. それが引き起こす収入の格差―が問題視され始め、特に. の変化―例えば「勤労を美徳とする価値観の消失(労働. その集中が著しい若年層が「フリーター」と呼ばれ社会. エートスの変化) 」 「脱安定志向」 「好きなことを仕事にし. 問題化されてきた。事実、若年層全体に広がる雇用不安. たいという意識」など個人に内在的なもの―にフリータ. は種々の統計データに映し出されている。. ー増加の原因を見出す説である。下村(2002)によると、. このような雇用不安のつのる中、しかし一方で次のよ. フリーターは「一つの仕事にとどまらずいろいろな経験. うな言説をよく耳にする。 「自分らしい仕事」 「やりがい. をしたい」 「自分に合わない仕事ならしたくない」という. のある仕事」 「自分のやりたいことを仕事に」 、などなど。. 意識を持つものが多く、このことは「正社員としての責. アルバイトの求人情報誌に目をやると、 「やりたいこと」. 任、あるいは、一人前の職業人として社会的役割を負っ. 「好きなこと」 「やりがい」 「自己実現」などのフレーズ. ていくことを避ける意識」 (小杉 2003: 46)として解され、. で埋め尽くされていることに気づかされる。. 「モラトリアム型フリーター」 (将来的見通しがはっきり. 非正規雇用者の増大と、職業を通じた自己実現欲求の 高まり。一見するとまったく異なる次元に存在するよう. しないままフリーターとなったタイプ)として類型化さ れてきた。. に思える二つの現象。しかしこれらはともに現代日本社. 「教育還元論」とは教育機関(特に高校)の進路指導. 会における労働をめぐる現象である。本論文では両者の. や就職支援―つまり労働需給媒介システムとしての学校. 間にどのような関連があり、どのような結果を導いてい. ―の機能不全を指摘する議論であり、その意味で正確に. るのかに対する答えを追求した。具体的にはこれまで若. は教育<機関>還元論である。 「多くの学生がフリーター. 年非正規雇用者の持つ特性として頻繁に論及されてきた. として卒業していく」 「卒業生を正社員として就職させる. 「 『やりたいこと』志向」という志向性を両者の媒介役と. ことができない」という現場の声に答える形で、教育(社. 見立て再解釈することにより、上述の問いに対する答え. 会)学を中心に研究されてきた。これらの議論はいわゆ. を導き出すこととした。それは結果として、非正規雇用. る「トランジション(教育世界から仕事世界への移行) 」. 問題がこれまで社会問題化されてこなかった原因を、そ. が困難化している原因を探っているのだが、その困難化. して不可視化されてきた社会的メカニズムを明らかにす. を探る過程でこの教育還元論は、最終的には上述の二つ. ることにもつながるであろう。. の還元論への収斂を見せている。つまり「企業から求人 票がこない」 「生徒が希望する求人票が減少している」と. 2. 先行研究の整理 若年非正規雇用者(=フリーター)に関する先行研究 を因果関係に基づき分類すると、 「就業構造還元論」 「意. いう就業構造還元論への収斂か、学生の「定職志向の低 下」 「勤労意欲の低下」といった意識・ヤル気還元論への 収斂である。. 識・ヤル気還元論」 「教育還元論」の三つに分けられる。 「就業構造還元論」とは経済学で言うところの「労働. 3. 問題の精緻化. 供給側の構造変化」であり、就業構造の変化―つまり労. フリーターの意識や価値観に焦点を合わせた研究(「意. 働市場において正規の雇用数が減少し、非正規雇用が増. 識・ヤル気還元論」)で頻繁に論及されるのが「やりた. 大したこと―がフリーター増加の原因であるとする説で. いことをやる」という意識を中心とした「やりたいこと」.

(2) 志向であり、それはフリーターの労働価値観の中核として. 将来の目標」から出発する生き方(「インサイド・アウト」). 捉えられ、フリーターを選択する<動機>、フリーター増. が出てきたという。. 加の<原因>として描き出されてきた。フリーターたちは. ④言い訳説. 「やりたいことをやるために」あるいは「やりたいことを. この説はフリーターを本質的に現在志向型の存在として. 探すために」フリーターという働き方を選択している、と. 捉え、フリーターの語る「やりたいこと」とは単にフリー. いう理解である。事実、 「なぜフリーターをしているのか?」. ターをしていることの言い訳であるする。そのため先ほど. という問いかけに対し、多くのフリーターは「やりたいこ. 挙げた「やりたいこと」志向の二つ目の特徴―夢・やりた. とのため」「やりたいことを探すため」と答えている。こ. いことの実現に向け何もしていないこと―を「やりたいこ. のような「やりたいこと」志向は、①「やりたいこと」を. と」志向の解釈に用いている。ちなみに現在志向とは「将. 「探す・見つける」行動がとられていること、②「やりた. 来」のための「今」ではなく、「今」のための「今」を過. いこと」を語りつつも、その実現に向け何もしていないこ. ごそうとする志向性であり、その意味で刹那的とも言いう. と、の二点がその特徴とされてきた。「やりたいこと」志. る。. 向の既存の解釈を見てみよう。 ①職業選択の近代化(=自由化・個人化)説. 以上のような「やりたいこと」志向をめぐる既存の解釈 を眺めていて気づかされること、それはフリーターの内部. これは近代化論・近代社会論という大きな枠組みでもっ. に異なる二つの志向性を見出せることである。「やりたい. て大上段から「やりたいこと」志向を捉えたものであり、. こと」を本当に求めているか/いないかを分水嶺として、. フリーターの語る「やりたいこと」とは、職業選択の基準. 二つのフリーター像が描かれているのである。①職業選択. であるとする。前近代社会(伝統的社会)では、外部によ. の近代化説、②職業を通した自己実現説、③生き方ダイナ. って職業が決められていた―例えば農民の子は農民という. ミクスの変化説はいずれも「やりたいこと」や「夢」をフ. ように―が、近代社会の進展に伴い、職業選択が自由化・. リーターは希求している(あるいは求めざるをえない)と. 個人化され「自己選択」となったことにより、職業を選び. 捉える点で共通しており、逆に④言い訳説は、フリーター. 取る基準が必要となった。そしてそれが「やりたいこと」. は「やりたいこと」を求めてはおらず、現在志向であると. である、という解釈である。したがって「やりたいこと」. している。つまり「夢追及志向」とでも言うべき志向性と、. 志向は伝統的社会において身分制が有していた役割(個人. 「現在志向」という志向性が、「やりたいこと」志向の内. の職業を決定する働き)と機能的に等価である、という理. 部において同居しているのである。「現在(present)」と. 解である。. 「将来(future)」は時間概念上異なる性質のものであり、. ②職業を通じた自己実現説. 現在を志向することと将来を志向すること―今のための今. これは「やりたいこと」志向の解釈の中で最も有力なも. と、将来のための今―は正反対のようにも思える。このよ. のであり、フリーターの語る「やりたいこと」とは、職業. うに考えると、「やりたいこと」志向の中には正反対の力. を通じた自己実現欲求(マズロー)の表れであり、「やり. 学を持つ二つの志向性が同居しているという奇妙な現象に. たいこと」志向を一種の贅沢病(あるいは若者の未成熟さ). 気づかされる。このベクトルの相違は個人内における二律. と見做すのがこの自己実現説の特徴である。「自分らしさ. 背反なのか、それともフリーター集団内の層化した状態を. の追求」や自己実現という欲求は強化される一方、それを. 表しているのか。その異なりを生み出しているのはどのよ. 達成する手段が社会に十分提供されていない状況が「自己. うな要因であり、そしてその異なりはどのような結果を導. 実現アノミー」ともいえる状況を生み出していることが指. いているのか。これらを考察していきたい。. 摘されている。 ③生き方ダイナミクスの変化説 この説は若者の社会参入の仕方の変化(=生き方の力学. 4. フリーターから見る世の中 インタビューの分析を通じ、フリーターの<目>から見. の変化)として「やりたいこと」志向を解するものである。. た<世の中>を再構成してみよう。. 溝上(2004)は、「よりよい学校、よりより会社」という. ■世の中の不透明性を強く感受. 自己の外部にあるものを目指す生き方を「アウトサイド・. ―「いつ会社が倒産するか分からない」 「いつリストラにあ. イン」と呼び、これを戦後∼1980年代までの青年の特徴と. うか分からない」 「何が安定しているのかが見通せない」. する。しかし1990年代の日本経済の崩壊を受け、若者がア. ということが感じ取られており、その背後には厳しい経. ウトサイド・インするべき先の大人社会が従来の意味では. 済情勢(倒産件数の増大、解雇者数の急増)がある。. 機能しなくなったため、個人に内在的な「やりたいこと・. ■正社員は「割に合わない」.

(3) ―給与・労働時間・勤務地などを考慮すると正社員よりも. として働いている」と言う。つまり「やりたいこと」と自. アルバイトのほうが合理的であり、将来的見通し、保険. 身との位置づけが正反対となっているのである。この語り. などを加味して総合的に判断した上でも正社員は「割に. の差異を基準にフリーターを 2 分類し、それぞれのフリー. 合わない」と考えられている。もちろんそれはあらゆる. ターの置かれた微細な社会状況から二つの「やりたいこと」. 正社員の職ではなく、 「自分が現実的に就くことができ. 志向を再解釈していった。. る」正社員の職であり、その背後には階層要因が働いて. ①「やりたいことがないからフリーター」グループ. いること、大企業が新卒者の採用抑制をしていること、. このグループは「 『やりたいこと』がないからフリーター、. 正社員下層での労働環境が急激に悪化していることなど. もしあれば正社員として働いている」と語り、①比較的男. があり、それを多くのデータが支持している。フリータ. 性に多く、②若年の中でも中年層以上に多いことが特徴で. ーたちにとって就くことのできる正社員とは「アルバイ. ある。彼ら/彼女らは性別役割分業規範や、年齢からくる. トとそこまで変わらない給与で長時間労働を強いられ、. 周囲の強いプレッシャーにより「正社員として働くべき」. ボーナスは出たとしても微々たるものであり、将来的に. という規範意識を強く持っており、したがって葛藤も大き. 昇給する見通しが持ちづらい」職なのである。. い。労働市場において競争力を持つ者―例えば学歴が高い. 本論文ではフリーターが増加する原因を正規雇用下層と非. 者・特別なスキルを持っている者・文化資本、社会関係資. 正規雇用とでの逆転現象が起きていることと考えた。つま. 本が豊富である者―などは労働条件や将来の見通しから判. りフリーターたちは合理的に職を選んだ結果、フリーター. 断してフリーターよりも正社員の方が合理的となり、従っ. となったのである。. て規範的価値観とも食い違いをきたすことがない。しかし. ところがフリーターたちは「割に合わないから」 「フリー. フリーターとなる者は相対的に労働市場内での競争力が低. ターのほうが合理的だから」といった形で自身を説明する. く、それゆえにフリーターに合理性を見出すこととなって. ことはなく、 「やりたいこと」との関連で―例えば「やりた. しまうのだが、しかし世間一般と同じくフリーターにも「正. いことがあるから」 「やりたいことを探すため」といった形. 社員として働くべきだ」という規範的価値観が刻印されて. で―自身を位置づけ、フリーターでいる理由を説明してい. いる。給料はフリーターと大差なく、労働時間は圧倒的に. るのである。. 多い。責任も重く転勤もある。かといって将来的に昇給す. ■脱フリーター. る(=倒産せず、リストラされることもない)見通しも持. ―フリーターたちの語りに目をやると「正社員として働く. ちづらいような会社でしか働くことができない。しかしそ. べきだ」という規範的価値観を強く内面化していること. れでも、アルバイトではなく正社員として辞めることなく. を見て取れる。彼ら/彼女らは「なぜ正社員として働か. 一生勤め上げなければならないとしたら。そこに残されて. なければならないんだ」と反発したり、周囲に理解して. いるのは「やりたいこと」―やること自体から楽しみを得. もらおうとはせず、むしろその規範を共有する形で「脱. ることのできる何か―しかないのであり、だからこそ「な. フリーター」という将来像が描かれているのである。. りたい(be)」 「就きたい(get)」ではなく「やりたい(do)」 ことを探しているのである。つまり正社員として働く(こ. 5. フリーターの葛藤と二つの語り口 ここで、フリーターたちは次のようなある種のダブル・ バインドな状況に直面する。. とを合理化する)手段が「 『やりたいこと』を見つける・探 すこと」なのである。 これまで「やりたいこと」志向(夢追及志向)は自己実. A:総合的に考えると正社員は非合理的だ. 現欲求の高まり、職業観の希薄化、贅沢病(趣味を職業に. B:正社員として働くべきだ. しようとしている)などと様々に解されてきたが、このよ. A は正社員の回避を促す現実の経済・社会的状況である一. うな志向性は相互に矛盾する状況(葛藤状況)が必然的に. 方、B の規範は正社員として働くことを要請する。. 生みだす志向性なのであり、フリーターたちの置かれた経. ここで「やりたいこと」の語られ方をつぶさに観察して. 済・社会構造的立場と、内面化された規範的価値観とのぶ. みると、 「やりたいことが<あるから>フリーター」と「や. つかり合いの結果なのである。そしてそれこそが「やりた. りたいことが<ないから>フリーター」という二つの語り. いこと」志向=「夢追及志向」の正体なのであるが、それ. があることに気づく。これは一見すると些細な異なりであ. は「夢の追求」というよりもむしろ、正社員として働くこ. るように思えるが、正反対の因を持つ語りである。前者は. とを追求する志向性なのである。. 続けて「やりたいことが<なければ>正社員として働いて. ②「やりたいことがあるからフリーター」グループ. いる」と言い、後者は「やりたいことが<あれば>正社員. このグループは、①比較的女性に多いこと、②若年の中.

(4) でも最若年層(∼20代前半)に多いこと、が特徴である。. 的立場の違い(による規範的価値観の強弱)によっても. 彼ら/彼女らも先のグループ①と同様の葛藤状況に直面し. たらされていること。. ているのだが、正社員重視の規範がそれほど強くはないた め正社員として働く策を模索はせず、心理的に安定するこ とで葛藤を回避しフリーターとして働き続けようとしてい. ■そして、その二つの「やりたいこと志向」は、ともに 正社員を重視する規範的価値観が生み出していること。 こうした点はこれまでの研究からは知りえなかった点で. る。このグループは二分法によりフリーターを捉え、 「やり. ある。また、先行研究では「やりたいこと」志向をフリー. たいこと」があるフリーターは良いフリーター、ないフリ. ターを選択する心理(=動機・原因)として捉えてきたが、. ーターは悪いフリーターとし、 「やりたいこと」がある自身. 本論文で得られた知見からすると、それは因果が逆である。. は「良いフリーター」であるとしている(その「やりたい. つまり「やりたいこと」のためにフリーターを選んだので. こと」の内実は多種多様である) 。このグループの語る「や. はなく、フリーターであるために「やりたいこと」を語る・. りたいこと」とは、先ほどのグループとは全くレベルの異. 求めざるを得ないのである。. なる「やりたいこと」なのであり、それは規範からの逸脱. この考察の延長線上に見えてくるのは次のことである。. 者となる自己の再定義(フリーターとして働いているダメ. ①労働市場内において競争力を持たないがためにアルバイ. な自分→「やりたいこと」がある良いフリーター)に際し. トを選択したフリーターたちは、そのことによってさらに. て用いられる用語なのである。その意味でこのグループが. 競争力を失ってしまい(フリーター経験を評価する企業は. 語る「やりたいこと(があること) 」は、動機の語彙(C.W.. 非常に少ない) 、ますますフリーターが合理的となってしま. ミルズ)―つまりある行為の動機(ここではフリーターを. う。. している理由)として社会的に是認されている理由を語る. ②フリーター選択にはジェンダー要因が働いていることが. こと―であり、 「やりたいこと」をやっている自分は良いフ. 論じられてきたが、この議論に本論文で得られた知見を織. リーターであるという再定義(W.I.トマス)であり、それ. り交ぜてみよう。フリーターの「二つの語り口」が示すの. は認知的不協和の低減(L.フェスティンガー)の一方策と. は、ジェンダーの存在が女性をしてフリーターを選択させ. も言いうるものである。そしてそれは単なる「言い訳」と. ている(ジェンダー→フリーター)という構図ではなく、. いうよりも、現実の社会的状況と規範的価値観とのぶつか. その逆である(フリーター→ジェンダー) 。ジェンダーの存. り合いに直面した個々のフリーターが持たざるをえない無. 在により労働市場において男性よりも低位に位置づけられ. 意識下での自己認識なのである。. たためにフリーターとなった女性は、しかし同時に、ジェ. 彼ら/彼女らは、 「夢」や「やりたいこと」を語りながら. ンダーを利用すること( 「女だから」 )によって―「正社員. 心的安定を維持し、合理的であるフリーターとして働き続. として働くべき」という規範に抗い―合理的なフリーター. けようとしているのであり、それが「現在志向」と解され. として働き続けようとしているのであり、そのことにより. てきた。そのように考えると、 「現在志向」とは、単にフリ. ジェンダーはさらに強化/再生産されているのである。. ーターの置かれた社会状況(フリーターの方が合理的とな. ③フリーターが「やりたいこと」を語ることにより、それ. ってしまうこと)の結果なのであり、将来的見通しが持ち. は個々人の<選択>の問題とされ、若年層の不安定就労化. 得ない会社にしか就職することができないフリーターが持. は見過ごされてきた。しかし本論文で論じたように、フリ. たざるを得ない志向性なのである。. ーターに「やりたいこと」を語らせる・求めさせるのは正 社員を重視する社会規範であり、それが若年層に集中する. 6. 考察 以上の分析より、次の点を考察した。 ■グループ①にとっての「やりたいこと」とは正社員とし. 非正規雇用を自己責任化してきたのである。つまり、安定 した雇用形態を称揚する前代の規範的価値観は、現代では 雇用の不安定化を覆い隠す役割を担っていたのである。. て働くための策、グループ②にとっての「やりたいこと」 とはフリーターとして働くための策であり、同じ「やり. 文献. たいこと」という言葉で語られつつも、それぞれの「や. 玄田有史,2002,『仕事の中の曖昧な不安』, 中央公論新社. りたいこと」は、実は正反対の機能を有していること。. 小杉礼子,2003,『フリーターという生き方』, 勁草書房. ■しかしその二つの「やりたいこと」 ( 「現在志向」と「夢. 下村英雄,2002,「フリーターの職業意識とその形成過程」. 追及志向」 )は、ともに葛藤状況の回避策の相違として. 小杉礼子編『自由の代償/フリーター』 ,JIL. 一元的に把握できること。 ■葛藤状況の回避策の相違は性別・年齢など、様々な社会. 溝上慎一,2004, 『現代大学生論』 ,日本放送出版協会 山田昌弘,2004,『希望格差社会』, 筑摩書房.

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