324 Fig. 1. Thermal data recorder and sensor protector Fig. 2. Outline of animal room. Fig. 3. Distribution of sensors

*College of Science & Technology _{, Nikon University, Chiyoda-ku, Tokyo} and

**Yakult

Institute

for Microbiological

Research, Kunitachi-shi,

Tokyo

(Received

for publicatin:

January

18, 1977)

The temperature of various positions in an occupied animal room (mice, rats) including inside of cages were measured using a 50 channels thermal data recor-der (step time 0.5 sec, 5 min intermittent through 24 hr and continuous) in a summer day. Any short periodical fluctuation of room temperature had practi-cally no influence on the inside temperature of plastic cages. Against small di-urnal flactuations, stable vertical gradients (about 1•Ž between tops and bottoms of racks) were observed amonng one hour averages of room air temperatures.

Air temperature in the cage fluctuated in larger scale. (up to 3•Ž) For controlling animal room temperature, each of short periodical fractuation, diurnal change and spasal distribution should be separately concerrned.

動物飼育 室の温 度変化,温 度分布 とケージ内温度 の

関係 に関す る予備実験 の結果 と考 察

吉 田

燦

日本大学 理工学部

高 橋 徳 太 郎 ・上 村 文 雄

ヤ クル ト研 究所

温,湿 度 な ど の気 候 因 子 に つ い て は,実 験 動 物 の 飼 育 環 境 と して直 接 動 物 に 影 響 を 与 え る のは ケ ー ジ内 気 候 で あ るに もか か わ らず,従 来 ほ とん ど の施 設 が 室 内 環 境 の み を制 御 す る方 法 を と って お り,他 に 適 切 な 方 法 の な い ま まそ の妥 当性 が 問 題 と され てい た 。 他 方,室 内 環 境 制 御 の所 要 精 度 につ い て も さ ま ざ ま の見 解 が お こな わ れ, 施 設 の 設計 に も と り入 れ られ てい るが,分 布 と時 間 的 変 動 の ケ ー ジ内環 境へ の 総合 的 な影 響 は な お十 分 に は あ き らか に され て い な い 。 本 報 文 は,実 験 動 物 施 設 の環 境 制 御 に 関す る一 連 の 工 学 的 研 究 の一 つ と し て,ま ず 温 度 環 境 を と りあ げ,そ の 第 一 段 階 と して,使 用 中 の 飼 育 室 に お い て,温 度分 布 と 温 度 変 動 の実 態 把 握 のた め に 行 な った 測 定 結 果 の 報 告 で あ る。 これ まで,飼 育 室 の 温 度 環 境 の 測 定 結 果 と して は, 我 国 に お い て は 高 橋 ら[1],山 内 ら[2],吉 沢 ら[3] な どに よ る も のが あ るが,い ず れ も測 定 方 法 上 の 制 約 か ら温 度 の空 間 分 布 と時 間 的 変 動 を デー タ の上 で 分 離 出 来 ず,そ のそ れ ぞ れ に つ い て の解 析 や 相 互 関 係 の検 討 の 困

Fig. 1. Thermal data recorder and sensor protector

Fig. 2. Outline of animal room.

本 実 験 に お い て は サ ー ミス タ多 点 温 度 デ ー タ集 録 装 置 を用 い,実 験 そ の も のは 予 備 実 験 的 性 質 ρ もの で あ るが, 飼 育 室 の環 境 評 価 と環 境 制 御 方 法 に つ な が る興 味 あ る結 果 を得 た ので 報 告 す る。 材 料 お よ び方 法 温 度 測 定 装 置 と して はサ ー ミス タ多 点 温 度 デ ータ集 録

Table 1. List of measured positions

Fig. 4. Short period temperature

fluctuations

of

outdoor

air (00), room air (02), and

air

outlet

(06).

け た 。(Fig.1) 測 定 は ヤ クル ト研 究 所 の プ レハ ブ動物 飼 育 室C-4(試 用 中 の ア ニ パ ッ ク)にお い て,1976年8月6日 か ら 同7 日に か け て 行 った 。Fig.2に 室 の概 要 を 示す 。 こ の室 は マ ウ スを 主 と し一 部 ラ ッ トを含 む 繁 殖 に使 用 され て お り,ク レ アCL101を 主 とす る251ケ の ケ ー ジで8台 の 飼 育 棚 は ほ ぼ 満 た され て い るが,各 ケ ー ジの 動物 種,系 統,週 令,収 容 匹 数 は 一 定 して い な い 。 総 収 容 匹 数 は2

Fig. 5, Short period temperature

fluctuations

at

outside (19) and inside (20) of a rat

ca-ge. (Fischer,

1 female adult and 12 of

li-tter between

11 and 21 days)

Fig. 6. Short period temperature

fluctuations

at

outside

(25) and

inside

(26) of a mice

cage (BALB/c,

5 females

between

3 and

6 Weeks)

週 令 以 下 の もの を の ぞ い て マ ウス700匹,ラ ッ ト13匹 で あ った 。 分 布 は 記録 され て い る 。 測 定 点 の 配 置 をFig.3に 示 す 。 予備 実験 と し て使 用 中 の 飼 育 室 の 実態 か ら今 後 の実 験 の方 向 を つ か む のが 目 的 な の で,格 子 状 配 置を と らずTable1の 規 準 に よ り 選 定 した 。 測 定 は す べ てstep time(走 査 間 隔)を0.5秒 に 設 定 し,8月6日19時 よ り同7日 の19時 までinterval(測 定 間 隔)5分 の24時 間 自動 測 定 を 行 な うと と もに,短 周 期 の 変 動 パ ター ンを 知 るた め に,そ の 前 後 に 約30分 の連 続 測 定 を も行 った 。 成 績 Fig.4は7日 夕刻 の連 続 測 定 に よ り得 られ た 室 温(サ ー モ ス タ ッ ト上 部 温 度)と 外 気 温 お よび 吹 出 口温 度 の 変 動 曲線 を重 ね 合 わ せ た も ので あ る。 外 気 温 は ゆ るや か に 下 降 して い るが,吹 出 口温 度 は 最 終 段 再 熱 器 の 点 滅 に よ り8∼9分 の周 期 で 振 幅 約4℃ の変 動 が 見 られ る。 し か しなが らサ ー モ ス タ ッ ト近 傍 の温 度 変 動 幅 は ±1℃ 以 下 で あ り,ケ ー シ ン グ内 の サ ー モ ス タ ッ ト(設 定24℃) もほぼ これ に 近 い 温 度 を 検 知 して 室 温 を 制御 して い る と 考 え られ る。Fig.5に 同 じ時 間 帯 で の ラ ッ トケ ー ジ の, Fig.6に 同 じ くマ ウ ス ケー ジの 内 外 の 温 度 変 動 を示 す 。 い ず れ も外 部 温 度 は サ ー モ ス タ ッ ト近 傍 と ほぼ 等 しい ± 1℃ 前 後 の振 幅 で 変 動 して い るが,ケ ー ジ 内温 度 に は ほ とん ど同 周 期 の 変 動 は 見 られ ない 。 ケ ー ジ内 の平 均 温 度 も外 部温 度 の 平 均 よ り高 くな っ てい るが,ラ ッ ト(Fisc-her母 獣1匹,11∼21日 令12匹)と マ ウ ス(BALB/c3 ∼6週 令 雌5匹)の _{ち が いは あ ま り表 れ て い な い 。} Fig.7に 外 気 温,室 温(サ ー モ ス タ ッ トお よび ドア グ リル),ラ ッ トケ ー ジ 内外 の 温 度 お よび 吹 出 口 温 度 の 毎 時 平 均 値 とそ の標 準 偏 差 の24時 間 の 変 動 曲 線 を 示す 。 周 期 性 の 強 い 変 動 か ら等 間 隔(5分)で 得 た 標 本 で あ る の で,標 準 偏 差 は 厳 密 に 統 計 的 な 数値 と して で は な く単 な る変 動 幅 の 指 標 と して 考 え る。 日変 化 に 関 しては ケ ー ジ外 部 に く らべ て 内 部 の 温 度 変化 が 大 き いが,逆 に 標 準 偏 差 は 最 も小 さ くな っ て お り,ケ ー ジ内 の環 境 が 短 周 期 で は安 定 して い る ことが 示 され て い る。 サ ーモ ス タ ッ ト 近 傍 温度 は設 定 よ り高 め で外 気 温 と順,吸 出 口温 度 と逆 の 相 関 を 示 して お り,負 荷 変動 に 伴 うオ フセ ッ トと考 え られ る。

00: Outdoor

air

02: Thermostat

05 : Air intake

(door grille)

06: Air outlet

19 : Outside

of the cage

20: Inside

of the cage

Fig. 7. Diurnal

pattern

of temperature

fluctuations

of

outdoor

air, at thermostat,

air intake,

outside

and inside of a rat cage (Fischer,

l female adult

and 12 of litter

between

11 and 21 days)

Fig. 8. Diurnal

patten

of temperature

fluctuations

at

outside

of mice cages.

6 odd number

sensors

from (21) for the highest

to (31) for the lowest

cage.

22: CF

1, 1 male over 7 weeks (the highest)

24: CF

1, 1 female and 1 male over 7 weeks

26: BALB/c,

5 females between

3 and 6 weeks

28: C 57 BL, 1 female

and 1 male over 7 weeks

30: C 57 BL, 1 female

and 1 male over 7 weeks

32: ICR, 1 female and 1 male over 7 weeks

Fig. 9. Diurnal pattern of temperature fluctuations at

inside of mice cages.

Fig.8,Fig.9は そ れ ぞ れ 室 東 側 中 央 部 上 下6段 の マ ウ ス ケー ジ の外 部 お よび 内 部 の 温 度 日変 化 をFig.7 と 同様 毎 時 平 均 値 とそ の標 準 偏 差 に よ り表 した もの で あ る 。 ケ ー ジ外 部 に は垂 直 の温 度 勾 配 が 見 られ 棚 の 最 上 段 と最 下 段 で は1℃ 前 後 の差 が 見 られ るが,日 変 化 は 非 常 に 小 さい 。 他 方 ケ ー ジ内部 に お い て は こ こで も標 準 偏 差 が 小 さい に もか か わ らず 毎 時 平 均値 の変 動 は大 き く, ケー ジ毎 に も大 きな 差 が あ り,外 部 の 温 度勾 配 を上 廻 っ て い る よ うで あ る。 室 端 部 の6ケ の ケ ー ジ(セ ンサ33∼ 44)に お い て もほ ぼ 同 様 の結 果 が 得 られ た 。各 飼 育 棚 中

Fig. 10. Diurnal pattern of temperature fluctuations at the•¬centers•¬of•¬east•¬side•¬racks.

Fig. 11. Diurnal pattern of temperature fluctuations at the centers of west side racks.

央位 置 で の 毎 時 平 均温 度 をFig.10お よび11に 示 す 。 西側 は 東側 に くらべ 全 般 に や や 高 い 温 度 を 示 して い るが, 長 軸 方 向 に は 明確 な温 度 勾 配 が 見 られ な い 。 Fig.12に 同一 ケ ー ジ内5ケ 所 で 測 定 した 温 度 変 動 曲 線 の一 部 を 示 す 。 マ ウ スの 移 動 の 各 部 の 温 度へ の 影 響 が 明 らで あ る

Fig. 12. Temperature

fluctuations

at 5 points in

a mice cage.

(C 57 BL/6, 4 males

over

7 weeks)

考 察 実験 動物 を 室 内 で多 数 飼 育 す る場 合 の 環 境 許 容 規 準 と して小 林 らは,目 標 か らのず れ の程 度 に よ って 等 級 区 分 を お こ ない,そ の範 囲 内 に 入 る頻 度 の 大 小 に よ り空 間 内 分 布 性 能 の評 価 を 行 な うこ とを 提案 して い る[7]が, ず れ の 内 容 と して は 短 周 期 変 動,日 変 化,空 間 内温 度勾 配 な どが 一 括して 扱 わ れ て い る。 しか しな が ら,こ れ ら の 一 つ 一 つ は 動 物 に 与 え る影 響 が か な り こ とな る も の と 考 え られ,区 分 して 扱 う必要 が あ る と思 わ れ る 。 10分 前 後 の 短 周 期温 度 変 動が,少 くと も天 井 面 に 吹 出 口を もつ 飼 育 室 内に あ る プ ラス チ ック ケ ー ジの 内 部 環 境 に ほ とん ど(最 上 段 にや や 見 られ る周 期 性 も含 め て)影 響 を与 え な い こ とは,本 実 験 お よび 追 試 と して 行 な った 空 ケ ージ に よ る測 定 によっ て 明 らか とな った 。一 方 日変 化 に つ い て は,安 定 した 制 御 が 比較 的 容 易 で あ るば か り で な く,動 物 に と って も 自然 な もの であ り,許 容幅も 広 い と考 え られ る。 温 度 勾 配の うち上 下 分 布 は,安 定 した平 均 値 の ず れ と

る必 要 が あ る。 ケ ー ジ 内温 度 の 内部 原 因 に よ る変 動 の大 きな こ とは, 外 部 環 境 の許 容 値 を 考 え る上 で考 慮 して よい で あ ろ う。 た だ こ こで も収 容数 とそ の 変 化 と と もに ケ ー ジ 内温 度 の 定 義 そ の もの を 明確 に して い く必 要 が 感 じ られ る 。 今 後 本 実 験 に よ って 得 た 問 題 点 を 動物 数,週 令 な ど を そ ろ え た計 画 的 な実 験 に よ り深 め る と と もに,他 の タ イ プの ケー ジ,飼 育 室,季 節(典 型 的 な 盛 夏 を含 む)に つ い て も引 続 き研 究 を 進 め た い 。 要 約 使 用 中 の動 物 飼 育 室 に おい て,夏 季50チ ャ ンネ ルの 温 度 測定 装 置 に よ り5分 間隔 の24時 間 測 定 と25秒 間 隔 の連 続 測 定 を 行 な い,以 下 の よ うな結 果 を得 た 。 短 周 期(約10分)の 室 温 変 動 は ほ とん ど プ ラス チ ッ ク ケー ジ内 に 影 響 を 与 え な い 。 外 気 温 度 変 動 の 室 内へ の 影 響 は 比 較 的 容 易 に 除 去 され て い るが,飼 育 棚 の 最 上 段 と 最 下 段 の 間 に1℃ 前 後 の安 定 した 温 度 勾 配 が 見 られ る。 ケ ー ジ 内の 温 度 変 動 は 不 規 則 で あ り,そ の振 幅 は 約3℃ に お よぶ 。実 験 動物 飼育 室 の温 度制 御 規 準 に 関 しては 短 周 期,日 変 化,温 度 勾 配 な どに 分 け て ケ ー ジ 内へ の 影 響 の 検 討 をす す め る必 要 が あ る。 謝 辞 本実験の遂行 と解析に御協力いただいた 日本大学研究生 高畑 謙三氏 ほかの方 々に感謝す る。 [2] 山 内 忠 平,平 山 三 船,谷 口 芳 信(1972),実 験 動 物 飼 育 施 設 の環 境 調査,III,I生 育 場,実 験 動 物, 22, 208 [3] 吉 沢 晋,山 崎 省 二,滝 沢 隆 安(1972),実 験 動 物 飼 育 施 設 の 環 境 調 査,I,国 立 公 衆 衛 生 院SPF 動 物 実 験 施 設,実 験 動 物, 22, 208-209

[4] Weihe, W. H. and Teelmann, K. (1974), Temperatur and Strð±mungsprofile in voll-klimatisierten leeren and besetzen Tierla-boratorien, Zbl. Bakt. Hyg., I. Abt. Orig. B 159, 298-306

[5] 山内 忠 平,高 橋 弘,安 藤 明 弘,今 石 延 子(1965), マ ウ スの 生 理,生 態 に お よぼ す 環 境 温 度 の 影 響I, 飼 育 密 度 と環 境 温 度,日 獣 誌27付, 471-472

[6]

Weihe, W. H. (1971).

The

significance

of

the

physical

environment

for the

health

and state

of laboratory

animals,

NAS

Wa-shington

D. C. 353-378

[7] 小 林 陽 太 郎,吉 沢 晋,橋 本 栄介,茂 呂 井 義夫(19 67),動 物 実 験 中 央 研 究 室 に お け る 環 境 測定(1),