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(2) 佐藤 ・上田:白 金合金Pt850の. 切削 における工具摩耗特性 3.実 3.1Pt850に a)超. 験. 結. 果. 対 す る 工 具 摩 耗 特 性 一他 の 被 削 材 と の 比 較 一. 硬工 具 に よる結果. 一 般 的 な 工 具 材 で あ る 超 硬 工 具K1Oを S45C,. SUS304,Ti‑6AI‑4Vの. 用いて. 切 削 を行 い,基. ,Pt850,. 本 的 な工 具摩 耗. 特性 に つ い て 調 べ た. 図2は 切 削 開 始 か ら 約10秒 後 に お け る す くい 面 と逃 げ 面 の 状 態 で,上. 段 が す く い 面,下. 段 が 逃 げ 面 で あ る.. 図 か ら 明 ら か な よ う に,Pt850を 難 削 材 と 言 わ れ るSUS304,. 切 削 した 場 合 の 逃 げ 面 は,. Ti‑6AI‑4Vと. 比 べ て も極 めて 激 し. Fig.1 Setup for turning test of platinum alloy. 素(SigNq),ア し,サ. ル ミナ(Al203),多. Fig3. 結 晶 ダ イ ヤ モ ン ド(PCD)と. ー メ ッ ト,Si3N4,Al2O3な. ど,購. Profile of crater wear of K 10 carbide tool Workpiece : Pt850, Cutting time : 8.2 s. 入 時 に チ ャ ン フ ァが. つ い て い た も の は ラ ッ ピ ン グ に よ り取 り 除 い て 工 具 形 状 を 統 ーし た.. 2.3実. 験 装 置 と実 験 条 件. 切 削 は 精 密 旋 盤(昌 運ST‑5)に. よ る 長 手 方 向 の 旋 削 で あ る.. Pt850に 関 して は,多 くの 量 を 用 意 す る こ とが で きな か っ た た め,図1に 200mmの. 示 す よ う に 厚 さ3mmの. 板 片 を組 み 合 わせ て直 径. 円 板 状 と し,そ の 外 周 旋 削 を 行 っ た.そ の 他 の 被 削. 材 は 直 径60mmの. 丸 棒 の 外 周 旋 削 で あ る.切. 力 計(佐 藤 マ シ ナ リ ー,AST‑TTH)に. 削抵 抗 は切削 動. よ っ て3分. 力 を 測 定 し,. 動 ひ ず み 計 を 介 し て ペ ン レコ ー ダ に 記 録 した.工 具 摩 耗 は,光 学 顕 微 鏡 お よ び 電 子 顕 微 鏡 に よ り測 定 した.Pt850は,圧 を950℃. で30分. 主 な 切 削 条 件 は,切 りS:0.025mm/revで 直 逃 げ角 0.4mmで. α0:6°,ア あ る.切. 延材. 間 保 持 の あ と炉 冷 した もの を 使 用 して い る. 削 速 度V:3.3m/s,切 あ り,工. 具 は,垂. 込 みa:1mm,送 直 す く い 角γ0:5°,垂. プ ロ ー チ 角ψ:0°,コ 削 液 は 使 用 し て お ら ず,乾. ー ナ 半 径rε:. Fig.4. 式 と し た.. Fig.2 Wear patterns of K 10 carbide tool 840精. 密 工 学 会誌Vol.67,No,5,2001. Variation of width of flank Tool : K10 carbide. wear with. cutting. time.
(3) 佐藤 ・上 田:白 金合金Pt850の. 切 削における工具摩耗特性. Fig.7 Variation of width of flank wear with cutting time Tool : Al2O1 ceramic. Fig.5 Behavior of cutting force Fv during turning Tool : K 10 carbide. Fig.6 Relation between feed rate and width of flank wear Tool : K 10 carbide, Workpiece : Pt850 Cutting length : 16.5m く摩 耗 して い る こ と が 分 か る.ま. た,す. くい 面 に お い て は 被. 削 材 の 凝 着 が 観 察 され る が,構 成 刃 先 は 生 成 され て い な い.す く い 面 形 状 を 表 面 粗 さ計 で 主 切 れ 刃 に対 して 直 角 方 向 に測 定 し た 結 果 を 図3に 示 す.す. くい 面 摩 耗 は 約7μmで. Fig.8 Wear patterns of Al2O3 ceramic tool. あ り,逃 げ. 面 摩 耗 に 比 べ る と極 め て 小 さ い こ と が 分 か る.. 切 削 に伴 う逃 げ 面摩 耗 幅の 変化 を図4に 示 す.逃 げ面 摩耗 幅VBは 図 中に示 す箇 所 の長 さで あ り,切 削 を適宜 中断 し,そ の都 度 工具 を光学顕 微 鏡 で観 察 して測定 した, Pt850に 対 す る逃 げ 面 は 切 削 開 始 直 後 か ら急 激 に 摩 耗 し,切 込 み が1mm,送. りが0.025mm/revと. 比 較 的軽切 削 に もかか わ. らず,切 削 開 始 後 わ ず か10秒 ほ どで 摩 耗 幅 は1mm近 す る.他 の 被 削 材 に 関 して は,切 削 時 間 約30秒 耗 幅 は0.1mmに. く に も達. に お い て も摩 Fig.9 Profile of crater wear of Al2O3 ceramic tool. 満 た な い 程 度 で あ る.. 切 削 中 の 切 削 抵 抗 の 主 分 力 の 変 化 を 図5に. 示 す.逃. げ面 摩. 耗 の 進 行 に伴 っ てPt850に 対 す る 切 削 抵 抗 は 急 増 し,切 削 開 始. 約15秒. か ら約10秒. こ の 時 の す くい 面 形 状 を 表 面 粗 さ 計 で 主 切 れ 刃 に 対 して 直 角. 後 に は 約300Nと,例. した 場 合 の 約3倍 図6は. え ばS45Cを. 同 じ条 件 で 切 削. に も達 し,切 削 の 継 続 は 困 難 と な る.. 送 り と逃 げ 面 摩 耗 幅 と の 関 係 で あ る.摩. 耗 幅 は送 り. 削 材 を 切 削 し た 際 の,各. 具 を用 いて 各被. 被削 材 に対 す る逃 げ面摩 耗幅 の 変化. を 図7に 示 す.切 削 条 件 は 超 硬 工 具 の 場 合 と 同 様 で あ る.Pt850 に 対 す るAl203工 4Vの. 場合には. す く い 面 に 大 きな ク レ ー タ が 生 じて い る の に 対 し,Pt850の 場. 的 で あ る こ と が 分 か る.ま た,SUS304の. 具 に対 す る 結 果. 代 表 的 な セ ラ ミ ッ ク ス 工 具 で あ るAl203工. 方 向 に 測 定 し た 結 果 で あ る.こ れ ら よ り,SUS304の. 合 に は す くい 面 の 摩 耗 は 小 さ く,切 れ 刃 部 に か け て ほ ぼ 直 線. の 影 響 を ほ と ん ど 受 け な い こ とが 分 か る. b)Al2O3工. 切 削 した 後 の す くい 面 と 逃 げ 面 の 状 態 で あ り,図9は. 具 の 逃 げ 面 摩 耗 の 速 さはSUS304とTi‑6AI‑. 中 間 程 度 で あ る こ とが 分 か る.図8はPt850とSUS304を. 場 合 には被 削材 がす. くい 面 お よ び 逃 げ 面 に 凝 着 して い る の に 対 し,Pt850の 場 合 に は 切 り くず 離 脱 端 に切 り くず の 付 着 が 観 察 さ れ る程 度 で,凝 着 は ほ とん ど生 じ て い な い. 表2は,各. 被 削 材 に 対 す る 切 削 抵 抗 の 主 分 力 を,工. 具摩耗. の 小 さ な切 削 初 期 の段 階 の 値 で 比 較 し た も の で あ る.Pt850の. 精 密 工 学 会誌Vol.67,No.5,2001. 841.
(4) 佐藤 ・上田:白 金合金Pt850の. 切削に おける工具摩耗特性. Table 2 Comparison of cutting force Fv. Fig.11 SEM photograph of flank wear land. Fig.10 Variation of width of flank wear with cutting time Workpiece : Pt850. 切 削 抵 抗 は,Ti‑6AI‑4Vと. ほ ぼ 同 程 度,S45Cの6割. 程 度 と比 較. 的 小 さい こ と が 分 か る 。 3.2Pt850に 図10に. 対 する工 具摩 耗特 性 一各種 工 具 に よる違 い一. 各 種 工 具 を 用 い てPt850を. 逃 げ 面 摩 耗 幅 の 変 化 を示 す.図. 切 削 した 際 の,各. 工 具 同 様 に 摩 耗 は 著 し く速 い こ とが 分 か る.ま ク ス 工 具 で はSi3N4工 具 の 方 がAlZO3工 い.PCD工. 具 で は,初. 工具 の. よ り,サ ー メ ッ ト工 具 も超 硬 た,セ. ラミッ. 具 よ りも耐摩耗 性 は よ. 期 摩 耗 が わ ず か に生 じる も の の,逃. げ Fig.12 Behavior of cutting force Fv during turning Workpiece : Pt850. 面 の 摩 耗 は 使 用 し た 工 具 の 中 で は 最 も小 さ い.. 切削 後 の それ ぞ れの工 具 の逃 げ面 を電子顕 微 鏡で 観察 した 結 果 を図11に 示 す.観 察箇 所 は図 に示 す よ うに逃 げ面摩 耗痕 の ほぼ 中央 上 部 で あ る.い ず れの工 具 にお い て も逃 げ面 へ の 被 削材 の凝着 は少 な く,切 削方 向 と平行 に逃 げ面 と被 削 材 と. 定 で あ る こ と な どが 分 か る. 3.3PCD工. 具 に よ る切 削 特 性. Pt850は 貴 金 属 材 料 で 高 価 で もあ る こ と か ら削 り取 り量 は 一. の擦 過痕 が 多数 観 察で きる.こ の う ち超 硬工 具 に関 して は,超. 般 に少 な く,切 込 み や 送 りは 小 さ な 場 合 が 多 い.そ の た め,工. 硬 粒 子 が脱 落 して で きた と思 われ る孔 が数 多 く散 在 し,そ の. 具 の 微 小 な 摩 耗 が 加 工 精 度 に 及 ぼ す 影 響 は 相 対 的 に大 き く,. 部 分 に被 削材 が 入 り込 むよ うに付 着 して い るこ とか ら,引 っ か きに よる摩耗 と粒子 の脱 落 に よる摩 耗 とが混 在 した形 態 で. 使 用 した 工 具 の 中 で 実 用 的 な もの はPCD工. あ る と考 え られ る.サ ーメ ッ ト工 具 に関 して は,摩 耗 速 さは. 上 げ 面 粗 さ に つ い て 検 討 した.. 超硬 工 具 とほ ぼ同 じで あ るが,超 硬 工 具 に比べ て被 削材 の付. PCD工. 具 を用 い た場 合 の,Pt850に. 図13はPCD工. 具 と な る.そ こ で,. 対 す る切 削速 度 の影 響や仕. 具 を 用 い た 場 合 の 切 削 速 度 と逃 げ面 摩 耗 幅 と. の 関 係 で あ る.切. 削距 離 はい ず れ の切 削速 度 に おい て も約. 着 はか な り少 な く,逃 げ面 の ほ ぼ全面 にわ たって細 か な引 っ か き痕 か らなっ てお り,さ らにAlZO3工 具 に関 して は被 削 材. 90mで. あ る.切. は ほ とん ど付着 して お らず,多 数 の 引 っか き痕 か らのみ な っ. が,実. 験 し た1.7〜6.7mlsの. て い る こ とが 分 か る.超 硬 工 具 とサ ー メ ッ ト工 具 とにお け る. は 小 さ い と い え る,こ れ は,切 込 み や 送 りが 小 さ い こ とやPCD. 摩 耗形 態 の違 い な どを細 か く検 討 す る必 要 はあ るが,逃 げ面. 工 具 の 熱 伝 導 率 が 高 い こ と な ど か ら切 削 温 度 が 低 く,熱 的 な. 摩 耗 は アブ レシブ摩耗 が 主体 で あ り,工 具硬 度が 高 いほ ど摩. 影 響 が 小 さ い た め と 考 え ら れ る.ま. 耗 量 は少 な い と考 え られる.. に及 ぼ す 影 響 に つ い て は,図14に. 図12は,各 で あ る.超. 種 工 具 に よ るPt850切 硬,サ. ー メ ッ ト工 具 で は 切 削 抵 抗 が 切 削 開 始 と共. に 急 激 に 増 加 す る こ と,セ 始 か ら約20秒 る こ と,PCD工. 842精. 削時 の主 分 力の 時間 変化. ラ ミ ッ ク ス 工 具 の 場 合 で も切 削 開. ほ どで 初 期 の 抵 抗 のis‑2倍. 程 度 に大 きくな. 具 で は 切 削 抵 抗 に ほ と ん ど 変 化 が な くほ ぼ 一. 密 工 学 会 議Vol.67,No.5,2001. 削 速 度 が 低 く な る に つ れ て 摩 耗 は小 さ く な る 範 囲 に お い て は切 削 速 度 の 影 響. た,切. 削 速度 が切 削抵 抗. 示 す よ う に,1.7〜6.7m/s. に お い て は3分 力 と も ほ と ん ど 変 化 は な か っ た.図15は くず の外 観 で あ るが,PCD工. 切 り. 具 に よ る 切 り くず は 基 本 的 に流. れ 型 で あ る. 図16(a)は,PCD工. 具 に よ るPt850の 仕 上 げ 面 最 大 粗 さRyと. 切 削 速 度 との 関 係 で あ る.切. 削 速度 が小 さ くな るにつ れて仕.
(5) 佐藤 ・上 田:白 金合金Pt850の. Fig.13. Relation between cutting speed and width of flank wear Tool : PCD, Workpiece : Pt850 Cutting length : 90m. Fig.14. 切削におけ る工具摩耗特 性. Fig.15 Typical chips of Pt850 with PCD tool. Relation between cutting speed and cutting forces Tool : PCD , Workpiece : Pt850. Fig.16 Variation of surface roughness Ry Tool : PCD, Workpiece : Pt850. 上 げ 面 粗 さ は 小 さ くな る 傾 向 に あ るが そ の 差 は わ ず か で あ り,. 摩 耗 が 小 さ く切 削 抵 抗 も 安 定 して お り,Pt850の 切 削 に 使. 切 削 速 度 に よ る仕 上 げ 面 粗 さの 変 化 は 小 さい とい え る.仕 上 げ. 用 で きる.. 面 粗 さRyに. 及 ぼ す 送 りSと. コ ー ナ 半 径rEの. (4)PCD工. 影 響 を 同 図(b)に 上 げ面 の粗 さ. い.. は 理 論 粗 さ よ り大 きい が,増 減 の 傾 向 は ほ ぼ こ れ に 従 っ て い る. (5)仕. 示 す.図. 中 の 曲 線 は 理 論 粗 さS2/8rε で あ る.仕. 具 の逃 げ面摩耗 に及 ぼす切 削 速度 の影響 は小 さ. 上 げ 面 粗 さ は,送. げ 面 粗 さ を小 さ くす る こ と に 有 効 で あ る. 4.結. 白 金 合 金Pt850に. (1)超. 逃 げ 面 が 著 し く摩 耗 し,ほ. は小 さい が,摩. 参 考 文 献. 削 開始 後 直 ちに. 硬工 具 に比 べて 逃 げ面摩 耗. 耗 に よる切 削抵 抗 の増 加 な どか ら実 用的. 1). R.W.E.Rushforth : Machining Properties of Platinum, Plat. Met. Rev., 22.1.(1978)2.. 2) 機 械 工 学 便覧,日 本 機 械 学 会 編,丸 善,(1987)B4・7. 3)金 属 便 覧,改 訂5版,日 本 金 属 学 会 編,丸 善,(1990)651. 4)理. で は な い. (3)PCD工. 辞. 本研 究で被 削材 と して用 いたPt850を 御提 供頂 い た(株)桑山. と ん ど使 用 で き な い.. ラ ミ ッ ク ス 工 具 で は,超. 削 速 度 の 影 響 は 小 さい.. 海原 康広氏 に感謝 致 します,. ら れ た 結 論 を 以 下 に 示 す.. 硬 工 具 お よ び サ ー メ ッ ト工 具 は,切. (2)セ. 謝. 言. 対 して 切 削 加 工 を行 い,そ の 工 具 摩 耗 特 性. に つ い て 検 討 した.得. りが 小 さ く,工 具 の コ ー ナ 半 径 が. 大 き い ほ ど小 さ くな る が,切. こ と か ら,送 り を小 さ く,コ ー ナ 半 径 を大 き くす る こ と は仕 上. 化 学 辞 典,第4版,久. 保 亮ほ. か 編:岩. 波 書 店,(1987)983.. 具 は 超 硬 工 具 や セ ラ ミ ッ ク ス 工 具 に比 べ て 工 具. 精 密 工 学 会誌Vol,67,No.5,2001. 843.
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