施工時期セグメント
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(2) 目違いは,図 3.3 に示すようにボルトクリアランスによるズレとして生じる 段差を考える.したがって,設定目違い量はセグメント継手,リング継手とも 同じとする. (セグメント継手). (リング継手). 目違い量 目違い量 設定目違い量. 設定目違い量 (=目違い量). (=目違い量). 目違い量. 目違い量. 図 3.3 目違い量と設定目違い量 図 3.4 は昭和 56 年から昭和 62 年にかけて東京電力㈱が実施したシールドト ンネルのセグメント継手面およびリング継手面の目開き量および目違い量に対 する実態調査結果を整理したものである.調査対象としたトンネルの詳細は, 表 3.1 に示すとおりである. 表 3.1 調査したシールド工事の概要. 施工時期 S56 〜 S62 レキ層,砂層,シルト層 地 質 10 m 〜 23 m 土 被 り トンネル延長 1056.5 m 外 径 φ6600 mm セグメント 300 mm 高 さ Kセグメントの形状 軸方向挿入型Kセグメント 水膨張シール材 シール材. 28.
(3) 4000. 2000 1000. 1000 0. 0. 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 ( m m ) セグメント継手面の目開き量. 4000. 1000 0. 4000 全体 平均 X=1.674mm (n=4657). 3000 2000. 度. 度. 2000. 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 ( m m ) リング継手面の目開き量. 頻. 頻. 3000. 全体 平均 X=0.300mm (n=2528). 3000. 度. 度. 2000. 頻. 頻. 3000. 4000 全体 平均 X=0.284mm (n=4735). 全体 平均 X=2.733mm (n=2520). 1000 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 ( m m ) セグメント継手面の目違い量. 0. 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 (mm) リング継手面の目違い量. 図 3.4 シールドトンネルの施工実績(目開き量,目違い量)調査 これによると,トンネル内縁側で測定されたセグメント継手面の目開き量は ほぼ 2mm 以下であり,これから継手ボルトが許容応力度に達するときのシー ル溝位置における目開き量を幾何学的に求めると,継手部が正の曲げモーメン トを受ける場合には,セグメント外縁端を回転中心として,また,負の曲げモ ーメントを受ける場合は, セグメント内縁端を回転中心として,それぞれ 0.7mm 以下,1mm 以下と推定される.一方,リング継手間の目開き量も最大 2mm 程 度となっている.トンネル軸方向を考えるとリング継手は曲げモーメントより も軸引張力を受けるものと思われ,シール溝位置での目開き量は完成後は 2mm 程度以下と推定される.一方,目違い量は最大でも 3.5〜5.5mm 程度であり, これはボルトとボルトホールとの間のクリアランス分が組立誤差として生じた ものと考えられる.これらの値は,提案するシール材における設計条件を決定 する際の参考値となる.また,シール材の設計条件はセグメントの構造設計か ら定まる継手変形なども加味して決定する場合もある. このような目開き,目違いが生じた場合にもシールドトンネルの止水性を確 保する必要があることから,セグメントの継手面には,シール材が貼り付けら れるが,シール材の形状や寸法は,その設計方法がない現状では,経験的に幅 20〜30mm,厚さは 3〜5mm 程度のものが多く使用されている.以下に述べる シール材の止水試験は,これらのことを考慮して行ったものである.. 29.
(4) 試験方法は,図 3.5 に示すような2つの透明なアクリル製の円盤の間にシー ル材をはさみ,ボルトを締付けることにより所定の接面応力までシール材を圧 縮し,その後,加圧ポンプにより水圧を漸増させて漏水の有無を目視により確 認するものである.シール材の接面応力は,あらかじめシール溝に埋め込まれ た小型圧力変換器で測定した.なお,試験は作用水圧と接面応力との関係を確 認する目的であることから,時間とともに水を吸収して膨張するシール材の膨 張の影響による止水効果を排除するために,本試験では非膨張性のシール材と してクロロプレンゴムのものを使用した. また,試験ではシール材の円周方向の継目が止水上の弱点とならないように, 一体成形した継目のないシール材を用いた.. 圧力変換器. 給水加圧ポンプ. 25. 空気抜き孔. シール材 小型圧力変換器. 空気抜き孔. シール材 ボルト. 圧力変換器. 給水孔. アクリル板. 180 400. 図 3.5 止水試験装置(単位:mm 止水試験装置(単位:mm) mm). 30.
(5) この止水試験は,シール材による止水のメカニズムを確認することを目的と したものであるから,表 3.2 に示すようにシール材の幅,シール溝の有無,セ グメント組立時の施工誤差などにより継手面に生じる目違い量および接面応力 をパラメーターとして行った.なお,シール材の幅が 50mm のものは,通常用 いられるような幅ではないが,目違い量による影響を検討するために特に加え たものである.また,シール溝の深さは国内では通常 2.3〜2.5mm 程度である が,ここではシール溝が深い場合でも密封の原理が成立するかどうかを確認す るために,これを 5.0mm とした場合も行っている.接面応力は,前述したよう にシール材が圧縮されることで発生するため,これをパラメーターにすること で目開き量の違いによるシール材の止水を評価することとした. 表 3.2 止水試験のパラメーター シール材厚さ 1水準 8mm×2段. シール材幅 シール溝深さ (mm) (mm) 3水準 3水準 20 0 30 2.3 50 5.0. 目違い量 (mm) 4水準 0 10 20 30. 接面応力 2 (kN/m ) 4水準 100 200 400 600. 使用した非膨張性シール材の物性は,表 3.3 に示すとおりである. 表 3.3 使用したシール材の物性 試験項目 硬さ試験. 引裂試験 低伸張応力試験. ゴム硬さ 伸張応力 100% 伸張応力 300% 引張強さ 破断時伸び 引裂強さ 伸張応力. 圧縮永久歪試験. 老化試験. 引張試験. 試験方法. 単位 度. 試験条件. JIS K6301-5. 40. N/mm2 N/mm. 2. 試験結果. 11 JIS K6301-3. N/mm2 % N/mm2 N/mm2. JIS K6301-9 JIS K6301-13. 圧縮永久歪. %. JIS K6301-10. 引張強さ残留率 伸び残留率 ゴム硬さ変化量. % % -. JIS K6301-6. オゾン劣化試験. 亀裂発生状況. -. 浸せき試験. 重量変化率(吸水率). %. JIS K6301-16. 伸張率 25% 圧縮率25% , 70℃ , 22h. 14. 100℃, 72h. 86 83 3. 40℃ , 50pphm (*) , 96h , 20%伸張 JIS K6911-5-12. 38 150 785 57 3.05. 40℃ , 温水 , 72h. 亀裂無し 4.6. (*) parts per hect million (10億分の1). 31.
(6) 3.2 止水試験の結果 (1)シール溝がない場合の止水試験結果 (1) シール溝がない場合の止水試験結果 図 3.6 はシール溝がない場合の漏水時の作用水圧と漏水個所の接面応力との関 係を示したものである.この図から,シール材の幅に関係なく,作用水圧がシ ール材の接面応力を上回ると漏水が起こることが確認された.. × 1 0 0 k N / m2. 8 漏水時作用水圧. 6. 4. 凡 例 50mm×(8mm×2枚) 30mm×(8mm×2枚) 20mm×(8mm×2枚). 2. 0. 0. 2. 4. 6. 8. × 1 0 0 k N / m2. 漏水箇所の接面応力. 図 3.6 シール溝がない場合の漏水時の作用水圧と 漏水箇所の接面応力との関係. 32.
(7) また,作用水圧が接面応力を上回ったときの漏水経路は,図 3.7 に示すように シール材間ではなく,シール材とフランジとの接触面であることも確認された. これらのことから止水条件として想定した水圧が接面応力を超えると漏水が発 生するという密封の原理が成立していることが,明らかになった. フランジ シール材. 水. 図 3.7 漏水経路の概念図 図 3.8 は本試験の結果をシール材の幅の違いによる圧縮量と漏水時の接面 応力との関係で整理したものである.圧縮量はシール材が所定の接面応力に 達したときのシール材を貼り付けたアクリル板の隙間を隙間ゲージで測定し たものである.経験的にシール材の幅が大きい方が止水効果が高いと言われ ていたが,この図から,シール材の厚みが一定で圧縮量が同じであれば,シ ール材の幅が広い方が止水効果が高いことが確認された.. 相関係数= 0.997 シール材幅 30mm 相関係数= 0.997. シール材幅. 6. ○ :50mm △ :30mm □ :20mm. 5. シール材幅 50mm. 4 シール材幅 20mm. 3. 相関係数= 0.996. 2 圧縮量. 作用水圧. 1. シール材. p. 1. δ 16mm. 漏 水 時 作 用 水 圧 ( 1 0 0 k N / m2). 7. 2. 3. 圧 縮 量 (mm). 図 3.8 シール材の幅の違いによる漏水時の作用水圧と圧縮量との関係. 33.
(8) 図 3.9 は止水試験に用いたシール材の圧縮試験結果である.同じ圧縮率であ ればシール材の幅が大きい方が圧縮応力は大きいことがわかる.このように同 じ材質でも,応力(σ)−ひずみ(ε)関係が異なるのはゴム材特有のもので あり,既往の研究 3-1) においてもゴム材の厚さと幅の比率によって影響を受け ると指摘されている.これについては,初期接面応力の推定の項で詳述する.. 圧縮応力 σ (×100kN/m 2). 150. シール材幅 20 (mm) シール材幅 30 (mm) シール材幅 50 (mm). 125 100 75 50 25 0 0. 10. 20. 30. 40. 50. 圧縮率 ε (%) ※ 圧縮率ε=δ/t δ:設定目開き量 t:シール材の変形前の総厚(=16mm) 図 3.9 シール材の幅の違いによる圧縮応力と圧縮率との関係. 34.
(9) (2) シール溝がある場合の止水試験結果 実際のセグメントにはシール溝が存在し,そこにシール材が貼り付けられる. 図 3.10 はシール溝の深さが 2.3mm および 5.0mm の場合の止水試験の結果から 漏水時の作用水圧と漏水個所の接面応力との関係を示したものである.いずれ の場合も,作用水圧が接面応力を上回ったときに漏水が発生していることが確 認された.したがって,シール溝がある場合においても密封の原理が成り立っ ていることがわかった.またすべての試験ケースにおいて最終的な漏水個所は シール材とシール溝との接触面であることを目視により確認した. 一般に現場等で,シール材の止水性能を確認する場合には,鋼製またはコン クリート製の止水試験装置を用いている.そのため,漏水箇所を特定すること ができないことが予想される.そこで,漏水時の接面応力の平均値と漏水時の 作用水圧との関係から止水試験結果を整理することとした. クロロプレンゴム:シール溝の深さ 2.3mm × 10 0 k N / m 2. 8. d. シール溝の深さd=2.3mm. 漏水時作用水圧. 6. 4. 2. 0. 凡 例 50mm×(8mm×2枚) 30mm×(8mm×2枚) 20mm×(8mm×2枚). 0. 2. 4. 6. 8. × 1 0 0 k N / m2. 漏 水 箇所 の 接 面 応力. クロロプレンゴム:シール溝の深さ 5.0mm × 10 0 k N / m 2. 8 d. シール溝の深さd=5.0mm. 漏水時作用水圧. 6. 4. 2. 0. 凡 例 50mm×(8mm×2枚) 30mm×(8mm×2枚) 20mm×(8mm×2枚). 0. 2. 4. 6. 8 × 1 0 0 k N / m2. 漏 水 箇所 の 接 面 応力. 図 3.10 シール溝がある場合の漏水時の作用水圧 35.
(10) 図 3.11 は,図 3.6 および図 3.10 の試験結果における漏水時の平均接面応力 と漏水箇所の接面応力との関係を示したものである.なお,平均接面応力は, 試験装置に取り付けた小型圧力変換器6個の平均値である. 図 3.11(1)の漏水時の平均接面応力と漏水箇所の接面応力との関係を直線回 帰すると,その傾きは 0.91 となり,漏水時の平均接面応力が漏水箇所の接面応 力を若干上回ることがわかる.一方,図 3.11(2)に示した作用水圧と漏水時の 平均接面応力との関係を直線回帰したときの傾きは 1.06 となった.また,実際 の現場で使用されているシール材は,一般に作用水圧に対して設計された接面 応力は 2〜3 倍の安全率を有しており,さらに本論文で提案した設計法において, 長期の自封作用の効果は無視しているなど,かなり安全側の立場をとっている. これらのことから,これ以後漏水時の作用水圧は漏水時の平均接面応力で評 価しても良いものと判断した. × 1 00 kN/ m 2. 漏水箇所接面応力. 8 6 0.91. 4 2 0 0. 2. 4 漏水時平均接面応力. 6. 8 × 1 00kN / m 2. 図 3.11(1) 漏水時の平均接面応力と漏水箇所の接面応力との関係 × 1 0 0 k N / m2. 漏水時作用水圧. 8. 6 1.06 4. 2. 0 0. 2. 4 漏水時平均接面応力. 6. 8 × 1 0 0 k N / m2. 図 3.11(2) 漏水時の平均接面応力と漏水時の作用水圧との関係. 36.
(11) (3) 目違いを与えた場合の止水試験結果 目違いを与えた場合の止水試験結果 通常セグメントの組立てにはボルトが使用されるが,組立時の施工性からボ ルトクリアランスとして 3mm〜5mm 程度が必要となる.したがって,実施工 においてはセグメントの組立て具合により,このボルトクリアランスの分だけ 目違いが生じる可能性がある.その場合には,シール材は目違いが生じた分だ けずれた状態で組み込まれることになる.試験では,目違いが生じた場合でも 漏水時の作用水圧と漏水時のシール材の接面応力との関係,すなわち密封の原 理が成立するかどうかを確認するため,通常考えられる最大目違い量 10mm の ほかに,目違い量 20mm,30mm の場合について幅 50mm のシール材を用いた 止水試験を行った.これらの目違い量は,シール材をその分だけ強制的にずれ た状態で組み込むことにより評価した. 図 3.12 は目違い量を与えた場合の止水試験結果を示したものであるが,この 場合においても,作用水圧が平均接面応力を上回ったときに漏水が生じること が確認できた. クロロプレンゴム:シール溝の深さ 2.3mm × 10 0k N/ m 2 シール溝の深さd=2.3mm. d. 8 漏水時作用水圧. 6. 4. 凡. 2. 0. 例. 目違い量10mm 目違い量20mm 目違い量30mm. 0. 2. 4. 6. 8. × 10 0 kN /m 2. 漏水 水時 時の 平平 均均 の接 接面 面応 応力 力 漏 t = 16mm. シール材の幅a=50mm. シール材の幅a=50mm. 8mm 8mm. 8mm 8mm. 8mm 8mm 目違い量Δ=10mm. シール材の幅a=50mm. 目違い量Δ=20mm. 目違い量Δ=30mm. 図 3.12 目違いを生じた場合の漏水時の作用水圧と 漏水時の平均接面応力との関係. 37.
(12) 【第3章 参考文献】 3-1) (社)日本鉄道車両工業会:改訂防振ゴム,㈱現代工学社,pp.95〜pp.98, 1980 年 8 月.. 38.
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