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学位論文審査結果 の要 旨

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Academic year: 2022

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氏 名

学 位

専 門 分 野 の 名 称 学 位 授 与 番 号 学 位 授 与 の 日付 学 位 授 与 の 要 件

学 位 論 文 題 目

学位論文審査委員

青 木 香澄 博 士 歯 学

博 甲第4522号 平成24年3月23日

医歯薬学総合研究科病態制御 科学 専攻 (学位規則 (文部省令)第4条第 1項該 当)

血管新生 因子angiogeninを標 的 と した 口腔扇平上皮癌 の癌 骨 破壊制御 に関す る研究

教 授 長塚 仁 教 授 佐 々木 朗 教 授 滝川 正春

学位論文 内容 の要 旨

【緒 言】

口腔 癌 の顎骨へ の浸潤, 骨破壊 は広範 囲な顎骨切 除 が必要 とな り,噂機 能 の低下 な ど患者 のQOLを低下 させ る。癌 による骨浸潤,骨破壊 には破骨細胞性骨吸収 が重要 な役割 を果 た してお り, そ の制御 は臨床上極 めて重 要 な課題 で あ る。 また,癌 の増殖 には血管新 生 が必要 で あ り.近 年,血管新 生 を標的 と した治療 が臨床応用 され て きて い る。

Angiogenin仏NG)は ヒ ト結腸癌細胞株 の培養上清 か ら単離 され た血管新生 因子であ る。癌細胞 が産生す るANGは血管 内皮細胞 に作用 し.臆病 血管新生 に重要 な役割 を果 た してい る。ANGに よる血管新生 は主 に4つの機序 に よ り引 き起 こされてい る。す な わ ち. リボヌク レアーゼ活 性,血管 内皮細胞基底膜 の分解.ERKとAktによるシグナ ル伝達,rRNAの転写促進 であ る。これ まで に種 々の癌細胞 でANGの発現 の克進 が確 認 され てい るが. 口腔 癌 にお け る報告 はほ とん どない。 また.血管新生 因子 は破 骨細 胞 性骨 吸収 と関連 して認 め られ ることが多 く.骨形 成 のみ な らず破 骨細胞形 成 と血管 新生 因子 が相 互 に密接 な関係 にあ ることが示唆 され てい る。 しか し.癌誘発性骨破壊 に対す るANGの関わ りについては明 らかにされてい ない。そ こで,本研究 では癌 の骨 浸潤 な どの癌誘発性骨破壊 に対す る ANGの分子標 的治療 と しての有用性 な らび にそ の制御機構 を検討 した。

【材料 と方法】

1.ANGの血管新生能 に関す る検 討

血 管 新 生 能 の評 価 に は Angiogenesiskitを用 い たo 正 常 ヒ ト頗 帯静 脈 内皮 細 胞

(HUVEC)に種 々の濃度 のANGを添加 して培養 を行 い, またHUVECにANGの

siRNA (ANG‑siRNA)を遺 伝 子 導入 して.ANGを ノ ックダ ウ ン して, それ ぞれ の

HUVECの管腔長 を測定 した。

2.ANGの陸湯増殖能 に関す る検討

ANG分泌 レベルの高い ヒ ト口腔扇平上皮癌細胞株 HSC・2を使用 し,ANGが 口腔癌 細胞 の細胞増殖 に与 え る影響 を検 討す るため,ANGを ノ ックダウン した HSC‑2細胞 の増殖能 について細胞数 を測定 して検討 した。

(2)

3.ANGの破骨細胞性骨吸収 に対す る影響

6週齢 雄C57BU6Jマウスの大腿骨骨髄細胞 を回収 し,種 々の濃度のANGを添加 し て培養 し.TRAP染色を行 った.TRAP 陽性で3核以上の多核細胞 を破骨細胞 と して その細胞数を測定 した.破骨細胞の吸収活性能はpitformationassayにて評価 した.

ANG・siRNAが破骨細胞形成系 に与える影響 を調べ るため.骨髄細胞 に ANG‑siRNA を遺伝子導入 し.ANGの発現 をノックダウンさせて.同様 にTRAP染色にて破骨細胞 数 を測定 した。

4ANGノックアウ トマウス (ANG・KOマウス)の破骨細胞形成能の検討

ANG‑0 マウスの骨髄細胞,腺細胞 を用いて.破骨細胞形成能 を野生型 (WT)と の比較か ら検討 した。破骨細胞形成の評価は同様 にTRAP 染色にて破骨細胞数 を測定

した。

5.ST2細胞 におけるANGの影響 を検討

マ ウス骨髄 間質細 胞 で あ る ST2細 胞 に種 々の濃 度 の ANGを添 加 した場 合 の RANKL,OPG,M‑CSF,ANGmRNA発現をRT‑PCR法 にて検討 した0

6.マウス癌骨破壊動物 モデルでの検討

癌の骨破壊の評価 には,ANGの発現を抑制 した癌細胞 を髄腔 内に注入 して作製 した 骨破壊モデルを用いて検討 した。作製 したモデルに対 して.X線学的.組織学的,免疫 組織化学的に検討 した。

【結果 と考察】

1)ANGの血管新生能な らびに桂揚増殖能の検討

HtJVECANGsiRNAにてノックダウンす ると.その管腔形成能は著明に抑制 された。また,HSC・2ANGの発現をノックダウンす ると細胞増殖能は抑制 された。

これ らの結果 より,ANGは癌細胞 を直接的に促進 し,癌細胞か ら産生 されたANGに よって腫癌血管新生が促進す ることにより腫揚増殖 を調整 してい る可能性が示唆 され た。

2)ANGの破骨細胞性骨吸収に与える影響

マウス骨髄細胞 を用いてANGの破骨細胞形成能,骨吸収活性能 を検討 した結果.破 骨細胞形成 も骨吸収活性 も促進 していた。 また,ANGsiRNAで ノックダウンした 系な らびにANG・0 マウスを用いたANGの発現抑制 によって破骨細胞形成 は抑制 さ れた。以上の結果 よ り,ANGは破骨細胞形成な らびに骨吸収活性 に対 して促進的に働 くことが示唆 された。破骨細胞形成 を支持す る骨髄間質細胞 ST2による破骨細胞分化 誘導関連遺伝子の検索 を行 ったが.RANKL OPG.M‑CSFの発現は変化が少な く.

ANGの発現は上昇 していたOこの結果 はANGは破骨細胞形成 に促進的に働 くものの, 破骨細胞活性因子であるRANKLとRANKを介 した骨芽細胞 とのカップ リングに関 し ては影響が少ない と考え られた。 このことか ら,ANGは骨芽細胞には影響が少な く, 破骨細胞分化の過程 に関与 している可能性が推乱 され る0

3)ANGの 口腔扇平上皮癌 の癌骨破壊動物モデルでの検討

HSC‑2細胞 を大腿骨骨髄腔 内に注入 した骨破壊モデルの検討では.HSC・2ANG をノックダウンす ることにより,Ⅹ線学的,組織学的検討か ら腫癌の増殖は抑制 され, 破骨細胞形成 な らびに骨吸収 も抑制 され,臆病周囲の血管新生 も抑制 した。

以上の結果よ り.ANGi)腫癌増殖. ii)血管新生.iii)破骨細胞性骨吸収の抑制 を 期待 した分子標的治療のターゲ ッ トになる可能性が示唆 された.現在.抗ANG薬 とし ての開発が進め られてお り.癌治療のみならず.骨代謝性疾患への展開が期待 される.

(3)

学位論文審査結果 の要 旨

口腔癌 における顎骨浸潤、骨破壊 は患者のQOLを著 しく低下 させることか ら、癌骨破壊 の制御は臨宋上極 めて重要 な課題である。 また、癌 の増殖 には血管新生が必要であ り、近 年、血管新生 を標的 と した治療が臨宋応用 されてきてい るoangiogenin仏NG)は ヒ ト結腸

癌細胞株 の培養上清か ら単離 された血管新生因子である。癌細胞が産生す るANGは血管内 皮細胞に作用 し、臆病血管新生に促進的に働 くことが明 らか とな ってお り、これ までに種 々 の癌細胞でANGの発現の克進が確認 されている。しか し、口腔癌 における報告はほとんど な く、また、癌誘発性骨破壊 に対す るANGの関わ りについては明 らかにされていない。そ こで、本研究では癌誘発性骨破壊 に対す るANGの役割 な らびにANGの分子標的治療 とし ての可能性 を検討 し、以下の結果 を得た。

1)ANGの血管新生能な らびに腫揚増殖能の検討

口腔扇平上皮癌細胞HSC・2のANGの発現をノックダウンす ると細胞増殖能は抑制 さ れたOまたHUVECにおいてANGは濃度依存的に管腔形成能 を促進 し、ANGの発現 を

抑制すると管腔形成能 は抑制 された。

2)ANGの破骨細胞性骨吸収 に与える影響

マウス骨髄細胞 にANGを添加 して培養す ると破骨細胞形成が冗進 し、骨吸収活性能 も 冗進 した。 また、骨髄細胞 のANGの発現をsiRNAでノックダウンす ると破骨細胞形成 の抑制が認め られた。ANG・KOマウスの骨髄細胞、牌細胞 を使用 した破骨細胞形成の検 討では破骨細胞形成 は共に抑制 された。破骨細胞形成 を支持す る骨髄間質細胞ST2によ る破骨細胞分化誘導関連遺伝子の mRNAの発現の変化では、RANKL、OPG、M・CSF

の発現は変化が少な く、ANGの発現は上昇 していた。

3)ANGの 口腔扇平上皮癌の癌骨破壊動物モデルでの検討

ANGの発現 をノックダウン したHSC‑2で作製 した癌骨破壊 モデルの検討では、Ⅹ 線 学的、組織学的検討か ら腫湯の増殖 は抑制 され、破骨細胞形成 な らびに骨吸収 も抑制 さ れ、腫揚周関の血管新生 も抑制 されていた。

以上の結果 より、ANGi)腫揚増殖、 ii)血管新生、in)破骨細胞性骨吸収の抑制 を期待 した分子標的治療 のターゲ ッ トになる可能性が示唆 された。本研究 は癌治療の面で有用 な 知見 と考 えられ る。 よって、審査委員会は本論文に博士 (歯学)の学位論文 としての価値

を認める。

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