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東南アジア経済論 II 第 12 回 7 月 11 日 聖地巡礼と旅行 I. 聖地巡礼 巡礼とは 巡礼 : 宗教ツーリズム= 参加者が部分的ないし全面的に宗教的理由に動機付けられているツーリズムの類型 3つ

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I. 聖地巡礼

巡礼とは 巡礼: 宗教ツーリズム=参加者が部分的ないし全面的に宗教的理由に動機付けられているツ ーリズムの類型 3つの特徴: ①異郷への旅、②消費行動、③特定の場所をめぐる営み 巡礼の対象となる土地・場所: 当該宗教にとって、「神聖である」と意義付けられている土地・ 場所。(例)開祖・聖人の生誕地・墓所、当該宗教の存続をかけた戦争が行われた地 代表的な聖地と聖地巡礼 日本: 伊勢神宮(神道、お伊勢参り)、四国八十八寺(仏教、四国遍路) キリスト教: バチカン、ルルド(フランス) イスラーム: メッカ(ハッジ)、マディーナ エルサレム: ユダヤ教、キリスト教、イスラームにとっての聖地 イスラームにおける巡礼 ハッジ(hajj): ヒジュラ暦 12 月に行うメッカ巡礼 ウムラ(umrah): ヒジュラ暦 12 月以外の時期に行うメッカ巡礼 ズィヤーラ(ziyarah): アラビア語で「訪問」。イスラームにおいては「聖者廟参詣」。イス ラームにおいて重要とされる人物の墓やゆかりのモスクへの訪問。(例)預言者ムハンマドの親 族、歴代のカリフやイマーム、著名なイスラーム法学者、スーフィーなど。イスラーム諸国の 各地に存在。願掛け、観光などが伴う 聖地エルサレム ユダヤ教: 嘆きの壁。エルサレム神殿の外壁 キリスト教: 聖墳墓教会。キリストの埋葬地 イスラーム: 岩のドーム。ムハンマド昇天の旅 サウジ側の受け入れ体制①: ハッジ巡礼者数 増加。2012 年には 300 万人越え →工事につき、翌年以降減少 サウジ側の受け入れ体制②: ハッジ・クオタ(hajj quota) 国ごとにハッジ・ビザの発給件数を割り当てる制度 きっかけ: 1987 年、イランからの巡礼者が反米・反イスラエルを主張して警官隊と衝突、死 者 402 名の大惨事に発展 おおむね、ムスリム人口 1,000 人につき 1 件の割合 →サウジ政府との関係によって増減 主な東南アジア諸国のハッジ・ビザ割り当て数: インドネシア=21 万 1,000 件、マレーシア =2 万 8,000 件、タイ=1 万~1 万 2,000 件、シンガポール=980 件

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東南アジア経済論 II 第 12 回 7 月 11 日 「聖地巡礼と旅行」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chusea/ サウジ側の受け入れ体制③: ハッジ専用ターミナル キング・アブドゥル・アジズ国際空港: メッカに近いジェッダにある国際空港のハッジ専用 ターミナル(hajj terminal) 設置の理由: 管理・手続きの一元化。メッカへの移動をスムーズに行う(交通機関の整備)。 不法滞在予防 サウジ側の受け入れ体制④ :ガイド(muttawif) ハッジ・ガイド: 外国人巡礼団に同行して、メッカ内での諸手続き、巡礼方法のレクチャー、 各種補助・ガイドを行う職業。ツアー・コンダクター。男女ともにいる。ウムラにも対応 数日で 800~5,000 米ドル程度の報酬 伝統的に、特定の家柄の者によって独占され、現在は 6 つの企業に編成 高度な職業: メッカでの手続き、諸言語をマスターして外国人巡礼者に対応 送り出す側の体制: ツアー会社のウムラ・パッケージ・ツアー ウムラ: 日程や作法、ビザ発給制限、現地での混雑具合、サウジ政府の規制など、自由度の 低いハッジに比べ、ウムラは自由度が高い サウジへのアクセスが比較的困難な欧米や東南アジア諸国では、ウムラを行うパッケージ・ツ アーが増えている 内容: メッカ巡礼を基本、サウジ周辺の聖者廟参詣や観光、買い物などを実施 ツアー会社、お土産や宿泊施設、食事、各種特典、価格帯などでツアーの差別化を図る 本例における特典 他のパッケージ・ツアーの事例における付加価値・差別化 ズィヤーラ(聖者廟参詣) 聖者(ワリー, wali): イスラームの教えを人々にもたらし、人々の現世利益の受け皿として 各地で宗教実践を行い、時には自然現象を超越した奇跡を行った人物 聖者の霊的力(バラカ, baraka): アラビア語で「祝福」の意味。存命中は本人に、死後は遺 品(聖遺物)や聖者廟に宿る 活動: 供物の提供、願掛け、遠くからの来訪者、周辺には市が立つなどの経済活動 ズィヤーラの位置づけ 伝統的イスラームの実践、イスラーム復興、経済活動との関係性 正統なイスラームからの視点: 「聖者を神聖視し、アッラー以外のものを拝んでいる」「イス ラーム以前の伝統的な信仰の名残・他宗教の慣行との混合」「正しいイスラームではない」と否 定的に捉えられることがある ⇔ 現代においても、イスラーム諸国で広く見られる現象 バングラデシュ、バゲルハートの都市遺跡

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聖者カーン・ジャハン・アリ(1459 年没)の聖者廟。周辺にモスクや人工池が点在。1985 年 に世界遺産登録 「聖者が池に住むワニを弟子にし、イスラームを教えた」。ワニが「人々の願いを聖者にとりな す存在」とみなされ、願い事があるとワニに供物(鶏肉など)を捧げて願掛けを行う信仰ある 者が集まる宗教施設から、観光客が集まる観光地へ バラカの恩恵 ラホールのバードシャーヒー・モスクにあるムハンマドの聖遺物

II. 旅行

旅行の意義 クルアーン: 「地上を旅せよ。そして、審理を拒否した者の最後が、どうであったかを見な さい。」 [6:11] 巡礼:行き先、目的がイスラームに適っているもの。ハッジ、ウムラ、ズィヤーラ 旅行: 行き先、目的が必ずしもイスラームに則っているわけではない。観光、余暇活動、ス ポーツ観戦など 市場規模 2011 年: ムスリム旅行者が 1,260 億米ドルを支出。世界の全旅行者の支出の 12.3%を占める (→1995 年は 3.5%程度) 市場の見込み: 2020 年までには 2,000 億米ドル規模に拡大すると予想 背景: ①ムスリム中間層の拡大、②海外旅行が「好ましいレジャー」に、③非イスラーム諸 国もムスリム・ツアーに注力 旅行の構成要素 主旨、目的地、交通手段、宿泊先、食事、体験・活動 「休暇を利用して家族で旅行をする。旅先で珍しいものを見、体験する。ただし、食事もホテ ルも全てハラール。いつでも礼拝が行える。金曜日には旅先のモスクで集団礼拝に参加する。 他宗教の施設は見学しない。」 全てのプロセスのイスラーム化 →旅行産業のハラール産業化 パッケージ・ツアー ムスリム・(フレンドリー・)ツアー、ハラール・ツアー 先の条件を満たす、ムスリム観光客のためのパッケージ・ツアー 目的地: イスラーム諸国だけでなく、非イスラーム諸国も対象 受入地・国: ムスリム観光客がイスラームに反さないよう、各種対応

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東南アジア経済論 II 第 12 回 7 月 11 日 「聖地巡礼と旅行」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chusea/ 対応方法: 訪問地、ホテル、食事、礼拝、お土産 旅行産業のハラール産業化 観光産業: ホテル、交通機関、ツアー会社、観光スポット(商業施設、博物館・テーマパー ク、公園など)、レストラン、土産物屋、情報(ガイドブック、ウェブサイト)、など 空港と航空会社による対応 空港: 礼拝スペースの設置

航空会社: ハラールの機内食=世界共通のガイドライン(IATA Special Meal guidelines)、 子供向け、疾病患者向け(アレルギー、糖尿病など)、宗教・信仰向け ホテルによるイスラームへの準拠 統一基準の欠如: 宿泊施設に関するクルアーン、ハディースの記述が少ない。イスラーム法 学者による議論が、それほど盛り上がっていない。宿泊施設そのもののハラール化の議論自体、 近年起きてきたもの。イスラーム金融やハラール食品ほど、基準作りや認証制度が未発達 → 一部で基準化作りを提唱する動きも出てきている イスラームに反する要素を排除すべきポイント 業務運営: ハラールの料理のみを提供、アルコールを提供しない、従業員の半数以上がムス リム、性別に基づくフロアー構成と接客、保守的なテレビ番組、クルアーンと礼拝用マット デザイン、インテリアの状態: 会議室(ファンクション・ルーム)、キブラ(qibla)、レスト ランのテナント、ベッドとトイレの位置、調度品、プール、ジム、スパ(wellness facilities) 財務状況: 資金調達ザカートの負担 顧客側からのホテルのレーティング 情報サイト: ホテルがどの程度ハラールに準拠しているのか、顧客の口コミで格付け。 HalalTrip, Crescent Rating など

選考基準(HalalTrip): 女性専用プール、ハラール料理の提供、アルコールの提供、礼拝室 実際のホテルの取り組み

マレーシアの De Palma Hotel Group の例

ムスリム利用者に対して提供しているサービス: ムスリム専用のフロアー。女性客に対して は女性の従業員が対応。女性従業員はイスラームに適した服装を着用。クルアーンが流れる有 線放送。客室内には、クルアーン、礼拝用マット、礼拝用衣装を完備。集団礼拝が可能なスペ ースと、イマームが常駐。勉強会を実施。ボール・ルームを使用する際は、会議に先立ってイ マームが挨拶

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I. ク ル ア ー ン の 規 定

ク ル ア ー ン に み る 女 性 の 服 装 「 信 者 の 女 た ち に 言 え 。彼 女 ら の 視 線 を 低 く し 、貞 節 を 守 れ 。外 に 現 れ る も の の ほ か は 、彼 女 ら の 美 を 現 し て は な ら ぬ 。そ れ か ら 、ヴ ェ ー ル を そ の 胸 の 上 に た れ よ 。お の れ の 夫 ま た は 父 の ほ か は 、彼 女 の 美 を 現 し て は な ら ぬ 。な お 、夫 の 父 、お の れ の 息 子 、 夫 の 息 子 、ま た 自 分 の 女 た ち 、自 分 の 右 手 の 持 つ 奴 隷 、ま た 、性 欲 を 持 た ぬ 供 回 り の 男 、 ま た は 女 の 体 に 意 識 を 持 た ぬ 幼 児 ( の 他 は )。( 後 略 )」 [24: 31] 「 預 言 者 よ 、汝 の 妻 、娘 た ち 、ま た 信 者 の 女 た ち に も 、彼 女 ら に 長 衣 を ま と う よ う 告 げ よ 。( 後 略 )」 [33:59] ポ イ ン ト : ① 隠 す べ き 部 位 は ど こ か ? 外 に 現 れ る 部 分 ⇔ 隠 す べ き 部 分 (‘ awrah, ア ウ ラ ) 隠 す べ き 部 分 = 美 し い 部 分 ? → ど こ が 美 し い ? ポ イ ン ト : ② ど う や っ て 隠 す か ? → 「 ヴ ェ ー ル 」 = ブ ル ク ウ ( burku’)、「 長 衣 」 = ジ ル バ ー ブ ( jilbab) 女 性 の 体 の 一 部 を 、( 結 婚 対 象 と な り う る ) 男 性 の 前 か ら 隠 す こ と を 命 じ て い る こ と は 明 白 ⇔ ク ル ア ー ン の「 隠 す べ き 部 分 」と「 隠 す た め の 服 装 の あ り 方 」が 不 明 確 → 解 釈 に 地 域 間 の 差 異 が 発 生 地 域 の 伝 統 、 気 候 、 解 釈 の 伝 播 ・ 受 容 、 欧 米 文 化 と の 接 触 、 許 容 の 度 合 い 地 域 に よ っ て 色 、 素 材 、 形 状 、 名 称 が さ ま ざ ま

II. イ ス ラ ー ム 諸 国 の 女 性 の フ ァ ッ シ ョ ン

中 東 ・ 北 ア フ リ カ : ブ ル カ ( burka)、 ニ カ ブ ( niqab)、 ヒ ジ ャ ー ブ ( hijab)、 チ ャ ド ル ( chador)、 ア バ ー ヤ ( abaya)

南 ア ジ ア

東 南 ア ジ ア: ク ル ド ゥ ン( kerudung)、ジ ル バ ッ ブ( jilbab)、ヒ ジ ャ ー ブ( hijab)、 ト ゥ ド ゥ ン ( tudung)

イ ス ラ ー ム 服

ム ス リ ム 男 性 の フ ァ ッ シ ョ ン

III. ヴ ェ ー ル 着 用 の 意 義

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東南アジア経済論 II 第 13 回 7 月 11 日 「イスラームとファッション産業」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chusea/ ヴ ェ ー ル 着 用 の 時 期: ム ス リ ム 女 性 、形 状 や 隠 す 部 位 は と も か く ヴ ェ ー ル 着 用 の 義 務 は 明 白 。 第 二 次 成 長 期 ご ろ が 目 安 。 小 学 校 の 制 服 の 事 例 あ り 「 ム ス リ ム だ か ら 」と い う 理 由 だ け で 、あ る 日 突 然 着 用 す る よ う に な る の か ? 個 人 の 好 み ・ 経 験 と 、 社 会 的 状 況 と の 関 係 は ? 3 つ の 事 例 : イ ラ ン ( イ ス ラ ー ム 化 の 象 徴 と な っ た 事 例 )、 エ ジ プ ト ( 自 由 化 の 象 徴 と な っ た 事 例 )、 イ ン ド ネ シ ア ( ヴ ェ ー ル 着 用 を 決 心 さ せ た き っ か け ) イ ラ ン の 事 例 : イ ス ラ ー ム 化 の 象 徴 パ フ ラ ヴ ィ ー 朝 期 ( 1925-1979 年 ): 上 か ら の 「 白 色 革 命 」 = ア メ リ カ の 支 援 で 産 業 改 革 ・ 近 代 化 を 推 進 。 一 夫 一 妻 婚 、 女 性 参 政 権 、 チ ャ ド ル 禁 止 な ど を 推 進 イ ラ ン・イ ス ラ ー ム 革 命( 1979 年 ): 白 色 革 命 に 反 対 す る シ ー ア 派 が ホ メ イ ニ ー を 中 心 に 革 命 。パ フ ラ ヴ ィ ー 朝 崩 壊 、イ ラ ン・イ ス ラ ー ム 共 和 国 成 立 → イ ス ラ ー ム 化 政 策 を 実 施 、 チ ャ ド ル 着 用 が 必 須 化 チ ャ ド ル 着 用 の 可 ・ 不 可 が 、 親 米 ・ 親 王 朝 路 線 と イ ス ラ ー ム 路 線 の 対 立 の 象 徴 に そ の 後 : 時 の 政 権 に よ っ て 取 り 締 ま り の 厳 し さ が 変 化 す る エ ジ プ ト の 例 : 着 用 す る 権 利 ・ 自 由 ム バ ラ ク 政 権 ( ~ 2012 年 2 月 ): 女 性 ニ ュ ー ス ・ キ ャ ス タ ー の ヴ ェ ー ル 着 用 禁 止 ア ラ ブ の 春( 2012 年 6 月 ): 大 統 領 選 、ム ス リ ム 同 胞 団 系 の ム ル シ ー 氏 が 当 選 就 任 ヴ ェ ー ル 解 禁 : 2012 年 9 月 、 国 営 放 送 局 の フ ァ ー ト マ ・ ナ ビ ル 氏 が ヴ ェ ー ル を 着 用 し て ニ ュ ー ス 番 組 に 出 演 意 義: ム ル シ ー 大 統 領 就 任 で 、エ ジ プ ト 政 治・社 会 が イ ス ラ ー ム 化 し た の で は な く 、 キ ャ ス タ ー に ヴ ェ ー ル を 着 用 す る 権 利 が 認 め ら れ た イ ン ド ネ シ ア の 例 : 着 用 す る よ う に な っ た わ け 「 ヴ ェ ー ル を 着 用 す る よ う に な っ た き っ か け 」 に 関 す る ジ ャ ワ 島 で の 調 査 対 象 : 1990 年 代 後 半 ~ 2000 年 代 前 半 に ヴ ェ ー ル 着 用 を 始 め た 女 性 イ ン ド ネ シ ア に お け る イ ス ラ ー ム の 位 置 づ け 1980 年 代 : 世 界 的 な イ ス ラ ー ム 復 興 と 、 ス ハ ル ト 政 権 に よ る 否 定 1990 年 代 : イ ス ラ ー ム 緩 和 政 策 に 転 じ る 1998 年 : ジ ャ カ ル タ 騒 乱 → ス ハ ル ト 、 ハ ビ ビ 政 権 崩 壊 。 イ ス ラ ー ム 主 義 政 党 党 首 の ワ ヒ ド 政 権 誕 生 。 イ ス ラ ー ム 化 が 大 幅 に 緩 和 イ ン ド ネ シ ア に お け る ヴ ェ ー ル 着 用 : 学 校 の 例

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1982 年 : 全 国 統 一 の 制 服 が 導 入 。 ヴ ェ ー ル の 着 用 を 禁 止 1991 年 : 規 定 以 外 の 制 服 の 着 用 認 可 。 ヴ ェ ー ル の 着 用 が 可 能 2000 年 代 : ヴ ェ ー ル 着 用 者 が 目 立 つ よ う に な る き っ か け 自 身 の イ ス ラ ー ム へ の 理 解 の 深 ま り 。イ ス ラ ー ム を 身 近 に 感 じ る 具 体 的 な 出 来 事 。家 族 ・ 社 会 か ら の プ レ ッ シ ャ ー 単 純 に「 イ ス ラ ー ム 化 が 進 展 し た か ら 」や「 着 用 す べ き 年 齢 に な っ た か ら 」と い っ た 理 由 だ け で は な い 、 個 々 人 と 社 会 の 関 係 や 事 情 が 存 在

IV. ス ポ ー ツ の ユ ニ フ ォ ー ム と イ ス ラ ー ム

○ ス ポ ー ツ の 意 義 価 値 観 の 共 有 : 勝 利 ・ 敗 北 の 条 件 、ル ー ル 、使 用 器 具 、競 技 環 境 。ト レ ー ニ ン グ の あ り 方 、ア ン チ・ド ー ピ ン グ 。こ れ ら を 共 有 し て い な い 限 り 、競 技 に は 参 加 で き な い → 競 技 者 の 文 化 ・ 宗 教 を 超 え て 、 ル ー ル ・ 価 値 観 が 共 有 さ れ る 行 為 ( 例 )サ ッ カ ー: ル ー ル「 キ ー パ ー 以 外 は ボ ー ル に 手 を 触 れ て は い け な い 」 ← 反 発 「 も の を 足 で 蹴 る の は 下 品 な 行 為 」「 手 で 触 っ て も い い じ ゃ な い か 」。 対 応: 一 部 の 人 に ル ー ル の 適 用 を 除 外 す る こ と は あ り え な い 。ル ー ル 違 反 の 行 為 を 認 め れ ば 、 そ れ は も は や 別 の 競 技 ( サ ッ カ ー → ラ グ ビ ー ) ○ ス ポ ー ツ の ユ ニ フ ォ ー ム 特 徴 : 敵 ・ 味 方 ・ 審 判 ・ 観 客 を 識 別 。 選 手 の 身 体 を 保 護 。 記 録 向 上 を 補 佐 ル ー ル 化 : 競 技 ご と に 、 国 際 的 な 管 轄 団 体 ( FIFA な ど ) が 色 、 デ ザ イ ン 、 素 材 ・ 材 質 、形 状 な ど に つ い て 、統 一 ル ー ル を 策 定 。競 技 実 施 に あ た っ て は 、規 定 に 則 っ た ユ ニ フ ォ ー ム の 着 用 が 義 務 づ け 国 際 的 な 統 一 ル ー ル と イ ス ラ ー ム は 、 相 容 れ る こ と が で き る か ? ○ 2012 年 ロ ン ド ン 五 輪 と イ ス ラ ー ム ラ マ ダ ー ン 月 の 開 催 : ロ ン ド ン 五 輪 ( 7/27~ 8/12) ⇔ ラ マ ダ ー ン 月 ( 7/20~ 8/18) エ ジ プ ト 、マ レ ー シ ア な ど : 「 選 手 派 遣 は『 旅 行 中 』だ か ら 断 食 の 必 要 な し 。後 日 改 め て 断 食 す れ ば よ い 」 と の イ ス ラ ー ム 法 学 者 の 判 断 モ ロ ッ コ : 一 部 の 選 手 が 断 食 を 実 施 イ ス ラ ー ム 諸 国 : 「 今 後 は ラ マ ダ ー ン 月 と 重 な ら な い よ う に 」 と 申 し 入 れ

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東南アジア経済論 II 第 13 回 7 月 11 日 「イスラームとファッション産業」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chusea/ 初 め て 女 子 選 手 を 派 遣 し た 国 : オ リ ン ピ ッ ク 委 員 会( IOC)が こ れ ま で 女 子 選 手 の 派 遣 実 践 の な い 3 カ 国 に 派 遣 を 要 請 。サ ウ ジ 2 名 、カ タ ー ル 4 名 、ブ ル ネ イ 1 名 → 全 て の 国 ・ 地 域 が 女 子 選 手 を 派 遣 ○ イ ラ ン 女 子 サ ッ カ ー チ ー ム の 例 状 況 : 近 年 、 イ ラ ン 女 子 サ ッ カ ー チ ー ム の ヴ ェ ー ル 着 用 を め ぐ り 、 ト ラ ブ ル 発 生 イ ラ ン 側 : ヴ ェ ー ル は 「 ユ ニ フ ォ ー ム の 一 部 」、 着 用 し た ま ま の 出 場 主 張 FIFA 側 : 「 安 全 確 保 ( 首 が 被 わ れ て い る た め 、 体 温 調 整 が 難 し い )」「 試 合 時 に お け る 政 治 ・ 宗 教 的 主 張 の 禁 止 」 を 理 由 に 着 用 を 認 め ず IOC 側 : 全 て に 開 か れ た 大 会 を 目 指 し 、 着 用 し た ま ま の 出 場 を 認 め た い 意 向 ( 事 例 1 )2010 年 ユ ー ス 五 輪( シ ン ガ ポ ー ル ): イ ラ ン 側 は 着 用 し て の 出 場 を 主 張 、 FIFA は 認 め な い と 主 張 。 IOC 出 場 を 認 め る → 4 位 入 賞 ( 事 例 2 )2012 年 ロ ン ド ン 五 輪: ア ジ ア 予 選 大 会 が 2011 年 6 月 に 開 催 。一 度 は 3 者 間 で 合 意 が 出 来 た も の の 、直 前 に な り FIFA の 態 度 が 硬 化 。予 選 2 試 合 、試 合 開 始 直 後 に 「 反 則 負 け 」 と な る ポ イ ン ト: ① ヴ ェ ー ル 着 用 に よ っ て 、競 技 が 有 利 と な る こ と が あ る か ? ② ヴ ェ ー ル 着 用 は 積 極 的 な 「 政 治 ・ 宗 教 的 主 張 」 と い え る か ? そ の 後 の 対 応: 2012 年 9-10 月 、FIFA は ヴ ェ ー ル 着 用 の 試 験 導 入 と 、適 し た 形 状 ・ 素 材 等 の 選 定 を 決 定

V. ビ ジ ネ ス 市 場

○ ビ ジ ネ ス と し て の ム ス リ ム 女 性 の フ ァ ッ シ ョ ン 市 場 規 模 : 2012 年 = 2,240 億 米 ド ル 、 280 米 ド ル / 人 → 2018 年 = 3,320 億 米 ド ル 、 415 米 ド ル / 人 非 ム ス リ ム の 市 場 参 入 の 可 能 性: 消 費 者 = 非 ム ス リ ム 女 性 が 顧 客 に な る こ と は 考 え に く い 。 生 産 者 = 非 ム ス リ ム の デ ザ イ ナ ー 、 西 側 ブ ラ ン ド に よ る 参 入 ブ ル キ ニ( burkini): 肌 の 露 出 を 抑 え た 女 性 用 水 着 。ブ ル カ と ビ キ ニ か ら き た 造 語 オ ー ス ト ラ リ ア の Ahiida 社 製 。 創 業 者 は 、 レ バ ノ ン 系 オ ー ス ト ラ リ ア 人 ム ス リ ム 女 性 。 8,000-12,000 円 程 度

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フ ァ ッ シ ョ ン 消 費 額 上 位 14 ヶ 国 1~ 7 位 億 ド ル 8~ 14 位 億 ド ル ト ル コ 249 UAE 102 イ ラ ン 205 ア メ リ カ 84 イ ン ド ネ シ ア 168 イ ン ド 59 エ ジ プ ト 162 カ ザ フ ス タ ン 55 サ ウ ジ ア ラ ビ ア 153 ナ イ ジ ェ リ ア 54 パ キ ス タ ン 144 バ ン グ ラ デ シ ュ 50 ロ シ ア 124 ク ウ ェ ー ト 46 フ ァ ッ シ ョ ン 輸 出 入 額 上 位 12 ヶ 国 輸 入 1~ 8 位 億 ド ル 輸 出 1~ 8 位 億 ド ル UAE 71.8 中 国 1,480 サ ウ ジ ア ラ ビ ア 29.9 バ ン グ ラ デ シ ュ 220 ト ル コ 23.4 香 港 210 キ ル ギ ス タ ン 16.8 イ タ リ ア 200 イ ラ ク 7.2 ド イ ツ 180 マ レ ー シ ア 6.9 ベ ト ナ ム 150 カ ザ フ ス タ ン 6.4 ト ル コ 140 ク ウ ェ ー ト 61 イ ン ド 130

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