りそな会報誌6月号_
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(2) ズ ー ム アップ. ZOOM UP. 地域から元気を発信!. 〜豊かな社会の実現をめざす商工会〜 埼玉県商工会連合会 会長. 商工会活動の歴史は遠く明治14年にさかの ぼります。 埼玉県においても、明治24年に当時の幸手 町に商工会が設立されました。その後、昭和35. 本原則にした小規模企業振興基本法が成立し、. 会連合会に関する規定の追加と共に、全国商. 小規模企業振興施策の充実が図られることに. 工会連合会、都道府県商工会連合会、商工会. なりました。この法律は全国の商工会員の長年. という組織体制が確立しました。. の念願が実を結んだもので、商工会では「小規 の新たなスタートを切ったところです。 折しも平成27年度に商工会法施行55周年、. 立しようとの気運が高まりました。大学卒業後に、. 埼玉県商工会連合会創立65周年の節目を迎. 父の創業した酒販店を手伝っていた私も、 「生ま. え、地域の皆様から寄せられる大きな期待に的. れ育った地域のために何かお役に立ちたい。」と. 確かつ迅速にお応えしていくため、商工会の役. の一念から諸先輩とともに東奔西走し、昭和35. 職員一同は改めて気を引き締めております。. まさにここが私の商工会活動の原点であり、 これまで55年間にわたり商工会とともに歩んで 参りました。. 今後も埼玉県の商工会はそれぞれの地域を 元気にし、更に全国に向けてその活力を発信で きるよう、 「地域応援宣言! !」をキャッチフレーズ に努力して参ります。 それは、私が平成17年に県連合会会長とし. さて現在、県内54商工会では、全国随一で. て就任以来、 「地域活力の源泉である中小・小. ある6万余名の商工会員が青年部や女性部の. 規模企業の皆さんが元気になり地域が活性化. 皆さんと共に、経済活動はもとより、安全・安心. しなければ、日本は元気にならない。」と確信し. で豊かなまちづくり、地域文化の伝承、環境保. 続けているからです。. 表 者. ●創. 業. 昭和24年2月. 代表取締役社長. ●設. 立. 昭和42年9月. ●資. 本 金. ●売. 上 高. 境野 徳夫. 1,500万円 150億円 (グループ全体/ヒナ関連110億円、鶏卵関連40億円) 120名. ● 事業内容. 採卵鶏の育成ビナの生産・販売、鶏卵の生産・販売. ●所. 〒367-0075. 在 地. 埼玉県本庄市新井 955-117. TEL 0495-24-1177. 代表取締役社長. 境野 徳夫氏. ●U. R L. FAX 0495-21-4738. http://www.sakaino.co.jp/. ニワトリに卵を産ませ出荷する養鶏ビジネスは分業. る卵。だがその裏側には、生産性向上とコスト削減と. 化が進んでおり、種卵からヒナをかえす「孵化」、 ヒナ. いう養鶏業者のたゆまぬ努力が存在する。同社は時. をニワトリに育てる「育雛」、ニワトリに卵を産ませる. 代を見据え、いち早く欧米の生産方式と大規模設備. 「採卵養鶏」という3つの工程をそれぞれ専門の業者. を導入して生産規模と売り上げを伸ばしてきた。育雛. が行うのが一般的だ。 有限会社境野養鶏は、育雛事業を主軸に採卵養鶏 や卵の加工・販売といった卵にまつわる事業を一手に. からスタートした同社は事業の幅を広げながら、圧倒 的な生産規模と革新性により、業界内で存在感を示し ている。. 引き受ける、養鶏業界のパイオニアだ。埼玉や群馬の 関東圏を中心に青森、岩手、宮城、福島、新潟と30カ 所以上の農場を持ち、育雛で取り扱う羽数はおよそ 1,000万羽とトップクラスのシェアを誇る。. デパートの屋上でニワトリ販売 同社の創業者で代表取締役会長の境野三郎氏. 「畜産業界は戦後に発展しました。なかでもニワトリ. (現社長の父) は、戦地から復員して実家の農業を継. は、昭和30年代に外国産のヒナの輸入が自由化され. いだ。当時は農業の傍ら100羽ほどのニワトリを飼って. たことで、早くから企業化が進みました。さらに、高度. 卵を販売する有畜農業を行っていた。. 成長と相まって卵の需要が一気に伸びると、養鶏事業. そんなある日、知り合いからデパートの屋上でニワト. 者自ら、卵からヒナに孵化させ、ニワトリに育てていた. リを売らないかと声をかけられる。戦後の物資不足の. のでは卵の生産が間に合わないということになってき. 時代、ニワトリを飼って卵を食料にする家庭向けに販. ました。そこで、すぐに卵を産めるニワトリを望む養鶏. 売してはどうか、 というのだ。 しかし、孵化したばかりの. 全など広範な面から各地域を元気にしようと頑. どうか皆様方におかれましては地域で頑張る. 張っており、その活動がメディア等で紹介され. 中小・小規模企業の皆さんや商工会に対して、. 業者が増え、 ヒナをニワトリに育てるわれわれのような. ヒナを育てるのは素人には難しかったため、飼育が大. る度に私の励みとなっています。. 一層のご支援とご協力を賜りますよう心からお. ビジネスが発展してきたのです」 (境野徳夫社長). 変な時期だけ育てて販売したところ、それが飛ぶよう. しかしながら、商工会員の多くを占め、かつ、 1. 模企業振興元年」と位置づけ企業支援のため. ●代. ● 従業員数. 的に依然として厳しい経営環境にあります。. 法に準拠した体制へと整備が進み、翌年、商工. 参画したことを今でも鮮明に覚えています。. させる孵化業や西日本エリアへの農場展開を積極的に行っていく。. 円安による原材料価格の高騰などから、全国. 月に小規模企業の「事業の持続的発展」を基. 年11月、設立発起人として商工会の立ち上げに. 鶏は、日本でいち早く欧米にならって最新の生産方式を取り入れ、業界を牽引してきた。今後は種卵からヒナを孵化. 小・小規模企業者の方々は、地域活力の低下、. 会法」)」が施行され、全国的に任意団体から. る富士見村(現在の富士見市) にも商工会を設. いくすう. ヒナをニワトリまで育てて、その後、採卵養鶏業者に出荷する育雛ビジネス。育雛業トップクラスのシェアを誇る境野養. 日本経済成長の礎として重要な役割を担う中. そうした中、中小企業基本法に加え、昨年6. 域においても設立の動きが現れ、私の出身であ. 育雛を主軸に、卵ビジネスの川上から川下までを手がける、 養鶏業界のリーディングカンパニー. 大久保 義海氏. 年に「商工会の組織等に関する法律(現「商工. また、同法の施行を契機に商工会未設立地. 有限会社境野養鶏. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 願いを申し上げます。. 店頭価格の変動が少なく 物価の優等生 といわれ. に売れてデパートから次々と声がかかるようになった。 埼玉りそな経済情報 2015.6. 2.
(3) ズ ー ム アップ. ZOOM UP. 地域から元気を発信!. 〜豊かな社会の実現をめざす商工会〜 埼玉県商工会連合会 会長. 商工会活動の歴史は遠く明治14年にさかの ぼります。 埼玉県においても、明治24年に当時の幸手 町に商工会が設立されました。その後、昭和35. 本原則にした小規模企業振興基本法が成立し、. 会連合会に関する規定の追加と共に、全国商. 小規模企業振興施策の充実が図られることに. 工会連合会、都道府県商工会連合会、商工会. なりました。この法律は全国の商工会員の長年. という組織体制が確立しました。. の念願が実を結んだもので、商工会では「小規 の新たなスタートを切ったところです。 折しも平成27年度に商工会法施行55周年、. 立しようとの気運が高まりました。大学卒業後に、. 埼玉県商工会連合会創立65周年の節目を迎. 父の創業した酒販店を手伝っていた私も、 「生ま. え、地域の皆様から寄せられる大きな期待に的. れ育った地域のために何かお役に立ちたい。」と. 確かつ迅速にお応えしていくため、商工会の役. の一念から諸先輩とともに東奔西走し、昭和35. 職員一同は改めて気を引き締めております。. まさにここが私の商工会活動の原点であり、 これまで55年間にわたり商工会とともに歩んで 参りました。. 今後も埼玉県の商工会はそれぞれの地域を 元気にし、更に全国に向けてその活力を発信で きるよう、 「地域応援宣言! !」をキャッチフレーズ に努力して参ります。 それは、私が平成17年に県連合会会長とし. さて現在、県内54商工会では、全国随一で. て就任以来、 「地域活力の源泉である中小・小. ある6万余名の商工会員が青年部や女性部の. 規模企業の皆さんが元気になり地域が活性化. 皆さんと共に、経済活動はもとより、安全・安心. しなければ、日本は元気にならない。」と確信し. で豊かなまちづくり、地域文化の伝承、環境保. 続けているからです。. 表 者. ●創. 業. 昭和24年2月. 代表取締役社長. ●設. 立. 昭和42年9月. ●資. 本 金. ●売. 上 高. 境野 徳夫. 1,500万円 150億円 (グループ全体/ヒナ関連110億円、鶏卵関連40億円) 120名. ● 事業内容. 採卵鶏の育成ビナの生産・販売、鶏卵の生産・販売. ●所. 〒367-0075. 在 地. 埼玉県本庄市新井 955-117. TEL 0495-24-1177. 代表取締役社長. 境野 徳夫氏. ●U. R L. FAX 0495-21-4738. http://www.sakaino.co.jp/. ニワトリに卵を産ませ出荷する養鶏ビジネスは分業. る卵。だがその裏側には、生産性向上とコスト削減と. 化が進んでおり、種卵からヒナをかえす「孵化」、 ヒナ. いう養鶏業者のたゆまぬ努力が存在する。同社は時. をニワトリに育てる「育雛」、ニワトリに卵を産ませる. 代を見据え、いち早く欧米の生産方式と大規模設備. 「採卵養鶏」という3つの工程をそれぞれ専門の業者. を導入して生産規模と売り上げを伸ばしてきた。育雛. が行うのが一般的だ。 有限会社境野養鶏は、育雛事業を主軸に採卵養鶏 や卵の加工・販売といった卵にまつわる事業を一手に. からスタートした同社は事業の幅を広げながら、圧倒 的な生産規模と革新性により、業界内で存在感を示し ている。. 引き受ける、養鶏業界のパイオニアだ。埼玉や群馬の 関東圏を中心に青森、岩手、宮城、福島、新潟と30カ 所以上の農場を持ち、育雛で取り扱う羽数はおよそ 1,000万羽とトップクラスのシェアを誇る。. デパートの屋上でニワトリ販売 同社の創業者で代表取締役会長の境野三郎氏. 「畜産業界は戦後に発展しました。なかでもニワトリ. (現社長の父) は、戦地から復員して実家の農業を継. は、昭和30年代に外国産のヒナの輸入が自由化され. いだ。当時は農業の傍ら100羽ほどのニワトリを飼って. たことで、早くから企業化が進みました。さらに、高度. 卵を販売する有畜農業を行っていた。. 成長と相まって卵の需要が一気に伸びると、養鶏事業. そんなある日、知り合いからデパートの屋上でニワト. 者自ら、卵からヒナに孵化させ、ニワトリに育てていた. リを売らないかと声をかけられる。戦後の物資不足の. のでは卵の生産が間に合わないということになってき. 時代、ニワトリを飼って卵を食料にする家庭向けに販. ました。そこで、すぐに卵を産めるニワトリを望む養鶏. 売してはどうか、 というのだ。 しかし、孵化したばかりの. 全など広範な面から各地域を元気にしようと頑. どうか皆様方におかれましては地域で頑張る. 張っており、その活動がメディア等で紹介され. 中小・小規模企業の皆さんや商工会に対して、. 業者が増え、 ヒナをニワトリに育てるわれわれのような. ヒナを育てるのは素人には難しかったため、飼育が大. る度に私の励みとなっています。. 一層のご支援とご協力を賜りますよう心からお. ビジネスが発展してきたのです」 (境野徳夫社長). 変な時期だけ育てて販売したところ、それが飛ぶよう. しかしながら、商工会員の多くを占め、かつ、 1. 模企業振興元年」と位置づけ企業支援のため. ●代. ● 従業員数. 的に依然として厳しい経営環境にあります。. 法に準拠した体制へと整備が進み、翌年、商工. 参画したことを今でも鮮明に覚えています。. させる孵化業や西日本エリアへの農場展開を積極的に行っていく。. 円安による原材料価格の高騰などから、全国. 月に小規模企業の「事業の持続的発展」を基. 年11月、設立発起人として商工会の立ち上げに. 鶏は、日本でいち早く欧米にならって最新の生産方式を取り入れ、業界を牽引してきた。今後は種卵からヒナを孵化. 小・小規模企業者の方々は、地域活力の低下、. 会法」)」が施行され、全国的に任意団体から. る富士見村(現在の富士見市) にも商工会を設. いくすう. ヒナをニワトリまで育てて、その後、採卵養鶏業者に出荷する育雛ビジネス。育雛業トップクラスのシェアを誇る境野養. 日本経済成長の礎として重要な役割を担う中. そうした中、中小企業基本法に加え、昨年6. 域においても設立の動きが現れ、私の出身であ. 育雛を主軸に、卵ビジネスの川上から川下までを手がける、 養鶏業界のリーディングカンパニー. 大久保 義海氏. 年に「商工会の組織等に関する法律(現「商工. また、同法の施行を契機に商工会未設立地. 有限会社境野養鶏. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 願いを申し上げます。. 店頭価格の変動が少なく 物価の優等生 といわれ. に売れてデパートから次々と声がかかるようになった。 埼玉りそな経済情報 2015.6. 2.
(4) ZOOM UP. 昭和24(1949)年、 これが同社の育雛ビジネスのス. の衛生管理と徹底した品質管理体制を何よりも重視. いて食べさせたり、成長の遅れた小さいものはエサを. を製造する製薬企業に向けた有精卵の販売である。 こ. タートであった。. し、昭和47年以降この方式で出荷と入荷を行ってい. 食べやすくするため大きいものとは別のケージに移し. れは雄・雌のニワトリを受精させて産まれた有精卵を、. る。それが、顧客満足度の高いニワトリを出荷できる. たり、食べ過ぎて大きくなったものは量をコントロール. 孵卵器で10日間保温して孵化する前に出荷するのだ. 同社の強みの1つでもある。. するなど、管理の仕方をマニュアルに沿って的確に. が、無菌状態で出荷するという重要な条件があった。. 「昭和42年に父が視察でアメリカに行きました。 も うその時代アメリカでは、事業者1軒で100万羽も飼っ ていて、育雛や採卵養鶏がビジネスになっていたんで. 行っています。農場の何万羽という群れを1つの商品. 「その有精卵にワクチン会社がウイルスを培養して. 長年の経験で培われた育雛ノウハウ. として販売するので、全ニワトリを同程度の体重と成. 抗体をつくるので、無菌でないとダメなのです。ですか. 長状況に揃える必要があるのです」. ら、鶏舎の周囲数キロメートルに養鶏場がない場所で. 三郎氏は帰国後すぐ積極的に設備投資を行い、ア. 同社の競争力は最新の設備を備えた大規模育雛. そうしてヒナからニワトリへと成長し産卵準備がで. メリカにならって窓のない鶏舎で換気や日照、湿度、温. 鶏舎システムの導入や徹底した衛生管理のほか、長. きたニワトリは、出荷後、顧客(採卵養鶏業者)のもと. 度をコントロールしながらケージ飼いするウインドーレ. 年の経験で培われた育雛技術の蓄積にある。オール. で一斉に卵を産み始める。オールイン・オールアウト方. す。欧米では大量生産の取り組みがその時代から進 んでいたようです」. 無菌で育てます。 この事業はこれから、 もっと力を入れ ていきたいと思っています」 また、卵ビジネスの川上から川下までをトータルに手. ス化を図った。さらに現社長の徳夫氏がアメリカ視察. がけたいというビジョンのもと、今後は川上となるヒナ. に行った昭和47年、農場単位で一斉にヒナを受け入. の生産「孵化業」にも業容を広げていく考えだ。. れて一斉に出荷する「オールイン・オールアウト方式」. 「少子化で人口減少が危ぶまれていてもゼロになる. を導入する。日本でいち早く最先端の生産方式を取り. ことはありません。需要は減っても業界は残ります。そ. 入れた同社は、育雛の大規模生産に取り組んだパイ. のなかで生き残れるように、創意工夫をしながら成長. オニア的存在となった。. していきたいと思っています」. オールイン・オールアウト方式. 本社社屋. 人材教育・販売教育を強化. ウインドーレス鶏舎. 生後間もないヒナは病気への抵抗力が弱いため、. 世間では人手不足が騒がれているが、同社の新卒. ほかのニワトリの群れと一緒に育てると病気をもらって. 採用は順調だという。経営学や農学を学んだ学卒者. しまうことが多いという。さらに、農場内はいろいろな. が入社し、平均年齢も若返りをみせている。. 細菌やウイルスで汚染されている可能性もあり、生ま. 「食卓卵だけでなく、ケーキや惣菜等の加工に使わ. れたてのヒナにとっては危険に満ちた場所だ。 オールイン・オールアウト方式とは、一農場の全鶏舎. れる卵の需要も大きなマーケットです。ですから、 この 手作業中心で行うワクチン接種. 外来者は農場入口で消毒を義務化. から一斉にヒナを出荷したあと、鶏舎を一定期間空に. 先も卵の消費が大きく減ることはないと思います。そう いう長期展望で見ると当社は安定して映り、学生は魅. して清掃・消毒を行う。その後、再び一斉にヒナを受け. イン方式で一斉に農場に入ったヒナがニワトリへと成. 式と徹底した育雛管理で育成された同社のニワトリは、. 入れるというものだ。これによって農場内の病原体の. 長し、 オールアウトで出荷されるまでの約120日間、 こ. 他社と比べて産卵率や生存率がいいと顧客からの評. 現在は、若手社員の教育や子会社の管理職を育て. 常在化を防ぎ、良好な衛生環境を保つことができる。. の期間の管理こそが、その後のニワトリの産卵能力に. 判が高い。その付加価値が同社のブランド力につな. るための教育、 さらにスーパーなどの販売店に向けた. 大きな影響を与えるのだ。. がっている。. 営業力強化にも力を入れ「ようやく会社らしくなってき. 「ヒナにワクチンを打って免疫ができるまでには2週 間かかります。その間、 ほかのニワトリや病原菌がない. 体温調節能力が弱い時期の鶏舎内の室温管理、水. 状態にしないと十分な抗体ができづらい。そのまま出. を飲ませたりエサを食べさせたりすることを教える餌. 荷されると、採卵養鶏業者のところで病気になってし. 付け、 さらに人間同様、伝染病予防のために成長段階. まうことがあるんです」. に応じて行われるワクチン接種と抗体確認などなど。. 農場単位で育雛を一定期間休止し、清掃と消毒に. 3. 有限会社境野養鶏. 現場サイドできめ細やかな管理が必要とされる。. 力を感じるのかもしれません」. た」と社長は語る。. 卵に関する川上から川下まで. 現在、関東圏と東北エリアに農場を持つ同社だが、関 西圏の農場獲得を視野に入れた事業展開も計画中だ。. 育雛からスタートし、採卵養鶏、温泉卵や味付き卵. 卵ビジネスの川上から川下まで、すべてのサービス. の加工・販売といった川下へと事業を広げ、6次産業. を手がけていく同社。今後も食卓に安全で価値ある卵. あてるこの方式は、生産量を維持するために農場数が. 「群れのなかには上手にエサを食べられないものも. 化を進めてきた同社。さらに今年になって新たな事業. を提供し、 日本の食をより豊かなものへと牽引してくれ. 必要となり、 コストは割高になる。 しかし、同社は万全. 出てきます。そういうヒナにはエサといの下に紙を敷. への進出を果たす。人間用のインフルエンザワクチン. るに違いない。. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 4.
(5) ZOOM UP. 昭和24(1949)年、 これが同社の育雛ビジネスのス. の衛生管理と徹底した品質管理体制を何よりも重視. いて食べさせたり、成長の遅れた小さいものはエサを. を製造する製薬企業に向けた有精卵の販売である。 こ. タートであった。. し、昭和47年以降この方式で出荷と入荷を行ってい. 食べやすくするため大きいものとは別のケージに移し. れは雄・雌のニワトリを受精させて産まれた有精卵を、. る。それが、顧客満足度の高いニワトリを出荷できる. たり、食べ過ぎて大きくなったものは量をコントロール. 孵卵器で10日間保温して孵化する前に出荷するのだ. 同社の強みの1つでもある。. するなど、管理の仕方をマニュアルに沿って的確に. が、無菌状態で出荷するという重要な条件があった。. 「昭和42年に父が視察でアメリカに行きました。 も うその時代アメリカでは、事業者1軒で100万羽も飼っ ていて、育雛や採卵養鶏がビジネスになっていたんで. 行っています。農場の何万羽という群れを1つの商品. 「その有精卵にワクチン会社がウイルスを培養して. 長年の経験で培われた育雛ノウハウ. として販売するので、全ニワトリを同程度の体重と成. 抗体をつくるので、無菌でないとダメなのです。ですか. 長状況に揃える必要があるのです」. ら、鶏舎の周囲数キロメートルに養鶏場がない場所で. 三郎氏は帰国後すぐ積極的に設備投資を行い、ア. 同社の競争力は最新の設備を備えた大規模育雛. そうしてヒナからニワトリへと成長し産卵準備がで. メリカにならって窓のない鶏舎で換気や日照、湿度、温. 鶏舎システムの導入や徹底した衛生管理のほか、長. きたニワトリは、出荷後、顧客(採卵養鶏業者)のもと. 度をコントロールしながらケージ飼いするウインドーレ. 年の経験で培われた育雛技術の蓄積にある。オール. で一斉に卵を産み始める。オールイン・オールアウト方. す。欧米では大量生産の取り組みがその時代から進 んでいたようです」. 無菌で育てます。 この事業はこれから、 もっと力を入れ ていきたいと思っています」 また、卵ビジネスの川上から川下までをトータルに手. ス化を図った。さらに現社長の徳夫氏がアメリカ視察. がけたいというビジョンのもと、今後は川上となるヒナ. に行った昭和47年、農場単位で一斉にヒナを受け入. の生産「孵化業」にも業容を広げていく考えだ。. れて一斉に出荷する「オールイン・オールアウト方式」. 「少子化で人口減少が危ぶまれていてもゼロになる. を導入する。日本でいち早く最先端の生産方式を取り. ことはありません。需要は減っても業界は残ります。そ. 入れた同社は、育雛の大規模生産に取り組んだパイ. のなかで生き残れるように、創意工夫をしながら成長. オニア的存在となった。. していきたいと思っています」. オールイン・オールアウト方式. 本社社屋. 人材教育・販売教育を強化. ウインドーレス鶏舎. 生後間もないヒナは病気への抵抗力が弱いため、. 世間では人手不足が騒がれているが、同社の新卒. ほかのニワトリの群れと一緒に育てると病気をもらって. 採用は順調だという。経営学や農学を学んだ学卒者. しまうことが多いという。さらに、農場内はいろいろな. が入社し、平均年齢も若返りをみせている。. 細菌やウイルスで汚染されている可能性もあり、生ま. 「食卓卵だけでなく、ケーキや惣菜等の加工に使わ. れたてのヒナにとっては危険に満ちた場所だ。 オールイン・オールアウト方式とは、一農場の全鶏舎. れる卵の需要も大きなマーケットです。ですから、 この 手作業中心で行うワクチン接種. 外来者は農場入口で消毒を義務化. から一斉にヒナを出荷したあと、鶏舎を一定期間空に. 先も卵の消費が大きく減ることはないと思います。そう いう長期展望で見ると当社は安定して映り、学生は魅. して清掃・消毒を行う。その後、再び一斉にヒナを受け. イン方式で一斉に農場に入ったヒナがニワトリへと成. 式と徹底した育雛管理で育成された同社のニワトリは、. 入れるというものだ。これによって農場内の病原体の. 長し、 オールアウトで出荷されるまでの約120日間、 こ. 他社と比べて産卵率や生存率がいいと顧客からの評. 現在は、若手社員の教育や子会社の管理職を育て. 常在化を防ぎ、良好な衛生環境を保つことができる。. の期間の管理こそが、その後のニワトリの産卵能力に. 判が高い。その付加価値が同社のブランド力につな. るための教育、 さらにスーパーなどの販売店に向けた. 大きな影響を与えるのだ。. がっている。. 営業力強化にも力を入れ「ようやく会社らしくなってき. 「ヒナにワクチンを打って免疫ができるまでには2週 間かかります。その間、 ほかのニワトリや病原菌がない. 体温調節能力が弱い時期の鶏舎内の室温管理、水. 状態にしないと十分な抗体ができづらい。そのまま出. を飲ませたりエサを食べさせたりすることを教える餌. 荷されると、採卵養鶏業者のところで病気になってし. 付け、 さらに人間同様、伝染病予防のために成長段階. まうことがあるんです」. に応じて行われるワクチン接種と抗体確認などなど。. 農場単位で育雛を一定期間休止し、清掃と消毒に. 3. 有限会社境野養鶏. 現場サイドできめ細やかな管理が必要とされる。. 力を感じるのかもしれません」. た」と社長は語る。. 卵に関する川上から川下まで. 現在、関東圏と東北エリアに農場を持つ同社だが、関 西圏の農場獲得を視野に入れた事業展開も計画中だ。. 育雛からスタートし、採卵養鶏、温泉卵や味付き卵. 卵ビジネスの川上から川下まで、すべてのサービス. の加工・販売といった川下へと事業を広げ、6次産業. を手がけていく同社。今後も食卓に安全で価値ある卵. あてるこの方式は、生産量を維持するために農場数が. 「群れのなかには上手にエサを食べられないものも. 化を進めてきた同社。さらに今年になって新たな事業. を提供し、 日本の食をより豊かなものへと牽引してくれ. 必要となり、 コストは割高になる。 しかし、同社は万全. 出てきます。そういうヒナにはエサといの下に紙を敷. への進出を果たす。人間用のインフルエンザワクチン. るに違いない。. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 4.
(6) 地域研究レポート シリーズ. 地方創生. 増田レポートの提言は、①国民の希望がかなっ. 地方創生の動向と 埼玉県の課題(Ⅰ) はじめに. た場合の出生率(希望出生率) を実現すること② 地方から大都市へ若者が流出する「人の流れ」を 変え「東京一極集中」に歯止めをかけることを基 本目標として行動することを呼びかけている。②は、. 主席研究員. 特に地方の人口減少が若者の流出によることに着. 萩原 淳司. 眼したものである。. 来的には消滅するおそれが高いとした。その上で、. 本年度の当財団の地域研究レポートは「地方創. 2005-2010年の都心回帰の傾向がそのまま続く. 生」を統一テーマに、地方創生にかかわる事象を. 想定で国立社会保障・人口問題研究所の推計を修. 取り上げ、埼玉県、県内市町村の取り組むべき課. 正し、2010年との比較で2040年に若年女性の人. 題を提言していく。. 口が50%以上減少する自治体を「消滅可能性都. 第1、 2回目は、国の地方創生をめぐる動きと、埼 玉県の課題を概観する。. 市」として具体的な市町村名をあげた。全市町村 の約半数の896市町村が消滅の可能性があるとし た。青森、岩手、秋田、山形、島根の5県では8割の. 増田レポートの衝撃. 市町村がそれに含まれ、埼玉県は21市町村で若年. 題とするが、人口減少について広く世論を喚起した. ●埼玉県市町村の若年女性人口変化率 (2010-2040年). 地方創生は、地方の人口減少対策を最大の課. のは、民間の日本創成会議(座長・増田寛也元総 務相)が2014年5月に発表した提言、 「成長を続け る21世紀のために『ストップ少子化・地方元気戦 略』」 (以下、増田レポート) である。 増田レポートでは、人口減少にかかわる基本的 な論点として以下の4つを挙げる。 1 (人口減少は) 遠い将来のことではない。地方の多くは、既に高齢者 を含めて、人口が急激に減少するような深刻な事態を迎えている。 2 日本は地方と大都市間の 「人口移動」 が激しい。このまま推移すれば、 地域で人口が一律に減少することにならず、①地方の 「人口急減・消 滅」 と②大都市 (特に東京圏) の 「人口集中」 とが同時進行していくこと となる。 3 日本は今後若年の女性数が急速に減少するため、出生率が少々上昇 しても、出生数自体は減少し続ける。 仮に出生率が人口置換水準 (合計特殊出生率=2.1) となっても、数十 年間は総人口は減少し続ける。 4 都市部 (東京圏) も近い将来本格的な人口減少期に入る。地方の人口 が消滅すれば、都市部への人口流入がなくなり、いずれ都市部も衰 退する。. 増田レポートが、大きな話題を呼んだのは、自治 体の「消滅可能性」を示したことである。 まず、人口の「再生産力」を表す簡明な指標とし て「若年女性(20〜39歳の女性人口)」の状況に 注目し、若年女性が高い割合で流出し急激に減少 するような地域では、いくら出生率が上がっても将. 5. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 女性人口が50%以上減ると推計されている。 市町村名 さいたま市 川越市 熊谷市 川口市 行田市 秩父市 所沢市 飯能市 加須市 本庄市 東松山市 春日部市 狭山市 羽生市 鴻巣市 深谷市 上尾市 草加市 越谷市 蕨市 戸田市 入間市 朝霞市 志木市 和光市 新座市 桶川市 久喜市 北本市 八潮市 富士見市. 変化率 ▲22.7% ▲25.7% ▲44.4% ▲19.9% ▲56.2% ▲51.3% ▲30.3% ▲52.3% ▲47.0% ▲43.5% ▲47.2% ▲45.0% ▲49.7% ▲39.7% ▲42.4% ▲42.7% ▲32.2% ▲26.3% ▲26.3% ▲42.5% ▲15.2% ▲43.7% ▲13.1% ▲26.1% ▲19.2% ▲18.6% ▲34.3% ▲47.9% ▲55.0% ▲42.5% ▲29.6%. 市町村名 三郷市 蓮田市 坂戸市 幸手市 鶴ヶ島市 日高市 吉川市 ふじみ野市 白岡市 伊奈町 三芳町 毛呂山町 越生町 滑川町 嵐山町 小川町 川島町 吉見町 鳩山町 ときがわ町 横瀬町 皆野町 長瀞町 小鹿野町 東秩父村 美里町 神川町 上里町 寄居町 宮代町 杉戸町 松伏町. 変化率 ▲54.9% ▲44.0% ▲34.5% ▲62.7% ▲39.8% ▲49.7% 1.7% ▲20.9% ▲30.1% ▲7.2% ▲22.8% ▲45.2% ▲59.8% 0.8% ▲58.1% ▲75.6% ▲60.0% ▲70.7% ▲71.6% ▲75.5% ▲67.4% ▲62.3% ▲67.5% ▲63.6% ▲82.6% ▲57.8% ▲48.0% ▲38.4% ▲58.5% ▲56.0% ▲44.3% ▲39.7%. 長期ビジョンの内容は以下の通りである。 ●長期ビジョン (抜粋) Ⅰ. 人口問題に対する基本認識 1. 「人口減少時代」 の到来 ○2008 年に始まった人口減少は、今後加速度的に進む。 ○人口減少の状況は、地域によって大きく異なる。 ○人口減少は地方から始まり、都市部へ広がっていく。 地方は、若い世代が東京圏へ流出する 「社会減」 と、出生率が低下す る 「自然減」 の両者により、都市部に比べ数十年も早く人口減少。地. まち・ひと・しごと創生. 人口減少対策については、平成26年6月の「経. 済財政運営と改革の基本方針2014」 (いわゆる 「骨太の方針」)に「人口急減・超高齢化に対する 危機意識を国民全体で共有し、50年後に1億人程. 方の人口が減少し、地方から大都市への人材供給が枯渇すると、い ずれ大都市も衰退。 2. 「人口減少」 が経済社会に与える影響 ○人口減少は、経済社会に対して大きな重荷となる。 ○地方では、地域経済社会の維持が重大な局面を迎える。 このまま推移すると、2050年には、現在の居住地域の6割以上で 人口が半分以下に減少、 2割の地域では無居住化すると推計され. 度の安定した人口構造を保持することを目指す」. ている。. とうたわれた。. 3. 東京圏への人口の集中. 「人口急減・超高齢化」とは、現在(平成26年) の人口減少数は年平均16万人程度、高齢化率は 25%程度だが、国立社会保障・人口問題研究所の 「日本の将来推計人口」によれば、25年後には、人 口減 少 数は年 平 均 1 0 0 万 人 程 度 、高 齢 化 率は 35%超程度になると見込まれ、その通りに推移す る状況を指している。 平成26年9月には「人口急減・超高齢化という わが国が直面する大きな課題に対し政府一体と なって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活か した自律的で持続的な社会を創生」できるようま ち・ひと・しごと創生本部が内閣に設置された。 まち・ひと・しごと創生とは、以下を一体的に推進 することとされる。 ま ち…国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を 安心して営める地域社会の形成 ひ と…地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保 しごと…地域における魅力ある多様な就業の機会の創出. その後、 まち・ひと・しごと創生法が平成26年11 月に成立し、創生法に基づいた創生本部の設置、 50年後に1億人程度の人口維持を目指す「長期ビ ジョン」と、人口減少を克服し将来にわたって活力 ある日本社会を実現するための5カ年の計画を示 す「総合戦略」が策定された。. ○東京圏には過度に人口が集中している。 ○今後も東京圏への人口流入が続く可能性が高い。 ○東京圏への人口の集中が、日本全体の人口減少に結び付いて いる。 このまま推移すると、 「過密の東京圏」 と 「人口が極端に減った地方」 が併存しながら人口減少が進行。地方に比べ低い出生率の東京圏に 若い世代が集中することによって、日本全体としての人口減少に結 び付いている。. Ⅱ. 今後の基本的視点 ○3つの基本的視点から取り組む。 人口減少に歯止めをかける 「積極戦略」 と、人口減少に対応するた めの 「調整戦略」 を同時に推進。 ① 「東京一極集中」 の是正 ②若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現 ③地域の特性に即した地域課題の解決 ○国民の希望 (地方への移住の希望、若い世代の就労・結婚・子育て の希望) の実現に全力を注ぐ。. Ⅲ. 目指すべき将来の方向 ○人口減少に歯止めがかかると、2060年に1億人程度の人口が確 保される。 ○さらに、人口構造が 「若返る時期」 を迎える。 ○ 「人口の安定化」 とともに 「生産性の向上」 が図られると、2050年 代に実質 GDP 成長率は、1.5〜2%程度が維持される。 地方創生がもたらす日本社会の姿 ○自らの地域資源を活用した、多様な地域社会の形成を目指す。 ○外部との積極的なつながりにより、新たな視点から活性化を図る。 ○地方創生が実現すれば、地方が先行して若返る。 ○東京圏は、世界に開かれた 「国際都市」 への発展を目指す。 ○地方創生は、日本の創生であり、地方と東京圏がそれぞれの強み を活かし、日本全体を引っ張っていく。. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 6.
(7) 地域研究レポート シリーズ. 地方創生. 増田レポートの提言は、①国民の希望がかなっ. 地方創生の動向と 埼玉県の課題(Ⅰ) はじめに. た場合の出生率(希望出生率) を実現すること② 地方から大都市へ若者が流出する「人の流れ」を 変え「東京一極集中」に歯止めをかけることを基 本目標として行動することを呼びかけている。②は、. 主席研究員. 特に地方の人口減少が若者の流出によることに着. 萩原 淳司. 眼したものである。. 来的には消滅するおそれが高いとした。その上で、. 本年度の当財団の地域研究レポートは「地方創. 2005-2010年の都心回帰の傾向がそのまま続く. 生」を統一テーマに、地方創生にかかわる事象を. 想定で国立社会保障・人口問題研究所の推計を修. 取り上げ、埼玉県、県内市町村の取り組むべき課. 正し、2010年との比較で2040年に若年女性の人. 題を提言していく。. 口が50%以上減少する自治体を「消滅可能性都. 第1、 2回目は、国の地方創生をめぐる動きと、埼 玉県の課題を概観する。. 市」として具体的な市町村名をあげた。全市町村 の約半数の896市町村が消滅の可能性があるとし た。青森、岩手、秋田、山形、島根の5県では8割の. 増田レポートの衝撃. 市町村がそれに含まれ、埼玉県は21市町村で若年. 題とするが、人口減少について広く世論を喚起した. ●埼玉県市町村の若年女性人口変化率 (2010-2040年). 地方創生は、地方の人口減少対策を最大の課. のは、民間の日本創成会議(座長・増田寛也元総 務相)が2014年5月に発表した提言、 「成長を続け る21世紀のために『ストップ少子化・地方元気戦 略』」 (以下、増田レポート) である。 増田レポートでは、人口減少にかかわる基本的 な論点として以下の4つを挙げる。 1 (人口減少は) 遠い将来のことではない。地方の多くは、既に高齢者 を含めて、人口が急激に減少するような深刻な事態を迎えている。 2 日本は地方と大都市間の 「人口移動」 が激しい。このまま推移すれば、 地域で人口が一律に減少することにならず、①地方の 「人口急減・消 滅」 と②大都市 (特に東京圏) の 「人口集中」 とが同時進行していくこと となる。 3 日本は今後若年の女性数が急速に減少するため、出生率が少々上昇 しても、出生数自体は減少し続ける。 仮に出生率が人口置換水準 (合計特殊出生率=2.1) となっても、数十 年間は総人口は減少し続ける。 4 都市部 (東京圏) も近い将来本格的な人口減少期に入る。地方の人口 が消滅すれば、都市部への人口流入がなくなり、いずれ都市部も衰 退する。. 増田レポートが、大きな話題を呼んだのは、自治 体の「消滅可能性」を示したことである。 まず、人口の「再生産力」を表す簡明な指標とし て「若年女性(20〜39歳の女性人口)」の状況に 注目し、若年女性が高い割合で流出し急激に減少 するような地域では、いくら出生率が上がっても将. 5. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 女性人口が50%以上減ると推計されている。 市町村名 さいたま市 川越市 熊谷市 川口市 行田市 秩父市 所沢市 飯能市 加須市 本庄市 東松山市 春日部市 狭山市 羽生市 鴻巣市 深谷市 上尾市 草加市 越谷市 蕨市 戸田市 入間市 朝霞市 志木市 和光市 新座市 桶川市 久喜市 北本市 八潮市 富士見市. 変化率 ▲22.7% ▲25.7% ▲44.4% ▲19.9% ▲56.2% ▲51.3% ▲30.3% ▲52.3% ▲47.0% ▲43.5% ▲47.2% ▲45.0% ▲49.7% ▲39.7% ▲42.4% ▲42.7% ▲32.2% ▲26.3% ▲26.3% ▲42.5% ▲15.2% ▲43.7% ▲13.1% ▲26.1% ▲19.2% ▲18.6% ▲34.3% ▲47.9% ▲55.0% ▲42.5% ▲29.6%. 市町村名 三郷市 蓮田市 坂戸市 幸手市 鶴ヶ島市 日高市 吉川市 ふじみ野市 白岡市 伊奈町 三芳町 毛呂山町 越生町 滑川町 嵐山町 小川町 川島町 吉見町 鳩山町 ときがわ町 横瀬町 皆野町 長瀞町 小鹿野町 東秩父村 美里町 神川町 上里町 寄居町 宮代町 杉戸町 松伏町. 変化率 ▲54.9% ▲44.0% ▲34.5% ▲62.7% ▲39.8% ▲49.7% 1.7% ▲20.9% ▲30.1% ▲7.2% ▲22.8% ▲45.2% ▲59.8% 0.8% ▲58.1% ▲75.6% ▲60.0% ▲70.7% ▲71.6% ▲75.5% ▲67.4% ▲62.3% ▲67.5% ▲63.6% ▲82.6% ▲57.8% ▲48.0% ▲38.4% ▲58.5% ▲56.0% ▲44.3% ▲39.7%. 長期ビジョンの内容は以下の通りである。 ●長期ビジョン (抜粋) Ⅰ. 人口問題に対する基本認識 1. 「人口減少時代」 の到来 ○2008 年に始まった人口減少は、今後加速度的に進む。 ○人口減少の状況は、地域によって大きく異なる。 ○人口減少は地方から始まり、都市部へ広がっていく。 地方は、若い世代が東京圏へ流出する 「社会減」 と、出生率が低下す る 「自然減」 の両者により、都市部に比べ数十年も早く人口減少。地. まち・ひと・しごと創生. 人口減少対策については、平成26年6月の「経. 済財政運営と改革の基本方針2014」 (いわゆる 「骨太の方針」)に「人口急減・超高齢化に対する 危機意識を国民全体で共有し、50年後に1億人程. 方の人口が減少し、地方から大都市への人材供給が枯渇すると、い ずれ大都市も衰退。 2. 「人口減少」 が経済社会に与える影響 ○人口減少は、経済社会に対して大きな重荷となる。 ○地方では、地域経済社会の維持が重大な局面を迎える。 このまま推移すると、2050年には、現在の居住地域の6割以上で 人口が半分以下に減少、 2割の地域では無居住化すると推計され. 度の安定した人口構造を保持することを目指す」. ている。. とうたわれた。. 3. 東京圏への人口の集中. 「人口急減・超高齢化」とは、現在(平成26年) の人口減少数は年平均16万人程度、高齢化率は 25%程度だが、国立社会保障・人口問題研究所の 「日本の将来推計人口」によれば、25年後には、人 口減 少 数は年 平 均 1 0 0 万 人 程 度 、高 齢 化 率は 35%超程度になると見込まれ、その通りに推移す る状況を指している。 平成26年9月には「人口急減・超高齢化という わが国が直面する大きな課題に対し政府一体と なって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活か した自律的で持続的な社会を創生」できるようま ち・ひと・しごと創生本部が内閣に設置された。 まち・ひと・しごと創生とは、以下を一体的に推進 することとされる。 ま ち…国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を 安心して営める地域社会の形成 ひ と…地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保 しごと…地域における魅力ある多様な就業の機会の創出. その後、 まち・ひと・しごと創生法が平成26年11 月に成立し、創生法に基づいた創生本部の設置、 50年後に1億人程度の人口維持を目指す「長期ビ ジョン」と、人口減少を克服し将来にわたって活力 ある日本社会を実現するための5カ年の計画を示 す「総合戦略」が策定された。. ○東京圏には過度に人口が集中している。 ○今後も東京圏への人口流入が続く可能性が高い。 ○東京圏への人口の集中が、日本全体の人口減少に結び付いて いる。 このまま推移すると、 「過密の東京圏」 と 「人口が極端に減った地方」 が併存しながら人口減少が進行。地方に比べ低い出生率の東京圏に 若い世代が集中することによって、日本全体としての人口減少に結 び付いている。. Ⅱ. 今後の基本的視点 ○3つの基本的視点から取り組む。 人口減少に歯止めをかける 「積極戦略」 と、人口減少に対応するた めの 「調整戦略」 を同時に推進。 ① 「東京一極集中」 の是正 ②若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現 ③地域の特性に即した地域課題の解決 ○国民の希望 (地方への移住の希望、若い世代の就労・結婚・子育て の希望) の実現に全力を注ぐ。. Ⅲ. 目指すべき将来の方向 ○人口減少に歯止めがかかると、2060年に1億人程度の人口が確 保される。 ○さらに、人口構造が 「若返る時期」 を迎える。 ○ 「人口の安定化」 とともに 「生産性の向上」 が図られると、2050年 代に実質 GDP 成長率は、1.5〜2%程度が維持される。 地方創生がもたらす日本社会の姿 ○自らの地域資源を活用した、多様な地域社会の形成を目指す。 ○外部との積極的なつながりにより、新たな視点から活性化を図る。 ○地方創生が実現すれば、地方が先行して若返る。 ○東京圏は、世界に開かれた 「国際都市」 への発展を目指す。 ○地方創生は、日本の創生であり、地方と東京圏がそれぞれの強み を活かし、日本全体を引っ張っていく。. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 6.
(8) まち・ひと・しごと創生法に基づき、都道府県・市. 域に即した地域課題を抽出し対処できるよう「地. 類がつくられた。27年度は、地方版総合戦略の早. 支えるため地域に若い世代を確保する必要がある. 町村には、地方人口ビジョン (各地域の人口動向や. 域経済分析システム」を国が整備する。 「人的支. 期かつ有効な策定・実施に手厚く支援を行うため、. が、それでも現在生じている若者の流入を止めな. 将来人口推計の分析や中長期の将来展望を提. 援」としては、小規模市町村に国家公務員等を首. ①地方版総合戦略の策定、②地方版総合戦略に. ければならないのだろうか。. 示)、 と地方版総合戦略(各地域の人口動向や産. 長の補佐役として派遣する「地方創生人材支援制. おける「しごとづくりなど」を対象とする交付金が創. 国の長期ビジョンに「東京圏は、世界に開かれた. 業実態等を踏まえ、2015〜2019 年度(5カ年)の. 度」、地域に府省庁の相談窓口を置く 「地方創生コ. 設される。28年度以降は、客観的な指標の設定・. 『国際都市』への発展を目指す」とあるが、東京オ. 政策目標・施策)の策定が27年度中に求められて. ンシェルジュ制度」の創設を行う。. PDCAによる効果検証を条件として、地方版総合. リンピック・パラリンピック開催会場のある、さいた. 戦略に基づく事業・施策を自由に行える新型交付. ま市、川越市など以外は、具体的なイメージがわか. 金の本格実施を予定している。. ないのではないだろうか。. 「財政的支援」は、地域住民生活等緊急支援の. いる。 都道府県・市町村には、地方が自立につながるよ. ための交付金として①地域消費喚起・生活支援型. う自らが考え、責任を持って戦略を推進することが. (プレミアム付商品券、低所得者等向け灯油等購. また、27年度から、企業の地方拠点強化に関す. 求められ、国は「情報支援」、 「人的支援」、 「財政. 入助成、ふるさと名物商品・旅行券発行を対象とす. る取組を促進するための税制措置や、地方創生の. 小さな拠点(※1)と定住自立圏(※2)の形成がうたわ. 支援」を切れ目なく展開するとしている。. る交付金)および、②地方創生先行型(UI Jターン. 取組に要する経費について地方財政計画に計上. れているが、総務省「公民連携によるまちなか再生. 「情報支援」としては各地域が、産業・人口・社会. 助成、創業支援、海外販路開拓などの地方の積極. する財政措置もとられている。. 事例に関する調査研究事業」報告書(平成27年3. インフラなどに関し必要なデータ分析を行い、各地. 的な取組を支援する自由度の高い交付金)の2種. ●まち・ひと・しごと創生 「長期ビジョン」 と 「総合戦略」 の全体像 (抜粋) 長期ビジョン. 国の総合戦略は、前ページの全体像で示される. 月)では、東秩父村の和紙の里にコンビニ機能をも. ように長期ビジョンに対応し、基本目標、主な施策. つ店舗を誘致する「和紙の里ハブ化構想」が「小. と体系立ててつくられている。. さな拠点」につながる先進事例として取り上げられ ている。また、秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小. 総合戦略 (2015〜2019年度の5か年). 埼玉県の位置づけ. 鹿野町で「ちちぶ定住自立圏構想」に平成21年か. 埼玉県および県内市町村は、27年度中に努力. 中長期展望 (2060年を視野). 基本目標 (成果指標、2020年). 主な施策. 「しごと」 と 「ひと」 の好循環づくり Ⅰ. 人口減少問題の克服 ◎2060年に1億人程度の 人口を確保 ◆人口減少の歯止め ・国民の希望が実現した場合の 出生率 (国民希望出生率) =1.8 ◆ 「東京一極集中」 の是正. Ⅱ. 成長力の確保 ◎2050年代に実質GDP 成長率1.5%〜2%程度維持 (人口安定化、生産性向上が 実現した場合). 地方における安定した雇用を創出する ◆若者雇用創出数 (地方) ◆若い世代の正規雇用労働者等の割合 ◆女性の就業率. ①地域産業の競争力強化 (業種横断的取組) ②地域産業の競争力強化 (分野別取組) ③地方への人材還流、地方での人材育成、雇用対策. 地方への新しいひとの流れをつくる 現状:東京圏年間10万人入超 ◆地方・東京圏の転出入均衡 (2020年). ①地方移住の推進 ②地方拠点強化、地方採用・就労拡大 ③地方大学等創生5か年戦略. 若い世代の結婚・出産・子育ての希望を かなえる ◆安心して結婚・妊娠・出産・子育て できる社会を達成していると考える 人の割合 ◆第1子出産前後の女性継続就業率 ◆結婚希望 ◆夫婦子ども数予定. 好循環を支える、まちの活性化 時代に合った地域をつくり、安心なくらし を守るとともに地域と地域を連携する ◆地域連携数など. 資料:まち・ひと・しごと創生本部. 7. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 国の総合戦略では、地方で展開する施策として、. 義務として、地方人口ビジョンと地方まち・ひと・しご. で1市4町共通となる事業を展開している。. と総合戦略を策定することが求められているが、最. このように、埼玉県は、県内に様々な地域を抱え. 初に迷うのが、自らのポジション (東京なのか地方. ており、大都市圏か地方かで括れないことが特徴. なのか) である。. といえる。国の長期ビジョン、総合戦略に示された. 埼玉県は東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼. 目標や施策を埼玉県の各市町村が、その地域の歴. 玉県)に属するので、 「東京一極集中の是正」とい. 史や特徴に応じてどのように読み替えて取り組む. うならば、人口の流入を減らす方向に動かなければ. べきかを次回、考えてみたい。. ならない。埼玉県でも、県北の各市町は既に人口. (※1)小さな拠点とは、小学校区など、複数の集落が集まる基礎的な生活圏 の中で、分散している様々な生活サービスや地域活動の場などを「合. 減少に転じているが、国の総合戦略に従って流入 減をはかるのかという疑問が生じる。. ①若者雇用対策の推進 ②結婚・出産・子育て支援 ③仕事と生活の調和 (ワーク・ライフ・バランス) の 実現 (働き方改革). ら取り組み、医療、産業振興、公共交通などの分野. わせ技」でつなぎ、人やモノ、サービスの循環を図ることで、生活を支. える新しい地域運営の仕組みをつくろうとする取組. 埼玉県は、高齢者人口が既に減少しはじめてい. (※2)市町村の主体的取組として、 「中心市」の都市機能と「近隣市町村」. の農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用して、 NPOや企業などの民間の担い手を含め、相互に役割分担し、連携・協. る地方と異なり、今後、東京都、神奈川県、大阪府. 力することにより、地域住民のいのちと暮らしを守るため圏域全体で必. に次いで高齢者人口が大幅に増加する。高齢者を. 要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策. ●都道府県別の高齢者 (75歳以上) 人口の推移 ① 「小さな拠点」 (多世代交流・多機能型) の形成支援 ②地方都市における経済・生活圏の形成 (地域連携) ・都市のコンパクト化と周辺等のネットワーク形成 ・ 「連携中枢都市圏」 の形成 ・定住自立圏の形成促進 ③大都市圏における安心な暮らしの確保 ④既存ストックのマネジメント強化. 2010年時点の 高齢者人口 (万人). 東京都. 2025年時点の 高齢者人口 (万人). 増加数 (万人). 増加率. 順位. 123.4. 197.7. 74.3. +60%. 1. 神奈川県. 79.4. 148.5. 69.2. +87%. 2. 大阪府. 84.3. 152.8. 68.5. +81%. 3. 埼玉県. 58.9. 117.7. 58.8. +100%. 4. 千葉県. 56.3. 108.2. 52.0. +92%. 5. 増加数合計 (1都3県) 254万人. 資料:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の地域別将来推計人口 (平成25年3月推計) 」. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 8.
(9) まち・ひと・しごと創生法に基づき、都道府県・市. 域に即した地域課題を抽出し対処できるよう「地. 類がつくられた。27年度は、地方版総合戦略の早. 支えるため地域に若い世代を確保する必要がある. 町村には、地方人口ビジョン (各地域の人口動向や. 域経済分析システム」を国が整備する。 「人的支. 期かつ有効な策定・実施に手厚く支援を行うため、. が、それでも現在生じている若者の流入を止めな. 将来人口推計の分析や中長期の将来展望を提. 援」としては、小規模市町村に国家公務員等を首. ①地方版総合戦略の策定、②地方版総合戦略に. ければならないのだろうか。. 示)、 と地方版総合戦略(各地域の人口動向や産. 長の補佐役として派遣する「地方創生人材支援制. おける「しごとづくりなど」を対象とする交付金が創. 国の長期ビジョンに「東京圏は、世界に開かれた. 業実態等を踏まえ、2015〜2019 年度(5カ年)の. 度」、地域に府省庁の相談窓口を置く 「地方創生コ. 設される。28年度以降は、客観的な指標の設定・. 『国際都市』への発展を目指す」とあるが、東京オ. 政策目標・施策)の策定が27年度中に求められて. ンシェルジュ制度」の創設を行う。. PDCAによる効果検証を条件として、地方版総合. リンピック・パラリンピック開催会場のある、さいた. 戦略に基づく事業・施策を自由に行える新型交付. ま市、川越市など以外は、具体的なイメージがわか. 金の本格実施を予定している。. ないのではないだろうか。. 「財政的支援」は、地域住民生活等緊急支援の. いる。 都道府県・市町村には、地方が自立につながるよ. ための交付金として①地域消費喚起・生活支援型. う自らが考え、責任を持って戦略を推進することが. (プレミアム付商品券、低所得者等向け灯油等購. また、27年度から、企業の地方拠点強化に関す. 求められ、国は「情報支援」、 「人的支援」、 「財政. 入助成、ふるさと名物商品・旅行券発行を対象とす. る取組を促進するための税制措置や、地方創生の. 小さな拠点(※1)と定住自立圏(※2)の形成がうたわ. 支援」を切れ目なく展開するとしている。. る交付金)および、②地方創生先行型(UI Jターン. 取組に要する経費について地方財政計画に計上. れているが、総務省「公民連携によるまちなか再生. 「情報支援」としては各地域が、産業・人口・社会. 助成、創業支援、海外販路開拓などの地方の積極. する財政措置もとられている。. 事例に関する調査研究事業」報告書(平成27年3. インフラなどに関し必要なデータ分析を行い、各地. 的な取組を支援する自由度の高い交付金)の2種. ●まち・ひと・しごと創生 「長期ビジョン」 と 「総合戦略」 の全体像 (抜粋) 長期ビジョン. 国の総合戦略は、前ページの全体像で示される. 月)では、東秩父村の和紙の里にコンビニ機能をも. ように長期ビジョンに対応し、基本目標、主な施策. つ店舗を誘致する「和紙の里ハブ化構想」が「小. と体系立ててつくられている。. さな拠点」につながる先進事例として取り上げられ ている。また、秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小. 総合戦略 (2015〜2019年度の5か年). 埼玉県の位置づけ. 鹿野町で「ちちぶ定住自立圏構想」に平成21年か. 埼玉県および県内市町村は、27年度中に努力. 中長期展望 (2060年を視野). 基本目標 (成果指標、2020年). 主な施策. 「しごと」 と 「ひと」 の好循環づくり Ⅰ. 人口減少問題の克服 ◎2060年に1億人程度の 人口を確保 ◆人口減少の歯止め ・国民の希望が実現した場合の 出生率 (国民希望出生率) =1.8 ◆ 「東京一極集中」 の是正. Ⅱ. 成長力の確保 ◎2050年代に実質GDP 成長率1.5%〜2%程度維持 (人口安定化、生産性向上が 実現した場合). 地方における安定した雇用を創出する ◆若者雇用創出数 (地方) ◆若い世代の正規雇用労働者等の割合 ◆女性の就業率. ①地域産業の競争力強化 (業種横断的取組) ②地域産業の競争力強化 (分野別取組) ③地方への人材還流、地方での人材育成、雇用対策. 地方への新しいひとの流れをつくる 現状:東京圏年間10万人入超 ◆地方・東京圏の転出入均衡 (2020年). ①地方移住の推進 ②地方拠点強化、地方採用・就労拡大 ③地方大学等創生5か年戦略. 若い世代の結婚・出産・子育ての希望を かなえる ◆安心して結婚・妊娠・出産・子育て できる社会を達成していると考える 人の割合 ◆第1子出産前後の女性継続就業率 ◆結婚希望 ◆夫婦子ども数予定. 好循環を支える、まちの活性化 時代に合った地域をつくり、安心なくらし を守るとともに地域と地域を連携する ◆地域連携数など. 資料:まち・ひと・しごと創生本部. 7. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 国の総合戦略では、地方で展開する施策として、. 義務として、地方人口ビジョンと地方まち・ひと・しご. で1市4町共通となる事業を展開している。. と総合戦略を策定することが求められているが、最. このように、埼玉県は、県内に様々な地域を抱え. 初に迷うのが、自らのポジション (東京なのか地方. ており、大都市圏か地方かで括れないことが特徴. なのか) である。. といえる。国の長期ビジョン、総合戦略に示された. 埼玉県は東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼. 目標や施策を埼玉県の各市町村が、その地域の歴. 玉県)に属するので、 「東京一極集中の是正」とい. 史や特徴に応じてどのように読み替えて取り組む. うならば、人口の流入を減らす方向に動かなければ. べきかを次回、考えてみたい。. ならない。埼玉県でも、県北の各市町は既に人口. (※1)小さな拠点とは、小学校区など、複数の集落が集まる基礎的な生活圏 の中で、分散している様々な生活サービスや地域活動の場などを「合. 減少に転じているが、国の総合戦略に従って流入 減をはかるのかという疑問が生じる。. ①若者雇用対策の推進 ②結婚・出産・子育て支援 ③仕事と生活の調和 (ワーク・ライフ・バランス) の 実現 (働き方改革). ら取り組み、医療、産業振興、公共交通などの分野. わせ技」でつなぎ、人やモノ、サービスの循環を図ることで、生活を支. える新しい地域運営の仕組みをつくろうとする取組. 埼玉県は、高齢者人口が既に減少しはじめてい. (※2)市町村の主体的取組として、 「中心市」の都市機能と「近隣市町村」. の農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用して、 NPOや企業などの民間の担い手を含め、相互に役割分担し、連携・協. る地方と異なり、今後、東京都、神奈川県、大阪府. 力することにより、地域住民のいのちと暮らしを守るため圏域全体で必. に次いで高齢者人口が大幅に増加する。高齢者を. 要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策. ●都道府県別の高齢者 (75歳以上) 人口の推移 ① 「小さな拠点」 (多世代交流・多機能型) の形成支援 ②地方都市における経済・生活圏の形成 (地域連携) ・都市のコンパクト化と周辺等のネットワーク形成 ・ 「連携中枢都市圏」 の形成 ・定住自立圏の形成促進 ③大都市圏における安心な暮らしの確保 ④既存ストックのマネジメント強化. 2010年時点の 高齢者人口 (万人). 東京都. 2025年時点の 高齢者人口 (万人). 増加数 (万人). 増加率. 順位. 123.4. 197.7. 74.3. +60%. 1. 神奈川県. 79.4. 148.5. 69.2. +87%. 2. 大阪府. 84.3. 152.8. 68.5. +81%. 3. 埼玉県. 58.9. 117.7. 58.8. +100%. 4. 千葉県. 56.3. 108.2. 52.0. +92%. 5. 増加数合計 (1都3県) 254万人. 資料:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の地域別将来推計人口 (平成25年3月推計) 」. 埼玉りそな経済情報 2015.6. 8.
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