• 検索結果がありません。

内海汚濁のモデルとシミュレーション

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "内海汚濁のモデルとシミュレーション"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

国立防災科学技術センター研究速報 第12号 1974年10月

551,464:681.3

内海汚濁のモデルとシミュレーション

菅原正巳・渡辺一郎・大倉博

     国立防災科学技術センター

Im1and Sea Po11ution Model and Its Simulatiom

      By

   M.Sugawam,I.Wat㎝abe㎝d H.Ohkum

1Vα〃o肌α1Rθ∫2αrc乃Cεπf〃∫oγDオ5αs εγPγω2〃ゴo仏 Toんμo

Abstmct

   Asimplebuteffectiveinlandseapollutionmodelwasproposed.The

essential points of this model are as follows:

   (1)An inland sea is divided,into several zones and it is assumed that all parameters are constant in every zone。

   (2)The pol1ution1eve1,for example chemical oxygen demand (COD),

in each of the zones is a1tered by some factors as follows: polluted mate−

ria1s input,self−purification,phosphorus−nitrogen combination,and sea wa−

ter exchange.

   (3)Although the quantities of nitrogen and phosphorus are reduced by the phosp110rus_nitrogen combination,some parts of the reduced phosphorus are returned afterwards.

   Arelativelygoodresultwasgainedbyapp1yingthismodeltoanin1and

sea Setonaikai.

1.

2.

3.

3 3 3 3

4.

      目

はしカ言き…………・…

モデルの概要……・

1内海の区分…・

2各海域のデータ………・

3 単位時聞当りのCOD,P,Nの変化・・

4 外海の扱い…・

瀬戸内海への適用とモデル修正の経過…一・

1 使用デーダ…・・……一……・・……・

2 ノ{ラメータのf直……

3 データの修正……

4 モテ ル修正の経過…

モデルの特徴と将来の方向1.….....

 3  4  4  4  4  6  6  6

・12

・・13

・13

・22

1

(2)

国立防災科学技術センター研究速報 第12号 1974年10月

1. .ましカぐき

 水質汚濁(特に内海)の問題がクローズアップされてから久しい。現布の汚濁状況を改善 する、あるいは汚濁を巡ませないためには、「汚濁負荷が水質汚濁にどのように影響するか」

という仕組みが解明されねばな 、ない。しかしながら、拡散方砒式を用いるノ∫法を始めとし て、従来のモデル(たとえば参照文献4、第7章 p233〜324)は、たとえ比較的良い緕果 が得られたとしても非常に複雑で計算に1時問がかかり、特に広い地域(海域)に適用するに は不適当であると言わざるを得ない。

 そこで、われわれは、広い海域を・大づかみにした簡単なモデルを提口昌したい。われわれの 目的は、海域内の汚濁物がどのような動きをするかというおおよその仕組み(すなわちモデ ル)を見いだすことであるので、われわれの考えるモデルに実際の汚濁負荷量を入カデータ

としていれたとき、計算された各海域の汚濁状況が実際のものと(略)一致するように、モ デルを修正するというや^)方をする。

 したがって、どのようにモデルが変更されたかという筋道を記述することは、このような 報告において重要なのである。ここでは時間の制約もあったので、その全部について述べる ことはできなかったが、モデル修正の経過も含めて、到達した第一一次モデルの概要と、この モデルを瀬戸内海に適用したシミュレーションの結果について報告する。

 なお、この報告は速報的なものである。われわれのモデルが広く使われることを願い、ま た、より正確な、くわしいデータを測定しようという刺激となることを願って、あえて以下 のような不完全な結果のまま、報告するものである。

(3)

内海汚濁のモデルとシミュレーションー菅原・渡辺・大倉

2.モデルの概要

2.1,内海の区分

 内海を、たとえば島の状況、汚濁の程度などを参考にして、図1のようにいくつかの海域 に分ける。各海域内では各パラメータの値は一一定であると仮定する。

i=9 i=15 i=17

1_10 1−l1 1−12 1−13 1−14

i=1 i=2 i=3 i=4 i=5 i=6 i=16i=18

i=7 i=19

i=8 i=20

図1 内海の区分(瀬戸内海剛列)

 2.2 各海域のデータ

 各海域のデータとその記号を次のように定める。

 (1)C O D濃度:C O D  (2) リン濃度 :P  (3)窒素濃度 :N  (4)海水量  :V

 (5)単位時間当りのCOD負荷量:COD I  (6)単位時間当りのリン負荷量 :P I  (7)単位時間当りの窒素負荷量 :N I

 なお、C O D I,P I,N Iは原則として単位時間ごと(たとえば一月、季節ごと)に異 なるものとする。

2.3 単位時間当リのC O D,P,Nの変化

 各海域のCOD濃度、リン濃度、窒素濃度は、以下の各項に述べる仕組みで変化する。

 (1)汚濁負荷量による増加

 汚濁負荷量は通常、単位時間当りの重量であらわされているので、各海域のC O D,P,

Nの単位時問当りの増加は、それぞれ

  CODI/V,PI/V,NI/V

となる。

 (2)自然浄化

 C O Dは、単位時問にC O D・dだけ白然浄化により減少するものとする。自然浄化係数        一 3 一

(4)

国立防災科学技術センター研究速報 第12号 1974年10月

dは、単位時間ごと(特に季節ごと)に異なるものとする。

 (3) PとNの結合

 Pめ1単位とNのn単位が結合するものとする。

 ただし、

 (i)単位時間内に、現存するPとNのすぺてが結合してしまうのではなく、P・bとN・

   n・bが結合する。(n>1,b<1)

 (ii)P,Nは結合した分だけ減少する。

 (iii)過去において減少したPの一部(P・p)は、、∫、たたびPとしてもどり、Pが増加    する。 (p<1)

 (iv)C O Dは結合量のq倍だけ増加する。 (q≧1)

 P N結合係数bおよぴP帰還係数Pは、原則として単位時間ごと(特に季節ごと)に異な

るであろう。

 さて、このPとNの結合の基礎となる考え方は、次のことである。

 (a)リンと窒素が存在することによってプランクトンなどの生物が発生し、これらの生物 が酸素を要求するためにC O Dが増加する。したがって、C O Dの増加は結合量より通常大

きい。

 (b)プランクトンなどの生物が死亡すると、窒素はほとんど生物体内に残るが、リンは非 常に早く、水に溶出する(参照文献3,P442)。

 また、P N結合倍数nとC O D増加倍数qについては、次のように考えることとした。生 物を用いる汚水処理において、B O D負荷150gを処理するのに、リン1g、窒素5gを必 要とする(参照文献4,P212)。すなわち、リンと窒素を注入して生物を発生させ、これを 沈殿させて浄化しようというわけである。逆に考えれば、リン1gと窒素5gが結合してB OD負荷が150g増加するとしてよいことになる。CODとBODの相関はあまり良くない のであるが、C O Dの値はB O Dの値の半分とみて(参照文献4,P126の表5−2)、リン

1gと窒素5gが結合してCOD負荷が75g増加するとした。すなわち、n:5,q二75で

ある。

 また、プランクトン内の化学成分は、生体乾燥重量100gあたり、リンO.6g、窒素5g というデータもある(参照文献4,P488)。これにしたがえば、n=8である。以下におい て、n=5の場合とn=8の場合の両方について計算を行なった。

 (4)海水交換

 海域iと海域jの間において、単位時間にaijだけ海水が交換されるとする。したがって、

 (i) (原則として) aij=aii  (ii)aii二〇

 (iii)接していない海域間のaij=0

(5)

内海汚濁のモデルとシミュレーションー管原・渡辺一■大倉

である。このとき、ある海域iにおける汚濁量の変化は、

       M       M

       ΣCODj・aji一ΣCOD1・aij        j=1        i=1

であり(ただし、Mは海域の数)、C O D濃度の変化は、

(さ1…j・・ji一ざP・・i・・ij)・・i

となる。同じょうに、P,Nの変化はそれぞれ、

(さ8j・・j一さ、・i・・ij)・・i

(芦 j・・ji一童、・i・・ij)・・i

である。

 なお、このaijは潮流による移動量ではない。潮流によってiからj,jからiの両方向 に移動する。したがってaijは潮流による移動量の1/Sである。Sは海域により、異なるか もしれない。また、相当大きな数であろう。

 2.4外海の扱い

 海域の一つとして外海も考慮しなければならない。外海はこのモデルの一つの重要な境界 条件であり、特別な扱いをする必要がある。

.このモデルでは簡単のため、外海におけるC O D,P,Nは常に一定とする。すなわち、

隣接する海域に対して海水交換によって影響を及ぽすことを除いて、外海に対して何の計算 も行なわない。

3.瀬戸内海への遭用とモデル修正の経過

 上記のモデルを瀬戸内海へ適用した結果について述べよう。実は、瀬戸内海の汚濁の仕組 みを知るために、上記のモデルを考えたのであって、図1は、われわれが用いた瀬戸内海の 区分を示すのである。

 3.1使用データ

 使用したデータを表1、表2に示す。Viとaijは参照文献1から、C OD I i,P I i,N I i とC O Di,Pi,Niの初期値は参照文献2からとった。一部、補足修正したもの、海域を分割 したものもある。な.お、表1の*印、**印、***印については後述する。また、表2の aijについては、参照文献1の半潮時潮流移動量から、S=100として求めたものである。

 参照文献2よりとった、C O D,P,Nおよぴ参考となるN H、一N,P0、一pの実測値 を表3〜表5に示す。これも多少、補足修正を加えた。

 なお・表1のCODの初期値は、表3の47年5月の値を用い、PとNの初期値は、全リン、

       一 5 一

(6)

国立防災科学技術センター研究速報 第12号 1974年10月

全窒素の値を胴いた。一表1ないし、表5の対応する数値の単位が異なるので、実際の計算プ ログラムでは単位変換のための係数が必要となる。

 汚濁負荷量のL季節変化を示すデータがないので、季節係数kをC O D I,P I,N Iに乗 ずることとした。

.1一1・・一り^一3  海域汽外    海響灘︑関門海峡周防灘西郁 V.1.10mヨ 3︐00 5.92

汚濁負荷量(㌧/日)CODI  PI   NIl10.1*      i40.〕ホ 40.  1・0  10. 55.     2,0     55、   初  期  値  PPm  μ9・・〕   μ9一齪一COD  P   N1.O  O.2  20.01.7  0,4  23.71,5  0,6  24.8

4 周防灘東部

2.56 35. 1.0 35. 1.5 O.5 10.7

5 伊予灘西部

11.20 50. 1.2 6. 1.5 O.5 9,5

6 伊予灘東郁

8.22 30. 0.8 4. 1.O 0.6 11.4

7 豊後水道

8.OO 110. 1.0

0.

O.9 O.5 6.3

8

外    海 O.5 O.3 5.O

9 広 島 湾

2.64

O1O.〕ホ*340.

2.0 40、 1.4 O.6 14.O

10 安  芸  灘 3,09 20. 0.0 O. O.8 0.7 10.2 11 燧    灘 2.68 11O. 1.O 30. 2.1 O.5 20.0

12 備  後  灘 1.36 20. 2,O 10. 1.6 1.2 16.O 13 備讃瀬戸西部 0.70

(40,1*‡ホ 65. (1.5}*‡ 2.5

20. 1.7 1.2 25.7

14 備讃瀬戸東部 O.75

(40.)*‡* 65. (1.5i*‡* 2.5

20、 1.9 O.8 34.6

15

播磨灘北部

4.03 40. 2.O 25. 2.7 O.6 40.6

16

播磨灘南部

4.03 30. 1.O 15. 1.9 0.5 44.2

17

大阪湾北部

1.83 280. 5.5 90. 4.1 1.9 48.8

18

大阪湾南部

1.83 180. 3.5 60. 3.6 1.0 33.8

19

紀伊水道

8.OO 130. 3.O 50. 1.3 O.6 40.0

20 外    海 O.5 O.4 30.O

表1 入カデータ

(7)

内海汚濁のモテ ルとシミュレーション 菅原・渡辺・大隼{

i j

aij

i j

aij

i j

aij

1 2

20.0

7 8

300.O 15 16 140.O

2 3

8.0

9

10 10.O 15 17 73.4

3 4

200.O 10 11 28.0 16 19 14.4

4 5

128.8 11 12 20.8 17 18 10010

5 6

161.6 12 13 40.4 18 19    73.42。ト、4。。

=U一U

7

362.6 13 14 40.0 19

9

35.6 14 15 31.8

6

10 101.0 14 16 31.8

表2 海水交換量(・106m]/日)

7一

(8)

国立防災科学技術センター研究連報 第12号 1974角三10月

i

47牛5月 47午8月 47午10り 48fザ1り ;ヨ■ 48午5月

1 「

i■i

2

1.7 1.9 1.4 1.4

i

1.2

3

1.5 1.8 1.8 1.9 ■! 2.5

4

1.5 1.6 1.3 1.3 2.O

5

1.5 1.7 1.4 1.4 2.0

6

1.O 1.7 O.9 1.2 1.1

7

0.9 1.0 1.0 O.9 1.0

8

「一

9

1.4 2.0 1.3 1,0 1.3

1O 0.8 0.9 1.2 O.8 O.6

11 2.1 1.8 2.3 1.7 1.8

12 1.6 1.8 1,3 1.2 1.0

13 1.7 2,4 2.2 1,5 1.7

14 1.9 2.3 2.6 1.5

一ト

15 2.7 2.0 2.0

18_∴

2.2

16 1,9 1.8 1.6 1.4 1.6

17 4.1 2.3 2.2 1.9 2.7

18 3.6 1.3 0.5 1.1

3.0

19 1.3 1.5 1.0 0.8 1.2

20

表3 COD実測値(ppm)

(9)

内海汚濁のモデルヒシミュレーションー脊原・渡辺・大倉

i

47午5月 47午81■1 47一牛10り 48↑一1川 48午5月 令窄素48午5川

1

2

1O.6 5.4 7.3 9.9 5.0 23.7

3

3.1 1.5 6.5 5.2 4.0 24.8

4

1.7 2.1 1.9 2.1 1.7 1O.7

5

O.9 2.2 1.3 0.8 1.1 9.5

6

0.7 1.9 1.4 1.0 2,9 l1.4

7

0.8 1.9 1.5 2.6 0.6 6.3

8

9

1.O 1.4 1.2 3.3 1.3 14.0

10 1.O 1.9 O.7 1.5 0.8 10.2

11 0.4 2.7 O.9 2.9 1.5 20.0

12 O.4 3.6 5.0 2.4 2.5 16.O

13 O.7 1.O 1.2 3.6 2.3 25.7

14 1.1 1.8 O.9 3.8 1.2 34.6

15 3.1 5.4 8.5 3.4 6.O 40.6

16 2.4 2.2 2.7 2.0 2.5 44.2

17 31.3 14.1 24.5 26.9 20.O 48.8

18 2.O 3.O 2.0 4.6 13.7 33.8

19 O.8 1,9 3.0 2.4 1.5 40.O

20

表4 NH4−N(アンモニア態窒素)全窒素実測値(μgltμ)

一9一

(10)

旧、t防災科学技術センター研究速報 第12亭 1974年10月

i

45年5月 47年8月 47年10月 48年1月 48年5月 }       ヨ       ⇒       ■ 全リン48牢5月

1

2

O.24 0.62 0.84 1.02       ≡0.13 !

0.4

3

0.10 O.15 0.18 0.24 0.14      ≡ O.6

4

O.工4 0.12 O,14 O.15 0.15  一      ≡ 0.5

5

O.22 O,17 O.26 0.40 0・18 1 O.5

6

0.30 0.13 O.21 O.30 O.17      ≡ 0.6

7

0.15 0.15 0.33 0.26 0.22 0.5

8

9

O,22 O.24 O.42 O.48 0・20 1 O.6

10 O.23 O.16 0.38 0.55 O,17 0.7

11 O.07 O.38 O.37 0.70 0.16 O.5

12 O.15 O,30 0.42 0.81 0.31 1.2

13 O.35 O.65 0.58 0.86 0.48 1.2

14 O.62 0,91 0.79 1.59 O.25 O.8

15 0.21 O.40 0.75 O.84 0.24 0.6

16 0.24 O.62 O.84

「一

1.O−2 0.13 O.5

17 0.77 2.30 3,05 0.95 0.75 1.9

18 O.43 O.29 0.60 O.64 0.35 1.0

19 O.60 0.12 O.32 0.67 O.20 0.6

20

表5 P04−P(リン酸態リン),全リン実測値(μr8t/1)

(11)

内海汚濁のモデルとシミュレーションー術原・渡辺・大倉

 3.2 パラメータの値

 このモデルの一つのキーポイントは、d(自然浄化係数)、b(PN結合係数)、P(P 帰還係数)、さらにk(季節係数)をいかにして定めるかということである。ただしkにつ

いては、汚濁負荷量の詳しい実側値がわかれば推定する必要のないものである。

 瀬戸内海に対する第一次試算において到達した、これらのパラメータの値を表6に示す。

パ ラ メ ー タ

d (自然浄化係数) O.022 O.016 O.011 0.014

b (PN結合係数)

0.0250 O.O125 O.00415 O.0105

p (P帰還係数)

0.65 0.65 0.65 0.65

9 (C O D増加倍数) 75 75 75 75

n (P N結合倍数)

5 5 5 5

k (.季 節 係 数) 1.1 O.95 O.9 1.05

(1)

パ ラ メ ー タ

d (白然浄化係数) O.015 0.012 O.007 O.01 b (P N結合係数) O.012 0.O06 0.O02 O.01

p (P帰還係数)

O.5 O.5 O.5 O.5

g (C O D増加倍数) 75 75 75 75

n (PN結合倍数) 8 8 8 8

k (季 節 係 数) 1.1 O.95 O.9 1.05

(2)

表6 各パラメータの値(/日)

一11一

(12)

国.、t防災糾学技術センター研究速報 繁12号 1974年10パ

 3.3 データの修正

 表1のデータをよく見ると、どうも納得のゆかないものがある,

(iジ 響灘、関門海峡にそって 大工業地帯があり、*印のように負荷景が小さいとは考え     )れない。

 (ii)たしかに広一島湾のCOD負荷量は大きいであろうが、**印のように大きいとは考    えにくい。

 (iii) 備後1頼戸の負荷量(***印)も納得できない値である。特にりン負荷■量が問題で     ある。

 そこで、以下の計一算では、これらのデータを括弧内のように修.1[したものを用いた。

 実は、モデルの変更、バラメータの変更を行ないながら計算を繰返しているとき、結果が 異常な値になることから、.ト記のことに気付いたのである。逆にいえば、卜記のような物埋 的な而と、計算上の而との、二つの理由があるとき始めて、データσ)修止がゆるされるので

ある。

 3.4モデル修正の経過

 実際には、以下に述べるよりもっと複雑な経過をたどったのであるが、それをすべて記述 すると非常に混乱するので、その一部、PとNの結介の仕方の修正について述べる。

 (1) n=1,p二〇、q二1としたモデル。

 PとNの結合の仕方にっいて、最初は簡単に考えて、リン、窒素それぞれ1gが結合して COD負荷1gが増え、しかも、リンがふたたび海水中にもどることはないとした。すなわ ち・n(P N結合倍数)二1,P(P帰還係数)二0,q(C O D増加係数)二1である。

 この場合には、b(P N結合係数)、d(白然浄化係数)を乎ごろな値にすると、Pが小 さくなりNが大きくなってゆく、Nが多少大きくなるのは致し方ないとして、Pがあまりノ」・

さくならないようにbの値を定めようとすると、bの値は非常に小さくなってしまう。そし て、自然浄化係数dを非常に小さくしないかぎり、COD濃度がどんどん小さくなってゆく。

 このことから・nもqも1より大きいのではないかと考えてモデルを変更し、参照文献4 を見ることにより、n二5あるいは8,q=75と推定したのである。

 ただし、この参照文献4には、「リンと窒素が1:5の割合で結含して、その結果C ODが 75増加する」という記述はない。「nとqが1より大きいのではないか」という考えを持って

この参照文献を見ていたので、リンと窒素を用いる生物処理による水質浄化の話に気がつい たのである。

 (2) n二5あるいは8,p=0,q=75としたモデル

 この場合も、(1)ほどではないが、同じ傾向となる。たとえば、PN結合係数bを0.O05/日 とし、自然浄化係数dをO.O05/日とすれば、C O Dは大略実測値と似てくるけれども、Pは 小さくなり、Nは大きくなる。図2にその結果の一部をホす。(季節係数kはすぺて1.Oとした。)

(13)

内海汚濁のモデルとシミュレーションー管原 渡辺・大倉

COD

4 3 2 1

p      N

  X :\ ll

    X

4  \   40

      X\。、

2         x20

       X

      1

12345   12345  12345

     PN結合係数 n=8(・) (大阪港北部(i=17))

       n=51x〕

季節変化なし(d=O.O05,b=O.005〕

図2 P帰還係数 p二0.5の場合

 モデルを変 史せずにこの事態を回避するには、PN結介倍数nの値をもっと大きくしなけ れぱならないが、安易にnの値を大きくすることは避けるべきである。モデルを変更しなけ ればならない、なにか手がかりがないかと捜しているとき、参照文献3の中から、「…湖水中 で生産された植物プランクトンなどの生物中の燐は、その.生物が死ぬと、きわめて速かに水 中に溶出してしまい、新生沈殿物として捕促されるものは、ごく一一部にすぎないと考えられ る(p442)」という記述を見つけたのである。この場介も、1116ぺ一ジにものぽる、この参 照文献を目的もなく見ていたのであれぱ、た、;〜ん上記の記述を読み過ごしてしまったであろ

う。

 リンが水に溶出する仕組みについても、いろいろな方法があるが、できるだけモデルを簡 単に一すべきであるという考え方から、次のようにした。

 白然浄化のうちの一部がプランクトンなどの死亡によるものであるとし、C O Dの白然浄 化量をYとしたとき

     Y・P/q

だけリンカ もとにもどる。

 このような経過をへて得られたモデルが2.において述べたものであり、表6が瀬戸内海 における各パラメータの値である。そして、この表6の値と3.1のデータを用いて計算した 結果が図3(n二5)および図4(n=8)である。破線が実測値、実線が計算値である。

リンの実測値は全リン量ではなくリン酸態リンの量、窒素の実測値はアンモニア態と硝酸態・

窒素の和(ともに単位はμg−a t/尼)であり、参照文献2からとったものである。

 図3、図4ともに、まだ実測と計算の間に不…致がある。特に次の二っが目立つ。

(i) 周防灘、伊予灘のC O D濃度の計算値が小さい。

(ii) 大阪湾のCOD濃度の計算値が大きい。

 しかし、大阪湾のCO D負荷量、周防灘、伊予灘の大きさと負荷量から考えれば、このよ       一13一

(14)

国立防災科学枝術センター研究遠報 第12号 1974年10月

うな結果となるのは当然と、思、われる。より詳細な濃度実測f1白1、負荷量が得られないかぎり、

パラメータを細かく変 吏して計算を続けることは無、萱昧であろう。

 なお、参考までにp二〇.5のときの図2に対応するグラフを図5にホす。リンかもどるこ との交力果がよくあらわれている口

体夏秋冬作  春

  i=2

夏 秋 冬 春

i=3

4 3 2 1

存 夏 秋 冬

  i=4^

奔    存 夏 秋 冬 春

      i=5

存 夏 秋 冬 春

  i=6

芥夏 秋 冬春   i=7

4 3 2 1

4 3 2 1

存 夏秋 冬 春   i=9

春 夏秋 冬 春

  i=10

4 3 2 1

春夏秋 冬泰

  i=11 図3(1)計算結果 COD(1)(n=5)

(15)

内海汚濁のモデルとシ= ユレーションー一管原・渡辺・大倉

  ■  ︑  −  ●  ・  ・  一  .  ・  −  一  .  −    .

作夏秋冬杯

n6        1

斥夏秋冬休

  i=2

3

2        1

作 蔓 秋 冬 作    i二13

4   32   1

年蔓/火冬存   i二12

4  3  2■  11

作夏秋冬祢

  i二5

  ■  ・  ・  ・  ・  ■  ・  一  ■  ・  ■  ・  ・  ・  ●

存夏秋冬作  i=4

○乙        1

伝夏秋冬作

  i二15

4   3○乙   1

作夏秋冬存

 1二=14

4  0J  り  1   ■  ●  −  .  − − − ^        一  ・  −

作夏秋冬布

  i=7

∩6        1

  ︑  ︑ ︑ ^      .      −  ︑  ︑ ︑ ︑

谷夏秋冬存  i:6

2         1

春夏秋冬杵

 i=17

4   3∩6   1

作 夏 秋 冬 存    i=16

4  3o  1

存夏秋冬春

 i=10

存夏秋冬存  i=9

n6        1

作夏秋冬布

 i=19

4  oJo6  1

存夏秋冬存

 i二18

4  noo6  1

春夏秋冬春

 i=11

り^        1

図3(2) 計算結果 COD(2)(m=5

図3(3) 計算結果 P(1)(n=5

15

(16)

圃.立防災科学技術センター研究速報 第12号 1974年10月

1

存夏秋冬春

 i二12

1

       40

/        10

春夏秋冬春

 i=13

     40      20

\、。/  \ 10

存夏秋冬伝  i=2

一森夏秋冬・春  i二14

40 30 20 10

春夏秋冬春

 i=15

 !、

    1

     40      30      20      10 春夏秋冬存  i=4

存夏秋冬春  i=3

春夏秋冬春

i:16 1

1

春夏秋冬春

 i=17

40 30 20 10

、 /  \

春夏秋冬春

 i=18

     40      :1

へ、。

1

春夏秋冬春  i=6

春夏秋冬春  i=5

春夏秋冬春

 i=19

40 30 20 10

春夏秋冬・春

 i=9

存夏秋冬存  i=7

図3(4)計算結果 P(2)(n=5)

40 30 20 10

春夏秋冬蒜

 i=10

春夏秋冬寿

 i=11

図3(5)言十算結果 N(1)(n=5)

(17)

内海汚濁のモデルとノ: ユレーンヨンー菅原・渡辺・大倉

水.夏秋冬作   i二3

2  1

存夏秋冬存  i:2

4  3○乙  1

春夏秋冬春

 i=13

40 30 20 10

40302010

春夏秋冬春

 i=12

f=火5

4  3o  1

春夏秋冬杯  i=4

4・ 3o  1■

春夏秋冬祢  i=6

40 40

30 30

20 20

10   /\   、..一・1・  、. 10

 /へ・\!  \

春夏秋冬春 4 春夏秋冬春

秋↓

火− 一一 4  3o  1

   〃   〃   

   

        v    ︑   ︑   ︑   ︑

春夏秋冬春

 i=17

40 30 20 10

春夏秋冬春

 i=16

403020m

春夏秋冬布

 i=10 4

o6  1

春夏秋冬春  i:9

4  oo9 1

・・.一/   、

春夏秋冬春

 i=19

40 30 20 10

春夏秋冬春

 i=18

40302010

1

冬春 秋↓春夏

4  ooo 1・一

図3(6)計算緒呆 N(2)(n二5

図4(1) 計算緒果 COD(1)(n=8

17

(18)

固立防災科学技術センター研究速報 第12号 1974年10月

   、   一   ・

  

伝蔓秋冬俸 存夏秋冬存  i二3

 i=2

o^        1

徐夏秋冬蒜

 i=13

4  3o6  1

存夏秋冬存

 i=12

4I  0J  0  1 二葎

杏夏秋

 i・=5

存夏秋冬存 存夏秋冬春  i=4

 i=15

41  oo

俸夏秋冬存

 i=14

4  3  2  1   ︑ ︑ ︑ ^          −  −  ︑ ︑ ︑

察夏秋冬蕎 紅夏秋冬春

 i=6

ゴ        1

作夏秋冬篠

 i=17 ■1 ﹇︑4

4  3○乙  1

作夏秋冬春

 i=16

4  3  2  1

葎夏秋冬春

 i=10

   ︑  ︑  ︑  ︑  ︑  一              ・   ・   ・

春夏秋冬春  i=9

つ^       1

春夏秋冬春

 i=19

3  2

                                   ︸     ︑     ︑     ︑    ︑    ︑   ︑   ︑

春夏秋冬春

 i=18

4  3  り^  1

春夏秋冬春

 i:11

O         1■

図4(2) 計算結果 COD(2)(n=8

図4(3) 計算結果 P(1)(n=8

(19)

内海汚濁のモテルとンユ 1限辺・人

     、     、     、    、   .    ・       

 } 、

20 10

.3

秋=︑夏i

40 30

徐夏秋冬休  i=2

40 30 20

     、     、     、     、     、             一   ■ ^

10

春夏秋冬存

  i=13 1

 、

■存夏秋冬春  i二12

o     1

 5

秋一一夏i

  − ︑ ︑ ^    一 ・ . ・ ■ ・ ・

春夏秋冬存  i=4

40 30 20 10

  ︑  ︑ ︑

    !      

春夏秋冬春

 i二15

o6     1

春夏秋冬春

 i二14

秋=  7

夏i ω 30 20 10

m

存夏秋冬春

 i=10

春夏秋冬存  i二6

40 30 20 10

40 30 20

春夏秋冬存  i二g

 17秋一一

春夏秋冬篠

  i=16

o     1

40 30 20 10

 19秋一一

夏i

1     、

   、

   ・    .     

存夏秋冬春

 i=18

2     11

春夏秋冬春

 i=11

40 30 20 図4(4) 計算結果 P(2)(11=8 10

図4(5) 計算結果 N(1)(n=8

19

(20)

圃.立防災科γ伎術センター研究連報 第12与jl 1974牢10月

40 30 20 10

       40        30        20    一一、  lO

40 30 20 10

春夏秋冬存

  i=12

       40

       20     。へ   10

春夏秋冬存

  i=14

   /\、

春L夏I秋冬存   i=13

40 30 20 10

春夏秋冬椎

  i=15

COD 4 3 2 1

       ::

推夏秋冬存

  i=16

、    〃

40 30 20 10

森夏秋冬春

  i=17

 P

1.8 1.6 1.4 1,2

1

1

40 30 20 10

杵夏秋冬存

  i=18

存夏秋冬春

  i=19

図4(6)言十算結巣 N(2)(n=8)

1 2 3 4 5

P N結含係数 n=8(・〕 (大阪港北部(i=17))

      n=5(x)

 季節変化なし(d=O.011,b=O.O08)

 図5 P帰還係数 p二0.5の場合

(21)

内海汚濁のモテルとシミュレーションー脊原・渡辺・大倉

4.モデルの特徴と将来の方向

 われわれのモデルは、非常に簡単でありながら予想以上に良い結果を得ることができた。

しかも、このモデルは、次のような特徴を持っている。

(i)拡散方程式などを用いる方式と異なり、言十算が非常に簡単で早く行なえる。われわれ   のコンピュータ、T O S B AC−3400モデル31を用いて、一年分の言十算所要時問は約4   分であった。

(ii)負荷量、海水交換量およぴ汚濁状況を細かく測定すれば、それだけくわしいモデルを   作ることができる。

(iii)3.3において述べたように、データの誤まりが多少あっても、それを明らかにするよ   うな構造を持っている。(もちろん、なんらかの他の裏付けが必要であり、誤まりを見抜   く洞察力を、人問が持たなければならないが。)

(iV)モデルが簡単であるため、「負荷量の汚濁の状況から考えれば、この海域の海水交換量   は、この程度であるはずだJとか、「N,Pの負荷量と現状9)濃度から考えれば、C O D   負荷量はもっと大きいはずだJなどということを、見つけやすい、すなわち、洞察力を   発揮しやすい。

 将来の方向として、次のことが考えられる。

(i)aijと潮流の早さ、海峡の広さとの関係の解明

(ii)有効海水量の推定、表面だけが汚濁している可能性がある。

(iii)d,b,pなどの値の物理的意味を調べること。

(iV)n=5であるか8であるか、さらにq=75が正しいかどうかの検討

(V)季節あるいは月別の負荷量を用いての計算。

(Vi)海域をさらに細分しての計算、特に陸地に沿った海域と内海に分けること。ただし、

  この場合には、負荷量や汚濁状況の測定も細かい海域ごとに行なわなければならない。

(Vii)局地的なモデルが要求される場合には、海水を上下の層に分けること、降水、河jl1水、

 蒸発の影響を考えること。

最後に、参照文献などの資料を提供していただいた、(株)日本ビジネス・オートメーシ ョン、富永氏に感謝の意をあらわしたい。

一21一

(22)

       国立防災科学技術センター研究遠報 第12号 1974年10月

      参照文献

王.泣榊.沽第3港湾狸,没局、神戸調査設計事務所(1973):昭和47年度、瀬戸内海水質保全

支一洲向企報告書。

2.環境庁水質保全局(1973):瀬戸内海水質汚濁総介調査結果について(第1回〜第5n)

3.近畿地方建設局(1966):びわ湖生物資源調査団中間報告(一般調査の部)

4.杉木昭典(1974):水質汚濁 現象と防止対策一技報堂

      (1974年7月15日 原稿受理)

参照

関連したドキュメント

たらした。ただ、PPI に比較して P-CAB はより強 い腸内細菌叢の構成の変化を誘導した。両薬剤とも Bacteroidetes 門と Streptococcus 属の有意な増加(PPI

前章 / 節からの流れで、計算可能な関数のもつ性質を抽象的に捉えることから始めよう。話を 単純にするために、以下では次のような型のプログラム を考える。 は部分関数 (

が前スライドの (i)-(iii) を満たすとする.このとき,以下の3つの公理を 満たす整数を に対する degree ( 次数 ) といい, と書く..

点から見たときに、 債務者に、 複数債権者の有する債権額を考慮することなく弁済することを可能にしているものとしては、

近年は人がサルを追い払うこと は少なく、次第に個体数が増える と同時に、分裂によって群れの数

Q7 

○事業者 今回のアセスの図書の中で、現況並みに風環境を抑えるということを目標に、ま ずは、 この 80 番の青山の、国道 246 号沿いの風環境を

夫婦間のこれらの関係の破綻状態とに比例したかたちで分担額