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専門家としての図書館サービスに関する考察

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Academic year: 2021

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図書館運営委員からの寄稿

 皆さんの学習支援の為に、図書館サービスの 有用な活用方策についての近接領域を毎回紹介 しています。前回は、デューイ(Dewey, J.)の

『思考の方法(How We Think)』(1910)で提示 された「反省的思考(reflective thinking)」を 基にしながら、ドナルド・ショーン(Donald A.

Schön)の専門性形成に着眼しました。その際 の重要な中心概念として以下の3つの点を強調し ています。それらは、①「行為の中の知(knowing in action)」、②「行為の中の省察(reflection in action)」、③「状況との対話(conversation with situation」です。この3つの観点を念頭に 置いて専門職、或いは、専門家を「反省的実践 者(reflective practitioner)」という概念で説 明しています。

 今回は、この専門性形成と関連して、 ネイザン・

グレイザー(Nathan Glazer)が提唱する専門 家に着眼し、その中で図書館員がどのように位 置付けられているのかを念頭に置きながら、更 に専門性形成に関して考察を深めて行きたいと 思います。

 Nathan Glazerによると、専門家の熟達の典 型は、医学や法律の「学習された専門性」であり、

これらに近いところで、ビジネスや工学のよう な専門性があると措定されています。このこと を端的に示した著書に “Schools of the Minor Professions”¹ がありますが、ここでは、上記 の医学や法律などのようにその手続きが客観的 で専門教育や研修などのような教育計画によっ て「学習された専門性」を、“メジャーな”或いは、

“メジャーに近い”専門性であると措定されてい ます。それらは、社会福祉や図書館業務、教育、

神学、都市計画のような“マイナーな”専門性 とは区別されています。

 ここでいうメジャーな専門職は、「健康、訴訟

の成功、利潤のように、人々が納得する明白な 目的によって学問的に原理付けられている」安 定した制度的な文脈に於いて機能しているもの であり、従って、それらは、科学的知識の典型 となる体系的で基本的な知識に根拠を置いてい るということができます。このことは更に「専 門家教育に於いて、科学に基づく厳密な技術的 知識という高度な要素を有している」とされて いることからもその性質を推し量ることが出来 ます。

 このような専門職の在り方に対してマイナー な専門職は、「変わり易い曖昧な目的に悩まされ、

実践では不安定な制度的文脈に煩わされている」

という性質がその特長として措定されています。

従って、その手続きが客観的で専門教育や研修 などのような教育計画によって「学習された専 門性」ではなく、実践活動という社会的文脈や 状況に埋め込まれた学習により形成される専門 性であるが故に、「体系的で科学的な専門家の 知識の基礎を発展させることができない」とい う基本的な性質がその特長として措定されてい ます。

 このことは、図書館サービスの展開や利用者 の学習活動にあっても同様の構造を指摘するこ とができます。その場や状況により変わり易く 不安定な制度的文脈によって立つ学習の場とし て図書館での学習活動を措定すると、その制度 的文脈が不安定であるからこそ、実践活動が展 開される共同体への参画が不可欠であるという ことが出来ます。

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¹Nathan Glazer, “Schools of the Minor Professions”, Minerva, 1974, p.346.

えだもと ますひろ(准教授・図書館学・教育学)

図書館の徹底活用術⑰

枝元 益祐

専門家としての図書館サービスに関する考察

Nathan Glazerの専門家の捉え方を参考に

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