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ユーザとコンピュータとの インタラクティブな即興演奏システムの制作

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Academic year: 2021

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ユーザとコンピュータとの

インタラクティブな即興演奏システムの制作

Production of an Interactive Improvisation System between a User and a Computer

1W110461-1 保坂 諭 指導教員 菅野 由弘 教授

HOSAKA Satoru Prof. KANNO Yoshihiro

概要: 本研究は,ユーザとコンピュータがインタラクティブな即興演奏を行うためのシステム「SeRo」を 提案し,制作する.個人で何時でも気軽にジャムセッションを楽しめるシステムを制作することを目的とし, ジャムセッションに慣れ親しんだ演奏者だけでなく,楽器演奏初心者にとっても扱いやすいシステムの制 作を試みる.制作したシステムを用いて実際に掛け合い形式の演奏を行い,生成されたフレーズについて考 察を行った.結論として,本システムはユーザの演奏フレーズのリズム,音価,音量を模倣しフレーズを生成 することで,インタラクティブ性のあるものとなった.そして,生成されたフレーズの音高に関しては,コー ドに即した,滑らかなメロディーとなった.

キーワード:即興演奏,インタフェース,Max Keywords: improvisation, interface, Max

1.序論

演奏者同士が即興的に演奏を行うジャムセ ッションは,楽譜に書かれた通りに演奏する アンサンブル形態とは違った独特の面白さが ある.その面白さの要因の一つとして考えら れるのは,演奏者が互いのフレーズに影響を 与え,影響されながら演奏が対話的に展開し ていく点である.このような演奏をコンピュ ータも行うことができれば,個人で何時でも 気軽にジャムセッションを楽しむことが可能 となる.また,ジャムセッションに馴染みのな い演奏者にとっては,その面白さに気づき,親 しみを覚えるきっかけになり得る.更には,人 間があまり発想しないようなクリエイティビ ティが生まれる可能性も有る.

人間とコンピュータでジャムセッションを 行うことを目的として,過去には,ニューラル ネットワークを用いたセッションシステム [1]や,マルチエージェントモデルを利用した セッションシステム[2],すべてのプレイヤー が対等な立場でインタラクションし即興演奏 するセッションシステム[3]の研究が行われ てきた.これらの研究はいずれも,メロディー 生成や曲の構成などにおいて,ジャズセッシ ョンをモデルとしたものであった.しかし,ジ

ャムセッションは必ずしもジャズの形式で行 われるものではなく,また,ジャズは楽器演奏 初心者に難易度が高いという印象を持たれや すい.ジャズというジャンルに固定しなけれ ば,より多くの演奏者にとって利用可能なシ ステムとなる.

2.本システム「SeRo」について

「SeRo」は,ユーザの演奏に対し,コードに 応じたフレーズを出力するシステムである.

「Session Robot」を短縮し SeRo と名付けた.

システムの制作には Cycling’74 の Max 7 を 用いた.以下に SeRo のインタフェースを示す

(図 1).

図 1 SeRo のインタフェース

(2)

ユーザの演奏は,MIDI デバイス,または PC のキーボードから入力が可能である.システ ムを開始すると,8 小節以内,4 拍子のコード 進行をリピートする伴奏がキック音とともに 再生され,ユーザが演奏を行うと,SeRo はユー ザが演奏したフレーズのリズム,音価,音量を 真似ながら,コードに応じたメロディーを生 成し,MIDI 信号として出力する.そして,音源 を選択した DAW で MIDI 信号を受け取り,再生 する.

3.結果

「C→G→Am→Em→F→C→F→G」の 8 小節の 循環コード進行で,合計 16 小節の演奏を行っ た.ユーザの演奏の入力には MIDI キーボード を用いた.BPM は 120,SeRo の遅延拍数は 4 に 設定した.演奏を記録した楽譜は次の通り(図 2)である.

図 2 コード進行「C→G→Am→Em→F→C→F→

G」での使用結果

4.考察

SeRo がユーザのリズム,音価を模倣するこ とによって,ユーザは自分の演奏したフレー ズをモチーフとして SeRo が応答してくれて いると感じやすいものとなった.また,SeRo の フレーズの音量の変化がユーザのフレーズの 音 量 の 変 化 と 同 じ よ う に な っ て い る こ と で,SeRo のフレーズが抑揚のあるものとなり,

また,リズム,音価の模倣の効果と相まって, さらにユーザのフレーズからの影響を感じや すいものとなった.そして,SeRo のフレーズの 最初と最後の音がコードの根音,3 度,5 度,7 度のいずれかの音であることによって,フレ ーズにコード感が生まれた.また,テンション ノートを発音した場合,次はその音を連続す るか,メジャースケール上の 2 度下,あるいは 2 度上の音を選択することによって,滑らかな フレーズとなった.

5.総括

本研究は,ユーザとコンピュータがインタ ラクティブな即興演奏を行うためのシステム SeRo を制作した.本システムは,ユーザの演奏 フレーズのリズム,音価,音量に影響されフレ ーズを生成することで,インタラクティブ性 のあるものとなり,また,コードに沿ったフレ ーズ生成が可能なシステムとなった.

今後は,ジャムセッションに慣れ親しんだ 演奏者だけでなく,楽器演奏初心者にとって も扱いやすいシステムであるかどうか,詳し く検証を行いたい.また,ユーザ側が SeRo の フレーズをそのまま繰り返すことで,ユーザ の音感のトレーニングになるのではないかと 考えられる.今後,このような SeRo の新しい 可能性についても,研究を深めていきたい.

参考文献

[1] 渡辺和之,西嶋正子,柿本正憲,村上公 一:ニューラルネットワークを用いたジャズ セッションシステム-ニューロミュージシャ ン-, 全国大会講演論文集 第 44 回平成 4 年前 期(2), pp.199-200 (1992)

[2] 金森務,片寄晴弘,新美康永,平井宏,井口 征士:ジャズセッションシステムのための音 楽認識処理の一実現法, 情報処理学会論文誌, Vol.36, No.1, pp.139-152 (1995)

[3] 後藤真孝,日高伊佐夫,松本英明,黒田洋 介,村岡洋一:仮想ジャズセッションシステ ム:VirJa Session, 情報処理学会論文誌, Vol.40, No.4, pp.1910-1921 (1999)

参照

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