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文部科学省委託調査 欧米における産学官連携支援に関する調査研究 ' 米国偏 ( 報告書 平成 22 年 3 月 名古屋大学産学官連携推進本部 1

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(1)

1

文部科学省委託調査

欧米における産学官連携支援に関する調査研究

'米国偏(

報告書

平成 223

名古屋大学

産学官連携推進本部

(2)

2 はじめに

本報告書は、文部科学省からの委託を受け、東海岸の下記5大学'MIT、Purdue、VT、Wake Forest、

NCSU(を訪問し、技術移転局等の関係者へのインタビューを実施するとともにウェブ調査及び文献調 査を行い、大学を中心とした米国の産学連携活動について調べた結果をまとめたものである。

これらの5大学は、大学として産学官連携が極めて重視されており、そして一定程度以上の成果を上げ ていること等から、今後、我が国における産学官連携の方向性を検討していく上で、大いに参考となるも のと考えられる。また、これらの一部の大学については、技術移転組織が大学本体ではなく外部組織と して設立されていること、技術移転組織が拡大途中であること等、特殊な要素があり、これらも今後我が 国の大学の産学連携組織の組織体制、活動を考えて行く上での一つの具体的な事例となるものと考え られる。

なお、本調査の実施に当たっては、名古屋大学産学官連携推進本部と連絡調整を図りつつ、米国ノー ス ・ カ ロ ラ イ ナ 州 に 設 立 さ れ た 名 古 屋 大 学 の 技 術 移 転 組 織 で あ る 米 国 現 地 法 人 'Technology Partnership of Nagoya University, Inc.: NU Tech(が実務的な調査を行ったものである。具体的には、

NU Tech が用意した質問票を調査対象大学の技術移転局等に事前に送付し、その後、面談によるヒア

リング調査を行った。また、更なる不明事項等については、メールでの質問や文献調査等により補足し た。

'調査対象大学(

マサチューセッツ工科大学 (Massachusetts Institute of Technology) パーデュー大学 (Purdue University)

バージニア・テック (Virginia Polytechnic Institute (Virginia Tech)) ウェイク・フォレスト大学 (Wake Forest University)

ノース・カロライナ州立大学 (North Carolina State University)

(3)

3

'各調対象査大学技術移転局等へ送付した質問票(

Nagoya University, Japan

Questionnaire to MIT Technology Licensing Office

on Technology Transfer and Research Collaboration with Industries Prepared by Ministry of Education, The Japanese Government

Translated by Technology Partnership of Nagoya University, Inc. (NU Tech)

Underlined items added by NU Tech 1. Background

A) Status of technology transfer activities in MA

B) State Government’s major policies on promoting and supporting technology transfer C) History of MIT’s technology transfer activity

2. MIT’s mission statement, TLO’s mission statement, and technology transfer and research collaboration policy

3. Organization

A) MIT’s organizations that serve for technology transfers and research collaboration with industries; the relations between these organizations; the overall organizational chart

B) Any non-MIT organization for MIT tech transfer and research collaboration; relationships with MIT organizations; any outsourced functions to non-MIT’s organizations for tech transfer and research collaboration with industries

C) Each organization’s role and demarcation

D) Coe player among these organizations; its number of employees, job description, career path, term, and authority and duty

4. Research Collaboration with Industries

A) Total amount of the research collaboration income from industry B) Strategy to collaborate with industries and acquire external fund

C) Intellectual property management of the fruits from the collaboration researches with industries

(4)

4

5.Technology Transfer

A) Technology marketing strategy; marketing team

B) MIT support for researchers to incubate their technologies to commercialization; incubation facility, early stage investment or loan by MIT itself

C) IP licensing policy; principles for negotiations; principles for licensing fee calculation

6. Venture start-ups from MIT

A) Any special support to venture start-ups from MIT; subsidization, low interest loan, or low-rent facility

7. Human resource development and training

A) Talent search, Training and Education, and performance evaluation B) Background of employees

C) Incentive payment to employees

8. Patent application

A) Organizations in charge of patent filling and patent management; the roles of researchers/faculties, schools, TLO, and MIT administrations

B) Technology selection criteria for filing domestic or international patent applications C) Financial source of patent application fees and annual fees

9. Success and failure story

A) A few success case and the analysis B) A failure case and the analysis

10. Collaboration with other universities

11. Collaboration with local government

12. Others

A) Support system for academic research, including research administrators B) Financial health of TLO; the degree of financial independence from MIT

###

(MIT TLOに実際に送付したもの)

(5)

5

'面談相手及びその日時・場所等(

調査対象

大学 日時 面談相手 タイトル 面談場所

MIT 12月3日 Lita Nelson Director

Technology License office

ワシントン DC コンベンション・

センター Purdue 1月11日 Karen

White

Director

Office of Technology Commercialization

OTCオフィス

VT 1月21日 John Geikler

Senior Licensing Associate

Virginia Tech Intellectual Properties

VTIPオフィス WF 2月25日 Michael

Batalia

Director

Office of Technology Asset Management

OTAMオフィス

NCSU - Billy

Houghteling

Director

Office of Technology Transfer

*複数の者と面談した場合には、その代表者を一人について記載

*NCSUに関する調査については、日常のNU TechとNCSU OTTとの業務関係が構築できており、か

なり情報の蓄積がNU Tech側にあることから、本調査のみを目的としたヒアリングは実施せず。ただし、

不明事項については、適宜、他の業務に係る面談時等において質問し明確化を図った。

'各大学の比較'2008年度(※(

MIT Purdue Virginia Tech

Wake

Forest NCSU

名古屋大学

発明開示件数

522 430 175 82 153 293

ライセンシング収入

$89M $3M $2M $96M $3.6M $0.7M

スタートアップ・

カンパニー件数

20 11 3 2 4

ライセンス契約数

98 82 20 8 73 74

特許保有数

818 145 1300 229

特許申請数

282 175 85 102 96 285

米国特許取得数

140 24 23 7 47 6

総研究開発費

$1,919M $495M $200M $150M $366M $736M

教職員数

1,835 2,427 1,598 596 1,955 1,713

学生数

10,384 30,899 30,870 6,862 32,560 16,395

※2008年度のデータが発表されていない場合には、最も直近のデータを掲載

(6)

6

目 次

はじめに ... 2

Executive Summary ... 7

Massachusetts Institute of Technology (MIT) ... 10

Purdue University ... 26

Virginia Polytechnic Institute (Virginia Tech) ... 40

Wake Forest University ... 51

North Carolina State University ... 65

参考文献・出展等 ... 80

(7)

7 Executive Summary

MIT、Purdue、VT、Wake Forest、NCSUの5大学に対し産学連携に関する調査を行った結果を踏まえ、

今後、我が国の大学の産学官連携の組織、活動を検討していく上で、参考となると考えられる事項を 7 つまとめると以下のとおり。

1.大学としてのコミットメントの重要性

調査した大学では、産学官連携を担当する責任者は研究担当か財務担当'Wake Forest 大の場合(の 副総長クラスとなっており、産学官連携関係組織のディレクターは、副総長クラスの責任者に対して直接 業務の報告を行い、直接指示を受けるなど、大学として技術移転を推進していくという強いコミットメント が現れている。また、大学としてのコミットメントは組織形態にだけではなく、財政支援としても強く現れて いる。産学官連携組織の人件費、特許取得費用等がライセンス収入等で賄えない場合であっても、技術 移転の重要性、また、具体的な成果が出るまでに地道な努力を要すること等を大学が十分理解しており、

大学側から財政支援が行われている場合が多い。

2.産学官連携組織の集約化・権限の強化'2大組織(

産学官連携に関する組織・機能は、調査を行った 5 大学'MIT、Purdue、VT、Wake Forest、NCSU(と もOffice of Technology Transfer'OTT(とOffice of Sponsored Program'OSP(の二つに集約される。

前者の OTT は研究者からの発明開示の受付、特許の取得、マーケティング、契約交渉、契約締結を全 て行い、後者のOSP は企業からの共同研究・受託研究の受付、政府機関等への研究グラントの申請、

契約管理、研究資金の管理を一元的に行っている。OTTもOSPもそれぞれ全学組織として一元化され ており、類似の業務を行う学部毎の組織は存在しない。これらの組織が一括してそれぞれの業務を集約 的に担当しており、学部や個々の研究者がOTT やOSP を通さずに直接個別企業と契約交渉等を行う ことはできないことになっている。このように OTT や OSP の権限が全学レベルでの各種規程で明確に 定められており、OTT、OSPが学内で活動し易い環境が整えられている。なお、我が国では産学官連携 組織を学内か学外におくべきか、議論される場合があるが、大学からのコミットメントがしっかりしており、

業務・権限に関する各種規程がしっかり整備されているのであれば、学内外のどちらに設置されても大 きな差は生じないものと考えられる'Purdue、VT、は学外組織で別法人、MIT、WF、NCSU は学内組 織(。

3.OTTの組織・業務体制の効率化・フラット化

大学の研究成果を商業化し、産業界へ移転する重要な役割を担うOffice of Technology Transfer'OTT(

の組織体制は、「特許を取得し管理する部門'知財部(」、「マーケティングを行う部門」、「契約交渉を行 う部門」等がそれぞれ独立して構成された形態'部門制(から、各技術について一人の担当者を選任し、

当該者が責任を持って特許取得からマーケティング、ライセンス交渉まで行うCase Manager制'CM制(

(8)

8

へと変化してきており、現在 CM制が米国大学の OTT では主流となってきているものと考えられる。事 実、Purdue 大学は OTT の組織を部門制からケース・マネージャー制に改革したばかりである。その理 由としては、部門制では各部毎に閉じた世界での仕事となり「官僚的」になりやすいこと、一つの部から 他の部への情報移転に膨大な労力が必要であり迅速な情報共有ができないこと、そもそもライセンシン グ交渉などには、技術の知識だけではなく、バックグラウンドの知識として特許取得の経緯・範囲、マー ケティングの状況など全ての情報が求められことなどが挙げられていた。

CM 制が採用されている大学では、組織は概ね 3 段階のフラットなものとなっている。まず、3、4 人の

Case Managerがライフサイエンス、エンジニアリング等の技術分野毎に設置されている。この下に数人

のアソシエイトが付き業務を Case Manager の指示を受けつつ業務を行っている。また、Case

Managerやアソシエイトをサポートする者としてOTTの各業務の記録保持、文書化などを担当するアド

ミニスタッフが存在している。なお、OTTの業務の円滑な遂行のためには、このアドミニスタッフの機能の 重要性を訴える大学が多かった'MIT、VT(。

4.ライセンシングを見据えた戦略的な特許の取得

米国では技術移転を行うための権利保護のツールとして必要な場合のみ特許を取得するという考え方 が徹底されており、ライセンシーが見つかっていないもの、見つかる可能性が低いものは特許申請しな いという合理的な考え方が取られている場合が多い'MIT、VT、Purdue(。すなわち、OTTが綿密なマー ケティング調査を行い、特許費用が回収できない恐れのある案件を at riskで申請することは稀である。

このような戦略的な特許申請を徹底し、OTT の大きな支出項目である特許費用を削減するため、特許 申請を行うか行わないかの最終的な判断は、OTTだけではなく各学部から選出されたメンバーで構成さ れる委員会で最終的な判断を行っている大学'NCSU(もある。

5.知財部等におけるマーケティング意識の向上

日本の大学における「知財部」は、特許申請案件の精査、そして申請、取得、ポートフォリオ構成等にそ の業務の重点を置いている場合が多いと考えられるが、調査した 5 大学の産学連携組織ではいずれも、

特許取得後の活動の在り方を念頭に置き業務を行っていると言える。具体的には、特許の取得は全て 外部の弁護士事務所にアウトソースされ'VT では特許の仮出願は自ら実施(、また、特許を取得するこ とだけを担当している者はほとんどいないのが現状となっている。CM 制により、当該技術のマーケタビ リティを調査しつつ、特許事務所を効率よく指示し、そしてマーケティング活動を行いながらライセンス交 渉も行う、という川上から川下までの業務をCMが担当している。すなわち、特許取得・管理やポートフォ リオの構成自体が目的ではなく、特許を出発点としたマーケティング、ライセンシングへと組織の目標が シフトし、明確化されていると言える。このため、特許出願をした技術については、当該技術担当者は必 ず責任を持ってマーケティングを行うとの意識が徹底されている。

6.研究者のマーケティング活動への参加

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技術のマーケティングの重要性はどの大学も認識されているが、そのやり方には温度差が 5 大学の中 では見受けられた。電子メールや郵便によるいわゆるCold Call的な企業への個別アプローチは成功率 が低く時間の無駄と認識している大学も尐なくない'MIT、NCSU(。これらの大学ではマーケティングは 研究者自らが行うもの、または、研究者が有する各種コンタクトをOTT に開示し、そこからOTT が個別 に当たっていくもの、と考えられている。我が国においてどのようなマーケティング手法が最適かについ ては、議論が分かれるところと考えられるが、尐なくとも研究者自らのマーケティング努力が今後更に必 要となってくるものと考えられる。例えば、一部の大学では研究者が学会で発表する際には必ずOTTが 作成した 1 枚紙を持たせ、企業の参加者に配布し PR をするようにしているとのことであった'Wake Forest(。

7.産学官連携における官の役割

調査した 5 大学の産学官連携において、官'連邦政府、州政府、カウンティ(の役割はネットワーキング の場の提供等の極めて限られたものであった。また、大学を中心としたクラスターの形成も官の政策支 援によるもの'NCSU が一角を構成するリサーチ・トライアングル・パーク(も一部あるのも事実であるが、

多くは自然発生したものである'MIT のボストン等(。むしろ、官の役割としては、国立衛生研究所

'National Institute of Health(や国防総省'Department of Defense(等から、研究グラントを惜しみなく、

大学や実績のないスタートアップ企業および大企業との産学官連携プロジェクトに集中的に投下し、これ らを契機に数多くの産学官連携を同時進行させ支援しているとの印象を受けた。

以上

(10)

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Massachusetts Institute of Technology (MIT)

'マサチューセッツ州(

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1. 背景

(1) マサチューセッツ州の産学官連携の状況

マサチューセッツ州は州都ボストンを擁し、その周辺の大学、病院、研究機関を軸に全米においても非 常にハイテク・スタートアップや大企業からのスピン・アウト企業の多い地域となっている。

ボストンに隣接するケンブリッジ市には、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学が存在し、また、ハ ーバード大学医学部の臨床部門を担うマサチューセッツ総合病院等が、全世界からタレントを引き付け ており、新しい革新的な技術を絶えず生み出し供給しているとも言える。

同時にボストンにはニュー・ヨークやカリフォルニアからの投資資金も豊富に流入し、「起業」を資金面で 支えている。さらに、ベンチャー企業法務に詳しい法律事務所、そしてベンチャー企業の会計面を支える 会計事務所など、プロフェッショナル・サービスも充実しており、このように各方面から「起業」を支える構 図となっている。

以上のようなハイテク・スタートアップの「起業」を構成する「人材」、「技術」、「資金」、「プロフェッショナ ル・サービス」は、どれを取っても、ボストン周辺の「起業風土」を構成する重要な要素となっているが、そ のコアな要素として、やはり「人材」、「技術」の供給源として存在するMIT等の大学の存在が大きいと言 えるだろう。そして、「起業」という観点からは「人材」、「技術」の供給源としての役割は、その歴史的背景 からハーバード大学よりもMITの方が大きなものとなっている。このようにMITを中心として、一種の「起 業」創出メカニズムが構築されていると言っても過言ではなく、このシステムが自律的に回転し絶えず新 鮮な「起業」活動を生み出しているとも言える。

(2) マサチューセッツ州政府の産学官連携政策の概要

マサチューセッツ州政府は、下記に示すような雇用を創出するような企業の誘致や研究開発型企業を育 成するための施策を講じている。その充実度は、他のハイテク・スタートアップの多い州、例えば、カリフ ォルニア州、メリーランド州等と比べても遜色のないものである。しかしながら、このような州政府の施策 のみが、産学連携におけるボストンの現在の地位を固めるため、確たる中心的な役割を果たしてきたと は言いにくい。

MIT を中心とした「起業」創出メカニズムは、州政府の各種施策の結果、構築されたというよりも、むしろ 自然発生的に時間をかけて出来上がってきたという方が適切であろう。それは生物のように生きており、

そして今も進化している。事実、70 年代、80 年代にはコンピュータ技術を中心とした企業群が数多く集 積する地域として名を馳せたが、これは過去 20 年間に亘り徐々にバイオテクノロジーのクラスターへと 進化しその形を変えてきた。そして、今、時代の要請も受け革新的なクリーン・エネルギー技術を有する ベンチャー企業の萌芽が数多く見られ、ボストン、MIT では新たな分野のクラスター形成への最初の一

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マサチューセッツ州の研究開発促進施策

(税制支援)

 研究開発促進税制

 研究開発企業等が支出した年間研究開発費の10%を税額控除

 大学、病院等の研究機関に寄付を行った場合、寄付金額の15%相当額 を税額控除

 投資促進減税

 研究開発企業等が行う建物、設備、備品等に対する投資額の 3%相当 額を、企業が納めるべき消費税額から控除。

 移転促進税制

 再開発地域等に進出する企業に対し、建物、設備費用等投資額の 5%

を税額控除

 再開発地域等に進出する企業に対し、固定資産税の減免。初年度は

100%減免し、以降、75%(次年度)、50%(3年度)、25%(4年度)

減免

(補助金等)

 雇用促進補助金

 1年間に10人以上新規雇用したバイオテクノロジー企業、医療機器企 業に対して、新規雇用の者に支払う給与に係る所得税額相当分を支給

 従業員教育訓練促進補助金

 過去に 1 年以上失業していた者を雇用した企業に対して一人当たり 2,000ドルを補助

 従業員50 人以下の中小企業が支出する従業員教育訓練費の50%を補 助

 低利融資制度

 不動産取得、改装等費用を$3Mまで、設備、装置取得費用を50万ド ルまで、低利で融資

歩が踏み出されつつある。

2. 産学官連携ポリシー1

(1) MITの産学官連携の歴史

我が国の大学においては、その役割として、まず「教育」、「研究」が優先的な事項として位置づけられて きており、現在においてもそれは大学の絶対的かつ普遍的な価値観を構成している。もちろん、第三の

「柱」として、当初より「社会貢献」を行うという役割も存在していたが、それは近年までは、教育を通じて 人材育成を行い・供給することによって社会的な貢献を行うという間接的な考えた方が主流であったと言 える。特に我が国の大学では Technology Transfer (技術移転:大学の研究成果を産業界や地域に還 元することによって社会貢献を行う)という考え方は、比較的新しいものとして位置付けられているのが普 通である。また、これは米国の大学においても、日本よりは二十年程度早くから技術移転という取り組み が行われたという歴史があるものの基本的には同様である。

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1861年設立当時のMIT憲章

(MITの設置に係る基本法の一部)

Acts and Resolves of the General Court of the Commonwealth of Massachusetts concerning the Massachusetts Institute of Technology

Acts of 1861, Chapter 183

An Act to Incorporate the Massachusetts Institute of Technology, and to Grant Aid to Said Institute and to the Boston Society of Natural History

Be it enacted by the Senate and House of Representatives in General Court assembled, and by the authority of the same, as follows:

Section 1

William B. Rogers, James M. Beebe, E.S. Tobey, S.H. Gookin, E.B. Bigelow, M.D.

Ross, J.D. Philbrick, F.H. Storer, J.D. Runkle, C.H. Dalton, J.B. Francis, I.C. Hoadley, M.P. Wilder, C.L. Flint, Thomas Rice, John Chase, J.P. Robinson, F.W. Lincoln, Jr., Thomas Aspinwall, J.A. Dupee, E.C. Cabot, their associates and successors, are hereby made a body corporate by the name of the Massachusetts Institute of Technology, for the purpose of instituting and maintaining a society of arts, a museum of arts, and a school of industrial science, and aiding generally, by suitable means, the advancement, development and practical application of science in connection with arts, agriculture, manufactures, and commerce; with all the powers and privileges, and subject to all the duties, restrictions and liabilities, set forth in the sixty-eighth chapter of the General Statutes.

上記のような背景に照らし、MIT における産学官連携の歴史・位置付けを見ると、MIT は極めて特殊な 大学として位置づけられることが分かる。すなわち、MITはその創設時'1861年(から、その設立の目的 に産業界における諸問題への実学的な対応が明確に記されており2、今日に言う、「技術移転」というコ ンセプトが約150年以上前の設立当初より存在していた。

具体的には、科学の原理等を純粋なScienceとしてアカデミックに学ぶことに加え、School of Industrial Science を設立し、農業、製造業、商業における Science の実学的な応用'Practical Application of

Science(を目指していた。当時には、当然「技術移転」という用語は存在していなかったが、当時の MIT

Charter の趣旨は明らかに今日に言う、「技術移転」を通じた社会貢献を目指していたと言える。この点

では、Science の学問的追及に重きを置いていた隣接するハーバード大学とは、設立の趣旨から根本 的に異なり、技術移転の遺伝子が MIT にはその創設時から植え込まれているともいえる。ボストンの

「起業」創出メカニズムにおける MIT とハーバードの役割・貢献度の違いは、このような歴史的背景、設 立趣旨の違いからも説明可能と考えられる。

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(2) MITの産学官連携ポリシー3

MITはその研究成果について、社会へのオープンな普及、学界における自由な情報交換を促進していく ことがMITの使命であるとしている。この観点から技術移転はMITの使命を実現するための重要なツー ルであるが、一方で、技術移転は、「教育」、「研究」の下位に従属するものとして位置付けられている。し たがって、研究成果に係る情報の公開・普及は、情報の内容の定義や権利を保護するために必要な最 小限度の時間を除き、迅速に行われなければならないとされている。

このようなポリシーが顕著に表れているのが、その MIT におけるライセンス活動であろう。MIT の Technology Licensing Office (TLO)の担当者へのヒアリングによると、MITは基本的にNon-Exclusive のライセンス契約を志向するとのこと。いわゆる大企業はExclusiveなライセンスを要求することが多く、

このため、大企業との契約を交わせないことになる場合も存在するとのことであった。また、毎年 100 件 程度のライセンス契約が締結されるが、大企業ばかりとではなく、中小企業との小さい契約が数多くを占 めることも、MITのこのような基本的なポリシーを物語っているとも言えよう。

3. 大学の産学官連携体制

(1) MITの産学官連携組織体制

産学官連携を担う組織として、研究成果のライセンス等を行うTechnology Licensing Office (TLO)4と企 業等との共同研究を管理するOffice of Sponsored Program (OSP)5が挙げられる。特に企業との共同 研究の成果の取り扱い、そのライセンシングなど両オフィスとも担当者レベルでの連携が機敏に図られ ており、結果として、組織としての連携も十分実現されているようである。

MITのAssociate Provost for Researchが直接TLO、OSPを監督し、TLO、OSP局長は業務の状況 等を直接 Associate Provostに報告している。そして、Associate Provostは、必要に応じ Chancellor に報告し、最終的にChancellorからPresidentにTLO、OSPの業務が報告される。

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MITにおける産学官連携関係組織とその関係図

(2) 関連組織間の役割分担

MIT 自体は巨大な組織となっているにもかかわらず、産学官連携に係る各学部毎の縦割り組織は作ら れておらず、産学官連携についてはTLO及びOSPがそれぞれ一括して、全学組織として管理・運営さ れている。(注:一部の日本のいわゆる「TLO」と異なり、MITではTLOは学内の組織となっている。)

TLOは特許の取得・管理、ライセンス交渉を主に行い、OSPは企業等との共同研究窓口として、契約の 締結、各種ルールの策定等を担当している。両組織の役割分担はしっかりしており、かつ、両者の連携・

情報共有は徹底されている。例えば、OSPにIntellectual Property Officerが設置されているなど、共同 研究による成果の取り扱い、当該成果物の第3者へのライセンスなどのケースにおいて、TLO 担当者と 協調して案件にあたっている。

(3) 人員体制等

TLOには32人の常勤職員が存在している。特に幹部クラスの人材は皆、10年~20年のビジネスの経 MIT President

Associate Provost for Research MIT Chancellor

Office of Sponsored Program

・共同研究等の窓口

・利益相反規定等、共同研究の 実 施に係るルールの策 定

・輸出規制の窓口

・政府からの補助金情報の提供

Technology Licensing Office

・技術の評価

・特許等の取得

・ライセンス交渉

・商業化の手伝い、

・研究目的のための情報提供

連携

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験があり、それぞれ製品開発、マーケティング、新規ビジネス開発等に関する知識・経験を有する者とな っているとのこと。具体的な人員構成は、局長及び二人の副局長を筆頭に、技術分野別に担当分野を 分けられたTechnology Licensing Officerが7人、その下にAssociate Technology Licensing Officer、

Technology Licensing Associateと続く。また、FinancialやOfficeの運営に係るスタッフの他に、外部 の弁護士事務所との調整を行う担当官も存在している。毎年、インターンを受け入れ、ライセンス業務を 教育している。ほとんどのインターンが修士号以上の学位の所有者であり、これらのインターン経験者の 一部がTLOで実際に職を得て働くことになる。

なお、給与に関する事項として、ライセンス契約高に応じたインセンティブ・ペイメントについて聞いたとこ ろ、MITではそのようなシステムは導入していないとのことであった。

OSP には約 50人程度のスタッフが常勤している。複数のセクションが存在するが、中心的であり、最も 多くの職員を抱えるのが、Grant & Contract Administration Teamであり、政府等からの各種補助金の 申請補助の他、企業等からの外部資金の獲得に際しての契約条項等の調整・交渉を行っている。

4. 共同研究等に関する取り組み

(1) 民間企業からの資金を獲得するための戦略

MITはその世界的な知名度があるが故、民間企業等からの共同研究のオファーや寄付の申し出が他大 学よりも多くなっているとの指摘は事実ではあるが、外部資金の獲得に対して何も努力せずに受身の姿 勢でいるというわけではない。

MIT では'基本的にどの米国の大学でも同様と思われるが(、教授等に外部資金の獲得を強く奨励して いる。自らの研究活動費は自ら獲得するというスタンスが徹底されており、企業等とのコラボレーションを 行いたいと言う教授等のインセンティブも一般的な日本の大学教授等よりもかなり強いと思われる。教授 等が自らの研究に関する産業界とのコンタクト先を最も数多く有していることから、考えてみれば、これ が企業等からの外部資金の獲得には最も有効な手法とも言える。

教授等による外部資金の獲得の取り組みをサポートする意味で、共同研究を行う際の規程、経費の配 分方法などの各種ルールが全てOSP のウェブサイト上で公開され、企業側からみてもその透明性が確 保されている。他方で、前述したとおり、MITでは産学連携等の技術移転の取り組みは「教育」「研究」の 下に従属するものとされており、教授等のMITにおける「教育」、「研究」に関するActivityが企業との共 同研究によって、阻害されないように十分な配慮がなされている。具体的には、教授等の利益相反規程 や企業等の共同研究に割くことができる時間数の上限がMITの通常の就業時間の20%までと決められ、

MITにおいて最高レベルの「教育」、「研究」が維持・提供されるように配慮されている。

さらにMITではOffice of Corporate Relationsの下に、Industrial Liaison Program'ILP(6が展開され、

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企業と MIT のインターフェース機能を大きく発揮している。このプログラムへの参加は有料であるが、参 加企業には当該企業とMITの関係を促進・フォローするIndustrial Liaison Officerが個別に割り当てら れ、この担当官が企業からのニーズ・要望に応じて、対応できる教授等を紹介している。MITコミュニティ へのゲートウェイを確保するために、現在、ILPには約 200 社が参加しており、ILP を通じて各種のコラ ボレーションの実現の端緒が提供されている。

(2) 共同研究等から生じる知的財産のマネージメント

一般論として、企業との共同研究による成果については、企業との契内容によることになる。しかしなが ら 、MIT の 産 学 連 携 の ポ リ シ ー が 解 説 され ている Guide to the Ownership, Distribution and Commercial Development of MITによれば、企業との共同研究契約文書には原則としてMITが特許 等の研究成果を所有すること、また、スポンサー企業は当該特許等をMITからライセンスするオプション を有する旨を明記した上で契約を交わすこととしている。このようにMITでは共同研究による成果もMIT に帰属するように契約上措置されている。

また、これに加え、研究成果の保護のため、MIT における共同研究プロジェクトに参画する者、すなわち 企業からの派遣研究員、MIT の職員、学生、他大学からの参加者等全ての者に対し、発明した成果は MITに帰属させることを誓約するInvention and Proprietary Information Agreementの提出を義務付 けている。

さらに企業からの共同研究'外部資金(の受け入れを検討している教授等は、常に OSP の Intellectual Property Officerとコンタクトしなければならず、専門知識を有した同Officerが共同研究契約の締結に は全て関与する体制を整えている。

5. 技術移転に係る取り組み

(1) 技術のマーケティング方法・体制

MITのTLOでは、各技術毎にCase Managerを置き、このCase Managerがマーケティング戦略、ラ イセンス交渉を一義的に担当し、個別に対応している。しかしながら、技術を宣伝するための MIT TLO

Office of Corporate Relations Industrial Liaison Program

・企業とMITの連絡窓口

・企業からの技術相談に応じ教授等を紹介

・企業毎にLiaison Officerを一人設置し、企業とMITの関係を個別にフォローアップ

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としてのマーケティング戦略は特に存在していないように見える。

この理由としては、①前述したとおり、発明者である教授等が自らライセンスの話をTLOに持ち込むこと が多いこと、②発明者がライセンス先を発掘していない場合でも、尐なくとも潜在的なライセンス先となる 各種コンタクトを有しており、まずはこれらのコンタクト等に打診していること、③その知名度から技術を 求め自らやってくる企業等が他大学等と比べ多いこと'ILP などを通じ MIT にアプローチしてくる企業が 多い(、等が理由として考えられる。

事実、担当者へのインタビューによれば、コールド・コール的なマーケティング活動はほとんどしていない とのこと。さらに、こうしたアプローチは成功率が極めて低く'1%~5%(、非効率的との認識であり、これ

は MIT TLO における上記のようなマーケティングに対する認識を象徴しているようにも受け止めること

ができる。

(2) 研究成果を実用化するための大学内での支援システム・大学発ベンチャーの支援

MIT では毎年約 20~30 のスタートアップ企業を生み出しているが、スタートアップ企業への支援は極め て限定されているのが現状である。学内には入居できるインキュベーション施設も整備されていないし、

MIT が補助金や低利融資をこれらの企業に提供していることはほとんどなく、下記のようなボランティア や慈善家、大学OBの寄付によって運営されているものが一部あるのみである。

① The MIT 100K Student Entrepreneurship Contest7

MITの学生によるビジネスプラン・コンペであり、優勝者'チーム(は$ 100,000の賞金を受け取るこ とができる。チームはMITのエンジニアリング系の生徒とビジネススクールの生徒から通常構成され る場合が多い。単なるビジネスプランのコンテストであはるが、これまでに 85 のプランについて実際 に起業され、$600M の資金をベンチャーキャピタルから投資されている。中には、優勝した二年生 の生徒が、起業し、後にその会社を$13Mで売却した例もある。なお、本コンテストは MITの生徒自 らの手で運営されており、優勝賞金も全て生徒の手でファンドレイジングされていることは注目に値 する。

② The Deshpande Center8

Deshpande氏からの個人的な寄付金によって設立・運営されており、MITの教授等の研究活動及

びその後の商業化活動に対し資金援助を行っている。シーズの採択は、商業化の可能性に基づき、

ベンチャーキャピタリスト等によって行われている。採択後は、Catalyst という専門のメンターが配さ れ、教授等に対して商業化に向けたアドバイスを行っている。

他方で、ファンドレイジング手法、企業マネージメント、技術の売り込み方法、マーケットの絞り込み等の 各種専門的なビジネス・アドバイスを受けやすい環境がMITには整備されている。ただし、これらのサー ビスを提供する組織はMITの組織ではなく、MITのOB等のボランティアから構成される自然発生的な

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組織・ネットワークであることに留意が必要である。

③ The MIT Enterprise Forum9

1978年にMITの同窓会によって設立され、現在では全米で18の支部、海外で6つの支部が存在 している。コンセプト・クリニックやスタートアップ・クリニックなど、起業家向けの勉強会が各種実施さ れており、有識者からのアドバイスを直接受けることが可能である。このようなイベントには毎月数 百人に上る起業家等が全世界で参加している。

④ The Venture Mentoring Service10

1997年にMITの二人の卒業生によって設立され、ボストン周辺の投資家、ビジネスマンのボランテ ィアによって支えられている。起業家に対し、マーケティング戦略、ビジネスプランの作成方法からプ レゼンテーション・スキルに至るまで、アドバイスを行っている。

(3) 特許等のライセンス戦略11

①ライセンス先の選定

MITがライセンシングに際し、一般的にNon-exclusiveのライセンス形態でスタートアップ等の中小企業 を相手先として望んでいることは前述したとおりであるが、MITでは実際に約20%のライセンスは発明者 等が起業したスピン・アウト企業が相手となっている。

一つの技術に対して複数の者がライセンスを希望する場合においては、まずは、Non-exclusive のライ センスの可能性を追求するが、仮に双方の企業側が Exclusive のライセンスを希望した際には、ライセ ンス先の選択を行わなければならない状況が発生する。仮に「既存企業」と「発明者が中心となり設立す るスピン・アウト企業」の両者が exclusive のライセンスを同時に望んだ場合には、下記のような判断基 準がライセンス先の選定に大きく影響するとのこと。

ライセンス先の判断基準例

項目 判断基準 ライセンス先候補

スピン・アウト企業 既存企業

①技術内容 技術自体が各種の製 品に派生していく可能 性のあるPlatform Technologyの場合

◎ △

②類似製品 既に市場に類似製品

が存在している。

△ ◎

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③市場規模 リスクを取るのにふさ わしい大きなマーケッ トが存在する

④発明者の参画 発明 者が情熱を 持 ち ス ピ ン・ア ウ ト 企 業の 経営に参画する意向 がある場合

◎: ライセンス先として、好ましく適切

○: ライセンス先として、適切

△: ライセンス先として、好ましくない

'注(

 実際の判断は、より複雑な背景事情等を勘案して行われていることに留意が必要。

 ③、④についてはスピン・アウト企業にライセンスする場合の最低限の条件。すなわち、ベンチ ャーキャピタル等から投資を受けるためには、一定規模以上の市場規模があり、リターンの大 きさが一定以上であること、また、発明者が経営に参画していることが求められる場合が多 い。

②ライセンス料の構成

ライセンス料については、技術の内容、ライセンス先の状況、マーケットの状況等により、大きく異なるた め、簡略化して議論する場合には注意が必要であるが、凡そは以下のとおりとなっていると言える。一 括したライセンス料が全額前払いされるというケースは当該技術の成熟度、ライセンス先のリスク・テイ クの度合い、等から判断してそれほど多くないのが現状であり、売上等に応じたライセンス料が後年度 以降に支払われる形態が多数となっている。

主なライセンス料は下記の要素によって構成される場合が多く、実際の項目や額の算出方法は、個別 の交渉やライセンシング先の資金力等にもよって大きく異なってくる。

ライセンス料 = ライセンス開始料'ライセンスを開始時の手数料'一回のみ((

+ ライセンス維持料

'売上等に無関係に毎年一定額の支払い、最低年間ロイヤリティの確保(

+ 特許取得費用・維持費用 + マイルストーン料

'ある目標'FDA臨床試験のフェーズIIへの移行時など(達成時に支払い(

+ 売上等に応じたライセンス料'売上額の一定パーセント(

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また、スピン・アウト企業の場合には、MIT はライセンス料の対価としてEquity を受け取ることもあり、こ の場合、上記の一部の項目が大幅に減額されるケースが多い。なお、言うまでもなく Equity の価値は、

当該スピン・アウト企業の成功度・成長度によってその価値が大きく左右され、大きな収益をもたらす場 合もあれば、逆にただの「紙切れ」になることも多々ある。

③ライセンス料の凡その範囲

ライセンス料はケースごとに、その額、支払い方法等が大きく異なるため、一律に議論することは難しい が、MIT の経験によると凡そ下記のレンジと言うことができるとのこと。ただし、レンジ外となるケースも 多々存在することに留意が必要である。

通常のライセンス

ライセンス料の項目 凡その範囲

ライセンス開始料 License Issue Fee

$10,000 - $200,000

ライセンス維持料

Annual License Fee (minimum royalties)

$20,000 - $200,000

マイルストーン料 Milestone Fee

$50,000 - $1,000,000

薬等において FDA 認可を取得した場合などは 額が大きい

売上等に応じたライセンス料 0.5% - 7%

プロセスの改良や製品の場合には一般的に低 い。非製品の場合やソフトウェア、さらに薬品の 化学組成等の場合には高くなる傾向がある。

スピン・アウト企業等へのライセンスでEquityを受け取る場合については、全発行Equityのうち概ね約 5%~22%程度のシェアを受け取っている場合が多くなっている。

例えば、当該スピン・アウト企業がベンチャーキャピタルから1億円の投資を受けた場合、そのEquityの 関係者間の配分は概ね以下のとおり。

スタートアップ企業のEquityの配分例

ライセンス料の項目 凡その範囲

ベンチャーキャピタル 33%

技術ライセンシング者'MIT TLO等( 特許への対価のみの 場合'商業化へは大

ライセンシング者が商 業化へ大きく貢献して

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きな貢献が無い場合( いる場合

5% - 7% 15% - 22%

スピン・アウト企業従業員へのストック・オプショ ンへのリザーブ

20% 20%

スピン・アウト企業創設者等の経営層 40% - 45% 25% - 32%

6. 人材育成・確保

MIT TLO は人材確保のために絶えず努力している。TLO の活動に必要な人材を三種類に分けると、

Senior Staff、Junior Staff、及びAdministration Staffとなるが、これらの三分類はそれぞれが役割を補 完し合いうまく機能しているとのことであった。

Senior Staffは実際にビジネスの経験が10年から15年以上ある者を採用し、求められる資質は、強い 技術的なバックグラウンド、マーケティング能力、コミュニケーション・スキル、そして実際に製品開発から 販売等のマーケティングを一通り経験した者が望ましいとのことであった。強い技術的なバックグラウン ド、コミュニケーション・スキルを求める理由は、アカデミックな特殊な言語を一般のビジネス言語に「翻訳」

する能力が非常に重要になってくるためであり'アカデミックな世界にいる人間に、ビジネス言語への翻 訳を期待することは全くできないとのこと。(、製品開発等の長年のビジネス経験を求めるのは、MIT 技 術の商業化に際し、ビジネスとして次に何が起きるか、必要かを事前に察知するスキルが必要なためで ある。MIT TLO では、このポストに就く人材を育成すると言うよりは、以上の資質を有する者を適宜、必 要に応じて採用しているのが実態のようであった。

Junior Staff は Ph.D.保有者もいれば、学部を卒業したばかりの者もいる。これらのスタッフは Senior Staffに師事し、その仕事ぶりから色々なスキルを体得している他、定型的な業務をSenior Staffに代わ り行い、Senior Staff が最も必要とされる業務に集中できるように助けているとのこと。特に学部を出た

ばかりのJunior Staffは成長が早く、3年くらいで、そのスキルを活かし次のステップ'ロースクール、ビジ

ネススクール、メディカルスクールへの進学など(に着実に進んでいくとのこと。

Administration Staff は、その重要さがしばしば無視されているとのことであった。本来、技術移転業務 はその仕事の内容からして詳細なドキュメンテーション'記録保持(が求められる仕事であり、また、近年 特に契約の複雑化、利益相反規程に基づく宣誓書へのサインなど、ペーパーワークが著しく増えている 状況において、Administration Staffの重要さは著しく高くなっている。このスタッフのパフォーマンスがラ イセンス先の発掘などにつながることはないが、業務をストリーム・ライン化し、ひいては TLO 全体のパ フォーマンス向上に影響を与える可能性が大いにあるとのこと。そのため、しっかりした事務能力のある 人を雇用するよう心がけているとのことであった。

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7. 発明の権利化に係る支援

(1) 特許の取得・管理体制

特許の取得・管理は全てTLOが担当している。このため、学内の他の組織との二重構造となり手続きが 冗長・煩雑化する恐れはない。MIT のポリシーによれば研究成果である技術の開示は全て一義的に TLOに行われなければならないとされている'開示件数は年間約500件(。

なお、TLOは特許取得に係る業務を全て外部の民間弁護士事務所にアウトソーシングしており、その限 られたリソース'人材・時間(をライセンスに係る交渉、教授等からの相談への対応、技術の商業化への 取り組み支援に集約している。また、TLOはMITでの研究成果のみならず、MITと関係の深い外部の研 究機関'The Whitehead InstituteやThe Broad Institute(における研究成果についても取り扱ってい る。

(2) 特許の活用戦略

MITの米国特許取得数'登録数(は年間概ね150件程度であり、単純計算によれば、TLOに対して行わ れる年間の技術開示数'500件(の約30%程度となっている。

社会への研究成果のオープンな普及、学界における自由な情報交換を促進していくことが MIT の使命 であるとしているため、MIT では基本的には技術成果の商業化を図る場合や企業との共同研究契約で 求められている場合にのみ、特許の取得を試みている。すなわち、どれだけ学術的に研究成果がすぐ れていても、商業化の見込みのないものについては、特許の取得を志向せず、できる限りオープンで自 由な情報交換の促進を追求している。

担当者へのヒアリングによれば、特許の取得数は国際的な特許については、さらに徹底しており、ライセ ンス先が確保されている場合のみ'見込みのある場合のみ(特許を取得しているとのことである。また、

商業化の見込みがあると判断し、特許を取得した技術についても、上記の趣旨に照らし、8年以上ライセ ンス先が見つからないものについては権利を放棄しているとのことであった。

(3) 特許出願費・管理費の財源

MIT TLO では、過去 20 年間において、人件費、管理費、特許出願費・管理費、弁理士事務所費用

'2009会計年度の特許関連費用は1,600万ドル(等は全てライセンス料収入'2009会計年度のライセ ンス収入は6,630万ドル(から賄われている。このため、MITからの予算措置を一切受けていない。

さらには、TLOはライセンス収入の余剰分をMITに収めており、MITにおけるProfit Centerとなってい る。この点は、大学や政府からの財政的支援を受け運営されている Cost Center である日本の大学の

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技術移転組織とは大きく異なっている。

ライセンス料収入があった場合の配分は、以下の順序に従い通り各関係機関等へ配分されている12。 TLOの取り分がまず最初に規定されている点は、MITにおけるTLOの位置付け、また、技術移転にお けるTLOの果たす役割の大きさを物語っているとも言える。

8. 成功事例・失敗事例

ヒアリングによれば、成功事例は数多くあり、そして失敗事例は成功事例よりもはるかに多くあるとのこと であった。その多くの成功事例のうち、一例を挙げると以下の通り。

Akamai

MIT Computer Science Laboratory において開発されたインターネットのトラフィック管理技術をベース に起業され、現在では分散型コンピューティングシステムの事実上のプラットフォームを手掛けるまでに 成長している。同社のプラットフォームは、インターネット上のウェブトラフィックの 10-20%を恒常的に 取り扱っており'毎日 500億ヒット(、インターネットがどのように機能するか大きな影響を与えていると言 っても過言ではない。

Integra

MITの細胞工学における研究成果をベースにした、同社の皮膚再生基盤は、火傷や皮膚再生等の治療 向けにFDAで唯一認可を受けている画期的な製品となっている。同社の製品は二層構造となっており、

MITにおけるロイヤリティ収入の配分方法・手順

① まず、ロイヤリティ収入の15%をTLOへ配分

② 残りの 85%から特許関連費用を控除(②までの結果の残額を「改定ロイヤリティ収

入」Adjusted Royalty Income(ARI)と呼んでいる)

③ ARIの1/3を発明者へ配分

④ 更なる費用が発生・判明した場合には、ARIの2/3から、当該諸費用が控除される。

⑤ ④の結果としてARIがプラスとなれば、当該額の1/2を当該発明を行った学部、研 究所、センター等へ配分

⑥ ARIの最終的な残額(⑤と同額)をMIT本体へ配分し、MIT全体でプール

なお、⑤の数字(諸費用控除後の ARI)がマイナスの場合、MIT 全体でプールされ ているファンドから補てんが行われる

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皮膚の再生の足場となり、再生を促進させることが可能である。

ヒアリングにおいて、失敗事例については特段の言及はなかったが、数多くの失敗事例は単に失敗とし て終わるのではなく、結果としてMITの産学連携、起業コミュニティの中で貴重な事例・教訓として 今後の成功に向けた貴重な糧となっていることは言うまでもない。

9. 大学間・地方自治体との連携

MITとして正式に産学官連携について、他大学と協定等を結んでいることは尐ない模様。ただし、教授レ ベルによる非公式な研究協力、商業化はさかんに行われている模様。ただし、非公式な研究協力等に あってもMITのコミュニティの一員がMITにおいて発明した成果は、MITに帰属するため、TLOやOSP が一義的な窓口となり全ては把握される。

また、地方自治体'Cambridge市(との連携は極めて尐なく、そもそも MITが地方自治体に産学連携に ついて期待している事項は極めて尐ないとの印象を受けた。

地方自治体やマサチューセッツ大学を中心に、地域の技術移転機関の連絡会のようなものは主宰され ている模様であるが、これも情報交換会程度のものであり、本質的な技術移転等の取り組みをしている ものとはなっていない。

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Purdue University

'インディアナ州(

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1. 背景

(1) インディアナ州の産学官連携の状況

ミッドウェスト地域に属するインディアナ州は、そのビジネス環境において、全米でもトップ10またミッドウ ェストにおいても上位にランクされる州となっている。同州における産学官連携を含む起業活動について は、州内の大学も充実していること等から'ボール州立大学、インディアナ大学、ノートルダム大学、

Purdue大学(、ミッドウェストにおいて、二番目に起業環境が良い州とされている。

また、インディアナ州では大学の研究パークが数多く整備されている。これらは、大学発技術をインキュ ベートする施設として機能し、多くの技術の商業化を実現する場となっている。代表的な研究パーク

'Research Park(としては、Purdue Research Parkがまず成功例として挙げられ、 そして、インディア ナ大学のEmerging Technologies Center も近年急成長している。

このように総じて、インディアナ州においては、産学官連携活動が活発に取り組まれていると言える状況 であるが、特に注目すべきは、大学発技術のライセンス等において、中小企業への技術移転が多いこと が挙げられる。事実、大学からの中小企業への移転活動については、全米で 8 位にランクされている。

これは、飛びぬけて世界的に有名な大学、また、大企業が数多く集積するわけでもないことから、大学 の技術移転活動が中小企業、大学発ベンチャー等へ特に焦点を当てていることの結果とも言えると考え られる。

(2) インディアナ州政府の産学官連携政策の概要

インディアナ州政府は企業誘致、雇用創出の観点から産学官連携を捉えており、研究開発を促進する ための税制策、補助金施策を準備している。これらの施策が、他の州の同様の観点からの施策と比較し て、どの程度厚遇されたものであるか、その判断は容易なものではないが、他州にはなく特に目を引くも のの一つとして、特許収入非課税措置が挙げられる。

これは特定の特許収入'ライセンス料等(を法人所得税の課税対象額の算出から控除できるというもの である。最大 50%まで控除可能となっており、これはインディアナ州が技術移転や研究開発の社会への 還元を重視している姿勢の一つとして見ることができる。

また、州政府は、州内の大学の研究者、特許のデータベースのネットワーク'INDURE と呼ばれている。(

を構築し、起業家が関心のある技術に係る研究者やその知財をワンポイントで検索できるようにしてい る。このシステムに参加している州内の大学は、Ball 州立大学、 インディアナ大学、ノートルダム大学、

そしてPurdue大学等が挙げられる。

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インディアナ州の主な研究開発促進施策

(税制支援)

 研究開発促進税制

 研究開発企業等が支出した年間研究開発費と過去3ヵ年の平均年間研 究開発費を比較し、その差額分($1Million を上限)の 10%を州法人 税額から税額控除 (Tax Credit)

 上記Tax Creditは当該年から10年間にわたり、繰越ができる。

 特許収入非課税措置

 従業員 500人以下の企業が得た特許収入は、当初5年間は50%を非 課税とする。

 6年目からは、漸減し9年目及び10年目には10%となる。11年目以 降、非課税措置は無い。

 一企業が1年間に非課税とすることができる特許収入は上限$5Million までに制限されている

(補助金等)

 21世紀研究開発補助金

 地域に雇用を創出する等の効果が見られる研究開発型企業に対して、

研究開発費等を21世紀研究開発ファンドを通じて補助。補助金額は その都度設定

 例えば、2007-2008 会計年度では、 21 企業に対し、総額$33Million を補助

 フ ァ ン ド の 20%は 連 邦 政 府 補 助 金 Small Business Innovation

Research補助金の申請企業の支援事業に用いられている。

2. 産学官連携ポリシー

(1) Purdueの産学官連携の歴史13

1869 年にランド・グラント大学として、Purdue 氏からの寄付などを得て、農業技術や機械工学を専門と する大学として設立された。基本的に地域の農産業従事者に対して、農業技術を教えていたが、他のラ ンド・グラント大学と比較し古くから工学部門にも力を入れていた。しかしながら、農業以外の他の産業 界が大学へのアクセスが十分ではなく、大学での研究成果や知識を十分に活用できていない状況に対 して懸念を表す声も尐なくなかった。これは、Purdue 大学がランド・グラント大学としての公共的な性格 のため特定のプライベート企業に貢献することを禁じられていたためである。このため、1930 年に Purdue 大学と企業との間をつなぐ存在として、非営利組織である Purdue Research Foundation

(PRF)が設立された経緯がある。RPFは現在、Purdue大学のIPの管理、マーケティングを始め、大学

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に対する寄付金の管理、信託資産の管理、大学施設の所有、奨学金の支給等、Purdue 大学本体にと って、その中心的な業務を担う重要な存在となっている。

1990年代以降、Purdue大学及びPRFはPurdue Research Parks'PRP(を州内4か所に設置し、主 にライフサイエンス、国土安全保障、エンジニアリング分野における産学官連携の拠点として成果を挙げ つつある。また、2001年、Purdue 大学における学際的な分野の研究拠点として、Discovery Parkが設 置された。Discovery Parkでは主にバイオテクノロジーやナノテクノロジー等について、学際的に各分野 からの多面的・複合的なアプローチを通じて研究が行われ、多くの技術シーズを産業界や PRP に提供 している。

(2) Purdueの産学官連携ポリシー14

Purdue 大学では、教授、スタッフ、学生によるアカデミックな活動の成果による技術を商業化するなど

社会へのそのインパクトを最大化し還元することは、大学の重要な使命の一つとして位置付けられ、産 学官連携の重要性は十分認識されている。そして産学官連携による大学からの技術移転は、下記のよ うに発明者、大学、産業界、そして最終消費者にとって、Win-Win の状況をもたらすことを大学として理 解している。

 アーリー・ステージの発明や技術が製品化やサービス化され、社会に還元され具体的な形として利 用可能となる。

 新製品の製造を通じて、新たな雇用を地域に創出する。

 ライセンス収入等を通じて、発明者や大学に対して新たな収益源をもたらす。

 産業界との新たな共同研究のきっかけとなる。

上記の使命を果たす手段の一つとして、Purdue 大学における教授陣、スタッフ、学生による全ての発明 は一義的に大学側に帰属することとされており、Purdue Research Foundation (PRF) に設置された Office of Technology Commercialization'OTC(がその技術を全て管理し、精力的に技術移転先の発 掘を行っている。また、Sponsored Program Services'SPS(が、産業界との共同研究のインターフェー スになるなど、大学や社会の利益を最大限化する活用方法が模索されている。'一部の技術については、

その発明者からの要請により、厳重な大学側の審査の結果、発明者に帰属させることがあるが、これは 極まれの事例のようである。(

このようなポリシーの下、Purdue 大学において産学官連携は大学の使命を果たすための重要な使命

'Mission(の一つとして、積極的に推進している。

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3. 大学の産学官連携体制

(1) Purdue大学の産学官連携組織体制

代表的な産学官連携組織としては、Office of Technology Commercialization'OTC(及びSponsored Program Services'SPS(がある。これらの組織の関係図は以下の通り。

Purdue大学における産学官連携関係組織とその関係図

President

Vice President for Research

Chief of Staff

Sponsored Program Services

・研究資金(連邦政府のファンド等)

獲得サポート(プロポーザルの作成 等)

・企業との共同研究に係る契約交渉

・利益相反規程等の監督

・輸出規制・管理 Office of Technology

Commercialization

・技術の評価

・特許の取得の判断

・ライセンス交渉

・マーケティング

・契約作成時におけるSPSへのア ドバイス

連携

Senior Vice President for Business Services and Assistant Treasurer Exec. VP for Business & Finance, Treasurer

Purdue Research Foundation

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(2) 関連組織間の役割分担

Purdue 大学の研究成果等を一括して管理しているのが、Office of Technology Commercialization

'OTC(15であり、大学本体に設置されているのではなく、Purdue Research Foundation (PRF) の一部 の組織となっている。OTCは1999年にそれまでのOffice of Technology Transfer'OTT(の組織及び その目的を再構成して設立されたものであり、OTT時代と比べ、既存企業へのライセンス等の技術移転 よりも研究成果である技術の商業化に一層焦点を当てている。ただし、OTC はあくまでも Purdue 大学 本体の業務を代行している立場に過ぎないため、大学の全てのポリシーに従うことが必要である。

連邦政府等からの補助金獲得のサポート、企業との共同研究契約の交渉・締結等を担っているのが、

Sponsored Program Services'SPS(16である。教授等が外部資金を獲得するためにプロポーザルの 作成等の支援を行っている他、企業との共同研究に係る契約交渉を担当している。契約交渉において は、特に研究成果の帰属の取り扱いやライセンスする際の企業側の費用負担などが明記される場合が 多いため、OTCはライセンス交渉の実務に当たる立場からSPSへアドバイスをすることも多い。

OTC 及びSPSは連携して業務を遂行しており、特に、企業との共同研究の成果の取り扱いやそのライ センスに係る制限事項について、連絡を取り合っている。また、輸出規制に係る取り扱いについても、

OTCとSPSが協調して監督している。

(3) 人員体制等

OTCには局長以下14人のスタッフが存在している。Purdue Research Foundationの規模に比べると 小さな組織であるが、OTCの年間ロイヤリティ収入4~6億円程度の規模からみると、妥当な体制となっ ていると言える。

具体的には、開示のあった発明の内容に応じて 3 分野に分類し、一つの分野につき二人のケースマネ ージャーが業務に当たっている。合計でCase Manager'CM(は6人いる。各CMの下にはインターン や事務スタッフがおり、CMがマーケティングやライセンス交渉等の業務に集中し、生産的な業務活動が 行えるような体制となっている。平均して、各CMは毎年約40件づつの新しい発明案件を担当するなど、

その業務量は大きなものとなっている。

他方、SPSには局長以下、約80人のスタッフが配置されており、大所帯な組織となっている。SPS局長 の下に、Pre-Award、Post-Award、Contracting等を担当するAssistant Directorが存在し、それぞれの ユニットを率いている。

4. 共同研究等に関する取り組み

(1) 民間企業からの資金を獲得するための戦略

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