中 学 校
平 成5年 度
教 育 研 究 員 研 究 報 告 書
東 京 都 教 育 委 員 会
平 成5年 度
教 育 研 究 員 名 簿(音 楽)
区市町村名 学 校 名 氏 名
江 東 区 砂 町 中 学 校 ◎ 和 田 崇
世 田 谷 区 新 星 中 学 校 吉 田 治 子
北 区 王 子 中 学 校 伊 藤 憲 弘
練 馬 区 練 馬 東 中 学 校 金 澤 美 彰
足 立 区 扇 中 学 校 柴 田 文 恵
葛 飾 区 常 盤 中 学 校 山 中 征 弘
江 戸 川 区 清 新 第 二 中 学 校 ○ 吉 岡 幸 子
調 布 市 第 六 中 学 校 伊 藤 晃
秋 川 市 御 堂 中 学 校 鈴 木 福美江
瑞 穂 町 瑞 穂 中 学 校 遠 藤 千 夏
◎ 世話人 ○ 副世話人 担当 教育庁指導部高等学校教育指導課指導主事 神 原 陸 男
研 究 主 題
心 か ら音 楽 的感 動 を体 験 で き る指 導 法 の 工 夫
IH皿
研究主題設定の理 由
目 次
研 究 の 経 過 研 究 の 内 容 1音 楽 的 感 動
(1) (2) (3)
2指 導 事 例 (1)
① 入 学 前
② 入 学 式 0
④ (2)
0 0 0 (3) 0 0 (4) 0 0 0
④ 卒 業 式 音楽的感動 とは 音楽的感動 の意義 音楽的感動 の場面
中学校入学時の指導の工夫
オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
第1学 年の指導の工夫
第2学 年の指導の工夫
第3学 年 ・卒業式の指導の工夫 最初の授業
変声期の指導 指導の展開例 適切な教材
指導の展開例 適切な教材
指導の展開例 適切な教材
合 唱 コ ン ク ー ル
IVま と め と今 後 の 課 題
一i一
234444566677800234578901241111111112222
研 究 主 題
心 か ら音 楽 的感 動 を体 験 で き る指 導 法 の 工 夫
1主 題 設 定 の 理 由
今 日 の社 会 は,情 報 化,国 際 化,価 値 観 の多 様 化 等 の変 化 が 著 し く,知 識 偏 重 の 教 育 環 境 に よ り,知 識 を咀 囎 す る時 間 と体 験 が持 て ず,知 識 を 応 用 して い く力 が 育 た な い こ と が 問 題 に さ れ て い る。 こ う した 中 で 新 学 習 指 導 要 領 で は,生 涯 学 習 に 向 け て学 校 ・家 庭 ・地 域 社 会 の教 育 環 境 を見 直 し,未 来 社 会 の変 化 に 自 ら対 応 し,生 徒 自身,心 豊 か に主 体 的 に,創 造 的 に生 き る こ と が で き る資 質 や 能 力 を 身 に つ け る こ とが 求 め られ て い る。 この こ と は,音 楽 科 が 目指 す 「音 楽 に対 す る感 性 の育 成 」 を達 成 す る上 で 不 可 欠 で あ る。
感 性 と は,周 囲 の環 境 か らの刺 激 に対 す る感 受 性 や そ れ に 反 応 す る心 の 働 きで あ り,美 し い もの や 崇 高 な もの に 対 して 感 動 す る心 を 呼 び起 こ し,真 理 を 求 め る心 や 豊 か な創 造 性 を 生 み 出 す た め の 重 要 な 働 きを 持 っ 。 しか し,こ の 重 要 課 題 の解 決 に 向 け て の具 体 的 な 考 え方 の 検 討 や,実 際 の学 習 指 導 の 工 夫 にっ い て は,そ の研 究 が 不 十 分 で あ る こ とが現 状 で あ ろ う。
本 年 度 の研 究 員 は,個 性 を伸 ば す 指 導 の充 実,感 性 の育 成 を 図 る た め に は,音 楽 的 感 動 体 験 が必 要 不 可 欠 で あ る と考 え た 。 この 音 楽 的 感 動 体 験 を通 して,一 人 一 人 の 生 徒 が 心 か ら音 楽 の 美 し さを 感 じた り,考 え た りす る こ とに よ って 音 楽 的 感 性 は養 わ れ る。 ま た,感 動 体 験 は音 楽 教 育 全 体 の ね ら い に迫 る もの と して重 要 性 を もっ 。 本 年 度 の研 究 を推 進 す るに 当 た り, 感 性 と創 造 性,創 造 性 と個 性,ま た,豊 か で 多 様 な 個 性 と音 楽 の 基 礎 ・基 本 な ど に っ い て も 討 議 さ れ,感 性,創 造 性,基 礎 ・基 本 の そ れ ぞ れ が,内 面 で 結 合 し導 か れ個 性 と い う個 々 の 思 考 や 態 度 と な って 表 現 さ れ る こ とな ど,様 々 な 内 的 要 素 に っ い て も確 認 さ れ た 。
音 楽 科 教 育 に お い て 身 に付 け た資 質 や能 力 は,家 庭 や 地 域 社 会 に お い て生 か さ れ なが ら, 生 涯 を通 じ,深 め られ 根 づ くの で は な か ろ うか 。 音 楽 は,基 礎 ・基 本 の 習 得 に 長 期 間 を要 す
るが,教 師 が 細 か く心 を配 っ た環 境 の 中 で,教 師 や 友 だ ち との 交 流 の 和 や か さが 漂 い,互 い の 信 頼 感 と優 しさ の な か で進 め られ る学 習 は,音 楽 を 素 直 に受 け 入 れ,自 分 の 感 じ方 や 考 え 方 を じっ く り見 っ め る こ とが で き る個 性 を形 成 す る。 この こ と は,個 々 の感 性 を 磨 く こ と に っ な が り,そ の手 が か り と な る心 か らの 感 動 体 験 は,次 の 感 動 体 験 を生 み,そ の 一 っ一 つ が 徐 々 に で はあ る が 確 実 に 音 楽 性 が 培 わ れ て い く こ と に な る で あ ろ う。 この よ うに 感 動 体 験 が 新 学 習 指 導 要 領 が 目指 す 生 涯 学 習 に 必 要 な 資 質 や 能 力 を 身 に付 け る上 で 大 き な意 義 を もっ と 考 え,本 研 究 主 題 を設 定 し た。
II研 究 の 経 過
本 年 度 の 研 究 員 総 会 が 発 足 後,5月 の例 会 ま で 主 題 設 定 の た め の検 討 を重 ね た 。 そ の 後 の 経 過 は以 下 の通 りで あ る。
〈5月 〉
本 年 度 研 究 主 題 を 推 進 す る に あ た り,生 徒 を よ り広 い音 楽 の世 界 に導 く上 で の,各 研 究 員 の 日 常 の教 育 実 践 上 の共 通 の留 意 点 を 次 の よ う に見 出 した 。
(1)生 徒 の 個 性 を そ の ま ま肯 定 す る こ と 。
② そ の広 が り と限 界 を 明 確 に認 識 す る こ と。
(3)成 長 を 評 価 し,自 ら に実 感 させ る こ と 。 (4)先 へ の 意 欲 を持 たせ る こ と。
〈6月 〉
感 性 を培 う ・育 て る学 習 の機 会 を 検 討 し,合 唱 活 動 を通 じ総 合 的 学 習 展 開 を意 図 しな が ら, 本 年 度 研 究 主 題 を具 体 的 に推 進 す る こ とを協 議 ・確 認 した 。
〈7月 〉
音 楽 の学 習 と感 性 ・創 造 性 の 関 係 に っ い て 検 討 を重 ね る中 で,音 楽 の 好 き嫌 い や 関 心 と感 動 の レベ ル等,音 に誘 発 さ れ る様 々 な 感 情 は言 語 に お き か え られ て 自 己 の 印 象 を形 成 す る と い う音 楽 的 思 考 と言 語 の 関 係 を 確 認 し,8月 の 御 岳 集 会 に 向 け て 具 体 的 な準 備 を進 め た 。
〈8月 ・御 岳 集 会 〉
こ こで は,定 例 会 で の 協 議 事 項 の確 認 と 「感 動 と は何 か 」 「意 義 に っ い て 」「具 体 的 な場 面 」 等 充 分 な協 議 が な さ れ た 。 ま た,合 唱 活 動 に お け る各 学 年 ご との 特 性 や 適 切 な教 材 にっ い て, 演 奏 テ ー プ を聴 きな が らの具 体 的 指 導 法 な ど の協 議 ・検 討 を入 念 に進 め た 。
〈9月 以 降 〉
各 研 究 員 の事 例 報 告 を も と に研 究 内 容 の見 直 しを行 い,各 事 例 の 充 実 を図 っ た 。 ま た,各 事 例 が 一 般 的 と な る よ う検 討 を重 ね,よ り実 践 的 な指 導 事 例 を 目指 して 研 究 を推 進 した 。
な お,各 領 域 に わ た って 扱 う こ と はせ ず,合 唱 活 動 を通 じた実 践 研 究 を重 点 と した の は次 の理 由 に よ る。 基 礎 的 な 学 習 で は,そ の必 要 上,歌 唱 ・器 楽 ・鑑 賞 等 の 各 領 域 別 の学 習 に な りが ち で あ るが,本 来,こ れ らの領 域 は合 唱 活 動 を含 む魅 力 的 な題 材 構 成 に よ る総 合 的 な 関 連 の も と に学 習 が行 わ れ る こ と が望 ま しい 。 ま た,合 唱 曲 に お け る歌 詞 が生 徒 に と って 音 楽 的 内 容 理 解 の 手 が か り と な る こ とな ど,こ と ば の もっ 意 義 は大 き い 。 本 研 究 は,こ の よ う な 意 義 を もっ 合 唱 活 動 が 感 動 体 験 を通 して行 わ れ る こ と を 目指 して 行 わ れ た 。
一3一
皿1研 究 の 内 容
本 年 度 研 究 主 題 で あ る 「心 か ら音 楽 的 感 動 を 体 験 で き る指 導 法 の工 夫 」 を進 め て い く上 で, 本 年 度 研 究 員 は,(1)音 楽 的 感 動 に っ い て,(2)音 楽 的 感 動 の意 義 に つ い て,㈲ 音 楽 的 感 動 の 場 面 に っ い て,共 通 理 解 を 図 る必 要 が あ っ た。 音 楽 的 感 動 は,あ くま で 音 楽 活 動 を通 して 得 ら れ る もの と して 理 解 しな けれ ば な らな い が,研 究 の ね らい を 踏 ま え,こ こ で は 「音 楽 の効 用 」 に着 目 し,音 楽 的 感 動 の体 験 と教 育 的 意 義 と の結 びっ き を通 じて,本 年 度 研 究 主 題 を 具 体 的 に進 め て い くこ とに した 。
1音 楽 的 感 動 (1)音 楽 的 感 動 と は
鳴 って い る音 の形 を作 っ た もの にす ぎ な い音 楽 に は,そ の 中 に だ け あ る,音 楽 を通 して し か 分 か らな い もの が あ る。 人 は,悲 しい と きに音 楽 を 聴 い て,慰 め られ た り気 力 を 回 復 した
りす る。 又,同 じ音 楽 を,あ る人 は 「悲 しい 」 と聴 き,あ る人 は 「楽 しい」 と聴 い た り もす る。 これ らは音 楽 の効 用 に す ぎな い が 事 実 で あ る。 人 は音 楽 を,そ の効 用 か ら切 り放 して, 何 も感 じな い で聴 く こ と は あ りえ ず,必 ず な に か を 感 じる 。
音 楽 は 人 間 が作 っ た もの で,作 曲 家 は,そ れ ぞ れ の方 法 で,形 を選 び音 の形 の 流 れ を作 る。
作 曲家 個 人 に ど の よ うな 思 い や 意 図 が あ ろ う と,作 られ た音 楽 は深 い 心 の働 きか らで きて い る。 そ の 鳴 り響 く音 の形 の 流 れ は,感 覚 を通 じ,受 け入 れ る者 の 心 の 中 に流 れ こむ 。そ して, 心 と心 が 向 き合 い音 で っ な が った と き,作 品 に 自 己 は没 入 し,し か も心 は以 前 よ り生 き生 き
と働 い て い る状 態 を 音 楽 的 感 動 とい え よ う。
〈2)音 楽 的 感 動 の 意 義
心 と心 が 向 き合 い音 で っ な が っ た と き に生 ま れ る音 楽 的 感 動 か ら,我 々,音 楽 科 教 師 が 目 指 す 目標 は,以 下 の もの が 挙 げ られ よ う。
・音 楽 性 の 伸 長 。
・音 楽 を 愛 好 す る心 情 。
・音 楽 に対 す る感 性 の育 成 。
・豊 か な 情 操 の 養 成 。
感 覚 と思 考 に 則 した 音 楽 的 体 験 は,そ れ が よ り深 い集 中 及 び よ り丁 寧 な 取 り組 み で あ れ ば あ る ほ ど 人 間 の生 き方 の 問 題 と な り,精 神 の 躍 動 を ひ きお こす 。 そ して,そ れ は,新 た な 目 標 に 向 か う精 神 的 エ ネ ル ギ ー と な る。 この エ ネ ル ギ ー は,自 己 の未 来 が ど の よ うに 広 が るか と い う,対 象 に対 す る意 義 と展 望 に 目覚 め,そ こに 至 る まで の 目標 と過 程 を明 確 に し,自 己
を 支 え て くれ る人 々 の た め に,自 己 の役 割 を 果 た そ う とす る連 帯 と責 任 を 生 む 。 この エ ネ ル ギ ー こ そ が,音 楽 科 が 目指 す 目標 達 成 の 基 盤 を 成 す もの と して と らえ て お く必 要 が あ ろ う。
音 楽 に は,精 神 の躍 動 を通 じ人 間 の生 き る リズ ム を回 復 さ せ る効 用 が あ り,音 楽 的 体 験 か ら生 まれ る感 動 か らは,新 た な 目 標 に向 か う意 欲 が生 ま れ る 。 こ の点 に,音 楽 的 感 動 の意 義 を 見 いだ す こ とが で き る と同 時 に,教 育 的 意 義 も推 察 で き よ う。
(3)音 楽 的 感 動 の 場 面
基 本 的 に は,音 楽 が在 る あ らゆ る場 面 で 可 能 で あ ろ う。 しか し,こ こ で は学 校 教 育 活 動 の 範 囲 内 で 考 え られ る,音 楽 的 感 動 の場 面 に っ い て 述 べ る こ と に す る 。
・授 業
音 楽 を作 り上 げ る過 程 で,音 が とれ な い,リ ズ ムが と りに くい,う ま く表 現 で き な い 等,自 分 で 見 っ け た 課 題 を,自 分 で解 決 した と き の喜 び や 自信,教 師 や 仲 間 の 助 け を少 し受 け る こ とで 解 決 した と きの 信 頼 感,こ れ ら一 っ 一 っ の感 激 が新 た な 意 欲 を 生 み,取 り組 み の深 さ と,そ の 積 み 重 ね が 感 動 の瞬 間 を っ くる 。
・行 事
・儀 式 的 行 事 入 学 式 ,卒 業式
・学 芸 的 行 事 文 化 祭 ,合 唱祭,区 市 町村 中学校 連合音 楽会
・宿 泊 を伴 う行 事 … … 移 動 教 室 ,夏 季施 設
・特 別 活 動
音 楽 の 効 用 を 最 大 限 に活 用 し,仲 間 と の一 体 感 を 通 じ,連 帯 の意 識 を 高 め る学 級 活 動 や,音 楽 体 験 を よ り深 め よ う とす る部 活 動,ク ラ ブ活 動 。
。各 種 音 楽 コ ン ク ー ル
成 果 を 発 表 す る,各 種 コ ンク ー ル。
こ の よ う に,学 校 で,音 楽 的 感 動 を体 験 で き る場 面 は数 多 くあ り,授 業 の 音 楽 以 外 の 音 楽 活 動 が,学 校 教 育 の 場 で教 育 的 意 義 と結 び っ き,意 図 的 に活 用 さ れ て い る 。 もち ろん,そ の 活 用 の され 方 は,各 学 校,地 域 や生 徒 の 実 態 に よ って 多 様 で あ る が,音 楽 的 感 動 の効 用 が,教 育 活 動 全 般 に わ た り教 育 効 果 が あ る こ と に異 論 は な い で あ ろ う。 そ して,そ の た め に数 多 くの 場 面 が 意 図 的 に 設 定 され て い る こ と は確 か で あ る 。
以 上 の共 通 理 解 を通 じ,本 年 度 研 究 主 題 で あ る 「心 か ら音 楽 的 感 動 を 体 験 で き る指 導 法 の 工 夫 」 の 展 開 例 を,入 学 式 準 備 期 間 か ら卒 業 式 ま で の 合 唱 活 動 を通 じ,そ の指 導 法 と工 夫 に っ い て 具 体 的 に 示 す 。
一5一
2.指 導 事 例
(1)中 学 入 学 時 の指 導 の工 夫
新 入 生 は,中 学 校 へ の期 待 と不 安 に胸 を ふ く らま せ,か な りの 緊 張 を も っ て入 学 式 を 迎 え る。 この こ と は,中 学 校 側 で も十 分 考 慮 さ れ て お り,こ れ を受 けて 音 楽 科 で も十 分 配 慮 した 指 導 展 開 を工 夫 して い る 。
① 入 学 前
入 学 前 に,準 備 しな け れ ば な らな い こ とが い くっ か あ る。 ま ず 第 一 に,小 学 校 と の情 報 交 換 に よ る生 徒 理 解 で あ る 。 こ の こ と は 中学 校 で の 年 間 指 導 計 画 を作 成 す る上 で の大 切 な要 素 で あ り,生 徒 の 実 態 把 握 を行 う こ と に よ って よ りよ い学 習 指 導 が可 能 と な る。 そ こで,小 中 音 楽 科 で の 情 報 交 換 が必 要 と な る 。 入 学 前 と後 の 音 楽 体 験 を 有 効 に 継 続 させ る に 当 た り,次
の点 を把 握 す る こ と が大 切 で あ る 。
・地 域 の 音 楽 的 活 動 の 状 況 。
・保 護 者 の 音 楽 的 関 心 の状 況 。
・生 徒 の 日常 の 音 楽 的 活 動 の状 況
・どの よ う な授 業 を して い るか
・どの よ う な作 品 を 取 り扱 って き た か 。
・音 楽 の授 業 に お け る生 徒 の実 態。
・ 「音 楽 的 感 動 体 験 」 の 場 面 と そ の 内 容
これ に よ り,入 学 後 の 音 楽 の授 業 の 中 で生 徒 の愛 唱 して き た既 習 曲 を 取 り上 げ る こ と に よ っ て,ノ』岸 校 時 代 の 「音 楽 的 感 動 」 を 再 び呼 び起 こす こ と もで き る。
第 二 と して,環 境 整 備 が挙 げ られ る。
・音 響 機 器 の保 守 点 検
・机 ,椅 子 の整 備点検
・掲 示 物 の 工 夫
・破 損 箇 所 の 修 理
こ こで は,音 楽 室 の 第 一 印 象 を 良 くす る こ とで,音 楽 へ の意 欲 関 心 を妨 げ る要 素 が な い よ うに留 意 した い 。
次 に 在 校 生 は,卒 業 生 が 培 って きた 合 唱 を,今 度 は 自 分 達 が新1年 生 に 伝 え て ゆ くの だ と い う意 識 を高 め て お く こ とが 大 切 で あ る。 入 学 式 へ の 在 校 生 の参 加 人 数 に は各 学 校 の実 情 も あ るで あ ろ うが,で き れ ば 卒 業 式 に は2年 生,入 学 式 に は新2年 生 と い う よ うに 学 年 単 位 で
参 加 させ た い。 ま た,と りあ げ る 作 品 も各 学 校 の実 態 に よ る が,小 学 校 で の既 習 曲 を と り あ げ 全 員 合 唱 を 展 開 して い る事 例 も報 告 され て い る。
最 後 に,入 学 式 に新 入 生 が校 歌 を 歌 え る よ う に して い る学 校 の 事 例 を紹 介 す る。 生 徒 会 主 催 の 次 年 度 入 学 予 定 者 へ の 「学 校 紹 介 」,あ る い は 「体 験 入 学 」 等 を 利 用 し,上 級 生 に よ る 校 歌 の歌 唱 指 導 が 行 わ れ た り,ノ1、学 校 との 連 携 の一 環 と して 配 布 した 校 歌 の テ ー プ で練 習 を お 願 い した りす る こ とで,新 入 生 が 校 歌 を 歌 え るよ うに な って い る学 校 の 例 も報 告 され て い
る。
② 入 学 式
音 楽 科 で は,入 学 式 を 儀 式 と して と らえ る と と も に,新 入 生 に と っ て変 声 期 を ほ とん ど終 え た上 級 生 の 混 声 合 唱 に よ って 音 楽 的 イ ンパ ク トを 与 え られ る,最 初 の授 業 と して と らえ, 心 か らの 「音 楽 的 感 動 体 験 」 の一 場 面 と して と らえ た い 。 合 唱 に よ る 「音 楽 的 感 動 」 を 初 め て 体 験 さ せ る場 と して,こ こで は,混 声 合 唱 の 響 き を体 験 さ せ 憧 れ を い だ か せ る こ とが ね ら
い とな る 。
③ オ リエ ン テ ー シ ョ ン
この 時 期 は,入 学 式 で の上 級 生 に よ る声 の 素 晴 ら し さか ら得 られ た感 動 を,よ り確 か な も の とす る た め に,オ リエ ンテ ー シ ョ ンを積 極 的 に活 用 し,校 歌 や 簡 単 な 合唱 曲 を指導 した い。
上 級 生 の リー ダ ー集 団 が 朝 の学 活 を利 用 し,校 歌 の歌 唱 指 導 を実 施 して い る学 校 も あ る。
(新 入 生 の 各 教 室 か ら歌 声 が 響 きわ た る様 子 は,と て も爽 や か な もの が あ り,望 ま しい 人 間 関 係 づ く り に も役 立 つ で あ ろ う。)ま た,生 徒 会 主 催 の 「新 入 生 を迎 え る会 」 を 利 用 し,上 級 生 に よ る前 年 度 合 唱 コ ンク ー ル 優 勝 ク ラス の演 奏 や各 学 年 が 得 意 とす る学 年合 唱 を披 露 し, 新 入 生 は覚 え た て の 作 品 を 全 員 合 唱 す る こ とで そ れ に応 え る と い う事 例 もあ る。
この よ うな,入 学 式 前 後 の 指 導 の 在 り方 に よ って,3年 間 の 音 楽 指 導 が 効 果 的 に進 め られ る 。 入学 式 や 卒 業 式 を 「音 楽 的 感 動 体 験 」 の ス タ ー トと ゴ ー ル(目 標)と した 場 合,ス タ ー トへ の 準 備 段 階 の 工 夫 が よ り必 要 と な る。 指 導 事 例 は,ご く限 られ た もの で は あ るが 報 告 に み られ る よ うな工 夫 と導 入 に よ り,実 際 に音 楽 に対 す る意 欲 関 心 を 高 め て い る。 この よ うに, 機 会 を逸 す る こ と な い意 図 的 な取 り組 み が,生 徒 集 団 の学 校 生 活 を 生 き生 き と送 る環 境 を作 り出 す こ と に もっ な が る 。 た だ,こ の取 り組 み が音 楽 科 だ け で 展 開 さ れ て い るわ け で は な い こ と も事 実 で あ る 。 音 楽 科 教 師 の 日 頃 の 授 業 の充 実 は もち ろ ん だ が,全 教 員 の 意 志 の 疎 通 の 裏 付 けが あ って は じめ て 可 能 とな り,目 標 を 達 成 す る上 で の重 要 な 要 素 で もあ る 。
一7一
④ 最 初 の 授 業
い か に して生 徒 に音 楽 的 感 動 を体 験 さ せ るか と い う こ とを 考 え て み る と,平 素 の授 業 の 充 実 が い か に大 切 で あ るか が 分 か る。 特 に最 初 の授 業 は,3年 間 の音 楽 活 動 の導 入 と して 考 え られ,学 習 意 識 を 高 め る と同 時 に 雰 囲 気 づ く りの 時 期 と して と らえ る こ と が で き る 。 次 に, 最 初 の 授 業 に向 け て の展 開 上 必 要 と思 わ れ る もの を 挙 げ る。
ア,約 束 ご と に つ いて
授 業 を 進 め る上 で,様 々 な約 束 ご とが 設 定 され て い る はず で あ る 。 生 徒 は それ らを十 分 理 解 し守 りつ っ 学 習 効 果 を あ げて い く こ と に な る。 以 下,例 を挙 げ る 。
(ア)音 楽 室 へ の 移 動(イ)音 楽 室 へ 入 る と き の心 構 え (ウ)授 業 開 始 ま で の過 ご し方W授 業 開 始 の 仕 方
㈲ 持 ち 物,服 装(カ)音 楽 活 動 中 の きま りetc イ,生 徒 と の人 間 関 係 づ く り
生 徒 と の 出会 い の イ ンパ ク トは,以 後 の望 ま し い人 間 関 係 をっ くる上 で 大 切 で あ る。 教 師 自身 の 観 察 力 と洞 察 力 は,温 情 あ る丁 寧 な指 導 の 印 象 付 け を 左 右 す る 。 イ ンパ ク トの 与 え方 に は教 師 個 々 の違 い は あ るが,互 い の 信 頼 度 を増 す 糸 口 と して も重 要 で あ る。
ウ,指 導 観 の 明 示
最 初 の授 業 で 教 師 の指 導 観 を わ か り易 く生 徒 に伝 え,学 習 の 目安 を 示 す こ とで,生 徒 は学 習 目標 を設 定 し易 くな り,努 力 点 を 具 体 的 に 考 え る こ とが 可 能 に な る。 こ こで は,音 楽 的 感 動 を得 て 卒 業 さ せ る視 点 で 考 え るわ け だ が,そ の た め に は,教 材 や そ の配 列,与 え 方,掘 り 下 げ方 を 十 分 に 吟 味 し,生 徒 の 実 態 に あ わ せ て 実 践 して い く こ と が重 要 で あ る。
「音 の持 っ 表 情 」 を本 研 究 主 題 に合 わ せ,3年 間 の授 業 構 築 を計 画 した例 。 1年 生 感 覚 的 に音 の 持 っ 表 情 を 感 じ取 らせ な が ら授 業 構 築 を す る 。 2年 生 音 の持 っ 表 情 を 意 識 さ せ 考 え させ る 。
3年 生 総 合 的 に音 の持 っ 表 情 を感 得 ・対 応 さ せ,自 己 の 表 現 に 生 か す 。 エ,最 初 の 曲 の選 択
入 学 後 の 生 徒 に は中 学 生 と して の期 待 と不 安,よ り深 く学 ぼ う とす る意 欲 の 旺 盛 さな ど が あ る。 この 時 期 の教 材 と して,効 果 的 ・計 画 的 に授 業 展 開 を可 能 に す る曲 の選 択 は大 切 で あ る。 ま た,中 学 生 と して の 誇 り と所 属 意 識 を 深 め る た め に,校 歌 を選 曲 し,生 徒 の気 運 の 高 い うち に指 導 す る こ と で,授 業 ス タ イ ルや 方 針 を 自然 に 示 す こ と もで き る。
な お,変 声 中 の生 徒 に留 意 し充 分 な指 導 計 画 の も と で 進 め る こ とが 大 切 で あ る。
オ 最初 の授業 の導入例
チ ャ イ ム前 に音 楽 室 で着 席 して 待 たせ る。 チ ャイ ム が 鳴 り止 む と同 時 に ドア を ガ ッ と 開 け,号 令 後,無 表 情 の ま ま 出 席 を と る 。 ま た 名 前 は事 前 に 読 め る よ う に して お く こ と も大 切 で あ る。 自 分 の名 前 を丁 寧 に板 書 し,自 己 紹 介 を 始 め る 。 こ こか ら表 情 を一 転 し て 柔 和 にす る。 次 に 授 業 の 進 め 方 の 基 本 姿 勢 や理 念 を巧 み な 話 術 と ピ ァ ノ や 声 で ユ ー モ ア を も っ て,そ して だ れ な い よ うに集 中 発 散 法 を 用 い て 伝 え る 。 ピア ノで7度 系,付 加 4度 系,付 加2度 系,付 加6度 系,ぶ ど う状 和 音 や,全 音 音 階,日 本 音 階 な ど を 含 む 知 名 度 の 高 い 曲 を断 片 的 に話 に織 り こむ 。 黒 板 を掻 く音 や 机 を 叩 く音 な ど も交 え て 「音 の 出 す 表 情 」 につ い て 気 づ か せ る。 そ して,教 材 に っ な げ て い く。
チ ャイ ム と同 時 に,き ち ん と並 ん で 音 楽 室 に来 る 。緊 張 して い る。教 師 は音 楽 室 で待 っ て い る。 男 女 別 ・出 席 順 に 着 席 さ せ る。 「こん に ち は,私 がA中 学 校 の 音 楽 の 先 生 ○ ○
○ ○ で す 。(名 前 を 板 書 す る 。)音 楽 の 授 業 好 きだ っ た 人,手 を あ げ て 。(あ ま り あ が ら な い 。)そ うか,音 楽 とい う字 を じ っ と見 て ご らん 。(音 楽 と板 書 す る 。)ど う い う意 味 だ ろ う。音 を 楽 しむ と書 くん だ よ ね 。 これ か らの3年 間 で 本 当 の音 を楽 しむ た め に先 生 も頑 張 る か ら,み ん な も元 気 よ く頑 張 ろ うね 。 で も本 当 の 音 を 楽 しむ た め に は美 し く表 現 しな くて は い け な い ん だ よ 。 この 美 し さを 求 め て 努 力 して い こ うね 。」
こ こで 昨 年 の合 唱 コ ン ク ー ル の ビデ オ を 見 せ る。 見 せ終 わ っ た後,発 声 練 習 をす る。
姿 勢 や頭 声 発 声,表 情 な ど次 々 と指 導 して い く。 終 止 形3和 音 の練 習 を 徹 底 的 に行 う。
校 内 に不 慣 れ な 時 期 な の で教 室 で 行 う。 最 も重 点 を置 くの は,よ り良 い人 間 関 係 作 り の 第 一 歩 とす る こ とで あ る。 した が って,教 師 自身 の 教 育 観 ・授 業 観 ・音 楽 観 を 明 る く 生 き い き と した調 子 で 語 る。3年 間 を 見 通 した 目標 と流 れ,そ の た め に必 要 な約 束 事, 評 価 の 観 点 。 そ れ らを 語 っ た後,一 緒 に音 楽 室 に移 動 す る。 音 楽 室 に 入 っ た ら,ま ず, 大 きな 声 で歌 わ せ る こ とに 全 力 を注 ぐ。 最 初 の教 材 は校 歌 で あ る 。一 通 り歌 って 聞 かせ, 聴 唱 で 教 え た 後,音 楽 的 に 最 も魅 力 の あ る部 分 に っ い て,丁 寧 に指 導 す る。
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② 第1学 年 の 指 導 の工 夫 く生 活 全 般 の 特 性 〉
・入 学 した ばか り と い う こ と もあ り,緊 張 した面 持 ち で 日 々 の生 活 に臨 ん で い る。
・全 体 的 に,教 師 の 発 問 な ど に も素 直 に応 じ,真 面 目に授業 を受 けてい る。
〈 音 楽 的 側 面 か ら見 た特 性 〉
・明 る く,乗 りの良 い曲 を好 み,大 きな声 を出す こ とに抵 抗が無 い。
・男 子 生 徒 の半 数 以 上 は変 声 前 で あ る こ とが 多 く,斉 唱 させや す い反面,混 声 合唱 で は音 域 に無 理 が生 じ る場 合 もあ る の で,教 材 を選 択 す る に 当 た って は充 分 な配 慮 が 必 要 で あ
る。
そ の 他 の 細 か い 点 は前 項 で述 べ て い る の で,次 に 変 声 期 の 指 導 に っ い て 述 べ る。
① 変 声 期 の 指 導
ア 変 声 と い う と,と か く男 子 の こ と の み を 考 え て し ま い が ち だ が,女 子 に も変 声 が あ る。
た だ,男 子 に比 べ 目立 っ た変 化 が な い た め,あ ま り重 要 視 さ れ て い な いが,女 子 に も変 声 が あ る と い う こ と だ け は知 って お い た方 が 良 い 。 中学 入 学 時 の 男 子 生 徒 の変 声 の割 合 は, 先 に述 べ た よ うに ま だ 半 数 に も満 た な い こ とが 多 い 。 しか し,2学 期 を境 に して,急 に 変 声 者 の割 合 が増 え て くる 。 変 声 期 の 兆 候 と して現 れ て くる もの に は,次 の よ うな も の が挙 げ られ る。
・声 に艶 が 無 くな る。
・声 が 嘆 れ て くる。
・特 に高 音 域 の 声 が 出 しに く くな る。
・音 域 が 狭 くな り,今 までの よ うに歌 えな くな る。
・声 の コ ン トロー ル が で きず ,思 った音 と違 う音 が出 て くる。
・声 が ひ っ く り返 る 。
・低 い大 人 の声 の 中 に ,不 意 に高 い子供 の声 が出 る こと もあ る。
以 上 は 代 表 的 な 兆 候 だ が,こ う した兆 候 を全 く感 じな い ま ま 変 声 を 終 え て しま う者 も い れ ば,中 に は殆 ど声 が 出 な くな って しま う場 合 な ど様 々 で 個 人 差 が 激 しい 。 教 師 は常 に 生 徒 の声 が 現 在 どの よ うな状 況 に あ る の か を 把 握 して お く必 要 が あ る。 ま た,声 の状 況 か ら
も分 か る よ う に,声 帯 周 辺 部 の状 態 も腫 れ や 浮 腫 み な どが あ り,無 理 を させ る こ と は好 ま し くな い 。 この 時 期 で は,合 唱 を 無 理 な く,楽 し く行 え る よ う,教 師 は,こ う した様 々 な 変 声 に対 す る問 題 を 充 分 に考 慮 した上 で 指 導 に 当 た る必 要 が あ る。
イ 指 導 の 具 体 例 『
先 に述 べ た よ う に,変 声 期 は音 域 が極 端 に 狭 くな る。 下 の 譜 例 は そ の 移 り変 わ りを示 し た も の で あ る。
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こ う した 音 域 の変 化 を充 分 に考 慮 した教 材 を 選 択 す る必 要 が 出 て くる 。1年 生 の始 め 頃 は,ノjY学校 時 代 の 延 長 で 同 声 二 部 合 唱 を歌 わ せ る こ と が 多 い が,変 声 の状 況 に よ って は な る べ く早 く,混 声 二 部 ・三 部 合 唱 を導 入 した方 が よ い と思 わ れ る。
〈 同 声 二 部 合 唱 を 指 導 す る場 合 〉
変 声 中 の 男 子 が い る場 合,低 い声 部 を男 子 に歌 わ せ,女 子 が高 い声 部 を歌 う。 こ の場 合 男 子 が無 理 して1オ ク タ ー ブ下 げ て歌 わ な い よ うに す る 。 ま た,変 声 前 の男 子 と ソ プ ラ ノ
が 高 い声 部 を 歌 い,変 声 中 の男 子 と ア ル トが 低 い声 部 を歌 う の も良 い 。
〈 混 声 二 部 ・三 部 合 唱 を指 導 す る場 合 〉
変 声 後 の 男 子 は,当 然 の こ とな が ら,へ 音 譜 表 の 男 声 部 を歌 わ せ る 。変 声 前 の男 子 は ソ プ ラ ノ の声 部,変 声 中 の男 子 は ア ル トの声 部 を無 理 な く歌 わ せ る こ と も良 い 。
以 上 は 合 唱 形 態 の 曲 の場 合 を述 べ たが,斉 唱 の曲 を扱 う時 は,移 調 さ せ て 歌 わ せ る こ と
も大 切 で あ ろ う。1年 生 初 期 の 教 材 はハ 〜 ハ 位 の もの が 多 く,変 声 期 の 男 子 に は歌 え な い の で,こ の よ うな 時 は,5度 下 に移 調 す る と変 声 期 の 男 子 に も大 変 楽 に 声 を 出 す こ とが 出 来 る。 変 声 が 完 全 に済 ん で し まえ ば,1オ ク タ ー ブ下 げ て歌 う こ と も出 来 る の で,そ れ ま で の 間 は こ の よ う な方 法 を 採 る こ と が望 ま しい 。
ウ ま と め
変 声 は 大 人 へ と成 長 して い く中 で,誰 も が必 ず経 験 して い く もの で あ る。 したが って, 正 しい知 識 を持 た せ,変 声 期 が 来 た 時 の適 切 な注 意 を心 掛 け させ る こ と が 必 要 で あ る 。 特 に注 意 さ せ た い 点 と して は 『無 理 を させ な い』 と い う こ と で あ る。 ま た,『 神 経 質 に さ せ な い』 『必 要 以 上 に意 識 さ せ ず,音 楽 す る 楽 しさ を味 わ わ せ る』 な ど も挙 げ る こ と が で き よ う。 授 業 の 中 で,教 師 は変 声 中 で あ る と い う意 識 を 生 徒 に 持 た せ て い る が,一 歩 音 楽 室 を 離 れ る と,そ の こ とを す っか り忘 れ て し ま い,か な り無 理 を して い る場 合 も少 な くな い。
運 動 部 な ど で 無 理 して声 を 出す こ と に よ り,声 が 出 に く くな る例 も多 い 。 この こ とに っ い て は,他 教 科 の 教 師 の理 解 を得 る こ と も大 切 で あ ろ う。
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② 指 導 の展 開 例
ア.教 材 「夏 の 日の 贈 り物 」 混 声 二 部 合 唱(高 木 あ き こ 作 詞/加 賀 清 孝 作 曲) イ.教 材 観
・こ の 曲 は,変 声 期 の 男 子 に と っ て 音 域 に無 理 が な くの び の び と歌 う こ とが で き る 。
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ひ く いD音 やEレ 音 は変 声 期 の 男 子 に と って は 出 しに く い音 域 で あ るが,音 量 の少 な さ を 女 子 との 斉 唱 に よ り補 って い る。
・斉 唱 と二 部 合 唱 の両 方 の響 きを 味 わ う こ と もで き る。
・和 声 部 に も工 夫 が な さ れ て お り,旋 律 と抑揚 が一体 化 して いて歌 唱 の表現力 を高 め る こ と さえ もで き る 。
一
亭 ま の お く り も のこの 曲 の最 も盛 り上 が る部 分 の 男 声 パ ー トで あ るが,主 音 か ら経 過 的 に 用 い られ て い る 借 用 和 音 を 経 て4度 上 が る上 行 進 行 は,歌 う側 の 音 楽 的 欲 求 を満 足 させ る もの で あ る。
・伴 奏 に も充 分 な工 夫 が な さ れ て お り,同 じ旋 律 の 繰 り返 しで も和 音 を変 え る こ と に よ り 曲 全 体 の締 ま りが 増 し,音 色 的 変 化 を表 現 す る こ とが で き る。
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・対 位 法 的 な部 分 が多 く,他 声 部 に つ られ ず に合 唱 す る こ とが で き る。 この こ と は,自 信 を 持 って 合 唱 す るた め の とて も大 切 な 要 素 の一 っ で あ る。
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以 上 さ ま ざ ま な点 か ら見 て,こ の教 材 が 混 声 合 唱 の た め の導 入 曲 と して 適 して い る と い え る で あ ろ う。
ウ.生 徒 の 実 態
音 楽 に 対 す る興 味 の 関 心 を も っ て い る 。 女 子 は全 体 的 に音 楽 を 好 み,合 唱 練 習 に も積 極 的 に取 り組 む姿 勢 が 見 られ る の に対 し,男 子 の 多 く は ま だ 変 声 を終 え て い な い の で,声 を 出 す こ と に少 し戸 惑 い を 感 じて い る よ うで あ る。
根 気 や 落 ち着 きが な く授 業 に 集 中 出 来 な い生 徒 もい るが,互 い に教 え あ っ た り,真 面 目 に 取 り組 も う と して い る生 徒 も少 な くな く,仔 情 性 の あ る 曲 を好 む 傾 向 が 強 い 。
エ.指 導 の 工 夫
・歌 詞 を ノ ー トに写 し朗 読 さ せ る こ と に よ り,詩 の 内容 を 理 解 し,全 体 の イ メ ー ジを 持 た せ る よ うに す る 。
・フ レー ズを 大 切 に し男 女 の掛 け 合 い の 部 分 や,和 声 的 な 部 分 のバ ラ ンス を 大 切 に し豊 か な響 きが得 られ る よ う にす る 。
・お互 い の歌 声 を 良 く聞 き合 い,響 きの 美 し さ を感 じ取 れ る よ うに す る 。 オ.感 動 体 験 で の 場 面
生 徒 の 合 唱 を録 音 し,そ れ を 聴 か せ 感 想 を求 め た と ころ,さ ま ざ ま な発 言 が で て くる 。 そ の 発 言 を も とに 出来 て い な い部 分 を取 り 出 して,繰 り返 し練 習 す る こ とで よ り正 確 に合 唱 で き る よ うに し,歌 詞 の 内容 を 活 か し,フ レー ズ を 大 切 に表 情 豊 か な合 唱 が で きた か, 他 声 部 を お互 い聞 き合 い な が らの び の び と歌 う こ とが で き た か,等 を 生 徒 一 人 ひ と りに 確 認 させ 意 識 を持 た せ る。 この 活 動 を通 し,生 徒 自身 の 教 材 に対 す る興 味 ・関 心 を 高 め させ さ らに,愛 着 を持 た せ る こ と に よ り 「歌 っ て い る と涙 が 出 て き そ うな 気 持 ち に な っ た 。」
な どの 感 想 が 聞 か れ るよ うに な る。
③ 適 切 な教 材
男 女 と も無 理 を しな い で 声 を 出 す こ とが で き,又,歌 う こ と に 対 して 自信 を な くさ な い よ うに し,歌 う こ とが 好 きに な る よ う に させ た い 。 更 に,男 女 の人 数 の バ ラ ンスな ど も考慮 し, 合 唱 で き る教 材 を精 選 す る必 要 が あ る 。一 年 生 に ふ さわ しい と思 え る合 唱 曲 を 次 に 示 す 。
・混 声 二部 合 唱
さ ば くの き ょ う り ゅ う グ リー ン ブ ル ー セ ビ リア の春 祭 り フ レ トイ ぼ く らの世 界 飛 べ グ ラ イ ダ ー 風 に 吹 か れ て 季 節 の 色
・混 声 三 部 合 唱
夢 の 世 界 を 夢 は大 空 を 駈 け る は ば た け鳥 怪 獣 の バ ラ ー ド カ リプ夢 の旅 夜 汽 車 マ イ バ ラー ド フ ェ ニ ッ ク スLet'ssearchforTomorrow
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(3)第2学 年 の 指 導 の 工 夫 く 生 活 全 般 の 特 性 〉
・学 校 に も慣 れ ,さ し当 た っての 目標 が ない ため,だ らけやす い。一 般 的 に 「中だ るみ 」の 学 年 と言 わ れ るが,後 半 か らは生 徒 会 や部 活 動 の 中 心 とな り徐 々 に 自信 を持 ち始 め る 。
・身 体 的 発 達 は著 しい が ,精 神 的 に不安 定 な状態 にな る こともあ る。 ち ょっ と した言葉 の行 き違 い等 か ら人 間 関 係 に影 響 が 及 ぶ こ と もあ る。
・学 習 面 で の 差 が 出 始 め,授 業 態 度 に も影 響 が 及 ぶ こ と もあ る。
・知 識 が 豊 富 に な って く る時 期 で もあ り,自 分 な りの考 えを主 張 す るよ うにな る。
・異 性 へ の 関 心 が 高 ま っ て くる。
〈 音 楽 的 側 面 か ら見 た特 性 〉
・男 子 は変 声 が進 み ,低 い声 が出せ るよ うにな って くる反面,声 を出す ことに はず か しさを 感 じる よ うに もな っ て くる 。
・音 楽 に対 す る興 味 ・関 心 の違 い が は っ き り して くる と 同 時 に選 曲 に対 して,自 分 の意 見を 強 く主 張 す る よ うに な る 。
・音 楽 室 へ の 移 動 が 遅 く な りが ちで ,忘 れ物 が 目立 って くる。
〈 指 導 上 の留 意 点 〉
・だ ら しな い面 を そ の ま ま に して 授 業 を進 め る の で な く,き ちん と出来 るまで生徒 を信 じ指 導 す る。
・自 信 を持 て る よ うな 言 葉 が け を して い き,生 徒 に 「や る気」 を起 こさせ る ことが大 切 で あ ろ う。
・毎 時 間 の指 導 目標 を 明 確 に し,常 に評価 を与 えなが ら根気 強 く指導 して い く。
・混 声 三 部 合 唱 を数 多 く取 り上 げ,和 音 の美 しさ,深 さに興 味 を持 たせ る。
・歌 う者,聴 く者 に感 動 を呼 び 起 こす た め に ,歌 詞 の内容 や曲 の構 成 が しっか りした曲 を選 曲 す る こ と が大 切 で あ る 。
・短 時 間 で 仕 上 が る曲 ば か りで な く,何 時間 もか けな ければ仕上 が らな いよ うな曲 を経 験 さ せ る こ と に よ り,仕 上 が る まで の過 程 が大 切 で あ る と い う こ とを 気 付 か せ る こ と も必 要 な
こ と で あ る 。
・歌 声 に 落 ち 着 きが 増 して くる時 期 で あ るか ら,「 響 きの あ る声 」 とはど うい う ものか を考 え さ せ,さ らに よ り よ い 発 声 へ と指 導 して い く。
① 指 導 の 展 開 例
ア,教 材 「山 の い ぶ き」 混 声 三 部 合 唱 イ,教 材 観
・大 き く4つ に 分 け る こ とが で き る。
(松前幸子 作詞/川 崎祥悦 作曲)
や や 長 め の 曲 で はあ る が,各 部 分 づ っ 独 立 して 練 習 で き る の で 取 り組 み や す い 。
・歌 詞 の 内 容 は わ か りやす い もの で あ り,す が すが しさを感 じる。
・転 調 が効 果 的 に行 わ れ て い る 。
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転 調 に よ り,曲 に躍 動 感 を 与 え る こ とが で き,自 然 に先 に 進 ん で 歌 って み た い と意 欲 を 起 こす こ と が で き る曲 で あ る 。
・前 奏 を は じめ とす る ピア ノ の伴 奏 は とて も魅 力 的 で 人 の心 を ひ き付 け る もの が あ る。
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・堂 々 と した コ ー ダの 部 分 は混 声 四 部 と な り,
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よ り一 層 深 い響 きに親 しむ こ とが で き る。
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ウ 生 徒 の実 態
・1年 次 に合 唱 コ ンク ー ル を 経 験 して い る の で 声 を 出 す こ と に対 して の 抵 抗 は少 な い。 又 上 級 生 の 歌 声 も聴 い て い る の で 「追 い つ け追 い越 せ 」 と い う意 識 が 強 い 。
・こ の 曲 を 初 め て 聴 か せ た と ころ,「 難 しそ う,長 い」 とい う意 見が 大 多 数 を 占め て い た が,自 分 た ち も歌 って み た い と感 じた者 も,少 な くな い 。
・男 子 の ほ とん ど は 変 声 期 を 終 え,安 定 しっ っ もまだ一っ の響 きと して のま とま りに欠 け る。 ま た,中 に は1オ ク タ ー ブ下 げ て歌 う生 徒 もい る。
工 展 開(7時 間 扱 い の 第4時 前 半 部 分 の 合 唱)◆:評 価 の観 点
指 導 内 容
。前 時 ま で の復 習
。合 奏 練 習
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〈教師の一言〉
学 習 活 動
。パ ー トご と順 番 に ピ ア ノ の 周 り に集 め て,各 旋 律 の確 認 をす る。
。録 音 した テ ー プ を使 い,他 のパ ー トが 練 習 して い る間 も 自分 た ち で協 力 して, 音 程 を さ ら に確 実 な もの と して い く。
。無 伴 奏 で ソ プ ラ ノ ・ア ル トの 二 部 合 唱
指導上 の留意点
。音 取 りの 段 階 で は, な るべ く ピア ノ の 側 に 来 させ る。
◆ 積 極 的 に声 を 出 そ う と して い るか 。
。 ピ ア ノ の 音 ば か り に 頼 る こ と な く ア ・カ ペ
ラ で も 練 習 さ せ る 。
「ス ケ ー トで 滑 り 出 す よ う に 初 め の 音 は ス ッ と歌 お う ね 。」
「"や っ ま 〜"に な ら な い よ う に 気 を っ け よ う」
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〈教師の一言〉
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「眉 を 上 げ る気 持 ちで 声 を 出 して み よ う。 ど こに 響 く感 じが す るか 意 識 して ご らん 」
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i〈教師の一言〉 「ハ ミングの ところは階名で歌 って音程 を確実 に覚えよう。」i
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◆歌い出 しの場所が理 解で きているか。
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〈教師の一言〉
。混声三部合唱の練習
・ ピ ア ノ は 各 パ ー トの 旋 律 を 弾 く。
・伴 奏 に の って の合 唱 練 習
1
。言 葉 を て い ね い に歌 わ せ る。
◆ 和 音 の 響 きが と らえ られ て い るか 。
◆ 伴 奏 の 流 れ に の って しっか り と歌 う こ とが で き たか 。
「前 半 部 分 の 山 場 は ど こに あ るか を考 え な が ら歌 っ て み よ う。
お 互 い の パ ー トを聴 き な が ら合 唱 して み よ う。」
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オ 感 動 に至 る ま で の指 導 の 工 夫
・正 しい 音 程 や リズ ム を と らえ させ る こ と が 感 動 へ の第 一 歩 で あ る こ とは い うま で もな く , 地 道 な指 導 の 積 み重 ね に よ り,美 しいハ ー モ ニ ー の 世 界 へ と入 って い く。 こ こで はパ ー ト練 習 の方 法 が 重 要 と な る。 練 習 中 の 歌 声 を 録 音 した テ ー プ を 活 用 し,自 分 た ちで練 習 させ る 。 自分 た ち の歌 声 な の で,わ か りや す く興 味 の 持 ち方 も違 う,こ の 段 階 で 強 弱 な ど の 工 夫 を さ せ,さ らに,曲 に対 す る理 解 を も高 め させ る こ とが 大 切 で あ る。
・長 い 曲 の場 合 は,全 体 を 通 して 練 習 す るの で は な く,区 切 りの良 い ところまで を合 唱 し ハ ー モ ニ ー を 楽 しま せ る。 部 分 的 に で も美 しい響 きが 出 れ ば 感 動 を 覚 え る もの で あ る
。 こ の 小 さ な感 動 を大 切 に育 て,さ らに 大 き な感 動 へ と っ な げ て い くこ とが 必 要 で あ る。
・教 材 研 究 を十 分 行 い ,自 信 を持 って授業 に臨 む ことが大切 であ る。そ して,教 師 自身 が 沢 山 の感 動 体 験 をす る こ と に よ り,生 徒 に も反 映 して い く もの で あ る。
③ 適 切 な 教 材
混 声 三 部 合 唱 を 中心 と し,ハ ー モ ニ ー の美 しさ,深 さ を 感 じ られ る曲 を 次 に示 す 。 時 の旅 人 モ ー ニ ング 遠 い 日 の うた 虹 色 の か ね 心 の 瞳 光 の海 ア ム ー ル 河 の波 野 性 の 馬 一 日 に何 度 も 南 風 心 の 中 に 少 年 の 日 は 今 と も し火 を 高 くか か げて
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{4)第3学 年 ・卒 業 式 の指 導 工 夫
第3学 年 は週 に1時 間 しか 音 楽 の授 業 が な い うえ に,3学 期 は進 路 選 択 や 卒 業 式 練 習 な ど が 入 って く る た め,年 間 を 通 して 十 分 な授 業 時 間 が確 保 で きな い の が 現 実 で あ る。 ま た,自 己 の進 路 を 目 指 して,い ま ま で 経 験 した こ との な い 大 きな 壁 を乗 り越 え な くて はな らな い た
め,進 路 に対 す る不 安 や 悩 み を もっ生 徒 もい る 。
卒 業 式 は,今 ま で 継 続 的 に学 習 して き た こ と の集 大 成 を発 表 で き る,大 変 意 義 の あ る行 事 で あ り,中 学 校3年 間 で学 ん で きた こ と の成 果 を現 す こ とが で き る場 で あ る。 そ こで,音 楽 科 と して ど の よ うな 歌 を ど の よ うに歌 わ せ るか を十 分 検 討 す る必 要 が あ る。
以 下 に,生 活 全般 と音 楽 的 側 面 か らみ た特 性 を述 べ る。
〈生 活 全 般 の 特 性 〉
・最 高 学 年 で あ る と い う意 識 か ら積 極 的 に リー ダー シ ッ プ を 発 揮 で き る 。
・様 々 な学 校 行 事 に お い て ,中 学校生 活最後 で あ るとい う意識 が増 し,今 まで以 上 に真剣 に 取 り組 め る よ うに な る。
〈 音 楽 的 側 面 か ら見 た特 性 〉
・変 声 期 を 終 え ,響 きの あ る豊 か な歌 声 が得 られ るこ とによ り,混 声 四部 合唱 な ど高 度 な合 唱 曲 に取 り組 め る よ うに な る 。
・歌 詞 の 内 容 な ど を十 分 に考 え さ せ る こ とに よ り 「生 き方 」 を 学 ば せ る こ と が で き る。
・音 楽 に対 す る興 味 ・関 心 が か な り高 ま る時 期 で あ る と同 時 に ,音 楽 の嗜好 もはっ き りして くる 。
・合 唱 コ ンク ー ルや 生 徒 集 会 等 で 他 学 年 に歌 声 を 聞 か せ る機 会 が あ る場 合 ,当 然 最上 級生 で あ る と い う意 識 が あ る た め,他 の学 年 に比 して,ひ び きの 充 実 した 素 晴 ら しい歌 声 を 聞 か せ る こ とが で き る 。 この こ と は下 級 生 へ の 範 唱 に な る だ け で な く,自 分 達 の レベ ル ・ア ッ プ を更 に意 欲 で き る大 切 な 場 で あ る。
〈 指 導 上 の 留 意 点 〉
・扱 う教 材 ,特 に歌詞 の内容 につ いて十分配 慮 す る必 要 がでて くる。 この ことによ り,よ り 深 い 感動 を 体 験 す る こ とが で き る。
・日 頃 か ら,最 高学 年 であ る とい う意識 が高 ま るよ うな指 導 をす る必要 が あ る。
・大 き な声 で 気 持 ち 良 く歌 わ せ る こ とに よ り,心 の充 実感 を体験 させ る ことも大切 な ことで あ る。
① 指 導 の 展 開 例
ア 教 材 「大 地 讃 頒 」 混 声 四部 合 唱(大 木 惇 夫 作 詞/佐 藤 眞 作 曲) イ 教 材 観
3年 生 で は,今 ま で の 合 唱 へ の取 り組 み の ま と め と して,豊 か な 響 きの 得 られ る ス ケ ー ル の 大 き な 曲 に じっ く り と取 り組 ま せ た い 。1,2年 生 の と き に聴 い て感 動 体 験 して い る
「大 地 讃 頒 」 は,生 徒 自身 の心 の 中 に 感 動 を 通 して得 た表 象 す べ き音 の 持 つ イ メ ー ジ を確 立 さ せ て い る 曲 で あ る。 そ して,そ れ を 自 らの 力 で 追 体 験 を 求 め て ア プ ロ ー チ して 行 け る
素 晴 ら しい 教 材 で あ る。
・和 声 的 に は複 雑 な部 分 もあ る が,各 声 部 の 流 れ は途 切 れ る こ と な く 自然 に 歌 う こ と が 出 来 る 。
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・各 声 部 が 独 立 して 歌 う部 分 が あ り,充 分 な 満 足 感 を得 る こ とが 出来 る 。
・8小 節 の 間 奏 は,作 品 に対 す る 自分 の考 え を 見 っ め る時 間 と して 重 要 な部 分 で あ り,次 の 歌 い 出 しに 向 け て の良 い意 味 で の 緊 張 を生 み 出す 。
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・緊 張 感 の あ る和 音 か らの 開 放 は,歌 う側 の 心 を揺 さぶ る。
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・内 的 エ ネ ル ギ ー を放 出 し終 え る こ と に よ り,満 足 感 と成 就 感 を得 る こ とが 出来 る ・
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