微分積分学
I浪川 幸彦
April 17, 2007
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記号一覧表(追加)
0.4 実数の部分集合
• [a, b] ={x∈R;a≤x≤b}, a, b ∈R(閉区間)
• (a, b) ={x∈R;a < x < b}, a ∈Ror − ∞, b∈Ror∞(開区間)
• [a, b) ={x∈R;a≤x < b}, a∈R, b∈Ror∞(左閉右開区間)
• (a, b] ={x∈R;a < x≤b}, a∈Ror − ∞, b∈R(左開右閉区間)
これらを併せて区間という。R内の「連結な」(つながっている)集合はこれらに限る(証 明は後述)。
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準備(改訂)
以下で用いる数学の言葉として「写像」に関わる用語,方法として「論理」に関する基本 事項を準備する
1.1 写像についての基本事項
・ここに述べることは(「集合」と同様)単なる「言葉」なので,慣れてほしい。もっとも この概念は線形代数学で不可欠であって,微分積分学では下記の関数,数列以外ほとんど使 うことはない。例の説明で用いる場合がある。
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CA07s-2 2 Definition 1.1.1. 集合X, Y がある。X からY への写像f :X →Y とは,X の要素xに対 し,Y の要素f(x)を対応させる仕方が定められているものをいう。これを簡単に
f :X →Y;x7→f(x)
と書く(図式の形で書く場合もある)。このときf(x)を要素xの(f による)像という。
このときX, Y を定義域X, Y を値域という。
Example. i)(実)関数f :R→R
ii)(実)数列 {an}これは写像f :N→R;n7→anと見られる。
写像とは関数の一般化であると思え!
Definition 1.1.2. 集合X から自分自身への写像のことを変換とよぶ場合がある。
Definition 1.1.3. 集合X において,要素xにそれ自身を対応させる写像を恒等写像とよび,
IdX と書く。すなわち
IdX :X →X;x7→x
Definition 1.1.4. 二つの写像f :X →Y, g :Y →Z に対し,その合成写像g◦f :X →Z を (g◦f)(a) = g(f(x))
で定義する。
Remark. i)数における「積」に似ているので積写像ともいう。このとき恒等写像は1に対応
する:IdY ◦f =f ◦IdX.
ii)これは関数の「合成関数」に対応する。
Proposition 1.1.5 (結合法則). 三つの写像f :U →X, g :X →Y, h:Y →Z に対し,
(h◦g)◦f =h◦(g◦f)
が成り立つ。したがってこれをh◦g◦f と書いて差し支えない。
Definition 1.1.6. 写像f : X → Y に対し,f−1◦f = IdX およびf ◦f−1 =IdY をみたす写 像f−1 をf の逆写像という。
Proposition 1.1.7. 逆写像は存在すれば,ただ一通りである。
Example. 逆関数
Definition 1.1.8. i)写像f :X →Y に対し,「f(x1) =f(x2)ならばx1 =x2」が必ず成り立つ とき,写像f は単射(injective)(または1対1)であるという。
ii)写像f : X → Y に対し,Y のすべての要素がf の像になっている(すなわちすべての y∈Y に対し,f(x) =yとなるx∈Xが存在するとき,写像f は全射(surjective)(または 上への写像)であるという。
iii)写像f :X →Y が単射かつ全射であるとき全単射(bijective)であるという。
Exercise 1. 写像f :X →Y が全単射であることと,逆写像が存在することとは同値である
ことを示せ。
CA07s-2 3
1.2 述語論理に関する基礎事項
高校では,背理法,数学的帰納法といった,数学に特有の証明方法を学んだ。ここではさ らに述語論理という推論の仕方を学ぶ。
その前に論理記号と呼ばれるものを用意しておこう。
名称 記号 意味
論理和 P ∨Q P またはQ 論理積 P ∧Q P かつQ 含意 P ⇒Q P ならばQ 否定 ¬P P でない
ここで詳しくは述べられないが,通常の論理(古典論理)では幾つかの論理式(推論規則)
は常に正しいとして推論を行う。定義および公理から(正しい)推論を重ねて到達できる命 題が「証明される」命題である。実はその範囲はそれほど明確ではない。私たちは直感的に それを認めている。幾つか例を挙げておこう。
• P ∨ ¬P(2値論理)
• (P ⇒Q)∧(Q⇒R)⇒(P ⇒R))(三段論法)
• (P ⇒(Q∧ ¬Q))⇒ ¬P (背理法)
• ¬¬P ⇔P(二重否定)
• ¬(P ∨Q)⇔(¬P ∧ ¬Q), ¬(P ∧Q)⇔(¬P ∨ ¬Q)
Remark. 例えば,「直観主義論理」では2値論理を認めない。
次に述語論理に関する言葉を用意する。
Definition 1.2.1. 値が命題である写像を命題関数とよぶ。
i)命題関数P(x)に対し,「すべてのxに対して P(x)が成立する」という命題を∀xP(x)と 書く。この形の命題を全称命題とよぶ。
ii)命題関数P(x)に対し,「P(x)が成立するようなxが存在する」(または「あるxに対して P(x)が成立する」)という命題を∃xP(x)と書く。この形の命題を存在命題とよぶ。
全称命題,存在命題を含む推論を述語論理とよぶ。
Remark. このとき定義域は定まっていて明らかであるものとする。
Example. i)X ={人間たち}として,P(x) =「xは死ぬ」とすれば,∀xP(x)「すべての人 は死ぬ」という全称命題ができる。
ii)X = {A大学の入試問題}として,P(x) =「xには誤りがある」とすれば,∃xP(x)「A 大学の入試問題には誤りがあった」という存在命題ができる。
Proposition 1.2.2.
¬{∀xP(x)}=∃x¬P(x), ¬{∃xP(x)}=∀x¬P(x).
CA07s-2 4
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実数と収束
2.1 数列の収束
高等学校では数列anがaに収束することを「限りなく近づく」こと「定義」した。しか しこれは数学的な意味がはっきりしない。ここでこれを厳密に定義する。
Definition 2.1.1. i). 数列 {an}∞n=1 ={a1, a2, a3, . . . ,}; ii). 部分列
Definition 2.1.2 (Text p.15). 数列{an}∞n=1がある。ある実数a∈Rに対し,
an→a ⇔ ∀ε >0, ∃N s.t.∀n > N,|an−a|< ε このとき数列{an}はaに収束するといい,aをその極限値という。
lim∞n=1 =aとも書かれる。
Definition 2.1.3. i). 収束しない数列は発散するという;
ii). 数列{an}に対し
∀K, ∃N s.t.∀n > N, an > K
が成り立つとき,数列{an}は∞に発散するといい,an → ∞と書く;
iii).数列{−an}が∞に発散するとき,数列{an}は−∞に発散するといい,an→ −∞と
書く
収束数列の簡単な性質を挙げる。
Proposition 2.1.4. i). 極限値は存在すればただ一つである;
ii). 収束数列は有界である。ただし実数のある部分集合Aが有界であるとは,実数a, bが存 在して,A⊂[a, b]が成り立つことである。
iii).∀n, an ≤bnで,an→a, bn →bならば,a≤bである。
Proposition 2.1.5. an→a, bn →bとするとき,
i). an±bn →a±b;
ii). can→ca(cは定数);
iii).anbn→ ab;iv). an/bn→a/b(ただしbn 6= 0, b 6= 0とする)
Remark. この命題は,後段の数列が「収束して,その極限値が○○である」ことを意味する。
Proposition 2.1.6. i). (挟みうちの原理)an ≤ bn ≤ cn で,かつan → a, cn → a とすると き,bn→a;
ii). an ≤bnで,かつan→ ∞のとき,bn→ ∞;
iii).an ≤bnで,かつbn→ −∞のとき,an→ −∞
Exercise 2. これらの命題を証明せよ。
Exercise 3. an→aのときa¯n= (a1+a2+· · ·+an)/n →a(やや難)