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Tocris 社製品ガイドシリーズ がん研究 目次 ページ 受容体シグナル伝達 3 細胞周期と DA 損傷の修復 8 細胞死と薬剤耐性 12 血管新生 14 浸潤と転移 15 略語一覧 17 関連資料 18 Tocris 社がん研究製品価格表 19 化学療法剤価格表 37 参考文献 38 緒言がんは

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(1)

がん研究

製品ガイド

|

第2版

研究領域別目次:

受容体シグナル伝達

...

3

細胞周期とDNA損傷の修復

...

8

細胞死と薬剤耐性

...

12

血管新生

...

14

浸潤と転移

...

15

高品質ライフサイエンス試薬

イヌサフラン

Colchicum autumnale コルヒチンの原料

(2)

がん研究

緒言

がんは、世界中の研究活動の主要なテーマです。遺伝的、非遺伝的、および環境的要因がその進行に影響を及ぼすことから

多因子疾患と定義されることが多く、通常、長い年月をかけて比較的良性の細胞塊から悪性腫瘍に成長します。一般的に、

この成長には、遺伝子変化の蓄積と無制御な成長を可能にする特異的性質の獲得などが含まれます。がん細胞に一貫して観

察されるこの特色は、有力な論文において Hanahan と Weinberg により「がんのホールマーク」と名付けられました。この

ホールマーク(特徴)とは、増殖シグナル伝達の持続、回避と成長抑制、ゲノム不安定性、細胞死への耐性、および血管新生

を誘発し転移させる能力です。

過去 10 年にわたるがん研究により、細胞の異常増殖の集合体としての初期の腫瘍の概念は、宿主組織の構造および腫瘍内

微小環境の重要な要素、免疫機構の影響、腫瘍幹細胞の存在にまで拡大されてきました。さらに、腫瘍細胞内でエネルギー

代謝を破壊する機序が解明されつつあります。がんのこのような確立された特徴と解明されつつある特徴とを念頭に置き、こ

のたび「Tocris 社 がん研究製品ガイド」が更新されました。

がんのこうした特徴が確立されるにつれて、悪性腫瘍の背後にある機序がより明確に理解され、新たな機序が明らかになり

つつあります。がん研究者には、こうしたプロセスに関わる標的を特定し研究するため、絶えず変化する一連の薬理学的ツー

ルが必要です。Tocris 社では、がん研究に用いる高品質なライフサイエンス試薬を提供しています。各項目で、その領域の

主要製品を特集します。

ページ

受容体シグナル伝達

3

細胞周期と DNA 損傷の修復

8

細胞死と薬剤耐性

12

血管新生

14

浸潤と転移

15

略語一覧

17

関連資料

18

Tocris 社 がん研究製品 価格表

19

化学療法剤 価格表

37

参考文献

38

Box Number Title Page

Box 1 Growth Factor Receptor Inhibitors 3

Box 2 PI3K/mTOR Inhibitors 5

Box 3 Raf-MEK-ERK Pathway Inhibitors 6 Box 4 Cell Cycle and Mitotic Checkpoint Inhibitors 8 Box 5 DNA Damage Checkpoint Inhibitors 10

Box Number Title Page

Box 6 p53-related Products 11

Box 7 Apoptosis, Autophagy and Proteasome Key Products 12 Box 8 Multidrug Resistance Key Products 13

Box 9 Angiogenesis Key Products 14

Box 10 Invasion and Metastasis Key Products 15

Key Cancer Research Products

目次

(3)

受容体シグナル伝達

細胞のシグナル伝達経路は、正常な増殖、分化、生存、および移 動を制御します。このシグナル伝達経路の調節異常が腫瘍形成の 主要な要因となります。細胞表面における受容体の過剰発現もしく は変異によるシグナル伝達の調節の変化、又は成長因子、サイトカ イン、もしくはステロイドホルモンの発現の変化が、がん細胞を増 殖させ、実質細胞を招集し、腫瘍形成に加担させる主要な要素です。 また、細胞内シグナルの構成要素の変異が、外部の抗増殖性/ア ポトーシス促進シグナルに反応を示さない経路を活性化させる可能 性もあります。

受容体シグナル伝達

Products by Category Page

Growth Factor Receptors

Broad Spectrum Protein Kinase Inhibitors

...

21

EGFR

...

24

FGFR

...

25

FLT3

...

25

Insulin and Insulin-like Receptors

...

27

PDGFR

...

31

TGF-

β Receptors

...

34

VEGFR

...

35

Intracellular Signaling

Abl Kinase

...

19

Akt (Protein Kinase B)

...

19

AMPK

...

19

G-protein Signaling

...

25

Glycogen Synthase Kinase

...

25

Heat Shock Proteins

...

26

Histone Deacetylase

...

26

MAPK

...

28

MEK

...

29

mTOR

...

29

PI 3-Kinase

...

31

Protein Kinase D

...

32

Raf Kinase

...

32

RSK

...

33

Sir2-like Family Deacetylases

...

33

Sphingosine-1-phosphate

...

33

Src Family Kinases

...

34

Nuclear Receptors

Androgen Receptor

...

19

Aromatase

...

20

Aryl Hydrocarbon Receptor

...

20

Estrogen and Related Receptors

...

24

Transferases

...

34

Iressa (3000)

Orally active, selective EGFR inhibitor

Sunitinib (3768)

Potent VEGFR, PDGFRβ and KIT inhibitor

SU 5416 (3037)

VEGFR inhibitor. Also inhibits KIT, RET, MET and FLT3

TAK 165 (3599)

Potent and selective ErbB2 inhibitor

AP 24534 (4274)

Potent multi-kinase and pan-BCR-ABL inhibitor

Lestaurtinib (3395)

JAK2, FLT3 and TrkA inhibitor

N O CF3 O N N N NH O F3C N N N N N N N HN F Cl O O N O N H N N O Me H O OH OH N H O N H N H Me N H O NEt2 H N F OMe

成長因子受容体

成長因子は、正常な生理学的条件では、増殖と細胞死とのバラン スをとる役割を担っています。がんでは多くの場合、細胞の恒常性 におけるこの役割が破壊されています。腫瘍細胞は、自らの生存 のために成長因子を分泌し、非悪性細胞に腫瘍の成長を助けさせ たり、免疫機構による検出を回避させたりすることが可能です。一 般的に、多くのヒトのがんでは、受容体型チロシンキナーゼ(RTK) がシグナル出力の上方制御につながる変異および/又は変化により

Box 1:成長因子受容体阻害剤

(4)

Growth factors RTK RTK Proliferation Differentiation Survival Migration Development

Cell Cycle Arrest Apoptosis DNA Repair

Apoptosis Cell Cycle

Glucose Metabolism Cell growth p53 p85 Ras Ras Ras SOS GDP GTP P P P P GRB2 SRC SRC PTEN PDK1 Akt RAF MEK 1/2 ERK 1/2 mTOR 4E-BP1 S6K1 EIF4E NF-κB MDM2 GSK-3β AMPK p90 RSK p110 PI3K PIP2 PIP3 AMP:ATP 図1:腫瘍形成に重要な細胞内シグナル伝達経路 影響されます。例えば、乳がんでは、多くの場合、HER2/Neu/ ERBB2 遺伝子の増幅又は過剰発現が顕著です(図 2)。

HER2 は、 上 皮 成 長 因 子 受 容 体(EGFR 又 は ErbB1)、HER2 (ErbB2)、ErbB3、および ErbB4 の 4 種 類のメンバーから成る RTK の ErbB ファミリーの一員です。EGF に加え、EGFR も他の多 くの成長因子と結合するのに対し、HER2 には可溶性リガンドがあ りません。しかし、HER2 はリガンドに結合する他の受容体とヘテ ロ二量体を形成します。ErbB のホモ二量体又はヘテロ二量体から の細胞内シグナル伝達は、PI3K と MAPK シグナル伝達経路を介 して生じます(図 1)。EGFR 又は ErbB2 を選択的に標的にする薬 剤(EGFR の例:イレッサ[#3000]、ErbB2 の例:TAK 165[#3599]) は臨床的に関連があり、ErbB ファミリーのシグナル伝達を研究す るための重要なツール化合物です(Box 1)。ErbB 阻害剤と、イン スリン様成長因子受容体(IGF1R)又は肝細胞成長因子受容体(c-MET)のような受容体に対する阻害剤を結合させることにより、複 数のがんで生じる選択的標的薬剤に対する耐性を克服する可能性 があると考えられます。 臨床的に関連性がある阻害剤には個々の RTK 又は RTK ファミリー に選択的なものがある一方、複数の受容体を標的にすることにより 有効性が明らかになった阻害剤もあります。その例として、PDGFR β、VEGFR、FLT3、および RET を特に標的にするスニチニブ(#3768) があります。レスタウルチニブ(#3395)のような他の化合物は、 受容体と細胞内キナーゼの両方を標的とするさらに広範囲に対応 する阻害剤です(Box 1)。

細胞内シグナル伝達

がん原遺伝子として最初に解明するべき細胞内キナーゼの 1 つに、 PI3K と MAPK 経路両方の上流の媒介物質である c-Src が挙げら れます。c-Src 活性の上昇は、膵臓がんを含む多くの消化管がんを 引き起こします。Src キナーゼファミリー(Src、Fyn、Yes、Lck、 Lyn、Hck、Fgr、 および Blk)は非受容体型チロシンキナーゼであり、 成長因子受容体、サイトカイン受容体、G タンパク質共役型受容体 (GPCR)、 およびインテグリンの細胞内ドメインと相互作用します。 Src キナーゼの活性は、ホスファターゼ、アダプタータンパク質と リガンド結合時に受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の二量体化が起こり、各受容体のチロシンキナーゼが活性化され、自己リン酸化に至る。RTKの細胞質内 ドメインにあるリン酸化残基は、GRB2のようなアダプタータンパク質に結合するか、又はpI3Kのp85サブユニットに直接結合してPI3Kシグナル伝達を惹起す る。SOSとRasの活性化はMAPKシグナル伝達の誘導を媒介する。両方の経路は様々な細胞過程に影響を及ぼすため、がん研究における主要な研究対象と なっている。

(5)

受容体シグナル伝達‐続き

PI 103 (2930)

Inhibitor of PI3-kinase, mTOR and DNA-PK

GSK 1059615 (4026)

Potent PI3-kinase inhibitor

BAG 956 (3606)

Dual PI3-kinase and PDK1 inhibitor

PF 4708671 (4032)

S6K1 inhibitor Potent and selective mTOR inhibitorTorin 1 (4247)

KU 0063794 (3725)

Selective mTOR inhibitor

N N N CN N N N S HN O O N N N N O N O HO OMe N N N N NH N CF3 N O N N N O OH N N N O N N O CF3 の結合、およびプロテアソーム分解により制御されます。 PI3K は多くの細胞種において成長と生存に不可欠な経路です。こ の経路は、高頻度で変異が起こる腫瘍抑制遺伝子 PTEN の不活性 化により、がん細胞において頻繁に活性化されます。近年、PI3K の触媒サブユニット p110α(PIK3CA)の変異により、PI3K 活性の 機能獲得が誘導されることが明らかになりました。既知の PI3K の 触媒サブユニット遺伝子の中で、PIK3CA はがん細胞中で変異して いる唯一の遺伝子です。PI3K 経路の下流の構成要素をコード化す る遺伝子の変異による PI3K の異常な活性化は、リンパ腫(p85 PI3K 制御サブユニット)、神経膠腫(PTEN)、乳がん(S6K1)、 および胃がん(Akt1)のような悪性腫瘍の成長につながります。 腫瘍の代謝において、PI3K 経路を介したシグナル伝達は特に重要 です。Akt1(タンパク質キナーゼ B)は PI3K シグナル伝達の主要な 媒介因子であり、解糖系を刺激し、細胞の成長を促進し、オートファ ジーを阻害します。AMPK は Akt1と対照的に作用し、AMP 対 ATP 比が上昇した場合や低酸素状態の場合にエネルギーセンサーとして 機能し、エネルギー負荷の下で活性化します。AMPK が活性化す ると mTOR が阻害され、オートファジーが誘導されます。多くの場 合、腫瘍細胞では AMPK シグナル伝達が抑制され、正常であれば AMPK により行なわれる、酸化代謝への移行が破壊されます。 mTOR は、Akt と AMPK の両方の下流で機能し、インスリンシグ ナル伝達、栄養分の感知、分裂促進シグナル伝達などの多くの経 路のシグナル伝達を調整する重要な役割を担っています。Torin 1 (#4247)や Torin 2(#4248)のような新規の ATP 競合 mTOR 阻害剤は、がん細胞生物学における mTOR/PI3K 軸の機能を解明 するうえで有用であることがわかってきています(Box 2)。 上述のように、がん細胞では代謝が頻繁に変化します。酸化的リ ン酸化から解糖系への転換によりATP が急速に産生されることは、 ワールブルク効果として知られています。このように、PI3K 経路は、 腫瘍の代謝に関わる重要なシグナル媒介因子として役割を果たすこ とにより、がん細胞の成長・増殖シグナルと代謝の変化の両方を恒 常化させています。 がんの治療介入のために幅広く研究されてきたもう一つの主要な経 路は MAPK 経路です。MAPK は、様々な細胞機能を制御するセリン・ スレオニンキナーゼです。哺乳類には ERK1/2、p38、JNK、およ び ERK5/BMK1 の 4 種類の MAP キナーゼカスケードがあります。 ERK を含む MAPK 経路は、成長因子からのシグナルを変換し、多 くの細胞種の分化と増殖を制御する鍵となっています。この 4 種類 のカスケードの重要な構成要素が変異すると、様々ながんが引き起 こされます。このため、Ras-Raf-MEK-ERK カスケードに関わる分子 を標的とした阻害剤は、重要な治療薬になる可能性があります。 Ras は低分子量 GTP 分解酵素であり、大部分のがんで変異の活性 化の対象となります。大腸がんと膵臓がんでは K-Ras 変異、黒色 腫では N-Ras 変異、子宮頚がんと膀胱がんでは H-Ras 変異が一 般的です。こうした変異は、リガンド‐RTK 結合がない状態での Ras の活性化を可能にし、誘発因子のない状態で細胞反応を誘導 します。Ras の上流因子であるプレニルトランスフェラーゼ (FTase と GGTase I)は Ras と細胞膜との結合と関連し、活性を減少させ る低分子の標的となります。

Raf キナーゼは GTP 結合 Ras によって活性化され、成長因子の 刺激に対して細胞膜に招集されます。Raf ファミリーには、A-Raf、 B-Raf、および c-Raf の 3 種類のメンバーがあります。B-Raf タンパ

Box 2:PI3K/mTOR阻害剤

(6)

MEK の下流のエフェクターとして ERK ファミリーメンバーを標的に する阻害剤の数は限られています。FR 180204(#3706)は市販 されている数少ない ERK1と ERK2 の阻害剤の 1 つです。関連す る MAPK 経路では、XMD 8-92(#4132)が ERK5 に高い選択性 を示す阻害剤です。ERK5 は、MEK5 により選択的に活性化され、 in vitro で腫瘍細胞の増殖を阻害し、in vivo では腫瘍に関連する

血管形成を阻害することが明らかとなっています。p38 MAP キナー ゼと JNK に関与する他の MAP キナーゼ経路の阻害剤が、がんの 治療に有用である可能性を示すエビデンスが増加しつつあります。 複数のがんで、この 2 つのキナーゼの活性化が細胞死の抑制につ ながっています。例えば、p38α のリン酸化の増加とリンパ腫、神 経膠腫、肺がん、乳がん、および甲状腺がんなどの悪性腫瘍とに 相関があることが明らかとなっています。同様に、造血細胞におい て白血病関連の Bcr-Abl タンパク質による JNK 経路の活性化が観 察されています。 t(9,22)の転座により生じるがん遺伝子の Bcr-Abl 融合タンパク 質は、慢性骨髄性白血病の発症につながり、チロシンキナーゼ阻 害剤による標的化に成功しました。大部分の患者が、最先端の治 療薬であるイマチニブ、ダサチニブ、又はニロチニブに反応を示 しています。ポナチニブ(AP 24534、#4274)などのより最新の Abl キナーゼ活性に対する広域スペクトルの阻害剤により、BCR-ABLT3151のような Bcr-Abl の変異型を克服するための知見が得られ る可能性があります。一方、Src と Abl キナーゼとの両方の阻害剤 であるボスチニブ(#4361)は、乳がんと大腸がんの細胞の増殖 と移動を制御することが示されました。 PI3K と MAPK シグナル伝達に加え、細胞の成長と増殖に関わる 経路をはじめとする他の複数のシグナル伝達経路が、がんの進行 ク質の変異の活性化は、皮膚がん、甲状腺がん、卵巣がんおよび 膵臓がんなどの広範囲ながんを発生させます。黒色腫ではBRAF が最も変異する頻度が高い遺伝子であり、悪性黒色腫の 65%以 上でBRAF 変異が認められます。このBRAF の変異には、恒常的 に活性化したキナーゼである B-RafV600Eタンパク質を生成するミス センス置換が多く含まれます。 Raf を介したシグナル変換は、14-3-3 や Hsp90 のような、がん研 究に重要な数々のタンパク質にも依存しています。Hsp90(90 kDa 熱ショックタンパク質)は分子シャペロンであり、タンパク質の折り 畳みや多数の「クライアント」タンパク質の品質管理を助け、Hsp70 のような他のシャペロンと協力して機能します。注目に値する他の腫 瘍関連のクライアントには、エストロゲン受容体と p53 などがあり ます。Hsp90 は、変異した腫瘍形成タンパク質を安定化することに より、ある種の腫瘍細胞において重要な役割を果たしています。 分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ又は MAP2K としても知 られる MEK は、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼである ERK の活性化に必要なチロシン残基とスレオニン残基の両方をリ ン酸化する 2 つの特性を持ったキナーゼです。これまでにこのキ ナーゼの腫瘍形成変異の報告はほとんどないにもかかわらず、が んにおいて MAPK 経路が頻繁に活性化されているため、MEK は 治療の対象として幅広く研究されてきました。臨床試験に入った初 めての小分子 MEK 阻害剤は、PD 184352(#4237)です。以来、 さらに効果の高い類似物である PD 0325901(#4192)が開発さ れてきました(Box 3)。この両方の化合物は、MEK の ATP 結合 ポケットに隣接するアロステリック部位を標的にしています。この阻 害機序から、高い選択性を持ったこれら 2 つの化合物が開発され ました。

GDC 0879 (4453)

Potent B-Raf inhibitor Potent B-Raf inhibitorSB 590885 (2650)

FR 180204 (3706)

Selective ERK inhibitor

XMD 8-32 (4132)

Selective ERK5/BMK1 inhibitor

PD 0325901 (4192)

Selective inhibitor of MEK1/2

Bosutinib (4361)

Dual Src-Abl inhibitor; antiproliferative

N N N N O HN N OH EtO N NH O Cl Cl MeO CN MeO N N N N N N H H2N N N N N N N HO OH H N F I F F H N O HO O OH H N N O N HON N

Box 3:Raf-MEK-ERK経路阻害剤

(7)

受容体シグナル伝達‐続き

に関わっていることが明らかになってきました。Wnt タンパク質は、 胚形成期や成人組織内における分化、細胞移動、および増殖といっ た様々な発達段階を制御する分泌性糖タンパク質です。Wnt はが ん原遺伝子であることが知られており、腫瘍形成と転移を促進し ます。TGF-β は複数の経路に関わるシグナル伝達分子であり、細 胞の接着、分化、運動、細胞死を引き起こします。TGF-β/SMAD 経路の破壊は数多くのヒトのがんに関連し、通常は TGF-β 受容体 II の変異を不活性化します。 スフィンゴシンキナーゼとスフィンゴシン -1- リン酸(S1P)は細胞 の成長にも関与しています。スフィンゴシンキナーゼには、SPHK1 と SPHK2 の 2 つのアイソフォームが存在し、スフィンゴシンから 主要なスフィンゴ脂質である S1P への転換を媒介します。S1Pと成 長因子シグナル経路との間には多くの相互作用が存在し、S1P を 腫瘍形成と血管形成の制御に結び付けます。例えば、VEGFR-2 に 結合した VEGFR は、PKC を介した SPHK1 の活性化を誘導し、そ の結果 S1P を介した Ras の活性化を招き、Ras-Raf-MEK-ERK1/2 シグナル伝達の活性化の結果、血管形成が起こります。スフィンゴ シンキナーゼを阻害したり、S1P 受容体に拮抗したりする薬剤は、 がん細胞に観察される過剰増殖、移動、および炎症の表現型を低 減させるという意味で関心を集めています。 ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、ヒストンやヒストン以外 のタンパク質のリジン残基からアセチル基を除去する反応を触媒 する酵素のグループで、この反応により転写抑制を引き起こします。 一般的には単独では活動せず、pRb-E2F や mSin3A のような多タ ンパク質の大きな複合体を構成して機能します。これらの複合体は、 核内ホルモン受容体を含む他のシグナル伝達機構と共に、重要な 転写制御経路に介在しています。

核内ホルモン受容体

核内受容体は標的遺伝子上の配列特異的なプロモーター要素と結 合し、遺伝子の発現量を増加させます。こうした受容体の発現パ ターンの変化は様々ながんにつながります。 アンドロゲン受容体(AR)は前立腺がんで発現することの多い核 内ホルモン受容体で、前立腺がんの約 80 ~ 90%はアンドロゲン 依存性です。AR の活性化は前立腺がん細胞の成長と分化を促進 し、AR シグナル伝達は乳がんにも関係します。さらに、アンドロ ゲン受容体の転写活性は成長因子により影響される可能性があり、 アンドロゲンの非存在下でも前立腺がん細胞の増殖を促進します。 以上より、抗アンドロゲン剤が前立腺がんの治療に使用される可 能性があります。 エストロゲンも乳がんの成長に重要な役割を果たしており、乳がん では多くの場合、エストロゲンシグナル伝達経路が調節不全になり ます。そのため、エストロゲンに関連した乳がん発症の機序もがん 治療の標的となっています。例えば、アロマターゼはエストロゲン の生合成に関わる CYP450 酵素です。エストロゲンは乳がんと卵 巣がんの成長に必要なため、アロマターゼ阻害剤はエストロゲン 濃度を低下させることにより、抗がん活性を示します。 アリール炭化水素受容体(AHR)は、リガンド結合時の遺伝子発 現量の変化を誘導する細胞基質の転写因子です。腫瘍由来のリガ ンドの AHR への結合は、抗腫瘍免疫反応を抑制し悪性腫瘍の成 長を引き起こすため、AHR シグナル伝達はがんに関係します。 がん細胞において調節不全となり得る様々なシグナル伝達機序が 存在することは明らかです。こうした鍵となる受容体とシグナル伝 達分子を選択的経路阻害剤を使用して対象とすることにより、が ん研究者は、がんの主要なホールマークとそれが腫瘍形成に及ぼ す影響を研究することが可能です。 図2:ヒト乳がん組織のErbB2/Her2 ヒト乳がん組織のパラフィン包埋切片で検出されたErbB2発現。通常、乳が んではERBB2/HER2遺伝子が増幅又は過剰発現する。ウサギ抗ヒトリン酸 化ErbB2アフィニティ精製ポリクローナル抗体(R&D Systems社、#AF4438) を用いて受容体を茶色に染色して可視化した。ヘマトキシリンは青色で対比 染色している。

(8)

細胞周期とDNA損傷の修復

がん細胞は、増殖シグナル伝達の維持だけでなく、細胞増殖を阻 害する腫瘍抑制機序を回避できなければなりません。通常、細胞 分裂は特定の条件下でしか起こらない厳重に制御されたプロセス です。細胞周期は細胞分裂に不可欠であり、そのためその進行を

細胞周期とDNA損傷の修復

Products by Category

Page

ATM & ATR Kinase

...

20

Aurora Kinase

...

20

Casein Kinase 1

...

21

Casein Kinase 2

...

21

Cdc25 Phosphatase

...

21

Cell Cycle Inhibitors

...

21

Checkpoint Kinases

...

21

Cyclin-dependent Kinase

...

22

DNA-dependent Protein Kinase

...

23

Kinesin

...

27

Methyltransferases

...

29

p53

...

30

Polo-like Kinase

...

31

Poly(ADP-ribose) Polymerase

...

32

Telomerase

...

34

Chemotherapeutics

...

37

(R)-CR8 (3605)

Dual cdk1/cdk5 inhibitor. Also inhibits CK1 Cyclin-dependent kinase (cdk) 1 inhibitorRo 3306 (4181)

SNS 032 (4075)

Potent cdk2, cdk7 and cdk9 inhibitor

Monastrol (1305)

Selective inhibitor of mitotic kinesin Eg5

AZ 3146 (3994)

Potent and selective Mps1 inhibitor

GW 843682X (2977)

Selective inhibitor of PLK1 and PLK3

CCT 137690 (4291)

Potent pan-Aurora kinase inhibitor

N O S N S HN NH O S N O NH N S N N N N HN HN OH N HN N H OEt Me S OH O N N MeO MeO S O O NH2 CF3 N NH N N N Br N N N O N N N N O N H OMe O N

Box 4:細胞周期と有糸分裂チェックポイント阻害剤

A full list of targets and related products are listed on pages 19-37

制御する分子は、がん研究者の大きな関心の的となっています。

細胞周期と有糸分裂

サイクリン依存性キナーゼ(cdk)は、その調節サブユニットである サイクリンと協力し、G1期、S 期、G2期、および有糸分裂(M)期 の 4 段階を通して細胞周期の進行を制御します(図 3)。cdk は恒 常的に発現し、Wee1 や Cdc25 ホスファターゼなどの複数のキナー ゼとホスファターゼにより制御されています。cdk 活性の誤制御は、 予定外の増殖や、ゲノムや染色体の不安定性を誘発し得るため、こ うした制御は不可欠です。cdk 阻害剤は、CDK1/ サイクリン B が 介在する G2/M 期のような主要な移行点で細胞周期停止を誘導す ることができます。 有糸分裂中に少数のキナーゼが複雑な一連の事象を調整します。 特に、オーロラキナーゼ、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)、およ びポロ様キナーゼ(Plk)は、高い忠実度で染色体が確実に娘細 胞に分かれるよう連携します。不適切な染色体の分離は細胞の機 能に大きな影響を及ぼします。生存能力の低下はもとより、ゲノム の不安定性と異常な細胞分裂を通してがん化につながることがあり ます。「有糸分裂細胞死](有糸分裂機構の混乱により生じる一種 の細胞死)として知られるプロセスは、潜在的な腫瘍細胞を取り 除くことによりがん化のリスクを限定する役に立ち、結果として遺 伝的不安定性への悪影響を低減します。 オーロラキナーゼと Plk は、染色体分離におけるその役割から、

(9)

細胞周期とDNA損傷の修復‐続き

図3:細胞周期の進行とDNA修復 有糸分裂の進行に密接に関わっています。PLK1 は、Wee1 の分解 とサイクリン B/CDK1 の活性化を誘導することにより有糸分裂の開 始を促し、染色体分離と細胞質分裂において付加的な役割を担っ ています。PLK2 と PLK3 はチェックポイント介在性の細胞周期停 止に関わり、遺伝的安定性の確保に役立っています。オーロラ A は、中心体の成熟と紡錘体形成に関わっており、多くのヒトのがん で過剰発現します。オーロラ B は、他の有糸分裂プロセスの中で も、とりわけ紡錘体形成チェックポイントと細胞質分裂に関わりま す。したがって、こうした酵素の阻害剤は、主要な有糸分裂プロセ スを阻害し、細胞分裂を中止させます。 Cyclin A Cyclin E Cyclin B Spindle assembly Chromosome condensation Centrosome duplication Cytokinesis Spindle assembly checkpoint (SAC)

DNA damage checkpoint

DNA damage checkpoint

DNA damage

M

G

2

G

0

G

1

S

DNA replication p53 p53 ATM ATR MPS1 Aur B CHK2 CHK1 CDK1 CDK1 PLK1 p21 p21 CDK2 CDK2 CHK2 ATM DSBs SSBs CHK1 ATR Cyclin A Cyclin E CDK1 Mitotic progression Mitotic exit Cdc25C Cdc25A CDK4,6 CDK2 pRb 有望な治療標的として研究されている他の有糸分裂紡錘体関連の タンパク質に Eg5 と Mps1 があります。有糸分裂キネシンである Eg5 は、二極性紡錘体形成に欠かせない運動タンパク質であり、 モナストロール(#1305)のような化合物により Eg5 を阻害すれば、 有糸分裂停止につながります(Box 4)。Mps1(単極紡錘体 1)は、 紡錘体形成チェックポイントに関わる有糸分裂チェックポイントキ ナーゼであり、そのポイントで正確な染色体分離を行います。in vitro で Mps1 を阻害することによりがん細胞の生存能力が低下す ることが示され、Mps1 が有糸分裂紡錘体に関わる新たな有望な 治療標的であることが示唆されます。 細胞周期の特定のポイントでDNAの損傷は感知され修復される。このプロセスは、DNA損傷センサーであるATMとATRキナーゼにより開始される。チェッ クポイントキナーゼChk1とChk2が、G1期とG2期のDNA損傷チェックポイントを活性化するシグナル伝達カスケードを起動する。紡錘体形成チェックポイ ント(SAC)は、すべての染色体が紡錘体上に正しく配置されるまで有糸分裂後期を遅延させ、異数性を回避する。オーロラキナーゼB(Aur B)、PLK1、 およびMps1などのキナーゼは、細胞周期の様々な制御ポイントで影響を与える。 (SSB=一本鎖切断、DSB=二本鎖切断)

(10)

は継続し、細胞死に至るからです。 網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)やp53などの重要な「ゲートキーパー (門番)」タンパク質も、DNA 損傷や成長抑制シグナル、又は酸化 ストレスに反応して細胞周期の進行を妨げます。ATM や ATR と同 様に、p53 は低酸素状態や DNA 損傷を含めた細胞ストレスに応え て活性化します。p53 は主要な転写制御因子であり、30 年以上前 に発見されて以来、がんの標的として徹底的に研究されてきました。 p53 は、細胞周期停止、DNA 修復、およびアポトーシスにおいて役 割を担う遺伝子など腫瘍抑制に関わる多数の遺伝子を制御します。 p53 は、ATM、ATR、Chk1、カゼインキナーゼ 2、および MAPK によるリン酸化など複数の機序により活性化します。こうした修飾は、 ユビキチン-プロテアソーム経路により p53 の分解を標的とする E3 ユビキチンリガーゼである MDM2 と p53 との結合を阻害します。リ ン酸化は p53 の代謝を妨げ、細胞内の p53 のレベルを上げるだけ でなく、p53 の DNA 結合部位へのアフィニティーを高めます。 変異による p53 の不活性化は、多数のヒトのがんで起こるため、 遺伝子治療や薬剤治療の主要な標的となっています。Nutlin-3 (#3984)は Tocris 社がライセンスを受け販売している MDM2 の 拮抗剤です。この拮抗剤は MDM2 と p53 との相互作用を強力に 阻害し、がん細胞のアポトーシスを誘導します。その他にも p53 に 直接結合して野生型の機能を再活性化する(PRIMA-1MET、#3710 など)と考えられる化合物、あるいは他の機序を介して p53 を安 定化させると考えられる化合物があります(Box 6)。 多くの化学療法剤は、毒性のある DNA 損傷を誘導することにより 作用します。こうした治療薬にはプラチナ架橋剤のオキサリプラチ ン(#2623)やカルボプラチン(#2626)があります。

DNA損傷とp53

DNA 損傷はすべての細胞で日常的に起こり、細胞増殖が継続的に 正確に起こるためには修復が必要となります。多くのキナーゼが、 調節チェックポイントを通して細胞周期の進行を維持しています。 こうしたポイントでは、損傷した DNA が複製されないようにしてい ます。細胞周期チェックポイントキナーゼ(Chk1、Chk2)とサイク リン依存性キナーゼ(cdk)は、周期の様々な移行ポイントで制御 スイッチとして機能します。Chk 活性の長期化は、p53 依存性と p53 非依存性の両方の機序を通じて老化やアポトーシスを引き起こ します。 DNA 損傷を修復し、損傷が娘細胞に伝達されることを回避するた めに、細胞の DNA を修復する複数の機序が存在します。がん細胞 の主要な特徴であるゲノムの不安定性は、DNA の損傷、非効率な DNA 修復と細胞周期停止の失敗の結果生じますが、多くの場合、 ATM、ATR、および p53 といった重要なチェックポイントタンパク 質の不活性化により引き起こされます。これらの鍵となる調節遺伝 子の変異の遺伝的形質から、がんリスクの上昇がしばしば予測され ます。しかし、DNA 損傷が激しい場合は、有糸分裂が成り立たな くなり細胞は死に至ります。化学療法剤を始めとする特定のがん療 法は、この仕組みを活用しています(37 ページ「化学療法剤」一 覧表を参照)。

ATM と ATR キナーゼは DNA 損傷感知タンパク質で、DNA の損 傷に反応して活性化し、DNA 損傷チェックポイントにおいて開始、 増幅、および活性化を調節することにより、細胞周期中止を誘導し ます。DNA 損傷のあるがん細胞では、こうした酵素を阻害するこ とが治療上有効です。毒性の高い DNA の損傷があっても細胞周期

NU 7441 (3712)

Potent and selective DNA-PK inhibitor

PF 477736 (4277)

Selective Chk1 inhibitor

KU 55933 (3544)

Potent and selective ATM kinase inhibitor

Banoxantrone (4219)

Prodrug topoisomerase II inhibitor

PJ 34 (3255)

Potent PARP inhibitor

XAV 939 (3748) Tankyrase inhibitor Lomeguatrib (4359) MGMT inhibitor N N S CF3 HO OH OH O O HN HN N+ N+ O -O -O O N O S S N N N HN NH2 O S Br O O N O S N HN NH N H O NH2 O N N NH NH O Me2N O

Box 5:DNA損傷チェックポイント阻害剤

(11)

細胞周期とDNA損傷の修復‐続き

Pifithrin-α (1267)

p53 inhibitor

HLI 373 (3503)

Hdm2 inhibitor; activates p53-dependent transcription

NSC 66811 (2936)

MDM2 inhibitor. Disrupts MDM2-p53 interaction

Cyclic Pifithrin-α (3843)

p53 inhibitor

PRIMA-1MET (3710)

Restores mutant p53 activity

Nutlin-3 (3984)

MDM2 antagonist; inhibits MDM2-p53 interaction

S N N N N N NH O O Me2N N OH NH Cl Cl N N N O N H O OMe O S N NH O Me N OH OMe O がん細胞の DNA 修復機序を阻害することにより、併用投与する DNA 損傷化合物の細胞毒性効果を高めることが可能です。例えば、 ATM 阻害剤である KU 55933(#3544)は、電離放射線とエトポ シド(#1226)双方の細胞毒性効果を高めることが明らかとなって います。テモゾロミド(#2706)のようなアルキル化剤やメチル化 剤は DNA に結合し、グアニン残基の 6 位の酸素(O6)を修飾して、 DNA 架橋結合に導きます。このアルキル化は、O6- メチルグアニン -DNA メチルトランスフェラーゼ(MGMT)の活性により容易に逆戻 りします。したがって、ロメグアトリブ(#4359)のような化合物を 介して MGMT を阻害すれば、こうしたアルキル化剤の抗腫瘍活性 を高めることが可能です(Box 5)。 他の DNA 修復タンパク質には、塩基除去修復(BER)に関連す るポリ(ADP- リボース)ポリメラーゼ(PARP)、および DNA の 二本鎖切断(DSB)修復に関わる DNA 依存性タンパク質キナーゼ (DNA-PK)などがあります。不完全な DNA-PK 活性を示す細胞 は、正常細胞よりも電離放射線に感受性が高くなります。エトポシ ド(#1226)やカンプトテシン(#1100)などのトポイソメラーゼ 阻害剤は、DNA と複合したトポイソメラーゼを捕捉し、一本鎖と二 本鎖の切断を引き起こします。PARP 阻害剤も、毒性のある DNA 損傷の修復を妨げることにより放射線療法や化学療法の有効性を 高めます。第二世代、第三世代の PARP 阻害剤には、臨床的に関 連がある分子が含まれます。

Box 6:p53関連製品

A full list of targets and related products are listed on pages 19-37

腫瘍細胞は、DNA 修復が不完全でも複製可能です。さらに、大多 数の種類の腫瘍細胞は、通常は細胞が分裂できる回数を制限する バリアを無効にし、無限に増殖する能力を獲得すると考えられます。 この複製能力はテロメアとして知られ、染色体の両端にある保護的 な役割のヌクレオチド配列の喪失に関係します。テロメアは細胞が 分裂するたびに徐々に短くなり、やがて DNA の両端を保護する能 力を失います。この長さの漸減は「テロメアの短縮」として知られ ています。結果として、染色体の両端は失われ、細胞は死にます。 したがって、テロメアを伸長させるテロメラーゼを阻害すると、無 制限な細胞増殖を抑制する機序を提供することが可能です。BIBR 1532(#2981)は、こうしたテロメラーゼ阻害剤の一つで、急速に 増殖するがん細胞のテロメアを減少させ、成長停止を誘導します。 がんの表現型の一つである急速な細胞増殖を利用することにより、 DNA 修復経路の阻害は主要な治療方法となります。

(12)

細胞死と薬剤耐性

細胞死と薬剤耐性

細胞死に対する抵抗は、がん細胞の別の重要なホールマークです。 プログラムされた細胞死としても知られるアポトーシスは、細胞の 恒常性の確保に役立ち、正常な生理学的および病理学的条件でも 起こります。DNA 損傷が深刻な場合は、その細胞と腫瘍形成の可 能性を取り除くためにアポトーシスが誘導されます。アポトーシス は複雑なプロセスであり、アポトーシスに至る多くの経路の一つで エラーが発生することはあり得ます。がんにおいては、アポトーシ スを回避する能力は悪性腫瘍細胞の生存を可能にし、最終的に起 きるその腫瘍性形質変化に貢献します。 アポトーシス促進性タンパク質と抗アポトーシス性タンパク質は、 細胞死を制御する複雑なネットワークに関与しています。Bcl-2 ファ ミリーには、両タイプのアポトーシスタンパク質が含まれています。 例えば、Bcl-2 は抗アポトーシス性タンパク質、Bax はアポトーシ ス促進性タンパク質です。Bcl-2 が制御するアポトーシス経路は、 DNA 損傷や低酸素といった細胞毒性ストレスに反応して活性化し、

Products by Category

Page

Apoptosis and Autophagy Inducers

...

20

Bcl-2 Family

...

20

Caspase

...

21

Heat Shock Proteins

...

26

Multidrug Transporters

...

30

Pim Kinase

...

31

Ubiquitin

...

35

Chemotherapeutics

...

37

N N NH2 O OH OH O N N HN NC Cl Cl MG 132 (1748)

Proteasome and calpain inhibitor. Inhibits NF-κB activation Positive regulator of autophagySMER 28 (4297) Bcl-2 inhibitor; induces apoptosisTW 37 (4038)

VER 155008 (3803)

Hsp70 inhibitor

IU1 (4088)

USP14 inhibitor

HBX 41108 (4285)

Selective USP7 inhibitor

N N O Cl CN CN N O N F O O N H H N O N H O H O N N HN Br HO OH OH H N O S O O アポトーシスを制御するために相互作用する15 種類を超えるタン パク質と関わります。ヒトのがんの多くで、生存促進遺伝子を活性 化する変異および/又はアポトーシス促進遺伝子を無効化させる変 異が明らかとなっており、不完全なアポトーシスとがん発症との関 連性を示すエビデンスとなっています。 アポトーシスによる細胞死は、厳しく管理されたタンパク質分解段階 においてカスパーゼにより起こります。様々な腫瘍および細胞株の中 で、近年、カスパーゼの発現の変異や変化は注目を集めています。 Pim1 キナーゼもアポトーシスの制御に関わっています。Pim1 はが ん細胞において過剰発現することの多いがん原遺伝子によりコード 化されます。この恒常的活性型のセリン/スレオニンキナーゼは、 細胞増殖と遺伝的変化を促進することに加え、アポトーシスの阻害 により腫瘍形成に寄与します。 アポトーシスと同様、がんにおけるオートファジーの役割も複雑で す。オートファジーの腫瘍形成への関わりの根底にある機序は、ま だ完全には解明されていません。オートファジーは、損傷した細胞 の成分を分解することによりゲノムの不安定性と細胞の成長を制限 し、結果として腫瘍抑制因子として機能する働きがあります。しか し、腫瘍細胞もストレス下で、あるいは急速な細胞増殖から生じる ような代謝需要の増加を満たすためにオートファジーを活性化させ ます。オートファジーは、細胞小器官や巨大分子の分解を可能にす ることにより、飢餓状態の細胞に栄養を送ることを助けます。腫瘍 細胞の生存にとってストレスを緩和するこの能力は重要であり、そ のためオートファジーは治療調節の潜在的な対象となっています。 クロロキン(#4109)のようなオートファジー阻害剤は、化学療法剤 と併用した場合、腫瘍の成長を抑制し、細胞死を早めます。

Box 7:アポトーシス、オートファジー、およびプロテアソーム主要製品

A full list of targets and related products are listed on pages 19-37

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細胞死と薬剤耐性‐続き

N H N HN O O OMe H O O NMe MeN HN NH NMe HN MeN NMe NMe NMe O O O O O O O O O O O O NH N N OMe OMe N N H MeO MeO OMe MeO Ko 143 (3241)

Potent and selective BCRP inhibitor

CP 100356 (4193) P-gp inhibitor PSC 833 (4042) Inhibitor of P-gp-mediated MDR Etoposide Daunomycin Taxol Vinblastine Doxorubicin ATP-binding domain Cell membrane Drug efflux 多剤輸送体は、ABC(ATP結合カセット)タンパク質のスーパーファミリーに 属し、膜を通して物質を輸送するタンパク質である。多くは、上図に示すよ うに、P-糖タンパク質(ABCB1、又はMDR1)のような多数の貫膜ドメインを 持つ大きなタンパク質である。細胞毒性薬の多くはP-糖タンパク質輸送体 の基質である。こうした基質の多くは疎水性であり、細胞膜の脂質二重層か ら直接流出することができる。 図4:多剤輸送体

Box 8:多剤耐性主要製品

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ユビキチン-プロテアソーム経路に関わるタンパク質は主要な 調節因子を標的にする可能性があります。例えば、USP7 は p53 の脱ユビキチン化を媒介しますが、Tocris 社がライセンスを受け 販売している化合物 HBX 41108(#4285)により逆行させること ができます(Box 7)。プロテアソーム活性の阻害に抗腫瘍効果が あることは臨床的に証明されています。MG 132(#1748)のような プロテアソーム阻害剤は、細胞周期タンパク質の分解を混乱させる ことで細胞周期停止を誘導します。こうした化合物は p53 のような アポトーシス促進性タンパク質を安定させ、Bcl-2 のような選択さ れた抗アポトーシスタンパク質の濃度を低下させます。またアポトー シス促進性の NF-κB シグナル伝達を抑制する可能性もあります。

多剤耐性

がん細胞が細胞死に抵抗するもう一つの方法は、がん治療薬への 耐性の発達で、「多剤耐性」と呼ばれます。多剤輸送体の発現の 増加は、細胞毒性薬の流出の増加につながります。 多剤輸送体は ATP 結合カセット(ABC)タンパク質のスーパー ファミリーに属します(図 4)。p- 糖タンパク質(P-gp、ABCB1、 MDR1)は、多剤耐性に関係する明確な特徴を持つ最初に同定さ れた ABC 輸送体です。この種の耐性による影響を受ける基質に は、ビンカアルカロイド類(ビンブラスチン[#1256]とビンクリス チン[#1257])、アントラサイクリン類(ドキソルビシン[#2252])、 タキサン類(タキソール[#1097]など)があります。多剤耐性の 発達と結びつく他の輸送体には、多剤耐性関連タンパク質(MRP) と乳がん耐性タンパク質(BCRP)があります。Ko 143(#3241) は P-gp と MRP1 輸送体よりも BCRP に選択的であり、一方 CP 100356(#4193)は P-gp に高いアフィニティーを示し、MRP1 に選択的です。PSC 833(#4042)は異なる種類の活性を示し、 P-gp を調節し、複数の細胞毒性薬に対する多剤耐性を逆行させ ます(Box 8)。

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血管新生

血管新生(血管形成としても知られる)とは、既存の脈管構造から 新しい血管を形成することです。血管新生は、成長と発達の通常 のプロセスであり、動脈、静脈、および毛細血管の形成に必要なプ ロセスです。また、新しい血管の増殖も、創傷治癒における組織 の修復と再生に重要な役割を担っています。 腫瘍細胞が生き延びるためには、悪化する環境から栄養と酸素を 得る必要があります。腫瘍が発達するにつれて、腫瘍の中心近くの 細胞が通常の血液供給から徐々に切り離され、低酸素状態が広が るからです。血管新生は、腫瘍細胞が成長し発達し続けるための 一つの手段です。すなわち、腫瘍の代謝要求を満たし、酸素と栄 養の供給が困難になることを避けるために新しい血管を成長させる のです。低酸素状態は、低酸素誘導因子 -1(HIF-1)の発現を安 定させ、さらに VEGF、FGF、およびマトリックスメタロプロテイナー ゼ(MMP)など複数の血管新生因子の発現を次々に安定させます OH OMe OMe OMe MeO Combrestatin A4 (1495)

Antitumor, anti-angiogenic and antimetastatic agent

PX 12 (2954)

Competitive thioredoxin-1 inhibitor

DMOG (4408) Prolylhydroxylase inhibitor OGT 2115 (2710) Antiangiogenic N H N S S O N NH O F CO2H Br H N MeO2C CO2Me O 図5:腫瘍血管新生

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Page

Antiangiogenics

...

19

FGFR

...

25

HIF-1

...

26

Matrix Metalloproteinase

...

28

PDGFR

...

31

VEGFR

...

35

Hypoxia also upregulates protease expression leading to basement membrane degradation and pericyte detachment

Pericyte detachment Pericyte recruitment Basement membrane Basement membrane degradation

Endothelial cell Tip cell

1 2 3 4 5

Hypoxia induces HIF-1 expression and consequent release of pro-angiogenic factors, e.g. VEGF, FGF, EGF

Hypoxia Proteolytic degradation Tip cell migration

Specialized endothelial cells – ‘tip cells’ – migrate along angiogenic factor gradient Tube formation Endothelial cells proliferate and migrate, leading to tube formation Tumor vascularization

Blood supply stimulates further tumor growth

(図 5)。HIF-1 の分解を調節するチオレドキシンやプロリルヒドロ キシラーゼのようなタンパク質は、がん研究における有望な治療標 的として関心の的になっています。

Box 9:血管新生主要製品

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浸潤と転移

がんの転移は、原発腫瘍から遠位臓器又は組織の二次性腫瘍への 播種に関わる多段階プロセスです。転移の最初の段階の一つは基底 膜の分解で、MMP が関与するプロセスです。MMP は、腫瘍細胞 自身あるいは近くの腫瘍により刺激された周囲の間質細胞から分泌 されます。数多くの研究において、様々なヒトのがんにおける MMP 発現の変化は疾患の予後不良と結びつけられてきました。MMP-1、 -2、-3、-7、-9、-13、および -14 のすべてが原発腫瘍および/又は

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Dynamin

...

23

Focal Adhesion Kinase

...

25

G-protein Signaling

...

25

IκB Kinase

...

27

Integrin Receptors

...

27

Matrix Metalloproteinase

...

28

MET

...

29

Microtubules

...

29

Other Kinases

...

30

Rho-kinases

...

33

Urokinase

...

35

BC 11 (4372)

Selective urokinase (uPA) inhibitor Potent c-MET/ALK inhibitorCrizotinib (4368)

PF 04217903 (4239)

Highly selective c-Met inhibitor

GSK 269962 (4009)

Potent and selective ROCK inhibitor

EHT 1864 (3872)

Potent inhibitor of Rac family GTPases

Batimastat (2961)

Potent, broad spectrum MMP inhibitor

IPA 3 (3622)

Group I p21-activated kinase (PAK) inhibitor

PF 573228 (3239)

Potent and selective FAK inhibitor

(HO)2B S NH2 NH NH O HOHN O S S O NHMe Cl Cl F O N H2N N N NH N F3C S O O O N O O HN N N N N O N H2N O O N O S OH S HO N N N H H N O F3C N H SO2Me N N N N N N N HO N 転移で発現量が増加します。MMP の合成阻害剤又は天然阻害剤は、 転移を阻害する一方で、MMP の上方制御はがん細胞の浸潤を高め る結果となります。ウロキナーゼ(uPA)のような他のプロテアーゼ は細胞外マトリックス(ECM)の分解にも関わっています(図 6)。こ のマトリックスの完全性の破壊により、腫瘍細胞が血流又はリンパ 系に入る経路が作られ、腫瘍細胞が体の他の部位に移動することが 可能になります。その後、「転移のコロニー形成」と呼ばれるプロセ スにより、遠位部位でのがん細胞の成長が始まります。 上皮間葉転換(EMT)として知られるプロセスは、細胞の移動を 可能にし、間葉の特性を獲得した上皮細胞の移動を促進します。 肝細胞増殖因子受容体(HGFR)としても知られる MET 受容体は、 がん原遺伝子受容体チロシンキナーゼです。MET の内因性リガン ドは、肝細胞増殖/散乱因子(HGF)、すなわち主に間葉細胞によ り生成されるジスルフィド結合ヘテロ二量体分子です。したがって、 MET 受容体シグナル伝達は、浸潤性増殖や EMT の重要な制御体 です。HGF/MET 経路の異常な活性化は様々ながんを引き起こし ます。MET の変異は、腫瘍成長、血管新生、および転移を誘発す るため、予後不良につながります。 接着性の相互作用は転移腫瘍細胞の播種に重要な役割を果たしま す。例えば、カドヘリンやインテグリンは、腫瘍細胞が二次部位で

Box 10:浸潤と転移主要製品

(16)

転移コロニーを形成し始めるのを助けます。また、接着斑キナーゼ (FAK)も細胞間接着の一翼を担い、ECM に細胞が接着する部位 で機能します。このキナーゼは、インテグリンと ECM の相互作用 に反応して活性化し、細胞成長と運動性に関わる多様なシグナル 伝達化合物の重要な焦点となっています。

RhoA GTPase は、こうした FAK により制御されるシグナル伝達分 子の一つです。RhoA のエフェクターには、腫瘍細胞で増殖効果を 媒介する Rho キナーゼ(ROCK)もあります。ROCK 活性の増殖 への関与は、Y 27632(#1254)や GSK 269962(#4009)な どの ROCK 選択的阻害剤を用いた研究により解明されてきました (Box 10)。

Rac は、RhoA や Cdc42 と並び、GTPase の Rho ファミリーのメ ンバーの一つです。Rac ファミリーの多様なメンバーの阻害剤 (例えば EHT 1864[#3872])が合成されました。NSC 23766 (#2161)のような他の阻害剤は、Rac1 の相互作用‐ここでは Rac に特異的なグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)の活性化 を阻害します(Box 10)。Rac1 と Cdc42 の下流にグループ I の p21 活性化キナーゼ(PAK 1-4)があります。これらの分子は Rho GTPase を細胞骨格の再構築と細胞運動性に結び付け、近年、 細胞増殖を促進しアポトーシスを制御することが示されました。 IPA 3(#3622)は、in vivo で PAK の不活性立体配座を促進し、 PAK1 が媒介するシグナル伝達を阻害し、潜在的な抗腫瘍活性 を示しました。 転移は、多くの場合、臨床的予後と密接に関係します。そのため、 このプロセスを引き起こす機序はがん研究における大きな関心事 項となってきました。特に、新しい薬理学的ツールの開発は、浸潤 と転移の活性化に関わる細胞の変化や分子の解明の一助となって きました。今後の研究では、転移のプロセスにおいて免疫細胞や 腫瘍代謝の果たす役割も考慮される可能性があります。 ヒト乳がん組織のパラフィン包埋切片に検出されたウロキナーゼ型プラスミ ノーゲン活性化因子(uPA)の発現。uPAはECMの分解に関わるセリンプロ テアーゼで、基質の完全性の喪失や、腫瘍細胞が他の組織へ移動し得る潜 在的な経路ができます。上の写真では、ヤギ抗ヒト/マウスuPAアフィニティ ー精製ポリクローナル抗体(R&D Systems社、#AF1310)を用いて茶色に可視 化した。ヘマトキシリンは青色で対比染色している。 図6:細胞外基質の分解

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略語一覧

ABC ATP-binding cassette AHR Aryl hydrocarbon receptor AMP Adenosine monophosphate AMPK AMP-activated protein kinase ATM Ataxia telangiectasia mutated ATP Adenosine triphosphate

ATR Ataxia telangiectasia and Rad3 related BCRP Breast cancer resistance protein BER Base-excision repair

Cdk Cyclin-dependent kinase Chk1 Checkpoint kinase 1 Chk2 Checkpoint kinase 2

c-MET Hepatocyte growth factor receptor; also known as HGFR DNA-PK DNA-dependent protein kinase

DSB Double strand break ECM Extracellular matrix EGF Epidermal growth factor EMT Epithelial-mesenchymal transition

ErbB Epidermal growth factor receptor family; also known as EGFR ERK Extracellular signal-regulated kinase

FAK Focal adhesion kinase FGFR Fibroblast growth factor FLT3 Fms-like tyrosine kinase FTase Farnesylfarnesyltransferase GEF Guanine nucleotide exchange factor GGTase 1 Geranylgeranyltransferase type 1 GPCR G protein-coupled receptors HDAC Histone deacetylase HGF Hepatocyte growth factor HIF-1 Hypoxia inducible factor-1 Hsp90 Heat shock protein 90

IGF1R Insulin-like growth factor receptor

JNK c-Jun N-terminal kinase MAPK Mitogen-activated protein kinase MDR Multidrug resistance

MEK also known as mitogen-activated protein kinase kinase, MAP2K MGMT O6-methylguanine-DNA methyltransferase

MMP Matrix metalloproteinase Mps1 Monopolar spindle 1

MRP Multidrug resistance-associated protein mTOR Mammalian target of rapamycin NF-κB Nuclear factor kappa B PAK p21-activated kinase PARP Poly(ADP-ribose) polymerase PDGFR Platelet-derived growth factor receptor PDK Phosphoinositide-dependent kinase-1 PI3K Phosphoinositide 3-kinase

Plk Polo-like kinase

PTEN Phosphatase and tensin homolog ROCK Rho-kinase

RSK Ribosomal S6 kinase RTK Receptor tyrosine kinase S1P Sphingosine-1-phosphate S6K1 p70 ribosomal S6 kinase SOS Son of sevenless SPHK1 Sphingosine kinase 1 SPHK2 Sphingosine kinase 2 SSB Single strand break

STAT Signal transducer and activator of transcription TGF-β Transforming growth factor β

uPA Urokinase-type plasminogen activator USP14 Ubiquitin carboxyl-terminase hydrolase 14

USP7 Ubiquitin-specific-processing protease 7; also known as ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase 7 VEGFR Vascular endothelial growth factor receptor

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関連資料

Tumor- and Stromal Cell-Derived Pathways as Targets for Anti-Angiogenic Therapy

N. Ferrara、Y. Crawford、Genentech

血管新生は、腫瘍形成期間に腫瘍細胞に栄養を供給するための不可欠なプロセスです。本ポスター には、VEGF 経路を標的にした血管新生治療と治療耐性の機序がまとめられています。

Checkpoint Kinases and the DNA Damage Response

M. Garrett、I. Collins、Institute of Cancer Research

チェックポイントキナーゼは、細胞周期を通して細胞の進行を制御する酵素群です。本ポスターに は、DNA 損傷に対するチェックポイントキナーゼのシグナル伝達ネットワークの反応がまとめられ ています。さらに、起こり得る様々な種類の DNA 損傷、およびがん療法で用いられる数種類の治 療法に重点が置かれています。

Strategies to Reactivate the p53 Tumor Suppressor Response

C. Brown ら、A*STAR

p53 は、腫瘍の中で高頻度で突然変異し不活性化することが明らかとなっている主要な転写調節 因子です。本ポスターには、p53 を安定させるよう作用し野生型活性を助ける複数の低分子および ペプチドなど、p53 を活性化するために用いられる可能性がある主な戦略がまとめられています。

MAPK Signaling

E. Zaganjor、M. Cobb、University of Texas Southwestern Medical Center

MAP キナーゼシグナル伝達は、増殖や分化など多くの細胞プロセスの調節に不可欠であり、 そのためがん研究において大きな注目を集めています。本レビューは、MAPK 経路の制御と MAPK カスケードの特性について考察しています。

Stem Cell Growth and Differentiation

V. Christie、S. Przyborski、Durham University

幹細胞は増殖能と分化能を持ち、ある種のがんの腫瘍塊で発見される細胞を含め、様々に定義さ れる細胞へと変化する独特の細胞です。本レビューは、幹細胞の成長と分化の制御に用いられる 低分子についての概要を説明しています。

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Category Cat. No. Product Name Description Unit Size Price

Tocris社 がん研究製品 価格表

Abl Kinase

Inhibitors 3716/10 3716/50

Adaphostin p210bcr/abl kinase inhibitor 10 mg

50 mg

38,000 172,000 4274/10

4274/50

AP 24534 Potent multi-kinase and pan-BCR-ABL inhibitor 10 mg 50 mg

66,000 281,000

Akt (Protein Kinase B)

Inhibitors 2558/10 2558/50

10-DEBC Selective Akt/PKB inhibitor 10 mg

50 mg

33,000 136,000

3897/10 API-1 Selective Akt/PKB inhibitor. Antitumor 10 mg 81,000

2151/10 API-2 Selective inhibitor of Akt/PKB signaling. Antitumor and antiviral 10 mg 75,000 2926/10

2926/50

FPA 124 Akt/PKB inhibitor 10 mg

50 mg

46,000 191,000 4144/10

4144/50

GSK 690693 Akt kinase inhibitor. Antitumor 10 mg

50 mg

75,000 319,000 4168/10

4168/50

PIT 1 Inhibits Akt signaling 10 mg

50 mg

41,000 184,000 4398/10

4398/50

SC 66 Allosteric Akt inhibitor 10 mg

50 mg 24,000 100,000 AMPK Activators 3336/10 3336/50

A 769662 Potent AMPK activator 10 mg

50 mg

50,000 217,000

2840/50 AICAR AMPK activator 50 mg 30,000

2864/100 Metformin Activator of LKB1/AMPK; antidiabetic agent 100 mg 17,000 4039/10 4039/50 PT 1 AMPK activator 10 mg 50 mg 54,000 226,000 Inhibitors 3093/10 3093/50

Dorsomorphin Potent and selective AMPK inhibitor 10 mg

50 mg 50,000 217,000 Androgen Receptor Agonists 3812/10 3812/50

Cl-4AS-1 Steroidal androgen receptor agonist 10 mg

50 mg

54,000 254,000 2822/50 Testosterone Endogenous androgen receptor agonist 50 mg 輸入不可

Antagonists 3389/10 3389/50

Bicalutamide Non-steroidal androgen receptor antagonist 10 mg 50 mg

50,000 209,000 4094/50 Flutamide Non-steroidal androgen receptor antagonist 50 mg 11,000 1759/100 Nilutamide Androgen receptor antagonist. Orally active 100 mg 24,000 3923/10 PF 998425 Non-steroidal androgen receptor antagonist 10 mg 54,000

Modulators 3813/10 3813/50

TFM-4AS-1 Selective androgen receptor modulator (SARM) 10 mg 50 mg 54,000 249,000 Antiangiogenics Other 1495/10 1495/50

Combretastatin A4 Inhibits tubulin polymerization. Antitumor, antiangiogenic and antimetastatic 10 mg 50 mg 50,000 209,000 1461/10 1461/50

Linomide Immunomodulator with antiangiogenic properties 10 mg 50 mg

46,000 191,000 2710/1

2710/10

OGT 2115 Antiangiogenic. Heparanase inhibitor 1 mg

10 mg

18,000 38,000

(20)

Category Cat. No. Product Name Description Unit Size Price

Apoptosis and Autophagy Inducers

Other 3868/10 3868/50

CHM 1 Potent antitumor agent; inducer of apoptosis 10 mg 50 mg

41,000 184,000 2841/50 Curcumin Antitumor, anti-inflammatory and antioxidant 50 mg 15,000 2137/10

2137/50

2,3-DCPE Selectively induces cancer cell apoptosis 10 mg 50 mg

24,000 100,000 1770/10 Deguelin Anticancer and antiviral agent; chemopreventive and

proapoptotic

10 mg 50,000 3590/10

3590/50

Gambogic acid Apoptosis inducer. Activates caspases and inhibits Bcl-2 family proteins 10 mg 50 mg 31,000 126,000 4297/10 4297/50

SMER 28 Positive regulator of autophagy 10 mg

50 mg 31,000 136,000 Aromatase Inhibitors 3388/10 3388/50

Anastrozole Potent aromatase (CYP19) inhibitor 10 mg

50 mg

50,000 209,000 3759/10

3759/50

Exemestane Steroidal aromatase (CYP19) inhibitor 10 mg

50 mg

41,000 184,000 4382/10

4382/50

Letrozole Potent, reversible non-steroidal aromatase inhibitor 10 mg 50 mg

17,000 63,000 3278/10

3278/50

YM 511 Potent aromatase (CYP19) inhibitor 10 mg

50 mg

41,000 184,000

Aryl Hydrocarbon Receptor

Agonists 1803/10 ITE Endogenous agonist of the aryl hydrocarbon receptor 10 mg 50,000

Antagonists 3859/10 3859/50

6,2’,4’-Trimethoxyflavone Aryl hydrocarbon receptor antagonist 10 mg 50 mg

31,000 126,000 3858/10

3858/50

CH 223191 Potent aryl hydrocarbon receptor antagonist 10 mg 50 mg

41,000 184,000

ATM & ATR Kinase

Inhibitors 2639/10 2639/50

CGK 733 Selective inhibitor of ATR and ATM kinases 10 mg 50 mg

38,000 172,000 3544/10 KU 55933 Potent and selective ATM kinase inhibitor 10 mg 54,000 4176/10

4176/50

KU 60019 Potent ATM kinase inhibitor 10 mg

50 mg

68,000 292,000 3190/10

3190/50

Mirin MRN-ATM pathway inhibitor 10 mg

50 mg 38,000 172,000 Aurora Kinase Inhibitors 4291/10 4291/50

CCT 137690 Potent pan-Aurora kinase inhibitor 10 mg

50 mg

62,000 264,000 4066/10

4066/50

TC-A 2317 Potent, selective Aurora kinase A inhibitor 10 mg 50 mg

60,000 262,000

2458/10 ZM 447439 Inhibits Aurora kinase B 10 mg 66,000

Autotaxin

Inhibitors 4196/10 4196/50

HA 130 Selective autotaxin inhibitor 10 mg

50 mg

50,000 244,000

3404/10 S 32826 Potent autotaxin inhibitor 10 mg 50,000

Bcl-2 Family

Inhibitors 1541/10 1541/50

HA14-1 Bcl-2 inhibitor. Induces apoptosis 10 mg

50 mg

38,000 162,000 4038/10

4038/50

TW 37 Bcl-2 inhibitor; induces apoptosis 10 mg

50 mg

63,000 271,000

Other 3367/10 3367/50

AT 101 Downregulates Bcl-2 and Mcl-1; pro-apoptotic 10 mg 50 mg

41,000 184,000 2160/10

2160/50

Bax channel blocker Inhibits Bax-mediated mitochondrial cytochrome c release 10 mg 50 mg

46,000 191,000 1964/50 Gossypol Pro-apoptotic; downregulates Bcl-2 and Bcl-XL 50 mg 24,000 3816/1 Muristerone A Stimulates Bcl-XL mRNA transcription; antiapoptotic 1 mg 54,000

(21)

Category Cat. No. Product Name Description Unit Size Price

Tocris社 がん研究製品 価格表‐続き

Broad Spectrum Protein Kinase Inhibitors

Inhibitors 1683/200U K 252a Protein kinase inhibitor 200 µg 68,000

2002/10 Ro 31-8220 mesylate Protein kinase inhibitor 10 mg 63,000

1285/100U Staurosporine Non-selective protein kinase inhibitor 100 µg 36,000

Calpain

Inhibitors 2950/1 Acetyl-Calpastatin (184-210) (human) Selective calpain inhibitor 1 mg 81,000 3358/5 MG 101 Calpain inhibitor; activates p53-dependent apoptosis 5 mg 27,000 1748/5 MG 132 Calpain and proteasome inhibitor. Inhibits NF-κB activation 5 mg 33,000 1269/10

1269/50

PD 150606 Cell permeable calpain inhibitor 10 mg

50 mg 41,000 184,000 Casein Kinase 1 Inhibitors 2902/10 2902/50

D 4476 Selective CK1 inhibitor. Also inhibits TGF-βRI 10 mg 50 mg 54,000 235,000 3610/10 3610/50 (R)-DRF053 Dual CK1/cdk inhibitor 10 mg 50 mg 63,000 271,000 4281/10 4281/50

PF 4800567 Selective casein kinase 1ε inhibitor 10 mg

50 mg

49,000 219,000 3316/10

3316/50

PF 670462 Potent and selective CK1ε and CK1δ inhibitor 10 mg 50 mg

54,000 226,000

Casein Kinase 2

Inhibitors 3058/50 Ellagic acid Selective inhibitor of CK2. Also inhibits glutathione S-transferase 50 mg 18,000 2275/10

2275/50

TBB Selective cell-permeable CK2 inhibitor 10 mg

50 mg

24,000 91,000 3675/10

3675/50

TMCB Dual-kinase inhibitor; inhibits CK2 and ERK8 10 mg 50 mg 33,000 136,000 Caspase Inhibitors 2172/10 2172/50

AZ 10417808 Selective non-peptide caspase-3 inhibitor 10 mg 50 mg

54,000 235,000 2166/1 Z-DEVD-FMK Cell-permeable, irreversible caspase-3 inhibitor 1 mg 79,000 2163/1 Z-VAD-FMK Cell-permeable, irreversible caspase inhibitor 1 mg 63,000

Cdc25 Phosphatase

Inhibitors 1867/10 NSC 663284 Potent, selective Cdc25 phosphatase inhibitor 10 mg 60,000 1547/10

1547/50

NSC 95397 Selective Cdc25 dual specificity phosphatase inhibitor 10 mg 50 mg

50,000 209,000

Cell Cycle Inhibitors

Other 1417/50 Daidzein Arrests cell cycle in G1 phase 50 mg 27,000 3715/1 Narciclasine Antiproliferative agent; slows cell cycle progression 1 mg 43,000

Checkpoint Kinases Inhibitors 3034/10 3034/50 NSC 109555 Selective Chk2 inhibitor 10 mg 50 mg 44,000 200,000 2694/1 2694/10

PD 407824 Selective inhibitor of Chk1 and Wee1 1 mg

10 mg 27,000 63,000 4277/10 4277/50 PF 477736 Selective Chk1 inhibitor 10 mg 50 mg 66,000 281,000 2560/1 2560/10

SB 218078 Inhibitor of checkpoint kinase 1 (Chk1) 1 mg 10 mg

31,000 75,000

(22)

Category Cat. No. Product Name Description Unit Size Price

Chemokine Receptors

Antagonists 3299/10 AMD 3100 Highly selective CXCR4 antagonist 10 mg 38,000 4179/10

4179/50

AMD 3465 Potent, selective CXCR4 antagonist 10 mg

50 mg 49,000 212,000 2769/10 2769/50 BX 513 Selective CCR1 antagonist 10 mg 50 mg 54,000 226,000 3581/10 3581/50 C 021 Potent CCR4 antagonist 10 mg 50 mg 50,000 244,000 4320/1 FC 131 CXCR4 antagonist 1 mg 57,000 2725/10 2725/50

SB 225002 Potent and selective CXCR2 antagonist 10 mg

50 mg 50,000 209,000 2724/1 2724/10 2724/50 SB 265610 Potent CXCR2 antagonist 1 mg 10 mg 50 mg 24,000 54,000 235,000 3664/10 3664/50

Teijin compound 1 Potent CCR2b antagonist 10 mg

50 mg

54,000 226,000 2757/1

2757/10

UCB 35625 Potent CCR1 and CCR3 antagonist 1 mg

10 mg 31,000 72,000 3951/10 3951/50 WZ 811 Potent CXCR4 antagonist 10 mg 50 mg 41,000 184,000 Cyclin-dependent Kinase Inhibitors 2072/10 2072/50

Aminopurvalanol A Cyclin-dependent kinase inhibitor 10 mg 50 mg

54,000 254,000 2457/10 Arcyriaflavin A Potent cdk4/cyclin D1 and CaM Kinase II inhibitor. 10 mg 54,000 3968/10

3968/50

AZD 5438 Potent cdk 1, 2 and 9 inhibitor 10 mg

50 mg

60,000 262,000 3605/10

3605/50

(R)-CR8 Dual cdk1/cdk5 inhibitor. Also inhibits CK1 10 mg 50 mg

63,000 271,000 1398/10 Kenpaullone Potent cyclin-dependent kinase inhibitor. Also inhibits GSK-3 10 mg 46,000 2152/10 2152/50 NSC 625987 Cdk4 inhibitor 10 mg 50 mg 44,000 200,000 3135/10 3135/50 NU 2058 Cdk1 and cdk2 inhibitor 10 mg 50 mg 41,000 184,000 3301/10 3301/50 NU 6140 Cdk2 inhibitor 10 mg 50 mg 54,000 226,000 3140/10 3140/50

PHA 767491 Dual cdc7/cdk9 inhibitor. Also inhibits MK-2 10 mg 50 mg

36,000 153,000 1580/10

1580/50

Purvalanol A Cyclin-dependent kinase inhibitor 10 mg

50 mg

54,000 254,000 1581/10

1581/50

Purvalanol B Cyclin-dependent kinase inhibitor 10 mg

50 mg 54,000 254,000 4181/10 4181/50 Ro 3306 Cdk 1 inhibitor 10 mg 50 mg 54,000 235,000 2609/10 2609/50 Ryuvidine Cdk4 inhibitor 10 mg 50 mg 50,000 209,000 4075/10 4075/50

SNS 032 Potent cdk2, cdk7 and cdk9 inhibitor 10 mg

50 mg 60,000 262,000 2907/10 2907/50 SU 9516 Potent cdk2 inhibitor 10 mg 50 mg 36,000 153,000

参照

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