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資産価値の長期記憶性を考慮したマートンモデルの拡張

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Academic year: 2021

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(1)

資産価値の長期記憶性と

マートンモデルの拡張

一橋大学大学院経済学研究科

吉田 遼太朗 EM121022

(2)

目次

• 本研究の目的 • データ - 資産価値データの生成、変換 - 特徴 • 資産価値変化率の長期記憶性 - 自己相関関数、R/S統計量、ハースト指数 - 検定結果 • 長期記憶性を考慮したマートンモデルの拡張 - マートンモデル - 非整数ブラウン運動を用いたマートンモデル - パラメータ推定及び、従来のモデルとの比較 • 付録

(3)

本研究の目的

①資産価値変化率の長期記憶性の存在を検証する

- 株価での長期記憶性の分析はよく行われている。 - 資産価値 = 時価総額(株価×発行枚数 )+ 負債 と仮定できることから、負債の影響を考えた研究が出来る。

②非整数ブラウン運動を用いたマートンモデルのパラ

メータ推定及び、従来のマートンモデルとの推定結

果の違いを検証する

-

実際のデータを使って、新たなモデルの予測力を検証をする。

(4)

データの生成

• 1993年9月~2013年9月(20年間分)の資産価値の日次時系 列データを生成し、分析を行う。 • 資産価値 = 負債 + 純資産 仮定 ・負債は負債総額(簿価)、純資産は時価総額で表わせる ・負債総額は四半期の間または1年間、日次の値は同じ • 以下のデータを取得し、資産価値の日次時系列を生成 負債総額 ・・・ 四半期データもしくは年データ 時価総額 ・・・ 日次データ 資産 負債 純資産 貸借対照表

(5)

データの変換

• 分析においては、定常なデータを扱いたい。 ← 後述の伊藤過程における非整数ガウシアンノイズが 定常な長期記憶過程であるため。 • 先に生成した資産価値過程{

z

t}に対して、 とすることで、データを定常化する。 • この対数差は という変化率に近似できる。 生成される{Xt}を資産価値の変化率と呼ぶことにする。 𝐗𝐗𝐭𝐭 = 𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥 𝐙𝐙𝐭𝐭 − 𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥 𝐙𝐙𝐭𝐭−𝟏𝟏 𝐗𝐗𝐭𝐭 = 𝐙𝐙𝐭𝐭 𝐙𝐙− 𝐙𝐙𝐭𝐭−𝟏𝟏 𝐭𝐭−𝟏𝟏

(6)

データの特徴

• データは例としてトヨタ自動車を選んだ。 • 上は資産価値の変化率、下は株価の変化率について -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 1 12 23 34 45 56 67 78 89 10 0 11 1 12 2 13 3 14 4 15 5 16 6 17 7 18 8 19 9 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 1 13 25 37 49 61 73 85 97 10 9 12 1 13 3 14 5 15 7 16 9 18 1 19 3 ヒストグラム 自己相関関数 グラフ

(7)

長期記憶性

• 松葉(2007) 定常時系列過程 {xt}が を満たすとき、 {xt} は長期記憶性を持つ。 • 具体的に、トヨタ自動車の資産価値変化率における累積自 己相関関数は以下のようになる。 • しかし、無限のラグは現実的には測れない。 �|𝛒𝛒(𝐤𝐤)| ∞ 𝐤𝐤=𝟎𝟎 = ∞ �𝛒𝛒(𝐤𝐤)は𝐤𝐤次の自己相関関数� 0 1 2 3 4 1 9 17 25 33 41 49 57 65 73 81 89 97 10 5 11 3 12 1 12 9 13 7 14 5 15 3 16 1 16 9 17 7 18 5 19 3 20 1

(8)

R/S検定

Hurst et al. (1965) 長期記憶性を判定する際に、ハースト指数H (0<H<1) を導入 した。 QnをR/S統計量と呼び、それが、 とべき則にしたが うことを発見した。 両辺対数を取って回帰すれば、Hを推定できる。 H>1/2 ・・・長期記憶過程 H=1/2 ・・・短期記憶過程 𝐐𝐐𝐧𝐧 = 𝐑𝐑𝐧𝐧⁄ = �𝐦𝐦𝐦𝐦𝐦𝐦𝐒𝐒𝐧𝐧 𝟏𝟏≤𝐤𝐤≤𝐧𝐧� 𝐦𝐦�𝐣𝐣 𝐤𝐤 𝐣𝐣=𝟏𝟏 − 𝐦𝐦𝐦𝐦𝐧𝐧𝟏𝟏≤𝐤𝐤≤𝐧𝐧� 𝐦𝐦�𝐣𝐣 𝐤𝐤 𝐣𝐣=𝟏𝟏 � /𝐒𝐒𝐧𝐧 ただし, 𝐦𝐦�𝐣𝐣 = 𝐦𝐦𝐣𝐣 − 𝐦𝐦�𝐧𝐧 , 𝐦𝐦�𝐧𝐧 = � 𝐦𝐦𝐣𝐣 /𝐧𝐧, 𝐧𝐧 𝐣𝐣=𝟏𝟏 𝐒𝐒𝐧𝐧𝟐𝟐 = � 𝐦𝐦� 𝐣𝐣 𝟐𝟐 /𝐧𝐧 𝐧𝐧 𝐣𝐣=𝟏𝟏 𝐐𝐐𝐧𝐧 ≈ 𝐧𝐧𝐇𝐇

(9)

ハースト指数

• Lo(1991) R/S統計量は、短期記憶も汲み取って統計量が過大になると 指摘し、これを解決する修正R/S統計量を示した。 この修正統計量を使って、長期記憶性は存在しないと結論 付けた論文がその後多く出た。 • 刈屋・勝浦(1992) 修正R/S統計量を用いて、日本株の変化率について長期記 憶性は存在しないと結論付けた。 • Pagan(1995) Lo(1991)において修正の際に新たに持ち込んだパラメータ の設定によって、結果が左右されてしまうことを指摘した。 • Hの推定は他にも、最尤法やホイットル法などがある。

(10)

検定結果

企業 変化率 ADF検定 PP検定 KPSS検定 classicR/SによるH 資産価値 定常*** 定常*** 定常 0.51 株価 定常*** 定常*** 定常 0.55 資産価値 定常*** 定常*** 単位根* 0.522 株価 定常*** 定常*** 定常 0.544 資産価値 定常*** 定常*** 単位根** 0.498 株価 定常*** 定常*** 定常 ---資産価値 定常*** 定常*** 単位根* 0.53 株価 定常*** 定常*** 定常 0.551 資産価値 定常*** 定常*** 定常 0.52 株価 定常*** 定常*** 定常 0.521 資産価値 定常*** 定常*** 定常 0.539 株価 定常*** 定常*** 定常 0.533 資産価値 定常*** 定常*** 単位根* 0.558 株価 定常*** 定常*** 定常 0.568 資産価値 定常*** 定常*** 定常 0.581 株価 定常*** 定常*** 定常 0.561 資産価値 定常*** 定常*** 定常 0.558 株価 定常*** 定常*** 定常 0.549 資産価値 定常*** 定常*** 定常 0.545 株価 定常*** 定常*** 定常 0.53 資産価値 定常*** 定常*** 単位根** 0.514 株価 定常*** 定常*** 定常 0.499 日立製作所 川崎重工業 トヨタ自動車 三菱商事 小田急電鉄 日本水産 鹿島 日本ハム 帝人 花王 クボタ アスタリスク(*)はp値による ***: p<0.01, **: p<0.05, *p<0.1

(11)

マートンモデル

• Merton[1974] 企業の資産価値を という確率過程に従うとし、負債価値を D とする。ここで、 A(T)< Dであるとデフォルトと定義すると、満期 T 時点におけ る企業の倒産確率を、 と推定することができる。 𝐝𝐝𝐀𝐀(𝐭𝐭) = 𝛍𝛍𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐭𝐭 + 𝛔𝛔𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐁𝐁(𝐭𝐭) 𝐏𝐏�[𝐀𝐀(𝐓𝐓) < 𝑫𝑫] = 𝚽𝚽 ⎝ ⎜ ⎛𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥 𝐃𝐃𝐀𝐀(𝟎𝟎) − �𝐫𝐫 − 𝛔𝛔𝐀𝐀 𝟐𝟐 𝟐𝟐 � 𝐓𝐓 𝛔𝛔𝐀𝐀√𝐓𝐓 ⎠ ⎟ ⎞

(12)

非整数ブラウン運動

• Leccadito and Urga(2006)

マートンモデルにおける資産価値過程を という確率過程に従うとする。BH(t)は(標準)非整数ブラウン 運動(fBm)といい、Hはハースト指数である。 (H=1/2のとき、 fBmはブラウン運動となる。) ・ 平均ゼロのガウス過程である。 ・ 定常増分過程を持つ。 ・ ・ に対し、BH(t)は自己相似過程となる。 𝐝𝐝𝐀𝐀(𝐭𝐭) = 𝛍𝛍𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐭𝐭 + 𝛔𝛔𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) 𝔼𝔼�𝐁𝐁𝐇𝐇𝟐𝟐(𝐭𝐭)� = 𝐭𝐭𝟐𝟐𝐇𝐇, 𝔼𝔼[𝐁𝐁 𝐇𝐇(𝐭𝐭)𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐬𝐬)] = 𝟏𝟏𝟐𝟐(𝐭𝐭𝟐𝟐𝐇𝐇 + 𝐬𝐬𝟐𝟐𝐇𝐇 − |𝐭𝐭 − 𝐬𝐬|𝟐𝟐𝐇𝐇) 𝟎𝟎 ≤ 𝐇𝐇 ≤ 𝟏𝟏 fBmの性質

(13)

非整数ガウスノイズ

• 松葉(2007) fBmの定常増分過程 X(n) (= BH(n+1) - BH(n) )を非整数ガウス ノイズ(fGn)という。 ・ ・ のとき、 を満たし、長期記憶過程となる。 fGnの性質 𝐄𝐄[𝐗𝐗(𝐧𝐧)] = 𝟎𝟎, 𝐕𝐕�𝐗𝐗(𝐧𝐧)� = 𝟏𝟏, 𝐂𝐂𝐥𝐥𝐂𝐂�𝐗𝐗(𝐧𝐧), 𝐗𝐗(𝐧𝐧 + 𝐤𝐤)� = 𝟏𝟏𝟐𝟐(|𝐤𝐤 + 𝟏𝟏|𝟐𝟐𝐇𝐇 − 𝟐𝟐|𝐤𝐤|𝟐𝟐𝐇𝐇 + |𝐤𝐤 − 𝟏𝟏|𝟐𝟐𝐇𝐇) �|𝛒𝛒(𝐤𝐤)| ∞ 𝐤𝐤=𝟎𝟎 = ∞ 𝟏𝟏 𝟐𝟐 < 𝐇𝐇 ≤ 𝟏𝟏

(14)

fBmを用いたマートンモデル

• 長期記憶性を持つ資産価値過程 は、 と解くことができる。従って、負債価値を D とし、A(T) < Dであ るとデフォルトと定義すると、満期 T 時点における企業の倒 産確率を、 と推定することができる。 𝐝𝐝𝐀𝐀(𝐭𝐭) = 𝛍𝛍𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐭𝐭 + 𝛔𝛔𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) 𝐏𝐏�[𝐀𝐀(𝐓𝐓) < 𝑫𝑫] = 𝚽𝚽 ⎝ ⎛𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥 𝐃𝐃𝐀𝐀(𝟎𝟎) − 𝐫𝐫𝐓𝐓 + 𝛔𝛔𝐀𝐀𝟐𝟐𝐓𝐓𝟐𝟐𝐇𝐇 𝟐𝟐 𝛔𝛔𝐀𝐀√𝐓𝐓𝟐𝟐𝐇𝐇 ⎠ ⎞ 𝐀𝐀(𝐭𝐭) = 𝐀𝐀(𝟎𝟎)𝐞𝐞𝐦𝐦𝐞𝐞 �𝛔𝛔𝐀𝐀𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) + 𝐫𝐫𝐭𝐭 − 𝟏𝟏𝟐𝟐 𝛔𝛔𝐀𝐀𝟐𝟐𝐭𝐭𝟐𝟐𝐇𝐇�

(15)

各パラメータの推定

• 倒産確率を求めるために以下のパラメータを推定する。 パラメータ どのように推定? D : 負債価値 予測時点の負債総額簿価 r : 無リスク金利 予測時点の国債10年物利回り T : 満期 任意に設定 H : ハースト指数 R/S検定 A(0) : 資産価値 σA : 資産価値ボラティリティ 次ページ以降に推 定方法を述べる

(16)

A(0), σ

A

の推定

• 以下ではA(0)とσA推定のために2つの式を導く。 • C(t,A(t))を、原資産を資産価値A(t)、負債価値Dを行使価格と するヨーロピアン・コールオプション価格とすると、 と表わすことができる。 (Hu and Oksendal(2003)の非整数ブラウン運動の場合のブ ラック-ショールズ式についての記述を参照。) 𝐝𝐝𝟏𝟏 = 𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥𝐥 �𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐊𝐊 � + 𝐫𝐫(𝐓𝐓 − 𝐭𝐭) +𝛔𝛔𝐀𝐀𝟐𝟐 𝟐𝟐 (𝐓𝐓𝟐𝟐𝐇𝐇 − 𝐭𝐭𝟐𝟐𝐇𝐇) 𝛔𝛔𝐀𝐀√𝐓𝐓𝟐𝟐𝐇𝐇 − 𝐭𝐭𝟐𝟐𝐇𝐇 , 𝐝𝐝𝟐𝟐 = 𝐝𝐝𝟏𝟏 − 𝛔𝛔𝐀𝐀�𝐓𝐓𝟐𝟐𝐇𝐇 − 𝐭𝐭𝟐𝟐𝐇𝐇 𝐂𝐂�𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)� = 𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝚽𝚽(𝐝𝐝𝟏𝟏) − 𝐃𝐃𝐞𝐞−𝐫𝐫(𝐓𝐓−𝐭𝐭)𝚽𝚽(𝐝𝐝𝟐𝟐) ⋯ (𝟏𝟏)

(17)

A(0), σ

A

の推定

• B/Sの純資産価値をE(t)とし、長期記憶性のある幾何ブラウン 運動に従う株価を使って、 と定義すると、E(t)は、 と表わすことができる。ここで、 が成り立つので、 と求めることができる。((3)式の導出は「付録A」参照。) (1), (3)式を用いて、収束計算を行い、A(0)とσAを推定する。 𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝐧𝐧𝐒𝐒(𝐭𝐭) 𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝐂𝐂�𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)� ⇔ 𝐝𝐝𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝐝𝐝𝐂𝐂�𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)� 𝐝𝐝𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝛍𝛍𝐄𝐄𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐭𝐭 + 𝛔𝛔𝐄𝐄𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) ⋯ (𝟐𝟐) 𝛔𝛔𝐄𝐄𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝚽𝚽(𝐝𝐝𝟏𝟏)𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝛔𝛔𝐀𝐀(𝐭𝐭) ⋯ (𝟑𝟑) 新たに推定すべき パラメータ!!

(18)

σ

E

の推定

• (2)式に対し、モーメント法による推定を試みる。 n を満期までの日数とすると、 と求めることができる。((4)式の導出は「付録B」参照。) • H=1/2のとき、「 ルール」と整合的である。 𝛔𝛔𝐄𝐄 = �𝐧𝐧𝟐𝟐𝐇𝐇 × �𝔼𝔼 ��𝐄𝐄 �𝐭𝐭 + 𝟏𝟏𝐧𝐧� − 𝐄𝐄(𝐭𝐭) 𝐄𝐄(𝐭𝐭) − 𝔼𝔼 �𝐄𝐄 �𝐭𝐭 + 𝟏𝟏𝐧𝐧� − 𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐄𝐄(𝐭𝐭) �� 𝟐𝟐 � ⋯ (𝟒𝟒) 時価総額の日次変化率の標準偏差 √𝐓𝐓

(19)

モデルの比較

• トヨタ自動車に対する予測倒産確率の推移を求めた。 尚、トヨタ自動車のハースト指数Hは0.558であった。 X軸は予測時点、Y軸は予測倒産確率 0.00% 10.00% 20.00% 30.00% 40.00% 50.00% 60.00% 70.00% 80.00% 90.00% 100.00% 0.00% 5.00% 10.00% 15.00% 20.00% 25.00% 30.00% 35.00% 40.00% 2013年9月に倒産する確率 予測時点から2年後に倒産する確率

(20)

モデルの比較

• 1つの企業に対する考察だけでは言えることは少ない。今後、 以下のような実証研究をしたい。

• Patel and Pereira(2005)

1984-2004年における実際に倒産した企業42社、倒産した企 業8社のデータを用いて、マートンモデルを含めた5つの倒産 予測モデルの予測力を検証する。 ・ 倒産する企業 ・ 倒産すると予測したが倒産しなかった企業 ・ 倒産しないと予測したが倒産した企業 ・ 倒産しない企業 に対する予測倒産確率の平均をそれぞれ算出して、モデル 毎に比較する。

(21)

付録

A

Duncan et al. (2000)の非整数ブラウン運動を用いた伊藤過 程に対する伊藤の公式を用いると、C(t,A(t))は、 と表わすことができる。 より、(2), (4)式のdBH(t)の項を比較すると、 と、(3)式を求めることができる。 𝐝𝐝𝐂𝐂�𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)� = 𝛛𝛛𝐂𝐂𝛛𝛛𝐭𝐭 �𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)�𝐝𝐝𝐬𝐬 + 𝛛𝛛𝐀𝐀 �𝐭𝐭, 𝐀𝐀𝛛𝛛𝐂𝐂 (𝐭𝐭)�𝛍𝛍𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐭𝐭 𝐝𝐝𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝐝𝐝𝐂𝐂�𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)� +𝛛𝛛𝐀𝐀 �𝐭𝐭, 𝐀𝐀𝛛𝛛𝐂𝐂 (𝐭𝐭)�𝛔𝛔𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) + 𝛛𝛛 𝟐𝟐𝐂𝐂 𝛛𝛛𝐀𝐀𝟐𝟐�𝐭𝐭, 𝐀𝐀(𝐭𝐭)�𝛔𝛔𝐀𝐀𝐃𝐃𝐭𝐭𝛟𝛟𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝐝𝐝𝐭𝐭 ⋯ (𝟒𝟒) 𝛔𝛔𝐄𝐄𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝛛𝛛𝐀𝐀 �𝐭𝐭, 𝐀𝐀𝛛𝛛𝐂𝐂 (𝐭𝐭)�𝛔𝛔𝐀𝐀𝐀𝐀(𝐭𝐭) = 𝚽𝚽(𝐝𝐝𝟏𝟏)𝐀𝐀(𝐭𝐭)𝛔𝛔𝐀𝐀(𝐭𝐭) 比較の際には、ハースト 数Hが一致しているという 仮定をする。 (p.10の結果を見ると、実 際に近い値である。)

(22)

付録

B

• モーメント法による(4)式の導出 (2)式を離散化すると、 (5)式で両辺に期待値をとると、 (6)に(5)を代入すると、 ∆𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝛍𝛍𝐄𝐄𝐄𝐄(𝐭𝐭)∆𝐭𝐭 + 𝛔𝛔𝐄𝐄𝐄𝐄(𝐭𝐭)∆𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) ⇔ ∆𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐄𝐄(𝐭𝐭) = 𝛍𝛍𝐄𝐄∆𝐭𝐭 + 𝛔𝛔𝐄𝐄∆𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) ⋯ (𝟓𝟓) 𝔼𝔼 �∆𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐄𝐄(𝐭𝐭) � = 𝛍𝛍𝐄𝐄∆𝐭𝐭 ⋯ (𝟔𝟔) ∆𝐄𝐄(𝐭𝐭) 𝐄𝐄(𝐭𝐭) − 𝔼𝔼 � ∆𝐄𝐄(𝐭𝐭) 𝐄𝐄(𝐭𝐭) � = 𝛔𝛔𝐄𝐄∆𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭)

(23)

付録

B

両辺2乗して期待値をとると、 したがって、 そして、 とすると、(4)式を導ける。 𝔼𝔼 ��∆𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐄𝐄(𝐭𝐭) − 𝔼𝔼 �∆𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐄𝐄(𝐭𝐭) �� 𝟐𝟐 � = 𝛔𝛔𝐄𝐄𝟐𝟐𝔼𝔼 ��∆𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭)�𝟐𝟐� = 𝛔𝛔𝐄𝐄𝟐𝟐(∆𝐭𝐭)𝟐𝟐𝐇𝐇 𝛔𝛔𝐄𝐄 = �𝔼𝔼 �� ∆𝐄𝐄(𝐭𝐭) 𝐄𝐄(𝐭𝐭) − 𝔼𝔼 �∆𝐄𝐄(𝐭𝐭)𝐄𝐄(𝐭𝐭) �� 𝟐𝟐 � (∆𝐭𝐭)𝟐𝟐𝐇𝐇 ∆𝐭𝐭 = 𝐧𝐧𝟏𝟏 �∵ 𝔼𝔼 ��𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐭𝐭) − 𝐁𝐁𝐇𝐇(𝐬𝐬)�𝟐𝟐� = |𝐭𝐭 − 𝐬𝐬|𝟐𝟐𝐇𝐇�

(24)

参考文献

• Duncan, T. E., Hu, Y. and Pasic-duncan, B. (2000). “Stochastic Calculus for Fractional Brownian Motion I. Theory”. SIAM J. Control Optim. 38, 582-612.

• Hurst, H. E., Black, R. P. and Simaika, Y. M. (1965). “Long Term Memory”, Constable Press, London.

• Hu, Y. and Oksendal, B. (2003). “Fractional White Noise Calculus and Apprications to Finance”. Infinite Dimensional Analysis, Quantum Probability and Related Topics 6(1), 1-32

• Leccadito, A. and Urga, G. (2006). “Fractional Models to Credit Risk Pricing”.

• Lo, A. W (1991). “Long-term memory in stock market prices”, Econometrica 59, 1279-1313.

• Merton R. (1974). “On the pricing of corporate debt”, The risk structure of interest rates. Journal of Finance 29(3), 449-470.

Pagan, A. (1995). “The econometrics of financial markets”, Journal of Empirical Finance 3, 15-102.

• Patel, K. and Pereira, R. (2005). “Expected Default Probabilities in Structural Models” • 青沼君明・村内佳子 (2010). 「Excel & VBAで学ぶ信用リスクの基礎」 きんざい.

• 刈屋武昭・勝浦正樹(1992). 「株価・為替レート時系列変動の長期依存性の検証」 一 橋大学一橋学会, 一橋論叢 第108巻第6号, 939-946.

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