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戦後における建築家住宅作品が果たした役割 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)戦後における建築家住宅作品が果たした役割. 楪 亜希子 1.はじめに. 表1.  本研究は、第2次世界大戦後、建築家が手掛けた住宅. 外観構成 A B C D E F G H I J K. 作品について取り上げる。建築家の住宅作品について は、数多くの先行研究があるが、建築家の住宅作品その ものがひとつの群として、取り上げている研究はいま だかつてなかった。よって本研究では、第2次世界大戦 後において、建築家の住宅作品が一体をなして見られ. 瓦屋根. 木板. 垂れ壁あり. 緩勾配屋根、金属板葺き 異素材の組み合わせ 厚めの樋隠板、金属板葺き. 木板、漆喰. 陸屋根. 打放コンクリート. 垂れ壁なし、屋根勾配に合わせたサッシュの形状. 高床. 柱型あり 高床. 垂れ壁なし. 鉄骨 軒出なし. 漆喰、打放コンクリート. 柱型なし. 柱割に従わない窓幅や高さ. 平面構成 a b c d e f g h i. る傾向や変化を明らかにすることを目的とする。 具体的には、戦後において、外観、平面、断面の三つ の構成について分析した結果、次に示す傾向が顕著に 見られた 1955年から 1977年にかけてを対象とする。そ. 雁行 矩形でない. 室と室を介す空間. 矩形平面. コア. 四方全面開口 ある一定方向への開口 四方全面開口. 可動式間仕切り. ある一定方向への開口 矩形でない. 柱割に従う. 室と室を介す空間. 内側への開口. 柱割に従わない 柱割に従う. 断面構成. して、当時約 37,000 部の発行部数を誇っていた『建築. Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ. 文化』誌に掲載された住宅を取り上げ、そ 1 の住宅の 図面・写真を用いて、ある特徴ごとに分類しその変遷を. 同じ階高の空間の中での間仕切り. ある躯体内での空間形成. 異なる階高の空間の組み合わせ. 躯体同士の組み合わせ. たどる。ただし、多大な影響力のある雑誌とはいえ、単 図1 1955. 一の雑誌に掲載された住宅だけを取り上げた場合、そ の選定が明らかでないという点が問題である。本稿は. 1960. 1965. 1970. 1975. 外観構成. 出発点であり、他の諸雑誌を順次分析して、その当時の 建築ジャーナリズムがどのような作品に注目し、世論. A. 形成に寄与してきたのかということについては稿を改. H. B. めて論じたい。 . C. D I. 2.分析. J. G. E.  『建築文化』誌に掲載された住宅を、外観構成、平面. 柱型あり. K. 柱型なし. 構成、断面構成のそれぞれによって分類し、各分類の特. F. 徴を表1に、これらの分類を模式化し、時間軸に沿って. 平面構成. b. →. c. →. →. のように対応しているのかを図2に、結果、グルーピン. h. →. 並べたものを図1に示す。そして、この三つの構成がど. i. → →. →. a. グ出来たNo.1からNo.16までの具体的住宅作品のリス トを表2に示す。ただし必ずしも、これらの分類のカテ. d. 廊下、中庭. ゴリーに当てはまらないごく少数派の住宅作品もある。 →. 品がこの傾向に沿っているということが明らかになっ. e. →. →. しかし、 『建築文化』誌上においては、大多数の住宅作. →. →. コア. →. f. g. 断面構成. ている。. Ⅰ. Ⅲ. Ⅴ. Ⅳ. Ⅵ. Ⅱ. 20-1. 開口方向.

(2) 図2 1955. 1960. 1965. 1970. 1975 グループNo.. 外観構成. 0. A. B. C. D. H. I. 1. J. 2 3. E. 4. K. G. 5 6. F. 7. 平面構成. 8. b a. 9. h c. 10 11 12. d i e. f. 13 14. g. 15. 断面構成. 16. Ⅰ. Ⅲ. Ⅱ Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. 表2 (外部構成)−(平面構成)−(断面構成) グループNO.0 (A) - (a) - (Ⅰ) 設計者 1956 中村登一建築研究所 加倉井昭夫 岡田哲郎建築設計事務所 1957 吉田五十八 堀口捨己 1958 大成建設株式会社設計部 1959 清水一 1961 吉田五十八 三座建築事務所 永松亘・吉村秀年 1977 小川行夫建築設計事務所 竹中工務店. 安藤邸 角川邸 鎌倉のI氏邸 山形邸 大森の小住宅 松野邸 吉川邸 ある女優のすまい 須磨の家 吉村邸 木組の住い 下鴨の家. グループNO.1 (B) - (e) - (Ⅱ) 1956 榛沢敏郎 I.N.A.新建築研究所 株式会社安藤組 海田昌則 I.N.A.新建築研究所 佐藤保隆 国際設計事務所 1957 北村一 広瀬鎌二建築技術研究所 広瀬鎌二建築技術研究所 1958 現代建築研究所 台原信 福島勉 長倉康彦 1959 永松亘 三橋真三 山田初江・栗原君子・石渡敦子 1961 池田武邦 岩淵活輝 R.I.A.建築綜合研究所 山田初江 山田初江 広瀬鎌二建築技術研究所 1962 石原哲也 余川和夫 1963 岡田建設株式会社 1964 前川國男建築設計事務所 清家清 増沢洵 RIA建築綜合研究所 広瀬鎌二 清家清 アントニン・レーモンド 増沢洵 東大池辺陽研究室 清家清 RIA建築綜合研究所 連合設計社市谷建築研究所. 九品仏の家 U氏邸 E氏邸 青葉さんのすまい 吉祥寺鉄骨住宅 Iさんのすまい マンフリー氏邸 大森のO氏邸 SH−15 SH−13 A.佐々木邸 M氏邸 自邸 Oさんの家 荻原邸 源氏山の家 佐村氏邸 わが家 全氏邸 加村邸 吹抜のある家その1 吹抜のある家その2 住宅量産化へのステップその2 N氏邸 Y氏邸 高梨邸 プレモス7型 森博士の家 増沢洵自邸 ローコスト・ハウス SH−1 宮城教授の家 カニンガム邸 コアのあるH氏邸 No.20 清家清自邸 小町邸 T氏邸. 作品名. 20-2. グループNO.2 (B) - (c) - (Ⅰ) 1956 鹿島建設株式会社 吉阪研究室 株式会社竹中工務店 1958 I.N.A.新建築研究所 1959 連合設計社市谷建築事務所 1961 斉藤英彦 R.I.A.建築綜合研究所 1962 内田祥哉 1963 太田利彦 鈴木伸一 1964 杉坂建築事務所 1966 増沢建築設計事務所 生田勉研究室 1967 連合設計社市谷建築研究所 宮脇檀建築研究室. S氏邸 吉崎邸 M.H.邸 鉄骨フレーム構造の住宅 K邸 S氏邸 北村邸 1.2mモデュールによる住宅 A氏邸 Ka氏邸 Ha氏邸 藤沢の丘に建つ家 成城の家 Os氏邸 T氏邸. グループNO.3 (B) - (b) - (Ⅲ) 1961 斉藤寅郎建築研究室 生田勉・宮島春樹 1962 鈴木彰建築事務所 1963 連合設計社市谷建築研究所 東アメリカ屋 佐々木宏 岡本建築設計事務所 1964 吉村順三 共同建築設計事務所 1965 U研究室. 扇ヶ谷の家 足利の家 A氏邸 Ii氏邸 市川邸 Mi氏邸 K氏邸 吉村順三自邸 Ar氏邸 Ta氏邸. グループNO.4 (C) - (e) - (Ⅱ) 1963 中島建築事務所 1964 丹下健三 1966 竹中工務店 1965 永松建築設計事務所 1967 二宮順. On氏邸 丹下健三自邸 K氏邸 Fu氏邸 Ju氏邸. グループ NO.5 (E) - (f) - (Ⅱ) 1956 山田水城 I.N.A.新建築研究所 1961 清瀬永 柳建築設計事務所 小能村宏樹 1963 九大光吉研究室 1964 吉阪隆正 菊竹清訓建築設計事務所 永松建築設計事務所 1965 渡辺明次. A氏邸 小松邸 烏山の家 植村邸 K氏邸 M氏邸 吉阪隆正自邸 スカイ・ハウス Si氏邸 Wa邸. グループ NO.6 (F) - (d) - (Ⅲ) 1956 山田水城 1957 長岡康彦・加藤勉・菅野義隆 1958 現代建築研究所 柴岡亥佐雄・中島昇・福島昇 坂倉準三建築研究所 1962 永松建築設計事務所 連合設計社市谷建築事務所 佐藤茂次建築事務所 長沼純一郎 斉藤孝彦 1964 現代建築研究所 1965 創作社同人 1966 比田井建築設計事務所 佐々木宏・西崎国光 1967 連建築設計事務所 岡本剛建築事務所 1969 鈴木久弥建築設計事務所 1973 津路次朗. N氏邸 K氏邸 B.高橋邸 周氏邸 松本幸四郎邸 ダブル・コアの住まい K氏邸 T氏邸 M氏邸 Tg氏邸 Si氏邸 Fm氏邸 Ak氏邸 M氏邸 N氏邸 U氏邸 Na邸 海の見える家. グループ NO.7 (F) - (c) - (Ⅲ) 1959 橘建築事務所 1961 I.N.A.新建築研究所 伊藤喜三郎建築研究所 1962 広瀬鎌二建築技術研究所 連合設計社市谷建築事務所 1966 広瀬鎌二 広瀬鎌二. 松濤の家 N邸 クロスするマスの家 SH−48 S氏邸 池和田邸 江田邸. グループ NO.8 (E) - (d) - (Ⅰ) 1965 中島建築事務所 1967 渡辺明次. Hm氏邸 Ku氏邸. グループ NO.9 (G) - (g) - (Ⅱ) 1962 広瀬鎌二建築技術研究所 斉藤孝彦 長沼純一郎 山田水城 長沼純一郎建築事務所 1963 林雅子 1964 坂倉準三建築研究所 GAD設計事務所 1965 杉坂建築事務所 LEO一級建築士事務所 伴好弘 1966 NOIE建築設計事務所 中島建築事務所 1974 浅野昭寿. SH−47 H型配置の壁構造による住宅 Hr氏邸 M氏邸 Y氏邸 Hi氏邸 正面のない家 Mi氏邸 Ka氏邸 Ki氏邸 Fu氏邸 A氏邸 Y氏邸 小さな試み.

(3) グループ NO,10 (G) - (i) - (Ⅰ) 1956 網戸建築設計事務所 1961 連合設計社市谷建築事務所 連合設計社市谷建築事務所 森京介建築設計事務所 広瀬鎌二建築技術研究所 1962 坂倉準三建築研究所 滝沢健児 林謙次建築設計事務所 川島甲士建築研究室 馬場建築事務所 1963 有田和夫建築研究所 岡山工務店 1964 広瀬鎌二 1965 LEO一級建築士事務所 長倉康彦・比嘉規雄 柴岡亥佐雄 1966 吉村設計事務所 U研究室滝沢事務所  1967 建築ユニット設計事務所 上野・古谷建築設計事務所 連合設計社市谷建築研究所 高田秀三建築設計研究室 梓建築事務所 1968 東孝光建築研究所 1969 保坂陽一郎建築研究室 1976 上遠野建築事務所. 建築事務所 Y氏邸 T氏邸 O氏邸 Y氏邸 Ta氏邸 Na氏邸 T氏邸 K氏邸 Yg邸 大滝邸. グループ NO.11 (G) - (d) - (Ⅳ) 1959 伊藤高光 1961 R.I.A.建築綜合研究所 西川驍 1963 林雅子 西川建築設計研究室 1965 東大池辺陽研究室 1967 山田水城建築設計事務所 1968 建築ユニット設計事務所 1971 山下和正建築研究室 山下和正建築研究室 1974 保坂陽一建築研究所. M氏邸 野口邸 バタフライタイプの家その1 Ma氏邸 Ko氏邸 No.78 F氏邸 Is氏邸 Se邸 To邸 遠藤邸. グループ NO.12 (D) - (e) - (Ⅳ)   1958 土屋勉 1961 合田信雄 芦原義信建築設計事務所 連合設計社市谷建築事務所 1962 森田重人 稲田建築設計事務所 高田秀三 1963 竹中工務店設計部 1964 山田初江 1965 中島建築事務所 1967 篠原一男 1976 林寛治 1977 林雅子. 笹本さんの家 小金沢邸 スキップフロアーの家 H邸 スキップフロアの小住宅 N氏邸 Hy氏邸 寒冷地住宅の課題 井げたの家 Hm氏邸 地の家 私の家 上萩の家. グループ NO.13 (I) - (i) - (Ⅴ)   1957 西川驍 1961 生田勉 生田勉 竹中工務店 1964 東大池辺陽研究室 伴好弘 1966 建築計画研究所 1967 連建築設計事務所 1968 坂倉準三建築研究所 倉田都市・建築研究室 1970 鈴木建築設計事務所 東孝光建築研究所 1971 川上喜三郎 田辺博司 1972 大谷研究室 光藤俊夫 小川建築設計事務所 小川建築設計事務所 稲富建築設計事務所 出江寛 池辺研究室 1973 高須賀晋 1974 ARCOM R&D 木村誠之助綜合計画研究所 木村誠之助綜合計画研究所 木村誠之助綜合計画研究所 木村誠之助綜合計画研究所 1975 小玉祐一郎 1976 高田英夫 山田初江 木村誠之助綜合計画研究所 氏家隆正設計事務所 高橋公子+建築ユニット設計事務所 1977 木村誠之助綜合計画研究所 小野建築・環境計画事務所 曾原建築設計事務所 波多野純 中里小林建築事務所 星野和弘. 四日市の阿部氏邸 田園調布の家 駒場の家 栗谷川氏の家 立体最小限住居No.3 Iw氏邸 T-S House Ka氏邸 Sa氏邸 F氏邸 Ab邸 Oy邸 Fu邸 Ta邸 O氏邸 Mi氏邸 Og邸 Ao邸 Ha邸 出江邸 No.92 清原邸 通りの家 Ta house So house ロッキーハウスⅠ ロッキーハウスⅡ 茅ヶ崎の家 芦屋の家 東中野の家 トライピークス 木村邸 村田邸 パインハウスⅡ 秩父の家 南小岩 斉藤邸 渕脇邸 モニターのある家. K氏の住宅 高台に建つO氏邸 番町の家 T社長邸 SH−30 外部空間への積極性 O氏邸 H氏邸 H氏邸 M氏邸 Ka氏邸 対木邸 SH−30 Hs氏邸. グループ NO.14 (H) - (e) - (Ⅲ) 1965 東大池辺陽研究室 東大池辺陽研究室 1968 嶋富士夫 1969 鈴木久弥建築設計事務所 建築ユニット設計事務所 1970 六角正広 1973 池辺研究室 1974 東京工業大学茶谷研究室. No.72 No.66 Sm邸 Ho邸 Ki邸 Is氏邸 No.90 高円寺の家. グループ NO.15 (J) - (h) - (Ⅴ) 1968 鈴木恂建築設計事務所 1970 鈴木恂建築設計事務所 1972 篠原一男 篠原一男 渡辺豊和建築工房 1974 鈴木恂建築設計事務所 鈴木恂建築設計事務所 高雄二 1975 安藤忠雄 安藤忠雄建築研究所 1976 黒川誠之建築設計事務所 1977 安藤忠雄建築研究所. Is氏邸 Ta邸 キュービックフォレスト The Repeating Crevasse Su邸 SIH MAH 建築家の自邸 双生観 Twin Wall 松島邸 住吉の長屋. グループ NO.16 (K) - (i) - (Ⅵ) 1965 東大池辺陽研究室 1968 穂積信夫 1969 建築ユニット設計事務所 岡田新一 海老原一郎 1970 数造形計画研究所 RU同人 1971 後藤久 浦林亮次(石本建築事務所) 吉田清昭 環境設計研究所 田中一昭 1972 内井昭蔵 1973 池辺研究室 池辺研究室 建築計画研究所 1974 曽根幸一+環境設計研究所 1975 福地建築設計事務所 1976 アトリエ515A 磯崎アトリエ 関沢勝一・関沢弘子 安藤忠雄建築研究所 1977 福地建築設計事務所 東京工業大学茶谷研究室 匠設計室 吉田保夫建築研究所 UDS設計工房+都市環境・計画研究所. No.76 H氏邸 Ya邸 Ok邸 E−H邸 Ya氏邸 Ts邸 To邸 Is邸 常盤氏邸 K邸 Ya邸 Ya邸 No.88 No.91 高樹町ハウス 甲府の家 Ku邸 楓のある白い家 Y氏邸 大宮の家 平林邸 福地邸 駒込の家 駒杵邸 八代邸 富樫邸. 3.考察 3−1 外部構成による分類 (A)は、戦前から継承されてきた木造瓦葺き屋根の伝 統的な在来住宅である。次に(B)から(G)までは、素 材の選択、屋根の意匠など、従来日本の住宅には見られ なかった様々な試みがなされ、外観から見ても多種多 様であることが分かる。しかし、柱と壁の取り合わせ、 高床式や軒の深さなどから、戦前からの伝統的な在来 住宅の特徴からは完全に脱却できず、ある日本的要素 を残し、折衷していると考えられる。 (H)以降になると、 それまでに見られたような軒の出がなくなる。そして、 (I)、 (J)、 (K)に見られる柱型を出さず、連なった外壁 を一周させた外観に収束していくことがわかる。つま り、1970 年以降になると、それ以前の部材それぞれを 組み合わせるという手法よりも、ひとつの躯体として、 あるいはある躯体同士を媒介物なしに直接組み合わせ ることによって、住居空間を創作していく手法に変化 していくと考えられる。. 20-3.

(4) 3−2 平面構成による分類 . ヴェル上に並べるという手法を用いている。.  (a)、 (b)は、居室どうしが廊下や中庭といった居室.  しかし、それ以降になると、外観は柱型を表現せず、. 以外の空間によって連結されている。居室が、畳割りに. 連なった外壁を一周させ、平面は開口部が廊下や中庭. よって形状や広さが固定されており、廊下や中庭に沿. の方向に向いている型に、また断面は、居室空間をひ. う形で配置されているため、平面全体が雁行した形状. とつの空間単位として捉え、それを異なったレヴェル. をなしている。. に複雑に組み合わせ、形態操作を行うといった手法に.  廊下や中庭を介した空間は、それ以降も継承されて. 収束していくということが明らかになった。. いくが、 (c)、 (d)、 (h)、 (i)に見られるように、居室.  本研究では、1970 年を境として生じる変化が明らか. 全てが矩形平面の中に納まっていく傾向に向かう。さ. になったが、今後の課題として、ハウスメーカーなど. らに 1970 年以降、 (h)、 (i)は、外部にではなく、廊下. 他の供給住宅とを比較し、建築家がどのように差別化. や中庭といった建物の内側に向かう開口部を持つ傾向. を図ってきたのか検証が必要であり、その結果、日本. に変化する。. の住宅建築における位置づけが明らかになるであろう。. 一方、 (e)、 (f)、 (g)は、 (a)、 (b)、 (c)、 (d)、 (h)、 (i)とは、全く異なった手法を用いている。これらは矩 形平面の中心に、水廻りなどのコアとなるものを配置 し、その他を可動式間仕切りにすることで、その状況に 応じた空間形成を計っている。この型は、1970 年以降. 主な参考文献. になると、姿を消しさほど定着しなかったことがわか ・ 『建築文化』彰国社(1956/1,2,4,6,7,8,9,11,12)、 (1957/. る。.  1,3,8,10,11)、 (1958/1,7,10)、 (1959/2,6,10,11)、   (1961/2,3,4,6,10,11,12)、(1962/1,3,7,9,10,. 3−3 断面構成による分類. 12)、 (1963/3,5,7,8,9,11)、 (1964/2,3,8)、 (1965/2,6,. (Ⅰ)から(Ⅳ)までの 1955 年頃までは、ある同じレ. 7, 10,11,12)、 (1966/1,3,4,9,10,12)、 (1967/7,8,9,. ヴェル上の空間を縦に間仕切る手法を用いている。. 10)、 (1968/5,7,9,12)、 (1969/5,6,8)、 (1970/7,9,11)、. (Ⅰ)、 (Ⅱ)は示しており、 (Ⅱ)は、間仕切りなし、あ. (1971/ 2,5,6,12)、 (1972/1,3,6,11,12)、 (1973/2,5,. るいはパーティション等の間仕切りで、ひとつのワン. 6)、 (1974/ 1,4,12)、 (1975/5,9)、 (1976/1,4,6,8,11)、 (1977/1,  2,8). ルーム箱型の空間である。. ・「日本の建築家」 (新建築臨時増刊号、1981). 後の(Ⅲ)、 (Ⅳ)は2階建てで、 (Ⅰ)、 (Ⅱ)と同様. ・「昭和住宅史」 (新建築臨時増刊号、1976). 平屋建てと同じ空間を、そのまま積層した型である。 (Ⅳ)は、一部を吹き抜けとしているが、階高が一定で. ・内田青蔵・大川三雄・藤谷陽悦編著『図説・近代日本住宅史  幕末から現代まで』 (鹿島出版会、2000) ・西山夘三 『すまいの考今学 現代日本住宅史』(彰国社、. その中を間仕切るという基本的な手法は変化していな. 1989.12). い。. ・西山卯三 『住み方の記』 (筑摩書房、1978.6). 1970 年以降になると、 (Ⅴ)は、ある固定された枠組. ・内田青蔵 『日本の近代住宅』 (鹿島出版会、1992.12). みの中で、階高の異なった空間をはめ込んでいき、 (Ⅵ) は、その枠組みを取り払った空間の組み合わせがなさ. ・布野修司編 『日本の住宅 戦後50年 21世紀へ変わるものと 変わらないものを検証する』 (彰国社、1995). れている。いずれも、ある空間単位を階高に従わず組み. ・大川三雄・川向正人・初田亨・吉田鋼市共著 『図説近代建築 の系譜 日本と西欧の空間表現を読む』 (彰国社、1997). 合わせていくといった、それ以前になされていた手法. ・近江栄監修、筋野三郎・畑中和穂共著『おさまり詳細図集①木. とは、明らかに異なることが分かる。. 造編』 (理工学社、 1972.08) ・伊藤喜三郎監修、筋野三郎・畑中和穂共著 『おさまり詳細図. 4.結論. 集②コンクリート造・鉄骨造の仕上編』 (理工学社、1973.11).  以上の分析により、 『建築文化』誌においては、1970. ・早川文夫 「大衆に好まれる住宅平面について」 . 年を境とした変化が見られるということが分かった。.  (新建築、1956.09、p59-61).  1970 年以前は、外観、平面構成に関しては、様々な. ・清家清 「住宅平面の面積企画」 (新建築、1960.10、p 77-96) ・総理府統計局編 『日本の住宅 住宅統計調査の概説』 (総理府. 試みがなされ、多様なヴァリエイションを生み出して. 統計局、1976). いる。また、断面構成に関しては、居室空間を同じレ 20-4.

(5)

参照

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建設関係 (32)

私たち区民サービス機能研究部会(以下、「部会」という。)は、新庁舎建設

<RE100 ※1 に参加する建設・不動産業 ※2 の事業者>.

建築物の解体工事 床面積の合計 80m 2 以上 建築物の新築・増築工事 床面積の合計 500m 2 以上 建築物の修繕・模様替(リフォーム等) 請負金額

第9条 区長は、建築計画書及び建築変更計画書(以下「建築計画書等」という。 )を閲覧に供するものと する。. 2

建築第一グループ 建築第二グループ 建築第三グループ ※3 建築第四グループ 建築第五グループ 建築第六グループ ※3

種類 成分 性質 特徴・注意.

建築第一グループ 建築第二グループ 建築第三グループ ※3 建築第四グループ 建築第五グループ 建築第六グループ ※3