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Moodle 2を活用したブレンディッドラーニングの実践

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Academic year: 2021

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Moodle 2 を活用したブレンディッドラーニングの実践

総合情報基盤センター 技術補佐員 牧野久美

1 はじめに

2007 年度より,学生の表計算ソフト活用能力の 向上を目的として年 2 回,「Excel 講習会」を実 施してきた。講習会は 1.5 時間を 3 回,3 週間で 完結する日程で,端末室の PC を利用し解説と演習 を組み込んだ形式で行っている。

アンケート結果からは,学習効果を確認できる データを確認し,毎回多くの学生から「これから の学習の良いきっかけとなった。」「スキルアッ プできた。」という感想を得られている。しかし 少数ではあるが,「進度の早さに戸惑った」「学 習を継続するために次のステップの講習会を開催 してほしい」など,習熟度の差や学習の継続のた めの要望に関するコメントも見られ,改善策を考 慮し,教材に工夫しながら実践してきた。

富山大学では,Web 上の学習管理システムの一 つとして Moodle

1)

が運用されている。システムに は学習を支援するための様々な機能が備わってお り,2012 年 1 月にはバージョン 2.0 の運用が開始 され,機能もさらに使いやすくなっている。今年 度後期の講習会では,習熟度の差への対応と,よ り効率的に講習を進めることを目的として,従来 の対面形式に加え,学習管理システム Moodle 2 を組み込んだ「ブレンディッドラーニング」を試 みた。ここでは,Moodle 2 で作成したコース「Excel 講習会」(図 1)の活用実践を紹介する。

2 Moodle 2 を利用するメリット 2.1 教材の掲載

ファイルの掲載,他の Web 教材へのリンク など,動画や音声も含め,多種多様な教材の提 供が容易である。教材の配置移動,コンテンツ の修正も簡単な操作で,柔軟に行うことができ る。

2.2 課題

課題を提示しておくことで,受講者のペース で提出することができる。課題管理画面で,提 出状況の確認が常時可能な上,課題の提出状況 によって,内容の調整や改良を実施することが できる。

2.3 テスト・アンケート

オンラインでテスト,アンケートを実施する ことができ,管理を効率的に行うことができる。

2.4 学外からの利用

自宅から ID とパスワードによる認証でアク セスすることができるため,学外での自習時間 を確保することが可能である。

2.5 コースの管理・再利用

既存のコースのバックアップを新しいコー スにリストアして,再利用することができる。

これらの特徴に着目し,コースを構築した。

3 コースの概要

講習は毎回 90 分で構成し, 例題解説→例題演習

→練習問題→練習問題提出(約 60 分)と進め, 残 りの時間(約 30 分)で自習・質疑応答という形式 をとっている。トピック毎に例題を操作しながら 解説を行った後すぐに, 同じ例題を各自で演習し,

同じファイル上の別シートに用意された模範解答 で自己採点をした後,課題として提出してもらう。

演習と自習の時間には常に質問に対応し,学習速 度の速い受講者には,次のステップの練習問題に 取り組むよう促し,学習の格差に対応した。教材 は,市販のテキストをメインとし,要点をまとめ たオリジナルのサブテキストを紙媒体で配布。学 習の範囲は,情報処理技能検定

2)

表計算の 3 級

~2 級とし,加えて「差し込み印刷」や「Word と

の連携」などの実践的な活用方法を補足。

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2 4 コース上での実践

4.1 講習の進行表や注意事項をコース上に掲 載し,口頭での説明時間を短縮。

4.2 講習のコンテンツをトピックごとに PDF ファイル化して見やすくし掲載し(図 2),

プロジェクターでの解説に利用し,受講 者もすぐにコンテンツを PC 上で閲覧で きるようにする。

4.3 演習や,練習問題に利用する Excel フ ァイル(図 2)はコース上にフォルダ

をアップロードし,受講者各自がダウ ンロードする形式で配布。

4.4 ファイルのドラッグ&ドロップ操作が 使えるようになり,使い易くなった課 題提出機能を利用し,練習問題の提出 のためのボタン(図 3)を各トピック 上に配置。

( 図 2) 掲載したファイル

( 図 3) 課題提出ボタン ( 図 2) ポップアップ画面で表示した

PDF ファイル

実習ファイル

(図 1 ) Moodle 2 「 Excel 講習会」の TOP ページ

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3 4.5 課題提出機能を利用して個人のペース

に合わせて講習会以外でもオンライン での提出可能にし,自主的な学習の継 続を促す。

4.6 課題の提出状況を確認して個人差や全 体のレベルを把握し,進度や内容の調 整を図る。(図 5)

4.7 アンケート(図 6 )機能を利用してコ ースの最後にアンケートを Web 上で 回答できるようにし,データ分析を効 率化。(図 7 )

4.8 Web 上の教材にリンクを貼り(図 8 ),

オリジナルの動画学習教材教材(図 9 ・ 10 )を利用できるようにして,習 熟度の差に対応。

( 図 5) 課題管理画面

(図 6 )アンケート画面

( 図 7) アンケート分析画面

(図 9 )動画教材の TOP 画面

(図 8 ) URL の表示

( 図 4) 課題提出画面

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4 5 講習会を終えて

5.1 アンケートの結果から

過去 2 年間の講習と, Moodle を活用した今年 度後期の講習において,講習内容の難易度に関す る回答を比較すると, Moodle を活用した今年度 の回答に「難しかった」「易しかった」と回答す る受講者の割合が低くなり,習熟度の差に対応で きたことが確認できた。また,講習内容が充実し ていたこと,今後の資格取得,発展的な学習に意 欲を示すコメントも感想として多く書かれており,

学習の動機付けや継続的な学習への発展に有効性 があったことが伺われる。

5.2 今後の課題

今回の講習では,課題管理機能の活用により,

学習者の反応や達成度を確認し,内容の改善や個 人差への対応に反映できたことが受講者への満足 度に影響したと思う。次回は,アンケートの質問 内容を学習管理システムや講習形態に関しても付 け加え,効果を数値化して分析していきたいと思 う。

また, Moodle の小テスト機能を利用すれば,学

習効果の確認ができ,達成感や満足度にも繋がる と期待できる。富山大学では,独自に「 Moodle の小テスト一括作成」のためのアプリケーション

3

が開発されており,このツールを利用して小テ ストを効率よく作成することができる。 Windows OS であれば,画像や音声を組み込んだテストも 簡単な操作で作成可能である。さらにコースの再 構築を行い,小テストを取り入れ学習効果を高め

る工夫を重ねていかなければならない。

6 おわりに

講習前は, Moodle の基本操作に関して,受講 者の負担にならないかという懸念もあったが,戸 惑いはほとんどなく,スムーズに進行することが できた。学生の日々の生活の中にパソコン,スマ ートフォンやタブレット端末などが浸透して,早 い段階で慣れ親しみ,柔軟に変化に対応している ことが感じられる。変化の速い学生の興味や限り ない潜在能力を引出すための有効的な学習方法を さらに検討していかなければならない。

急激な社会の変化の中で産業界や地域社会では,

今後の変化に対応できる有為な人材を切望し,大 学で育成される学生に大きな期待を抱き,学士課 程教育には「答えのない問題」について最善策を 導くために必要な能力を身につけ,どんな状況に も対応できる人材の育成が望まれている。これら のことを認識しながら,今後も学生が主体的に学 べる学習環境を整え,支援していきたい。

参考資料

1) Moodle Docs http://docs.moodle.org/2x/ja/

2) 日本情報処理検定協会 http://www.goukaku.ne.jp/

3) Moodle のテストとアンケートの質問の一括作成 http://www.itc.u-toyama.ac.jp/Moodle 2/

参考文献

・鈴木克明著「教材設計マニュアル」 北大路書房 (2004)

・William H.Rice IV著福原明浩/喜多敏博訳 「Moodleによる eラーニングシステムの構築と運用」技術評論社 (2009)

・文部科学省「予測困難な時代において生涯学び続け,主体的に 考える力を育成する大学へ」(審議まとめ)平成24年3月26日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__ics Files/afieldfile/2012/04/02/1319185_1.pdf

( 図 10) 教材の動画画面

参照

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