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養護 施 設 で生 活 す る

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(1)

事 例 研 究

養護 施 設 で生 活 す る

肢 体 不 自由児

一 治 療 ・訓 練 との 関 連 を 中心 に一

吉 野 由美子

は じめ に一 事 例 研 究 の 目的

肢 体不 自由児 施設 は,治 療 ・訓練 を主 な 目的 とす る医療 型(病 院形 態 を持 つ) の児 童福 祉 施 設 で あ る。

近 年,ノ ーマ ラ イゼ ー シ ョン思 想 の一 般 国 民へ の普 及 と とと もに,肢 体不 自 由児 を は じめ,障 害 を持 った子 ど も達 に対 す る治 療 ・訓 練 ・教 育 な どの対 策 は, 施 設 へ の収 容 に よって行 う もの か ら,在 宅 福祉 中心 に移 って 来 た。特 に,1979 年 の養 護学 校 義 務 制 の完 全 実 施 に よって,そ の傾 向 は よ りい っそ う顕 著 にな っ て来 た。

又,障 害 を引 き起 こす 原 因が,従 来 の 整形 外 科 的 原 因 か ら脳神 経 系 の疾 患 に よる原 因 に変化 して来 た こ と と合 わせ,肢 体 不 自由児施 設 の入所 児 童 の 障害 は 重 度 ・重 複 化 す る よ うに な り,肢 体 不 自由児 施 設 の果 たす役 割 が,重 症心 身障 害 児施 設 に近 い もの(生 命 の維持 と保 護)と な って来 た。

この よ うな 中で,肢 体 不 自由 を持 って い るが比 較 的 障 害 が軽 度 の要 養 護性 を 持 つ肢 体 不 自由児(家 庭環 境 が 悪 く家 庭 で生 活す る事 が 出来 な い子 ど も達)を, 肢 体 不 自由児 施 設 で はな く,生 活 の仕 方 が 肢 体不 自由児 施設 よ りノ ーマ ルで, 普 通 学校 に通 う事 が可 能 な養護 施 設 で生 活 させ た い と言 う希望 を持 つ 関係 者 が 現 れ,そ の主 旨 を理 解 して,要 養 護 性 を持 つ 肢 体 不 自由児 を受 け入 れ処遇 を行 っ

て い る養護 施 設 も出て きてい る。

そ こで,本 研 究 は,積 極 的 に要 養 護性 を持 つ肢 体 不 自由児 を受 け入 れ て い る

(2)

施 設 が,肢 体 不 自由 を持 った障害 児 特 有 の問 題 に 日々 どの よ うに対 処 して来 た か を事例 を通 して研 究 す る事 に よ って,養 護 施設 で生 活 して い る肢体 不 自由児 の持 つ 特 別 の ニ ー ドが,養 護施 設 の処 遇 の 中で 満 た され て い る の か ど うか,ど の よ うな工 夫 の下 にそ の特 別 の ニ ー ドが満 た され て い るか を明 らか にす る事 を

目的 と した。

尚,要 養護 性 を持 って い る肢 体 不 自由児 が,障 害 を持 た ない養 護 児童 と とも に養 護 施 設 で 生 活 す る時 に考 慮 され な けれ ば な らな い 問題 は い ろ い ろ とあ る が,こ こで は,措 置 変 更 を決 定 す る児 童相 談 所 で も措 置 変 更 の是 非 をめ ぐって 常 に争 点 とな り,又,肢 体 不 自由 と言 う障 害 を持 つ児 童 の基 本 的 な ニー ドで も あ る 「肢 体 不 自由児 に必要 な治 療 と訓 練 を受 け させ る こ と」 に対 して養 護 施設 が どの よ うに対 応 して来 た か に重 点 を置 いて検 討 を行 った。

(3)

第 一 章

養 護 施 設 で 生活 して い る 肢体 不 自由児 の実 態 把握

第一節 厚生 省の養護 児童実態調査 か ら

下 の 表 と図 は,厚 生 省 児 童 家庭局 が5年 ご とに実 施 して い る 「養護 児 童等 の 実 態」 か ら抜粋 した もの で あ る。

これ に よる と,1987年10月1日 現 在 で,全 国 の養 護施 設 に は88名 の肢 体 不 自 由 を持 った児 童 が 生 活 して い る。 この調 査 は,施 設長 が 規 定 の調 査 票 に決 め ら れ た事 項 を書 き込 む形 で行 われ て い るが,そ の調査 票 の項 目を見 て も,肢 体 不 自由 を持 つ児 童 が い るか否 か を回答 す るだ けで,障 害 の原 因 や障 害 の程 度 につ いて は把 握 す る こ とが 出来 ない形 式 とな って い る。

その他,養 護 施設 の障害 児 の実態 につ いて の調査 と して は 厚 生省 の 「心 身 障害 児(者)の 施設 福 祉 の あ り方 に関す る総合 的研 究」の 中で,1988年 に独 自に養 護施 設 にア ンケ ー ト調 査 を行 って い る ものがあ るが,こ の時 の調 査対 象児童 は精神 薄 弱 児が 中心 で あ って,肢 体不 自由を持つ児 童 につ い て は,把握 されて い ない。

児童 の 心 身 の状 況

(里親委 託 児 ・養護 施 設 児 ・乳 児 院児 ・母子 療 児) 昭和62年 度 調査 時 期 昭和62年10月1日

表6心 身の状況別 児童数

障害等有 り

障 害 等 有 り 内 訳(重 複 回答)

身体虚弱 肢体不自由 視聴 覚障害 言語障害 精神薄弱 その他の

心身障害 里親委託児 3,284

(100.0%)

176 (5.4)

56 (1.7)

13 (0.4)

18 (0.5)

21 (o.$)

53 (1.6)

47 (1.4) 養護施設児 29,553

(100.0%)

2,454 (8.3)

552

×1.9}

88 (0.3)

316 (1.1)

327 (1.1)

651 {2.2)

761 (2.6) 乳 児 院 児 2,805

(100.0%)

413 (i4.7>

260 (9.3)

44 (1.6)

25 (0.9)

14 (0.5)

23 (o.$)

113 (4.0) 母 子 療 児 8,642

(100.0%)

703 ts.i)

324 (3.7)

39 (0.5)

36 (0.4)

76 (0.9)

119 ti.4>

383 (2.1)

(4)

昭和57年 度 調 査 時 期 昭和58年3月1日

表6心 身 の状 況別 児童数

り(重 複 回 答)

身体虚弱 肢体不 自由 視聴覚障害 言語障害 精神薄弱 そ の他の 心 身障害

里親委託児 3,407 (100.0%)

3,21fi (94.4)

64 (1.9)

14 (0.4)

20 (0.6)

15 {0.4)

52 (1.5)

39 {1.1) 養護施設児 32,040

(100.0%)

29,250 (91.3)

910 (2.s)

130 (0.4)

2iO (0.7)

490 (1.5)

540 (1.7)

700 (2,2) 乳 児 院 児 3.16$

(100.0%)

2,556 (80.7)

378 (11.9}

60 (1.9)

28 (0.9)

44

×1.4)

58 (1.s>

178 (5.6) 母 子 療 児 9,069

tioo.oi)

8,337 (91.9)

333 {3.7)

21 (o.z)

48 (0.5)

93 (i.o)

78 (0.9)

198 (Z.z>

昭 和52年 度 調 査 時 期 昭 和52年10.月1日

表6心 身 の 状 況 別 児 童 数

102(2.7%)一 一「 「25(0.7%)

里 親 委 託 児 3,720人

養 護 施 設 児 31,540人

乳 児 院 児 3,266人

母 子 寮 児 9,624人

3,532 (94.9%)

14(0.4%)‑L47(1,3%) 1,190(3.8%)一 一1「‑340(1.1%)

29,350 (93.1%)

2,752

(84.3/) §

326140(0,4%)一 」L520(1.6%)

(10.0%)40(1.2%)「 「‑46(1.4%)

102(3.1%)一 一1 573(6.0%)「 「90(0.9%)

8,796 (91.4%)

9(0.1%)一 」156〈1.6%)

健全 身体虚 弱 肢 体不 自由 精神 障 害

その他 身 体障 害

(注):乳 児 院 に つ い て は 「精 神 障 害 」 と は 「精 神 発 達 障 害 」 を い う も の とす る 。

表 と図は 「養護児童等の実態一養護児童等実態調査結果結告書(昭 和62年度)一 監修 厚生省児童家庭局からのばっすいです。

(5)

第 二 節 調 査 した 事 例 の 概 要

1事 例 調 査 につ い て

第 一 節 で述 べ た よ うに,養 護 施 設 で生 活 して い る肢 体 不 自由児 は,現 在 きわ め て少 数 で あ り,障 害 の原 因,程 度,生 活 の状 態 な どを知 る手 が か り も殆 ど得 られ なか った。

そ こで,実 態 把握 の手 が か りを得 るた め,東 京 近郊 の 養護 施 設 で現 に生 活 し てい る肢 体 不 自由児 の事例 調 査 を行 った。

調 査 期 間 は,1993年6月 か ら8,月 の2カ 月 間 で,調 査 対 象 は,幾 つ か の肢 体 不 自由児 施 設 と児 童 相 談所 で該 当 しそ うなケ ース の情報 を収 集 し,4事 例 につ

いて の情 報 が 入手 で きたの で,そ の ケ ー ス につ い て調査 した もので あ る。

調 査 方 法 は,現 に生 活 して い る養護 施 設 の 園長 と児童 の担 当職 員 に対 す る イ ンタ ビ ュー を中心 に して,養 護 施設 に送 りだ した肢体 不 自由児 施設 の関係 職 員 の イ ン タ ビュ ー,措 置 を担 当 した児 童相 談 所 の児 童福 祉 司 へ の聞 き取 り調 査, 許可 が得 られ た範 囲 にお い て,ケ ー ス記 録 の読 み と り も行 った。

24事 例 の 概 要

こ こで は,調 査 した4つ の 事 例 につ い て,そ の 概 要 を列 記 す る 。

123

例A

ケ ー ス 名A男13歳 中2

主 訴Aが1歳4か 月 の 時 母 家 出 父 養 育 困 難 障 害 に つ い て

妊 娠9か 月27109で 生 ま れ た 。 チ ア ノ ー ゼ が あ り4日 間 保 育 器 に 入

脳性 マ ヒ(両 下肢 麻 痺 型)身 体 障 害者 手 帳2種3級 日常 生 活 の能 力

日常 生 活動 作 は 自立

(6)

●5養 護 施 設 入所 まで の経 路

乳 児 院→肢 体不 自由児 施 設→ 養 護 施設 1歳4カ 月 の時 乳 児 院入 所

3歳8カ 月 の時 肢 体 不 自由児 施設 に措 置 変 更 8歳6カ 月の 時現 在 の養護 施 設 に措 置 変 更

●6現 在 生 活 してい る養 護 施設 の状 況

民営 施 設 児童 定 員70名 職 員35名 大 舎 制 養 育 家庭 セ ン ター グル ー プホ ー ムあ り

●7受 け入 れ に際 して の養 護 施 設 の対 応 園長

れ姿 勢 あ り。職 員 と話 し合 い をす る。

在園5年

ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ンの 具 現 化 と言 う意 味 で 積 極 的 な受 け入

Aに 対 して は,受 け入 れ前 に施設 見 学 を して もらっ た り,職 員が肢 体不 自由児 施 設 にAの 様子 を見 に行 き相 互 理解 をは か る。

●8学 校 との 関係

Aの 学 力不 振 の 問題 が あ るが,そ の他 特 に問題 はな い。

●9治 療 ・訓練 に 関す る事

Aの 養 護施 設 入 所 時 尖 足 につ いて は,補 装靴 の使 用3カ 月 に1 回程 度J出 身肢 体 不 自由児 施設 に通 院提 起 チ ェ ック を行 う。

A10歳 の 頃 よ り,成 長 に伴 い尖 足 が 進行

A11才 の 時 に,尖 足 の手 術 が必 要 との 医 師 の判 断 が 出 て,経 過観 察 継 続

A13歳(中1の 春 休 み)に 肢体 不 自由児 施 設 に入 院手 術 。

現 在,尖 足 は殆 ど分 か らな い状 態 で,補 装靴 の必 要 もないが,Aは 成 長期 で もあ り,今 後 と も継 続 して,定 期 的 な経 過 観 察 の ため,肢 体 不 自由児 施 設 へ の3カ 月 に一度 程 度 の通 院が必 要 。

(7)

123

例B

ケ ー ス名B男7歳 小2

主 訴 父母 離 婚 父 親権 父就 労 の た め養 育 困難 障 害 につ い て

出生 時 の状 況 につ いて は,不 明 脳性 マ ヒ 身 体 障害 者手 帳2種3級

歩 行 は両 ク ラ ッチ に よる歩 行,長 い距 離 を歩 くと疲 労 が酷 い為 通 学 等 は車 椅 子 使 用,学 校 内 で の歩 行 は杖 歩 行

●4日 常 生 活 能 力

日常 生 活動 作 は 自立 トイ レは洋 式 使 用

●5養 護 施 設 入所 まで の経 路 肢 体 不 自由児 施 設→ 養護 施 設

3歳 の 時肢 体 不 自由児 施設 入所

5歳 の 時現 在 の養護i施設 に措 置 変 更 在 園2年

●6現 在 生 活 して い る養 護i施設 の状 況

民 営 施 設 児 童 定 員70名 職 員35名 大 舎性 養 育 家庭 セ ンター グル ー プホ ー ムあ り

●7受 け入 れ に際 しての 養護 施 設 の対 応

園長 は,養 護i施設 の 役割 と認 識 して積極 的 な受 け入 れ姿 勢 を とって い る。

受 け入 れ前 に,肢 体 不 自由児 施 設 の 医 師や訓 練 師 と話 し合 い を持 ち, Bと の面 接 の機 会 も設 け て,Bの 障 害 につ い て の理 解 を深 め る場 を 持 った。

●8学 校 との 関係

Bの 障 害 が重 度 で あ るた め と,こ の地 区 の障 害児 教 育 の方針 とが あ り,最 初Bの 普 通 小 学校 入 学 に教 育 委 員 会等 が 難 色 を示 し,難 航 した。

養 護 施 設,児 童 相 談 所 が 教 育 委 員 会 ・地 元 学 校 と何 回 も話 し合 い を

(8)

持 っ た結 果,入 学 が了 承 され た。現 在 は,通 学 時,行 事 参 加等 に施設 職 員 が付 き添 い を行 い,円 滑 に学校 生 活 を送 って い る。

●9治 療 ・訓練 に関す る事

現 在,週 に2回 肢 体 不 自由児 施 設 に通 い,経 過 観 察 と訓 練 を行 って い る。

又,養 護施 設 入 所 時,肢 体不 自由児 施設 の訓 練 師 が養 護施 設 に出向 いて,日 常 的 に出来 る訓 練 を養 護i施設 のB担 当職 員 に指 導 した り,日 常 訓練 の ため の簡 単 な器 具 を工夫 す る等 して い る。肢 体 不 自由児施 設

と,養 護i施設 との協 力 関係 が 緊密 で あ る。

その他

Bに 対 す る,養 護施 設 の処 遇 方 針 は,父 がBの 子 育 て に参 加 し,そ れ を楽 しめ る よ うに援 助 す る事 で,父 の事 情 が好 転 した時 にBを 引 き 取 れ る よ う,関 係作 りをす る こ とで あ る。

Bは,小 学 校 低 学年 の子 ど も達 と一緒 に暮 ら して い るが,子 ど も達 同士 の 関係 は 自然 で,他 児 のBに 対 す る労 りも見 られ る し,子 供 同士 の普 通 の喧 嘩 も見 られ る。

12

例C

ケ ー ス名C女10歳 小5

主訴 母軽 度 の精神 薄弱,婦 人保 護i施設 に入所 中Cを 出産 C4か 月 の時母Cを 施 設 に置 き去 りに して行 方 不 明

障害 につ いて

妊娠29週 で 母早 期破 水,体 重16309で 生 れ る 脳 性 マ ヒ 身体 障 害者 手 帳1種2級

軽 度 の尖 足 が あ り,歩 行 不安 定 日常 生 活 能 力

(9)

●5

日常 生 活動 作 自立 トイ レ洋 式使 用 養 護施 設 入 所 まで の経 路

乳児 院→ 肢 体 不 自由児施 設 → 養 護施 設 生 後4カ 月 の時乳児 院 入所

4歳 の時 に養 護施 設へ の入 所 を前 提 と して肢 体 不 自由児 施 設 で手 術 と訓練 を半 年 受 け る。

4歳6カ 月 の 時現在 の養 護i施設 に措 置 変 更 在 園6年

●6現 在 生 活 して い る養護 施 設 の状 況

民 営 施 設 児童 定 員45名 事 務 職 員 を含 め22名 小 舎 制 養育 家 庭 セ ン ター グル ー プ ホ ーム あ り

●7受 け入 れ に際 して の養 護 施 設 の対 応

この施 設 は,過 去何 件 か養 護性 を持 つ肢 体 不 自由児 を受 け入 れ た経 験 を持 って お り,「 養 護 と言 うニ ー ドが あ る子 ど もを受 け入 れ るの が 養護 施 設 の役 割 」 と言 う園長 の信 念 もあ り,積 極 的 な受 け入 れ姿 勢 が あ った。

●8学 校 との 関係

学 力 は普 通,体 育 や 行事 等 も単独 で参 加 で き,特 に問題 は ない 。

●9治 療 ・訓 練 に関す る事

入 所 当 時 は 月1回 肢 体 不 自 由児 施 設 に 通 って,経 過 観 察 が 必 要 で あ った が,現 在 は1年 に1回 の ペ ー スで 良 い と医師 よ り言 われ て い る。

入 所 時 手 術 の 後 の訓 練 用 の 補 装 靴 を着 用 して お り,「 これ を はず せ る よ うに な るに は3年 程 度 か か る」 と医 師か ら言 われ て い たが,半 年 で はず す こ とが 出来,医 師 を驚 かせ た。 「障害 を持 た な い子 ど も達 と 同 じよ うに遊 ぶ 事 が 良 い刺 激 に な った」 と医 師 は見 て い る。

最 近 まで,経 過 観 察 の みで特 別 な訓 練 の必要 もな く,大 変順 調 で あ っ た。 今 年 に入 って か ら,Cは 足 首 の痛 み等 を訴 え る こ とが増 え て来 た の で,担 当職 員 は,治 療 面 で将 来 的 に どの よ うな事 に配慮 しな けれ ば

(10)

な ら な い か につ い て,不 安 に 思 い 初 め て い る状 態 で,肢 体 不 自 由児 施 設 の 専 門 家 の 意 見 を 聞 くべ きで あ ろ う と考 え 初 め て い る 。

そ の他

園 のCへ の 処 遇 の 中 心 は,家 族 と の 関 係 が 希 薄 で,家 庭 生 活 の 経 験 の な いCに 対 して,そ れ に変 わ る精 神 的 安 定 を与 え る事 で,精 神 里 親 を ア レ ン ジ した り,Cの 生 活 の 場 を グ ル ー プ ホ ー ムへ 移 した の も,家 庭 生 活 に 近 い形 で の経 験 を させ る事 が 目的 との 事 。

Cと 他 児 ・職 員 との 関 係 も 自然 で,担 当 職 員 は,「 時 々Cの 障 害 を 忘 れ て,無 理 を させ て い る の で は な い か と思 う」 との 事 。

例D

●1ケ ー ス名D女16歳 肢 体不 自由児 養護 学校 高 等部1年

●2主 母 は,未 婚 でDを 出産 したが稼 働 の ため養 育 困難

●3障 害 の状 況

17009の 未 熟児 で生 れ,保 育器 に50日 入 い る。

脳 性 マ ヒ と内斜 視 に よる視 力 障害 あ り,身 体 障害 者 手 帳2種3級

現 在 室 内 で はつ か ま り歩 きか杖 歩 行 外 出時 は電 動 車椅 子 か シニ ア カ ー使 用

●4日 常 生 活能 力

日常 生 活動 作 は 自立 トイ レ洋 式使 用 。

●5養 護 施 設 入所 まで の経 路

乳 児 院→肢 体不 自由児 施 設 →養 護 施設 生 後 す ぐに乳児 院 に入 所

1歳 の時肢 体不 自由児 施 設 に措 置 変 更

6歳 の時現 在 の 養護i施設 に措 置変 更 在 園10年

●6現 在 生 活 して い る養 護 施 設 の状 況

(11)

●7

●8

民営 施 設 児童 定 員50名 事務 職 員 を含 め21名 大舎 制 受 け入 れ に際 して の養 護施 設 の対 応

受 け入 れ当 時 の園 長 も職 員 の方 もい な いの で不 明 学 校 との関係

小 学 校 は,養 護 施設 か ら5分 もか か らな い所 にあ り,問 題 な く入学, 行 事 や 体 育 の 時必要 に応 じて施 設 か ら付 き添 い を出 して いた。

中学 入学 の時,地 元 中 よ り受 け入 れ が難 しい と言 われ たが,何 回か の話 し合 い で許 可 とな る。行 事 参加 や体 育 の時 の付 き添 い,障 害 の状 態 の悪 い と きには通 学 を車 で行 うな どが あ った 。

高校 入学 に際 し,施 設 よ り通学 可 能 な所 は偏 差 値 が高 く入 学 が 出来 ず,入 学 可 能 な所 に は通 学 が 出来 な い状 態 で,養 護 学校 高 等部 に入 学

し,通 学 して い る

●9治 療 ・訓 練 に関 す る事

内斜 視 の治 療 と視 能 訓練 につ いて は,6歳 の時 に 内斜 視 が発 見 され, 11歳 まで は年 に4回 経 過観 察 に眼科 医 に通 院,11歳 の時 に視 力 保全 の ため の手 術 をその 眼科 医 で受 け,12歳 まで継 続 して視 能 訓 練 を行 っ て,術 後 の経 過 が順 調 で あ るので,治 療 を終 「した。

脳性 マ ヒに関 して は,10歳 後 半 まで は,年 に1か ら3回 程 度肢 体 不 自由児 施 設 に通 院 して経 過 観 察 と訓 練 を行 って い た。11歳 頃 よ り,成 長 に伴 って歩 き方 の不 自然 さが 見 え,Dも 痛 み を訴 え る よ うに な った ため,通 院 回数 は,徐 々 に増 え,週2回 にな った。13歳 の時,入 院, 筋 肉延 長 の ため の手術 を受 け る。

現 在 は,週2回 通 院 し訓 練 を継 続 して い る。

(12)

第 三 節4事 例 の 調 査 を通 して 明 らか に な った 事

◇1調 査 方 法 の所 で も述べ た よ うに,養 護施 設 で 生 活 して い る肢 体不 自由児 とい う条 件 に合 致す る児 童 で情 報 の得 られ た事例 につ い て は,す べ て を調 査 の対 象 と したの で,4事 例 の障 害 原 因が すべ て脳性 マ ヒで あ るの は,全

くの偶 然 で あ る。

4事 例 か ら も分 か る よ うに,現 在 の養 護施 設 の受 け入 れ 条件 を考 慮 す る と,自 立 歩 行 が可 能 で,日 常 生 活動 作 が 自立 して い る,中 ・軽 度 の障 害児 で あ る こ とが,養 護 施 設 で の生 活 を可 能 に して い る条 件 と言 え よ う。

◇2脳 性 マ ヒの症状 は,個 人差 が 大 変 に大 き く,状 態 の観 察 と訓練 が常 に要 求 され る。 その ため,こ の治療 ・訓練 の要 求 を満 たす ため に は,専 門機 関 との緊密 な連 携 が必 要 で あ る。4事 例 は,い ず れ も肢 体 不 自由児施 設 か ら の措 置 変 更 の事 例 で あ る と言 う こ と もあ って,こ の 緊密 な協 力 関係 が 保 た れ て い る。 そ の こ とが,4事 例 の養 護施 設 で の順調 な処 遇 の鍵 に な って い

る。

◇3肢 体 不 自由 を持 った児 童 を受 け入 れ る事 は,養 護 施設 に とって,未 知 の 経験 で あ る と と もに,障 害 に対 す る個 別 のニ ー ドに答 え るた めに は,施 設 内すべ て の人 々の協 力 を必 要 とす る。 そ の ため,ど の よ う な考 え方 で障 害 児 を受 け入 れ るか は,そ の 後 の よ り良 い処遇 の た め に,大 切 な要 素 で あ る。

今 回 の調査 で は,4事 例 の内3つ の事 例 が,受 け入 れ側 の施 設 が,障 害 児 を受 け入 れ る事 に対 して積 極 的 な理 念 を持 って い る こ とが伺 え,又,蛍 入 れ前 に,児 童 本 人 や そ の障害 につ い て,理 解す る機 会 を作 って い る。‑

4事 例 の内,長 年 勤務 して いた職 員 が 退職 な さった等 で ケ ー スDに つ い て は,詳 し く知 る こ とが 出 来 なか った一

◇4事 例BとCの 調 査 の 際 に 明確 に現 れて い るが,養 護 施 設 で の児童 に対 す る処 遇 目標 と して,園 長 や担 当職 員 の方 が上 げ て 下 さ った の は 「家庭 か ら 引 き離 され た子 ど もの心 理 的危機 へ の対 応 」,「家族 関係 の修 復」等,養 護 児 童 と して の ニ ー ドを充 足 させ る事 で あ った。(例 えば,事 例Bの 父 の 子 育 てへ の参 加 を援 助 す る事 や,事 例Cを 家庭 的 雰 囲気 の あ る グル ープ ホ ー

(13)

ムで処 遇 した り,精 神 里 親 を紹介 した りす る等)

肢 体 不 自由児 施 設 で の処 遇 の 中で は,児 童 は治療 と訓 練 を受 け る障 害 を 持 った児童 と して考 え られ,家 族 は それ に協 力 す る立 場 で あ る と言 う形 に な りが ちで あ り,と もす る と,要 養 護性 を持 つ 肢体 不 自由児 の この よ うな 養護 児 童 と して のニ ー ドは,無 視 されが ち にな る。

肢 体 不 自由児 は,治 療 と訓練 の 設備 が整 い専 門 家 の い る,肢 体 不 自由 児 施設 で生 活 す る事 が ベ ス トで あ る」 と言 う考 え方 が,現 在 一般 的 で あ る が,養 護 性 を持 つ 肢 体不 自由児 が どこで 生 活す べ きか は,そ のニ ー ドと言

う面 か ら,考 え直 され な けれ ば な らな い ので はな いか 。

◇5事 例 調 査 を して い る最 中 に,養 護施 設 で飼 って い る小 さな動物 達 に餌 を 運 んで い る楽 しそ うなAと 話 をす る こ とが 出来 た。 又,グ ル ー プホ ー ムの 家が 見つ か らず に困 って いた私 を担 当職 員 の方 と手 をつ ないで 迎 え に来 て

くれ,応 接 間 に座 って い る私 に,い そ い そ とお茶 を運 んで きて くれ たCの い きい き と明 るい表 情 と,不 安 定 だが活 発 な歩 き方 を見 て,と て も印 象深 か った。

4事 例 と も,地 域 の普 通 学校 に通 うこ とが 出来,地 域 の子 ど もクラ ブ に 入 った り,自 転 車 を乗 り回 した り,マ ラ ソ ンに挑 戦 した り,子 ど も時 代 を 楽 しんで い る事 を,調 査 を通 して実 感 した。

処 遇 を通 して の,こ れ ら子 ど も達 の生 活 の幅 の広 が りは,病 院形 態 を基 礎 と し,重 度 の 障害 児 の生命 の維 持 が大 きな役 割 に な りつつ あ る,現 在 の 肢 体不 自由児 施設 には,望 め な い部分 で あ る と思 わ れ る。

(14)

第二 章 養 護 施 設 で生活 してい る 肢体 不 自由児 の事 例 的検 討

一 医療 機 関 ・肢体 不 自 由児 施 設 な ど 治 療 ・訓 練 との 関 連 を中心 に一

この章 で は,養 護i施設 で肢 体 不 自由児 が 生 活 を続 け る時 に,処 遇 を担 当す る 養 護 施 設 にお い て も大 きな課 題 とな り,措 置 変 更 を行 う児 童 相 談 所 で も論争 点 とな る,養 護 施 設 にお い て,肢 体 不 自由児 の治療 と訓 練 を受 け る とい うニ ー ド が どの よ うな形 で 保 障 されて行 くか を,事 例Dを 詳細 に記 述 す る事 に よって, 検討 して行 きた い。

事 例Dを 取 り上 げた理 由 は,Dの 養 護施 設 で の生 活年 数 が10年 を越 え,脳 性 マ ヒの状 態 の変化 が 顕著 に な る思 春 期 の 難 しい時 期 を養 護 施設 で過 ご して い る 事,治 療 と訓 練 につ いて の経 過 を,園 の担 当者 との面接 や,記 録 の読 み と りに

よって,詳 細 に調査 す る事 が 可 能 で あ ったか らで あ る。

第 一 節

1プ ロ フ ィ ー ル

9Q

4

ケ ー ス名D女16歳 肢 体 不 自由児 養 護学 校 高 等 部1年 主 訴 母,未 婚 でDを 出産 したが 稼働 の た め養育 困難

障害 の状 況 脳性 マ ヒ と内斜 視 に よる視 力 障害 あ り 身体 障害 者手 帳2種3級 所 持

日常 生 活 能力

現 在 室 内 で は,つ か ま り歩 きか 杖 歩 行 外 出時 は電 動車 椅 子 か シ ニ ア カ ー使 用

ADL自 トイ レ洋 式使 用 。 5養 護 施 設 入所 まで の経 路

乳 児 院→ 肢体 不 自由児 施 設→ 養 護 施 設 生 後 す ぐに乳 児 院 に入 所

1歳 の時 肢体 不 自由児 施 設 に措 置 変 更

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6歳 の時現 在 の養 護施 設 に措 置 変 更 在 園10年 2養 護 施設 入所 ま での経 過

Dは17009の 未 熟児 で生 れ,保 育器 に50日 入 い って い た。生後10カ 月 にな っ て もお座 りを しない の で,乳 児 院 の職 員が 異 常 に気 づ き,肢 体 不 自由児 施 設 にて診 察,脳 性 マ ヒ と診 察 され,1歳 の時 にそ の肢 体 不 自由児 施 設 に入 所, 訓練 を受 け,補 装靴 を付 けて両 ク ラ ッチ を使 い 歩行 可 能 とな った。

母 は,Dが 小 学校 入 学 まで に は生 活 の め どを立 て て引 き取 りた い と言 って い たが,そ の め どが た た なか った。Dは 知 的障 害 もな く,普 通 児 の 中で生 活 して,普 通 小 学校 に通 うこ とが 適 当 と判 断 した肢 体 不 自由児 施 設 が児 童 相 談 所 と協 議,地 理 的 に も近 く,治 療 の継 続 が 可 能 で,施 設 の近 くに小学 校 が あ

る養 護施 設 と交渉 し,そ の 養護 施設 がDの 受 け入 れ を了解 した。

Dの 養 護 施 設 で の生 活 の可 能性 を強 く主 張 した のがDを 送 り出 した肢 体 不 自由児 施 設 で あ った事 もあ って,Dの 養 護 施設 入 所 当初 は,肢 体不 自由児 施 設 の訓 練 師 が,土 曜 日等 の勤 務 時 間外 にDの 施 設生 活 の様 子 を見 に行 き,施 設 でDを 出張 訓練 した り,養 護 施設 職 員 の相 談 に乗 った り,養 護施 設 で の 自 主 的訓 練 の工 夫 を した り して い た。

(16)

3処 遇経過

治 療 と訓 練 につ い て の経 過

その他の出来事 と養護施設での 対 応経過

・5歳 の 時 の1年 ・5歳 の 時 の1年

人 所 直 後 は,肢 体 不 自 由 児 施 設 の 入 所 後 、1年 間 幼 稚 園 通 園 訓 練 師 が 勤 務 外 の 時 間 を 利 用 して,

Dの 施 設 で の 生 活 場 面 を 見 に 来 て, 出 張 訓 練 し た り,養 護 施 設 で 使 え る 簡 単 な 器 具 を工 夫 した り して,Dの 養 護 施 設 で の 訓 練 に協 力 して い た 。

・6歳 か ら8歳 の 時 の2年 ・6歳 か ら8歳 の 時 の2年

小 学 校 入 学 後 の 身 体 検 査 で 視 力 が 小 学 校 入 学 後,最 初 の 内 は,他 0.05と 診 断 され,施 設 近 くの 眼 科 を 子 ど も達 に 命 令 し た り して,ク ラ ス 受 診,そ の 後 視 力 矯 正 の た め,1年 で 孤 立 す る 事 が 多 か っ た が,2年 問 通 院 し た が,視 力 の 回 復 が お も わ に 入 っ て か ら は,ク ラ ス メ イ トに と

し くな か っ た た め,K病 院 に 受 診,け こ め る よ う に な っ た 。 精 密 検 査 の 結 果,内 斜 視 と診 断 さ れ,

ア イ パ ッチ に よ る 視 能 訓 練 を指 示 さ れ,こ れ を 続 け な が ら 年4回K病 に 診 察 を受 け に 通 っ た 。

脳 性 マ ヒ に つ い て は,肢 体 不 自 由 児 施 設 の 担 当 者 と連 絡 を と りな が ら 月 1回 定 期 的 に 通 院 し,診 察 を 受 け る と と も に,施 設 内 で 歩 行 を 中 心 に し た 自主 訓 練 を毎 日行 う に して い た 。

・9歳 の 時 の1年 ・9歳 の 時 の1年

内 斜 視 に つ い て は,眼 科 医 の 指 示 .外 で ク ラ ス メ イ トと 活 発 に遊 べ る に 従 っ て,ア イ パ ッチ に よ る 訓 練 を よ う に な って 来 た 。

(17)

継 続 し な が ら,夏 休 み,冬 休 み,春 休 み の 期 間 中 に 各1回K病 院 に 視 力 検 査 を受 け に 行 っ た 。

脳 性 マ ヒ に つ い て は,施 設 で の 自 主 訓 練 は続 け て い た が,肢 体 不 自 由 児 施 設 に は1回 診 察 を 受 け に 行 っ た

だ け で あ っ た 。

・10歳 の 時 の1年

内 斜 視 に 対 して は,前 年 と 同 じ よ う に,ア イ パ ッチ に よ る訓 練 を続 け, 視 力 検 査 に 定 期 的 にK病 院 に 通 院 し た 。

脳 性 マ ヒ に 対 して は,D10歳7カ 月 の 時 か ら担 当 の 職 員 が 付 き添 い, 肢 体 不 自 由 児 施 設 に 受 診 す る 事 を再 会 した 。

こ の 時,筋 肉 の 検 査 を受 け た と こ ろ,筋 緊 張 が 増 して い る こ とが 判 明

した 。 そ こ で,危 険 を 避 け る た め に 施 設 で の 自 主 訓 練 は 介 助 者 を 付 け て 行 う こ とに な っ た 。

・10歳 の時 の1年

母 との 関係 の 修 復 が 大 きな処 遇 目 標 とな り,肢 体 不 自由児 施 設 で,訓 練 を受 け る こ とにつ い て,そ の こ と

を通 じて 母がDの 子 育 て に参 加 して も ら うこ とが,強 く期待 され た。 そ の た め,Dの 外 泊 時 に 診 察 日 を設 設 す る な ど して,母 に働 きか け たが, 結 局 これ は 実現 しな か っ た。 結 果 的 に この 年 は約1年 一 度 も肢 体 不 自由 児 施設 で診 察 を受 け ない事 に な った。

後 に な って,Dの 身体 状 態 が悪 くな っ て 来 た時,「 この1年 間 に きち ん と訓 練 に 通 わ な か っ た 事 が そ の 原 因 に な って い るの で は な い か」 と担 当職 員 は酷 く不安 に な り後 悔 した と話 し て お られ た。

学 園 内で の キ ャ ンプ や地 域 で 行 わ れ たマ ラ ソ ン大 会 にDを 積 極 的 に参 加 させ た。 一 人 職 員 がつ い て,別 行 動 に な ったが,自 分 な りにや り抜 く

(18)

・11歳 の 時 の1年

内 斜 視 に つ い て,11歳6カ 月 の 時 K病 院 の 医 師 よ り,現 在 の 視 力 維 持 の た め に 手 術 を提 案 さ れ,母 を 交 え て 検 討 し た 結 果,小5の 夏 休 み に 入 院 手 術 をす る 事 に 決 定 した 。 夏 休 み の 手 術 は 成 功 し て,経 過 は 良 好 。 ア イ パ ッチ で の 訓 練 の 継 続 を 医 師 か ら 指 示 され る 。

脳 性 マ ヒ に 関 して は,施 設 担 当 者 が 付 添 っ て2カ 月 に1度 肢 体 不 自 由 児 施 設 へ 訓 練 に 通 って い た が,訓 師 よ り レ ン トゲ ン 検 査 の 必 要 が 指 摘 さ れ,検 査 の 結 果,運 動 制 限 が 指 示 さ れ る 。 指 示 に従 っ て様 子 を見 る が, 11歳4カ 月 の 時 の 診 察 で 「膝 の 状 態 を 良 く保 つ た め に 筋 肉 の 延 長 な ど の 手 術 が 近 い 内 に必 要 に な る」 と告 げ

ら れ る 。

・12歳 の 時 の1年

内 斜 視 に つ い て は,12歳3カ 月 の 時 の 診 察 で,ア イ パ ッチ に よ る 訓 練 は 終 了 と さ れ,眼 鏡 を 作 る こ と と な る 。

脳 性 マ ヒ に 関 し て は,訓 練 師 よ り

「手 術 を行 う まで の 間,週1回 の 定

事 が 出 来 て,Dは 随 分 自信 が つ い た よ う だ 。

。11歳 の 時 の1年

運 動 制 限 に 関 して,学 校 行 事 の 参 加 に つ い て,必 要 に 応 じて,学 校 側 か ら付 き添 い を お 願 い した り,施 設 の 職 員 が 付 き添 った り した 。

小 学 校 卒 業 後,母 が 引 き取 りの 予 定 で あ る が,引 き取 りが 難 し い 場 合 に 備 え て,地 元 の 中 学 にDの 入 学 を 打 診 し た 。 否 定 的 な 回 答 が 帰 っ て 来

た 。

・12歳 の 時 の1年

母 は,Dの 足 の 情 態 が お も わ し く な い こ と に 対 す る,不 安 もあ っ て, 中 学 卒 業 まで,Dを 施 設 で 預 か っ て 欲 しい と 意 志 表 示 し,児 童 相 談 所, 施 設 も了 解 す る 。

(19)

期 的 な訓 練 を行 な う必 要 が あ る」 と 言 わ れ,施 設 と して は,週1回 職 員

をDに 付 き添 わせ る事 は,職 員 の 勤 務 体 制上 無 理 だ っ た ため,m人 訓 練 に通 う こ とを提 案 し,肢 体 不 自 由施 設 側 の 了 解 を得 る。 施 設 設 内 で は介 助 付 きの 自主 訓 練 も継 続 して 行 わ れ る がDの 歩 き方 は どん どん不 自 然 にな って 来 る。

そ の こ とが 原 因 して かDは し き り と膝 の痛 み を訴 え る よ うに な った。

12歳4カ 月 の 時 の肢 体 不 自 由児 施 設 にお け る整 形 外 科 診察 で,「 筋 肉の 状 態 か ら手 術 は こ こ1年 以 内 に実 施

す る必 要 が あ る」 と言 わ れ る。

Dl2歳9カ 月 時 の肢 体 不 自 由児 施 設 で の ケー ス カ ンフ ァ レンスの結 果, Dの 手 術 は 中学1年 生 の 夏 休 み を利 用 して行 わ れ る事 に な った。

中 間 テ ス ト終 了 後6週 間肢 体 不 自 由 児 施 設 に 入 院,手 術 と術 後 訓 練 を 受 け る。

・13歳 の 時 の1年

術 後 の経 過 は良 好 で,膝 の 痛 み な ど も訴 え な くな っ たが,長 い 距 離 の 移 動 は,車 椅 子 を使 用 しな けれ ば な

らな くなる。

肢体 不 自由児 施 設へ の通 院訓 練 は,

入 学 時期 まで に 中学 校 と話 し合 い, 受 け入 れ を了解 して頂 く。

又,通 学 距 離 が 延 び る事 と,運 動 量 を制 限す る必 要 が あ る た め,中 入 学 後 は通 学 に車 椅 子 を使 用 す る必 要 が あ る と,訓 練 師 か ら提 案 が あ る。

養 護 施 設 で は,す ぐに車 椅 子 を購 入 出 来 な い の で,当 面 肢 体 不 自由 児 施 設 か ら借 用 す る事 に な った 。

・ユ3歳の時 の1年

術 後 必 要 な新 しい補 装 靴 は,母 が 自 費 で 購 入 して,そ れ を使 っ て,施 設 内 で 自主 訓 練 を行 な い,登 下 校 は 筋 力 の 回 復 訓 練 をか ね て ク ラ ッチ 歩 行,他 の外 出 に は車 椅 子 を使 う と言

(20)

週1回 継続 して行 われ た。

・14歳 の 時 の1年

再 び右 膝 の痛 み を訴 え る よ う に な る。肢 体不 自由施 設 で の検 査 の結 果,

「筋 肉 の成 長 の ア ンバ ラ ンス に よっ て,膝 蓋 骨 が 引 き上 げ られ てず れ て い る」 との 事 。 運 動 の 制 限が 必 要 と 言 われ る。

・15歳 の 時 の1年

肢 体 不 自 由 児 施 設 に は,週1回 度 通 院,訓 練 を継 続 して い る 。

う生 活 と な る 。

。14歳 の 時 の1年

運 動 制 限 が 必 要 な た め,登 下 校 は 施 設 の 職 員 が 車 で 送 り迎 え を す る こ

と と な っ た 。

14歳3カ 月 の 時 に,担 当 の 児 童 福 祉 司,母,施 設 の 担 当 職 員 を交 え て, Dの 中 学 卒 業 後 の 進 路 に つ い て 話 し 合 うが,具 体 的 な め ど は,出 て こ な か っ た 。

・15歳 の 時 の1年

Dは,抽 象 的 な 思 考 の 必 要 な 数 学 な ど が 弱 く,養 護i施設 か ら通 え る 範 囲 の 普 通 高 校 で は 偏 差 値 が 高 く入 学

は 難 しい 。

母 も引 き 取 る め どが 立 た な い 情 態 が 続 く。

D,15歳3カ 月 の 時,再 び,母, 福 祉 司,施 設 担 当 職 員 で 話 し合 うが, 母 の 生 活 環 境 は 変 わ ら ず,引 き取 り

は 無 理,施 設 よ り,高 校 進 学 と な る 。 高 校 進 学 は,出 来 れ ば 普 通 校 を考 え た が,学 力 と通 学 範 囲 を考 え,肢 体 不 自 由 児 施 設 に 隣 接 す る養 護 学 校

の 高 等 部 に 入 学 す る事 と な る。

又,Dの 外 出 を 容 易 に す る た め, 福 祉 事 務 所 と 交 渉 し シ ニ ア カ ー を購 入 す る 。

(21)

・現 在 の 状 態

Dは,週2回,肢 体 不 自 由 児 施 設 で 治 療 ・訓 練 を受 け,足 の 状 態 は安 定 して い る。

・現 在 の 状 態

車 椅 子 を 自 分 で 操 作 して 外 出 す る こ と が 大 変 な た め,Dの 行 動 範 囲 が 制 約 さ れ が ち で あ っ た が,バ ッテ リ ー で 動 く シ ニ ア カ ー を導 入 して,Dの 活 動 範 囲 が 大 変 広 が る よ う に な っ た 。

(22)

第二 節

◇1脳 性 マ ヒの症状 は,個 人差 が 大変 に大 きい。 又,脳 性 マ ヒ児 が 成 長 して い く過 程 で は,筋 肉 と骨 の成 長 に ア ンバ ラ ンスが 起 こ る し,筋 肉 問の成 長 の ス ピー ドに違 いが 出来 た り し,特 に第 二 次 成長 を迎 えた 頃 にそ の ア ンバ ラ ンスが 激 し くな る。従 って,脳 性 マ ヒ児 の状 態 は不 安定 で,運 動 能 力 の 発達 も直 線 的 な もので は ない 。常 に状 態 を見 なが ら適 切 な治療 ・訓練 を行

わ な けれ ばな らな い と言 う難 しさが あ る。

事 例Dは,脳 性 マ ヒに付 随 す る内斜視 の治 療 と訓 練 とい う重 複 す る問題 を も抱 えてい た に も関 わ らず,そ の場 面場 面 に応 じて,養 護 施設 側 の努 力 と治 療 機 関(こ こで は眼科 医 ・肢 体 不 自由児施 設)と の協 力 関係 の 中で, Dの 治 療 と訓 練 とい うニ ー ドに養護 施 設 が 良 く対 応 して い る事 を示 して い る。

◇2先 に も述べ た が,養 護 施 設 が ケ ー スDの よ うな児 童 を受 け入 れて い く場 合,専 門的 な機 関(こ こで は肢 体 不 自由児 施 設)と の 緊密 な協 力 関係 が 絶 対不 可 欠で あ る。

専 門機 関の協 力 の範 囲 は,児 童 に対 す る直 接 的 な手術 や訓練 だ けで な く, 養 護 施設 の職 員 に障害 に対 す る知識 を与 えた り,処 遇 につ いて の相談 に応

じた りす る他,Dが 普 通学 校 に通学 して い る場 合 に は,行 事 へ の参加 の可 否 につ い て の意 見 を求 め られ る な ど,養 護 施設 で生 活 す る肢 体不 自由児 の 地 域 の人達 に対 す る啓 蒙 活動 を含 め て,専 門機 関(肢 体 不 自由児 施 設)の 果 たす 役割 は重 要 で あ る。

◇3事 例Dで は,養 護施 設 の職 員 が 努力 し,肢 体 不 自由児 施 設 と協 力 して, 治療 ・訓 練 を継 続 して も,結 果 的 にDの 障害 の程 度 は徐 々 に重 度化 して い った。

この こ と は,「Dが 専 門施 設 に い れ ば,こ の よ うな結 果 が 起 こ らなか っ た ので はな い か」 とい う不安 を担 当 の職 員 の 方 に起 こ した り,不 全 感 を与

えた りす る原 因 に な るが,脳 性 マ ヒは この よ うな変 化 を起 こす もの も多 い の で,専 門施 設 で なか ったか ら,障 害 の重 度化 を招 い た訳 で は ない。

(23)

◇4事 例Dか ら も,小 ・中 学 校 は 地 元 の 普 通 学 校 に通 う こ とが 出 来,沢 山 の 友 人 を持 ち,キ ャ ン プ や マ ラ ソ ン に挑 戦 す る な ど,養 護 施 設 で 生 活 す る事

に よ っ て,子 供 時 代 を楽 しん で い る様 子 を知 る事 が 出 来 た 。

む す び に代 えて

◇1養 護 性 を持 った肢 体不 自由児 は,養 護 児 童 の持 って い るニ ー ドと,肢 体 不 自由児 が持 って い るニ ー ドの二重 の ニ ー ドを持 った子 ど も達 で あ る。 肢 体 不 自由児 施設 で生 活 す る養 護性 を持 った肢体 不 自由児 は,肢 体不 自由児 施 設 の設 立 目的 との関係 か ら,治 療 ・訓 練 を受 け る とい う,一 つ の ニ ー ド

しか 充足 されず に成 長 しな けれ ば な らな い。

養 護施 設 は,養 護 児童 の持 って い る養 護 児 と して の ニ ー ドに答 え る よ う に作 られ てい る。要 養護i性を持 った肢 体不 自由児 が,こ こで 生活 しなが ら, 治療 と訓 練 とい うニ ー ドも満 た す こ とが 出来 れ ば,そ こに は大 きな可 能性 が 開 け る こ と を,今 回 の調 査 は示 して い る。

◇2先 に見 た よ うに,養 護 施 設 で生 活 す る肢 体 不 自由児 が 適切 な治療 ・訓 練 を受 け続 け るため に は,養 護 施設 と肢 体 不 自由児施 設 の 緊密 な協 力 が 不 可 欠 で あ る。 ところが,児 童 福 祉施 設 の二 重措 置 を禁止 した規 定 が,こ の柔 軟 で 緊密 な協 力 関係 を難 し くす る原 因 とな って い る。

事 例DやAで 見 る よ うに,手 術 の必 要 が起 こ って 肢体 不 自由児施 設 に入 院 す る時,養 護 施 設 に措 置 を継続 した ま ま肢体 不 自由児 施 設 に措 置 す る事 は出来 な い。肢 体 不 自由児 施 設 に措 置 変 更 す る と養護 施 設 は経 営上 困 る の で,方 法 と して は,医 療 機 関 と して の肢 体不 自由児 施 設 に入 院 させ る形 を とる。 ところが,入 院 とい う形 式 で は,肢 体 不 自由児 施 設 は児 童 の生 活 に ,関 わ る部 分 の措 置 費 を受 け取 る こ とが 出 来 な いの で あ る。 この場 合 は肢 体

不 自由児 施設 が,経 営 上 負担 を背 負 うこ とに な り 「養 護性 の あ る肢 体不 自 由児 が 養 護施 設 で生 活 す る とい う主 旨 に は賛 成 だ け れ ど」とい う事 にな る。

この よ うな経 済 面 か らの困 難 を解 決 す るた め に,障 害 児 通 園施 設 と保 育 園 の二 重措 置 を認 め た よ うな,措 置 制 度 の弾 力 的 な運 用 が必 要 で あ ろ う。

◇3治 療 ・訓練 を受 ける とい うニ ー ドを持 った肢体 不 自由児 を養 護 施 設 で受

(24)

け入 れ る時 に大 きな障害 とな るの は,職 員体 制 で あ る。 第 一章 で も述べ た よ うに,4つ の事例 と も治 療 の継 続 を考慮 して,肢 体 不 自由児 施設 と比 較 的 近 い養 護施 設 に児 童 を措 置 変更 して い るが,そ れで も治療 ・訓練 の た め の通 所 に は,半 日を要 す る こ とが 予 想 され,そ の 間,最 低 一 人の職 員が 児 童 に付 き添 わ な けれ ば な らない。事 例Dの よ うに,症 状 の変 化 に よって, 週2回 の 通 院が 必要 に な った場 合 な ど,そ の 負担 は大 変 に大 きい。その他, 学 校 行 事へ の付 き添 い,施 設 の行事 の 別 メニ ュウに対 す る付 き添 いな ど, 肢 体 不 自由児 の個 別 的 な処 遇 に は 人手 が必 要 で あ る。

現 在,養 護 施 設が 障 害 を持 つ 児 童 を受 け入 れて も,な ん ら特 別 の措 置 は な い。 そ の ため,担 当の 職 員 は勤 務 時 間外 や休 日を返 上 して付 き添 い に当 て る こ と もあ っ た。 この よ うな状 況 は継 続 す る こ とが 難 しい。 統合 保育 に お け る職 員 の加 算 の よ うな制度 が是 非必 要 で あ る。

又,在 宅 で障 害児 を養 育 して い る親 に対 して は,特 別 児童 扶 養手 当等 の 各種 手 当 が支 給 され て い るが,養 護 施設 にい る障害 児 の 親 に は,在 宅 を条 件 と した この よ うな手 当 は当然 支給 され て い ない。 これ らの手 当 に相 当す る もの を障害 児 を養 育 して い る養護 施設 に支 給 し,障 害児 の処 遇 に還元 す る事 も考慮 され るべ きで あ ろ う。

◇4事 例Dを は じめ4つ の事 例 と も,児 童 が養 護施 設 に入所 した最初 の時 期 か ら,肢 体 不 自由児 施設 の訓 練 師 を中心 とす る職 員 が養 護 施 設 を訪 問 し, 養 護施 設 で の訓練 に対 す る工 夫 や,担 当職 員 の相 談 に乗 った り してお り, そ の こ とが,4人 の児童 が養 護 施設 で順 調 に生 活で きた事 へ の 大 きな支 え

にな って い るが,こ れ も,肢 体 不 自由児 施 設 の 職員 が勤 務 時 間外 に手 弁 当 で してい る事 が 多 か った 。 現 在,多 くの肢 体不 自由児 施 設 や 重症心 身障 害 児 施 設 が,在 宅 の障害 児 に対 す る支援 活 動 に重 きをお い て,外 来 や通所 事 業,シ ョー トステ ー事 業 に力 を入 れ て い る。 この よ うな在 宅 支援 の活動 の一 環 と して,本 事例 で の実 践 の よ うな,家 庭 の生 活場 面 で の訓 練 とか, 普 通 学校 に通 う障害 児 の学 校 で の訓 練 等 の,障 害 児 の生 活 場 面 に出向 いて 行 う,訪 問訓練 ・訪 問相 談 な どの シス テ ム を取 り入 れ る こ とは考 え られ な いで あ ろ うか 。 この よ うな シ ステ ムが制 度化 されれ ば,在 宅 の 障害児 に対

(25)

す るサ ー ビス も向 上 す る と同時 に,こ の シス テ ム を養 護 施 設 に生 活す る肢 体 不 自由 児 も制度 的 に利 用 す る こ とが 出 来,養 護 施設 職 員 の 障害 児 に対 す

る専 門的 な知識 を得 る場 所 と して も,活 用 可 能 で あ ろ う。

◇5先 に述 べ た よ うな,制 度 上 の配 慮 が な され る な ら,よ り重 度 の要 養護 性 を持 った肢 体 不 自由児 も,治 療 ・訓練 を受 け なが ら,養 護i施設 で 養 護児 童 と して の ニ ー ドを充 足 しなが ら,広 が りの あ る生 活 を送 る こ とが 可 能 に な るで あ ろ う。

お わ りに

今 回 の 調 査 に つ い て,養 護 施 設 職 員 の 方 々 や,肢 体 不 自由 児 施 設 の ケ ー ス ワ ー カ ー の 方 た ち,児 童 相 談 所 の 関 係 者 の 方 々 に,多 くの 貴 重 な ご意 見 を頂 き,協 力 して 頂 い た 事 に,深 く感 謝 して お り ます 。

参照

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