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教職実践演習報告

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Academic year: 2021

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立教大学教職課程 2015 年 10 月

1. はじめに

立教大学においては 2013 年度から「教職実践 演習」が始まり3年目を迎える。文部科学省 によるこの科目の設置のねらいおよび趣旨

1

「教職課程の他の授業科目の履修や教職課程外 での様々な活動を通じて、学生が身に付けた資 質能力が、教員として最小限必要な資質能力と して有機的に統合され、形成されたかについて、

課程認定大学が自らの養成する教員像や到達目 標等に照らして最終的に確認するもの」と規定 され、それに基づき、2013 年度後期以降立教 大学においてもこの講座が開講された。新座 キャンパスにおいては、2013 年度から 2015 年 度の各年度2講座の開講であり、新座キャンパ スにある観光学部、コミュニティ福祉学部、現 代心理学部所属の学生が履修、筆者が担当した

「教育実践演習 N」については、2013 年度は 29 名、2014 年度は 23 名の履修であった。また、

この講座は個別の授業だけではなく、教育現場 や教育委員会との緊密な連携・協力に留意する こと

2

も求められている。本稿では、筆者がこ の2年間行ってきた「教職実践演習」の授業を 通した実践例のうち、主に教育実習の振り返り

および地域と学校教育の連携について紹介し、

振り返りたい。

2. 2013 年度および 2014 年度の授業構成

 教職実践演習については、大学 4 年生の後期

(秋学期)に履修すること、また講義内容の大 枠はシラバスにあるとおり決まっているが、講 義の内容については、各担当者に任されている。

筆者の 2013 年度および 2014 年度に行った授業 展開は以下の通りである。

表 1 過去 2 年間の授業展開

教職実践演習報告

「教育実習の経験をふまえた課題確認と学校を取り巻く環境を考える」

飯田 武志

1文部科学省平成 18 年(2006 年)7 月 11 日中央教育 審議会今後の教員養成・免許制度の在り方について

(答申) 別添『教職実践演習(仮称)について』

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/

chukyo0/toushin/attach/1337016.htm

2同上。

(2)

3. ディスカッションを取り入れるに当たって

 この講座は、授業内に学生間のディスカッ ションを多く組み入れることが求められてい る。そこで、20 数名の学生をグループに分け る必要がある。新座におけるこの講座では、ス ポーツウエルネス学科の学生が多く、彼ら同士 は既によく知っているようであるが、先に述べ た3学部を横断する形で履修する学生が決めら れているので、ディスカッションにおいては、

メンバーが固定しないように考えた。2014 年 度においては、各学生に通し番号をつけ、以下 のように A ~ E のグループを作り全部で 6 回 分のディスカッションに使った。

表 2 ディスカッション用グループ分け

 各回の授業でのディスカッションの際は、よ く知っている人だけとは限らないので、簡単 な自己紹介から入るように指導した。ディス カッションの話題は毎回異なるので、メンバー

が替わることのデメリットはなかったように 思う。結果、この講義終了時には履修したほ とんどの学生がクラス内の他の学生とディス カッションしたことになる。

4. 「履修の記録」の発表について

 この「履修の記録」は、教員免許を取得す る大学側が学生の履修を把握することを目的 としているが

3

、内容については、学生自身 が授業についての評価、及び必要な技能や能 力が身についているかを評価するのにも活用 される。そして、 「教職実践演習」においても、

教育実習やそれ以前の各学生の履修科目を振 り返ることを求められているので、2014 年度 の授業では、実習後に学生が各学部の指導担 当の教員との面談指導を終えた段階で、以下 のものを授業時に発表する機会を持った。

・印象に残っている教職に関する科目

(科目、担当者名および、印象に残って内容)

・介護体験の感想

・教育実習について

(全般的な反省、感想、研究授業の感想)

・実習後の学部担当の先生とのやりとりで、

特に印象に残ったこと。

 数多い教職科目の中で、印象に残っている とあげた学生が多かったのは、教科教育法の 授業である。教育実習では様々な経験をして きた学生が、その教育実習を行うために教科 教育法の授業で扱われたことが、具体的に参 考になったと感じたようである。また、社会福 祉施設と特別支援学校における介護体験につい ても、実習時に感じた思いをそれぞれの学生が

3履修カルテ(例)について)(教職課程認定申請の 手引き(平成 28 年度開設用)抜粋)

h t t p : / / w w w . m e x t . g o . j p / c o m p o n e n t / a _ menu/education/detail/__icsFiles/afieldfi le/2014/12/05/1267752_09.pdf

(3)

4立教大学 学校・社会教育講座 2015 年度履修要項 66 頁5立教大学学校・社会教育講座 2013 年度「履修の記録」

1 頁

自分の言葉で語った。

  

5. 「履修の記録」の提出

 「履修の記録」は、教育実習前々年度、主に 2 年次生に行われる「教育実習ガイダンス」

4

において作成のための説明がされる。学生は、

そのガイダンスでの説明、「履修の記録」本体 に書かれている注意事項および記入例にした がって「履修の記録」を作成していく。

 以下は、「履修の記録」から作成についての 指示部分

5

を抜粋したものである。

<「履修の記録」作成手順>

以下の手順を各自で確認し、遺漏がないように 作成すること。

①『学校 ・ 社会教育講座 履修要項』及び正誤 表並びに訂正再配布版、所属学部の『履修要項』

を見ながら、必要事項および自分の履修状況を 遺漏無いように記入する。(中略)

②履修状況は、現時点のものを記入する。また、

今後については、毎学期の成績が出た時点で忘 れずに記入すること。

③各年度の終わりに、「自己評価シート」の記 入をおこなう。

④「介護等体験」、「教育実習」については、終 了後1週間以内に記入すること。

⑤「教職実践演習 ( 中 ・ 高 )」に関わるレポー トは、教職課程履修最終学年後期に受講する「教 職実践演習 ( 中 ・ 高 )」( 2単位、必修 ) の授業 時の指示に従って作成する。

⑥記入欄が不足する場合は、用紙を予めコピー しておき記入すること。

⑦上記を各自で用意する「フラットファイル A4サイズ タテ型 ( 例 : コクヨ;フVJ 10 / キングジム;4437 SP )」に綴じ込んでおくこ と。なお、ファイルの表紙には、「表紙用紙」

を貼ること。

 学生には作成の仕方、書き方、提出の仕方が 詳細に指示されている。学生はそれにしたがっ て「履修の記録」を作り、最終的にこの講義の 中で提出、そして筆者を含めた教職実践演習担 当者が学生とのやりとりをした後にサインとコ メントをして学生に返却することになってい る。学校における課題やレポートの提出は、学 生にとっても、教員にとってもごく普通の日常 的な出来事であるが、教員免許を取得すべく学 生には単なる提出物としてではなく、教員とし てこのような提出物を受け取った時に、何をど う思うかまで考えて提出して欲しいと学生には 伝えた。もちろん多くの学生は指示通りに作成 できるのであるが、しかし何人かの学生は、指 示通りの「履修の記録」を作成できない。以下、

指示通りに出来なかった学生の一例である。

・実習校、実習期間が記入されていない。

・履修科目の学んだ内容について、記入例の ように記述されていない。

・期限までに、学部担当教員との面談アポイ ントを取ることができない。

・自己評価が出来ていない。

・こちらが設定した提出期限を守ることがで きない。

 普段、中学生や高校生を相手にすればこのよ

(4)

うな不十分な提出物が提出されるのは日常茶飯 事である。そのような提出物を出した中高生に は、その都度不十分な部分を指摘し、時にはや り直しをさせて再提出させるという手順を踏 む。今回不十分な「履修の記録」を提出した学 生には、教職実践演習担当者として、不十分な 部分を指摘をしたコメントを書いた。場合に よっては、再提出させることを検討したほうが よいかもしれない。

6. 教育実習の振り返り~学生へのアンケート から

 2014 年度の個別授業の初回授業(第 3 回)

に以下の 5 項目についてアンケートを取った。

1. 教育実習担当時間数 2. 出勤時間

3. 退勤時間

4. 生徒の前に立つ指導 5. 生徒には見えない仕事

以下、そのアンケート結果である。

表 3 教育実習担当時間数

表 4 教育実習中の出勤時間

表 5 教育実習中の退勤時間

表 6 教育実習中に任された仕事

(5)

 教育実習中の担当時間は、表 3 にあるように かなりのばらつきがある。実習校としての方針 あるいは実習校の担当教員の考え、また実習生 の能力などいろいろな要素によって決まるもの だが、経験させることに重きを置けば、担当時 間が増えるであろうし、担当する 1 時間を充実 させるための準備を念入りに学生にさせるとな れば担当時間は少なくなる。なお、このアンケー トは実習期間が2週間の学生2名とそれ以外の 3週間の学生の区別はしていないことを断って おく。

 表4および表5の出勤時間および退勤時間に ついて、出勤時間については、朝早いといって も限界があり、7:00 から8:00 の1時間に多く の学生が出勤している。それに対し、退勤時間 は 18:00 から 21:00 の間に散らばっている。表 6の内容にも関わってくることだが、授業準備 や教材研究のための時間だけでなく、その他の 業務にもかなりの時間を取られるという感想を 持った学生や、ディスカッションを通して、教 科による違いや、部活動への教育実習生の関わ りなど、自分が体験してきた教育実習がすべて ではないという感想を持った学生もいた。

表6の「生徒の前に立つ指導」は言い換えれば、

「生徒にとっても見える仕事」と言える。大学 4年生が、高校生あるいは中学生として当時の 在学校の教員を生徒の立場で見ていたのはたか だか数年前の話である。したがって教育実習生 として携わる指導や仕事は、学生が教育実習に 入る前からある程度予測ができたものが多かっ たようである。また、5月から6月にかけて行 われることが多い教育実習であるが、時期的に

体育祭や春の大会に向けた壮行会などの行事に 関わることで、貴重な体験をしてきた学生もい た。

 対して、「生徒に見えない仕事」については、

多種多様なものが挙げられた。表6のリストを もとにディスカッションを試みた。学生からは、

このようなことも教員としての仕事なのかとい う感想や、活動の1つ1つが間接的に生徒把握 や生徒のために役立つと思われるという感想、

また生徒だった当時には想像もしなかった仕事 に教員は従事していることがわかったという感 想をよせた学生もいた。

7. 地域と学校教育の連携

 「教職実践演習」は、教育委員会との緊密な 連携・協力に留意することが求められているこ とは、前述の 1. でふれた。立教大学において は、「地域と学校教育の連携」について、新座 キャンパスの地元である新座市教育委員会から ゲストを招いて2クラスの合同授業として行わ れる。2014 年度については、筆者も学生と一 緒にその話を聞くことができた。ここでは、そ の時に話された内容およびその後の筆者の個別 授業での振り返りについて書くことにする。

7.1 新座市教育委員会教育長 金子廣志 氏による講義

 金子氏は、公立小学校の校長を勤めたの ち、現在新座市の教育長という役職で活躍 されている。今回の講義

6

は、新座市にお

6 2014 年 11 月 27 日実施

(6)

ける学校開校の歴史の特徴として昭和 40 年から 59 年までの 14 年間に 19 校の学校 を設置したことから始まり、新座市の学校 を取り巻く現状

7

として不登校数

8

、いじ め

9

、暴力行為数

10

、および携帯電話所持 率

11

、児童虐待対応件数

12

をあげ、課題と して家庭、地域の教育力の活用、状況に応 じた細やかな支援体制の整備、およびイン クルーシブの理念に基づく教育活動の実現 をあげた。

 そのための具体的な政策として、ふれあ い地域連絡協議会、教育シンポジウム、コ ミュニティ・スクール、ココフレンド、新 座っ子ぱわーあっぷクラブ、野火止用水ク リーンキャンペーン、学校教育農園、職場 体験学習、特別支援教育の充実、いじめ不 登校への対応など、学校だけでなく、地域

(町内会や地元企業)や市全体の様々な取 り組みがあげられた。

 学生によるこの講義に対するリアクショ ンペーパーでは、現在の新座の小中学校を 取り巻く環境と彼らの小中学校時代を比較 対比して、今まで以上に地域と学校が密接 に関わっていく必要があるということを強 く感じたという意見や、学校のための地域 の活動だけではなく、取り組み方によって は地域の利益にもなる、また学校を地域の

方と、ともに運営していくことで「みんな の学校」という位置づけを確立し、地域と 学校が一体となる活動がこれからますます 必要となるのではないかという意見を書い た学生もいた。

7.2 地域と学校教育の連携研究の振り返り  第 13 回の筆者の授業の中で金子廣志氏 による講義について振り返った。

 講義の中で、新座市小学校の放課後の「心 豊かで健やかに育む、安全・安心な居場 所づくり」として「ココフレンド」という 取り組みが紹介された。新座市内の 17 校 中 6 小学校に設置がされているとのことで ある。また筆者の住んでいる武蔵野市でも 子どもたちの放課後対策充実施策の1つ

13

として全 12 小学校に「あそべえ」という 組織が設置されている。このような放課後 の居場所作りを行政が必要になっている現 状について考えた。なお、これらの取り組 みは、「学童

14

」とは目的が違うことを確 認した。

 また、新座市の地域ぐるみの見守りとし て「ふれあい地域連絡協議会」が中学校区 ごとに組織されており、取り組みの一例と して、あいさつ運動、声かけ運動、地域の 見守り、各種講演会の実施などが紹介され た。前述の武蔵野市では、「青少協地区委 員会」という組織が小学校区ごとに設置さ

7金子氏より配布されたパワーポイント資料 平成 25 年度新座市調査結果から

8小学校 36 名、中学校 118 名

9小学校 41 件、中学校 27 件

10小学校 5 件、中学校 24 件

11小6 47%、中2 73%

12小学校 16 件、中学校 7 件

13武蔵野市 地域子ども館あそべえ

h t t p : / / w w w . c i t y . m u s a s h i n o . l g . j p / s h o _ chugakko/013861.htm

14児童福祉法第6条の2第2項で規定

(7)

れ、同じような活動をしていることを学生 に紹介した。

「ココフレンド」や「ふれあい地域連絡協 議会」は、新座市としての取り組みであり、

公立の小学校や中学校は他の地域でもその 地域の現状に合わせた形での組織や取り組 みがされている。このように公立小中学校 は学校だけではなく、地域や市町村、教育 委員会との密接な関係を築きながら児童生 徒を育てていくことが大切である。

 一方、私立学校においては、地元地域や 教育委員会との関わりに違いがある。金子 氏の講義の中でも、立教新座中高のグラウ ンドを東北小学校のマラソン大会に毎年提 供している例が紹介された。また部活動に おける大会についても公立の学校と同様に 私立学校も市町村レベル、あるいは地区レ ベルの大会に参加している。しかし自治体 レベルの行事の中には公立限定としたもの もある。

 私立学校においては、各校独自の建学の 精神があり公立学校の教育方針と目的とす るところが違う。また、私立学校の各都道 府県の管轄は教育委員会ではないので、地 域と学校教育の連携を考える場合には、私 立と公立では分けて考えるべきである。

 筆者はこの後の授業展開の中で、私立と 公立の違いについて、学生にディスカッ ションしてもらった。

8. おわりに

 この「教職実践演習」の授業の最後に、科目

共通の課題「立教大学の教職課程を履修して」

をテーマに4年間の教職課程で学んできたこと を振り返ってもらう。学生の中には、立教の教 職課程は教育実習や将来の教員としてすぐに役 に立つ実践的な授業が少ないという意見を持っ た者が少なからずいる。そして、その指摘は、

国立教員養成系の大学や体育大などと比べれ ば、当たっているかも知れない。では、もし仮 に立教大学で実践的な授業を増やすとなった場 合、現存する授業を減らして実践的な授業にす るかといえば、答えはノーであろう。教職課程 のそれぞれの授業には目的があり、それぞれの 授業での到達目標に少しでも近づこうと学生は 勉強し、必死に考え、理解しようとしてきた。

教職課程をやり遂げた学生の多くは、「教師と

は何者か」「教育とは何か」をとにかくよく考

えた4年間だったと振り返るに違いない。その

根本姿勢は、立教大学における教職課程の柱で

あり、それを学んで巣立っていく学生の精神的

な柱にもなっていると考える。実践的技術的な

知っていれば多少知らないよりは有利かもしれ

ないが、大した問題ではない。4年間の集大成

としての「教職実践演習」で、学生には、様々

なテーマについてディスカッションしてもらっ

た。これから広く社会に出る卒業生には、この

4年間で学んだことを精神的な柱として頑張っ

てもらいたい。

参照

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