中国の企業経 営
一 企 業 改 革 と外 資導 入 を中心 と して
丹 野 勲
は じ め に
中国 は,現 在,経 済 社 会 の近 代 化 を実現 す べ く多 くの点 で改 革 を行 っ て い る。 この 改 革路 線 が 将 来 と も不 変 で あ るか につ い て は種 々 の 議論 が あ るが
, 多 少 の変 動 はあ る に しろ,基 本 的 に は改 革 路 線 は変 化 しな い だ ろ う とい う見 方 が 一一般 的 で あ る。 中 国 の改 革 政 策 は,多 岐 にわ た り,農 業 改 革,経 済 改 革, 企 業 改 革,企 業 経 営 管 理 改 革,対 外 開 放 改革 等 が あ る。本 稿 で は,中 国 の改 革 政 策 の な か で,経 済 改 革,特 に企 業 改 革 と対 外 開放 改 革 を中 心 に研 究 す る。
中国 の企 業 改 革 は,経 営学 の視 点 か ら見 て も極 め て興 味 が あ る。 社 会 主 義 の体 制 下 で,中 国 は国 営 ・公 有 企 業 の所 有 形 態 の 多様 化 や株 式 制 度 の導 入 と い った 資本 主義 的 経 済 改 革 を行 っ て い るか らで あ る。 社 会 主 義 は,企 業 の所 有 形 態 を国有 ・公 有 とす るの が,そ の理 念 で あ るが ,中 国 で は その理 念 か ら はみ 出 した 政 策 を大 胆 に実 行 して い る。 さ らにs企 業 自主権 の拡 大 や,工 場 長 責 任 制,経 営 責 任 請 負制 とい っ た 国 の権 限 を減 ら し,企 業 に権 限 を委 譲 す る政 策 が行 わ れ て い る。 これ らの政 策 は,従 来 の社 会 主義 で の企 業 の あ り方 に問題 を投 げ か けて い る。 本 稿 で は,中 国 の 企 業 政 革 の最 近 の動 向 に つ い て , 主 に経 営 学 的視 点 よ り考 察 す る。
11S
また,中 国 は対 外 開 放 政 策 を実 行 し,経 済 成 長 を促 進 しよ う と して い る。
その政 策 の核 は,外 資 の積 極 的 導 入 で あ る。 本 稿 で は,中 国 の 最 近 の 外 資 政 策 につ い て も考 察 す る。
以 上 の よ う に,本 稿 の 主 要 な論 点 は,国 際比 較 経 営 の視 点 に よ り,中 国 の 企 業 経 営 環 境 と して極 めて 重 要 で あ る と考 え られ る企 業 改 革 と外 資 政 策 につ い て研 究 し よ う とす る もので あ る。
第1節 中 国 の 経 済 改 革 企業改革の進展
1978年 か ら始 まった 中国 の経 済 改 革 は,急 速 な テ ン ポで進 展 して い る。 特 に,企 業 の活 性 化,業 績 向上 を 目的 と した企 業 改 革 が,大 胆 に行 わ れ て い る。
社 会 主義 体 制 下 で,ど う企 業 を活 性 化 させ るか,さ か ん に模 索 が 行 わ れ て お り,徐 々 にで は あ るが 成 果 が 現 わ れ て きて い る。 経 営 学 の視 点 よ り中 国 の企 業 改 革 を見 る と,所 有 制 改 革 お よび経 営 管 理 改 革 が 重 要 で あ る。
1)
中 国 の経 済 改 革 の歴 史 を見 る と,三 つ の段 階 が あ る。
第1段 階 は,78年 か ら84年10月 まで の時 期 で,主 に農 村 の経 済 改 革 が 重 点 的 に行 なわ れ た 。 人 民 公 社 が 解 体 し,全 面 的 に農 家 生 産 請 負制 が 実施 され た。
農 家 は,農 業 生 産 の基 本 単 位 とな り,あ る程 度 独 立 した 生産 者 とな った。
第2段 階 は,84年10月 か ら87年10月 まで の 時 期 で,都 市 経 済 の改 革 と企 業 改 革 の 時代 で あ る。所 有形 態 の 多様 化,お よび経 営 責 任 請 負 制,工 場 長 責 任 制 とい った 経 営 管 理 の改 革 が 本 格 的 に開始 され た。 企 業 利 潤 の配 分,賃 金 制 度,市 場 経 済 の導 入 とい った改 革 も行 な わ れ た 。 さ らに,こ の 時期 に重 要 な 改 革 は,経 済 開放 政 策 の 実施 で あ る。
第3段 階 は,87年10月 か ら現 在 まで の時 期 で,経 済 改 革 の調 整 と改 革 の一・
層 の 深 化 の時 代 で あ る。 イ ン フ レ,社 会 不 安,経 済 過 熱 を調 整 し,経 済 改 革 を押 し進 め るべ く従 来 の改 革 政 策 に対 して微 調 整 を行 った 。
ll6国 際 経 営 論 集No.61994
1‑1所 有 制 政 革 (1)所 有形態の 多様化
所 有 制 改 革 に つ い て は,国 有 制,公 有 制 の み な らず ,各 種 の所 有 形 態 を認 め る こ とに あ る。 す なわ ち,全 人 民 所 有 制 企 業(国 有 制)の ほか に
,集 団 所 有 制 企 業,個 人 所 有 制 企 業,私 営企 業,外 資 企 業,外 資 との合 弁 ・合 営企 業 とい った各 種 の 所 有 形 態 の企 業 を許 容 ,発 展 させ る こ とに あ る。1987年 に は, 10年 前 と比 較 して,全 人 民所 有 制 企 業 の生 産 額 は倍 増 した が,全 国 の工 業 総 生 産 額 に 占 め る シ ェ ア は,8・.S%か ら59 .7%に 低 下 し 摺.他 方 藻 団 所 離 り 企 業 の 生 産 額 は,4倍 に増 え,そ の シ ェ ア は,19 .2%か ら,23.9%に 上 昇 し
た 。 また,都 市,農 村 の 個 人 経 営 企 業 と私 営 企 業 は,無 か ら有 へ と発 展 し, そ の シ ェ ア は,14,4%を し め た 。外 国 投 資 企 業 との 合 弁 企 業 の シ ェ ア は
,2.02
%を 占 め て お り,外 資 系 企 業 は,1万 社 を超 え,合 計 投 資 額 はs228億 ドル に 達 して い る。
90年 に は,全 人 民 所 有 制 企 業 の 工 業 総 生 産 に 占 め る シ ェ ア は
,54.6%に 低 下 した の に 対 しy集 団 所 有 制 企 業 の シ ェ ア は35 .6%に 高 ま っ た 。 また,都 市 ・ 鮒 の 個 人 鰭 企 業 の シ ェ ア は5.4%で あ31.近 年,こ れ らの 非 国 醐 企 業 の 発 展 の テ ン ポ は,全 人 民 制 企 業 の 発 展 を 大 幅 に 上 回 っ て い る。
中国 の企業形態 を蹟 パ ター ンか 硯 る と,以 下 の企業 が存在 して曜 。
① 全 人 民 所 有 制 企 業
い わ ゆ る国営 企 業 で あ る。 全人 民所 有 制 企 業 は,近 年 そ の比 重 が 低 下 して い る に もか かわ らず,依 然 中 国 の経 済 の なか で 中心 的 な地 位 を 占め て い る
。 重 点 工 場 と言 わ れ る大 規 模 工 場 の 多 くは全 人 民 所 有 制 企 業 で あ る。 全 人 民 所 有 制 企 業 の工 場 は,「 大 規 模 で す べ て の生 産 設備 や 工 程 が 揃 って い る」,と か
「小 規 模 で あ るが,す べ て の生 産 設備 や 工程 が 揃 って い る」 とい った万 能 工 場 が 多 い。 また,大 規 模 な工 場 で は,文 化 ・娯 楽施 設,図 書 館 ,運 動 場,食 堂 か ら社 宅,託 児所,幼 稚 園,小 中学 校,病 院,理 髪 店 ,ク リー ニ ング店, 浴 場 な ど まで併 設 して い る企 業 も多 い。
中国の企業経営117
② 集 団所 有 制 企 業
集 団所 有 制 企 業 も,中 国経 済 の なか で 重 要 な役 割 を果 た して い る。 近 年, 郷 鎮 企 業 と言 わ れ る農 村 で の集 団 所 有 制 企 業 は,急 速 な発 展 を遂 げ て い る。
現 在 で は,大 規 模 企 業 の た め の部 品 や,中 国 国 民 の生 活 に必 要 な 製 品 の生 産 ・ 輸 出製 品 の生 産 等 を担 当 して 中 国 経 済 の発 展 に積極 的 に貢献 して い る。
③ 私 有 企 業
5}
私 有 企 業 は近 年 発 展 して きた企 業 形 態 で あ る。 私 有 企 業 に は,個 人 企 業 と 私 営 企 業 に分 類 され る。 個 人 企 業 は従 業 員 が8人 未 満 で あ るの に対 して,私 営企 業 は従 業 員 が8人 以 上 で あ る民 間資 本 に よ る企 業 形 態 で あ る。
個 人 企 業,私 営 企 業 とも,79年 の改 革 ・開放 政 策 へ の大 転 換 後 復 活 した。
私 有 企 業 は順 調 に増 加 し,88年 末 に は,固 定 資産 原 簿 価 額 の2%,生 産 経 営 資 金 の2%,従 業 員 の4.2%を 占 め る まで に な っ た。89年 に な る と私 有 企 業 の 数 は減 少 した が,90年 か ら また 増 加 して い る。92年6月 末 に は工 商 局 に登 録 され た 私 営 企 業 は11万700社,前 年 末 に比 較 して2.7%増 加 した。 登 録 され た 全 工 商 業 企 業 に占 め る私 営 企 業 の割 合 は,2.16%で あ る。 特 に,個 人 企業, 私 営 企 業 と も,広 東省 の比 重 が 高 い。
④ 連 合 混 合 所 有 制 企 業
6)
連 合 混 合 所 有 制 企 業 連 合 は,各 種 の企 業 が連 合 した形 の企 業 形 態 で あ る。
連 合 の形 態 に は,国,集 団,個 人 所 有 制 企 業 間 の連 合,国 と集 団 所有 制 企 業 間 の連 合y集 団 と個 人 所 有制 企 業 の連 合 な どさ まざ まな ものが あ る。79年 の 改 革 ・開放 路 線 へ の転 換 に よ り,横 割 の経 済 連 合 とい う新 しい経 済 連 合 と し て混 合 所 有 制 企 業 が 登 場 し,近 年 一層 発 展 して い る。
⑤ 外 資 系企 業
外 資 系企 業 と して,全 額 外 資 企 業,中 外 合 弁 企 業,中 外 合作 経 営 企 業 の三
ア
つ の企 業形 態 が あ る。 これ らの企 業 を 中国 で は 「三 資 企 業 」 と呼 んで い る。
全 額 外 資 企 業 は,外 国 資本 が100%出 資 した形 の企 業 で あ る。中外 合 弁 企 業 は,外 国 資 本 と中 国 国 内資 本 との合 弁 形 態 の企 業 で あ る。 外 資 の 出資 比 率 は
118国 際 経 営 論 集No.61994
25%以 上 必 要 とされ る。 中外 合 作 経 営 企 業 は,外 国投 資 家 は資 金,技 術 と一 部 の原 材 料 を提 供 し,中 国側 は土 地,工 場 の建 物 と若 干 の施 設 お よ び役 務 を 提 供 して,双 方 に合 意 され た条 件 と契 約 の規 定 に よ り収 益 を配 分 す る企 業 で
あ る。 出 資比 率 につ い て も規 定 され て お らず双 方 の 契 約 に よっ て決 定 され る。 中外 合 弁 企 業 と中外 合 作 経 営 企 業 の 大 きな相 違 点 は,合 弁企 業 は中 国 領 内 に 法 人 資 格 を有 す もの で あ るの に対 し,合 作 経 営 企 業 は 中 国側 と外 資側 の双 方 が それ ぞれ 法人 身 分 の ま まで協 力 を行 って もよ い とされ る点 で あ る。
② 郷鎮企業
郷 鎮 企 業 は,近 年 急 速 に成 長 して お り,新 しい企 業 として 注 目 を集 め て い る。 郷 鎮企 業 とは,一 般 に 中 国農 村 地 区 に あ る非 国 営 企 業 で,町 や村(中 国 語 で郷 鎮)ま た は農 民 に よ っ て作 られ た非 農 林 水 産 業 の企 業 で あ る。 郷 鎮 企 業 の所 有 形 態 は,集 団所 有 制,農 家 合 作 経 営,個 人 経 営 ,私 経 営,国 内 また は外 国 企 業 との合 弁 ・合 作 経 営,な ど多様 で あ る。 そ の な か で も近 年,特 に 個 人 経 営 ・私経 営 形 態 の 郷 鎮 企 業 の発 展 が著 しい。 産 業 か ら見 れ ば,郷 鎮 企 業 は,工 業,商 業,飲 食 サ ー ビス業,建 築 業,交 通 運 輸 な ど多 岐 にわ た っ て い る.顯 企 業 の タ イ プ と して は,以 下 の よ うな形 が 諾 。
① 大 企 業 関連 タ イ プrA市 の 国営 企 業 と提 携 して国 営 企 業 の た め に部 品 を生 産,加 工 して い る部 品 生 産 の下 請 企 業,あ る い は国 営企 業 の 一 作 業 部 門 と してOEM生 産 を行 な っ て い る郷 鎮 企 業 の タイ プ。 一 部 の企 業
は,独 立 的 部 品 企 業 もあ る。
② 資 源 開発 タ イ プー 石 炭 や 石 炭 石 な どの鉱 産 物 の採 掘 に あた るほ か, 瓦,セ メ ン トな ど建 築 材 料 の 生産 を行 っ て い る。
③ 伝 統 的 な手 工 業 品 開発 タ イ プ 手 工 業 品,伝 統 的 紡 織 縫 製 技 術 を い か した製 品 を製 造 す る タ イ プ。
④ 栽 培,飼 育,加 工 を行 うタ イ プ 農 業,副 業 生 産 物 の加 工 や 畜 産 の 飼 育 な ど を組 み合 わ せ た形 で あ る。
⑤ 輸 出 タ イ プ 沿 岸 地 区 に 多 い,輸 出 品 を生産 す る外 向 型 企 業 。 外 国 中国の企業経営Ilg
企 業 の委 託 に よ り加 工 ・組 み立 て な どの作 業 を し,製 品 を輸 出 す る委 託 加 工 企 業 や,自 社 の ブ ラ ン ドで輸 出 して い る 自社 製 品輸 出企 業 が あ る。
⑥ 第3次 産 業 タイ プー 観 光 地 に お け る ホ テル や レス トラ ンの経 営,農 村 の交 通 運輸 業,商 業,飲 食 業 な ど。
郷 鎮 企 業 は,農 村 経 済 改 革 お よび 中 国 の全 面 的経 済改 革 に よ って 生 み 出 さ れ た もの で あ る。郷 鎮 企 業 は}以 前 は社 隊 企 業,す なわ ち人 民 公 社 や 生 産 大 隊 の 経 営 す る企 業 で あ っ た。84年 以 降,農 村 経 済 体 制 改 革 の展 開 に よ る人 民 公 社 の解 体 に ともな っ て,旧 来 の社 隊 企 業 の経 営 管 理 方式 の改 革 が行 わ れ る
と同時 に,社 隊 企 業 も郷 鎮 企 業 と改 称 した 。 また,一 部 の郷 鎮企 業 は郷(鎮) 政 府 所 属 とな り,郷(鎮)政 府 所 有 の企 業 とな った 。 一 方 に,郷(鎮)政 府
に よっ て作 られ た 郷 鎮 企 業 もで きて きた。 また,行 政 区画 を越 えて連 携 した 共 同経 営 方 式 の企 業 体 や複 数 の 農家 か らな る経済 連 合 体,個 人 経 営企 業 と し
て の郷 鎮 企 業 な ど,多 種 多様 な企 業 形 態 が 出 現 した 。 現 在,中 国 で は それ ら 農村 にお け る非 農林 牧 畜 業 の企 業 を郷 鎮 企 業 とい って い る。 社 隊 企 業 は現 在 の郷 鎮 企 業 とは性 格 が 相 違 す る。 社 隊 企 業 は旧来 の人 民 公 社 また は生 産 大 隊 に よ り上 か ら作 られ,そ の経 営管 理 も改 革以 前 の都 市 集 団 企 業 と同 じ く行 政 命 令 的 シ ステ ム で あ った 。 これ に対 して,郷 鎮 企 業 の経 営 管 理 は,基 本 的 に 市 場 メ カニ ズム に まか せ,企 業 の経 営 者 が,国 営 企 業 お よび都 市 の集 団企 業 よ り,き わ め て大 きな 自由裁 量 権 限 を有 して い る。 す なわ ち,郷 鎮 企 業 は損 益 自己責 任 を持 ち,市 場 に依 存 す る商 品 生産 者 とい う性 格 を有 して い る。
郷 鎮 企 業 の 発 展 モ デル と して 「蘇南 モ デル 」 と 「温 州 モ デル 」 が 有 名 で あ 9)
.繭 モ デル は,江 蘇 省 南 部 地 区 の発 展 方 式 で あ り,そ の特 徴 は,郷 有, 村 有 とい っ た集 団所 有 制 企 業 の 占 め る比 重 が圧 倒 的 に高 い。 この モ デ ル の郷 鎮 企 業 の経 営 主体 は実質 的 に は郷 政 府 で あ り,村 民委 員 会 で あ る。 温 州 モ デ ル は,江 省 温 州一一帯 の 発 展 方 式 で あ り,そ の特 徴 は,個 人 企 業,私 営 企 業 と い った 私 営 経 済 が 中心 で 発 展 を遂 げ て い る。 この モ デ ル の郷 鎮 企 業 は,家 族 企 業 とい った 零 細 企 業 が ほ とん どで あ る。
120国 際経営論集No・61994
近 年,郷 鎮企 業 は急速 に成 長 して い る。 特 に伸 びが 著 しい の は,私 営 企 業
lo)
と個 人 経 営 の郷 鎮 企 業 で あ る。78年 か ら91年 まで,郷 鎮 企 業 の数 は152万 社 か ら1900万 社 以 上 に,従 業 員 数 は,2800万 人 余 りか ら9600万 人 余 りに増 加 した。 生 産 総 額 は,495億 元 か ら1兆1621億 元 に増 え,年 平 均 伸 び率 は27 .7%と い う 驚 異 的 な数字 で あ る。 郷 鎮 企 業 工 業 生 産 額 は工 業 総 生産 額 の ほ ぼ3分 の1を
占め て い る。 中 国 エ コ ノ ミス トた ち は,今 世 紀 末 まで に,中 国 農 民 の純 収 入 の3分 の2は 郷 鎮 企 業 に よ って獲 得 す る もの とな ろ う,と 予測 して い器 エ コノ ミス トた ち は今 世 紀 末 まで に,農 村 で1億4000万 人 の余 剰 労 働 力(農 村 総 労働 力 の 約30%を 占 め る)が 郷 鎮 企 業 に進 出 す る だ ろ う と見 て い る。 郷 鎮 企 業 は,農 民 が 農業 に従 事 し,都 市 住 民 が 工 業 や商 業 に従 事 す る とい う中 国 の伝 統 的 枠 組 み を大 き く変 えた 。 改 革 ・開 放 政 策 の お か げで,中 国郷 鎮 企 業 の生 産 額 は,87年 は じめ て農 業 生 産 額 を上 回 った 。 現 在 農 村 で は,5人 の 労 働 力 の うち1人 が 郷 鎮 企 業 で働 い て い る。
郷 鎮 企業 は現 在 の 中 国 経 済 成 長 お よび経 済 改 革 に対 して以 下 の 役 割 を果 た して い る。
① 農 村 過 剰 労 働 力 の 吸収
中 国 で は,農 村 に大 量 の農 業 余 剰 労 働 力 が存 在 し,そ の上 労 働 力 の都 市 部 へ の 流入 を制 限 す る戸i籍制 度 が 存 在 して い る。 この 農村 部 の農 業 過 剰 労働 力
を吸収 す る役 割 と して郷 鎮企 業 の 役 割 は重 要 で あ る。
た と えば,中 国東 部 の江 蘇 省 で は,郷 鎮 企 業 が 急 速 に発 展 し,農 村 部 の 余 剰 労働 力 を吸 収 す る役 割 を演 じて い る。 そ して,余 剰 労働 力 の存 在 が郷 鎮 企 業 を発 展 させ る内 在 的 要 因 とな っ て い る。 江 蘇 省 の 人 口 は6843万 人 で,農 村 部 の労 働 人 口3679万 で あ る。その うち,郷 鎮 企 業 の 従 業 員 数 は865万 人 を占 め て い る。同省 の郷 鎮 企 業 の従 業 員 の うち,800万 人 が 同省 の 農 民,30万 人 が 都 市部 の 住 民 で あ った。 同省 の92年 の郷 鎮企 業 数 は82万 社 を超 え,そ の 生産 額
は1700億 元 を上 回 っ て い る。
② 農 村 生 産 の 商 品 化 と社 会 化 を促 進 し,農 村 産 業 構 造 の 高度 化 を もた ら
中 国 の企 業 経 営121
し,都 市 と農 村 の 格差 を縮 小 させ る役 割
工 業,商 業,飲 食 サ ー ビス業,建 築 業 お よび輸 送 業 に わ た っ た農 村 郷 鎮 企 業 の勃 興 に よ って,従 来 の 中 国 農村 の食 料 生産 中心 の単 一一構 造 か ら,農 村 の 産 業 構 造 を高度 化 させ た。 す な わ ち,綿 花,油 料 作 物,た ば こな どの 経 済 作 物,牧 畜,漁 業,林 業,副 業 を含 む広 義 の 農 業 へ,さ らに工 業,商 業,交 通 運輸,サ ー ビス業 を含 む もの に,そ の 内容 が 拡 大 して い る。 また,郷 鎮 企 業 は農 産 物 の加 工,輸 送 に よ って農 業 生 産 を含 む農 村 生 産 の商 品化 と社 会 化 を 促 して い る。 郷 鎮 企 業 の発 展 に よ って,農 民 の 所得 が 引 き上 げ られ る と同 時 に,農 村 消費 水準 の 向 上 と消費 構 造 の 変化 を もた ら し,農 村 の 経 済 生 活 も豊 富化,活 性 化 され て い る。
③ 郷 鎮 企 業 の発 展 は商 品経 済,工 業 生 産 な ど現 代 的 生 産 方 式 と生 活 方 法 を,今 まで閉 鎖 され た 中 国農 村 の 自給 自足 の社 会 に持 ち こみ,経 済 だ けで は な く,農 村 の政 治,文 化,教 育 お よ び思想 観 念 につ い て もその発 展 と進 歩 を 促 して い る。
④ 郷 鎮 企 業 は,国 家 に対 して 多額 の 税 を納 付 し,郷,村 財 政 に対 して も 多 くの寄 与 を もた ら して い る。
郷 鎮 企 業 は,中 国経 済,社 会 に以 上 の よ うな大 きな貢 献 を して きた わ けで あ るが,現 在,中 国郷 鎖 企 業 は,以 下 の 問題 点 を も指 摘 され て い る。
① 企 業規 模 が小 さい 。郷 鎮 企 業 の90%以 上 は家族 工 場,個 人 経 営 で あ り, 企 業 の規 模 が 小 さ い。 それ は,郷 鎮 企 業 に とっ て市 場 の変 化 に的 確 に対 応 で きる とい うメ リッ トもあ るが,体 質 が脆 弱 の た め破 産 しや す い面 も あ る。
② 企 業 の技 術 水 準 と経 営 管 理 水 準 の立 ち後 れ 。郷 鎮 企 業 は労 働 集 約 産 業 と手 工 業 産 業 を主 と して お り企 業 の 技術 水準 が低 い。 また設 備 も古 い の が一 般 的 で あ る。郷 鎮 企 業 に よ っ て は,公 害 処 理設 備 が な いた め,当 該 地域 に工場 汚 染 を もた ら して い る場 合 もあ る。
③ 不 足 す る資 金,物 資,エ ネ ル ギ ー を大 都 市 の大 企 業 との 間 で奪 い あ う
122国 際 経 営 論 集No61994
よ うに な る。 そ れ に よ っ て貴 重 な物 資 が 生 産 効 率 の低 い郷 鎮 企 業 に多 く 流 れ,効 率 の高 い大 企 業 で は原材 料,エ ネル ギ ーが 不 足 す る こ とに な り, マ ク ロ的 に見 る と効 率 を低 下 させ,資 源 の 浪 費 とな る場 合 が あ る。 エ ネ ル ギ ー 原 材料 を む だ に使 用 す るな どの デ メ リ ッ トも見 られ12}。
中 国政 府 は,郷 鎮 企 業 の 発 展 を非 常 に重 視 し,特 に80年 代 に入 っ てか ら, 顯 企業 の発展 に漣 の奨励 支コ一 策 を とっ発.例 斌 新規設立 の顯
企 業 に は1年 以 内 の減 免 税 の恩 典 を与 えた。 郷 鎮 企 業 の ボ ー ナ ス税 を免 除 し, 財 政 の低 金 利 融 資 で郷 鎮 企 業 の技 術 改 善 を支i援 し,各 種 専 門 人 材 の郷 鎮 企 業 へ の就 職 を奨 励 した。
90年 代 に入 っ て,政 府 は さ らに郷 鎮 企 業 を支 援 す る一 連 の措 置 を交付 した。 た とえ ば}以 下 が あ る。
① 郷 鎮 企 業 の 必 要 とす る資 金 に つ い て,農 民 の 自己 調 達 と企 業 の 自己蓄 積 の ほ か に,政 府 や 地 方 は必 要 な支 援 を与 え る。
② 国家 の産 業 政 策 に従 い,市 場 の ニ ー ズ に合 致 した製 品 を作 って い る郷 鎮 企 業 に対 して は,金 融 部 門 は優 先 的 に融 資 す る。
③ 郷 鎮 中堅 企 業,特 に 国有 大 中型 企 業 に部 品 を供給 して い る企 業,農 産 物 加 工 企 業,輸 出 に よ る外 貨 獲 得 企 業 に,関 係 部 門 は資金,税 金,エ ネ ル ギ ー,原 材 料,人 材 な どの面 で必 要 な支 援 を与 え る。
④ 郷 鎮 企 業 の技 術 改 良 を早 め るた め}固 定 資 産 原 価 償 却 率 の低 い中堅 企 業 は,減 価 償 却 率 を引 き上 げ る こ とを可能 とす る。
⑤ 郷 鎮 企 業 の 人 材 養 成 を国 の発 展 教 育 計 画 に組 み入 れ る。
⑥ 郷 鎮 企 業 の輸 出 に よる外 貨 獲 得 に関 す る国 の 諸政 策 を貫徹 し,企 業 が 対 外 貿 易 公 司 と連 合 また は共 同 に よ る経 営 を行 い,外 向型 企業 グル ー プ
を作 る こ とを奨 励 す る。
(7)条 件 の整 っ た郷 鎮 企 業 に輸 出入 権 を与 え,国 際 競 争 に加 わ る こ とを奨 励 す る。
⑧ 郷 鎮 企 業 の購 買 ・販 売 公 司 が生 産 ・販 売 ・小 売 で 必 要 な物 資 の地 区 間
中 国 の企 業経 営123
交 換 に従 事 す る事 を認 め る。
郷 鎮 企 業 の発 展 は,将 来 の 中 国経 済発 展,中 国 農村 の 産 業構 造 の 高 度 化 を 促 進 す る上 で きわ めて 重 要 で あ る。郷 鎮 企 業 の動 向 は中国 の経 済 の将 来 を左 右 す る とい っ て もい い だ ろ う。
1‑2株 式制 度
(1)中 国の株 式会社 の形態
さ らに注 目 され る の は,株 式 所 有 制 の実 施 で あ ろ う。 国営 企 業 で あ る全 人 民 所 有 制 企 業 の一部 資 産 を企 業 に譲 与 し,労 働 者,職 員 に従 業 員 持 ち株 を持 たせ る。 国,企 業,従 業 員,そ の他 の一 般 株 主 が,企 業 を株 式 とい う形 態 で 所 有 す る形 を とる,と い う形 態 が 多 い。配 当 につ い て は,国 の持 ち株 分 と企 業 の持 ち株 分 に関 して は通 常 の利 益配 当 の み で あ るが,個 人 株 主 に対 して は 配 当 の ほか に利 子 を支払 うの が 一般 的 で あ る。 そ の利 子 率 は,同 期 間 の銀 行
14}
の利 子 率 で 計 算 され る。 中国 は現 在,国 営 企 業,特 に大 規 模 な 国 営企 業 の株
15)
式 化 を徐 々 に進 め て い る。
以 上 の よ うな 国営 企 業 の株 式 会 社 形 態 以 外 に,中 国 で は他 に多 くの株 式会 社 形 態 が存 在 す る。 複 数 の企 業 が 出 資 す る形 の株 式制 企 業 形 態 が あ る。 この 株 式 制 にお け る出 資 の 形 式 は主 に三 つ あ る。① 固 定 資 産 の提 供 に よる投 資 ・ 現 有 の 設備,建 物 な どを時価 で 評 価 し,こ れ を新 しい企 業 の資 産 として登 録 す る方 式 。② 資 金 に よ る直 接 投 資 。 企 業 の 自己資 金,あ るい は借 入 金 を用 い て,新 しい企 業 の設 立 に参 加 す る方式 。 ③ 技 術 の ソ フ トや工 業 所 有 権 を提 供 す る こ とに よ る方式 。 利 益 配 分 につ い て は,投 資比 率 に よ って按 分 す る方式 や,出 資 の比 率 を係 数 と して他 の諸 要 素 を総 合 的 に考 えて 利 潤 を分 配 す る方 式 な どが あ る。
しか し,い ず れ の 方 式 も企 業 経 営 に赤 字 が 出た ときは,そ れ ぞれ の株 主 が その 欠 損 を負 担 しな けれ ば な らな い。
他 に,公 開 株 式 の募 集 に よ る株 式 会 社 形 態 が あ る。株 式 会 社 が社 会 一 般 に
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株 式 を公 開 し,個 人 や 法人 が株 式 を購 入 す る形 態 で あ る。 また ,外 国 資 本 と ジ ョイ ン ト ・ベ ンチ ャー を行 う形 態 が あ る。 中 国企 業 が海 外 投 資 家 に対 して 株 式 を発行 して外 資 を導 入 す る形 態 で あ る。
② 中国の株 式会社 と株式市場の現状
中国 で は,92年 の時 点 で株 式会 社 形 態 の企 業 力.・約32・0社 ほ ど存 在 して 曙 。 これ に は,郷 鎮 企 業 と外 資 系 企 業 は含 まれ て い な い。 そ の うち,株 式 を一 般 公 開 して い る企 業 は89社 で,全 体 の3%で あ る。 従 業 員 が株 を持 つ企 業 は約 2700社 で,全 体 の約85%を 占 め て い る。企 業 間 の 法 人 持 ち株 企 業 は,約380社 で,全 体 の12%を 占 め て い る。92年 度 だ けで約400社 の株 式 会 社 の設 立 が認 可
され た。93年 に は,株 式 会 社 形 態 の企 業 は,全 国 で4000社 余 りに達 した と報
17}
道 され て い る。
90年12月9日,中 国 で最 初 の証 券取 引 所 で あ る上 海 証 券 取 引 所 が発 足 し , そ の後 中 国 で2番 目の深 鯛 証 券 取 引所 が 発 足 した 。 株 式 会 社 の 飛 躍 的 増 大 に つ れ て,中 国 の株 式 市場 も急 成 長 して い る。92年 末 まで に,中 国 の各 種 有 価 証 券 の発 行 総 額3817億 元 の うち,株 式 は159億 元 で あ った 。92年 度 だ け を見 る と,株 式 は109億 元発 行 され た。 株 価 取 引 高 は,92年 度 は692億8300万 元 で, 前 年度 の51億5500万 元 に比 べ て21.4倍 とな った 。 その うち,深 翔1証券 取 引所 は,44・ 億5・ ・万 元,上 海 証 券 取 引 所 は248億57。 。万 元 響 あ っ た。
93年5月 現 在,上 海 証 券 取 引所 に上 場 して い るA種 株(国 内投 資 家 向 け株 式)は55銘 柄,B種 株(海 外 投 資 家 向 け株 式)は10銘 柄 種,債 券 は4銘 柄 で
19)
あ る。93年2月 末 の時 点 で上 海 取 引所 の株 式 時価 は1260億2600万 元 で あ る。
上 海 証 券 取 引所 は,上 海 以 外 の福 建 省,漸 江,遼 寧,四 川 ,北 京 の企 業 を も 上場 され て お り,上 海 証 券 取 引所 は しだ い に全 国 的 な株 式 市 場 にな りつつ あ
る。
一 方,93年5月 現 在,深 別 証 券 取 引所 に上 場 され て い るA種 株 は23銘 柄,B 種 株 は10銘 柄,そ の 他 の株 が2銘 柄 で あ る。93年2月 末 現 在 の株 式 時 価 は704 億6800万 元 で あ る。 深 馴 証 券 取 引 所 は,華 南 地 域 の証 券 市 場 の 中心 と して,
中国の企業経営125
また,香 港 との関 係 を深 め つつ 急速 に発 展 して い る。
中国 政 府 は,B種 株(海 外 投 資 家 向 け株 式 〉 の発 展 に力 を入 れ,B種 株 を
20)
中 国 の対 外 開放 と外 資 吸収 の柱 に した い意 向 の よ うだ 。 中 国 のB種 株 の発 行 は,上 海 真 空電 子器 株 式 会 社 が,92年2月 に初 め て発 行 され た 。93年4月 の 時 点 で,全 国 で19社 のB種 株 が発 行 され,人 民 元9億7500万 元 と外 貨5億9900
エラ
万 ドル を調 達 した。 中 国 は,B種 株 の拡 大 の た め の措 置 を最 近 発 表 して い る。
新 た な措 置 とは,上 場 通 貨 と決 済通 貨 を香港 ドル に統 一,海 外 のB種 株 取 扱 証 券 業 者 に対 す る特 別会 員 粋 の拡 大,B種 株 市 場 の情 報 公 開 の改 善 な どで あ る。B種 株 市 場 の海 外 投 資 家 は主 として香 港 ・マ カオ地 区 に集 中 して お り, 深 馴B種 株 の発 行,取 引,決 済 の香 港 ドル に よ る統 一 につ い て は歓迎 して い
る とい う。
中 国 の証 券 市場 と香 港 の証 券 市 場 との関 係 は,最 近 緊密 に な って きて い る。
93年6月 末 に は,上 海 市 場 のB種 株 が香 港 で初 公 募 され,一 般 向 け に発行 さ
22)
れ る こ とにな った。 中 国 が香 港 でB種 株 を公 募 す る の は これ が初 めて で あ る。
93年7月15日 に は,中 国 の 国 営 企 業 青 島 ビ0ル 株 式 会 社 が,香 港 証 券 取 引 所 に上場 した 。 中 国 の国 営 企 業 が 香 港 市 場 に上 場 す るの は初 め て で あ る。 青 島 ビール は,額 面1人 民 元 の香 港 発 行 株 式 を3億1760万 株 発 行 す る とい う も
の で あ る。 また,上 海 石 油 化 工 株 式会 社 も7月 に香 港 で株 式 を発 行 し,上 場 す る計 画 で あ る。
拡 大 す る株 式 取 引 に対 処 す るた め,中 国 政 府 は,証 券 市 場 の環 境 整 備 を進 め て い る。
証 券 市 場 の マ ク ロ管 理 を強 め}関 係 政 策 を統 一,調 整 し,証 券 の 監督 管 理 体 制 を確 立,整 備 して,広 範 囲 な投 資 家 の利 益 を保護 し,証 券 市 場 の 健 全 な
23)
発 達 を促 す た め,国 務 院 証 券 委 員 会 と中 国証 券 監 督 委 員 会 を設 立 した 。 証 券 委 員 会 は,国 が 証 券 市 場 に対 して行 う統 一 的管 理 の 主 要機 関 で あ る。 証 券 委 員 会 の主 な職 責 は,① 証 券 市 場 関係 の 法律,法 規 草 案 の作 成 を促進 す る,② 証 券 市 場 に関連 す る方 針 ・政策 と規 則 ・制 度 を研 究,制 定 す る,③ 証 券 市 場
126国 際 経 営 論 集No61994
の発 展 計 画 を定 め,計 画提 案 を出 す,④ 各 地 区,関 係 各 省 庁 の証 券 市場 関 連 の 諸 活 動 を指 導,調 整,監 督,検 査 す る,⑤ 中国 証 券 監 督 管 理 委 員 会 を一 括
の
管 理 す る,こ とで あ る。 中 国証 券 監 督 委 員 会 の 主 な職 責 は,① 証 券 委 員 会 の 授 権 に基 づ いて,証 券 市 場 関 係 の管 理 規 則 を作 成 す る,② 証 券 取 扱機 関 の証 券 業 務,特 に株 式 の 自己 売 買 に つ い て の監 督,管 理 を行 う,③ 有 価 証 券 の 発 行 取 引 お よび一 般 向 け株 式 を公 募 して い る会 社 に つ い て法 に基 づ く監 督 ・管 理 を実施 す る,④ 国 内企 業 に よ る国外 企 業 向 けの株 式 発 行 に つ い て監 督 ・管 理 を実 施 す る,⑤ 関 係 省 庁 と共 同 で,証 券 の統 計 を作 り,証 券 市場 の 状 況 を 研 究,分 析 す る と共 に,証 券 委 員 会 に適 時 に活 動 を報 告 し,提 案 を出 す,こ
ラ
とであ る。実際 の企業 の株 式発行 を審 査す る機関 として株式発行審査委 員会
が 設 立 され た。 今 回発 足 した委 員 会 は,独 立 した 活 動 機 関 で20人 の委 員 か ら 構 成 され て い る。 証 券 市 場 の法 律 につ い て は まだ整 備 され てお らず ,現 在 証 券 取 引法 を起 草 中 で あ る。93年1月15日 に 国務 院 発 表 され た 「証 券市 場 の マ ク ロ管 理 強 化 に関 す る通 達 」 が,現 在 の 中国 の証 券 市 場 制 の指 導 的文 書 とな
27}
っ て い る。
(3)国 営企 業の株 式化
中 国 で は国 営企 業 の株 式化 が 徐 々 に進 め られ て い る。 中 国政 府 は,大 規模 国 営 企 業 に つ い て は,一 挙 に株 式 化 を行 うの で は な く,除 々 に株 式 化 を推 進
28)
して い く方 針 で あ る。
1984年,北 京 で最 初 に 国営 企 業 として株 式化 を実施 した 天橋 有 限 公 司 の事
29)
例 を見 て み よ う。 この会 社 の 前 身 は,大 規 模 で は ない が 中型 の 国 営 企 業 で あ っ た。 株 式 会 社 制 度 を導入 す る以 前 はi種 々 の制 約 か ら経 営 難 に陥 っ て いた。 す なわ ち,企 業 管 理 面 で は,企 業側 に経 営 自主権 が な い こ とが 営 業 拡 大 の妨
げ に な っ て いた 。 企 業 のす べ て の業 務 や 経 営活 動 に,上 級 の主 管 部 門 の認 可 が必 要 で あ った 。 才能 の あ る管 理 者 や 経 営 者 が十 分 才能 を発揮 す る こ とが で きず,従 業 員 はや る気 を失 っ て し まっ た とい う。 また,企 業 資本 は,中 型 の デパ ー トの た め後 回 しに され,国 家 か ら厳 し く制 限 され,資 金 不 足 に陥 った
中国の企業経営127
とい う。 この状 態 を改 善 す るた め,北 京 で も最 初 の株 式 会 社 制 度 を大 胆 に導 入 した。 株 式 を発 行 し,企 業 を株 式 制 に改革 す る こ とは,新 中 国 で は初 め て の こ とで あ った の で,北 京 市 政 府 と関係 部 門 の協 力 に よって 「天橋 百 貨 店株 式 会 社 規 定 」を制 定 した。 株 式 は,24万 株,1株100元 。 北 京 市 の ほか 地 方 の 企 業 や事 業部 門 お よび個 人 の いず れ も株 主 にな れ る。 株 券 は,関 係 部 門 の認 可 を経 て,数 次 に分 け,北 京 市 商 工 銀 行 が代 理 発 行 す る。 株 主 の 企業 管 理 の 権 利 や 利 益 享 受 の権 利 や,出 資額 の大 小 に よっ て,企 業 の損 失 を分 担 す る責 任 に も触 れ て い る こ とが興 味 深 い。株 式 は,法 律 に基 づ く相 続,譲 渡 が 可 能 で,証 券 取 引 所 で売 買 す る こ とが で きる。株 主 構 成 は,国 家50.97%,銀 行25.89
%,企 業19.58%,個 人3.46%で あ る。出資 者 の うち 国家 が,過 半 数 を 占 めて お り,従 業 員 を含 ん だ個 人 株 主 の比 率 は低 い 。 株 式会 社 移 行後 は,経 営 成 果 が著 し く向上 し,相 当 の利 益 を上 げ る こ とが で きた。 利 益 の配 分 につ い て は,
まず,国 家 の規 定 に基 づ い て税 金 を支 払 う。残 った 利 益 を100%と して,理 事 会 基 金 の12%を 差 し引 く。 つ ぎ に,44%を 株 配 当基 金 に,44%を 拡 大 再 生産 の た め の資 金 に振 り向 け る。 この3年 間,株 配 当 金 は,ず っ と銀行 預 金 の利 息 よ り高 か っ た とい う。
㈲ 株 式制度 に関す る論議
国 営企 業 の株 式 制 導 入 に関 して,中 国 で はか な り激 しい議 論 が行 わ れ て い る。
導 入 推 進 派 の主 な主 張 は,株 式 制 度 を導 入 す る こ とに よ り,国 営 企 業 が 活 性 化 され るで あ ろ う とす る。 国 営 企 業 に株 式 制 度 を導 入 す る こ とに よっ て, 企 業 の 所有 権 と経 営権 が 分 離 され る。 これ に よ り,行 政 と企 業 の職 務 分 離 が 促 進 され,企 業 の 自主 権 を保 証 す る こ とが で き る と考 え る。 また,企 業 の利 益 配 分 も明 確 に な る。 これ まで は,企 業 の獲 得 した利 益 を国家 に全 額 上 納 し, 企 業 に は 自主裁 量 権 が ほ とん ど認 め られ て い なか った 。株 式制 度 の 導 入 に よ
り,国,企 業 の利 益 配 分 は企 業 か ら税 金 と して国 庫 に利 益 の一 部 を収 め る形 とな る。 税 引利 益 につ い て は国 は株 主 として,他 の企 業 株 主や 個 人 株 主 と同
128国 際経営論集No61994
じ よ うに配 当 を受 け る。 企 業 は行 政 の 従 属 的 存 在 で は な く,責 任 能 力 の あ る
30)
経 営体 と して利 益 配 分 を行 うの で あ る。
株 式 が 内部 発 行 され れ ば,従 業 員 の株 主 と して の個 人 的 利 益 と,企 業 の利 益 が結 び付 く。 これ は,企 業 の運 命 共 同体 意 識 を植 え付 け,従 業 員 に主体 性 を持 たせ,モ チベ0シ ョン を高 め るの に役 立 つ。 さ ら に,株 式 制 度 に よ って 遊 休 資 本 を集 中 し,企 業 活 動 に有 用 な社 会 資本 とす る こ とが で き る。
株 式制 度 導 入 に懐 疑 的 な主 張 も根 強 い。 この代 表 的 意 見 は,次 の よ うな 考 えで あ る。 株 式 会社 制 度 に よっ て,企 業 の所 有 権 と経 営権 を分 離 で き るか に つ い て も疑 問 が あ る。 国 営 企 業 に つ い て は,多 くの株 式 は事 実 上 国 家 しか 保 有 で きな い。 企 業 の最 大 株 主 とな る国 家 は,自 らの意 志 で取 締 役 を送 り込 み, 経 営 に つ い て も意 志 を貫 こ う とす る。 これ で は,国 家 が 企 業 を直 接 管 理 して い た従 来 の体 制 と同 じで あ る。 株 式 制 度 は,改 革 に よっ て企 業 が手 中 に しか けた 自主権 を弱 め る こ とに もな る と所 有 権 ・経 営権 の 分 離 に つ い て疑 問 を投 げ掛 けて い る。 さ らに,株 式 会 社 は定 期 的 に配 当 を払 わ な けれ ば な らず ,株 主 へ の配 当義 務 や配 当額 引 き上 げ の圧 力 が か か っ て,企 業 は,目 先 の利 益 ば か りを求 め る こ とに な る。 社 会 的 に は,株 式 制度 の実 施 に よ って不 労 所 得 の 比 率 が 拡 大 し,利 子 生 活 者 を生 み 出 し,社 会 の不 平 等 感 が 強 ま る。 株 式 の売
買 が活 発 に なれ ば,投 機 的 な心 理 を助 長 す る こ とに もな る と,主 張 して い る。
社 会 主義 国 中 国 にお い て,株 式 制 度 を成 功 させ る に は,著 者 は以 下 の施 策 が もっ と も重 要 で あ る と考 え る。 国 の 企 業 に対 す る関与 を最 小 限 に し,企 業 の 自主 性 を与 え る よ うな株 式制 度 にす る こ とで あ る。 それ に よ り,初 めて 所 有 と経 営 が 分 離 され,専 門経 営 者 が 自 由 に経 営権 を行 使 で き るで あ ろ う。 そ の た め の制 度 と して,第1に,国 が所 有 す る株 式 は な るべ く優 先 株 にす る こ と,第2に,機 関 投 資 家 と して の法 人 株 主 を増 や し株 式持 ち合 い に よ り経 営 者 支 配 を実 現 す る こ と,第3にa従 業 員 持 ち株 の比 率 を高 め る こ と,等 の施 策 が 考 え られ る。
第1の 優 先 株 の導 入 に関 して は,優 先 株 は,普 通 は無 議 決 権 株 で あ り,経
中 国 の企 業 経 営129
営 参 加 権 が な い こ とか ら,国 が優 先 株 と して 所 有 して いれ ば,国 の 企 業 に対 す る経 営 権 は理 論 的 に は な い こ とに な る。 国 が 国 営 企 業 に対 して,全 く経 営 権 が存 在 しな い とい うの は現 実 に は不 可 能 か も知 れ な い が,出 来 るか ぎ り国 が 企 業 の経 営 権 に干 渉 しな い た め に,す べ て で は ない が一 部 に優 先 株 制 度 を 導 入 す るの も1つ の制 度 と して有 効 で あ ろ う。 また,国 の直 接 的 関与 を減 ら す た め に,国 の代 わ りに国 営 の 銀 行 や 地 方 公 共 団体 が 国営 企 業 の株 を所 有 す る形 を とった り,国,銀 行,地 方 公 共 団体 が株 式 を持 ち合 う とい う施 策 も考
え られ よ う。
第2の 法 人 株 主 に よ る株 式持 ち合 い制 度 の導 入 に関 して は,高 度 資 本 主 義 国 が経 営者 支 配 の 社会 に な った 背 景 に は,こ の存 在 が あ るの は承 知 の こ とで あ ろ う。 社 会 主 義 国 中 国 に お い て,所 有 と経 営 が分 離 され,経 営者 支配 にす るた め には,や は り資 本 主義 国 と同様,多 数 支配 株 主 を減 少 させ,株 主 を分 散 させ る必 要 が あ る。 中 国 政 府 が株 式 を多 数 所 有 して い れ ば,た とえ株 式 制 度 を導 入 した と して も所 有 と経 営 の分 離 は達 成 され な い。 政 府 が大 株 主 とし て,経 営 者 の任 命 ・罷 免 等 の人 事 権,経 営 計 画,投 資 決 定,生 産 計 画 等 の経 営 戦 略 に干 渉 す るか らで あ る。 中 国 を見 る と,現 実 的 に株 式 を所 有 で き る法 人 株 主 は,資 金 的 に余 裕 の あ る国 営 企 業 や 公 営 企 業,こ れ に加 え,銀 行,保 険 会 社 等 の金 融 機 関 が 中心 で あ ろ う。いず れ に して も,中 国 国 営 企 業 は,様 々
な法 人 機 関 投 資 家 か ら資 金 を導 入 し,少 数 所 有 支 配 の 方 向 へ 向 か わ な けれ ば な らな い。 社 会 が近 代 化 ・工 業 化 され る につ れ て,経 営 者 支 配 の社 会 に な る とい う収 欽 仮 説 が あ る。筆 者 は この仮 説 に対 して基 本 的 に賛 成 で あ る。 も し, 社 会 主 義 国 中国 で,近 代 化 と共 に経 営 者 支 配 の方 向 に進 む な ら,体 制 を問 わ
ず 経 営 者 支 配 の社 会 が 実 現 す る こ とにな る。 これ は極 めて興 味 の あ る事 実 で あ り,経 営 学 として も重 大 な問題 で あ る。筆 者 の 見 解 を述 べ よ う。 経 営 を活 性 化 させ るた め に は,資 本 主 義,社 会 主 義 とい う体 制 を問 わず,有 能 な専 門 的 経 営者,い わ ば テ ク ノ クラ ー トに よ る経 営 支 配 ・運 営 が不 可 欠 で あ る。 そ うで あ るな らば,所 有 と経 営 を分 離 させ,経 営 者 支配 の形 が望 ま しい。 中 国
130国 際経営論集No.61994
にお い て も,本 気 で企 業 を活 性 化 させ よ う とす るな らば
,資 本 主 義 諸 国 ほ ど で は な い が,経 営 者 支 配 に な らざ る を え な いで あ ろ う と考 えて い る
。 第3の 施 策 と して考 え られ る従 業 員 持 ち株 比 率 を高 め る こ とに つ い て は
, 中 国 で の その 実施 は比 較 的容 易 で あ ろ う。 従 業 員 の株 式 所 有 に よ る経 営 参 加 は,社 会 主 義 国 の理 念 か ら して も適 合 的 で あ る。 従 業 員 が,自 社 の株 式 を所 有 す る こ とで,会 社 との一 体 感 を醸 成 し,モ チベ ー シ ョン を高 め,か つ会 社 の業 績 に対 す る興 味 と関心 を増 大 させ る効 果 に つ い て は,資 本 主義 国 で証 明 済 み で あ る。
株 式会 社 制 導 入 は,実 験 的段 階 か ら本 格 的 実 施 の段 階 へ進 ん で い る。 深 馴 市(広 東 省)で は,86年 度 以 降,徐 々 に大 型 国 営 企 業 が 株 式 制 を採 用 した
。 これ らの 企 業 で は,経 営 効 率 が急 速 に向上 した 。 す べ て の国 営 企 業 と一一部 の 集 団企 業 を対 象 に,現 有 資産 の株 へ の評 価 替 え を実 施 して お り,続 い て国 家, 企 業,個 人 に よ る株 式保 有 率 の 調整 作 業 に入 っ て い る。 国 家 株 主 に は,深 別 市 政 府 直属 の同 市 投 資 管 理 公 司 が な り,各 企 業 の 役 員会 に も代 表 を派 遣 す る
こ とに な る。 また,公 司 間,業 種 間 の株 式 持 ち合 い を進 め る と同 時 に
,同 市 に株 式 市場 一一 深 堺 証 券 取 引所 一一 が設 立 され た。 中国 政 府 が 国営 企 業 の株 式制 移 行 政 策 を今 後 ど う行 な っ て い くか,非 常 に興 味 の あ る こ とで あ り
,注 意 深 く見 ま もって い きた い。
1‑2経 営 管理 の 改 革 (1)企 業 臼主権の拡大
従 来 まで の国 家 に よ る集 権 的企 業 統 制 か ら,企 業 の 自 由裁 量 権 を大 幅 に認 め る・ 国 か ら企 業 へ の権 限 の分 権 化 が 急 速 に進 展 した。 この企 業 自主権 の拡 大 政 策 は,1984年5月,国 務 院 に よ る暫 定 規則 の交 付 に よ り正 式 に具体 化 さ れ た。 これ は,党 の第11期 第3回 全 体 会 議(1978年12月)以 来 の企 業 自主 権 拡 大 と企 業 管 理 制 度 改 革 にお け る1つ の成 果 で あ る。現 在 の 企 業 自主 権 の拡 大 は,こ の規 則 が基 礎 に な って行 わ れ て い るの で,以 下 で,こ の規 則 の 内 容
中国の企業経営131
31}
を 中心 に企 業 自主権 の 内容 を検 討 して み よ う。
この暫 定 規 則 は,10項 目 にわ た って,企 業 の 自主権 の 内容 を明 らか に して い る。
① 生 産 経 営 計 画 につ い て一一 企 業 は,国 家計 画 と国 家 との供 給 契 約 を確 実 に達 成 した 後,国 家 の建 設 と需 要 を満 た す た め に,必 要 な製 品 を 自主 的 に増 産 す る こ とが で き る。 も し需 要 と供 給 の状 況 に大 き な変 化 が 生 じ
た とき に は,企 業 は上 級 の財 政 主 管部 門 に計 画 の修 正 を 申 し出 る こ とが で き る。
② 製 品 の販 売 につ い て 国家 の 特殊 な規 定 に よっ て 自 ら販 売 す る こ と が認 め られ て い な い企 業 の場 合 を除 き,企 業 とあ らか じ め生 産 物 を分 け 合 う こ とを決 め て共 同 で生 産 した製 品 や,国 家計 画 の割 り当 て以 上 に生 産 した 製 品,試 作 した製 品,国 家 の購 入 部 門 が 購 入 しな い製 品,滞 貨 在
庫 品 は,す べ て企 業 が 自主的 に販 売 す る こ とが で き る。
③ 製 品価 格 につ い て一 一工業 の 生 産 資料 の うち,企 業 が 自 ら販 売 して よ い部 分,お よび企 業 が 国 家計 画 を完 成 した後 に超 過 生 産 した部 分 につ い て は,一 般 に,国 家 規 定 価 格 以 下,あ る い は20%以 内 の幅 の なか で,企 業 は 自 ら価 格 を決 め る権 限 を有 す る。 基 本 的 な生 活 資 料 と農 業 用 の生 産
資 料 に属 す る製 品 に つ い て は,国 家 が定 め た価 格(国 が定 めた 浮 動価 格 を含 む)を 守 らな けれ ば な らな いが,企 業 が 計 画 外 で 自 ら販 売 で きる も の につ い て は,こ れ を他 の企 業 と協 力 ・合 作 に利 用 す る こ とが で き る。
④ 物 資 の選 択 購 入 につ い て一 一国 家 が 統一 的 に配 分 す る物 資 につ い て, 企 業 は,発 注 に際 して,ど の企 業 か ら購 入 す るか を選 択 す る こ とが で き
る。
⑤ 資金 の使 用 につ いて一 企 業 は,所 得(利 潤)の うち の企 業 内 に留 保 す る部 分 の資 金 を,上 級 主 管 部 分 が規 定 した比 率 に従 って,生 産 発 展基 金,新 製 品 開発 基 金,準 備 基 金,従 業 員 福利 基 金,奨 励 基 金 に 区分 して,
自 らそれ らの基 金 を使 用 す る こ とが で き る。1985年 か ら,企 業 の減 価 償 132国 際経営論集No.61994
却 基 金 の うち70%は 企 業 に留 保 され る こ とに な った 。 企 業 が 当面 使 用 し な い生 産 発 展 基 金 につ い て は,自 発 性 と相 互 利 益 の原 則 に基 づ い て
,合 作 経 営,連 合 経 営,保 証 貿 易 な どの形 で,企 業 以 外 に投 資 す る こ とが で
き る。
⑥ 資 産 の処 理 に つ いで 一 一企業 は,使 用 して い な い余 分 の 固定 資産 を他 の 企業 等 に賃 貸 し,有 償 で譲 与 す る権 限 を有 す る。
⑦ 新 しい機 構 の 設 置 につ い て一 一 企 業 は,上 級 主 管部 門 が 定 め た定 員 編 成 の枠 内 で,そ の生 産 業務 上 の性 格 と実 際 の必 要 性 に照 ら して ,自 ら新
しい機 構 を設 置 し,人 員 を配 置 す る こ とが で きる。
⑧ 人 事 と労 務 管理 に つ い て一 一 工 場 長(経 理)と 企 業 党 委 員 会 書 記 は, そ の企 業 を管 轄 す る上 級 主 管部 門 よっ て任 命 され,上 級 主 管部 門 に報 告
しその 認 可 をえ て任 免 され る。 工 場 の ミ ドル マ ネ ジ メ ン トは工 場 長 に よ って任 免 され る。 工場 長 は,従 業 員 を褒 賞 し,処 罰 す る権 限 を有 す る。
これ に は,昇 給,奨 励,免 職 処 分 の権 限 が 含 まれ る。 工 場 長 は,ま た優 秀 な従 業 員 を選 ん で採 用 す る こ とが で きる。
⑨ 賃 金 と賞与 に つ い て一 一 企 業 は,国 家 の統 一 規 定 に基 づ く賃 金標 準, 地 域 別 賃 金 制 度 お よ び全 国 的 に統 一 され て い る一 連 の手 当制 度 に従 う と い う前 提 の下 で,そ の企 業 の特 徴 に基 づ き,自 らの賃 金 形 態 を選 ぶ こ と が で き る。 工場 長 は,特 別 の貢 献 が あ った従 業 員 を昇 給 させ る権 限 を有 す るがs昇 給 させ る従 業 員 の 数 は,毎 年,従 業 員 総 数 の3%以 内 とす る。 さ らに,近 年,企 業 はそ の経 営状 態 に よっ て,従 業 員 の賞 与(奨 金)を 自 ら決 め る こ とが で き る よ う にな った。
⑩ 連 合 経 営 につ いて一 企 業 の所 有 型 式,所 属 関 係,財 政 体 制 を改 革 し な い とい う条 件 の下 で,企 業 はy部 門 を超 え,地 域 を超 えて連 合 経 営 に 参 加 した り,連 合 経 営 を新 た に組 織 す る こ とが で きる。 企 業 は この よ う に して立 地 に適 した 地 点 を選 び,共 同 ・合 作 を組 織 し,製 品 の販 売 網 を 各 地 に拡 大 す る こ とが で きる。
中国の企業経営133
以 上 の よ うな規 定 に よ り,中 国 国営 企 業 は,政 府 に よ る高度 な中央 集権 的 管 理 か ら,企 業 に一 部 権 限 の 分権 化 が 行 わ れ,企 業 自主 権 が 高 め られ た 。
現 在 まで に,企 業 自主 権 は さ ら に拡 大 され,1992年7月 に,政 府 は 「全 人 民 所 有 制 工 業 企 業 経 営 メ カニ ズ ム転 換 条例 」 を交付,国 営 企 業 に大 幅 な 自主 権 を与 え る政 策 を実施 した 。 この 実施 条例 は,国 営 企 業 の経 営 メ カ ニ ズ ム の 転 換 を早 め,国 営 企 業 の市 場 進 出 を促 進 させ る こ とに よ り国 営企 業 を活 性 化 させ るた め の措 置 で あ32).こ の 条例 に よ る と,国 営 蝶 は14の 点 で+分 な経 営 自主権 を持 つ よ うに な っ た。 国 営 企 業 の工 場 長 は,以 前 の よ う に中 央 の計 画 と指 令 に よ り経 営 を行 な うの で はな く,輸 出 入,投 資,労 働 者 の採 用(国 家 が企 業 に割 り当 て る人 員 を拒 否 す る こ とを含 む)お よび,製 品 の価 格 決 定, 販 売 の点 で十 分 な 自主権 を持 つ。 この条 例 は,経 営 管 理 が悪 く,欠 損 の 多 い
国営 企 業 に対 して は,生 産 停 止,合 併,あ る い は倒 産 を実施 す る基 準 を定 め て い る。
② 工場長責任制の実施
1984年 に企 業 自主 権 の拡 大 を 目的 と した 国 務 員 の暫 定規 則 は,多 くの 点 で まだ満 足 す べ き もので は なか っ た。 企 業 の所 有 権 と経 営 権 の分 離 が 明 確 に な っ て い な い し,党 委 員 会 の工 場 長 に対 す る指 令 権 限 が残 存 し,工 場 長 の責 任 が 曖昧 にな って い た,企 業 の 自主経 営 権 に まだ 多 くの制 約 が あ る等 の 不備 が あ った 。1988年4月,第7期 全 国 人 民 代 表 大 会 第1回 会 議 は,国 営 企 業 の 自 主 経 営権 を大 幅 に認 め た 「全 人 民 所 有 制 工 業 企 業 法 」(「企 業 法 」)を 制 定 し 契.こ の法律 は,中 国繍 に主導的地位 を占める全人 民所有制 企業(国 営企
業)が 政 府 の 直 接 管 理 とい う形 か ら独 立 した 経 営 を よ り行 な え る よ うに規 定 した 法 律 で あ り,上 述 した規 則 を さ らに発 展,整 備 した もの で あ る。 そ の 主 要 な 内容 を見 て み よ う。
第1は,企 業 の 所 有 権 の分 離 を制 度 的 に認 めた こ とで あ る。 企 業 の財 産 は 全 人 民 所 有 に属 して い るが,企 業 は政 府 主管 部 門 の決 定 に基 づ き,請 負,リ
ー ス な ど経 営 責 任 制 方 式 を取 る こ とが 出 来 る,と 明 確 に規 定 して い る。 す な
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わ ち,経 営 請 負 制 度,リ ー ス等 の経 営 者 に経 営 を委 託 す る形 で の 経 営 を認 め た こ とで あ る。
第2は,企 業 の権 利 と義 務 が さ らに明確 に され た 。 国 の計 画 指 導 の下 で のs 生 産 の配 置,製 品 の販 売,資 金 の使 用,労 働 ・人 事 の 移 動 な どに つ い て の企 業 の権 利 を認 め た。 企 業 の 国 際 市 場 へ の進 出 を容 易 に させ る た め,企 業 は 国 務 院 の規 定 に基 づ き外 資 と交 渉 し,契 約 に調 印 す る権 利 を持 て る よ うに した。
賃 金 分 配 に関 して,労 働 に応 じた 分 配 を前 提 と して,企 業 は その他 の 分 配 方 式 を取 る こ とが で き る と して,賃 金制 度 の 多様 化 を認 め た。 また,企 業 は, 他 の企 業 の株 式 を所 有 す る権 利 と,債 権 発行 の権 利 を持 つ と規 定 して い る。
第3は,工 場 長 責 任 制 を よ り明 確 に した こ とで あ る。 条 文 に,工 場 長(経 理)に 生 産 経 営 の 方 針 決 定 権,指 揮 権 と人 事 権 を与 え,企 業 の法 人 代 表 と し て,企 業 の経 営 に関 して 全 面 的 に責 任 を負 う と明確 に規 定 して い る。 また, 企 業 の党 組 織 は,当 該 企 業 で の 一 元 的 指 令 を実 施 せ ず,そ の経 営 へ の関与 を 制 限 して い る。 党 組 織 は,党 と国 の 方 針,政 策 の 当該 企 業 で の貫 徹,執 行 を 保 証y監 督 す る,と 企 業 で の役 割 を規 定 して い る。
第4は,労 働 者,職 員 の地 位 の規 定 と民 主 管 理 の 実 現 で あ る。 従 業 員 の社 会 主義 企 業 にお け る主 人 公 の地 位 を保 証 す るた め,企 業 法 は,企 業 は労 働 者, 職 員 代 表 大 会 とその 他 の 方 法 を通 じて民 主 管 理 を実 行 す る,と 規 定 して い る。
企 業 の工 会(労 組)は,労 働 者,職 員 利 益 を代 表 し,守 り,法 に基 づ い て独 立,自 主 の活 動 を展 開 し,労 働 者,職 員 を組 織 して民 主管 理 と民 主 監 督 に参 加 させ る と規 定 して い る。 労 働 者 の 民 主権 利 の擁 護 の た め に,住 宅 の分 配, 従 業 員 の福 祉 基 金 使 用,賃 金 調 整,労 働 保 護 な どに つ い て は,企 業 は,従 業 員 代 表 大 会 の 同 意 また は決 定 を経 る必 要 が あ る と規 定 して い る。
従 来 は,工 場 長 責 任 制 とい って も党 委 員 会 指 導 下 で の工 場 長 責 任 制 で あ っ た。 そ の た め,工 場 長 と企 業 の党 組 織 の責 任 者 との 間 の権 限 分 担 が曖 昧 で, 責 任 が不 明瞭 とい う弊 害 が あ っ た。 時 に は,経 営 を め ぐる意 見 対 立 が生 じた
り,党 が過 度 に経 営 に関与 す る場 面 で あ った。 党 委 員 会 の 委 員 は,必 ず し も 中国の企業経営135
経 営 に関 す る専 門 家 で は ない に もか か わ らず,経 営 に関与 した 。 これ は,い わ ば専 門 家 を無 視 して 素人 が 経 営 を行 う よ うな もの で あ り,企 業 が 活 性 化 さ れ る もの で は な い。 経 営 が う ま くい くた め に は,社 会 主 義 の企 業 で あ っ て も 経 営 に関 す る知 識 と経 験 を持 った 専 門家 一一経 営 の テ ク ノ ク ラー ト に よ り担 わ れ る必 要 が あ る。 そ の点 で,党 の関 与 は経 営 にマ イ ナ ス にな るの で あ る。 工 場 法 に よ り,党 の企 業 経 営 に対 す る関与 が制 限 され,工 場 長 の意 思 決 定 権 と経 営 責 任 が一 致 され る こ とに よ り,一 層 の 経 営 管 理 自主権 の 拡 大 と工 場 長 責 任 制 の進 歩 を もた ら した 。 しか し現 実 に は,依 然 と して,党 と工 場 長 との 間 に は摩 擦 が 生 じて お り,今 後,党 と企 業 の 関係 を ど うす るか,工 場 長 責任 制 が 成 功 す るか を左 右 す る難 しい 問題 にな ろ う。
⑧ 経営責任請負責任制 と リース制経営
中 国 で は,企 業 経 営 を契 約 や リー ス とい う形 で 委 託,請 負 わ せ る制 度 と し て,経 営 責 任 請 負責 任 制 と リー ス制 経 営 が 実施 され て い る。1990年 末 まで に, 中 国 の全 人 民 所 有 制 企 業(国 営 企 業)の なか で88.6%が 経 営 責 任 請 負 制 を実 施 して い る。
経 営 責 任 請 負制 の一種 で あ る,資 産 経 営 責 任 制 と リー ス制 経 営 に関 して武
34)
漢 市 の ケ ー ス を見 て み る こ とに し よ う。 資 産 経 営 責 任 制 とは,国 営企 業 の現 有 資 産 を査 定 し,そ れ が年 間 に実現 す べ き利 潤 水 準 を決 め,そ の後 公 開入 札 を行 い,落 札 者 に経 営 を させ る方 式 で あ る。落 札 者 は任 期 内 に,契 約 で規 定 され た利 潤 目標 を毎 年達 成 す れ ば,そ の 年 の 基本 賃 金 に等 しい褒 賞 金 が も ら え,年 間 の利 潤 目標 を達 成 しなか った場 合,そ の1%を 下 回 る ご とに,落 札
した 主 要請 負 者 の 年 間 基 本賃 金 の5%を 差 し引 か れ,ほ か の協 力 者 も責 任 の 大 小 に応 じて相 応 の比 率 で賃 金 が 引 か れ る。 こ う した責 任 制 は,企 業 の所 有 権 と経 営権 の分 離,企 業 の独 立 経 営,独 立 採 算 の 原則 が具 体 化 され て い る。
小 型 国 営 企 業 に適 した経 営 責 任 請 負制 として,リ ー ス制 経 営 が あ る。 リー ス 制 経 営 の手 続 き として は,ま ず,基 準 利 潤 と基 準 リー ス料 を確定 し,公 開 入 札 で請 負 人 を選 ぶ。 請 負人 は,個 人 資産 を抵 当 と して 出す と共 に,法 律 公証
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を経 て リー ス契 約 に調 印 す る。 武 漢 市 政 府 は,リ ー ス制 経 営 を奨 励 して お り, 請 負人 は十 分 に経 営権 を行 使 す る こ とが で き,そ の 所 得 は従 業 員 の平 均 所 得
の2倍 な い し4倍 を上 回 っ て も よい し,目 立 った成 果 を上 げ た もの は6倍 を 上 回 っ て も よい こ とにな って い る。 同 時 に,請 負 人 は,リ ー ス制 経 営 の期 間, 資 産 増 加 と設 備 保 全 率 の 目標 を実 現 しな けれ ば な らず,略 奪 的 な経 営 を禁 止 す る こ とが 規 定 され て い る。
① 経 営 責 任 請 負 制
経 営 責 任 請 負 制 とはy所 有 権 と経 営 権 を分 離 す る とい う原 則 に基 づ きy経 済 的契 約 に調 印 す る形 式 を通 じて1つ の企 業,1つ の部 門,1つ の基 本 的 生 産 単 位 の 主 な責 任 者(ま た は責 任 者 集 団)の 経 済 的 な責 任 と利 益 を明 らか に
35)
し,担 当 して い る仕 事 に責任 を持 つ よ うに す るた め の制 度 で あ る。 経 営 責 任 請 負 制 は,企 業 の所 有 権 は国家 に あ るが,経 営 権 は企 業 自身 にあ る とい う所 有 と経 営 の 分 離 が 可 能 とな る。 経 営責 任 請 負 制 は,よ り企 業 自主 権 が拡 大 さ れ た制 度 で あ る。 また,一 般 的 な経 営 責 任 請 負 制 の 規 定 に よれ ば,企 業 が 契 約 した 請 負額 を超 えた 部 分 は利 潤 として企 業 に与 え,企 業 業 績 を賃 金 ・賞 与 総 額 と連 動 させ て い る た め,企 業 経 営 の業 績 が よ けれ ば企 業 に は留 保 が 多 く
な り,従 業 員 の賃 金 も多 くな る。
現 在,経 営 責 任 請 負制 の 内容 は,利 潤 だ け の指 標 に よ る請 負 だ けで は な く, 他 の指 標 に基 づ く請 負 も行 わ れ て い る。例 え ば,上 納 す べ き利 潤 額 の ほか に 技 術 の 改 善,新 製 品 の 開発,製 品 の 品 質,物 資 の消 費,設 備 の信 頼 度,資 金 運 用 の効 果,計 画 と契 約 の実 行 度,安 全 生 産 な どが あ る。
雛 責任 請負制の形態 と しては,以 下 の4願 が代表的 な もので認 。 (1)国 家 と部 門,下 位 部 門,企 業 との 間 の請 負 方 式 この方 式 は もっ と
も一 般 的 な 方式 で あ る。 この請 負 方 式 で の 国家 の部 門,下 位 部 門,企 業 との利 潤 配 分 に関 して は,主 に4種 類 の もの が あ る。 第1は,契 約 した 利 潤 を納 め る こ とを保 証 し,達 成 で きな い場 合 に は保 有 資 金 で 補 う形 で あ る。 第2は,企 業 が製 品税 を納 めた 後 に,納 税 基 準 額 を基 準 に して毎
中 国 の企 業 経 営137
年 決 め られ た増 加 率 で政 府 の財 政 部 門 に対 して利 潤 を納 め る形 で あ る。
納 め る利 潤 を しだ い に増 大 す る請 負契 約 で あ る。第3は 企 業 が 納 め る利 潤 額 を一 定額 に して,残 りの超 過 利 潤 はす べ て企 業 留保 に な る形 で あ り・
年 数 は 自 由 に定 め るか,1年 を期 間 と して い る。 第4は,企 業 の納 め る 利 潤 の 基 本額 を確 定 し,そ れ を超 過 す る利 潤 部 分 は国家 と企 業 に対 して 決 め られ た比 率 で 配 分 す る とい う形 で あ る。 配 分 期 限 は 自由 に決 め る こ
とが で き る。
② 部 門 と下 位 部 門s企 業集 団 内部 にお け る請 負 方 式一 一イ列え ば,鉄 道 部 と各 鉄 道 局 の 間,鉄 道 局 と分 局 の 問 とい った 部 門 と下 位 部 門,お よび リ ー ダー企 業 と関連 企 業 の 間 とい っ た企 業 集 団 内部 に お け る請 負 方式 で あ
る。
(3)企 業 内請 負一 この方 式 は,企 業 の経 営 管 理 層 と各職 能 部 門,職 員 と の 間 の請 負 で あ る。
(4)業 績 の よい企 業 に よ る業績 不振 の企 業 の請 負 業 績 不 振 の企 業 を, 業績 の よ い企 業 が 肩代 り し請 負 う方 式 で あ る。
経 営 責 任 請 負制 は,所 有権 と経 営 権 の分 離 を実現 し,企 業 に よ り多 くの 自 主 決 定 権 と経 営 責 任 を与 え る こ とに よ り,企 業 が活 性 化 され,業 績 の 向上 が 期 待 され る。 また,場 合 に よ って は,外 部 か ら経 営者 を招 喚 す る こ とが 可能 とな る し,経 営 者 の業 績 評 価 も明確 に な るの で,ト ップマ ネ ジ メ ン トの経 営 管 理 能 力 を高 め る こ とが 可 能 とな る。 しか しi経 営 者 は,契 約 期 間 に 目標 を 確 実 に達 成 させ よ う と して,短 期 的 視 点 にた っ た経 営 を行 いや す い とい う批 判 や,適 任 者 の経 営 者 は,入 札 な ど を通 して選 べ るわ けで は な い とい う批 判
もあ る。
い ず れ に して も,経 営 責 任 請 負制 にお い て 問題 にな る点 は,合 理 的 な請 負 期 間 と基 準 数 値 を取 り決 め る こ とで あ る。請 負基 準 数値 の確 定 は慎 重 か つ 合 理 的 に,し か も十 分 な科 学 的 根 拠 に基 づ い て行 わ な けれ ば な らな い。 この問 題 に対 して は,市 場 メ カニ ズ ム の導 入 と入 札 に よ る請 負 を通 じて解 決 す る こ
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とが 可 能 だが,実 際 の入 札 に よ る請 負竸 争 は市 場 の制 約 を受 けて お り限 界 が あ る。 特 に,大 ・中規 模 の企 業 が入 札 を実施 す る こ とに は困難 が伴 って い る。
請 負期 間 につ い て は,こ れ を合 理 的 に取 り決 め るか ど うか は経 営 者 が短 期 的 行 為 を克 服 して い け るか に関 係 して い る。
91年 か ら第2期 の経 営 責任 請 負 制 が 開 始 され た。 今 回 の経 営 責 任 請 負 制 は,37)
従 来 の 「競 争 請 負制 」 をや め,請 負 責 任 者 を財 政 当局 とその直 接 上 級行 政 機 関 か ら任 命 す る こ とに な った。 これ は,所 有 と経 営 の分 離 とい う視 点 か ら見 る と後 退 した こ とに な る。
いず れ に して も,経 営 責 任 請 負 制 は,現 実 に多 くの成 果 を上 げ て お り,中 国 政 府 も引 き続 き経 営 責任 請 負 制 を推 進 し よ う と して お り,今 後 の この制 度
の動 向 に注 目す べ きで あ ろ う。
② リー ス制 経 営
リー ス制 経 営 は,所 有 制 の性 質,隷 属 関係,租 税 と利 潤 の上 納,従 業 員 の 地 位 を変 え な い とい う前 提 の も とで,一 定 の期 閻 内 で 企 業 の経 営 権 を有 料 で
38)
リー ス す る とい う経 営 方 式 で あ る。 リー ス制 経 営 は,所 有権 と経 営 権 の分 離 を促 進 し,企 業 の活 性 化 を はか る こ と をね らっ た もの で あ る。 企 業 を借 り受 け る経 営 者 は,競 争 入 札 に よ り決 定 し,貸 し手 との間 で リー ス契 約 を締 結 す る。 中 国 に お け る リー ス経 営 は商 業 と飲 食 サ ー ビス業 か ら始 ま って い る。 こ の経 営 形 態 は,従 業 員 の少 な い小 企 業 や わ ず か な利 益 しか上 げ て い な い企 業 に適 して い る。 この 理 由 は,こ の よ うな企 業 の資 産 は比 較 的 少 な く,か つ評 価 しや す い こ と,リ ー ス経 営 者 の収 入 が労 働 に比 例 して い る こ とで あ る。 現 在,リ ー ス制 経 営 はz小 規 模 企業 か ら中規模 企 業 へ と拡 が って い る。
リー ス制 企 業 の形 態 と して は,主 に以 下 の3種 類 が あ る。
(1)個 人 リー スー 一個 人 リー ス とは,請 負 入 札 者 を公 募 した うえで リー ス 経 営 に関 す る契 約 を結 び,一 定 期 間 内 に企 業 経 営 のす べ て の権 限 を借 り 受 け る側 に譲 り渡 す とい う形 態 で あ る。
(2>共 同 リー ス 共 同 リー ス とは,2名 か ら5名 くらいで 共 同 リー ス経 中国の企業経営139