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Title
Alignment of Biological Apatite Crystallites in Posterior Cortical Bone of Human Edentulous Mandible
Author(s) 岩田, 優行 Journal , (): ‑
URL http://hdl.handle.net/10130/3642
Right
氏名 岩田 優行
学位 博士(歯学)
学位記番号 第2104号(甲 第 1317 号)
学位授与年月日 平成27年 3月31日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項 論文審査委員 主査 櫻井 薫 教 授
副査 柴原 孝彦 教 授 副査 矢島 安朝 教 授 副査 吉成 正雄 教 授 副査 山本 仁 教 授
学位論文名 Alignment of Biological Apatite Crystallites in Posterior Cortical Bone of Human Edentulous Mandible
学位論文内容の要旨
1.研究目的
下顎骨は歯を有する歯槽部と下顎底部の2重構造を呈する特殊な骨であり、多様なメカニカルスト レスの影響を受ける。歯を介して受ける局所応力を支持するため顎骨は構造的な特性を有するが、歯 を失うと同時に歯槽部は急速に吸収し、顎骨内部構造も大きく変化する。それ故、歯の喪失に伴う骨 微細構造の変化を定量的に評価することは臨床的にも大変重要である。
骨質指標の1つである生体アパタイト(BAp)結晶は六方晶をベースとする異方性の強いイオン結 晶であり、結晶学的なa軸、c軸に沿ってイオン原子の配列が全く違うことが知られている。さらに、
骨におけるBAp結晶の配列は骨の力学機能と密接な関連性があることが着目されている。
そこで本研究では、ヒト無歯下顎骨の骨密度(BMD)および生体アパタイト(BAp)結晶配向性 について定量評価を行い、ヒト無歯下顎骨の構造的な特徴を明らかにすることを目的とした。
2.研究方法
本研究では東京歯科大学解剖学講座所蔵の歴年齢の明らかな解剖実習用日本人成人遺体 62~95 歳
(平均 79.3 歳)を用いた。代謝性骨疾患罹患歴の無い、上下無歯下顎骨 9 体(男性 7 体、女性 2 体)
を用いた。さらに、無歯下顎骨を歯槽部が丸く高い試料(歯槽相当部皮質骨厚径 薄い試料:α型、厚 い試料:β型)と歯槽部が低く平坦な試料(γ型)へ分類し、関心領域である第一大臼歯相当部の歯槽相 当部および下顎底部においてそれぞれに 4 部位ずつ計 8 計測部位を定めた。得られた計測部位に対し て、p-QCT 骨密度測定装置を用いて骨密度(BMD)測定を行った。また、同部位に対して微小領域 X 線回
折装置を用いて近遠心方向(x 軸)、仮想咬合平面へ垂直な方向(y 軸)、頬舌方向(z 軸)における BAp 結 晶配向性の測定を行った。
3.研究成績および結論
BMD 値は部位に伴う差異は認められなかったが、顎骨形態別に比較するとα型が高く、βおよびγ型が小 さかった。歯槽相当部における BAp 結晶配向性は、α型では y 軸及び z 軸への優先配向性が認められたが、
β型及びγ型では x 軸への弱い優先配向が認められた。下顎底部では、3 形態共に x 軸方向への強い 1 軸優 先配向性を示した。
皮質骨が非薄なα型の歯槽相当部では、高い BMD 値と共に y、z 軸方向へ配向性を示したが、形態的に安 定している厚い皮質骨を有する歯槽相当部では、x 軸方向への優先配向性が認められた。以上より、ヒト無 歯下顎骨は歯槽相当部の吸収と共に大部分が長管骨様構造を呈するが、歯槽相当部は歯槽骨の形態変化に よって配向方向が異なることが明らかとなった。
最終試験の結果の要旨および担当者
報 告 番 号 甲 第1317号 氏 名 岩田 優行
最終試験担当者
主 査 櫻井 薫 教 授 副 査 柴原 孝彦 教 授 矢島 安朝 教 授 吉成 正雄 教 授 山本 仁 教 授
最終試験施行日 平成27年 1月27日
試 験 科 目 口腔インプラント学
試 験 方 法 口頭試問
試 験 問 題 主題ならびに関連問題
結 果 の 要 旨
本審査委員会は主題ならびに関連問題について最終試験を行った結果、十分な学識を 有することを認め、合格と判定した。
学位論文審査の要旨
骨質指標の1つである生体アパタイト(BAp)のa軸, c軸に沿ってイオン原子の配列が全く違うことが 知られており, 骨におけるBAp結晶の配列は骨の力学機能と密接な関連性があることが着目されている。
本研究は, 日本人無歯下顎骨を歯槽部が丸く高い試料(歯槽相当部皮質骨厚径 薄い試料:α型, 厚い試 料:β型)と歯槽部が低く平坦な試料(γ型)へ分類し, 関心領域である第一大臼歯相当部の歯槽相当部および 下顎底部の骨密度(BMD)および生体アパタイト(BAp)結晶配向性について定量評価を行い, ヒト無歯 下顎骨大臼歯相当部の構造的特徴を明らかにすることを目的とした。皮質骨が非薄なα型の歯槽相当部で は, 高いBMD値と共にy, z軸方向へ配向性を示したが, 形態的に安定している厚い皮質骨を有する歯槽相 当部では, x軸方向への優先配向性が認められた。また, 下顎底部では, 3形態共にx軸方向への強い1軸優 先配向性を示した。以上より, ヒト無歯下顎骨は歯槽相当部の吸収と共に大部分が長管骨様構造を呈するが, 歯槽相当部は歯槽骨の形態変化によって配向方向が異なることが明らかとなった。
本研究委員会では, 1)関心領域を大臼歯相当部に設定した理由, 2)女性を試料として選択しているが,年 齢や骨粗鬆症の問題をクリアしBMDやBApへの影響はないのか, 3)本研究に関連したBAp結晶配向性 研究における今後の展望, 4)調査部位の形態分類についてなどの質問がなされた。これらの質問に対する 回答として, 1)有歯顎時に最も咬合力の加わる部位であり、主たるインプラント埋入部位であること, 2)
本研究にて使用した下顎骨は,東京歯科大学解剖学講座が所蔵する実習用遺体の中から,マクロレベルで骨 粗鬆症をはじめとする骨代謝疾患がみられないものについて試料採取をしたこと,また年齢によって BMD あるいは BApの結果が異なる可能性があり,本研究ではそれらについて検証はしておらず,今後の研究課題 とさせて頂くこと, 3)これまで,有歯下顎骨におけるBAp結晶配向性を明らかにしており, 今後, 無歯下顎 骨前歯部への解析を行うことで3次元的なヒト下顎骨におけるBAp結晶配向性が解明できる, 4) 使用し ていた分類は無歯顎下顎前歯部のものであったので、その表記をおよび文献を削除するなどの概ね妥当な 回答が得られた。また論文の構成や表現,図表などの改善が指摘され,訂正および追加がなされた。本研究で 得られた結果は,今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定した。