第2章
第2章 対象事業の名称、目的及び内容
2.1 事業の名称
(仮称)新門司バイオマス発電所建設事業 (以下「本事業」とする。)2.2 事業の目的
2.2.1 バイオマスエネルギーの積極的な利活用 我が国における一次エネルギーの供給動向については、石油や石炭、ガス体エネルギーと いった化石エネルギーへの依存度が高く、世界的なエネルギー需要の変動あるいは化石燃料 の市場動向に大きく影響される状況にある。このような国内の一次エネルギー供給動向下に あって、化石エネルギー源の国内安定供給に向けた石油への依存の脱却、石炭やガス体エネ ルギーへの転換等の取組がこれまで進められてきた一方、原子力を除いた非化石エネルギー 源への転換に向けた取組についてもさまざま進められてきている。 非化石エネルギー源の一つである再生可能エネルギーについては、近年のRPS制度の導入や 平成24年7月から開始された固定価格買取制度(FIT)により、特に風力エネルギー、太陽光 エネルギーを利用した発電の導入拡大に一定の成果がみられたものの、依然として化石エネ ルギーへの依存が続く状況にある。また、再生可能エネルギーの一つであるバイオマスエネ ルギーについても、これまでさまざまな政策的誘導が実施された成果として国内の木質バイ オマス等活用した事例が増えつつある。しかしながら、一次エネルギーの国内供給量に占め るバイオマスエネルギーの割合は、原油換算で2.4% (1 にとどまっており、化石エネルギー依 存からの転換ならびに低炭素社会の実現に向けた社会的な要請として、バイオマスエネルギ ーの積極的な利活用が求められているところである。 2.2.2 本事業が目指す方向性本事業において、発電用燃料として用いるPKS(Palm Kernel Shell、パーム椰子の搾油後 の殻)は、植物由来のバイオマスであることから、これを燃焼させたとしても追加的な二酸 化炭素は排出されないカーボンニュートラルなエネルギーと位置づけられる。このようなPKS の特徴を最大限に生かした本事業の創出により、電力産生に伴う化石燃料由来の温室効果ガ ス削減が期待される。また、新たなグローバル需要の取り込みにより、北九州市におけるア ジアの先端産業都市の形成に貢献するとともに、新門司南地区における雇用創出、市民生活 ならびに産業活動を足元より支える、新たなエネルギー拠点の創出を目指すものである。 1) 平成27年度エネルギー白書 平成28年5月資源エネルギー庁 p178
2.3 事業実施想定区域
事業実施想定区域は、新門司南地区の都市計画法上の工業専用地域であり、また港湾法上の 港湾区域(工業港区)に指定されている敷地面積 約64,000 m2(うち、プラント用地の想定面 積は約34,200 m2)を予定し、所在地は以下のとおりである。 所在地 福岡県北九州市門司区新門司三丁目80番4号 (図2.3-1及び図2.3-2参照)2.4 対象事業の要件
本事業は、北九州市環境影響評価条例施行規則(平成11年6月10日北九州市規則第33号)第2 条別表第1に掲げられる、次の要件に該当する。 ・事業用電気工作物であって発電用のものの設置の工事の事業 (出力が 75,000 kW以上である火力発電所) ・工場又は事業場の建設事業 (排ガス量が 40,000 m3 N/h以上である工場等の設置の事業)2.5 対象事業の規模
・発電出力:100,000 kW(50,000 kW×2基) ・排ガス量:430,000 m3 N/h(215,000 m 3 N/h×2基)[資料:「電子地形図25000(平成29年3月23日)国土地理院」] 図2.3-1 事業実施想定区域の位置 凡 例 事業実施想定区域 750 1,000m 500 250 0 1:25,000
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[資料:「国土地理院撮影の空中写真(平成21年撮影)」] 図2.3-2 事業実施想定区域周辺の航空写真 750 1,000m 500 250 0 1:10,000 凡 例 事業実施想定区域
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2.6 事業計画概要
事業実施想定区域に設置するバイオマス発電所の計画概要は、表2.6-1に示すとおりである。 また、施設配置計画(案)及び排ガス処理の概念フロー(案)をそれぞれ、図2.6-1及び図2.6.2 に示す。
バイオマス燃料のひとつであるPKS(Palm Kernel Shell、パーム椰子の搾油後の殻)専焼の 発電施設を目指す計画である。 表2.6-1 バイオマス発電所の概要 項 目 内 容 事業の名称 (仮称)新門司バイオマス発電所建設事業 事業実施想定区域 北九州市門司区新門司三丁目80-4 (図2.3-1、図2.3-2参照) 敷地面積 約64,000 m2 (うち、プラント用地は約34,200 m2) 操業予定時間 24時間(定期点検時除く) 燃焼方式 DPクリーンテック製ストーカ式ボイラ 発電方式 汽力 ボイラ設備 形 式 単胴自然循環ボイラ 基 数 2基 最大蒸発量 440 t/h(220 t/h×2基) 主 燃 料 PKS(パーム椰子の搾油後の殻) 起動用燃料 A重油 湿排ガス量 430,000 m3 N /h(215,000 m 3 N /h×2基) タービン設備 形 式 衝動式抽気復水タービン 最大出力 (発電端) 100,000 kW(50,000 kW×2基) 冷却方式 空冷方式 発 電 機 発電機形式 三相同期発電機 定格出力 55,556 kVA 力 率 90% 定格電圧 11 kV 排ガス処理設備 硫黄酸化物 乾式脱硫装置 窒素酸化物 触媒還元型脱硝装置 ばいじん バグフィルタ
それぞれの50,000 kW発電プラントからの排ガスは、敷地北東側に設置する煙突へ集約(煙突 筒は2本)する。PKS燃料は、敷地南側のヤードに一時保管する。発電タービンならびに冷却設 備は、敷地北西側に配置する計画案としている。 図2.6-1 施設配置計画(案) 図2.6-2 排ガス処理の概念フロー(案) 緑地帯 緑地帯 車両等出入口 バグフィルタ ボイラ熱回収器 からの排ガス NOx除去装置 触媒還元型 乾式 SOx除去装置 煙突へ
2.7 施設稼働に関する複数案の設定
2.7.1 煙突排ガスに関する事項 計画段階配慮事項の複数案検討に際し、位置、配置、規模については、概ね一意に定まっ ていることから、煙突高さ(構造)に関する事項について複数案を設定するものとした。計 画する発電施設の稼働が定常となった時点における、煙突からの排ガスに関する諸元(1基 あたり)について表2.7-1に示す。 表2.7-1 煙突排ガスに関する緒元 項 目 単 位 諸元(1基あたり) A 案 B 案 煙突 地上高 m 86 59 内 径 m 2.5 煙突出口排ガス温度 ℃ 130 煙突出口排ガス排出速度 m/s 18 湿りガス量 m3 N/h 215,000 乾きガス量 m3 N/h 192,000 排出濃度 (O2 6%換算値) 硫黄酸化物 ppm 19 窒素酸化物 ppm 40 ばいじん mg/m3 N 10 排出量 硫黄酸化物 m3 N/h 3.9 窒素酸化物 m3 N/h 8.2 ばいじん kg/h 2.0 今回、新門司地区へ新たな煙突が立地する事業特性より、煙突の景観(眺望)に及ぼす影 響を考慮して上記複数案の設定とした。B 案については、設置予定の煙突に対する景観的な 配慮上から、航空法(昭和27年7月15日法律第231号)により航空障害灯又は昼間障害標識の 設置適用を受けない上限である「地上高59メートル」を設定した。またA 案については、周 辺民家における東側から南東方向にかけての日没から明け方までの眺望も考慮し、同航空法 により赤色又は白色の中光度航空障害灯の設置適用を受けないと想定される「地上高86メー トル」を設定した。2.8 施設稼働に関するその他事項
2.8.1 燃料等運搬に関する事項 本施設の稼働が定常となった時点での、燃料等の搬出入に係る現況からの車両増加見込み 台数は表2.8-1に示すとおりである。 燃料等の搬出入経路(計画)について図2.8-1に示す。事業実施想定区域周辺の土地利用状 況ならびに民家分布等を考慮して沿道民家への影響が最小となるよう、主要地方道門司行橋 線とのアクセスについては市道猿食97号線ならびに市道柄杓田伊川1号線を利用する。また、 事業実施想定区域へのアクセスについては、市道新門司1号線、市道吉志新門司1号線、市道 新門司2号線ならびに7号線を利用する計画である。 表2.8-1 燃料等運搬車両の台数見込み(稼働定常時) 車 両 現況からの増加台数 見込み(往復) 燃料運搬車両 368 台/日 副資材運搬車両 38 台/日 通勤車 60 台/日 燃料運搬車両、副資材運搬車両ならびに通勤車両それぞれの運用に伴う環境配慮として、 エコドライブの徹底、並びに不要なアイドリングはしないよう周知徹底する計画である。ま た、施設内で運用する重機車両や燃料運搬に関わる車両については、運行車両台数の最適化 あるいはより低公害な車両を導入するなどの、利用可能である最良の環境保全措置を講ずる ことにより、これら車両運用に伴う周辺環境に対する影響の低減、あるいは二酸化炭素の排 出を一層抑制する計画である。図2.8-1 燃料等の搬出入経路(計画) 市道吉志新門司1号線 市道猿食94号線 市 道 柄 杓 田 伊 川 1 号 市道新門司2号線 市道新門司1号線 市道新門司7号線 主要地方道門司行橋線 凡 例 事業実施想定区域 搬出入経路(計画)
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2.8.2 粉じん等に関する事項 事業実施想定区域内における施設稼働時の粉じんの発生源については、PKSを一時保管する 積置場における取り扱いによるもの、並びにPKS燃焼後に生じたボトムアッシュ及びフライア ッシュによるもの、それぞれが考えられる。 燃料PKSの保管積置場における取り扱いについては、飛散防止策及び悪臭防止策のために屋 根付きの倉庫室内で保管する計画である。また、ボトムアッシュ及びフライアッシュについ ては、プラントに専用のバンカーあるいは貯留用タンク等を設置する等の飛散防止対策を講 ずるとともに、事業実施想定区域外への搬出時には、ジェットパック車へ積載あるいは水分 調整のうえで覆いのついたダンプトラック等へ積載する等の飛散防止対策を実施する計画で ある。 2.8.3 騒音・振動に関する事項 事業実施想定区域及びその周縁における施設稼働時の騒音・振動については、プラントと して設置されるボイラ、タービンや冷却設備等の各種設備機器の稼働による影響が考えられ る。騒音又は振動の発生源となる設備機器については、物理的な遮蔽(防音ボックス内設置 あるいは屋内への設置等)、サイレンサー設置、防音ラギングや振動吸収ゴムの施工について 検討する等、今後の詳細検討の過程で低減対策を実施する計画である。 事業実施想定区域外における施設稼働時の騒音・振動については、燃料等の搬出入車両な らびに発電施設関係者の通勤車両の走行による影響が考えられる。燃料等の搬出入ルート及 び発電施設関係者の通勤ルートについては、事業実施想定区域周辺の土地利用ならびに民家 分布を考慮して、周辺民家より可能な限り離れた道路を通行する計画(2.8.1 燃料等運搬に 関する事項を参照)である。また、PKS燃料等の搬出入については、深夜の運行ならびに周辺 道路の車両通行が多くなる時間帯に運行しないことを原則として、エコドライブの徹底、並 びに不要なアイドリングをしないことにより、搬出入経路沿道への影響低減を図る計画であ る。さらに、運行車両台数の最適化あるいはより低公害な車両を導入するなどの、利用可能 である最良の環境保全措置を講じていく計画である。 2.8.4 排水に関する事項 事業実施想定区域内における施設稼働に伴い、ボイラやタービンの稼働に伴うブロー排水 ならびに生活排水が発生する。これらの排水は、水処理施設で下水排除基準以下に処理し公 共下水道へ放流する。従って、雨水を除いたこれらの処理水は、周縁の公共用水域(海域) に排出しない計画である。 2.8.5 地下水利用に関する事項 事業実施想定区域は海面埋立地であることから、井水は利用しない計画である。
2.8.6 悪臭に関する事項 事業実施想定区域内における施設稼働時の悪臭については、主燃料であるPKSが発生源とな る可能性がある。燃料として用いるPKSについては、その性状の詳細を今後把握するとともに、 悪臭防止策のために屋根付きの倉庫室内で保管する計画である。 2.8.7 景観に関する事項 事業実施想定区域内における緑地について、関係条例に即し必要となる面積を確保すると ともに、施設稼働開始後の緑地の維持管理を含めて緑地の保全に取り組む計画である。また、 事業実施想定区域における建築物は、周辺からの眺望に配慮した施設となるよう検討するも のとする。 2.8.8 廃棄物に関する事項 施設稼働時に発生する廃棄物については、ボイラでの燃料燃焼に伴い発生するボトムアッ シュ及びフライアッシュの発生が考えられる。これらの廃棄物については、セメント原料と する等の再資源化を目指すほか、状況によりこれらの一部について関連法令を遵守し埋立て 処分する計画である。 2.8.9 温室効果ガスに関する事項 カーボンニュートラルと位置づけられるPKSを主燃料として用いることから、北九州市にお ける電力産生に伴う二酸化炭素排出抑制に貢献する。バイオマス燃料の発電施設としてより 高い発電効率を目指し、二酸化炭素排出の抑制に取り組むとともに、燃料運搬車両や通勤車 両などに対してエコドライブ徹底、不要なアイドリングをしないよう周知徹底する計画であ る。また、燃料運搬車両や副資材運搬車両については、運行台数の最適化などの利用可能で ある最良の環境保全措置を講じていく計画である。 2.8.10 白煙低減に関する事項 ボイラより発生した蒸気にてタービンを稼働させた後、復水(冷却)のプロセスで発生・ 排出される水蒸気由来の白煙については、空冷式の冷却設備を用いる等の水蒸気の排出抑制 対策を実施する計画である。 また、煙突より排出された排ガスにより、煙突出口上空において生成する白煙については、 発電効率等を勘案しつつ蒸気式の加熱器等の白煙防止装置の設置も視野に入れて検討するも のとする。
2.9 工事に関する事項
2.9.1 工事工程計画 本事業においては、土地造成(取付け道路含む)工事、発電所設置に係る基礎工事、設備 機器据付工事、変電所工事、電気計装工事、関連建築物工事及び緑化・外構工事が実施され る計画である。基礎工事着手以降の主要な工事工程について、表2.9-1に示す。 本事業では、50,000kWの発電所プラントが2系列配置される計画である。先に基礎工事に着 手する系列(=Unit1)の営業運転開始は、基礎工事着手より約21ヶ月後を予定する。また、 もう一つの系列(=Unit2)の営業運転開始は、約27ヶ月後を予定する。 現況で採石等のストックヤードとなっている事業実施想定区域に対して、工事車両等が輻 輳せずに安全に出入りができるようになり、かつ安全に基礎工事に着手できるように敷地造 成されたのち、掘削、杭打ち等基礎工事に着手する。先にUnit1の基礎工事に着手し、やや遅 れてUnit2の基礎工事に着手する。これら基礎工事の進捗に併せて、それぞれの発電プラント、 PKS供給用のバンカーやコンベア等の設備機器を据え付けるための設備機器据付工事、ならび に事務所、PSK保管ヤードや煙突等の関連建築物工事を実施する。これら工事に併行して、産 生した電力の送電に必要となる変電所やそれぞれの発電プラントの電気計装に関わる工事等 を実施する。先にUnit1の営業運転を開始し、その約半年後にUnit2の営業運転を開始する予 定である。 表2.9-1 基礎工事着手以降の主要な工事工程計画 基礎工事 基礎工事着手 設備機器据付工事 関連建築物工事 変電所工事 電気計装工事 緑化・外構工事 Unit2営業運転開始 Unit1営業運転開始 火入れ・系統連携 営業運転開始 2年目 1-3 4-6 7-9 10-12 3年目 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1年目2.9.2 工事資材等輸送に関する事項 建設工事に関連する車両(工事関係者の通勤車両、設備機器や資材等を搬出入するトラッ ク、クレーン車やバックホウ等の建設用重機、またこれら建設用重機や工場製作した設備機 器を運搬するトレーラ等の工事関係車両)の運行・輸送については、沿道民家への影響が最 小となるよう、2.8.1燃料等運搬に関する事項と同様に工事関係者へ周知徹底する計画である。 2.9.3 騒音・振動に関する事項 工事中の騒音、振動については、建設工事に関連する車両の沿道民家等への影響が考えら れる。建設工事に関連する車両の沿道民家への影響については、2.8.1燃料等運搬に関する事 項で示した内容について工事関係者へ周知徹底することにより、影響の低減を図る計画であ る。 2.9.4 排水に関する事項 工事中の排水については、新たな発電所施設の立地であることから事業実施想定区域での 有害物質や雨水は検討対象としないが、工事中に発生する濁水による影響が考えられる。 工事中に発生した濁水については、事業実施想定区域内に沈砂池等を設ける等の低減策を 実施する計画である。 2.9.5 建設発生土及び廃棄物に関する事項 工事中に発生する廃棄物としては、建設発生土及び工事用資材由来の廃材、プラスチック、 金属類や汚泥等の発生が考えられる。建設発生土については、原則として事業実施想定区域 内における埋め戻しに用いる計画であるが、万が一余剰が発生した場合には関連法令等に即 した事業実施想定区域外への運搬ならびに処理・処分を実施する計画である。また、工事用 資材由来の廃材、プラスチック、金属類や汚泥等については、それぞれの性状に応じて可能 な限りの減量化や資源化を図るとともに、処理・処分とする場合には、廃棄物関連法令等に 即した事業実施想定区域外への運搬ならびに処理・処分を実施する計画である。