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平成 22 年度 岡山市埋蔵文化財センター講座第2回石器 -サヌカイトのはなし-
西田 和浩
【講座の概要】
1. なぜサヌカイトを利用するのか?
旧石器時代から弥生時代の終わり頃まで、大昔の人たちは石器を生活に必要な道具として利用 してきた。石器の種類は、石槍や石鏃など、石を打ち欠いて作る打だ せ い せ っ き製石器と、石斧のように砥石 で磨いて作る磨ま せ い せ っ き製石器の二種類に大きく分けられる。
打製石器には、ガラスのように鋭く割れる石(黒こくようせき曜石や安あんざんがん山岩など)が利用された。日本列島に は、黒曜石や安山岩を採取できる場所がいくつかある。その中でも、香川県で採取できるサヌカ イト(安山岩の一種)は、埋蔵量が多く、瀬戸内海側の中国・四国・近畿地方の人たちにとって 重要な資源だった。
2. どんな石器に使ったのか?
旧石器時代の人々の生活は、食料を求めて移動を繰り返す生活で成り立っていた。鋭利な石器 を作ることができるサヌカイトは、動物を捕るための石槍や、肉を切り分けるための刃物(ナイ フ形石器と呼ぶ)の材料として重宝された。
縄文時代になると、小型の動物が増え、弓矢の使用が始まる。サヌカイトは石鏃の材料として 利用される。また、石錐や刃物の材料にも利用された。
弥生時代では、狩猟用の矢尻として利用されるほか、石包丁(稲穂を摘み取る道具)などに利 用される。また、この頃になると増えた人口を養うために各地で土地や食料をめぐってムラ同士 の争いが行われた。そのため石器は武器としても利用されるようになった。
3. どうやって運んだのか?
旧石器時代は氷河期だったので、海水面が現在より 100 mほど低かったと推定されている。 このため瀬戸内海は陸地になっていた。旧石器人たちは産地まで歩いてサヌカイトを取りにいく ことができた。縄文時代になると温暖化が進み、海水面が上昇した。このため縄文人たちは、舟 を利用してサヌカイトを運んでいたと考えられる。舟の利用はサヌカイトの流通を活発にした。 香川産のサヌカイトは、瀬戸内海を中心として東は大阪、西は大分にまで分布している。
4. 発掘調査でみつかったサヌカイトの貯蔵跡
岡山市の津島岡大遺跡では、縄文時代後期の集落跡(4500 年~ 3300 年前)からサヌカイト を集めて保管した痕跡がみつかっている。縄文人たちが運んできたサヌカイトをどのように保管 していたのか、その様子がうかがえる。割った石同士は、接合しないことから、この集落の中で 割ったのではなく、運びやすいように原産地の近くで割ったと推測される。同じようなサヌカイ トの貯蔵跡が瀬戸内沿岸で確認されており、サヌカイトの流通方法がわかりつつある。
【参考文献】
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4万年前 日本列島に人類が住みはじめる。
3万年前 香川産サヌカイトが
利用されはじめる。
1万3000年前 縄文時代はじまる。
(弓矢・土器の使用)
1万年前 日本各地に貝塚が
作られはじめる。
7000年前 温暖化により海水面が上昇し、
瀬戸内海ができる。
弥生時代はじまる。
(水稲農耕の開始) 前8世紀~前5世紀
(2800~2500年前)
鉄の道具が普及、
サヌカイトの利用が衰退する。 紀元前後~3世紀
(2000~1800年前) 4500~3300年前
年 代
できごと
旧
石
器
時
代
縄
文
時
代
弥
生
時
代
香川産サヌカイトの利用が
活発になり始める。
使用された石器
ナイフ形石器
石槍
石刃
石匙(万能ナイフ)
石核
(これを打ち欠いて石器を作る)
石包丁(稲穂を摘む道具) 石鏃
せきぞく
石鏃
せきぞく
石鏃
せきぞく
石鏃
せきぞく いしやり
せきじん
いしさじ
せっかく
せっけん
※石器の縮尺不同
石剣
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金山 五色台
かなやま ごしきだい
黒曜石の原産地
サヌカイトの原産地
金山 五色台
50km 100km
200km
図1 黒曜石・サヌカイトの主な産地
※旧石器文化談話会 2000 をもとに作成
図2 縄文・弥生時代における香川産サヌカイトの分布
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図3 津島岡大遺跡のサヌカイト貯蔵跡