要 旨
<研究目的>
災害時身体要援護者対策における行政機関(保健所、市町村保健センター)や地域包括支 援センターの活動の現状を記述し、災害時身体要援護者対策において保健師が担うべき役 割とその課題を明らかにすることを目的とする。
<研究方法>
本研究は、災害時要援護者対策を担う自治体保健師ならびに地域包括支援センターの保健 師へのインタビューによる質的記述的研究である。研究対象者は、災害時身体要援護者対 策に携わっている保健師で、研究実施者の研究目的及び内容の説明に承諾した保健師 5 名 である。
<結果>
災害時身体要援護者対策における活動内容は【要援護者を地域全体で把握する】【要援護者 が被災時に実際に避難できるよう支援のしくみを整える】【要援護者自身が災害に対応でき る力をつけることができるようにする】という大きく 3 つの活動からなることがわかった。
またそのような活動における課題として【要援護者情報の把握システムについての課題】
【被災時に支援活動を実践する際の課題】【要援護者への被災時支援ができる支援体制を整 えることについての課題】【要援護者をふくむすべての人に災害対応を意識づけすることに ついての課題】【保健師が要援護者支援をマネージメントすることについての課題】【保健 師が要援護者の個別性をふまえた支援をすることについての課題】という 6 つの課題があ り、保健師は【要援護者の健康被害を減らす】【要援護者と支援者を効果的につなげる】【支 援者に災害対応を意識づける】という大きく 3 つの役割を担うべきことが分かった。
<結論>
災害時身体要援護者対策における活動において、保健師は、その活動のなかで【要援護者 の健康被害を減らす】、【要援護者と支援者を効果的につなげる】、【支援者に災害対応を意 識づける】役割を担い活動を行うことで、さまざまな疾患や障害を持つ身体要援護者が、
災害の発生前から復興期に至るまで、保健、医療、福祉の継続的な支援が受けられるよう に努めなければならない。課題の解決のためにも、保健師が担うべき役割や役割を担い活 動を行うために求められる組織の体制を、行政の他機関や地域の関係機関にわかりやすく 提示し、理解を得ることで、組織全体で構築していくことが必要であると思われる。