はじめに
経済成長に伴い、家族や世帯のありかたも 大きく変化し、人口の都市部流失により核家 族化が進み、家族類型別に世帯を見ると、核 家族が64.2%と最も多く、祖父母と同居する 拡大家族は15.4%で、晩婚化や未婚者の増加、
高齢者のひとり暮らしの増加などにより単独 世帯は20.0%と報告されている1)。前回の調 査2)でも、核家族57.3%、一人暮らし20.0%、
拡大家族14.7%と、前々回の調査3)と同じ傾 向を示した。世帯を幼児から現在までの成長 期毎に調査した結果、世帯は多い順に幼児か ら核家族の75名(50.0%)、次いで幼児から拡 大家族の18名(12.0%)、幼児から核家族で現 在は一人暮らしの17名(11.3%)であった2)。
また、経済成長とともに食生活は著しく変 化し、インスタント食品や冷凍食品、レトル ト食品などの半調理済み食品や、持ち帰り弁 当等の調理済み食品が数多く流通し、消費が 拡大している。また、ファストフード店、フ ァミリーレストランなどの外食産業も発展 し、家庭の食事を外食に依存する傾向が高ま っている4)。
前回の調査で、食理解を世帯別にみると、
幼児から拡大家族の学生は、一人暮らしの 学生より高い傾向を示し、幼児から核家族
の学生より有意に高かった(P<0.05)。また、
自分で調理している学生は、親や祖父母な ど が 調 理 し て い る 学 生 に 比 べ 有 意 に 高 く
(親P<0.01、祖父母P<0.05)2)、祖父母とと もに生活する拡大家族や本人が調理をする ことが、食理解に大きく結びつくと考えら れた。
また、年長・年中世代から娘世代の食事づ くりに関する伝承の場は、一緒に料理を作る
(技術の伝承)、料理について聞く(技術の伝 達)、作った料理を食べる(味覚の伝達)の 3点と言われている5)。
このことから、世帯の構成の違いにより、
学生の食生活に対する意識や取り組み状況が どのように違うのかを、調理学実習の献立を もとに明らかにし、家庭で食べられている料 理や調理状況を把握し、調理教育を実践する 者として今後に役立てることを目的に本調査 を行った。
調査方法
1.調査対象
本学、短期大学部健康栄養学科に在学する 学生148名とした。
2.調査時期
2006年1月に行った。
女子学生の幼児からの世帯と 実習献立からみた食生活の関係
佐 藤 幸 子 五十嵐 美智恵
Women's College Students' Choice of Menus in the Nutritional Practice and Their Family Structures from Childhood
Sachiko Sato Michie Igarashi
3.調査方法
世帯構成と食生活に関するアンケートを作 成した(図1)。世帯構成は、成長期別(幼 児・小学生、中学生・高校生、現在)の世帯
(一人暮らし、核家族、拡大家族、その他)
をたずねた。食生活は、学校で秋学期の調理 学実習で行った34献立をもとに、初めて食べ
た料理、簡単また難しいと感じた料理、自分 で調理したことがある料理(実習前と実習 後)、実習後に自宅で調理した料理を選んだ 理由、自宅にある調理器具、夕食の調理時間、
料理の用意方法、魚のおろし方、作りたい料 理についてたずねた。
4.分析方法
統計解析にはExcel 2000およびExcel統計を 使用した。
結果
1.世帯構成(表1)
現在の世帯は、核家族82名(55.4%)、拡大 家族36名(24.3%)、一人暮らし27名(18.2%)、
その他3名(2.0%)であった。世帯を成長期毎
(幼児・小学生、中学生・高校生、現在)に 分類すると、13パターンになった。一番多い 世帯は幼児から核家族の77名(52.0%)で、
次いで幼児から拡大家族の33名(22.3%)、幼
児から高校生が拡大家族で、現在一人暮らし である14名(9.5%)、幼児から高校生が核家族 で、現在一人暮らしである11名(7.4%)であっ た。
図1 アンケート
幼児・小学生 中学生・高校生 現在 人数(%)
① 核家族 核家族 核家族 77 ( 52.0 )
② 拡大家族 拡大家族 拡大家族 33 ( 22.3 )
③ 拡大家族 拡大家族 一人暮らし 14 ( 9.5 )
④ 核家族 核家族 一人暮らし 11 ( 7.4 )
⑤ 拡大家族 核家族 核家族 3 ( 2.0 )
⑥ 拡大家族 拡大家族 核家族 2 ( 1.4 )
⑦ 核家族 核家族 拡大家族 2 ( 1.4 )
⑧ 核家族 拡大家族 一人暮らし 1 ( 0.7 )
⑨ 拡大家族 核家族 一人暮らし 1 ( 0.7 )
⑩ 核家族 核家族 拡大家族 1 ( 0.7 )
⑪ 拡大家族 核家族 その他 1 ( 0.7 )
⑫ 拡大家族 拡大家族 その他 1 ( 0.7 )
⑬ 核家族 拡大家族 その他 1 ( 0.7 )
148 ( 100 )
世帯
合計
表1 世帯構成
2.食生活について
(1)実習で初めて食べた料理
半数以上があげた料理は、蒸百花豆腐122 名(82.4%)、エスカロップドコルドンブルー 104名(70.3%)、にんじんのポタージュスー プ90名(60.8%)、シャンピニオンサラダ・
ミモザサラダが共に79名(53.4%)、きゅう りの胡麻酢和え76名(51.4%)の6品であっ た(表2)。全員が初めて食べたにあげなか った料理、すなわち食べたことがある料理 は、什錦炒飯・ハンバーグステーキ・パウ ンドケーキ・鍋貼餃子の4品であった(表2)。
平均品数は5.9品で、7品と答えた者が最も 多かった。最高は26品(1名)で、最低は すべて食べたことがある0品(7名)であ った(図2)。
世帯別に平均品数をみると、一人暮らし
は5.8品、核家族は5.9品、拡大家族は5.9品で 差 は 見 ら れ な か っ た 。 一 人 暮 ら し の 者 で 、 幼児から高校生まで核家族であった者の平 均数は5.1品で、幼児から高校生まで拡大家 族であった者の平均数6.5品より低い傾向に あった。
順位 料理名 人数(%)
1 蒸百花豆腐 122 ( 82.4 ) 2 エスカロップドコルドンブルー 104 ( 70.3 ) 3 にんじんのポタージュスープ 90 ( 60.8 ) 4 シャンピニオンサラダ 79 ( 53.4 ) 4 ミモザサラダ 79 ( 53.4 ) 6 きゅうりの胡麻酢和え 76 ( 51.4 ) 7 チーズパイ 56 ( 37.8 )
8 肉丸菜湯 47 ( 31.8 )
9 鯵の南蛮漬け 33 ( 22.3 ) 10 紅白なます 31 ( 20.9 ) 11 パンナコッタ 27 ( 18.2 ) 12 鯖の竜田揚げ 22 ( 14.9 ) 13 すまし雑煮 19 ( 12.8 ) 14 ローストチキン 15 ( 10.1 ) 15 鯖の味噌煮 13 ( 8.8 ) 16 レモンスカッシュ 11 ( 7.4 )
17 きんとん 10 ( 6.8 )
18 筑前煮 7 ( 4.7 )
19 茶碗蒸し 4 ( 2.7 )
19 乾焼明蝦 4 ( 2.7 )
21 白飯 3 ( 2.0 )
21 赤飯 3 ( 2.0 )
21 刺身 3 ( 2.0 )
21 ひじきの煮物 3 ( 2.0 )
25 味噌汁 2 ( 1.4 )
25 春捲き 2 ( 1.4 )
25 スポンジケーキ 2 ( 1.4 ) 25 コーヒーゼリー 2 ( 1.4 )
25 ピラフ 2 ( 1.4 )
30 吸い物 1 ( 0.7 )
31 什錦炒飯 0 ( 0.0 )
31 ハンバーグステーキ 0 ( 0.0 ) 31 パウンドケーキ 0 ( 0.0 )
31 鍋貼餃子 0 ( 0.0 )
表2 実習で初めて食べた料理
図2 実習で初めて食べた料理数
(2)簡単と感じた料理(表3)
一番多かったのは、レモンスカッシュ84名
(56.8%)で、次いでなます63名(42.6%)、
白飯・コーヒーゼリーが共に40名(27.0%)
であった。全員が簡単と感じなかった料理は、
乾焼明蝦・ローストチキンの2品であった。
(3)難しいと感じた料理(表4)
一 番 多 か っ た の は ロ ー ス ト チ キ ン 9 3 名
(62.8%)であった。全員が難しいと感じなか った料理はきゅうりの胡麻酢和え・ミモザサ ラダ・コーヒーゼリー・レモンスカッシュの 4品であった。
(4)実習前に自分で調理したことがある料理 味噌汁が138名(93.2%)で、次いで白飯が 105名(70.9%)であった。調理したことがあ る者が1割に満たない料理は13品であった
(表5)。
調理した料理数は、最高32品が1名(0.7%)、 一品も調理したことがない者が3名(2.0%)、 平均数は8.8品であった(図3)。
世帯別に見ると、一人暮らしは9.8品、核家 族は8.7品、拡大家族は8.6品で、一人暮らし が高い傾向にあった(表6)。一人暮らしの者 で、幼児から高校生まで核家族であった者の 平均数は11.5品で、幼児から高校生まで拡大 家族であった者の平均数の7.1品より有意に高 かった(p<0.01)。
順位 料理名 人数(%)
1 ローストチキン 93 ( 62.8 ) 2 きんとん 29 ( 19.6 ) 3 鯵の南蛮漬け 27 ( 18.2 )
3 乾焼明蝦 27 ( 18.2 )
5 筑前煮 25 ( 16.9 )
5 チーズパイ 25 ( 16.9 )
7 鍋貼餃子 24 ( 16.2 )
8 エスカロップドコルドンブルー 22 ( 14.9 ) 9 蒸百花豆腐 21 ( 14.2 ) 10 鯖の味噌煮 20 ( 13.5 ) 11 茶碗蒸し 18 ( 12.2 ) 12 スポンジケーキ 13 ( 8.8 )
13 肉丸菜湯 12 ( 8.1 )
14 春捲き 11 ( 7.4 )
14 鯖の竜田揚げ 11 ( 7.4 )
16 刺身 9 ( 6.1 )
16 にんじんのポタージュスープ 9 ( 6.1 )
18 すまし雑煮 7 ( 4.7 )
19 ハンバーグステーキ 6 ( 4.1 )
20 什錦炒飯 5 ( 3.4 )
20 ピラフ 5 ( 3.4 )
22 赤飯 3 ( 2.0 )
22 ひじきの煮物 3 ( 2.0 )
24 味噌汁 2 ( 1.4 )
24 吸い物 2 ( 1.4 )
24 シャンピニオンサラダ 2 ( 1.4 ) 24 パンナコッタ 2 ( 1.4 )
28 白飯 1 ( 0.7 )
28 紅白なます 1 ( 0.7 )
28 パウンドケーキ 1 ( 0.7 ) 31 きゅうりの胡麻酢和え 0 ( 0.0 ) 31 ミモザサラダ 0 ( 0.0 ) 31 コーヒーゼリー 0 ( 0.0 ) 31 レモンスカッシュ 0 ( 0.0 )
表4 難しいと感じた料理
順位 料理名 人数(%)
1 レモンスカッシュ 84 ( 82.4 ) 2 紅白なます 63 ( 42.6 )
3 白飯 40 ( 27.0 )
3 コーヒーゼリー 40 ( 27.0 )
5 味噌汁 32 ( 21.6 )
6 ミモザサラダ 24 ( 16.2 ) 7 パンナコッタ 18 ( 12.2 )
8 刺身 17 ( 11.5 )
9 シャンピニオンサラダ 13 ( 8.8 ) 10 パウンドケーキ 10 ( 6.8 )
11 什錦炒飯 9 ( 6.1 )
12 ひじきの煮物 8 ( 5.4 )
13 吸い物 7 ( 4.7 )
13 きんとん 7 ( 4.7 )
13 にんじんのポタージュスープ 7 ( 4.7 )
16 赤飯 6 ( 4.1 )
17 鯵の南蛮漬け 5 ( 3.4 )
17 筑前煮 5 ( 3.4 )
17 鍋貼餃子 5 ( 3.4 )
17 スポンジケーキ 5 ( 3.4 )
17 チーズパイ 5 ( 3.4 )
22 茶碗蒸し 4 ( 2.7 )
22 きゅうりの胡麻酢和え 4 ( 2.7 )
22 肉丸菜湯 4 ( 2.7 )
25 鯖の竜田揚げ 3 ( 2.0 ) 25 ハンバーグステーキ 3 ( 2.0 ) 25 エスカロップドコルドンブルー 3 ( 2.0 )
28 すまし雑煮 2 ( 1.4 )
28 春捲き 2 ( 1.4 )
28 ピラフ 2 ( 1.4 )
31 鯖の味噌煮 1 ( 0.7 )
31 蒸百花豆腐 1 ( 0.7 )
33 乾焼明蝦 0 ( 0.0 )
33 ローストチキン 0 ( 0.0 ) 表3 簡単と感じた料理
(5)実習後に自分で調理した料理
味噌汁が101名(68.2%)で、次いで吸い物 が64名(43.2%)であった。調理をした者が 1割に満たない料理は、16品であった(表7)。
料理名 人数(%)
1 味噌汁 138 ( 93.2 )
2 白飯 105 ( 70.9 )
3 ハンバーグステーキ 98 ( 66.2 )
4 什錦炒飯 96 ( 64.9 )
5 鍋貼餃子 92 ( 62.2 )
6 スポンジケーキ 90 ( 60.8 ) 7 パウンドケーキ 83 ( 56.1 )
8 吸い物 66 ( 44.6 )
9 コーヒーゼリー 54 ( 36.5 )
10 春捲き 52 ( 35.1 )
11 刺身 50 ( 33.8 )
12 ひじきの煮物 49 ( 33.1 ) 13 茶碗蒸し 36 ( 24.3 ) 14 すまし雑煮 34 ( 23.0 )
15 ピラフ 34 ( 23.0 )
16 鯖の味噌煮 29 ( 19.6 )
17 赤飯 26 ( 17.6 )
18 筑前煮 24 ( 16.2 )
19 紅白なます 21 ( 14.2 ) 20 パンナコッタ 21 ( 14.2 ) 21 乾焼明蝦 17 ( 11.5 ) 22 鯖の竜田揚げ 13 ( 8.8 )
23 きんとん 13 ( 8.8 )
24 鯵の南蛮漬け 9 ( 6.1 )
25 肉丸菜湯 9 ( 6.1 )
26 チーズパイ 9 ( 6.1 )
27 レモンスカッシュ 9 ( 6.1 ) 28 きゅうりの胡麻酢和え 8 ( 5.4 ) 29 ミモザサラダ 7 ( 4.7 ) 30 ローストチキン 5 ( 3.4 ) 31 にんじんのポタージュスープ 4 ( 2.7 ) 32 エスカロップドコルドンブルー 3 ( 2.0 ) 33 シャンピニオンサラダ 3 ( 2.0 )
34 蒸百花豆腐 1 ( 0.7 )
平均品数 8.8
表5 実習前に自分で調理したことがある料理
図3 実習前に自分で調理したことがある料理(世帯別)
料理名 人数(%)
1 味噌汁 101 ( 68.2 )
2 吸い物 64 ( 43.2 )
3 きんとん 42 ( 28.4 )
4 白飯 37 ( 25.0 )
5 鍋貼餃子 37 ( 25.0 )
6 什錦炒飯 35 ( 23.6 )
7 筑前煮 34 ( 23.0 )
8 ハンバーグステーキ 34 ( 23.0 ) 9 すまし雑煮 32 ( 21.6 ) 10 紅白なます 31 ( 20.9 ) 11 スポンジケーキ 31 ( 20.9 ) 12 鯖の味噌煮 23 ( 15.5 ) 13 ひじきの煮物 18 ( 12.2 ) 14 鯖の竜田揚げ 17 ( 11.5 )
15 春捲き 17 ( 11.5 )
16 肉丸菜湯 16 ( 10.8 ) 17 鯵の南蛮漬け 15 ( 10.1 ) 18 パウンドケーキ 15 ( 10.1 )
19 乾焼明蝦 14 ( 9.5 )
20 ピラフ 14 ( 9.5 )
21 刺身 13 ( 8.8 )
22 コーヒーゼリー 13 ( 8.8 )
23 茶碗蒸し 12 ( 8.1 )
24 にんじんのポタージュスープ 11 ( 7.4 ) 25 シャンピニオンサラダ 11 ( 7.4 ) 26 パンナコッタ 11 ( 7.4 ) 27 ミモザサラダ 10 ( 6.8 ) 28 エスカロップドコルドンブルー 9 ( 6.1 )
29 赤飯 7 ( 4.7 )
30 きゅうりの胡麻酢和え 7 ( 4.7 )
31 蒸百花豆腐 6 ( 4.1 )
32 ローストチキン 6 ( 4.1 ) 33 レモンスカッシュ 6 ( 4.1 )
34 チーズパイ 3 ( 2.0 )
平均品数 5.1
表7 実習後に自分で調理した料理
調 理 実 習 前 8.8 9.8 8.7 8.6
調 理 実 習 後 5.1 5.9 4.9 4.8
全 体 一 人 暮 ら し 核 家 族 拡 大 家 族
表6 世帯別にみた調理品数
調理した料理数は、最高29品が1名(0.7%)で、
一品も調理していない者が4名(2.7%)であっ た(図4)。
調理した料理数の平均は5.1品であった。世 帯別に見ると、一人暮らしは5.9品、核家族は 4.9品、拡大家族は4.8品で、一人暮らしが高 い傾向にあった(表6)。一人暮らしの者で、
幼児から高校生まで核家族であった者の平均 数は7.1品で、幼児から高校生まで拡大家族で あった者の平均数の4.9品より高い傾向にあっ た。
(6)料理を選んだ理由
お い し い 1 1 0 名 ( 7 4.3 % )、 簡 単 7 2 名
(48.6%)、食べる人が喜ぶから63名(42.6%)、 一人でも作れそう61名(41.2%)であった。
調理時間がかからないは13名(8.8%)であっ た。
世帯別に見ると、一人暮らしは、簡単18名
(66.7%)、おいしい16名(59.3%)、一人でも 作れそう12名(44.4%)であった。核家族は、
おいしい57名(69.5%)簡単・食べる人が喜 ぶからが共に35名(42.7%)、一人でも作れそ う29名(37.7%)であった。拡大家族は、お いしい28名(77.8%)、一人でも作れそう16名
(44.4%)簡単15名(41.7%)、食べる人が喜ぶ から14名(42.4%)であった(図5)。
図5 調理した料理を選んだ理由 図4 実習後に自分で調理した料理(世帯別)
(7)自宅にある調理器具(図6)
すべての世帯にあった調理器具は、包丁・ま な板・ざる・ボールの4種類で、世帯の9割以 上が所有していたのは、おたま・じゃもじ・炊 飯器・鍋・フライパン・電子レンジの6種類で あった。すべての世帯で所有率が低かったのは、
肉たたき27名(18.2%)であった。調理器具の 平均所有数は17.8個で、世帯別には、一人暮ら しは13.0個、核家族は19.1個、拡大家族は19.3個 で、一人暮らしで有意に低かった(P<0.01)。特 に、一人暮らしで所有率の低い調理器具は、ク ッキングはさみ・木べら・ゴムベラ・ハンドミ キサー・うらごし・ミキサー・すりばちとすり こぎ・圧力鍋・蒸し器の9種類であった。
(8)夕食の調理時間(図7)
適当な調理時間は、60分が53名(35.8%)
と一番多く、次いで45分が44名(29.7%)、30 分が27名(18.2%)、90分が19名(12.8%)、
その他が3名(2.0%)、無回答が2名(1.4%)
であった。世帯別では、一人暮らしは30分が 15名(55.6%)と最も多かった。核家族は60 分が31名(40.3%)、拡大家族は60分が15名
(45.5%)と最も多かった。
図6 調理器具の所有率
図7 夕食の調理時間
(9)料理の用意方法(図8)
8割以上の人が手作りで用意すると答えた 料理は、味噌汁142名(95.9%)、炒飯133名
(89.9%)、ハンバーグステーキ126名(85.1%)、 ひじきの煮物(84.5%)、鯖の味噌煮121名
(81.8%)の5品であった。
できたものを購入すると答えた人が最も多 い料理は、ゼリー111名(75.5%)、きんとん 88名(59.5%)、ローストチキン33名(22.3%)、 の3品であった。ゼリーは、一人暮らしの世 帯でできたものを購入する者は22名(81.5%)
と、他の世帯より高い傾向にあった。きんと んは、核家族ではできたものを購入する者が 52名(67.5%)と最も高く、拡大家族では手 作りと答えた者が16名(48.5%)と最も高か った。食べないと答えた者は、きんとんで14 名(9.5%)、ローストチキンで20名(13.5%)
であった。
冷凍食品やレトルトを購入すると答えた者 が最も多い料理は、ピラフ62名(41.9%)ポ タージュスープ55名(37.2%)の2品であっ た。ピラフは、拡大家族で冷凍食品やレトル
トを購入する割合が18名(54.5%)と高かっ た。ポタージュスープは、できたものまたは 冷凍食品やレトルトを購入すると答えた者 が、核家族で51名(66.2%)、拡大家族で23名
(69.7%)であった。一人暮らしで手作りと答 えた者は9名(33.3%)で、他の世帯より高 い割合を示した。
食べないと答えた者が多い料理は、紅白な ます33名(22.3%)、赤飯25名(16.9%)の 2品であった。紅白なますは、核家族で手 作りと答えた者が50名(64.9%)で、他の世 帯より低い割合を示し、食べないと答えた 者が18名(23.4%)と他の世帯より高い割合 を示した。
(10)鯖や鯵の三枚おろし(図9)
実習を行うまでに三枚おろしをしたことが ある者は37名(25.0%)で、家族がしていた 者は68名(45.9%)と最も多く、したものを 購入していた者は43名(29.1%)であった。
一人暮らしでは、三枚おろしをしたことが ある者は6名(18.5%)で、家族がしていた者
図8 調理の用意方法
は13名(48.1%)と最も多く、したものを購 入していた者は8名(29.6%)であった。核家 族では、三枚おろしをしたことがある者は23 名 ( 2 8.0 % )。 家 族 が し て い た 者 は 3 2 名
(39.0%)と最も多く、したものを購入してい た者は22名(26.8%)であった。拡大家族で は 、 三 枚 お ろ し を し た こ と が あ る 者 は 7 名
(19.4%)。家族がしていた者は18名(50.0%)
と最も多く、したものを購入していた者は8 名(22.2%)であった。
(11)鰯の開き方(図10)
手開きと答えた者は32名(21.9%)で最も 少なかった。牛刀を使うと答えた者は59名
(40.4%)で、刺身包丁を使うと答えた者は55 名(37.7%)であった。
考察
今回の調査で、現在の世帯が核家族55.4%、
拡大家族24.3%、一人暮らし18.2%、その他 2.0%で、昨年の調査2)の核家族57.3%、一人 暮らし20.0%、拡大家族14.7%、その他8.0%
や、一昨年の調査3)の核家族66.2%、拡大家 族14.8%、一人暮らし15.5%と比べ、拡大家 族の割合が多かった。2004年の世帯動態調査
1)の核家族64.2%、その他の親族世帯15.4%、
単独世帯20.0%と比べても、明らかに拡大家 族のしめる割合が多かった。幼児・小学生,
中学生・高校生,現在の成長期毎の世帯は13 パターンで、一番多い世帯は幼児から核家族 の77名(52.0%)で、次いで幼児から拡大家 族の33名(22.3%)、幼児から高校生が拡大家 族で、現在一人暮らしである14名(9.5%)、幼 児から高校生が核家族で、現在一人暮らしで ある11名(7.4%)であった。そこで、世帯を現 在が一人暮らし、幼児から現在まで核家族、
幼児から現在まで拡大家族の三つに分類し、
世帯別の食生活の特徴を検討した。
実習で初めて食べた料理を世帯別に見る と、品数に差は見られなかった。
食べないと答えた料理は多い順に、紅白なま す33名(22.3%)、赤飯25名(16.9%)、ロー ス ト チ キ ン 2 0 名 ( 1 3.5 % )、 き ん と ん 1 4 名
(9.5%)で、行事食をあげる者が多かった。
紅白なますは、核家族で食べないと答えた 者が18名(23.4%)と他の世帯より高い割合 を示した。核家族で手作りと答えた者は50名
(64.9%)で、他の世帯より低い割合を示した。
きんとんは、できたものを購入する者が88名
(59.5%)、核家族では52名(67.5%)と最も 高かった。拡大家族は手作りと答えた者が16 名(48.5%)と最も高かった。伝統的なおせ ち料理の喫食が次第に減少しており、1997・
1998年の喫食率の報告で、きんとんは41.4%、
なますは36.5%であった。家族形態別には核 家族世帯で、きんとんの喫食率が高い6)との 報告もあるが、出来たものを購入していると 図9 鯖や鯵の三枚おろし
図10 鰯のおろし方
考えられる。このことから、核家族を中心に、
行事食を手作りで用意し、食べる家庭が減っ てきていると考えられる。生活スタイルの意 識の変化が経済成長にて促進され、学生で伝 承料理を食べたことがない者が多く、三度の 高度経済成長期(1965〜1970年、1975〜1980年、
1985〜1990年頃)を経て、行事食は食べられな くなったと報告7)されている。学生は伝承料 理を面倒ととらえており8)、料理に対するイ メージ形成要因として、食・調理経験の有無 や調理技術の熟度、調理時間・後片づけの長 短、台所の衛生などが関係していると言われ ている7・8)。
今回の調査で、簡単と感じた料理にあげら れた紅白なますも、食べたことがない、又は 家族が食べないことから、実習後の調理から 敬遠されたと推測される。魚の3枚おろしを する鯖や鯵の料理は、7割弱が家庭で3枚おろ しをしていたが、祖母と同居の学生に魚をお ろすことが出来ない率が高く、祖母や母親ま かせである9)ことから、家族任せにされてお り、敬遠されたと考えられる。
年長・年中世代から娘世代の食事づくりに 関する伝承の場を、一緒に料理を作る(技術 の伝承)、料理について聞く(技術の伝達)、
作った料理を食べる(味覚の伝達)の3点5)
とし、最も世代間の結合度が高いのは「作っ た料理を食べる」、次いで「料理について聞 く」「一緒に作る」で、「作った料理を食べる」
のうち約半数は、一緒に料理を作ることや料 理について聞くことがなかった10)との報告が ある。おせち料理は全年齢層を通じて、家庭 で、一人で準備されることが多く、家庭の台 所が母親から娘・嫁へと伝統継承の場にはな り難い11)との報告があるが、今回の調査から も食文化や技術の継承が困難であると考えら れる。母親が一番伝承したい味に、家庭の味 やおふくろの味があげられ12)、伝えておきた い基礎調理知識・技術は、食事作りの調理基 礎的知識、技術では魚のおろしかたやだし汁 のとりかた、味付けがあげられ、食事のマナ
ーとしては箸使いであるが7)、家庭での伝承 が厳しい今日、学校教育への期待が大きいと 考えられる。
実習後に調理した料理数は平均5.1品と前回 の調査の6.7品より低く2)、調理をする機会が さらに低くなったことが示された。世帯別に 見ると、一人暮らしは5.9品、核家族は4.9品、
拡大家族は4.8品と一人暮らしで多かった。食 事作りは、自ら実習前・後に調理した料理数、
魚の三枚おろしや料理の用意方法から、核家 族では母親を中心に、拡大家族では祖母を中 心に母親に全面的にゆだねられていることが 推測できる。一人暮らし世帯で、幼児から高 校生までが拡大家族であった者は、自ら実習 前・後に調理した料理数が低かったことか ら、経験不足から自らすすんで調理に取り組 めないと考えられる。
調理器具の平均所有数は17.8個で、世帯別 には、一人暮らしは13.0個、核家族は19.1個、
拡大家族は19.3個で、一人暮らしで有意に低 かった(P<0.01)。一人暮らしで所有率の低い 調理器具は、クッキングはさみ・木べら・ゴ ムベラ・ハンドミキサー・うらごし・ミキサ ー・すりばちとすりこぎ・圧力鍋・蒸し器の 9種類であった。しかし、すべての世帯に包 丁・まな板・ざる・ボールの4種類があり、
9割以上の世帯におたま・じゃもじ・炊飯 器・鍋・フライパン・電子レンジの6種類が あった。使用頻度が高い調理器具は、炊飯 器・包丁・まな板・フライパン・電子レン ジ・ボール・ざるで、すり鉢・すりこぎはた まに使うからほとんど使わない、肉たたきは ほとんど使わないから持っていないに分類さ れていることから13)、同じ傾向にあった。肉 たたきは他のもので代用がきくことから、所 有率は低いと考えられる。
一人暮らしで、実習後に調理した料理を選 んだ理由に、調理器具があるからを選んでい る者が他の世帯より多かった。一人暮らしで 所有率の低い、すりばちとすりこぎを使うき ゅうりの胡麻酢和えを作った者は、一人暮ら
しで3.7%と、核家族の5.2%、拡大家族の6.1%
より低かった。蒸し器を使う茶碗蒸しを作っ た者は、一人暮らしで3.7%と、核家族の7.8%、
拡大家族の15.1%より低く、蒸百花豆腐を作っ た者は、一人暮らしで3.7%と、核家族の3.9%、
拡大家族の6.1%より低かった。このことから、
他の世帯より、料理を選ぶ際の理由に調理器 具の有無が関係していることが示された。
また、実習後に調理した料理を選んだ理由 で 最 も 多 い の は 、 一 人 暮 ら し は 簡 単 1 8 名
(66.7%)であった。また、核家族はおいしい 5 7 名 ( 6 9.5 % )、 拡 大 家 族 は お い し い 2 8 名
(77.8%)であり、食べる人が喜ぶから(共に 約42%)は、一人暮らしの回答より多かった。
適当な夕食の調理時間を世帯別に見ると、一 人暮らしは30分が15名(55.6%)と最も多か った。核家族は60分が31名(40.3%)、拡大家 族は60分が15名(45.5%)と、最も多かった。
このことから好まれる料理は、一人暮らしで は 簡単で短時間 、核家族や拡大家族では 比較的時間がかかっても、おいしくて食べ る人が喜ぶ ことが明らかになった。調理時 間が長くなると主食、主菜、副菜、汁物の揃 った栄養的にもバランスの良い食事に近づ き、加工食品や市販品を利用する割合も減る と言われているが14)、今回の調査で一人暮ら しの者で、幼児から高校生までが拡大家族で あ っ た も の は 、 調 理 の 取 り 組 み が 少 な く 、
簡単で短時間 に用意できる料理が好まれ ることから、面倒なものは購入して食べる傾 向が強くなると推測される。
前回の調査で、自分で調理している者は食 事への興味が高く、自ら献立をたて、材料の 購入や調理器具の準備、調理、後片づけとい う作業を通じて食理解を深めていると考えら れた2)。食理解を深めるためには家庭で実践 できることが重要であることから、世帯構成 の違いによる学生の意識や調理器具の保有な どを考慮しながら、実習で取り組む料理をさ らに検討していきたい。特に祖母と同居する 拡大家族の者は、すり鉢の使用、祝い事で赤
飯を食べることや家庭でおせち料理を調理す る割合が高く、祖母との同居が伝承と関わり、
特に行事食に深くかかわっている9)ことから、
一緒に料理を作る(技術の伝承)、料理につ いて聞く(技術の伝達)の2点を深められる よう、授業で学生に働きかけていきたい。
参考文献
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人口問題基本調査国勢調査
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14)古橋優子:夕食の調理時間と年中行事の 伝 承 に つ い て の 一 考 察,食 生 活 研 究,22(5),45〜49,(2002) 松本祥子:家庭科 における伝承料理調査の一考察,家庭科教 育,76(5),77〜85,(2002)