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銀行の資産選択

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(1)

584  

− 2ク ー  

銀行の資産選択  

吉 尾 匡  

Ⅰは し が き  

従来,投資盛を規定するものほ利子率水準と考えられていたが,現実紅ほ,  

借手が現行の利子率を容認しても,欲するだけの資金を獲得し得ないというの   が実情である。このように金融市場が不完全である場合,何が投資患を左右す   るであろうか。それは結局,企業の利用し得る資金患であるが,企業が現に.保   有する資金藍を一・定とするならば,利用可能な資金量は金融機関からどれだけ   借り入れることができるかに依存する。こと紅日本の場合は,企業の自己資金   がまだ充分でほないから,この傾向が顕著である。ところで現実の信用供与   患は,金融機関の「貸出しの能力と意欲」,つまり信用の利用可能性(Credit  

Availability) 

割当てが行なわれるのであって,借手たる企業が利子率を考慮した上で,侶入   れ額ないし投資額を決定するというのではない。銀行の行動が,結局,投資畳   に作用し,産出高に影響すると考えることができるのである。   

従来の金融政策論でほ,中央銀行と商業銀行ほいずれも通貨発行機関である   としで一・括し,これを貨幣組織と呼んでいるが,そこでは,′市中の商業銀行の   行動は中央銀行の行動と表装一・体と考えられ,特別に考察されることはなかっ   た。しかし実際には,中央銀行の行動と市中銀行の行動とは別のものと考えな   ければならない。中央銀行は国民経済の動向紅影響を与え,通貨価値の安定を   計るために行動し,自行の収益を計る必要がないの紅対し,市中銀行は何より   もその収益を考え,その株主の利益を守るもめと考えられる。その市中銀行の   行動が,金融政策の効果・国民経済の動向に影響を及ぼすというのである0銀   行の資産選択行動に注目しようとする理由はここにある0   

本稿は,不確実性の下に.おける行動理論として注目されている、Po工 tfolio   

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(2)

銀行の資産蓮択   −2J−  

585  

selectionの理論の銀行行動への適用を中心に.,どのような理論が銀行の資産   選択問題を取扱うのに.適切であるか,を探ろうとするものである。  

ⅠⅠ期待効用極大化論  

今日,資産選択論の主流をなしているのは,期待効用極大化仮説を基礎とす   るものであろう。この理論を銀行行動に適用しようとする試みは,既に多くの  

(1)  

論者が行なっているが,筆者もまず最初にその線をたどってみ.よう。そのため   には,期待効用極大化仮説による資産選択論のアウトラインを述べておかなけ   ればならないd  

(1)効用関数と無差別曲線  

\   

企業行動の分析を行なう場合,伝統的に,利潤極大を求める行動として取扱  

われていた。しかし,そこでは不確実性の要素が無視されている。現実の不確   実性の存在する世界に届いては,St・PetersburgParadoxに含まれている問  

題が問い直されなければならない。すなわち,人間行動は,単に収益額ないし収  

益率の大小に.よって規定されるだけではなく,危険要素その他によっても影   響されるほすである。そこで,個別経済主体の行動の新しい説明用具として,  

いわゆる期待効用仮説(ExpectedutilityhYpOthesis)か提案される。 

ょれば,危険を含む事象の選択を行なう場合,個別主体は期待効用(効用の数   学的期待値)を最大にしようとする行動をとるものと仮定サーるのである0とこ   ろで∴効用なる概念ほ,基数的可測性が否定され,個人間の比較が不可能であ   るということから,経済分析用具としての地位を失っていたかに見えたが,フ  

(1)例えば次の文献をあげることができる。桐谷維,「市中銀行琴金運用の理論と実際叫− 

資産選択の理論による接近丁・」,『金融ジャーナル』,第7巻第10号・1966年10月0水    野正一・,「銀行のどへイビア」,飴・鎌倉編,『金融経済講割,Ⅱ(金融と金融市場),第、金    華,東洋経済新報社,1968年。水野正一・,「ポ・−トフォ・リオ・セレクレヲンと銀行行動」,  

『経済科学』,第16巻第4号,1969年。EdwardJ.Xane and BurtonG・Malkiel,  

Bank PortfolioA1location,DepositVariability,andtheAvai1abilityDムctrine,    

Q〟α′ね′J.γ.Jβ〝′〝αJ∂′励0那∽さc・S,Vol.79,No.1,Feb.1965。   

(3)

第43巻 第6号  

・一− ヱゴ ー  

586  

オン、・ノイマン(Ju von Neumann)とモルグンスチルン(0・Morgenstern)  

紅よって新しい光が与えられ,適当な原点と尺度とを与えること紅よ.って,効  

(2)  

用ほ再び基数的にも取扱うことができるに至ったのである。   

さて−,これから考察しようとするのほ次のような問題である。選択可能な各   種の資産があって,それぞれから期末紅得られるであろう収益率ほ投資家が予   想するものであり,資産の種類ごとにまた投資家ごとに,収益率期待値もその   バラツキも異なる確率変数であるとする。このような各種の資産を混合して,  

期首に−・つのポートフォリオをつくる場合,いかなる資産構成にすれば,期待   効用を極大紅すると.とができるであろうか。一応,期首伝おける資産総額を所   与として,そ・の内部の構成を問題に.するのである。   

ところで,期待効用を極大化しようとする行動と,効用そ・のものを極大化しよ   うとする行動とは,同じものでほない。しかし,例えば(1)式のような,純収益   率7に.関する2次の効用関数び(γ)を仮定した場合に・ほ,効用の期待値E〔ぴ(グ)〕  

は,純収益率(投資1単位当りの純収益)の期待値g〔γ・〕=打 とその分散α2め   関数となる。森お,確率変数′ほ正規分布をしているものと仮定おこう○  

恥,仇,〟2は適当な定数である。  

ぴこぴ(γ)=〝0十机γ+〟2㌢2  

(1)  

β〔ぴ〕=β〔〝0十机r十〝2γ2〕=的十机方+録2(汀2+♂2)(2)  

他方,効用そのもが打と♂の関係であると考え,この効用の極大を求めるとすれ  

ば,(1)式の皐うな効用関数の親待値を極大化せしめる方法と一徹すること紅な  

る。つまり,(2)式はもともと期待効用関数であるが,β〔〝〕=肝と置き,とれ   を打とJに依存する効用関数と解釈することもできるわけである0  

Ⅳ=〝0十打17r+〝2(汀2十J2)  

(3)  

ところで,γの分散ないし標準偏差が大であればある程,純収益率の実現値が方   から大きく帝離する危険性も大であるので;グを危険の指標と見ることができ   る。もっとも,如こは正規分布を仮定しているから,純収益率の実現値γ、と期待  

(2)Johnvon Neumann and Oskar Morgenstern,7heoY.γOfGamesandEconomic    Behaviw,PIinceton Univ.PIeSS,1953,Chap.1,§3,特にpp.24〜27。   

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(4)

− 2β・−  

銀行の資産選択  

587  

億万との差(㌢・−方)め絶対値が,ある正値d以上になる確率は,差が正の場合も負   の場合も相等しい。P(l㌢一打【≧d;タ・<方)=P(㌢・−・一方≧d;γ>方)。それ故,♂が大である  ことは,期待を裏切るような純収益率しか得られない不運の確率P(】γ −−・汀′≧d;  

γく=汀)が大きい反面,期待以上の成果をおさめる幸運の確率P(γト・・方≧d:グーニ>万)  

も同様に大きいのである。不運を予想することからは効用が削減され,幸運を   予想することからは効用が増大せしめられる。いま,期待値花・がそのまま実現  

した場合紅得られるであろう効用の水準をゼロとして考るえと,P(lγ一打【≧d享  

′く汀)からほマイナ・スの効用が得られ,P(′一方≧d;γ・■>競)からはプラスの効用が   得られる。しかし,経済主体ほP(I7・一方芦≧d;γく方)とP(γ一方≧d;γ>汀)とに・絶対値   の等しい評価を与えるとは限らない。つまり,異なったウェイトによって加重せ  

られるため,マイナスの効用とプラスの効用とは,必ずしも相殺し合わないので   ある。底重塾の経済主塔は・恒豆≧d(′<汀)となる危険性を重大事と考えるが,  

′ 一方≧dとなる幸運を特別に高くほ評価しない。したがって,㌢・が汀の上下にバラ   ツイている限り,時効用は負になり,グが大になるにつれて不効用は増大する0  

(3)(4)  

このような経済主体を危険回避者(risk−aVerter)と呼ぶ。銀行もrisk・aVerter  と見るのが妥当であろうdそこで,(3)式が銀行の効用関数であるとするならば,   

(3)逆に,現実の純収益率が灯以下に.なる危険を意に介せず,p(ト打≧d;Ⅰ>好)の大なる   

ことを歓迎する経済主体を危険愛好者(Ⅰ・isk−loveI)と呼ぶpこの場合はαの大なる資   

産がむしろ選好される。また,危険8の大小がそ、の行動に影響を及ばさないような経    済主体は,危険中立的(risk−neutral)であるといわれる。  

(4)いま,Iisk−aVerterの効用関数u}が,r>7tの    範囲でほ即=α(γ一打)で,γく灯の範囲では紺=   

−∂け一方】であるとしよう。なれ 0・くαく∂で挙    る(第1作図参照)。7・には,それぞれノ (′)の確    率密度が対応しているから,期待純効用はそ・の加    重和である。  

第1乃図  

び,爪ゲ)   

錮‥〕=†:ご′00=イ方α(γ一柳)か   ゲ   イ′・′・T・′ル  

=αノー汀(γ「刷)♂γイ(花一・γ)仲沖<0  

(●小● 0くα<ろ)  

(5)

第43巻 第6号  

588  

ー ヱJ −一  

嘗瑚十2〝2汀‥>0   晋=勿2グ・く0  

となるであろう。(3)式を全微分してdⅣ=0とおき,(4)(5)式の仮定のもとに養   理すると,  

dIy=仇d方+2柚須わ十2批のわ=0   d汀    2〝2J  

dJ   〝1十2〝2汀   

d2汀   2〟2  

>0  

>0  

(8)  

:=・・− 

∴+ dJ2  〟1+2〝2打  

が得られる。これから無差別曲線を描くと欝1  

(6)  

図のようになる。Ⅳのレベルに応じて無数の無   差別曲線群耶(ケ,方)=0が存在するが,より   上方に位置する無差別曲線程,大なる効用を保   証するものであり,経済主体ほ,可能なかぎり   上方の無差別曲線に達するように.行動すること   は言うまでもない。  

第1図   危険回避眉の無差別曲線  

(2)投資機会軌跡   

さて,実際に.資産を保有することに.よっ七実現可能と考えられる純収益率の  

期待値諒と危険(標準偏差)Jを求めなければならない。いま,最も単純な例  

としての2種類の資産からなるポートフォリオを考えよう。期首における資産   総額を∧㌔ 各個別資産の所有額をズ1,ズ2,それぞれの構成比を、方1,.方2としよう。  

(添数字はそれぞれ資産の種別を表わす。)  

また,J汀(γ一刷)d㌢=.†汀(好一γ)・柏)♂7〒g(¢)は,♂の増加関数であるかょ,♂が   

大紅なればなる程,期待純効用(この場合は負になる)の絶対値は大に・なる。なお,こ    の脚注の叙述は横井義則・大薮和雄・堀江.義の諸氏の示唆に負う′ところが大きい。ここ    紅謝意を表する。  

(5)なお,危険愛好者の無差別曲線は下に.凹であり,危険中立的な場合ほ水平紅なる。   

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(6)

銀行の資産選択   ズ1十品=Ⅳ  

・一=佃2=1  

−2β 一−  

また,各個別資産からもたらされる純収益率はそれぞれれ,柑であり,これらほ   期待値が須,方2,標準偏差がJl,J2であるような確率変数である。したがって,  

ポ、−トフォリオの純収益率の期待値汀は,  

汀=E〔′・:〕=E〔れ.鴛1+′・2.芳2〕=汀りn+汀2.尤2   であり,その分散ほ,  

♂・2=グ12れ2+J22.ガ22+2pグ灯2,礼ガ・2  

である○ただし,Pは7・1とγ2の間の相関係数である。(1α(11)式より,  

(11)  

(1か  

打  ̄方2   方  ̄方1  

ヨ引式  

.方1=   ,   .方2=  

汀1 ̄方2   7r2 ̄方1  

であるから,利一万2キ0と仮定して(1勿式紅代入し,整理すると,  

(れ一刀篭)2J2−(グ12十グ望2−2pJIJ2)汀2+2(花セ♂12十冗1〃・望2−PJIJ会(方1十方2))方  

−(方22J12+方12J公2【2pJl♂・2れ方2〉=0   (用  

が得られる。7rl,汀会,♂1,J望,P   はいずれも資産保有者の予想   によって与えられている定数   である。したがってd(14I式は 打l  

第 2 図  

(投資機会軌跡)  

(資産構成)  

7r  

Jと汀に関する2次曲線であ   るが,−1<p<1ならば双曲   線,P=1ならば直線盃と  

なり,また,P=−1ならば方  

O   J〜  

軸で交わる二直線匹なる(磨2図参照)。通常は.双曲線と見てよかろう。また,  

(13)式から明らかなように.,汀=(利一汀2)れ十方2であって,汀は∬1の1次関数   である。第2図の右側はこの廟係を示したものである。結局,第2図の軌跡A  

Bほ,種々なるれと∬2の組合せによって;実現可能と考えられる打と方の組合せを   示すものであり,投資機会軌跡(investment opportunitylocus)と呼ばれる。  

これを簡単にノー(J,汀)=0と表わすことにしよう。なお,銀行のような危険回避   

(7)

籍43巻 第6弓  

ーー ごゼ・−   590  

老ほ,−・定のグに二対しで大」\2つの方が可能な場合には,当然,より大なる汀を   選ぶほずであるから,第2図の投資機会軌跡において,β〟の部分ほ選好され  

(8)  

ない。したがって,有効な部分は曲線〟Aである。  

(3)最適ポ、−トフォリオ   

上述の投資機会軌跡ノ(J,花)=0と,無差別曲線群耶(グ,汀)=0とを組合せること   に.よって,実行可能なびと花の中で,最大のⅣを保証する継合せ(グ*,が)を求め   ることができる。すなわち,通常はⅣど(グ,方)=0の中に./ (J,方)=0に.相接するも   のがあり,その接点に.おいてJ*,方*が決定される。代数的にほ,(14)式を制約条   件として,(3)式の極大を求めれば,期待効用極大化の必要条件  

一録2J   (れ丁汀2)2J  

し15)  

=      納十2〝2方「.(J12十J22−2pJ灯2)汀−‡方2J12+れJ22−βのJ2(れ−   

/  

が得られる。(15)式の左辺ほ耶(打,汀)=0の接線の勾配であり,右辺はノ (J,方)=0   の接線の勾配である。したがって,両者が等しい点,つまり,両曲線の接点に  おいて必要条件が満たされることを意味する。さらに,この点に・対応するれ,  

ガ2を(13)式から求めることができる。これを釣*,職*としよう。.鴛1*,∬2*からなる   ポートフォリオは最適ポー・トフォリオと呼ばれる。  

(4)安全資産を含むポL−トフォリオ  

これまでの分析は,2種類の危険資産を保有する場合に.ついでであったが,こ  

(6)多種類の資産からなるポートフォリオの場合は,実現可能    な打と♂の組合せは,1曲線ではなく,第2乃図のような1つ    の領域となる。このような,可能な集合の中で,危険回避者    窄琴択しようとするのは,西北方の境界線〃ダ上の点であ    ろう。それ故,曲線脚を有効フロンティア、−と呼ぶ。可  

∴ 

‥ 

第2紹図  

無数ゐポ−トフオ・リオがあり得る。しかし,有効フロンティ  

ア・一上の任意の1点は,特定の構成をもったポ一−トフォリオと対応しているのである。  

なお寿細ほ「,桐谷維,『ポートフォリオ・セレクジョンー金融資産選択の理論一岬−』  

春秋社ご1968,貨3章を参鳳せられたい。   

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(8)

銀行の資産選択   ーー27 −  

591  

れに純収益率の確定している資産(安全資産と呼ぼう)を追加した場合につい  

(7)  

て考えてみよう。まず,2種の危険資産だけについての投資機会軌跡./■(グ,汀)=0   上の任意の一点紅対応する危険資産混合を考える。この混合からの純収益率の  

期待値と標準偏差が,それぞれ方架,α・.であるとしよう。これ把.追加される安全   資産ほ1種類で,その純収益率を′d(定数)とする。また,期首にノおける総資産所   有額をⅣ,危険資産混合保有額をXとすると,安全資産保有額ほⅣ一方である。  

ポートフヵリオ全体の純収益率の期待値打と標準偏差Jは.,  

汀=(花冠−㌢d)一+7d   ガ  

′√−■;・.\  

であるから,  

丁・−・ト 

て・ 

lフ・J  

8 ̄β  

(18)  

が得られる。刀毎,J霊ほ任意に選ばれた定数であるから,(18成ほ,(J,汀)平面に.お   いて,γdの切片をもち,勾配が(方∠こγd)/グ元の盾線にほかならない。これは,安   全資産と,一・定の(好悪,♂悠)をもった危険資産混合とからなる実行可能なポート  

フォリオ・の集合でほあるが,(打彩,花宣)の選び方いかんに.よって,直線の勾配を  

−・層大にすることができるか  

第 3 図  

危険資産と安全産資のポ−トフォリオ  

7r  

も知れない。(4)式に示されて   いるように,危険が・−・定なら   ば,純収益率のより大なるポ 介ユ  

ートフォリオが速好されるか 呵      〝●  

ら,直線の勾配が最大になる   時,つまり,ノー(グ,汀)=0に対  

して第3図のC点(0,7・d)か   ら描いた接線C7 が,ト有■効な  

り 訂   0  

Valuation of Risk Assets aI】d the Selection of   Pbrffolios and CapitalBudget≦,卯 Revi ew of  

(7)詳細は,John Lintne上, The    RiskyInvestmentsin Stock  

βα㈲の椚csα〝♂∫ねJi加硫鵠,Vol.47,No.1,Feb.1965,を参照せられたい。   

(9)

■  

− ごβ −−   第43巻 寛6弓   592  

フロンティアーである。T点より右では, m曲線が有効であるから,結局  

CrAがこ.の場合の投資機会軌跡である。なお,接点Tにおける汀ど,打霊を花実*,げ元*  

とすれは,接線の方程式ほ, 

方正*−㌢α  

(18*)  

J+7■d  

グ∬*   

であり,この直線上での危険資産の構式比ほ,  

ズ  1  

 ̄− 

.\、げ、モ 

l川  

によって与えられる。C点でほ,グ=0であるから,−±0で,危険資産を含   まないポートフォリオを意味し,右上に進んでグが増大するにつれて危険資産が   増大し,r点に達すると 

なるポL−小フォ・リオになる。ところで,このようにCT■線上を移動してⅩ/Ⅳが   変化して−も,危険資産内部の構成比方1,.方2(.れ十%2≦1)は不変であるらとが証明  

(8) されている。危険資産と安全資産の構成比が変化しても,接点rに・よって指定  

される危険資産構成比が維持されるのである。いま,第3図に例示するように  無差別曲線との接点が茸であるとするならば,危険資産Ⅰ(その純収益率の期  

待値と標準偏差を机,グ1とする),危険資産Ⅱ(同じく方2,J2)および安全資産  

(確定利子率わ)の構成比ほ,同図右側紅示されているように・れ:・方2:.γとなるo   E点が直線上を移動する場合(.方1十∬2):グの比ほ変化するが,・光一1:一諾2は不変であ  

る。投資機会軌跡CrAのうち曲線TAの部分では,危険資産のみからポートフ   ォリオが構成されるが,曲線上を移動するにつれでれ:・方2の構成比が変化し,A   点でほ危険資産Ⅰだけを含むことほ言うまでもない。  

(8)これは分離定理(Separationtheorem)と呼ばれるもので,JamesTobin, Liqui・   

dity Preference as BehaviorTowards Risk! Review ofEconomic Siudies,Vol・   

25,No.67,Feb.1958,reprintedin RiskAveriion and PoYi.fblio Choice(Cowles    Foundation叫OnOgraPh19),ed・byD・I)・HesterandJ・Tobin,JohnWiley,1967,  

(水野・山下監訳,『現代の金融理論Ⅰ』,勃草書房,1965,第2章紅収録)において証    明されている。   

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(10)

銀行の資産選択   ー2ク ー  

593  

(5)確定利での借入れないし預金受入れを含むポ−トフォリカ 

と七ろでこれまでは,自己の予め所有する資産Ⅳの運用を考えてきた。つま   りⅩ≦Ⅳまたほざ/〟≦1であった。したがって,(18*)式は0≦J≦¢壱の範囲にお   いて有効であるに過ぎなかった。しかし,もしγdの確定利子率で現金の借入れ   を行ない,これを危険資産に.運用することができるとすれほどうか。との場合  

(9)  

ほズ/〃>1となり(18*)式ほJ∬くJの範囲でも妥当すること紅なる。それ故,第  

3図の直線Crほ・r点より右上の部分冬有効に・なる0この部分でのポL−トアオ・リ  

オは,ノ自己資産紅借入れ金を加えた総額を危険資産紅蓮用して:いるものであ   り,その場合の危険資産相互の構成比は,r点把.よって指定されるものにほ一品   ならない。   

−一・般の企業や家計の場合ほ.,安全資産として金融機関預金を考えることがで   きるが,銀行の場合,利付きの預金を資産として保有することは,むしろ例外   的と考えてよかろう。逆に・−・定の利子を支払って預金の受入れを行ない,これ   を2種類ゐ危険資産,すなわち貸出しと有価証券保有,に向けているのである   から,銀行ほCr線の延長上のポートフォリオを選んでいることになろう○   

次に,銀行にとって,もう・一つの重要な資産項眉である現金(中央銀行への預   け金を含む)を考えなけれほならない。物価変  

動による実質価値の変化を無視するならば,現  

金は安全資産であって,そのもたらす収益率は    汀  

第 4 図  

銀行の投資機会軌跡   ゼロ,標準偏差もゼロである。したがって−,さき  

の安全資産と危険蛮産との綜合ポ−トフォリ   オの手法を用いれば,投資機会軌跡は,曲線 rJ  

./くJ,方)=0に対して原点から接蝉を描くこと   に.よって求められる。結局,銀行紅とって有効  

(9)Ⅹ/ⅣくPの場合は,期首濫,危険資産そのものを借入れて売却し,安全資産を保有ん   

ておき,期末紅,危険資産を買い戻しで返済する場合を意曝する。つまり,好一r・フォ  

リオはマイナスのⅩを含んでいるのである。銀行の場合ほ,、、このような行動を殆どと   

らないものとして,考慮外とする。   

(11)

第43巻 第6号  

− 30 一一   594  

な投資機会軌跡咋.,第4図のOQmであるということになろう。   

さて,このような投資機会軌跡と無差別曲線との接点が銀行のポ・−・トフォリ   オを決定するということになるが,その接点が仮にOQ問にあれば,銀行の正味   資産Ⅳの叫部を現金で残し,他の部分を危険資産の保有に向けるというポート  

フォ・リカーである。預金を持ないことに.なり,非現実的である。Q甘間に.均衡点   があれば,銀行の正味資産を二つの危険資産(貸出しと有価証券)に運用して   いるというこ.とで,預金の受入れも現金保有もない。これまた銀行の現実とは   程遠い。次紅rβ間では預金の受入れをして危険資産に投じているのである   から,銀行め現実紅比較的近いと言えよう。しかしながら 

有のない銀行ということに.なる。このように見ると,いずれの場合も,銀行の   ポ−トフォリオを説明するのに充分ではないと言わざるを得ない。  

ⅠⅠI E=Ⅴ基準と銀行流動性   

これまで,期待効用極大化論を用いて銀行の資産選択問題を解こうとしてき    たのであるが,結局,上のような不充分な結果に.終ってしまった。その理由を    明らか紅するためにも,もう・一・度,期待効用極大化論の性格を考えてみよう。   

この理論では,期待効用を極大化するための具体的な行動基準として,収益額   ないし収益率の期待値(Expectation)とその標準偏差ないし分散(VarianCe)を  

選んそいる占 いわゆるβ=y基準である。この標準偏差またほ分散を危険の指  

標と考えている。不確実性の大きい現実の世界の分析に.おいて,単償・収益率だ  

/  

けでなく,危険要素が考慮されるということは大きな前進と言えよう○   

とこ畠で,銀行経営粧ついて二言えば,収益を追求する一・方,安全性,したが    っ:てその奥側としての危険性,が常に.問題に.される。しかし,これは,資産選   択論におけるβ=γ基準とはかなり性格の異なったものであることに.注意しな    ければならない。銀行が安全性を維持しようとすることは,通常の場合,充分    な流動性を維持しようとすることである。銀行はその正味資産に比較して膨大    な預金債務をかかえており,しかもそれは主として短期債務である。預金者に   

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(12)

銀行の資産選択   ー 3J−−  

595  

対して銀行ほ,要求次第返済を行なうことが義務づけられて∴おり,それが不可   能であれば銀行の存立ほ保証できない。ここから銀行流動性の必要が生じてく  

る。しかし,この流動性の維持ほ,銀行にとって,収益性を抑圧するものなの   である。流動資産の増大は収益資産の減少とならざるを得ない。「収益性」と  

「安全性」,は銀行にとって,まさに・矛盾する概念なのである0この二つの矛盾   する要求をバランスせしめるとこ・ろに, 

周知の通りである。   

これ紅対し,β=l′基準紅おける収益性と安全性はどうか。 

産疫収益嘩が低く,危険な資産はど収益性が高いといわれる0このことから収   益性と安仝性がここでも矛盾するよう虹も見える。しかし,且=Ⅴ基準の場合    危険が大であるというのは収益額ないし収益率のバラツキが大であるというこ  

とであって−,収益が必ずしも確実紅得られないということを意味する。標準偏   差隼よって示される危険が小であればある軌つまり安全であれほある私− 

定の収益がより確実に・得られるのである?この意味での安全性は,収益性とは   決して矛盾しないのセある。要するに,β=Ⅴ基準に・おいて収益率と危険を論じ  

ても,そこでほ,銀行における流動性(ないし危険性)の問題ほ.考慮されてお   らず,収益性の問題に.かかわっている軋過ぎない。鍛行流動性の問題は,銀行   資産の中で戦略的重要性をもっているが,こ・れに対してほ,β=椛誌準以外の   何らかの角度から光を当てて一見なければならないであろう0  

ⅠⅤ 期待効用極大化論と銀行の収益資塵   

銀行の準備資産が,βニγ基準紅よる分析の対象とは.なり得ないことほ上述.の   通りである。準備資産は,経験的・政策的に,預金に対して−・定の比率をもつ  

ものとして無視し,収益資産に・ついてだけ且=Ⅴ基準の適用を考えて冬よう○  

そうすると,欝4区Ⅰの直線rβ上に均衡点をもつのが,銀行の現実に近いとい  

うことになろう。その場合,銀行ほその正味資産匹.対して著しく多顔の預金債  

務をも、つているから,均衡点(β)ほT点より非常に離れた位置に・存在するこ   

(13)

第43巻 第6弓  

第 5 図   

銀行のポートフヵリオ  

ー 32−  

とに・なろう。このよう   に決定された銀行ポー  

トフォリオの構成は第   5図に示rす通りであ   る。ここで,エ点ほ貸   出しの純収益率の期待   値汀Zと標準偏差J〜を   示し,β点は有価証券   保有からの純収益率の  

596  

焼成比  

.期待値方ぁ と標準偏差  U    αゐ を示しているとす  

しrrノ  、  一−  ノ    yれ    γよ  

ィる0この場合,最適ポ・−トフォリオの期待純収益率汀*が方〜などより著しく高    くなっているのは,方*は正味資産Ⅳ紅対する期待収益額の比率として計算さ    れるからである。   

ところで,このような資産選択行動が正しいとするならば,無差別曲線の形状  

次第で,つまり銀行の選択次第で,預金額を自由に選択できることに.なる。前   述のどとく,ズ/ⅣはJに正比例して増大するのであるから,いま,Ⅳを所与とす   

るならば,Jの増大と共にズーⅣは増大する。ズー−Ⅳはこの場合,預金受入れ額に    はかならない。したがって,預金額が銀行の選好に応じて決定されるという訳   である0しかし,実際には,銀行にとって預金額はむしろ与件と見るぺきもの    であろう0ただ,信用創造による派生的預金をも含めて考えるならば,預金は,  

ある程度,銀行の決定し得るものと言えるが,その場合紅は,貸出し額と預金  額ほ同方向に変化するほすである。この事実と,第5図とは,必ずしも矛盾す 

るものでほない。この図で固定されたままなのは,「貸出し額エ」対「有価証券   保有額β」の比であって,貸出・し額が預金額と共に変動することを否定して−い   

ない。しかし,エ:βの此が預金額や貸出し額の規模に.よって影響されないとい    うのは現実的ではない。つまり,現実の問題と、して,分離定理の妥当性は疑わ    しいということ紅なる。   

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(14)

銀行の資産選択   − β3 −   

597  

このように考えて−くると,期待効用極大化論の銀行への適用を,やや異なっ  

(10)  

た手法で行なっておられる水野教授の分析が興味深い。簡単に.それをフォロー   して∴おこう。まず,前述の(1)(2)(3)睦)(5)式と同様の効用関数ないし期待効用関数   翠想定する。ただここでほ,利潤率ではなく利潤額の関数であるとする。次に・,  

貸出し額をエ,有価証券保有額をβ,本源的預金額βp,現金支払準備率をα,  

貸出し甲預金歩留り率を鳥,正味資金をⅣとすると,銀行勘定は次のようにな   

(11)  

る。  

エ+β+α(かp+烏エ)=βタ+比+Ⅳ   (20)  

いま,α,烏,βpおよびⅣを所与として−,エ,βを変数と考えると,位相式ほ次のよう   な直線の方程式である。  

β=−・〈1−ゐ(1−α)〉エ+i(1−α)βp+Ⅳ〉  

(20′)  

これは第6図のQQ′直線に.はかならない。これが,βp,〃か一・定のもとでの投資   機会軌跡と言えよう。一般に,0くαく1,0くゐく1であるから,−1く−〈1一利1−α    く0となる。したがってOQくOQ′であるが,畝が大である程,また,αが小であ   る程,直轡の勾配がゆるやかに・なることほ.,通常の信用創造論からも容易に了   解できる。また,払およびⅣの増大(α,点所与)に応じて, 

動すること㌢よ言うまでもない。   

これに対して−,無差別曲線は次のように.して求められる。貸出しの純収益率  

(12) をれ,有価証券の純収益率をγむとすれば,銀行の収入ほ・(γ エ+rゎβ)である。rZ,  

γゎは共紅確率変数であり,期待値と標準偏差はそれぞれ,方 ,♂〜;汀わ,Jゎ≒するら   ま 

散ざ2は,  

n=方〜エ+・方わβ−′d(βp十比)−G   但1)  

(10)水野正一・,「銀行行動と資産選択」,且塚啓明編,『資産選択と金融理論』,日本経済新    聞社,197q,籍Ⅱ童。  

(11)これまでの叙述に合わせるため,水野教授の記号を若干変更して用いること紅する。  

仕分 水野教授は貸出し利子率と貸倒れ率を区別しておられるが,ここでは簡単化のため,   

それらを一層して純収益率とした。有価証券に・ついても,ここでの純収益率ほその確定   

利子率とCapitalgain(orloss)を含んだものである。   

(15)

第43巻 第6号   598  

− βイ ー  

∫2=α 2エ2+・Jむ2β2十2p〜爪J占エβ   (22J  

である。(3)式をⅣ=〟0+〝1ⅠⅠ+〟望(n2+ぶ2)と改め,これに(21)提2)式を代入するこ   と軋よって,次の期待効用関数が得られる;  

Ⅳ=〝2(ガム2」−Jる2)エ2十〝2(方わ2+♂ゎ2)β2+2〟2(方上方∂+グ む)エ・β  

十(α1−2〝2Cd)和辻+(択一2〝2Cd)和・β+(的−〟1Cd十〝2Cd2)(23)  

ただし,汀ム=好古・−㌢・あ Cd=′・dβp+Gでありナグ〜わほγ〜とγ・ぁの共分散である。Iy  

第 6 図  

鱒朽の収益資産選択   に−・定の値を与えると,(23)式はエとβ  

に.関する2次曲線(この場合は楕円)  

に.なる。これが無差別曲線にはかなら   ない。Ⅳのレベルに応して,無数の無   差別曲線砺(エ,β)=0が描けるが,  

それは.第6区lⅣW曲線のように,右   下りで原点に対して凸であるとしよ  

0  

エー  

Q   

う。かくして,さきのQQ′線とⅣⅣ  

線との接点において,最適な貸出し額エ*と有価証券保有額β*が決定されるこ  

とに.なる。ここでの無差別曲線耽(エ,β)=0はかなり複雑で,前述の(ケ,汀)平面   に.おける垢(J,方)=0と./(ケ,方)=0め両者に含まれているのと同様のノミラメ」一夕   ーが,すべてその中に含まれているのみならず,βp,G,烏等も含んでいるので   ある。   

さて,以上の・ような期待効用仮説に・よる資産選択には様様な問題がある。問  

題の1ほ1/・(ケ,方)芋0に.ついでである。、これは個別経済主体が各種の資産に・つい  

て,方わ打電の明確な予想をもっており,また,資産相互間に・おける収益率の相関  

袖に.ついても明確な予想をもっていることが前提されている。銀行めような経  

済主体紅おいは,予想の基礎となるぺき過去のデーターも比較的豊富であろう   し,また,将来についての利用可能な情報も多くもっているであろう○したが   ぅて,ノくJ,打)=0は,ある程度,明確に描き得るかも知れない。しかし,個   人の場合などは著しく不明確なものになるであろう。   

問題の2は耽(J,汀)=0ないしI坑(エ,β)=0に・ついでである。・一般に,効用閑   

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(16)

銀行の資産選択   一 ∂∂ −  

599  

数は.論理的に.は可能であっても,現実の問題としては,非常に.あいまいな形し  

かとれないのではなかろうか。純粋理論とレてこれを考える限り,興味ある方   法であり,また,合理的な資産選択行動の基礎にある要周を指し示しているこ  

とは事実である。しかし,現実にそれがオぺレーショナルであるかというと,答   ほむしろ「否」であろう。特にこの第2の問題点を回避しようとして展開され  

(13)  

たのがロイ(A,D,Roy)による「安全第一原理(Safety first principle)」である。  

Ⅴ 安全第一原理と銀行行動  

経済の世界に.おいてほ,例えば,何かの経済活動の結果,純損失が発生する   とか,インフレの過程で資本価値が減少するとか,他の職業なら殆ど確実に得た   であろう所得より少い所得しか得られないというようなことが,起るかも知れ   ない。こ′れらの事態を,ロイは災難(disaster)ないし破局(catastrophe)と呼ん   でい卑。「安全第劇原理」でほ・,合理的経済主体ならば,このような「炎難」の   発生する危険性をできるだけ少ぐするような行動をとるはずだと考える。しか  

し,ロイの意図は,このような特殊の効用由数を楷密化するということではな   く,期待効用理論よりも単純な行動基準を設定するこ.とである。これまでの叙   述に合わせながら,ロイの意図するところを簡単に述べよう。   

2種の危険資産からポー・トフォリオを構成することに.し,前と同様紅,ポー  トフオ・リオの純収益率γは.,その期待値が汀,標準偏差がケであるよなうな確率  

り小   変数セあって,実行可能な投資機会軌跡ほ./■(α,方)=0であるとしよう。ところ   で,rがある−・定の水準d以下Kl低下することを「災難(disaster)」と考え,純   収益率がd以下に落ち込む確率P(γ≦d)をメできるだけ小さくするような行動を  

(1き)  

と′るもとする。この確率を正確に.決定することはできないが,チ・ェピンェフの  

(13)A.D.Roy, Safety First and theHoldir)g OfAssets ,Economeirica,Vol.20,   

甲0.3,.一山y1952。  

(川 口イは粗収益(gI■OSSI■e血n)に.関して論じているが,こ.こでは,これまでの叙述に    合わせて,純収益率としておく。このことに.よって重大な誤りは生じないはずである。  

舶)ロイは,結果の期待値の変化紅応じて−,災難の水準も変化するかも知れないことを認   

めているが,単純化して,一・定と仮定する。   

(17)

′  

第亜巻 第6号  

ー β6−   600  

(16)  

不等式を用いることに.よって,その上限を求めることができる。すなわち,  

2  

P(卜松方−d)≦頂芸デー   であるから,なおさら  

(二心  

J2   行二豆)豆 

P(万一γ≧好一d)≦   (25)  

であり,したがって,   

J2  

P(γ≦d)≦て註否豆  

伽)  

である。このク(γ≦d)の極小を求めるということほ.,グ2/(万一d)2の極小,つま  

り,(好一の/Jの極大を求めることである。ところで,(好一d)/♂ほ第7図の(0,d)  

点と曲線./■(グ,汀)=0上の一点を結ぶ直線の勾配にはかならないかき,その直線   第 7 図   安全策一原理(Roy)  

計   が横軸となす角βを最大にすればよい。すなわち,  

(0,d)点からノ■(グ,汀)=p曲線に接線を引くことによ   って目的を達する。その接点(α*,方*)紅対応する.方1*,  

嘉2*が最適ポートフォリガ・の構成ということ紅なる。  

なおβ≦450の場合に(方−d)/J≦1であり,  

J2/(万一d)2≧1となる。したがってこの場合は,災難   に遭う確率ほ1よりも小であると言える、だけであっ  

打  

d D  

て−,何等の指針に.もなり得ない。   

ところで,銀行にこ.の「安全第一・原理」を適用する場合,戦略的重要性をも   つ「災難の水準現 として,桐谷氏は預金利子率を選んでおられる。それほ,  

蛍位当り資金量について,・その市中銀行が経常的に.予想する各種要求払い預  

(17)  

金,有期預金類利子率の加重平均である。水野教授は「預金利子率の代り紅,  

(18)  

単位あたりの資金コストを指定する方がよい」とされる。  

(16)チェピソ.ェフの不等式に.ついては,河田龍夫・国沢酒典,『現代統計学』(上巻),広川    書店,1963,39−40ぺ一汐を参凰。  

(川 桐谷維,「市中銀行のポ−トフォ・リオ・セレクション」,館・小宮・鈴木編『国債管理    と金融政策』,日本経済新聞社,1968,貨5章,141ぺ−ジ。  

(1拐 水野正一・,「前掲論文」(銀行行動と資産選択),104ぺ一汐。   

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(18)

銀行の資産選択  

601  

ー 37−   

このようなロイの方法に・少し修正■.を加えたものを,テルサr(L.G.Telser)  

(19)  

が提示しているので簡単にふれておこう。デルサーは純所得水準がある水準以   下に落ち込むことを問題にしているが,ここでは轟屯収益率に関して述べること   にしよう。   

実現可能なポートフォ・リオノ(灯,汀)=0を,純収益率γが災難の水準d以下に落   ちる確率がある一億の値∂を超える場合P(γ・≦d)>∂と,超えない場合P(r≦d)  

≦∂の2つに分類し,超えない場合のポ−トフォリオを許容ポ−トフォ・リオ  

(20)  

(admissible portfolio)と名ずけよう。さて∵経済主体は,許容ポL−トフォリオの   中で,つまり,P(γ≦d)≦∂という条件に.したがいつつ,期待純収益率老〔′・〕=汀   を最大ならしめるようなポー・トフォリオを選択サーるものと考えるのである。こ   の場合もチェピンェフの不等式を援用する。すなわち,   

P(r≦d)≦て完竃ア  

であるから,もしグ2/(万一の2≦∂ならば,P(γ≦d)≦∂  

である。したがって,J2/(好一♂)2≦∂が危険に関する   制約条件である。これからグ/(好一・d)≦/ ̄すが得られ  

る。デルサ−・の意図するところをグラフで示せば,第  

(26卜  

第 8 図  

安全第一原理(TelseI)  

?r  

一丁・一山  

8●  

8図のようになるであろう。すなわち,tanβ=  

=1//ざあ勾配をもった半直線を(∂,d)点より描く  

と,これが許容ポー・トフォリオと非許容ポートフオリ  

オの境界線となる。便宜上,許容境界線と呼んでおこう。この境界線の方程式   は,  

汀==♂+d  

1   位7)  

である。投資機会曲線ノ■(J,汀)=0のうち,この境界線より上紅ある部分が,許   

(19)LesterG・Telser, Safety FirstandHedging, Review ofEcon?micStudieg,   

Vol.23,1955,pp.1−16。  

CO)テルサーほ経済行為を許容せられるものと然らざるもの紅分け,前者をadmissible   

actionと呼んでいる。(Telser,ibid.,p。1)   

(19)

602  

第43巻 寛6−弓   

−βg・−  

容ポ−トフオ・リオの集合である。この集合の申で最も選好されるJのは,最高の   汀を保証するポートフォ・リオである。したがって,ロイの場合にほ.第8図のβ点   声ミ選択されるほずであるが,ニデルサ−の行動基準にしたがえばQ点が選択せら   れることになる。なお,ロイは貨幣も危険資産として取扱っているが,デルサ  

(21)  

−は.,短期的に.ほ,無危険資産とみてよいとしている。   

さて,テルサ−の意図を基礎にもう少し展開して:みよう。いま,ノ(J,汀)=0   が(欄式紅示されるものであるとして,テルサーの場合の最適ポL−トフォリオを   考えてみる。それは,(14)式と(27)式を連立方程式として解けばよい。単純化のた   め(14)式をβ1♂・2+β2汀2十βさ汀十β4=0として,J=(方−rd)/訂を代入すると,冗・に   ついての2次式となり,方の根は,  

4 JJ封ゴi.j  

±/ ̄示禰  

♂∂β1β3一+∂β1β   

但8)  

2(β1∂十β望)  

となる。もしこれが虚根ならば,許容ポートフ   ォリオが存在しないことを意味する。これは第   9図の直線αの場合である。もし重根ならば,  

直線∂の享うな場合で,均衡点はロイのそれに   等しくなる。異った2根(方別,汀β2)が得られ  

る場合は,大きい方の根汀ガ1が均衡値である。  

ただし,その均衡値は,直線Cの場合のよう   に,汀2く万別≦方1の範囲になければならない。  

寛 9 国  

許容境界線と最適ポートフォ・リカ 

つr  

もし,方2<汀ガ2・く汀1<打方1ならば(直線dの場  

合),均衡ポートフオ・リオほA点で示される。実行可能な集合は曲線Aβの範   囲だからである。またもし,方ガ2く汀2<机<わ1ならば,(直線βの場合)実行可   能ポートフォ・リオ全体が許容ポ」トフォリオでありて,均衡点はA点である0   

さて,ロイの場合に.は,・−・定の災難の水準以下に純収益率が落ち込む確率   を,可能な限り減少させようとするものであり,安全のためにほ収益率に.は必   ずしもこだわらないという行動である。まさ紅「安全第一原理」の名がふさわ   Cl)Telser,ibid・・,pp.2〜3。   

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(20)

銀行の資産選択   一− 39 −  

603  

しいであろう。なおロイの場合を,線型の無差別曲線をもった特殊の期待効用   極大化論と見ることもできよう。しかし,テルサーの場合は,安全に対する配   慮から,選択あ領域が指定されるが,最終的な決め手は利潤極大である。した   がって文字通りの「安全昇一原憩」とは言えないかも知れない。それは,いわ   ば,期待効用理論と利潤極大化論の折衷案であるが,銀行の行動を考える場合,  

テルサー・の方がむしろ現実に近いのではなかろうか。  

ⅠⅤ 投資機会軌跡の問題   

前節の安全昇一原理は期待効用極大化論における期待効用関数のあいまいさ   に.疑問を持ち,無差別曲線,I椛■(J,汀)=0ないし耶(エ,β)=0にかえ.て単純な直   線を用いようとしたものであった。しかし,さら紅投資機会曲線ノ■(グ,汀)主0に  ついても再考を要する。・−・般に,,/くJ,可=0の曲線を規定する場合,完全競争   市場を前提して−論ぜられている卑思われる0勿論,個別資産の期待収益率や危   険の大きさは投資家の予想によって決定されるのであり,その予想ほ,不完全  競争状態をはじめ,あらゆる必要な要因を考慮して行なわれていると言えなく   はない。しかし,実際にほ,銀行の直面する不完全競争状態が充分考慮された   上で/■(ケ,汀)=0が導かれているとは思われない。   

元来,銀行は,そ・の預金の受入れに.おいても貸出しにおいても,ある限られ   た範囲内で,寡占的な地位にあると見られる。本源的預金の受入れは,その店   舗立地などによって一塊定されるものであり,銀行の意思によって増減し得る余   地は少い。銀行にとって,それが与件と見るべきものであることは既紅述べ   た。貸付けに.ついては競争市場というより顧客市場であり,ここで銀行の寡占   的地位が最もよく発揮される。大銀行ほ大企業を顧客とし安定した有利な貸出  

しを多く行い得あが,′J、銀行は危険性の高い貸出しが多くなる傾向が串、る。い  

ずれにしても,貸倒れ損失その他のコストをも含めて考えれば,貸出し額の増  

加につれて不利な貸出しの比重が大になり,純収益率が次第に低下せざるを得  

ないであろう。その低下は,都市銀行よりも地方銀行において,より急速であ   

(21)

l/\  

第43巻 第6号  

604  

ー 4∂ −  

るかも知れない。   

とこ.ろで,総資金額を一億として貸出しか有価証券廃有に運用する場合を考   えてみよう。最初,全額を有価証券に.向けていたものを,徐々に貸出しに振り替   えることにする。いま,第5図のエ点が貸出しの純収益率と標準偏差を示し,β   点が有価証券のそれを示すとするならば,有価証券から貸出しへの振り替えは,  

ノー(ヶ,汀)=0曲線上をエ点に向って移動することである。こ・の場合,実際にほエ点   は次欝紅下または右下に・移動するほずセあるが,そのよう鱒作歌扱われてはい   ない。つまり,一・銀行の貸出し額の増減はその純収益率に何の影響も及ばさな   いような,いわば完全競争状態が考えられていることになる。   

もっとも,個々の顧客紅対する貸出しは,それぞれ条件も異り,貸倒れの危   険性も異る。したがって,こ.れらはそれぞれ別の賀意と考え,多数の危険資産   間での選択の問題として分析することができるかも知れない。しかし,その場   合ほ有効フロンティアー上の点は,劣悪な貸出しを全く含まないようなポート   フォリオしか可能でないことになろう。収益率も安全性も高い資産を如何に・選   好しても,現実にはそのような優良な資産には限度があり,好むと好まざると   にかかわらず,劣悪な貸出先をも選ばざるを得ない。このような不完全市場を  

考えれば,前述のような./くグ,方)=0を,そのままの形で,銀行の資産選択問題に   適用すること紅は問題がある。投資機会曲線をより現実妥当的なものに改める  

ことは今後の課題の一つにしたいと思うが,かなり困難な問題であろう。ここ  

ではさしあたって,伝統的利潤極大化論を再考してみることとする。  

ⅤⅠⅠ利潤極大化論再考  

期待効用理論をほじあとする資産選択論は,不確実性の下における選択理論   というところに.意義があった。それ故,利潤極大化問題も危険要素を無視して   は,当初の趣旨に反する。この意味において,例えばポーター(R.C.PoI■ter)  

(22)  

のモデルは興味がある。しかしここ∴では,さら紅単純な場合,つまり伝統的企  

佗2)R.C.Porter, A Modelof Bank Portfolio Selection,〃 FinancialMarkeis and   

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(22)

銀行の資産選択  

605   

− 4J−  

業均衡の理論をそのまま銀行に適用してみよう。このような型の銀行行動論は   比較的多く試みられているが,ここではムーア(B.J.Moore)の示した簡単な  

(23)  

モデルを見ておこう。   

ムーアほ,預金受入れ額βの−・部を支払準備点として残し,それ以外ほす−ベて   貸出しエと有価証券投資βに運用する場合を考え.る。総収益資産βほ,したがっ   て,エ+βであり,総預金か=月+βである。平均貸出利子率を㌢上,有価証券平   均収益率をγ■ゎ,平均預金コストをれとしでおこう。銀行は,その利潤極大を達   成するために.,貸出し・有価証券投資それぞれの限界収入を,βに.関する限界   費用と等しくさせるであろう。この関係を示してヽ、るのが帝10図である。  

A私ほ銀行貸出しに対する需要曲  

第10図  

線,したがって,貸出しに・ついての  銀行の利潤極大ポ−トフォ・リオ(MooIe)  

平均収入曲線であり,点線腫上ほ ク右   その限界収入曲線である。有価証券   保有紅関する平均収入曲線ばA尺β   で示され,点線几〃?βは同じく限界  

rム  

収入曲線である。総収益資産に閲す r。  

る平均収入曲線と限界収入曲線は,  

それぞれAji∬・」M忍βで示されてい   上1β1  

だ1   エ.且£  

る。この財忍屈曲線と総収益資産に関する限界費用曲線凡才C∬が交わる点で,  

利潤極大が保証される訳である。言うまでもなくACガは平均費用曲線である。  

ここで限界費用が決定されると,それに等しい財兄上,几4だ月が選ばれ(戸亙=  

百石=育瓦),貸出し額が0ム,有価証券投資が0β1というポートフォリオが決定   されるのである。   

EconomicActivifY(Cowles FotmdationMonograph21),ed.by D.D.HesterandJ.   

Tobin,JohpWiley,1967,Chap・2。これにンついては,水野正一一・教授紅よるすぐれた紹    介がある。(貝塚編,『前掲薔』,第Ⅱ章)。  

鯛 この型の分析とじて次の文献をあげることができる。川口弘,『金融論』(経済学全集  

・17),筑摩書房,1966,(第3章)。鈴木淑夫,『金融政策の効果一銀行行動の理論と   

計測…』,東洋経済,1966。Basil.l.MooI■e,A乃 ′〝如d〝C如〝ね 摘β 了Ⅵβ〃rγ 扉   

Finance,(The Free Press,1968),/Appendix to chap.6。   

(23)

−− 4クー   第43巻 弟6号  

606  

ところで,日本の銀行の場合,本来は準備資産たるぺきコL−ル・ローンが,  

地方銀行等では,むしろ収益資産として経常的に保有され,都市銀行でほ逆   紅,常にコール・マネーの解り手になっていることは周知の通りである。この  

(2ヰ) ような状況紅ついては,例えば,鈴木敏夫氏のすぐれた分析があるが,ここ妄  

咋.,本源的預金額恥に・関連して一考えで見ることに・する。まず,銀行の正味資   産と有価証券保有を無視し,収益資産としては,貸出しエとコー・ル・ロ−ンCzの   みを考えることにする。それ故,銀行勘定ほ,  

エ+G+α(β♪十比)=βp+比  

である。前と同様砿.α,ゑはそれぞれ支払準備率・派生的預金の歩どまり率であ   る。いま,コL−ル・ロ」−ンがなく,ぷ♭ほすべてエの基礎となり,しかも,貸出   しの純収益率7zも預金利子率′dも不変であるとすれば,  

(1−・α)  

エ=    βp   (29)  

1一点十αゐ   

であるから,貸出しか年の純収入額戯ほ,  

虎ム=一W亘旦二彗聖書L 

1−ゑ十αゑ   

であり,本源的預金に.関する貸出しの限界純収入は,  

d〟ェ _ (れ−′J点)(1一α)  

l30)  

市1)  

dかp   l−ゐ+αゐ  

で−一億である。しかし,実際にほ,7・〜はエの減少関数,したがって,ヱわの減少  

関数と見るぺきであろう0それ故,雲監は逓減すると考えられる0   

これに対し,本源的預金が,支払準備を残して,すべてコ−ル・ローンに運   用される場合を考えると,その時の純収入額私ほ,  

点。=れ(1一α)かp  

(3勿  

であるpただし,′。はコL−ル・レ㌧一卜で,不変であるとする。したがって,本   源的預金に関するコL−ル・ロ▲−・ンの限界純収入は,  

伽 鈴木淑夫,『前掲書』,第1章。   

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(24)

銀行の資産選択   一 寸3 −−   

607  

d点。   

布=γ山一α)  

であって,一・定である。   

錮  

他方,銀行の費用ほ,貸出しに伴う費用については,派生的預金金利をも含   めて,既紅貸出しの限界純収入の中で考慮済みであるから,ここでほ,本源的   預金に関する利子費用と固定費用C。だけを考えればよい。したがって,このよ  

うな総費用Cは,  

C=タ・d∂p十G  

であり,本源的預金に関する限界費用ほγd紅はかならないp  

通常,恥が少なくエが小である間は監>露=′ム(卜α)と考えられ急から,  

利潤極大が求められる限り,資金はもっばら貸出しに向けられ預金が増大し  

て驚く′e(1−α)となると貸出し蛸止され,もっぱらコーリレ・ロ−ンに向け  

られるこ.とになる。貸出しの純収入に対して,本源的預金が頼対的紅大である   場合,コール市場に贋金を供給することになるが,地方銀行等の場合がと.れで   あろう。これに対し,貸出しの純収入に対して,本源的預金が相対的にノトであ   る場合には,コール・マネーーを取り入れても,貸出しを増加させる方が利潤を   増大せしめることになる。ヱ)pが頭打ちになって,コ−ル・マネーC仇を取り入   れる場合の限界費用はコール・レ−−トγ に等しい。そして総資金額(かp十C別)  

(25)  

の全体が,前のかpと同様に.,貸出しの基礎となるものと考える。この場合,  

総資金額に関する貸出しの限界純収入ほ  

旦 

__■=  

」坦ま二廻二裏  

d(βp十C血)一  

1一点+α烏  

点エ=.J■ニ{rz(エト′d鳥}此  

であって,逓減する。ただし,γz(、エ)はエの減少関数としての貸出しの純収益率   である。都市銀行の場合,この逓減のスピ−ドは綬慢であって,若干のC仇を取  

d点上  

り入れた状態で,なおかつ    >グ■eであるため,コ−ル・マネ・−の取  

d(∂p十C7花)   

り手となり,現金準備を除く全資金額が貸出しの基礎になる。これらの関係を   示したのが欝11図である。ここで〟忍ムは貸出しについての限界純収入,A4だぐは   倒 短資菓者のマ」一汐ソは無視し,C〝才に対する現金準備もβpの場合と同様と考えてお   

く。 

(25)

−一朗 −   第43巻 第6号   第11図   銀行の利潤極大ポーt・フォリカ 

608  

コールローンについての限界純収入,〟Cは限界費用を示していがる 

も,本源的預金に関するものであることほ害うまでもない。なお,コール・マ   ネー・の取り入れが限界に達し,日銀信用に頼らざるを得なくなり,さらに,日   銀の貸出し限度額に達すると,〟C曲線は右上りになろう。  

(1−α)  

欝11図の0∂zは貸出しの基礎となる部分であり,貸出し額は   

(1一点十α烏)  

政ある。ヱ)p>玖の場合(地方銀行の場合)はコ−ル・ローンが行われ,そ   の金額はG=(1−α)砺である。また,βpく∂zの場合(都市銀行の場合)  

ほ扇面それ身体がコ−ル・マネーの金額を示すことになる。  

ⅤⅠⅠⅠむ す ぴ   

以上のように銀行の資産選択行動を概観してせたが,銀行に限らず,およそ   経済主体の行動を分析しようとする場合,何らかの形で不確実性ないし危険要   素に、ついての考察がなければならないこと略言うまでもない。ポ−トフォリ   オ・セレクションの理論はこの点を重視し,従来の確実性を前提とした選択理   論を現実により.接近させようとするものである。その意味で注目すべき分野で   あり,β=γ基準による分析ほその一つの成果である。しかし,これをそのま   ま銀行行動酷遇用しょうとすると,種々の問題が生ずるととは前述の通りであ   る。現状では,むしろ伝統的な利潤極大原理の方が,銀行の行動の分析につい   

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(26)

一 寸5 −  

銀行の資産選択  

609  

て,より適切であるという側面も残されている訳である0しかし,ポ−トフォ  

リオ・セレクションの理論が一層発展し,やがて伝統的理論を再び云云する必  

要のない時期がくるかも知れない0   

筆者の意図するのは最初に述べた通り,銀行行動を通じて金融政策の有効性   を考察することである0とすれば,諸パラメーターの変化の効果を考慮し,動   学的な分析が展開されなければならない0しかし,本稿では比較静学に・も至ら   ず,全く静態的分析に終始している0当初の意図に沿って動態的分析を展開す  

ることを今後の課題としたい0   

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