海外レポート
ハワイ大学での在外研究を終えて
人文学部教授 大 津 敦 史
平成17年3月31日午前8時30分、福岡空港か ら関西空港を経由して、やっとHonolulu空港 に降り立った。5年振りのHawaiiだった。い つも感じることだが、jumbo jet就航以前から の空港なので仕方無いのだろうが、余りにこぢ んまりとしていて、待合室の椅子の数もこれで は足りないだろうにと思われた。そんな余計な ことを考えていると、passport controlの女性係 官から「Hawaii大学では何をする の か?」と いう質問、「専門である英語教育関連の研究を しながら、同時に英語の勉強もしようと思って いる」と答えると、「そんなに英語が旨いのに、
まだ勉強するの」という嬉しいお世辞が返って きた。でも、これはあくまで、日本人としては、
という条件付のお世辞であって、この様に言わ れている間はまだまだなのだと自覚を新たにす る。
今回はいろいろ訳あって、次男坊を伴っての 留学となった。滞在先は、Long Stay Inc.とい うこちらの文化交流団体の会長である大塚真介 氏 の お 世 話 で、Waikikiの 一 角 に あ るWaikiki Banyanというhotel兼condominiumに滞在する ことになった。決して安価という訳ではないの だが、諸条件を考慮すれば、贅沢ながらやはり
Waikikiが便利であった。大学まではTheBusを
利用すれば25分程度、Ala Moana Shopping Center、
Wal-MartそれにDaieiへも15〜20分で通うこと ができた。こうして息子と親父二人の生活がス タートした。自分の研究もさることながら、息 子の就学は大きな問題であった。9.11の影響
でvisaの申請のみならず就学条件が大層厳し くなっており、土・日を除いて週20時間以上の 学習が義務付けられていた。また、F-1 visaを 取得しているにもかかわらず、息子はこちらの 公立高校への入学許可も出ず、Waikikiにある Institute of Intensive English(IIE)という語学学 校に通うことになった。F-1では な くF-2(比 較的取得し易いvisa)であれば公立高校への入 学は許可されたそうである。何と理不尽な!一 方、私がお世話になったHawaii大学には日本 各地から多くの研究者が集まっていて、同じ福 岡からも西南学院大学教授 宮原哲氏(コミュ ニケーション論)が私の半年前より滞在されて いた。同氏は私の高校時代からの友人で、Ha- waiiでの生活に際していくつかのアドバイスと 何よりも心強いご友人をご紹介いただいた。特 にHawaii出雲大 社 神 主 の 天 野 大 也 氏 とIACE
(中 堅 旅 行 会 社)Honolulu支 店 長(現 在 は 北 米統括部長としてLos Angeles勤務)の清水好 氏には、公私共に大変お世話になった。日本か ら来た私の家族や多くの友人にも大変ご親切に していただいた。紙面を借りて、心から謝辞を 申し述べたい。
さて、Hawaii大学ではNICE(The New Inten- sive Courses of English)というESL(English as a Second Language)の分野でよく知られたプロ グラムに在籍し、日本人を中心に、世界各地か ら集まって来た英語学習者を様々な角度から観 察・分析する機会を得た。もちろん関心の中心 が、今回の課題「日本人英語学習者のメンタリ
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ティを考慮に入れた動機付けの方法と望ましい 教授法の研究」にあったことは言うまでも無い。
少なくともNICEに関する限り、喜ばしいこと に、概して日本人英語学習者の動機付けは高い ようであった。特に上のクラスになればなる程 その傾向が見られた。それでも、クラスにおけ るinteraction(group activityやpair workなど)
について言うと、やはり些か消極的な雰囲気は 拭えなかった。その原因は、日本の英語教育の みならず、それ以前の日本語(国語)教育にお けるcommunication skill trainingの不備にあると 思われてならない。早急に解決すべき大きな課 題であろう。詳しい研究成果については、報告 書や共同論文(LET九州・沖縄支部ジャーナ ルに掲載予定)で発表させていただくが、ここ では気が付いた大きな点のみ記載してみたい。
学習者の観察を通して、英語教育の一番の難関
はlistening力の養成であることを再確認した。
alphabetを使用しない日本人をはじめアジア系
の学習者にとって、英語を聞きながらその要点 を掻い摘んでまとめる、所謂note-taking skillの 習得が不十分である。そのため、alphabet言語 圏の学習者と比較すると、listening comprehen- sionとsummarizationにおける苦手意識が顕著 である。そこで、在外研究期間中に入手した資 料を元に、note takingに関するhandoutを作成 したので、早速本年度の授業で活用していきた い と 考 え て い る。ま た、Hawaii大 学 で はweb 教材の普及率が高く、そのお陰で優れものの英 語教材、特に利用価値の高いlistening教材を発 見できたのは大きな収穫であった。
最後になるが、このようにすばらしい在外研 究の機会を与えてくれた福岡大学、そして人文 学部教授会に、心からお礼を申し述べる次第で ある。
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