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L1 0 規則 Fe(Pt,Pd)合金薄膜の結晶性に MgO キャップ層が及ぼす影響

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(1)

- 1 -

L1 0 規則 Fe(Pt,Pd)合金薄膜の結晶性に MgO キャップ層が及ぼす影響

Influence of MgO Cap-layer

on the Crystallographic Property of L 1

0

Ordered Fe(Pt,Pd) Alloy Thin Film

電気電子情報通信工学専攻 野口 陽平

Youhei NOGUCHI

1. はじめに

近年,IoT(Internet of Things),クラウドコンピューティ ングなどの情報通信技術の発達,

PC

やモバイル端末の用途拡 大に伴い世界のデジタル情報量は急激に増加している[1,2].

世界で生産されるデジタル情報量が記録デバイスの記録可能 総量を

2007

年に超えてから,その差は拡大傾向にある.発展 途上国の経済発展なども考慮すると,情報量の急増が継続す ることが予測されている.これらの情報を記録保存するため には,情報記録装置の大容量化が急務になっている.記録装 置には大容量化に加え,長期保存性,低価格性,記録再生の 高速性などが要求される.現状,これらの要因をバランスよ く満たす装置はハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:

HDD)であり,個人使用の PC

からクラウド対応の大容量デ

ータセンターに及ぶ広範囲な用途で活用されている.

HDD

は,デジタル情報を微細磁石として記録し,この磁石は記録 ビットと呼ばれる.HDDの記録容量増大では,記録ビットの 微細化が必要である.記録ビットの微細化ではビットを構成 する磁性微粒子の寸法減少を伴うが,体積(

V )が小さくなると,

磁気エネルギー

K

u

V

K

u

:

一軸磁気異方性エネルギー,

V :

性微粒子の体積)が減少する.磁性粒子の磁気エネルギーが 減少し,HDD 使用環境の熱エネルギー

k

B

T

k

B

:

ボルツマン 定数,

T :

温度)に近づくと,熱の影響で記録磁化が反転し,

記録情報が失われる熱揺らぎ問題に遭遇する[3].熱揺らぎを 避けて記録密度を増大するには,高い

K

uを持つ磁性材料を用 いることが必要となる.

K

u材料として,Fig. 1(b)に示す

L 1

0型規則構造を持つ合 金が注目されている.

L 1

0型規則合金には現在活用されている

Co-Cr

系合金材料に比べ

10

倍以上大きな

K

uを持つ材料が含 まれる[4].

L 1

0型規則構造を持つ

FePt

および

FePd

合金はそ れぞれ

6.6

および

1.8×10

7

erg/cm

3

[5,6]と大きな K

uを持つた め次世代の磁性デバイスとして検討されている.合金磁性薄 膜の磁性デバイス応用では,高い規則度

S

の実現,合金結晶 の配向制御,および高い表面平坦性の確保などが必要となる.

A1

c-axis L10

Annealing

(a) (b)

a-axis

c/a = 1 c/a < 1

A atom B atom

A1

c-axis L10

Annealing

(a) (b)

a-axis

c/a = 1 c/a < 1

A atom B atom

Fig. 1 Schematic diagrams of (a) A 1 disordered and (b) L 1

0

ordered structures.

Fe

50

Pt

50および

Fe

50

Pd

50合金薄膜を低温で作製すると

Fig.

1(a)に示すような原子がランダムに配置された fcc

不規則相

A 1

構造)が形成される.この不規則相を規則相へと変態さ せるには,原子の拡散が必要になるため,高温での熱処理が 必要になる.

A 1

結晶の格子定数比

c / a

1

であるのに対し,

L 1

0結晶は

1

より小さい.そのため,外部からの影響が存在し ない場合,

L 1

0結晶の

c

軸は

A 1

結晶の[100],[010],および

[001]のいずれかに揃うため,等確率で L 1

0

(100), L 1

0

(010),

および

L 1

0

(001)結晶へと変態する.結晶方位の異なる等価な

結晶はバリアント結晶と呼ばれる.実際に多結晶の下地層や 単結晶基板上に形成した

FePt

膜において,三種類のバリアン ト結晶の混在が報告されている[7–14].膜形成条件や基板材料 が膜の構造に与える影響を調べるため,結晶方位が単結晶基 板や下地層に対して制御されたエピタキシャル膜技術が用い られている[9,11,14–18].基板上に薄膜材料をヘテロエピタキ シャル成長させた場合,結晶の格子定数が異なるために格子 不整合が生じる.膜材料に対して基板材料の格子定数が大き い場合,基板近傍の膜材料には面内方向に引張応力が働き,

膜材料の面内方向の格子定数は膨張する.

L 1

0結晶は

c

軸方向 に比べて,

a

軸方向の格子定数が大きいことから,

A 1

結晶よ りも格子定数が大きい基板材料を用いることで,面内引張応 力が働き,

c

軸が面外を向いた

L 1

0結晶への相変態を誘発させ ることが可能であると考えられる.MgO の格子定数は

FePt

もしくは

FePd

合金の格子定数に比べて約9%大きいことから 単結晶

MgO

基板は

c

軸が面外を向いた

L 1

0結晶の形成に適 していると考えられ,多くの研究で用いられている.また,

膜厚の増加に伴い,格子不整合による応力は緩和されるため,

合金膜上に

MgO

をキャップ層として形成することによりさ らに効率的に合金膜への応力が働くものと考えられる.規則

S

が向上もしくは

c / a

の減少に伴って,

K

uが増加するとい う報告があり[19],上述の引張応力により面内方向の格子定 数が膨張することで規則度の向上が見込まれる.

本研究では,

MgO

キャップ層の導入により,

L 1

0型規則合金 の課題である,配向制御および高い規則度を持つ合金膜の形成 を試みる.

MgO

単結晶基板上に

Fe(Pt,Pd)三元合金膜をエピタ

キシャル成長させ,膜の組成と

MgO

キャップ層が結晶性に与 える影響を詳細に調べた.また,酸化

Si

基板を用いて,エピタ キシャル膜に比べて複雑な構造となる多結晶FePt膜をMgO 地層上に形成することで,

(001)配向した多結晶膜の形成に必要

となる下地層およびFePt膜の厚さの検討とMgOキャップ層が 合金膜の結晶性に及ぼす影響について調べた.

修士論文要旨(2016年度)

(2)

- 2 -

2. 実験方法

薄膜試料の作製には,超高真空高周波マグネトロン・スパ ッタリング装置を用いた.基板表面清浄化を目的に,製膜に 先立って,超高真空下で

600 °C

1

時間の熱処理を施した.

ターゲットと基板間の距離を

150 mm,Ar

ガス圧を

0.67 Pa

とした.製膜速度が

0.02 nm/s

となるように印加電力を調節 した.

膜構造を反射高速電子回折(RHEED)および

XRD

により 調べた.膜表面形態を原子間力顕微鏡(AFM)により観察し,

磁化曲線測定には試料振動型磁力計(VSM)を用いた.

3. MgO キャップ層が Fe(Pt,Pd)合金薄膜に及ぼす影響

MgO(001)基板上に基板温度 200 °C

Fe

50

Pt

x

Pd

50–x

( x = 0,

12.5,25,37.5,50,at. %)合金膜を 10 nm

形成し,合金膜 上に

MgO

キャップ層形成を行った.その後,規則化のために

600 °C

で1時間の熱処理を施した.

RHEED

観察の結果から,

熱処理前の

Fe(Pt,Pd)合金膜は MgO(001)基板上でエピタキシ

ャル成長していることが分かった.また,Fe(Pt,Pd)合金膜上 に形成した

MgO

キャップ層についてもエピタキシャル成長 していた.

キ ャ ッ プ 層 形 成 無 し お よ び 有 り に お け る 熱 処 理 後 の

Fe

50

Pd

50膜の面外

XRD

パターンを

Fig. 2(a-1)および 3(a-1)

に,面内

XRD

パターンを

Fig. 2(a-2)および 3(a-2)にそれぞれ

示す.面外

XRD

パターンから超格子反射である

L 1

0

(001)反射

が,面内

XRD

パターンからは基本反射である

L 1

0

(200)反射が

観察された.このことから,

L 1

0

(001)結晶のみから構成された

膜 と な っ て い る こ と が 分 か る . キ ャ ッ プ 層 形 成 無 し の

Fe

50

Pt

12.5

Pd

37.5および

Fe

50

Pt

25

Pd

25膜における面外XRDパタ

Inte n sit y ( ar b . u n it)

L10(002)

Kβ WL MgO(002)

L10(001) KβKβ WLWL

(a-1)

(b-1)

(c-1)

L10(002) +(200) L10(200)

Kβ WLMgO(002)Kβ WLWL

(a-2)

(b-2)

(c-2)

L10(001) Fe50Pd50

Fe50Pt37.5Pd12.5

Fe50Pt50

Fe50Pt25Pd25 Fe50Pt12.5Pd37.5

(d-1)

(e-1)

(d-2)

(e-2)

KβKβ Kβ WLKβ

2θ (deg.) 20 30 40 50 60 70

2θχ (deg.)

L10(200) A2(220)+

A2(002)

w/o cap layer

L10(200) A2(220)+

20 30 40 50 60 70

Inte n sit y ( ar b . u n it)

L10(002)

Kβ WL MgO(002)

L10(001) KβKβ WLWL

(a-1)

(b-1)

(c-1)

L10(002) +(200)L10(002) +(200) L10(200)

Kβ WLMgO(002)Kβ WLWL

(a-2)

(b-2)

(c-2)

L10(001) Fe50Pd50

Fe50Pt37.5Pd12.5

Fe50Pt50

Fe50Pt25Pd25 Fe50Pt12.5Pd37.5

(d-1)

(e-1)

(d-2)

(e-2)

KβKβ Kβ WLKβ

2θ (deg.) 20 30 40 50 60 70

2θχ (deg.)

L10(200) A2(220)+L10(200) A2(220)+

A2(002)

w/o cap layer

L10(200) A2(220)+L10(200) A2(220)+

20 30 40 50 60 70 Fig. 2 (a-1)–(e-1) Out-of-plane and (a-2)–(e-2) in-plane XRD patterns measured for (a) Fe

50

Pd

50

, (b) Fe

50

Pt

12.5

Pd

37.5

, (c) Fe

50

Pt

25

Pd

25

, (d) Fe

50

Pt

37.5

Pd

12.5

, and (e) Fe

50

Pt

50

films without cap-layers after annealing at 600 °C. The scattering vector of in-plane XRD is parallel to MgO[100]

substrate

. The intensity is shown in logarithmic scale.

ーン(Fig. 2(b-1)および

(c-1))から,どちらの膜についても L 1

0

(001)反射に加えて, A 2(002)反射が確認されたことから,

不規則

bcc

構造である

A 2

結晶が混在していることが分かる.

これに対し,Fig. 3(b-1)および(c-1)に示す,キャップ層を形成 した膜では,

A 2

結晶からの反射が消失している.このことか ら,MgOキャップ層の形成は,

L 1

0結晶への規則化を促進さ せるために効果的であると考えられる.Fig. 2(d)および

3(d)

に示す

Fe

50

Pt

37.5

Pd

12.5膜の

XRD

パターンから

MgO

キャップ 層の形成に関わらず,

L 1

0

(001)結晶のみから構成された膜とな

っていることが分かる.キャップ層形成無しおよび有りにお ける

Fe

50

Pt

50膜の面内

XRD

パターンを

Fig. 2(e-2)および

3(e-2)に示す.キャップ層を形成していない場合の面内 XRD

パターンにおいて,

L 1

0

(001)反射が観察されており, c

軸が面 内を向いた

L 1

0結晶が混在していることが分かる.しかしな がら,MgOキャップ層を形成した場合この反射が消失してい ることから

c

軸が面外を向いた

L 1

0結晶のみから構成されて いることが分かる.これらのことから,MgOキャップ層は規 則化を促進させるだけでなく,

L 1

0結晶の

c

軸を基板面に対し て垂直方向に揃えることが可能であると考えられる.

XRD

データから算出した,

Fe

50

Pt

x

Pd

50–x膜中の

L 1

0結晶の 格子定数比

c / a

および規則度

S

Pt

組成依存性を

Fig. 4

に示 す.全ての組成において,MgOキャップ層の形成を行った膜 のほうが

c / a

が小さくなっていることが分かる.このことから,

MgO

キャップ層と

Fe(Pt,Pd)膜間の格子不整合による面内引

張応力が働き,

L 1

0結晶の面内格子が膨張しているものと考え られる.また,規則度

S

についてはキャップ層形成を行うこ とにより,およそ

16–53%高くなっていることから規則化が促

w/ cap layer

L10(002)

Kβ WL MgO(002)

L10(001) KβKβ WLWL

(a-1)

(b-1)

(c-1)

(d-1)

(e-1)

Kβ WLKβ

2θ (deg.) 20 30 40 50 60 70

L10(200)

MgO(200)

(a-2)

(b-2)

(c-2)

Kβ WL

Kβ WLWL

(d-2)

(e-2)

Kβ WLKβ WL

2θχ (deg.) 20 30 40 50 60 70

In te nsit y ( ar b . u n it)

Fe50Pd50

Fe50Pt37.5Pd12.5

Fe50Pt50

Fe50Pt12.5Pd37.5

Fe50Pt25Pd25

w/ cap layer

L10(002)

Kβ WL MgO(002)

L10(001) KβKβ WLWL

(a-1)

(b-1)

(c-1)

(d-1)

(e-1)

Kβ WLKβ

2θ (deg.) 20 30 40 50 60 70

L10(200)

MgO(200)

(a-2)

(b-2)

(c-2)

Kβ WL

Kβ WLWL

(d-2)

(e-2)

Kβ WLKβ WL

2θχ (deg.) 20 30 40 50 60 70

L10(200)

MgO(200)

(a-2)

(b-2)

(c-2)

Kβ WL

Kβ WLWL

(d-2)

(e-2)

Kβ WLKβ WL

2θχ (deg.) 20 30 40 50 60 70

In te nsit y ( ar b . u n it)

Fe50Pd50

Fe50Pt37.5Pd12.5

Fe50Pt50

Fe50Pt12.5Pd37.5

Fe50Pt25Pd25

Fig. 3 (a-1)–(e-1) Out-of-plane and (a-2)–(e-2) in-plane XRD patterns measured for (a) Fe

50

Pd

50

, (b) Fe

50

Pt

12.5

Pd

37.5

, (c) Fe

50

Pt

25

Pd

25

, (d) Fe

50

Pt

37.5

Pd

12.5

, and (e) Fe

50

Pt

50

films with cap-layers after annealing at 600 °C.

The scattering vector of in-plane XRD is parallel to

MgO[100]

substrate

. The intensity is shown in logarithmic

scale.

(3)

- 3 -

Order degree

0 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

0 25 50 0 25 50

(a) (b)

w/

w/o

w/

w/o

0.90 1.00 0.98 0.96 0.94 0.92

c/a

Pt content, x (at. %)

(Fe50Pd50) (Fe50Pt50) (Fe50Pd50) (Fe50Pt50) c/aBulk

Order degree

0 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

0 25 50 0 25 50

(a) (b)

w/

w/o

w/

w/o

0.90 1.00 0.98 0.96 0.94 0.92

c/a

Pt content, x (at. %)

(Fe50Pd50) (Fe50Pt50) (Fe50Pd50) (Fe50Pt50) c/aBulk

c/aBulk

Fig. 4 (a) c / a ratio, and (b) order degrees of Fe

50

Pt

x

Pd

50–x

films without and with cap-layers after annealing at 600 °C.

進したものと考えられる.また,キャップ層形成の有無に関 わらず

Pt/Pd = 1

となるような組成であるFe50

Pt

25

Pd

25付近で 規則度が最小となっている.このことから薄膜中の原子の組 成が規則度に大きく影響を与えていることが分かる.これは,

三元合金膜中における

Pt

Pd

原子の拡散速度の違いや原子 間相互作用による影響であるものと考えられる.

Fe(Pt,Pd)膜の磁化曲線を Fig. 5

に示す.いずれの膜につい ても強い磁気異方性を示しており,

Pt

組成が増加するに伴い,

垂直磁気異方性が向上している.また,キャップ層を形成し た場合,面内の保磁力が減少していた.これは,MgOキャッ プ層を形成したことにより,

c

軸が面内を向いた

L 1

0

(001)結晶

の減少と規則度が向上した結果を反映したものであると考え られる.

4. 酸化 Si 基板上に形成した FePt 合金薄膜

表面を熱酸化したSi基板上に基板温度

200 ºCで配向制御を

目的に,MgO下地層を

100 nm

形成した.その後,5,10,

40 nm

厚の

FePt

膜を形成し,

600 ºC

1

時間の熱処理を行 った.また,一部の試料について

MgO

キャップ層を形成した.

Fig. 6

に作製した膜に対して

RHEED

観察を行った結果を示 す.MgOキャップ層無しの

5

および

10 nm

厚の

FePt

膜の

RHEED

パターンは,リングパターンとスポットが重畳して

おり,特定の結晶面に配向した多結晶構造となっているもの

Applied field (kOe)

Normalized magnetization

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt37.5Pd12.5

(d-1)

(d-2)

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt50 (e-1)

(e-2)

0 10

–10 –5 5

0 1

–1 0 1

–1

//

//

Fe50Pd50 (a-1)

(a-2)

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt12.5Pd37.5 (b-1)

(b-2)

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt25Pd25 (c-1)

(c-2)

Applied field (kOe)

Normalized magnetization

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt37.5Pd12.5

(d-1)

(d-2)

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt50 (e-1)

(e-2)

0 10

–10 –5 5

0 1

–1 0 1

–1

//

//

Fe50Pd50 (a-1)

(a-2)

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt12.5Pd37.5 (b-1)

(b-2)

0 10

–10 –5 5

//

//

Fe50Pt25Pd25 (c-1)

(c-2)

Fig. 5 Magnetization curves measured for (a) Fe

50

Pd

50

, (b) Fe

50

Pt

12.5

Pd

37.5

, (c) Fe

50

Pt

25

Pd

25

, (d) Fe

50

Pt

37.5

Pd

12.5

, and (e) Fe

50

Pt

50

films (a-1)–(e-1) without and (a-2)–(e-2) with MgO cap-layers after annealing at 600 °C.

w/o

5 nm 10 nm 40 nm

w/

(a-1)

(a-2)

(b-1) (c-1)

(b-2) (c-2)

w/o

5 nm 10 nm 40 nm

w/

(a-1)

(a-2)

(b-1) (c-1)

(b-2) (c-2)

Fig. 6 RHEED patterns observed for FePt films of (a) 5

(b) 10,and (c) 40 nm thicknesses formed on 100 nm thickness MgO underlayers. (a-1)–(c-1) without and (a-2)–(c-2) with MgO cap-layers.

L10(001) L10(100)

(a) L10(001) (b) L10(100) (c) MgO(001)

(a) (b) (c)(c) MgO(001)MgO(001)

Fig. 7 Schematic diagrams of RHEED patterns simulated for (a) L 1

0

(001)

(b) L 1

0

(100), and MgO(001) oriented poly-crystal film surfaces.

と考えられる.これらの

RHEED

パターンと

Fig. 7

に示す,

配向性多結晶膜のシミュレーション結果を比較すると,

(a) L 1

0

(001),(b) L 1

0

(100),もしくはそれらが混在したパターン

のいずれかに対応していると考えられるが,これらのパター ンは類似しており,特定することが出来ない.また,40 nm

厚の

FePt

膜の

RHEED

パターンはリングパターンとハロー

パターンが重畳しており,膜表面では結晶性が失われている ものと考えられる.MgO キャップ層を形成した

FePt

膜の

RHEED

パターン(Fig. 6(a-2)–(c-2))はいずれも

Fig. 7(c)の MgO(001)に配向した場合のシミュレーション結果と一致し

ていることから,

MgO

キャップ層は(001)に配向していること が分かる.次に,これらの膜の構造を調べるため,

XRD

法に よる測定を行った.

XRD

法による解析の結果から明らかになった,

FePt

膜の厚 さ変化に対する膜構造と規則度の値をまとめたものを

Table 1

に示す.

FePt

膜の厚さが

5 nm

の場合,

MgO

キャップ層形 成の有無に関わらず,FePt(001)結晶のみから構成された膜と なっていた.これは,下地層として形成した

100 nm

厚の

MgO

が(001)に高配向しており,

MgO

下地層と

FePt

膜間の格子ミ スマッチによる引張応力が働いているためであると考えられ る.10 nm厚の

FePt

膜では.キャップ層形成無しの場合,

FePt(001)結晶に加えて,FePt(100)結晶が混在していた.し

かしながら,

MgO

キャップ層を形成した場合,

L 1

0

(100)

結晶 は減少もしくは消失していた.この結果は上述した

MgO(001)

基板上に形成した

FePt

膜と同様の結果となっていた.

FePt

膜の厚さが増加することにより,下地層の

MgO

FePt

間の 格子ミスマッチによる応力が緩和する.しかしながら,

MgO

キャップ層を形成した場合,下地と合金膜,合金膜とキャッ プ層という両者のミスマッチからの応力が効果的に

FePt

に働くため

L 1

0

(001)結晶のみから構成された膜になったもの

(4)

- 4 -

Table 1 Crystal structures and order degrees of FePt films formed on MgO under layer of 100 nm thickness

Order Degree, S 0.77

FePt(001) FePt(001) FePt(001)

+(100) Film

Structure

0.59 0.73 0.70

FePt(001) FePt(001)+(100)

+(110)+(111) Without MgO

cap-layer

With MgO cap-layer

5 nm 10 nm 40 nm 5 nm 10 nm 40 nm

Film Thickness

FePt(001)+(100) +(110)+(111)

Order Degree, S 0.77

FePt(001) FePt(001) FePt(001)

+(100) Film

Structure

0.59 0.73 0.70

FePt(001) FePt(001)+(100)

+(110)+(111) Without MgO

cap-layer

With MgO cap-layer

5 nm 10 nm 40 nm 5 nm 10 nm 40 nm

Film Thickness

FePt(001)+(100) +(110)+(111)

と推察される.

40 nm

厚の

FePt

膜では,キャップ層形成の有 無に関わらず,複数の結晶から構成されていた.

FePt

合金は

(111)

面が最密充填面であることから,膜厚の増加に伴って,

FePt(111)結晶が現れたと考えられる.また,キャップ層を形

成した場合についても

L 1

0

(100)

結晶が混在していることから,

キャップ層による影響が小さくなったものと考えられる.規 則度は膜厚が

5 nm

の場合,XRD装置の感度不足により算出 できなかったが,

10

および

40 nm

の場合,

MgO

キャップ層 を形成することにより向上した.しかしながら,膜厚の増加 に伴って変化量は小さくなっていることから,MgOキャップ 層は

FePt

膜の厚さが薄い場合に大きな影響をもたらし,膜厚 の増加に伴ってその効果が小さくなっていくものと考えられ る.

5. まとめ

本研究では,エピタキシャル成長技術を用いて,

MgO(001)

基板上に,

L 1

0型規則合金材料である

Fe(Pt,Pd)三元合金を製

膜し,合金膜中の組成と

MgO

キャップ層が結晶性に及ぼす影 響について解析を行った.

Pt/Pd = 1

となる組成付近で規則度 は最小となった.また,キャップ層を形成することにより全 ての組成で格子定数比

c / a

の減少,規則度の向上,および面内 保磁力の減少が見られた.このことから,

MgO

キャップ層は エピタキシャル膜において

L 1

0結晶の

c

軸制御,規則化の促 進を達成する上で有効な手法であることが分かった.また,

多結晶

FePt

合金膜を

MgO

下地層上に形成し,合金膜の膜厚

MgO

キャップ層が結晶構造に及ぼす影響について解析を 行った.

FePt

膜の厚さが増加するに伴い,複数の結晶が混在 することが分かった.また,多結晶膜においても

MgO

キャッ プ層による配向制御,規則化の促進が可能であることが判明 した.

本研究によって,

L 1

0型規則合金薄膜が抱える課題に対する 解決手法の一つとして

MgO

キャップ層の導入が有効である ことが示された.これらの知見が,今後の磁気応用デバイス の発展に寄与することが期待される.

謝辞 本研究を行うに当たり,指導教員の二本正昭教授に は,懇切丁寧なご指導を賜り,深く感謝致します.工学院大 学の大竹充先生には,実験指導,学会発表および論文執筆指 導に至るまで研究に関する様々な場面で多くの助言を頂きま した.深く感謝致します.東京藝術大学大学院の桐野文良教 授には

EDX

分析でご協力頂きました.山形大学の稲葉信幸教 授には磁気特性解析でご協力頂きました.ここに謝意を表し ます.

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その他,有査読国際会議発表

1

件(筆頭),有査読国内学会発

6

件(筆頭

2

件,共著

4

件)

Fig. 1  Schematic diagrams of (a)  A 1 disordered and (b)  L 1 0  ordered structures.  Fe 50 Pt 50 および Fe 50 Pd 50 合金薄膜を低温で作製すると Fig
Fig. 3  (a-1)–(e-1) Out-of-plane and (a-2)–(e-2) in-plane  XRD patterns measured for (a) Fe 50 Pd 50 , (b)  Fe 50 Pt 12.5 Pd 37.5 , (c) Fe 50 Pt 25 Pd 25 , (d) Fe 50 Pt 37.5 Pd 12.5 , and  (e) Fe 50 Pt 50  films with cap-layers after annealing at 600 °C
Fig. 7    Schematic diagrams of RHEED patterns simulated  for (a)  L 1 0 (001) , (b)  L 1 0 (100), and MgO(001) oriented  poly-crystal film surfaces
Table 1    Crystal structures and order degrees of FePt films formed on MgO under layer of 100 nm thickness

参照

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