任意形状板の2次元応力集中問題の体積力法による解法
(昭和51年5月28日 原稿受付)
機械工学教室 村上敬宜
ApPlication of Body ForceMethod to Stress Analysis of Arbitrarily Shaped Plate with Notches
by Yukitaka MURAKAMI
Amethod for the stre5s allalysis of the arbitrarily shaped plate with notches or holes was developed. Stress corlcentratlon factors were obtained for various problems and its accuracy was discussed.
The method of the analysis is the body force method、 The basic stre5s functions used for the analy5i51コot only express the stress field of a point force but also satisfy the free surface condition of an elllptical hole.
1.緒 言 2.計算方法
を目的としている。この方法では,インプ.ソトデ_タの
賊鮪限歎法砒べれば無ト∪できる搬である。
孔または切欠きによる応力集中の勘題1ま設計の問題と 計n:法は体手f{力法を基本にしている。体積力法の詳細 深い関連をもっているため材料力学の主要テーマの1っ はすでに多くの報告で説明されているので,ここでは省
として古くかち研究され,その資料も現在ではかなり蓄 略する。体積力法によっては,問題ごとに特別の工夫が 積されている。応力集中の問題だけを詳述した文献もい なされ多くの応力集中問題が解かれているが,本研究で くつか見られる川。数値計算が発達する以前には実用上 は,き裂の問題を扱ったさきの報告川と同様の方法に の目的には光弾性がさかんに用いられ現在でも複雑な形 従って解析を進める。すなわち,境界条件としては合力の 状に対してはいぜんとして有効な解折手段である。また、 条件を満たL採用する応力閏数は応力自由の円または 最近では,有限要素法の発達により原理的にに任意形状 楕円孔を含む無限板中に集中力が働らくときの関数{51国 の問題が解けるようになった。しかしながら,光弾性, 川を用いる。計算手順は次のとおりである。
有限要素法ともに応力解析に必要な試料の作成またはイ
;ll羅竃竃1二き1:ll:1 /㌘4※
1 1 1 1
一 、 1
果を隔ことができる.W3 醐面馴の概念に示さ l l
ii議議;難1議i㌔ 7汀r7♂/
を精度よく解析するための具体的方法と作成したプログ
フムによる若干の計算例を示す。 図一1
軌酬方法を工夫すぷとによって厳酬に近い結 I o ax1
(i)まず,解析の対象となる形状{例えば.図1)の
境界を折れ線で近似して洛折れ線を一因1‖とする。 y
(驚㌘i繋議曇1 /(x Y)
それ一個,合計2個は他の区間の合力の条件で表わ されるので独立な条件ではないf引。独立な条件は.
(2H−2〕個である。
(iii)さきの報告聞で明らかにしたように,(ii)の段階 0
で分布鰍加全体として均合い状態になればなら Z・x+iy
ない。この条件は1 エμ方向で合計2個である. Z。=X。+iy。
(iv}区間の合力の条件を表わす (2?1−2)個の方程式
と体積力の均合条件を表わす2個の方程式とから各 図一2 円孔の近傍に作用 区間に分布すべき体積力の密度が決定される。 する集中力
(v〕各区間の体稿力の密度が決定されると,これらに
ついてのさきの継岬詳しく述べて、・る. (・・ボアソ批1エy・集中力脳・方向劇
なお,合力の計算と応力の計算においては,体積力を 以上の応力関数を用いると,点S1(zdからS2(z、)
分布させているので数値轍分を行なうことになる。数値 に至る任意の径路にそって弾性体の右の部分が左の部分 積分は文献{6}と同様にGaus5の積分公式を用いた。ま に及ぼす合力のエ, y成分,〔∫rよ〕蚤,〔抗〕llおよび応力 た,境界の分割は例として付録1に示した粗分割を基本 成分は次のようになる(ただし,板厚は1とする)。
とLこれら硬に2舳紛割と分冑1を増軋梛 LP戸剖§国爾+却 ω+ψωユ1{ {・)
i曇歴㌫餓菖:籔三鶯鑑::1:は;::1当同
3. 基礎式 以上の式で・ はzに関する微分・Reは実部・Im は虚部を意味する。
3・L 自由円孔を含む無限板に集中力が 3.2.自由楕円孔を含む無限板に集中力が
齢くときの解(図2) 酷くときの剛図3)
このときの解6}は矯゜肥よって得ら才してお 次の このときの解は、.さきの報告から次のようになる。
よ二1蒜b,(。⊇1。9{(。一曇) φ(ζ)=Ml・g(ζ一輌b・←一誓)+臓
一肩(為謬/(・一ξ)+挿]… (1} +亘壁出竺還{、}
ピω一・ω一÷・(・) ② (1−‡Xζず)
y ように表わせる。
1〜(』 )=∫』ω}+∬〜 (田・」什÷ノ百田・4∫・
(x・Y) +÷」・・(・)・」 ÷・…個
ノ _一。__やし_さ
くしていくと式09よ「}
耐4」)≡∫〜 (0)・∠1 (旧
a となる。すなわち誤差は,1ノオ〜に比例して減少していくこ X とになるので、1/Hを横軸にとり.得られた応力の値を縦 z・x+iy 軸にとると外そう ん{こよって峡上の竺密解を得るこ z。・x。+fy白 とができる・しかしながら・本研究で職・ような任意形 状の問題では,境界を等分割することは,原理的には可能
図一3舞㌢幽 でも幽の容』}と計酬噸上好ましくな・㌔した
がって,分捌を効率良く行なう必要があるが分割区間の輻
曾(ζ)−z(響2/φ (ζ) {1⑰弓麗=i慧 遷i認鷲:
ll㌫llる} ㈹§議竃li難議羅1
:1㌘:慧)}個i糠難三曇騒;li議
ぱ,誤差は,式(15),(16)と同様な法則に従って減少し 以上の応力閲数を用いると,3.1節と同様に合力と応
力成分{ま次のように与えられる. ていくと考えちれる・
5.8
FP卍一rPエ]§1=[σ(ξ)+{宮{ξ)・φ {ζ)+哲 (ζ)}]li{13}
三ll撚輔鷲総㌶}ω
ここで,1は己に関する微分。 5.5 4.計算手順と誤差の評価
5,352 5.342 5,336
計輪3章噸式を用・・2勒言+鯖法に従って ゜『一 一・丁338。一_。
行なう。作成したプログラムは,計算機の容趾の都合上最 言 5.310 E
大分割数は88である。この制限は外部記憶を利用すれば o 容易に解消できるが、本論文の計算はすべて88分割以内 の分割数で計算を行なった。
最終結果は,これまでの報告と同様に,分割数が有限な
ための誤差を外そうによっ仰協方法によって勅5』
B 1!⊥ !
る・ここ℃誤差ノ・と分1脚との1封係は次のよう{・考え 886644 : 22
ることができる 〕17㌔まず魂界の分;卸牌分割醜合と 図_4分割鋤・有融ための酷卿の醐,
考える。分割区間の幅を却とすると誤差 1〜{」川は次の ε=0.5,λ=0□、分割図は付図1)
1° コ591 巖㌶㌶㌶;㌫㌶麗遼
、、
\ 要素法や光弾性では,川の値を正しく設定することは困難
ピ21.766 である力品が1』に酬大態では蹴中の正確な他
× \6.8ア8 を:㌶i蕊_、な、、ようで蹴本
oE @ 計算の方法に従えぱ,このような問題も容易に解くことが できる。この問題では,λ→0で西谷川の解に、またλr 5 1.Oでα=Loに無理なく近づく(図9)。
ロ
4・833 図10は,図6〜8の問題における切欠き底近傍の応力 分布を示したものである。横軸は切欠き半径ρで無次元化 した距離であり、縦軸は切欠き底の最大応力σ1輪で無次 元化している。この図から,切欠き底近傍の応力分布は,
2。 1,11 1切欠き半径・力酬と比べて・1・さ ナ才U批・と密接姻係
滝屈 蕗 1 穐があることがわかる・すなわち・力冨砒な砿鰍砒
㌫ 応力分布はほぼ同じになる。このことは,疲れにおける切 図・−5 分割数が有限なための誤差 欠き効果(または寸法効果)を考える際に重要であり.こ (図16の問題・分割図1ま付図2) の観点からの切欠き効果の説明が西谷m」によってなされ 以上のことを確認した例が,図4,5である。図4,5 ている。
は,図7,]6の問題を付図1,2の粗分翻からはじめて分 このように・本計算法によれば・任意の点の応力分布が 割数を2倍,3倍と増やしたとき得ちれる切欠き底の最大 容易に得られ・形状の変化による応力分布の微妙な変化も 応加変化を乱舳のである。こ抽の図によって上で 明肋にすることができる・
述べた誤差の減少の性質を理解することがでぎる:以下の 図ユ1は・偏心楕円孔を有一する帯板が引張を受ける問題
計聯果は品肌2と同様醐酬をもとにしている である・この齢明大勒は図の鯨と8点価主繊 力㌔詳細闘軋た. で異なった匝をとる・具体的徽値は・図の洲文に示し
ている。
5・計算結果と考察 図121よ中央に傾斜した楕円孔を有する帯板が引張!}を 言†算は,まず.これまで他の研麟1、よる解があ1),比 酬る問題である・占/・=・・5・λ=・・4なる網孔力㌔そ
較できる∫胎について行ない亨、YI蜘酬を行なった、次 れそれ・30∵45;・6σ傾斜したときのイL縁の麟分酬態 に,これまで得ちれていない種々の問題について解を与え を図13〜15に示す・図中の数値は,σ=Loのときの孔縁 た.本計算法は有限要素法と異なり任意の点の応力が計算 に接する方向の応力{最大主応力)を示したものである。
できるので切矢き近傍の応力分布を求め応力分布に及ほ 傾斜角が大きくなるにつれて最大応力は減少するが.特に す切欠き形状や傾斜角などの影響も明らかにする。 主軸端の応力の減少が著しいことがわかる。
図6〜8の問題における応力集中係数をそれぞれ表1 以上に示した計算例は,長方形板に孔または切欠きが存 一3に示す。基準の応力は.最小断面における公称応力であ 在する場合で境界形状が特に複雑な問題とはいえないが,
る。図6,7の問題では,本計算の結果は,石田間西谷聞の 計算プログラムが一たん完成すれば長方形板でも他の形
解と近い{直を示しているが縦横比の影響が多少みられる, 状でも計算の手数はほとんど変わらない。例えば,図16の
〔表1,2}。 ような問題も全く同様に解くことができる。図16では,斜
図6において.λ→LOの極限では,円の場合゜°1も楕円の 線部分に矢印の方向にσ。=1,0,r ・ニLOなる応力が分布
場合もα=2に近づく(図9).このような問題では,一般 しているとき・切欠き底近傍の工軸上で応力分布がどのよ
に孔の形状を表わす曲線の最低次数力棚次であるとき(m うになるかを示している。この問題で,分割数と計算結果
>D,λ→Loの{亟田での応力集中係数はロ=1+3/(2m_1) の変化については,すでに図5に示した。
↑ ↑ 1(輻 l l 1醜
l l l ↓ l l
図一6 楕円孔を有す{5長方形板, 図一7 両側切欠きを有する長方形板
ε:=bノα,λ=:α〆II㌔Lノ}γ=2.0 ε=:凸ノ白!.λ=α「「1㌦L「∫1ア=2.0
↑ ↑ ↑6.
」 』
表2 図7の問題の応力集中係数
E=占/α.λ=σノ↓1τ
」 λ
0、4
0.6 0.8
α
著 者
iLバγ=2.0〕
西 谷倒
i、L/1・1』。。)
3.21 Q.32
k76
3.17 Q.32 P.57
表3 図8の問題の応力集中係数
ε=占/ロ,λ=ロ/1γ
0,2 0.4 0.6
2.99 1.88
L35
」 10
」 。
↓ ↓ ↓
図一8 片側切欠きを有する畏方形板、 5 ε=bノ叫λニα仰.L∫1γ=2』 、、
表1 図6の問題における応力集中係数 、、。㌔_
α 2 E λ 著 者 石 田働
(L/Hノ==2.0, (」L/1可ノ==oo) 1 }
0.4 0.5 0.6 0.呂
3,51 3.04 2.66
3.51 3.04
LO
0.4 O.6 O.8
2.27
Q」78 Q,177
2.22 Q」4 Q.Ol
o
2・62 @ 図_9図6〜Bの問題における応力集中係数と
222 λの関係
1.0
苔 に
ミ
♂
0.5
o
1、 一風も
憶 _回7
ぐ 、 一一一図8
0 、 」_ノ 、、
0 0.5 1.O
x/P 図一川 切欠き底近傍の無次元化応力分布,
エ:切欠き底からの距離,ρ:切欠き半径.
1 ↑ ↑碇
↓ ↓ 1
図一11個心楕円孔を有する
長方形極.b海=0.5浪∫1γ=0.4 ふnx4:=8,49σo e/lr=0,4 σ1mtl寓P=6.38σo
」
」
」
↑ ↑ ↑6、
}4.oT
1・5・ @∴ミR]↓7
図一14 6』45 の場合
0・L3.18
_3.20
−− R.00
図一15 θ=60 の場合
国一12 F嬬㌶霊 醐当w
角,b/α=0.5,α肝=0.4
互o° ア\』 IL朗
2.11臼 工.87
1.91
図一16 a/1γ=0.2,8ノ、V=0.2
6.結言 付録1分割図
形状が楕円の一部で表わされる孔または切矢きを有す る任意形状板の2次元応力集中問題の計算法について述 べ,作成したプログラムによって種々の問題を解いた。用 いた基本解は,自由円孔または自由楕円孔を有する無限板 の1点に集中力が働らくときの応力関数である.すでに得 ちれている厳密解と比較できる問題については、よい一致 が示された。
本計算法は,複雑な問題も容易に解けることが特徴であ るが,有限要素法に比べて優利な点は次のようになる。
(i)インプット作成の労力は無視できる程度である。
(ii)任意の点の応力成分を連続的に求めることができ る。
(iii)分割数を規則的に増すことによって乖実上の厳密解 が得られる。
本研究を行なうに当た1〕,有益なご助言,ご討論をいた だいた九州大学工学部西谷弘信教授、石田誠教授ならびに 九州工業大学連藤達雄教授に深く感謝致します
文 献
{1] 例えば,Peter§on, R.E., St祀詣 C創1centrauon D巳5ign
F・ct。・・口1974)」・h・Wil・y&S・n・・西llL[鋤集 11・〔昭 付図_1図7の問題の 48),☆北出版
分割図、
(2亘谷・蹴7°珊〔昭42−5}・ 区間数=22,
{3〕 」F乎f、 機冶, 16−55 (i1召2Ei〕. 52117−61 (呪]25). 12,
{4〕村上,機講指,脆760−1(昭51−4),13,
㈲ 葭口、2次元弾性晶,(昭32).岩披il}店.
{6}村上、西谷,機趨.41−348(昭50−8).2255.
(7)村上、西t},機』盲.41−342(昭50−2)、360.
{8} :百田, [6肝】フ」圭1岸古 5−30, 31(1952、 1953)131〜140.
{9}西谷,機論,41−3ig(昭50−9}.25ユ8.
{刷Koiter, w. T., Quarl. Appl. Math,15−3{1957〕,303.
([D 西省:. 機1倉、 34−259 (日[雪43−3}, 371.
付図一2 図16の問題の分割回.
匡間数=18
付録2 図6においてλ→1.0の極限での応力集中係 ここで,エ・》1とする。またEはヤング率,
数 ∫=晶脚+ノ昨ある・
円孔の場合は・すでに Koiter(川によって論じられて 式(1)の計算には,次の栢分公式を利用する。
1隠、富㌶藁燃齋豊蕊;㌫ 伽摺〕=∫晦・+δ戸血
工ρ→1(砿川十δ)中1 係数を求める. =一 白+1)励
o x +昔ぞ蒜+ ノ〔加+1…〕 {2)
罎h
y
∫2=∫〔0,−3.加〕および.五=∫[0.−2.ηヨ〕とおくと,
泊》ユであるから,ムと∫1の関係は次のようになる。
勘(1+xり 五」1諸)ム {・}
したがって,式(Dは式(3}を用いることによって次のよう になる。
付図一3 」縦纂芸蒜 ∬=中+与P)(・;1テ1悼殿 {4)
付図3のように,孔が接する部分の形状の半分を考え 原点では,ゴ=oであるから,MとPは次の関係を満た る。Pは最小断面に働ちく合力で,」fは曲げモーメント さなければならない。
である。最小断面の幅を1白板厚を1とする。ノ〜は他の 〃= ∬Z p ㈲ 寸法に比べて小さく,孔の形状は 〃=1〜{1+エつ で与 2(2用一1}
えられるものとする。∫王が十分小さければ最小断面近傍 したがって,孔縁の応力集中係数 は,
:㌶蒜ll言㌶歴;三1:㍗蕊 αr+譜一1+,m妻、 {・)
面近傍をは,]と考えて材料力学の基礎式を適用すると原 となる。式㈲より円および措円の場合(〃星=2)には、α 点での傾きゴは次式で与えられる。 =2となる。また,摺=。。の場合には,当然であるが
パ⇒禁酬血 ωα つ鋼⊇なる゜
■