現在完 了
通 時 的 ・認 知 的視 点か らの 考察
高橋 正
0.こ の小 論 の 目的 は、現 在 完 了形 の意 味 ・用 法 を通 時的 ・認 知的視 点 か ら見直 し、現在完 了 形の持 つ意味 ・用 法 を再整理す る と共 に、英語 の現在 完 了形 と 日本 語 との認知 的共 通点 と相違 点 を明 らか にす るこ とにあ る。 さ らに、 それ らの視 点
か ら英語教 育 にお け る現在 完了 の文 法指導 の あ り方 につ いて検討 を加 える。
1.現 在完 了形 の起源
OEUは 、 現 在 完 了 形 の 起 源 に つ い て 次 の よ う に 述 べ て い る 。 Asintheo七herGermanic(andRolnanic)languages,the'variousmoodsand
tensesofhaveareusedwiththepa.pple.ofanotherverb,toformaseriesof
compoundor̀perfect' .tensesofthelatter,expressingactionalreadyfinished atthetimeindicated....Thisusearosedirectlyfromsense2b,theobjectpos‑
sessedhavinginagreementwithitapassiveparticipleofatransitiveverbas attributeorcomplement;thus,Ihavemyworkdone=̀Ipossessorhavemy workinadoneorfinishedcondition',whence,byinferenceofantecedent actionfromresult,theactualsensèIhavedonemywork':cf.theseries̀have youthearticleready?',̀haveyouthearticlecompleted?',̀haveyoucompleted thearticie?'(havev.II)
現 在 完 了 形 の 助 動 詞haveは 、 本 来 、 所 有 を 意 味 す る 本 動 詞 で あ り 、haveの あ
と に く る 過 去 分 詞 形 はhaveの 目 的 語 の 状 態 や 特 質 を 表 す 補 語 に あ た る も の で 本
来 、 形 容 詞 的 働 き を す る も の で あ っ た 。 し た が っ て 、 今 の 現 在 完 了 の 成 立 に は 、
少 な く と も2つ の プ ロ セ ス が 関 係 して い る 。1つ は 、所 有 を意 味 す る本 動 詞have の 助 動 詞 化 で あ り、 も う1つ は 、 形 容 詞 的用 法 で あ っ た過 去 分 詞 形 の 本 動 詞 化 で あ る。 こ の2つ の プ ロセ ス の結 果 と して 、 助 動 詞 と本 動 詞 が 連 続 した1つ の要 素 と な る よ う に 目的 語 が 過 去 分 詞 の う しろ の 位 置 に移 動 して 語 順 に変 化 が 生 じ、 今 日 の現 在 完 了 形 が 成 立 した 。have+目 的 語+過 去 分 詞 とい う構 文 が い つ の 時 点 で 現 在 完 了 と な っ た か に つ い て は、 様 々 な基 準 が提 案 さ れ 諸 説 あ るが 、 根 本 的 に は こ の 完 了 形 へ の 変 化 は 漸 次 的 変 化 で あ り、 本 動 詞 のhaveと 、 完 了 形 の 助 動 詞 と して のhaveを 歴 史 的 に 明確 に 区 別 す る こ とは 困 難 で あ る。1
こ の よ う に、 歴 史 的 観 点 か ら見 る と、 現 在 完 了 の持 つ 意 味 は基 本 的 に は 上 で 述 べ た2つ の変 化 の 結 果 と して 生 まれ て き た と考 え る こ とが 重 要 とな る 。 つ ま り、
助 動 詞 化 さ れ た 所 有 の 本 動 詞haveの 持 つ 意 味 と、 本 動 詞 化 さ れ た 過 去 分 詞 の2 つ の 意 味 が 現 在 完 了 の 基 本 的 な意 味 を生 み 出 して い るの で あ る。 次 節 で は、 まず 完 了 の助 動 詞haveが ど うい う意 味 を持 つ の か につ い て検 討 す る。
2.助 動 詞haveの 意 味
完 了 の 助 動 詞haveは 、 元 々 は 次 の よ うな所 有 を意 味 す る本 動 詞 で あ の た 。 (1)且ehasanewcar.
本 動 詞 のhaveは こ の 「 所 有 」 の 意 味 の 他 に どの よ う な 意 味 を も っ て い る で あ ろ うか 。
(2)且ehasagoodmemory.
(3)Ihavebadcoldseveryyear.
{4)Weallhadagoodtime.
(5)Havealookati七!
(6)ZhadJohnfndmeahouse.
(7)Yhadthemalllaughingatエnyjokes.
(8)1'IIhaveyourcatdownfヒomthetreeinaminute..
(9)Makesureyouhavethecarreadybytomorrow
、
一58一
(10}Ihadmywatchstolenlastnight.
(11)1'vewri.t七ensixletterstoday.(現 在 完 了)
(上 記 の例 文 はす べ てLongmanDictionaryofContemporary・ 翫8Z̀8ん2(L.DOE2), have2,have3よ り。)
(2)か ら(10)ま で の例 文 か ら明 らか な よ う に、haveは 物 理 的 に存 在 す る もの を 所 有 す る とい う意 味 か ら、 次 第 に 「 所 有 」 の 意 味 を失 い 、 事 態 ・状 況 を経 験 す る とい う意 味 に ま で 拡 大 さ れ て い る こ と が分 る。(2)で は人 間 に 内 在 す る属 性 ・能 力 を 持 つ とい う意 味 で あ り、 ま だ 「所 有 」 の 意 味 を強 く残 して い る 。(3)で は 、
目的 語 が 風 邪 とい う 一 時 的 な体 の 病 的 状 態 を指 す も の に な り、(4)で は 時 間 とい う抽 象 的 な もの に な る。(5)で はalookatitと い う行 為 がhaveの 目的 語 とな り 所 有 の 意 味 は ほ とん ど失 わ れ て い る 。 目的 語 と して行 為 を 表 す 名 詞 を と る こ とが
で きる と、 行 為 を行 う動 作 主 を伴 う(6)や(7)の よ う な節 を補 文 と して とる こ と も可 能 と な る。
(6)一(10)の 構 文 を ど う捉 え る か に つ い て は 、 い くつ か の 見 解 が あ る。 こ の 小 論 で は 、 中右(1998)に し たが っ て 、 これ らの構 文 は 目的 語 補 文 を含 む 複 文 構 造 で あ る と考 え る 。 つ ま り、haveの 目的 語 とそ の 補 部 が 結 合 して 、 全 体 と して1 つ の 節 を構 成 し て い る い う立 場 を と る。 こ れ は 古 くはJespersenがNexusと 呼 ん だ もの で あ りi生 成 文 法 の枠 組 み で はsmallclauseと され る もの で あ る。 こ の よ うな複 文 構 造 は 、 主 語 が 目的 語 補 文 の状 況 ・事 態 を 「 持 つ 」 とい う こ と、 言 い 換 え れ ば 、 主 語 が 補 文 の状 況 ・事 態 に関 わ る とい う意 味 を 表 す 。 主 文 の 主 語 が 意 思 を持 っ て他 の 人 の 行 為 達 成 に 関 わ る と使 役 の 意 味 を表 す 。 こ れ が(6)や(7)
の 意 味 で あ る。 主 文 の 主 語 が 積 極 的 に 自的 語 補 文 の状 況 を達 成 す る よ う に 関 わ る の が(8)や(9)の 意 味 で あ る。 こ の場 合 は 状 況 の 達 成 で あ り、 人 に何 か を させ る の で は な い の で 、 使 役 性 は弱 くな る 。(10)で は主 文 の主 語 が 自分 の 意 思 とは 関 係 な くあ る事 態 に 関 わ り、 被 害 を被 る とい う意 味 で あ り、 これ は 受 動 態 と同 じ よ う な 意 味 を 表 し て い る 。(10)に は(6)一(9)に 存 在 し た 使 役 性 の 意 味 は な い 。 LDCE2で は こ の 意 味 を、̀七 〇experience(something)ashavingbeentreadedin
thestatedway'と 定 義 し て お り、 経 験 の 意 味 で あ る と して い る 。 ま た 、 中 右
(1998)で も、 主 文 の 主 語 が 補 文 の 状 況 に 否 応 無 く巻 き込 ま れ 、 何 らか の 影 響 を 受 け る こ とか ら経 験 の 意 味 を表 す と して い る もの で あ る 。
経 験 を表 す(10)の 意 味 と(6)一(9)の 意 味 を 比 べ る と、haveの 持 つ 意 味 内 容 は(10)に お い て さ ら に失 わ れ て い る こ と に気 が つ く。(6)一(9)の 目的 語 補 文 だ け を抜 き出す と次 の よ う に な る。
(12)Johnfoundmeahouse.
(13)Theyallwerelaughingatmyjokes.
(14}Yourcatwillbedownfromthetreeinaminute.
{15}Thecarwillbereadybytomorrow.
これ らの 意 味 は 明 らか に(6)一(9)の 意 味 と は大 き く異 な り、 主 文 の 部 分 が 文 全 体 の 意 味 にか な り関 与 し て い る こ とが わ か る 。have/hadが 文 全 体 に使 役 性 の 意 味 を与 え て い るか らで あ る。
そ れ に 対 して 、(10)の 補 文 は、
(16)Mywatchwasstolenlastnight.
と な り、2つ の 文 の 意 味 は ど ち ら も受 動 の 意 味 を表 して 、 そ の 違 い は、(6)一(9) の例 ほ ど大 き な もの で は ない 。 これ は主 文 の 意 味 が そ れ だ け 、 文 全 体 の 意 味 に貢 献 して い な い こ と を示 して い る。 通 常 こ の構 文 の 補 文 で 述 べ られ て い る状 況 は 、 (16)の よ う に 主 文 の 主 語 が 関 わ る 出 来 事 で あ る 。 そ の 出 来 事 を補 文 の 内 容 とい
う形 で1つ に ま とめ 、 主 文 の 主 語 の経 験 と して 提 示 す る の が こ の構 文 の 特 徴 で あ る と思 わ れ る。1つ の 体 験 と して 提 示 す る こ と に よ っ て 、 そ の こ とが 主 文 の 主 語 に な ん らか の 影 響 を与 え た もの で あ る とい う こ と を伝 え る 。 この よ う なhaveは
「経 験 と して 提 示 す る」 とい う機 能 を持 っ て い る と言 え る だ ろ う。 日本 語 に す る と(16)は 、 「私 の 時 計 が 昨 夜 盗 まれ た」 とな り、(10)は 「 私 は 昨夜 時 計 を盗 まれ た 」 とな る。(10)のhaveは 日本 語 で は助 詞 の 「は」 に あ た る機 能 しか 持 っ て い
な い と言 っ て も よい 。 い ず れ に し て も、(6)一(9)の 使 役 の 意 味 を 持 つhaveに 比 . べ る と 、(10)のhaveは そ の 意 味 内 容 を か な り失 っ て い る こ と は 確 か で あ る 。
以 上 述 べ て きた よ う に、 本 動 詞 のhaveは 、 本 来 の所 有 とい う意 味 の他 に 、(5) の よ う に所 有 の 意 味 を ほ とん ど失 っ て し ま っ て い る もの 、 さ らに 補 文 を伴 っ て い
一60一
る場 合 、 使 役 を表 した りす る ほ か 、 使 役 の 意 味 を持 た な い(10)の よ う な用 法 ま で 非 常 に 広 範 な 意 味 を持 っ て い る 。haveが 物 理 的 に存 在 す る 具 体 的 な モ ノ 以 外 に も、抽 象 的概 念 、行 為 、さ ら に は状 況 ・事 態 に も用 い られ る よ う に な っ て お り、
これ は 意 味 の 一 般 化 と呼 ばれ る 現 象 で あ る。
haveの 助 動 詞 化 は、(10)の よ う に補 文 を伴 い 、haveの 意 味 を か な り失 っ て し ま っ て い る も の か ら さ ら に生 じた 漸 次 的 変 化 で あ る と考 え られ る。haveの 持 つ 本 来 の 豊 か な 意 味 が 次 第 に失 わ れ 、 文 法 的 な意 味 ・機 能 だ け を担 う よ う に な る こ と に よ っ て 、(11)の よ う な完 了 の 助 動 詞haveが 生 ま れ た。 逆 に言 え ば 、 完 了 の 助 動 詞 が何 らか の 意 味 を持 っ て い る とす る と、 そ れ は 助 動 詞 化 とい う漸 次 的 変 化 の 結 果 で あ る 。 で は完 了 の 助 動 詞haveは どの よ う な意 味 を保 持 して い る だ ろ う か 。
現 在 形haveの 意 味 で あ る 「 所 有 す る」 とい う こ とは 典 型 的 に は 、 1.具 体 的 な モ ノが あ り、
2.そ れ をあ る 人 が 手 に入 れ 、
3.そ の モ ノ が 現 在 もそ れ を 手 に い れ た 人 の 身 近 に あ る とい う状 態 が 維 持 され て い る 。
と い う こ とで あ る 。2の 意 味 要 素 が 存 在 す る の は、haveに は 次 の(17)の よ うに
̀toreceiveorobtain'と い う意 味 に もな り
、 こ れ は2の 要 素 が 顕 著 に な っ た と きの 意 味 で あ る か らで あ る。
(17)WemusthaveyouranswerbyFriday.(EDGE2,have3)
こ の2の 意 味 が 、haveが 補 文 の伴 う と きの 使 役 を表 す 意 味 に 反 映 さ れ て い る と 思 わ れ る。(17)で は 「手 に入 れ る」 とい う主 語 の 意 思 が 強 く現 れ て い る。 同 様
に 、 補 文 を伴 う場 合 、 あ る事 態 や 状 況 を実 現 し よ う とす る主 文 の 主 語 の 意 思 が 強 く現 れ る と き、 使 役 の解 釈 と な る 。3の 「身近 に あ る状 態 の 維 持 」 とい う意 味 は 、
「 所 有 」 を意 味 す るhaveが 状 態 動 詞 で あ る こ と を示 す 。
助 動 詞 のhaveで は こ れ ら の 意 味 の う ち 、 「モ ノ 」 と 「手 に 入 れ た 人 」 「身 近 に
あ る」 の 概 念 が 失 わ れ 、 「現 在 」 と 「 状 態 が 維 持 さ れ て い る」 とい う意 味 だ けが
保 持 され て い る と考 え られ る。
「現 在 」 と い う 意 味 が 保 持 さ れ て い る の は 、 完 了 の 助 動 詞 がhaveとhadと の 対 立 に よ っ て 時 制 を 表 す 機 能 を 持 っ て い る か ら で あ る 。 「維 持 さ れ て い る 状 態 」 の 意 味 が 残 存 し て い る と す る 根 拠 は 、 完 了 のhaveは 状 態 述 語 を 成 す か ら で あ る 。 次 例 の よ う に 、seem、apPear、happenが 現 在 時 制 の と き 、to補 文 の 動 詞 に は 行 為 を 表 す 動 詞 は 用 い ら れ な い 。 し か し 、 完 了 のhaveは 用 い ら れ る 。 こ れ は 完 了 のhaveが 状 態 述 部 と な る か ら で あ る(中 右1994:22.5)。
(18)Ydon'tappearto{*write/havewritten}downhisname.
ま た 、mustが 認 識 的 意 味 を 表 す 場 合 に はmustと 結 び つ く 動 詞 は 通 常 状 態 動 詞 で あ る が 、
{19)Youmustfeeltiredafteryourlongwalk./Youmustbethenewteacher.
(EDGE2,must)
動 作 動 詞 で も 完 了 形 に な る と 認 識 的 意 味 のmustと 共 起 す る こ と が で き る 。 こ れ は 完 了 のhaveが 状 態 の 意 味 を 保 持 し て い る こ と の 証 左 で あ る 。
(20)There'snobodyheretheymusthaveallgonehome.(LDCE2,must)
Think、believe、considerな ど に 用 い ら れ る 判 断 のto補 文 に は 動 作 動 詞 は 用 い ら れ ず 、 通 常 状 態 動 詞 が 用 い ら れ る 。 し か し 、 次 例(21)の よ う に 動 作 動 詞 で
も 完 了 形 に な る と 判 断 のto補 文 に 用 い る こ と が 可 能 と な る 。
(21)TheyarebelievedtohavelandedinAmerica.(、practical、 翫gJ̀sん Grammar4(PEo),245E)
や は り 、 完 了 のhaveは 状 態 述 部 に な る か ら で あ る(高 橋1997)。
完 了 の 助 動 詞haveが 「現 在 」 と 「維 持 さ れ て い る 状 態 」 の 意 味 を 保 持 し て い る と い う こ と は 、 所 有 を 意 味 す る 本 動 詞haveの 意 味 の う ち 、 時 制 の 機 能 と 本 動 詞haveの 持 つ ア ス ペ ク ト の 側 面 が 、 完 了 の 助 動 詞 の 意 味 と し て 残 存 し て い る こ と を 示 し て い る 。 時 制 と ア ス ペ ク ト は 、 動 詞 が 担 う 基 本 的 な 文 法 範 疇 に 属 す る も の で あ る 。 所 有 の 本 動 詞haveの 助 動 詞 化 と い う の は 結 局 、 本 動 詞 の 持 っ て い た 豊 か な 語 彙 的 意 味 を 失 い 、 文 法 範 疇 に 関 わ る 意 味 だ け を 残 す 過 程 で あ る 。
こ の 意 味 喪 失 の 過 程 は さ ら に 進 行 中 の 過 程 で も あ る 。 フ ラ ン ス 語 な ど で は 英 語 の 現 在 完 了 形 に あ た る も の が 意 味 的 に は 過 去 時 制 を あ ら わ す 。
一62一
Ilaeulamasion.a=haveeu=had(過 去 分 詞 形)「 彼 は そ の 家 を 持 っ て い た 」 ま た 、EarlyModernEnglishの 頃 に は 、 特 定 の 過 去 時 を 表 す 副 詞 表 現 と 現 在 完 了 形 が 用 い ら れ る 例 が 散 見 さ れ る 。 こ の よ う な 現 象 は 、 完 了 の 助 動 詞haveの 意 味 が さ ら に 「現 在 」 の 意 味 を 失 う 可 能 性 が あ る こ と を 示 し て い る 。 実 際 に 完 了 形 が 、must、can、mayな ど の 法 助 動 詞 の 後 やto不 定 詞 で 用 い ら れ た と き 、 単 に 過 去 を 意 味 す る 用 法 が あ る 。
(22)Youmusthaveseenhim.(LongmanEnglishGrammar,(LEG),11.8.4}
(23)Heisthoughttohavebeenkilledinanaircrash.(LEG,16.22)
(22)の 完 了 形 部 分 の 意 味 は 、 現 在 完 了 形 あ る い は 過 去 完 了 形 と 同 じ 意 味 を 持 つ 場 合 も あ る が 、
(24)Iassume(now)yousawhim.(i.e.then;equivalenttothepast)(LEG, 11.8.4}
と あ る よ う に 過 去 を 指 す こ と も あ る 。(23)で は 、 完 了 の 不 定 詞 が 過 去 で あ る こ と を 示 し て い る 。
3.過 去分 詞 の意味
動 詞 の過去形 は、 その 出来事 が今 よ り以前 の あ る時 間 に起 きた こ とを示す の は 言 う まで もない こ とであ る。 で は、過 去分詞 形 は どの ような意味 を持 つ の であ ろ うか。 ほ とん どの文 法書 は過去分 詞 の用法 につ い て解説 してい て も、 その意 味 に つ い て説明 して いる もの は少 な い。完 了形 以外 の過去分 詞 の用 法 として次 の よ う
曳
な も の が あ る 。 形 容 詞 的 用 法
前 置(25)abrokenwindow,afrozenlake,alockeddoor(LED,6.14) 後 置(26)thearmydefeatedbytheenemy(A(comprehensiveGrammarofthe
EnglishLanguage,(CGEL},17.103) 受 動 態
(27)Thestreetsareswepteveryday.(PEG,304)
分 詞 構 文
(2S)Paintedwhite,thishousecooksbigger.
こ れ らの 過 去 分 詞 の 用 法 に共 通 す る意 味 は どの よ う な もの で あ ろ うか 。(25) のbrokenは 「割 れ る」 とい う 出 来 事 が 過 去 に起 こ り、 そ の 結 果 「 割 れ て い る状 態 」 で あ る こ と を意 味 して い る 。(27)の 受 動 態 で は 誰 か が 道 路 を清 掃 す る とい う行 為 が 毎 日完 了 して い る の で、 そ の 結 果 と し て道 路 は きれ い で あ る とい う こ と が 含 意 さ れ て い る。(28)の 過 去 分 詞 構 文 で も、 家 が 白 く塗 る 行 為 が 完 了 して い る こ と を意 味 して い る 。 過 去 分 詞 は 、 「あ る 行 為 が 完 了 し、 そ の 結 果 の存 続 」 を 意 味 して い る と考 え られ る。
過 去 分 詞 の 意 味 を この よ う に規 定 す る と、 過 去 分 詞 は動 詞 と形 容 詞 の2つ の 性 質 を共 有 して い る こ と に な る。 動 詞 の側 面 は 「あ る行 為 を完 了 す る」 とい う こ と で あ り、 形 容 詞 の 側 面 は 、 「そ の 結 果 が 存 続 して い る状 態 」 で あ る。 ど ち らの 側 面 が 顕 著 に な る か に よ って 、 過 去 分 詞 は 動 詞 と形 容 詞 の 間 で 揺 れ 動 く。
(29)Theywere(very)relieved(tofindhera七home).形 容 詞
(30)Theywererelieved(bythenextgroupofsentries).動 詞(CGEL,7.15).
他 動 詞 の 過 去 分 詞 は 受 動 の 意 味 を持 つ 。 他 動 性 の 典 型 的特 徴 は、 動 作 主 の 行 為 が 非 動 作 主 に 向 け られ 、 そ の 結 果 、 非 動 作 主 が な ん らか の 影 響 を受 け る とい う こ
とで あ る。 行 為 の 結 果 は 通 常 そ の行 為 を 受 け た もの(非 動 作 主)が 被 る。 結 果 が 非 動 作 主 に残 る こ とか ら、 非 動 作 主 の 視 点 か ら見 て 、 あ る行 為 が 完 了 した、 つ ま
り、 非 動 作 主 に 向 け られ た行 為 が 完 了 した とい う意 味 を持 つ た め 、 他 動 詞 の 過 去 分 詞 は 受 動 の 意 味 を伴 う の で あ る 。 自動 詞 の 過 去 分 詞 に は 当 然 受 動 の 意 味 は な
い 。
Beedham(1982)は 、 受 動 態 に は 行 為 の 完 了 と そ の 結 果 が 含 意 さ れ る と し 、 そ の 点 が 完 了 形 と 共 通 し て い る と 指 摘 し て い る 。
(31)ThehousewaspantedbyJohn.
(32)Johnhaspaintedthehouse.
(33)Johnpaintedthehouse.(Beedham1982,p.91)
(31)と(32)は ど ち ら もiJohnに よ るpaintingの 行 為 は 完 了 し て い て 、The
一64一
houseispai=ntednowと い う意 味 を持 っ て い る が 、(33)で はJohnの 行 為 につ い て だ け述 べ て い る が 、 そ の 結 果 は ど う な の か 分 ら ない 。 こ の よ うな 受 動 態 と完 了 形 の 意 味 の 共 通 性 か ら、Beedhamは 受 動 態 も意 味 論 的 に は ア ス ペ ク トに属 す る と して い る。 しか し、 も う少 し厳 密 に言 え ば 、 受 動 態 が 完 了 とそ の 結 果 を表 す の は過 去 分 詞 が そ の よ う な意 味 を持 っ て い る か らで あ る。
状 態 動 詞 の 過 去 分 詞 形 は 行 為 を表 す の で な い の で 行 為 の完 了 は 当 然 意 味 す る こ とが で き な い。 状 態 動 詞 は 動 詞 が 表 し て い る状 況 へ の変 化 ・過 程 が 完 了 して、 そ の 結 果 、 つ ま りそ の 動 詞 で 表 され る状 態 が 継 続 して い る こ と を表 す 。
(34)She's㎞ownasagreatsingeL(LDCE2,㎞own)
この 例 で は 「 知 られ て い な い」状 態 か ら 「知 られ て い る」状 態 へ の 過 程 が 完 了 し、
そ の 結 果 が 存 続 して い て 、 そ れ が 現 在 の状 態 で あ る こ と をisと い う現 在 形 が 示 し て い る。
完 了 形 の 形 成 過 程 で 、haveの 後 に 過 去 分 詞 が く る と き に助 動 詞 化 が 起 こ り、
本 来 形 容 詞 的 用 法 で あ っ た もの が 本 動 詞 化 した の も、 元 来 、 過 去 分 詞 に は動 詞 的 な 側 面 を潜 在 的 に備 え て い た た め で あ る。 過 去 分 詞 に本 来 潜 在 して い た 動 詞 的 な 意 味 が 、 完 了 形 の形 成 過 程 で 、 顕 在 して い く過 程 が 過 去 分 詞 の 本 動 詞 化 とい え る で あ ろ う。
4.完 了形 の根 本的 意味
過 去 分 詞 が 「あ る行 為 が 完 了 し、 そ の結 果 が 存 続 して い る状 態 」 を意 味 す る と
す る と、have+過 去 分 詞 とい う形 式 で 表 され る現 在 完 了 形 が 「完 了 」 や 「 結 果 」
の 意 味 を持 つ の は 、 実 は 過 去 分 詞 形 の 意 味 で あ る こ と に な る。 過 去 分 詞 は非 定 形
動 詞 で あ り、 時 制 を 指 定 で き な い 。 そ の 時 制 を 完 了 の助 動 詞haveが 担 う。 完 了
の 助 動 詞haveは 第2節 で 述 べ た よ う に、 「現 在 」 と 「 維 持 さ れ て い る状 態 」 を意
味 し て い る 。 現 在 完 了 形 の2つ の 構 成 要 素 で あ るhaveと 過 去 分 詞 が 、 「過 去 に 起
きた行 為 が 完 了 し、 そ の 結 果 が 現 在 ま で存 続 して い る」 意 味 を生 み 出 して い るの
で あ る。 こ れ が 現 在 完 了 形 の根 本 的 意 味 で あ る。
例 え ば、 次 の完 了 文 に お い て、
(35)正3e'sgone.
過 去 分 詞goneが 意 味 す る の は 出 か け る とい う行 為 が 完 了 して い る こと とそ の 結 果 と して こ こ に は い な い とい う こ とで あ る 。 こ の 意 味 に助 動 詞haveが 現 在 とい う時 を指 定 して い るの で あ る 。 また 、 い な い と い う こ とが 現 在 維 持 され て い る状 態 で もあ る こ と示 す 。 この 文 の 意 味 を 日本 語 で 十 全 に表 す に は 、 「 彼 は 出 か け て 今 は も うい ませ ん」 とな り、 完 了 と結 果 と今 の状 態 と い う3つ の 意 味 要 素 を表 す
必 要 が あ る 。 こ の よ うな 意 味 を持 つ の が 現 在 完 了 形 の 根 本 的 意 味 で あ る。
過 去 分 詞 に状 態 動 詞 が用 いち れ る と、 継 続 を 表 す 現 在 完 了 に な る。 状 態 動 詞 に は 完 了 す べ き動 作 が な い 。 動 詞 で意 味 され て い る状 態 へ の移 行 が 完 了 し、 そ の 結 果 、 つ ま り動 詞 で 意 味 され る状 態 が 現 在 も継 続 して い る こ とを表 す 。
(36)7haveknownhimforabongtime.{PEG,186C}
(37)Shehasbeenheresincesixo'clock.(PEG,187B)
(36)で は 彼 を知 る とい う状 態 へ の 移 行 が 完 了 し、 彼 を知 っ て い る とい う状 態 が 現 在 も続 い て い る こ と を 意 味 して い る 。(37)で は 「こ こ に い る」 とい う状 態 へ
の移 行 が 完 了 し、 そ の 状 態 が 現 在 も継 続 して い る。
次 の よ う に、sinceやfbrを 伴 う動 作 動 詞 の 完 了 形 の 文 は、 日本 の 文 法 書 で は しば しば継 続 を表 す と され る。
(38)IhavesmokedsinceIleftschool.(PEG,186A}
(39)Bridgethassu皿ginsthechurchchoirfor15years.(Declerck1991,3.2.3.3)
しか し、 こ れ は経 験 の 完 了形 に分 類 され る も の で あ る 。 詳 し くは後 述 す る。
多 くの 文 法 書 で は 、 現 在 完 了 形 の 基 本 的意 味 は 、① 不 定 の過 去 時 に起 きた こ と が 、 ② 現 在 時(あ る い は発 話 時)に 関 わ る と い う2つ の 意 味 を持 つ と し て い る。
この ② の 「現 在 時 に 関 わ る」 とい うの は 、 ま さ に助 動 詞haveの 持 つ 「現 在 の 状 態 」 とい う意 味 で あ る。 ① は あ る 出 来 事 や 行 為 が 完 了 し た とい う こ とで あ り、 過 去 分 詞 が 担 っ て い る意 味 で あ る。 なぜ 不 定 の 過 去 時 な の か に つ い て もhaveと 過 去 分 詞 の意 味 か ら説 明 で き る。 完 了 形 の 過 去 分 詞 は非 定 形 で あ る の で 、 そ れ 自体 で は 時 制 を指 定 で き な い 。 過 去 分 詞 が 意 味 す る の は 、 「何 ら か の 基 準 と な る 時 よ
a・
り以 前 に 行 為 が 完 了 した こ と とそ の 結 果 」 で あ る 。 助 動 詞 のhaveが そ の 基 準 時 を決 め 、 非 定 形 動 詞 の 時 制 を指 定 す る こ と に な る 。haveは 現 在 時 制 で あ り、 そ のhaveが 、 過 去 分 詞 形 で 述 べ ら れ て い る 「出 来 事 ・行 為 が 完 了 し、 そ の 結 果 」 が 「現 在 存 続 し て い る 状 態 で あ る 」 とい う意 味 を 指 定 す る こ と に な る。haveの 持 つ 「 現 在 時 」と特 定 の 過 去 時 を指 す 表 現 とは 意 味 論 的 に 共 起 で きな い の で あ る。
以 上 述 べ て きた よ う に、 現 在 完 了 形 の持 つ 意 味 の う ち 、 完 了 ・結 果 はhaveと 過 去 分 詞 に よ っ て生 み 出 さ れ る もの で あ る。 また 、 継 続 の 意 味 は過 去 分 詞 が 状 態
動 詞 の 場 合 に生 じる意 味 で あ る。 完 了 形 に は さ らに 経 験 の 意 味 が あ る。 この 意 味 は ど う して 生 じた の で あ ろ うか 。 これ が 次 節 の テ ー マ で あ る。
5.完 了形 の経験 の意味
、
経 験 の 意 味 は、 第2節 で 示 した(10)の 構 文 か ら、haveが さ らに 助 動 詞 化 して 完 了 や 結 果 の 意 味 だ け を 完 了 形 が 担 う よ う に な る過 程 の 中 間 に位 置 す る もの で あ る と こ の小 論 で は 仮 定 す る。 つ ま り、 経 験 の 意 味 を もつ 完 了 形 は(10)の よ う な
「経 験 と し て提 示 す る 」 機 能 を 持 つhaveと 、 「 現 在 」 と 「 維 持 され て い る状 態 」 だ け を意 味 す る完 全 に助 動 詞 化 され たhaveの 中 間 に位 置 す る用 法 で あ る。
(10)Ihadmywatchstolenlastnight.
1
(11a)Ihaveseenheronce.(経 験)
レ i
(11b)1'vewrittensixletterstoday.(完 了)
(10)の 段 階 で はhave(had)は ま だ 本 動 詞 で あ り 、stolenは 補 文 の 動 詞 で あ る 。 第2節 で 述 べ た よ う に 、 こ の 本 動 詞 のhaveは 「経 験 と し て 提 示 す る 」 と い う 機i能 を 持 っ て い る 。 「経 験 」 を 意 味 す る 完 了 形 は 、haveが 助 動 詞 化 し て い る も の の 、 (10)の 持 つ 経 験 の 意 味 を 今 だ 保 持 し て い る と 考 え ら れ る 。(11a)の 意 味 す る と
こ ろ は 、 「一 度 彼 女 に 会 っ た と い う 経 験 を 私 は 持 っ て い る 」 と い う で あ り 、 助 動
詞haveが 「0度 会 っ た い う 経 験 」 を 提 示 す る 機 能 を 保 持 し て い る 。
Declerck(1991)で は 、 現 在 完 了 形 に 、 特 定 の 過 去 時 を 表 す 副 詞 句 が 用 い ら れ て い る 次 の よ う な 例 を あ げ て い る 。
(40)Johnhasdeft.theofficeatfiveo'clock.(p.108)
こ の 文 が 可 能 な の は 「ジ ョ ン は5時 に 退 社 し た こ と が あ る 」 と い う 経 験 の 意 味 の 場 合 で あ る 。 こ の 文 の 副 詞 表 現 を(41)の よ う に 文 頭 に 移 動 す る こ と は で き な い 。
こ れ は 過 去 形 を 用 い た(42)と 対 照 的 で あ る 。 (41)*Athveo'clockJohnhaslefttheoffice.
(42)Atfiveo'clockJohnlefttheoffice.
Declerckは(40)のa七fiveo'clockは 必 須 の 付 加 語 で あ る が 、(42)は 随 意 的 な 付 加 語 で あ る か ら だ と し て い る 。 し か し 、 こ れ は 次 の(43)に 示 す よ う に 、(10)の 補 文 の 中 の 副 詞 句 が 節 を 超 え て 繰 り 上 げ る こ と が で き な い 現 象 と よ く似 て い る 。 {10)Ihad[mywatchstolenlastnighty.
(43)*Last且ightIhadmywatchstolen.
(40)の よ う な 経 験 を 意 味 す る 完 了 形 は(10)の 補 文 と 同 じ よ う な 機 能 を 完 全 に 失 っ て い な い よ う に 思 わ れ る 。
{40a)Johnhas[lefttheofficeatfiveo'clock].
(10)の 構 文 と 経 験 を 表 す 完 了 形 に は 意 味 的 ・機 能 的 類 似 性 が あ る と 考 え ら れ る 。 経 験 の 完 了 形 は 、(10)と(11b)と の 中 間 に 位 置 す る と い う 仮 定 は 音 声 の 面 か ら も 支 持 で き る も の と 思 わ れ る 。 一 般 に 、 文 法 的 機 能 を 持 つ い わ ゆ る 機 能 語 の 音 声 は 通 常 弱 化 す る 。 助 動 詞 ・冠 詞 ・前 置 詞 ・接 続 詞 な ど が 弱 形 を 持 つ の は こ の た
め で あ る 。
歴 史 的 に 豊 か な 語 彙 的 意 味 を 持 つ 語 が 文 法 的 意 味 の み を 担 う よ う に な る と 、 語 彙 的 意 味 を 失 う と 共 に 音 声 の 実 体 も 失 い 、弱 形 や 縮 約 形 が 用 い ら れ る よ う に な る 。 例 え ば 、goingtoと い う 形 式 を 持 つ 次 の2文 に お い て 、
(44}Johnisgoingtotownsoon.
(45)Johnisgoingtoge七sicksoon.
縮 約 形 が 可 能 な の は 、(45)で あ る 。
・.
(46)*Johnisgonnatownsoon.
(47)Johnisgonnagetsicksoon.
こ れ は(44)で は 、goは 空 間 移 動 の 意 味 を 持 つ 本 動 詞 で あ る の に 対 し て 、(45) は 空 間 移 動 の 意 味 を 失 い 、 「意 志 」 や 「未 来 」 と い う 文 法 的 意 味 を 表 す 助 動 詞 と 同 じ よ う な 機 能 を 果 た し て い る 。 こ の た め 、 縮 約 形 が 可 能 と な る(Heine1993, 2,2>。 こ の よ う に 助 動 詞 化 が 起 こ る と 弱 形 ・縮 約 形 が 生 じ る 。
完 了 のhaveは 助 動 詞 で あ り 、 肯 定 文 な ど で は 通 常 弱 化 が 起 き る 。 し か し 、 こ の 助 動 詞 に 強 勢 が 置 か れ る こ と が あ る 。Palmer(1987)は 、 過 去 の 経 験 を 表 す 場 合 は 完 了 の 助 動 詞 に 強 勢 を 置 く と 述 べ て い る(3.3.4ii)。
(48)IhavereadOliverTwist.
(49)ShehasvisitedParis.
次 の 文 に お い て も 、 経 験 を 表 す の で 助 動 詞haveに 強 勢 を 置 く こ と が 多 い と Palmerは 述 べ て い る 。
(50)Ih{乱vebeentoLondon.
Declerck(1991)で も 、(40)の 経 験 を 表 す 完 了 形 で は 、 通 例hasに 強 勢 が 置 か れ る と 述 べ て い る(3.2.3.4)。
haveは 本 動 詞 の 時 に は 、 イ ギ リ ス 英 語 に お い て は 「所 有 し て い る 」 と い う 状 態 の 意 味 を 表 す と き た 弱 化 さ れ る こ と が あ る 。
(51)1'veplentyoftime.(Palmer1987,8.2.1[iD
こ れ 以 外 で は本 動 詞haveは 弱 化 され る こ とは 通 常 な い 。
この よ う に助 動 詞 で あ りな が ら、 強 勢 を置 く こ とが で き る とい う こ と は経 験 を 意 味 す る完 了 の 助 動 詞haveは 、 本 動 詞 に近 い 意 味 を実 際 も っ て い る こ との 証 で
あ る と思 わ れ る。
経 験 の 完 了 形 は 意 味 的 ・機 能 的 ・音 声 的 側 面 か ら見 て 、 助 動 詞 で あ りな が ら、
本 動 詞 の特 徴 を持 つ もの で あ り、(10)の よ うな 受 動 の 意 味 を持 つ 構 文 と完 了 ・ 結 果 を 表 す 完 了 形 の 中 間 に 位 置 す る も の と考 え ら れ る 。
使 役 と受 動 を 表 す 本 動 詞 のhaveと 、 経 験 ・完 了 を表 す 助 動 詞 のhaveの 意 味 内
容 と強 勢 の 有 無 を比 べ る と次 の よ う に な る。
(6)IhadJohnfindmeahouse.
{10)Ihadmywatchstolenlastnight.
(48)IhavereadOliverTwis七.
(11b}1'vewrittensixletterstoday.
第2節 の(6)の 文 で は 、hadに 強勢 が 置 か れ る。hadが 使 役 の 意 味 を担 っ て い る た め で あ る。 経 験 を提 示 す る(10)で は、 強 勢 は 過 去 分 詞 形 の 方 に の み 置 か れ る。
(10)で はhadの 意 味 が 多 く失 わ れ て い る た め 、 強 勢 は 置 か れ な くな り、 意 味 の 重 要 性 は 過 去 分 詞 形 の ほ う に 移 る た め で あ る。 助 動 詞 で は経 験 の 完 了 形 で はhave
に 強 勢 が 置 か れ こ とが あ る。 と くに 経 験 を 表 す 副 詞 修 飾 語 が用 い られ ない と きは 通 例 強 勢 が 置 か れ る 。 こ れ は 助 動 詞 と し て 経 験 の 意 味 を保 持 して い る か らで あ る。 完 了 や 結 果 を表 す 完 了 形 で はhaveは 弱 化 され る 。 この よ う に意 味 内 容 と強 勢 ・弱 化 の 関係 を見 る と、 本 動 詞 か ら助 動 詞 の用 法 へ の 変 化 は少 な くと も認 知 論 的 に は漸 次 的 変 化 で あ る と言 え る。
6.1度 の経 験か ら習慣 的経験 へ
Declerck(1991)は 、 上 述 の(40)の よ う な 経 験 を 表 す 完 了 の 文 は 、 反 復 を 意 味 す る 副 詞 句 が 伴 う こ と が あ る と し て 次 の よ う な 例 を あ げ て い る 。
{52)Johnhasoftengoneswimmingatsixo'clockinthemorning.
{53}Manyatime,passengershavebeenterrifedwhentheirplanebeganto loseheight.(p.1a9)
(11a)の よ う に1回 だ け の 経 験 で は な く 、 何 度 か 繰 り 返 さ れ る 経 験 を こ れ ら の 文 は 表 し て い る 。
さ ら に 、CGEL4.20で は 、"Habit(ierecurrentevent)inaperiodleadingup tothepresent"の 意 味 を 持 つ も の と し て 次 の 例 を 挙 げ て い る 。 (54}Mr.Terryhassunginthischoireversincehewasaboy.
(55)Theprovincehassufferedfromdisastrousfloodsthroughoutitshistory.
こ れ ら の 文 は 習 慣 的 に 繰 り 返 さ れ る 経 験 ・ 出 来 事 を 表 し て い る 。 「経 験 」 と さ れ
一70一
る完 了 形 の 意 味 は 、1度 き りの 経 験 か ら習慣 的 に繰 り返 され る 経 験 まで さす こ と に留 意 す る 必 要 が あ る 。 文 法 書 に よ っ て は 、 単 純 にforやsinceが 用 い られ て い る とい う理 由 で 習 慣 的 な 経 験 を意 味 す る 完 了 形 を継 続 の 意 味 と して い る もの が あ る。
例 え ば、PEIG186で は 継 続 の 意 味 で あ る と して 、 次 の2文 を い っ し ょに あ げ て い る。
(56)Hehasbeeninthearmyfortwoyears.(Heisstillinthearmy.) (57)IhavesmokedsinceIleftschool.{Istillsmoke.}
(57)は 現 在 まで 繰 り返 され て い る経 験 ・習 慣 的 な経 験 で あ り、(56)と 同 じ継 続 とす る こ とは で きな い もの で あ る。 日本 の 文 法 書 に も しば しば この よ う な混 同が 見 られ る。
状 態 動 詞 の 完 了 形 が 継 続 の 意 味 を持 ち、sinceやforが 用 い られ て い て も状 態 動 詞 で ない 場 合 は習 慣 的 に繰 り返 され る動 作 を表 す 。 こ の よ う な 習 慣 的 に繰 り返
され る動 作 は 「 継 続 」 で は な く 「 経 験 」 の 一 種 と考 え るべ き もの で あ る。
7.完 了形 と日本語 の表現 の比 較
第4節 で 過 去 分 詞 は 「あ る 行 為 が 完 了 し 、 そ の 結 果 の 存 続 」 を 意 味 し 、 完 了 形 の 「完 了 」 「結 果 」 の 意 味 は こ の 過 去 分 詞 の 意 味 で あ る こ と を 指 摘 し た 。 こ の 過 去 分 詞 は 日 本 語 で は ど の よ う に 表 現 さ れ る で あ ろ う か 。 形 容 詞 的 用 法 の 場 合 を 見 て み よ う 。
(58)afrozenlake(LEG,6.16)凍 っ た 湖
(59)abrokenclock(LDCE2,broken)壊 れ た 時 計 (60)theescapedprisoner(CGEL,7.15)逃 げ た 囚 人
(61)hispublishedwork(CGEL,7.18)彼 の 出 版 さ れ た 作 品
(62)alockeddoor(LEG,6.14)鍵 の か か っ た ド ア 鍵 の か か っ て い る ド ア (63)stolenmoney(PEG,279B1)盗 ま れ た お 金
(64)acloudshapedlikeadragon(LDCE2,shaped)竜 の 形 を し た 雲
過 去 分 詞 の 意 味 は 日本 語 で は 「た 」 で表 現 され る こ とが多 い 。 こ の 「た」 につ い て 『国 語 大 辞 典 』(小 学 館)で は 、 次 の よ う に定 義 して い る。
「5(連 体 形 だ け の用 法)あ る状 態 が 継 続 して い る こ と を表 す 。 連 体 修 飾 語 と な っ て 、 体 言 の状 態 ・性 質 な ど を形 容 す る場 合 に多 く用 い る。 … て い る。 … て あ る。」
また 、 『言 泉 』 で は 、 次 の よ う に述 べ られ て い る 。
「5(連 体 修 飾 語 の 形 で)状 態 を表 す 。 「〜 して い る」 に置 き換 え る こ とが で き る。 イ動 作 ・作 用 の行 わ れ た 結 果 の 、 ま た動 作 ・作 用 の 実 現 して い る状 態 で あ る こ と を表 す 。」 「帽 子 をか ぶ っ た人 、 肩 に か け た か ば ん 、...」
こ の 「た 」 は 動 作 の 結 果 の 状 態 で あ る こ と を 示 して い る。 例 え ば次 例 に お い て
「た」 は英 語 の 過 去 分 詞 に相 当 す る意 味 を担 っ て い る。
(65)割 れ た ガ ラス に注 意 し な さい 。Becarefulofthebrokenglass.(LI)CE2, broken)
この 「た」 は 「〜 して い る」 に 置 き換 え る こ と もで きる 。 これ は、 結 果 と して の 発 話 時 の 状 態 に 焦 点 をお く と、 「 〜 して い る」 と表 現 す る こ と もで き る とい う こ とで あ る 。 つ ま り、 過 去 分 詞 の持 つ 完 了 の 意 味 に焦 点 を お い て 日本 語 にす る と
「凍 っ た湖 」 とな り、 結 果 と して の 発 話 時 の状 態 が 意 味 的 に 顕 著 に な る と 「 凍 っ て い る湖 」 と表 現 す る こ と も可 能 と な る 。 い ず れ に して も、 「た」 は 、 発 話 時 が 現 在 で あ れ ば 、 現 在 の 状 態 を指 す こ とが で きる。
さ らに、 こ の 「た」は 過 去 を表 し、 さ らに 完 了 ・結 果 も表 す 。 『 国 語 大 辞 典 』で は 次 の よ う に定 義 して い る。
「1動 作 ・作 用 が 過 去 の 事 柄 で あ る こ と を表 す 。
2動 作 ・作 用 が ち ょ う ど完 了 し た こ と、 また 、 そ の 結 果 が 現 在 継 続 して い る こ とを 表 す 。」
この2の 意 味 は ま さ に 過 去 分 詞 形 の 持 つ 意 味 で あ り、 過 去 分 詞 形 か らそ の 意 味 を 受 け 継 ぐ完 了 形 の 意 味 で も あ る 。
(66)昨 日雨 が 降 っ た 。 過 去Itrainedyesterdaγ (67)春 が 来 た 。 完 了Springhascome.
一72一
(68)今 そ れ に つ い て 聞 い た と こ ろ です 。 完 了1'vejustheardaboutit.
た だ し、 ア メ リ カ の 英 語 で は 完 了 形 の 代 わ りに過 去 形 が 用 い られ る こ とが あ る 。
(69)『 トス カ』 は も う見 ま した か 。 す で に 見 ま した 。DidyouseèTosca'yet?
Zalreadysawi.t.(LEG,7.28}
日本 語 で は、 過 去 ・完 了 ・結 果 の 状 態 が す べ て 「た」 で 表 現 さ れ る。 英 語 で は この3つ の概 念 を過 去 形 と過 去 分 詞 形 に切 り分 け て 、 完 了 と結 果 の状 態 を過 去 分 詞 形 で表 現 す る。 た だ 英 語 で は完 了 の 意 味 も過 去 形 で表 す こ と もあ る。 ま とめ る
と次 の よ うに な る。
日本 語 英 語
過 去 た 過 去 形 一ed
完 了 た 過 去 形/過 去 分 詞 形
結 果 の 状 態 た 過 去 分 詞 形
8.完 了形 の経験の 意味 と 日本 語 との接点
第2節 で は 、 本 動 詞 のhaveが 物 理 的 な モ ノ を 「持 つ 」 か らあ る事 態 ・状 況 を
「 持 つ 」 へ と意 味 を拡 大 しで ゆ く過 程 を説 明 した 。 (1)Hehasanewcar.
1
(10)Ihad[mywatchstolenyesterday].
(1)で はhaveの 目的 語 に モ ノが 現 れ て い る。(10)で は 目的 語 にあ た る位 置 に補 文 が 現 れ 、 事 態 ・状 況 を 「 持 つ 」 とい う意 味 を表 して い る 。 そ して 目的 語 補 文 を持 つ もの の 中 で 、haveが 使 役 の 意 味 を持 た な い もの は 、 経 験 と して 提 示 す る機 能 を持 つ もの と規 定 した 。
第5節 で は 経 験 の 意 味 を 表 す 完 了 形 は 、 こ の 「 経 験 と し て 提 示 す る 」 と い う機
能 を持 つ 本 動 詞 のhaveと 完 了 ・結 果 を意 味 す る 完 了 形 の 中 間 に 位 置 す る構 文 で
あ る と考 え た 。 そ れ 故 に、(11a)のseenheronceの 部 分 は(10)の 補 文 の 特 徴 を
ま だ 保 持 し て い る と 仮 定 し 、 経 験 の 完 了 の 助 動 詞haveも 本 動 詞 の 意 味 を い く ら か 保 持 し て い る と 考 え た 。
(10)Ihad[mywatchstolenyesterday].
↓
(11a)Ihave[seenheroncel.(経 験)
i
(11b)1'vewrittensixletterstoday.(完 了)
第3節 で 述 べ た よ うに 、 過 去 分 詞 形 は 「あ る行 為 の 完 了 とそ の 結 果 」 を意 味 す る の で 、seenと い う過 去 分 詞 形 は 「見 る とい う行 為 の 完 了 とそ の 結 果 」 と い う意 味 を表 す 。 これ は 日本 語 に す る と 「 彼 女 に会 っ た 」 と表 現 で きる 。 日本 語 の 「た 」 は 、 完 了 と結 果 の 両 方 を 意 味 す る か らで あ る。(11a)のseenheronceの 部 分 が 補 文 の特 徴 を持 っ て い る とす る と、 具 体 的 な モ ノ が 目的 語 に来 る場 合 と同 様 に1 そ の補 文 全 体 がhaveの 目的 語 と な り、 「 彼 女 に 一 度 会 っ た 」 とい う事 態 を全 体 と
して 名 詞 と捉 え て い る と見 る こ とが で き る 。 従 っ て 、 経 験 を表 す 完 了 形 は 、 「 彼 女 に 一 度 会 っ た」 とい う事 態 を 「 持 っ て い る」 と表 現 して い る こ と に な る 。
Ihave[seenheronce].私 は もつ[彼 女 に0度 会 っ た こ と】
日本 語 で は、 この 英 文 は 「 彼 女 に一 度 会 っ た こ とが あ る」 と訳 す 。 通 常 経 験 を表 す 場 合 、 日本 語 で は 「〜 した こ とが あ る」 とい う表 現 を用 い る。 こ れ は過 去 の 行 為 に形 式 名 詞 「こ と」 をつ け て 名 詞 化 し、 そ の こ とが存 在 す る、 つ ま り 「あ る」 とす る こ とに よ っ て 経 験 の 意 味 を表 して い る こ と を示 す 。
こ の よ う に考 え る と、 日本 語 も英 語 も ど ち ら も過 去 の 経 験 を名 詞 化 し て い る点 が 共 通 し て い る と思 わ れ る 。 そ の 名 詞 化 の 仕 方 が 英 語 で は 、 補 文 の 形 でhaveの 目的 語 節 に す る こ と に よ っ て 実 現 され て い る 。 日本 語 で は 、 形 式 名 詞 の 「こ と」
を用 い る こ と に よ って 名 詞 化 して い る。 そ の 名 詞 化 され た事 態 を英 語 で は 「 持 っ て い る」 とい う本 来所 有 の概 念 を利 用 して 表 現 し、 日本 語 で は 「が あ る」 と存 在 の 概 念 を 用 い て 表 現 し て い る の で あ る 。
しか し、 「 所 有 」 概 念 と 「 存 在 」 概 念 は そ れ ほ どか け 離 れ た 概 念 で は な い 。 英 語 のhaveは 「 存 在 」 を表 す 場 合 が あ る。
一74一
(70)Ouroidapartmenthadahugekitchen,(LI)α 醒3,have)
「古 い ア パ ー ト に は 大 き な キ ッ チ ン が あ っ た 。」
(71)Ihave七wobrothers.「2人 の 兄 弟 が い ま す 。」
こ の よ う にhaveは 日 本 語 で は 「あ る 」 「い る 」 と い う 存 在 を 表 す 語 を 用 い て 訳 す こ と が あ る 。
ま た 、 次 の 例 が 示 し て い る よ う に 、haveは 存 在 ¢!thereに 近 い 意 味 を 持 つ 。 Youcanmakesomestatementsmorepersonalbyusinghaveinsteadofbe.
Sothatinsteadofsaying:Thereisnoalternative,youcansayYauhaveno alternative;andinsteadof:TherewerestudentsZivingwithus,youcansayWe hadstudentslivingwithus.
(CobuildEnglish、learner'sDictionaryのE、 乙ヱ)リ.P.442)
こ の よ う に 英 語 のhaveは 「所 有 」 と 「存 在 」 の 概 念 を 併 せ 持 っ て い る こ と が わ か る 。
日 本 語 で も 「持 つ 」 は 「存 在 」 の 概 念 を 表 す 。 『言 泉 』 で は 「存 在 す る 」 と い う 意 味 で 次 の よ う な 例 を あ げ て い る 。
「馬 鹿 な 息 子 を も つ 」 「仕 事 を 持 つ 」 「会 合 を 持 つ 」 「 伝 統 を 持 つ 」
逆 に 、 日 本 語 の 「あ る 」 に は 「所 有 す る ・持 っ て い る 」 と い う 意 味 も あ る 。
「顔 に ほ く ろ の あ る 男 」 「金 の あ る 人 」(『 言 泉 』 「あ る 」)
ゴ
こ の こ とは 英 語 で あ ろ う と 日本 語 で あ ろ う と 「 所 有 」 の概 念 と 「 存 在 」 の概 念 は 意 味 的 に 非 常 に 近 い こ と を示 して い る。
経 験 を表 す 完 了 形 は 本 動 詞haveの 意 味 を保 持 して い る と考 え る と、 完 了 形 に よ る経 験 の 意 味 の 表 し方 と 日本 語 の 経 験 の 表 現 は 非 常 に似 た発 想 の 仕 方 を して い る こ とが わ か る。つ ま り、 「あ る事 態 」 を 「 持 つ 」 と表 現 す る英 語 と 「あ る事 態 」 が 「あ る」 と表 現 す る 日本 語 とは 、 ど ち ら も事 態 を名 詞化 し、 そ の 事 態 が 存 在 し て い る と捉 え て い る の で あ る 。 違 う の は 「 経 験 」 の 意 味 を 表 す と き、 英 語 で は
「 所 有 」 の 概 念 を 本 来 表 し て い たhaveを 利 用 し 、 日本 語 で は 「存 在 」 の 概 念 を 表
す 「あ る」 を利 用 して い る 点 だ け で あ る。
9.完 了 形 を ど う教 え る か
こ の 節 で は こ れ ま で述 べ て きた完 了 形 の 新 しい 見 方 を 日本 の英 語 教 育 に ど う生 か す か とい う点 につ い て 考 察 す る。
多 くの 場 合 、 完 了 形 につ い て 説 明 す る 際 、have+過 去 分 詞 とい う形 式 ・パ タ ー ンが 「完 了 」 「結 果 」 「 継 続 」 「 経 験 」 とい う意 味 を表 す と さ れ 、 そ の パ ター ン を形 成 す る個 々 の要 素 の 意 味 につ い て は 無 視 され る こ とが 多 か っ た と言 え る。 こ れ はパ タ ー ン 自体 の 意 味 を重 視 す る構 造 主 義 的 な 見 方 で あ り、 また 文 法 的 な 機 能 を果 た す 機 能 語 の意 味 につ い て そ れ ほ ど注 意 を 向 け て こ な か っ た 生 成 文 法 の 影 響 で もあ っ た と思 わ れ る 。
しか し、 第1〜3節 で 述 べ た よ う に完 了 形 の 意 味 を歴 史 的 ・認 知 的 視 点 か ら見 る と、 完 了 形 の 意 味 は そ の構 成 要 素 で あ るhaveと 過 去 分 詞 の 意 味 か ら生 み 出 さ れ る も の で あ る こ とが 明 らか と な る。 完 了 の 助 動 詞haveは 「現 在 」 と 「状 態 の 維 持 」 とい う意 味 を保 持 して い る こ と を 日本 人 学 習 者 は き ち ん と把 握 す る 必 要 が あ る 。 現 在 完 了 形 が 常 に現 在 との 関 わ り を示 す の は助 動 詞haveが 現 在 の 状 態 を 指 して い る か らで あ る 。 さ らに 日本 人 が よ く間 違 え る次 の 例 が 非 文 に な る理 由が
明 らか とな る 。
(72}Johnhasleftafewminutesago.
(73)*WhenhaveyouseenhYm?(江 川 泰0郎1991§160)
完 了 形 のhaveは 現 在 の 状 態 を 意 味 して い る の で 、 明確 に 過 去 を 表 す 副 詞 修 飾 語 句 や 特 定 の 過 去 時 を指 す 表 現 と は共 起 しな い の で あ る。whenと 共 起 で き な い の は、 完 了 形 は現 在 の こ と を述 べ て い る の で 、 特 定 の 過 去 時 を尋 ね るwhenと 意 味 的 に 矛盾 す る か らで あ る。
第3節 で は過 去 分 詞 形 の 意 味 は 「 行 為 の完 了 と結 果 」 で あ る と規 定 した 。 こ の 意 味 が 完 了 形 の意 味 に 引 き継 が れ て い る。 ま た 、 この よ う な意 味 が 過 去 分 詞 とい う も の に 形 容 詞 と動 詞 の 間 を 揺 れ 動 く と い う特 徴 を 与 え て い る も の で あ る と 述 べ た 。 この よ う な意 味 を き ち ん と理 解 す る こ とに よ っ て 、 完 了 形 の 過 去 分 詞 が 、 形 容 詞 的 用 法 や 受 動 態 の過 去 分 詞 と意 味 的 に関 係 が あ る こ とが 明 らか と な り、 過 去
一76一
分 詞 の 包 括 的 な理 解 につ なが る と思 わ れ る。 なぜ 「 過 去 」 とい う名 称 が 伴 っ て い るの か とい う問 題 も過 去 分 詞 形 の 「 行 為 の 完 了 」 とい う意 味 が 発 話 時 あ る い は 現 在 で は な く、 そ の 時 以 前 の 過 去 に属 す る もの で あ る と い う こ とか ら明 らか と な
る。
外 国 語 の 文 法 を教 え る と き に学 習 者 の母 語 の 知 識 を利 用 す る こ とが 重 要 で あ る 場 合 が あ る。 英 語 の 完 了 形 の 意 味 を教 え る に は 、 日本 人 学 習 者 の 母 語 の 知 識 を利 用 す る こ と も有 効 で あ る と思 わ れ る。 日本 語 の 補 助 動 詞 「た 」 は 、 過 去 ・完 了 ・ 結 果 の状 態 とい う非 常 に広 い 意 味 を持 っ て い る 。 こ れ が 日本 人 学 習 者 が 完 了 形 と
過 去 形 を混 同す る 原 因 と な っ て い る と考 え られ る 。 第7節 で 述 べ た よ う に 「た 」 の 持 つ 意 味 を英 語 で ば過 去 形 と過 去 分 詞 形 で 切 り分 け て い る こ と を理 解 す る こ と が 日本 人 学 習 者 に は重 要 で あ る。
経 験 の 完 了 形 は 統 語 的 ・音 声 的 に他 の 意 味 の 完 了 形 と は 異 な る振 る 舞 い をす る。 なぜ この よ うな 異 な る振 る舞 い をす るの か とい う問 題 は、 経 験 を 意 味 す る完 了 の助 動 詞haveが 、 本 動 詞 と完 了 ・結 果 の 助 動 詞 の 中 間 に位 置 す る もの と考 え る こ と に よ っ て 解 決 で き る と思 わ れ る。 第5節 で 明 らか に した よ う に、 経 験 の 完 了 形 のhaveに は、 「 経 験 を提 示 す る 」 機 能 を もつ 本 動 詞 のhaveの 意 味 が 残 存 し て い る か らで あ る 。過 去 分 詞 形 の 意 味 だ け か ら は生 じ る よ う に は思 え な い 「 経 験 」 の 意 味 を完 了 形 が 持 つ こ と も本 動 詞 のhaveか らの 発 達 で あ る と考 え る こ と に よ って う ま く説 明 で き る で あ ろ う。
第6節 で 述 べ た よ う に、 習 慣 的 に繰 り返 され る経 験 を継 続 の 意 味 と混 同 され る こ とが あ る 。 現 在 まで 繰 り返 さ れ る習 慣 的 行 為 は 「 経 験 」 の 意 味 の 一 種 と して 扱 うべ き もの で あ る 。 そ うす る こ と に よ っ て 、 完 了 形 で は継 続 の 意 味 を表 す の は
「過 去 分 詞 」 が 状 態 動 詞 の 場 合 で あ る と規 定 す る こ とが で き る と思 わ れ る。 動 作 動 詞 の 場 合 の 継 続 は、 ・ 基 本 的 に現 在 完 了 進 行 形 で 表 され る 。
現 在 完 了 は、 文脈 や どの よ う な副 詞 的修 飾 語 を伴 っ て い るか に よっ て 、 微 妙 な 意 味 を 醸 し 出 す も の で あ る 。 こ れ ら は 現 在 完 了 の 根 本 的 な 意 味 を 形 成 す るhave
と過 去 分 詞 の2つ の 意 味 が 、 副 詞 的 修 飾 語 や 文 脈 と協 同 し て生 み 出 さ れ る意 味 で
あ る 。 現 在 完 了 の 用 法 を習 得 す る た め に、 英 語 学 習 者 は まずhaveと 過 去 分 詞 の
2つ の 意 味 を しっ か りと理 解 して お く こ とが 重 要 とな る。
注
1本 動 詞 と 完 了 助 動 詞 の 通 時 的 区 別 に 関 す る 諸 説 はEisness(1997>42.3に 手 際 よ く ま と め ら れ て い る 。
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