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1.1 雇用労働関係法令一覧

中国における雇用や労働に関する法律は約 24 あり、従業員や労働者の権利や責任に関 する規定の多くは 1995 年に施行された中華人民共和国労働法に収められているが、その 他、以下のような法令がある。 ・ 中華人民共和国就職促進法(2007 年) ・ 中華人民共和国労働契約法(2007 年) ・ 賃金支払暫定規定(1994 年) ・ 児童労働者使用禁止規定(1991 年) ・ 最低賃金規定(2004 年公布) ・ 従業員の作業時間に関する国務院規定(1995 年) ・ 従業員年次有給休暇条例(2007 年) ・ 未成年労働者特別保護規定(1994 年) ・ 女性権益保障法(1992 年) ・ 女性労働者労働保護規定(1988 年) ・ 炭鉱労働者の安全に関する法律(1993 年) ・ 職業病予防治療法(2001 年) ・ 中華人民共和国労働安全法(2002 年) ・ 炭鉱における安全監督管理規定(1994 年) ・ 中華人民共和国労働組合法(1992 年・2001 年公布、2008 年改訂) ・ 集団契約規定(2004 年) ・ 中華人民共和国労働争議調停仲裁法(2007 年) ・ 社会保険費申告条例(1999 年) ・ 労災保険条例(2004 年) ・ 失業保険条例(1999 年) ・ 都市部労働者の基本医療保険制度の構築に関する決定(1988 年) ・ 企業従業員の基本養老年保険の改善に関する決定(2005 年) ・ 企業従業員出産保険試行弁法(1994 年) ・ 中国における外国人の就業管理規定(1996 年) ・ 国外投資を含む企業における労働管理規定(1994 年) 等 中国にはこれらの法律のほか、数多くの条例・規定・実施条例等があり、法律の理解や 実施を推進する役割を果たしている。例えば、中華人民共和国労働契約法は2008 年 1 月 1 日に施行されたが、同年 9 月 18 日には国務院が労働契約法実施条例を公布している。 2009 年、中国では法律や政策におけるいくつかの新たな変化があり、非常に重要なもの の1 つが、国務院が 2009 年 4 月 13 日に採択した中国で最初の国家人権行動計画(2009 ∼2010 年)である。中国において、これは人権に関する初めての国家活動計画であり、今 後2 年間に、人権の保護や促進において 政府が実行すべき目標や基準を明確にしている。 この活動により、中国は、1993 年の国連の国家人権計画構築の呼びかけに対応した 26 カ 国のうちの1 つとなる。本活動計画は、少数民族、女性、児童、老人、障害者の権利を明 確にし、これらの層の、政治参加、教育、雇用、社会保障における平等な権利を含む社会

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的経済的発展を目標としている。 国務院は地方政府及び政府各部門に対し、「各職責に基づき、業務を分担する」という 原則に基づいて、それぞれに行動計画を作業任務に組み入れ、積極的な実現を図るよう求 めている。また、国務院新聞弁公室及び外交部が中心となって、立法機関、司法機関並び に国務院関連部門による国家人権行動計画連合会議のメカニズムを構築し、本行動計画の 実施、監督並びに評価作業を統一的に計画し、協調する責を負うとしている。 国家人権行動計画(2009∼2010 年)では、就職や再就職の促進を強化し、労働者の合 法的権益を保護することを目標として、以下のように定めている。 ・ 就職促進法を確実に実行し、都市部と農村部の就職を統一的に計画して、就職の増 加を促進する。2009∼2010 年には、都市部の新規増加就業人口を 1,800 万人、農 業労働人口の移転を 1,800 万人とし、都市部登録失業率を 5%以内に抑制し、高卒 者や移民労働者の就職問題を重点的に解決する。 ・ 労働契約法を確実に実行し、労働契約制度を普遍的に推進し、集団契約制度の促進 を図り、雇用主、労働者、国家の協調を促進し、最低賃金制度を全国に徹底、従業 員賃金水準の安定した増加を促進する。 ・ 職業訓練を拡大し、全国の技能労働者総数 1 億 1,000 万人を達成する。そのうち、 技術者が技能労働者総数に占める割合を5%、上級労働者の同割合を 20%とする。 ・ 安全生産法を確実に実行。安全第一、予防に重点を置き、総合的に管理するという 方針を堅持し、労働保護を強化。生産条件を改善して、GDP1 億元1の生産安全事故 死亡率を2005 年比で 35%低減する。工鉱業商業就業者数 10 万人の生産安全事故 死亡率を同年比で25%低減する。 ・ 労働争議調停仲裁法を確実に実行し、労働争議を公正かつ速やかに解決し、労使関 係の安定的な調和を促進する。賃金支払に対する監督管理や賃金保証金制度を推進 し、法に基づき、悪意による賃金の不払いや遅配行為の法的責任を追及する。

1.2 労働基準関係法令

中国における雇用の主要規定は労働法に収められている。全 13 章から成り、総則、就 職促進、労働契約及び集団契約、勤務時間及び休息休暇、賃金、労働安全及び衛生、女性 従業員及び未成年労働者の特殊保護、職業訓練、社会保険及び福利、労働争議、監督及び 検査等に分かれ、次のように規定している。 【第 3 条】労働者は、平等に就職し、職業選択する権利、労働報酬を取得する権利、休息 休暇を取る権利、労働安全衛生の保護を受ける権利、職業技能訓練を受ける権 利、社会保険及び福利を享受する権利、労働争議を提起する権利、その他法律 が規定する労働の権利を享受し、同時に、労働任務を完成させ、職業技能を高 め、労働安全衛生規定を実行し、労働規律や職業道徳を遵守する義務がある。 【第 4 条】雇用主は、法に基づき規律制度を制定、完備し、労働者が労働の権利を享受す ることや、労働義務を履行することを保障しなければならない。 1 1 元=13.1277 円(2009 年 9 月 30 日現在)

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【第 7 条】労働者は、法に基づき労働組合を組織し、その活動に参加する権利を有する。 労働法では、労働時間、時間外労働、時間外労働賃金、年次有給休暇についても大筋を 定めているほか、女性従業員の保護については、「女性従業員は90 日を下回らない出産休 暇を享受する、女性従業員が妊娠中は、妊娠中に従事すべきでない業務に配置してはなら ない、子供の授乳期間中(子供が満1 歳になるまで)は、授乳期間中に従事すべきでない 業務や夜勤に配置したり、労働時間を延長したりしてはならない」と規定している。

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図 1‐1 中国における労働基準 労働関係の 調整 労働者の 合法的権益 の保護 企業の 労働基準 人的資源管理開発基準 職業分析 基準 人的資源の計画基準 人的資源の配置基準 人的資源の開発基準 福利/待遇/賃金の基準 評価鑑定実施基準 職 業 基 準 ・ 職 業 証 明 基 準 ・ 職 業 能 力 評 価 基 準 な ど 建 設 工 程 安 全 基 準 ・ 職 業 衛 生 基 準 ・ 職 業 防 護 条 項 な ど 基 本 養 老 保 険 基 準 ・ 失 業 保 険 基 準 ・ 基 本 医 療 保 険 基 準 な ど 労働安全 衛生基準 労 働 監 督 基 準 ・ 統 計 ・ 管 理 検 査 ・ 労 働 市 場 の 情 報 化 ・ 労 働 市 場 の 仲 介 規 定 な ど 業界の 労働基準 雇 用 年 齢 基 準 ・ 雇 用 許 可 基 準 ・ 雇 用 形 態 基 準 な ど 最 低 賃 金 ・ 労 働 時 間 ・ 休 息 ・ 休 日 ・ 特 殊 労 働 保 護 ・ 人 事 配 置 に 関 す る 基 準 な ど 労 働 契 約 ・ 集 団 労 働 契 約 ・ 労 働 争 議 調 停 ・ 三 者 協 議 に 関 す る 基 準 な ど 地方の 労働基準 職業能力 開発基準 労働安全 及び労働 衛生基準 社会保険 基準 労働管理 基準 国家の 労働基準 雇用基準 労働条件 基準 労働関係 基準

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1.2.1 労働契約 2008 年に施行された中華人民共和国労働契約法は、雇用契約制度の推進、労働契約締結 当事者双方の権利と義務の明確化、労働者の合法的権益の保護、調和が取れ、堅固な労使 関係の構築を目的としている。第 2 条では、「中国国内の企業、個人経済組織、民間の非 企業等の組織(雇用主側と称する)と労働者の間で労使関係を締結、履行、変更、解除あ るいは終止する場合に本法を適用する。国家機関、事業体、社会団体及びそれらと労使関 係を確立する労働者は、その契約の締結、履行、変更、解除及び終止に当たり、本法に基 づき処理する」と明確に規定している。 2004 年の集団契約規定では、雇用主と労働者個人との間で締結する労働契約書に定める 労働条件や労働報酬等の基準は、集団契約や特別集団契約に定める基準を下回ってはなら ないとしている。 1.2.2 解雇規則 (1) 労働契約の解除 労働法は、労働者から一方的に労働契約を解除しようとする場合、30 日前までに書面に より雇用主側に通知するか、あるいは、随時その意思を雇用主側に通知することができる と規定している。また、労働者側からの労働契約の解除について、「雇用主側が暴力、威嚇 あるいは非合法に人身の自由を制限する手段を用いて労働を強制した場合、あるいは労働 者が雇用主側から規則や規定に違反するよう指示を受けたり、労働者の個人の安全を脅か す危険な業務を強制された場合、労働者は雇用主側への事前通知なしに労働契約を解除す ることができる」とも定めている。 労働契約法でも、労働者から労働契約を解除できる場合として、雇用主側が労働契約に 約定した労働保護や労働条件を提供しない場合、雇用主側が法に基づく社会保険料を納付 しない場合、雇用主側の規律制度が法律法規の規定に違反し、労働者の権益を損なってい る場合などを定めている。労働契約法は、労働法の関連規定を更新する一方で、通知制度 の代わりに賃金支払いを採用する諸外国の方法に倣い、雇用主側は、条件に符合する場合、 30 日前までに書面で労働者に通知するか、もしくは、別途 1 カ月分の賃金を支払った上で、 労働契約を解除することができるとも規定している。 (2) 人員削減 労働法では、雇用主側が破産に直面し、法定の整理期間にある場合や、生産経営状況に 重大な困難が発生して人員を削減する確たる必要が生じた場合、雇用主側は労働者の人員 削減を行うことができると規定している。これに加え、労働契約法では、雇用主側が人員 削減を行うことができる2 つの条件について次のように規定している。 ・ 企業が生産転換、重大な技術革新あるいは経営方式の調整を行ない、労働契約を変 更してもなお、人員を削減する必要がある場合 ・ 労働契約を締結した時に根拠としていた客観的な経済状況に重大な変化が生じ、労 働契約を履行できない場合 労働契約法は、雇用主側が解雇を行う際の手続きを緩和し、雇用主側が 20 名以上、あ

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るいは20 名未満でも従業員総数の 10%を超える人員を解雇する場合は、規定の手順に則 って実施しなければならないと定めているが、削減する人数が 20 名以下であり、従業員 総数の10%を超えない場合は、特別な手順を必要としない。 ただし、解雇は労働者の仕事や生活に影響を及ぼすことから、労働契約法では、雇用主 側が人員削減を行う際に労働者に対して果たすべき社会的責任について、雇用主側は以下 の人員を優先的に留保しなければならないと規定している。 (a) 比較的長期間の有期労働契約を締結している者 (b) 無期限の労働契約を締結している者 (c) 家庭内に他の就業人員がおらず、扶養すべき老人あるいは未成年者を有する者 (d) 雇用主側が人員削減を行った後、6 カ月以内に新たに人員を採用する場合、削減さ れた者に通知し、同等の条件のもとでは優先的に採用しなければならない (3) 退職金 労働契約法は、労働契約を解除あるいは終止する際に雇用主側が支払う退職金について 規定している。雇用主側が賃金や社会保険料の支払に関する法律法規に違反したことによ り労働者が労働契約の解除を申し出る場合、雇用主側は労働者に退職金を支払わなければ ならない。 他に以下のような状況の場合、雇用主側は、法に基づき労働者に退職金を支払わなけれ ばならない。 (a) 雇用主側が現行労働契約の約定条件を維持あるいは引き上げて労働契約を継続締 結しようとしても労働者が継続締結に同意しない場合を除き、有期労働契約が期間 満了により終止した場合 (b) 雇用主側が破産宣告を受けたり、営業許可証を没収されたり、閉鎖命令を受けるか もしくは閉鎖されてしまったり、雇用主側が経営期間満了前に解散を決めたりして、 労働契約が終止した場合 労働契約法では、高額所得労働者に対する退職金の上限額についても規定しており、労 働者の月給が雇用主側所在地の直轄市、区のある市級人民政府が公布する、当地の前年度 従業員平均月給の 3 倍を上回る場合、退職金は従業員平均月給の 3 倍の金額で支給され、 かつ、支払われる退職金の年数は最高で12 年を超えない。 1.2.3 賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、時間外及び休日労働、時間外の割増 賃金 (1) 賃金 労働法では、賃金について次のように規定している。 「賃金の分配は、労働に基づく分配の原則に基づき、同一労働同一賃金を実行する。賃金 水準は経済発展の基礎に立脚して、徐々に引き上げる。賃金は月ごとに、貨幣で労働者本 人に支給するものとし、理由なく減額したり遅配してはならない。雇用主側は、労働者が 法定休日や結婚、服喪休暇期間、あるいは法に基づき社会活動に参加している期間につい ても、法に基づき賃金を支給しなければならない」

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1994 年に公布された賃金支払算定規定では、「労働者が法定の業務時間内に、法に基づ き社会活動に参加する期間について、雇用主側はこれを正常な労働を提供したものと見な し、賃金を支払わなければならない。社会活動には、法に基づく選挙権あるいは被選挙権 の行使、代表に選出され、郷(鎮)、区以上の政府、党派、労働組合、青年団、婦女連合会 等の組織の会議に出席する場合、証言者としての裁判所出廷、模範労働者、先進労働者大 会への出席、労働組合法が規定する労働組合活動により占用される生産あるいは業務時間、 法に基づき参加するその他の社会活動が含まれる」としている。 最低賃金基準は、2004 年に公布された最低賃金規定に定められている。同規定では、「最 低賃金基準には月給の最低基準と時間給の最低基準の2 種類があり、月給の最低基準は全 日制労働者に適用され、時間給の最低基準は非全日制労働者に適用される。省、自治区、 直轄市範囲内の異なる行政区域では、異なる最低賃金基準を実施することができる」と定 めている。 また、2008 年 1 月 21 日の労働社会保障部発表では、さまざまな局面について規定する 賃金条例の草案が既に完成し、現在各方面の意見を聴取中とのことである。 (2) 休暇 法定休日は、全国年節及び記念日休暇弁法(国務院:2007 年公布、2008 年 1 月 1 日施 行)で定められている。同弁法により、労働節休暇は従来の3 日から 1 日に減少した。ま た、4 つの伝統的な祭日(清明節、端午節、中秋節、大晦日)がそれぞれ 1 日の休日とな った。全国民が休日となるこれらの休日のほか、さらに、一部の国民が休日となる婦女節 (3 月 8 日国際婦人デー、女性は半日休み)、児童節(6 月 1 日子供の日、満 14 歳未満の 児童は1 日休み)、中国人民解放軍建軍記念日(8 月 1 日、現役軍人は半日休み)などが定 められている。 (3) 有給休暇及び休日勤務 従業員年次有給休暇条例は新しい法律で、国務院第198 回常務会議で可決、2008 年 12 月7 日に公布され、2008 年 1 月 1 日より施行された。同条例は全 10 条からなり、労働法 や公務員法に従って、労働者の年次休暇の権利を保護し、以下のように規定している。 【第 2 条】機関、団体、企業、事業体、民間の非企業、個人工商事業主等の従業員が、連 続して1 年以上勤務している場合、年次有給休暇を享受する。雇用主側は、従 業員が年休を享受することを保証しなければならない。従業員は、年次有給休 暇期間も正常な勤務期間と同じ賃金収入を受ける。 【第 3 条】従業員の累計勤務年数が1 年以上 10 年未満の場合、年次有給休暇は 5 日とす る。 10 年以上 20 年未満の場合、年次有給は 10 日、20 年以上の場合、年次有給休 暇は 15 日とする。 【第 4 条】従業員が以下の状況のうち1 つに該当する場合、当年の年次有給休暇を取得で きない。 (a) 従業員が法に基づき寒暑休暇を取得し、その休暇日数が年次有給休暇日数 を上回った場合

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(b) 従業員の私事休暇の累計が 20 日以上で、かつ雇用主側が規定に基づき賃金 を控除していない場合 (c) 累計勤務年数が 1 年以上 10 年未満の従業員で、傷病休暇が累計で 2 カ月以 上の場合 (d) 累計勤務年数が 10 年以上 20 年未満の従業員で、傷病休暇が累計で 3 カ月 以上の場合 (e) 累計勤務年数が 20 年以上の従業員で、傷病休暇が累計で 4 カ月以上の場合 【第 5 条】企業が何らかの理由により従業員に年次有給休暇を与えない場合の賠償につい て、次のように定めている。「企業は、生産や作業の具体的状況に基づき、かつ 従業員本人の意思を考慮して、年次有給休暇を調整して取り決めなければなら ない。年次有給休暇は1 年度内に集中して消化することも、分割して消化する こともできるが、通常は年度をまたがない。生産や作業の特徴により従業員の 年次有給休暇を年度をまたがって消化する確たる必要がある場合は、年度をま たいで消化することができる。 企業は、作業の必要により従業員の年休を消化できない場合、従業員本人の同 意を経て従業員の年休を消化しないこともできる。従業員の未消化の日数につ いては、企業は当該従業員の1 日当たりの賃金収入の 300%を賃金報酬として 支給しなければならない」 【第 6 条】県級以上の地方人民政府人事部門と労働保障部門は、職権により企業に対し、 本条例の状況の監督検査を主動的に実施するよう求める。労働組合組織は、法 に基づき、従業員の年次有給休暇取得の権利を保護しなければならない。 【第 7 条】企業が従業員の有給休暇を設定せず、本条例の規定に基づく賃金報酬も与えて いない場合、県級以上の地方人民政府人事部門あるいは労働保障部門が、職権 に基づき期限を設けて改正を命じる。期限を過ぎても改正しない場合は、当該 雇用主側に年次有給休暇の賃金報酬を支払うよう求めるだけでなく、さらに、 賃金報酬の金額を従業員に賠償金として支払わなければならない。賃金報酬や 賠償金を支払わない場合、公務員及び公務員法が適用される人員が雇用主であ る場合、直接責任を負う主管人員(責任者)とその他の直接責任者を法に基づ き処分する。その他の雇用主である場合は、労働保障部門、人事部門あるいは 従業員が裁判所に強制執行を申請することができる。 【第 8 条】従業員と雇用主側の間に、年次有給休暇による争議が発生した場合、国家の関 連法、行政法規の規定に基づいて処理する。 【第 9 条】国務院人事部門と国務院労働保障部門は、職権に基づきそれぞれ本条例の実施 弁法を制定する。 1.2.4 年少者、女性、民族、外国人労働者、労働安全衛生、アウトソーシング(委託業務 や派遣労働) 労働法第 7 章では、女性労働者と未成年労働者に対する特殊保護を定めている。“未成 年労働者”とは、満16 歳以上満 18 歳未満の労働者を指す。1991 年の児童労働者禁止規 定では、16 歳以下の青年又は児童は、企業や個人との間で金銭的報酬を伴う労働を提供す

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る労使関係を結んだり、個人的な労働提供を行ったりしてはならない。ただし、家事に参 画したり、学校が組織する時間労働に就いたり、あるは、省、自治区、市政府により許可 された、心身に害を与えず、能力の範囲内であり、しかも児童労働と定義されない補助的 な作業に就くことができる。 (1) 年少者 労働法第64 条では、鉱山坑内や有毒有害な場所、国家が規定する第 4 級体力労働強度 の労働や、禁忌すべきその他の労働に従事することが禁じられている(禁忌すべき労働に ついては、中国労働社会保障報、労働社会保障の法律制度2008 年第 1 版、194 ページを 参照)。また、第65 条では、雇用主側は未成年労働者に対し定期的に健康検査を実施しな ければならないと規定している。 (2) 女性 女性労働者に関する規定は主として労働法、就職促進法及び婦女権益保障法に収められ ている。これらの法律によって、国家は女性従業員に特別な保護を与えている。労働法で は、女性労働者を鉱山坑内や国家が規定する第4 級体力労働強度の労働、あるいは女性労 働者が禁忌すべきその他の労働に配置することを禁じている。また、女性労働者が生理期 間にある時は、高温、低温、冷水作業並びに国家が規定する第3 級体力労働強度の労働に 配置してはならない。女性労働者が妊娠期間にある時は、国家が規定する第3 級体力労働 強度の労働や、妊娠期に禁忌すべき労働に配置してはならない。妊娠7カ月以上の女性労 働者を残業や夜勤に配置してはならない。 女性労働者には 90 日を下回らない有給の出産休暇を与え、出産後、子供が満1歳にな るまでの授乳期間中は、国家が規定する第3 級体力労働強度の労働や、授乳期間中に禁忌 すべき労働に配置したり、残業や夜勤に配置させてはならない。 就職促進法第 3 章では、「国家は女性が男性と平等な労働の権利を享受することを保障 する。雇用主側が人員募集を行う際、国家が規定する、女性に適合しない作業あるいは職 位を除き、性別を理由に女性の採用を拒んだり、女性に対する採用基準を引き上げたりし てはならない。雇用主側が女性労働者を採用する場合、労働契約において女性労働者の結 婚や出産を制限する内容を規定してはならない。」と規定している。 婦女権益保障法では、次のように規定している。女性は男性と平等の労働や社会保障を 享受する権利を保障されなければならない。各企業は、従業員を採用する際に、女性に不 適合な作業や職位を除き、性別を理由に女性の採用を拒んだり、女性に対する採用基準を 引き上げたりしてはならない。雇用主側は、女性労働者を採用した後、当該労働者との間 に労働契約を締結しなければならず、女性労働者の結婚や妊娠を制限するいかなる内容も 入れてはならない。国家が規定する場合を除き、満 16 歳未満の女性労働者を招聘するこ とは禁じられている。 男女は同一労働同一賃金を実行する。女性は福利において男性と平等な待遇を享受する ものとする。昇進昇級、専門技術職務の評価等においては男女平等の原則を堅持し、女性 を差別してはならない。いかなる雇用主側も、女性の特徴に則り、法に基づいて作業や労 働時の女性の安全や健康を保護しなければならず、女性が従事するに適切でない作業や労

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働に配置してはならない。女性が生理、妊娠、出産、授乳期間にある場合は、特別な保護 を受ける。 (3) 障害者 中華人民共和国障害者保障法が 2008 年に改訂された。新たに改訂された障害者保障法 は、第11 期全人代常務委員会第 2 回会議で可決し、2008 年 7 月 1 日から施行されている。 障害者保障法の全面的な改訂は、全国 8300 万人以上の障害者に恩恵をもたらす一大事で あり、障害者事業の発展、障害者の平等の保障、社会生活への参加、障害者の合法的権益 の保障や社会の物質文化の享受にとって、重要な意義を持つものである。改訂障害者保障 法には、障害者を保護する上での3 つの要点が含まれている。 (a) 障害者差別の禁止 「障害に基づく差別を禁止する。障害者を侮辱したり侵害したりすることを禁止 する。マスメディアやその他の方法を通じて障害者の人格を貶めたり損なったりす ることを禁止する」と明確に規定している。 (b) 比率に応じた障害者の就職配置 現在中国には、労働能力があり就職年齢に達しているが、就職できていない障害 者が858 万人存在し、障害のある労働者は毎年新たに 30 万人前後増加している。 改訂障害者保障法では、「国家は、比率に応じた障害者就職制度を実施する」と明 確に規定している。全人大常務委員会法制工作委員会行政法室主任李援氏は、「改 訂前の障害者保障法では、各雇用主側は一定の比率に応じて障害者の就職を配置し なければならないと規定があるだけで、障害者の就職を促進する1 つの措置にすぎ なかったが、今回の改訂で法律制度になった。これは障害者の就労にとってより有 力な保障となるであろう」と語っている。 (c) 障害者の権益の保障に関する各級政府の職責の強化 改訂障害者保障法では、「国務院は中国の障害者事業発展綱要を制定し、県級以 上の地方人民政府は、中国障害者事業発展綱要に基づいて本行政区域の障害者事業 発展計画及び年度計画を制定して、障害者事業と経済、社会の協調的な発展を図る。 県級以上の人民政府は、障害者が勤務する機構に責を負うと共に、関連部門に対し、 障害者事業に関する作業を組織し、協調し、指導し、促進する責任を負う」と規定 している。 同法はまた、国家は健全な障害者統計調査制度を構築し、障害者の状況の統計調 査及び分析を実施すると定めている。 (4) 少数民族 中国は56 の民族で構成される国家であり、漢民族を除く 55 の少数民族の合計人口は、 1 億 643 万人で総人口の 8.41%を占める(2000 年、第 5 回全国調査統計による)。中国に おいて、すべての民族は平等であり、国家は少数民族の合法的権益を保護している。国家 人権行動計画(2009∼2010 年)では、「国家は少数民族に関する立法を推進する。国家は、 民族区域自治法の付帯規定の制定を促進し、徹底して実施する。国家は都市民族作業条例 や民族地方行政作業条例を改訂する」としている。

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2007 年の就職促進法第 28 条では、各民族労働者は平等な労働の権利を享受する。雇用 主側が人員募集を行う際には、法に基づき、少数民族の労働者に適切な配慮をしなければ ならない」と規定している。 (5) 移民労働者 中国は今後、都市部と農村部の二重構造をなくすために努力し、新農村の建設を加速し、 農民の合法的権益を保護する方向にある。国家人権行動計画(2009∼2010 年)では、「移 民労働者の権益の保護を強化する。労働報酬、技能研修等の分野において移民労働者と都 市部従業員との同等待遇を徐々に実現し、移民労働者の子女の就学、公共衛生、住宅購入 等の待遇についても徐々に改善する。移民労働者の労働条件を改善し、移民労働者に対す る労災、医療、養老保険の適用を拡大し、早期に移民労働者の基本養老保険加入弁法を制 定、実施する。戸籍制度改革を推進し、中小都市の戸籍取得条件を緩和する」としている。 (6) 労働安全衛生 労働法では、「雇用主側は健全な労働安全衛生制度を構築し、国家の労働安全衛生規程 及び基準を厳格に執行すると共に、労働者に労働安全衛生教育を行って、労働過程におけ る事故を防止し、労働災害を減少させなければならない」と定めている。労働安全衛生に ついては、労働の安全や健康に関するいくつかの法律規定が存在するが、主要法律として は(a)鉱山安全法(1992 年)、(b)職業病予防治療法(2001 年)、(c)安全生産法(2002 年)の3 法が挙げられる。 (a) 鉱山安全法 鉱山安全法は、鉱山における生産の安全を保障し、鉱山事故を防止し、鉱山労働 者の人身の安全を保護し、鉱山採掘業の発展を促進するために制定された法律であ り、中国の領域及び中国が管轄するその他の海域において鉱山鉱産資源の採掘活動 に従事する活動について、適用される。 鉱山企業は、安全生産を保証する施設を保有し、健全な安全管理制度を構築し、 効果的な措置を講じて労働者の労働条件を改善し、鉱山の安全管理作業を強化して、 安全な生産を保証しなければならない。 国務院労働行政主管部門は、全国の鉱山安全作業に対し、統一的に監督を実施す る。鉱山企業の労働者は、鉱山の安全に関する法律法規並びに企業の規律制度を遵 守しなければならない。鉱山企業の労働者は、安全に害を及ぼす行為に対し、批判 を提起したり、通報したり、告発する権利を有する。 鉱山企業の労働組合は、法に基づき、生産の安全に関する労働者の合法的権益を 保護し、労働者を組織して、鉱山の安全作業に対する監督を行う。鉱山企業が安全 に関する法律法規に違反した場合、労働組合は企業に対して、行政分野あるいは関 連部門に対し、真摯な処理を求める権利を有する。 鉱山事故が発生した場合、鉱山企業は直ちに救護を組織して、事故の拡大を防止 し、人員の死傷や財産の損失を減少させると共に、死傷事故については、直ちに、 事実のとおりに、労働行政主管部門及び鉱山企業を管理する主管部門に報告しなけ ればならない。

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(b) 職業病予防治療法 労働者は法に基づき職業衛生保護を受ける権利を有する。雇用主側は、労働者の ために、国家の職業衛生基準並びに衛生要求に符合する作業環境及び条件を創造す ると共に、措置を講じて、労働者が職業衛生保護を受けることを保障しなければな らない。雇用主側は、健全な職業病予防治療責任制を構築して、職業病予防治療の 管理を強化し、職業病予防治療水準を向上させ、本雇用主において発生する職業病 について責任を負わなければならない。雇用主側は、法に基づき労災保険に加入し なければならない。国務院及び県級以上の地方人民政府労働保障行政部門は、労災 保険の監督管理を強化し、労働者が法に基づき労災保険待遇を享受できるようにし なければならない。 職業病とは、企業、事業体及び個人経営者(以下、雇用主側と称する)の労働者 が、職業活動中に、粉塵、放射性物質あるいはその他の有毒・有害物質等の要素に 接触することにより引き起こされる疾病を指す。職業病の分類及び目録は、国務院 衛生行政部門が国務院労働保障行政部門と共同で規定、調整して公布する。 国家は職業衛生監督制度を実施する。国務院衛生行政部門が全国の職業病予防治 療監督管理作業に責を負う。国務院関連部門は、各自の職責範囲において、職業病 予防治療に関する監督管理作業を担当する。県級以上の地方人民政府衛生行政部門 は、本行政区域内の職業病予防治療監督管理作業を担当する。県級以上の地方人民 政府関連部門は、各自の職責範囲において、職業病予防治療に関する監督管理作業 を担当する。 (c) 安全生産法 安全生産の監督管理を強化し、安全生産事故を防止、減少させ、人民の生命や財 産の安全を保障すると共に、経済の発展を促進するために制定された法律である。 生産経営側は、本法及び安全生産に関するその他の法律法規を遵守し、安全生産 の管理を強化し、健全な安全生産責任制度を構築し、安全生産の条件を完備して、 安全な生産を確保しなければならない。生産経営側の主要責任者は、その安全生産 作業について全面的に責を負わなければならない。また、労働者は法に基づいて安 全生産を保障される権利を得る一方、安全生産における義務を履行しなければなら ない。 労働組合は、法に基づき、労働者を組織して雇用主の安全生産作業の民主的な監 督に参画し、安全生産における労働者の合法的な権益を保護しなければならない。 1.2.5 就業規則、労働協約 労働契約法は、労働契約の締結について、3 つの方法を規定している。第 1 は、労働契 約の締結時間について緩和する規定であり、労働関係が既に確立されているが、書面によ る労働契約が同時に締結されていない場合は、労働者の使用開始日から1 カ月以内に、書 面による労働契約を締結しなければならない。雇用主側が労働者の使用を開始した日から 1 カ月以上 1 年未満を経過しても労働者との間に書面による労働契約を締結しない場合、 雇用主側は労働者に毎月2 倍の賃金を支給しなければならない。また、雇用主側が労働者 の使用を開始した日から満 1 年、労働者との間に書面による労働契約を締結しない場合、

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雇用主側が既に労働者と無期限労働契約を締結しているものと見なし、さらに、1 年未満 の違反期間について、労働者に2 倍の賃金を支給しなければならない。 有期労働契約の場合、契約が満了した際、雇用主側は法に基づき退職金(経済補償金) を支払わなければならない。 人員削減を行う場合、雇用主側は比較的長い有期労働契約を締結している労働者や、無 期限労働契約を締結している労働者を、優先的に残さなければならない。 以下のいずれかに該当し、労働者が労働契約の継続締結を申し出るか、又は締結に同意 した時、労働者が有期労働契約の締結を申し出る場合を除き、雇用主側は無期限労働契約 を締結しなければならない。 (a) 労働者が当該雇用主で連続して満 10 年以上勤務している場合 (b) 雇用主が初めて労働契約制度を実施するかあるいは国有企業の制度改革で新たに労働 契約を締結する場合で、労働者の当該雇用主における連続勤務年数が満10 年であり、 かつ法定定年退職年齢まで10 年未満である場合 (c) 通常の状況において、2 回連続して有期労働契約を締結し、3 回目に継続締結する場 合 試用期間を長くして労働者の賃金を抑制したり、試用期間中に随意に労働契約を終止す るなど、試用期間を濫用する雇用主があることを考慮し、労働契約法は、次のように規定 している。 (a) 労働契約の期間が 3 カ月以上 1 年未満の場合、試用期間は 1 カ月を超えてはならない。 (b) 労働契約の期間が 1 年以上 3 年未満の場合、試用期間は 2 カ月を超えてはならない。 (c) 労働契約の期間が 3 年以上又は無期限労働契約の場合、試用期間は 6 カ月を超えては ならない。 (d) 一定の作業任務を期限とする労働契約又は労働契約の期間が 3 カ月未満の場合は、試 用期間を約定してはならない。 (e) 雇用主は同一の労働者との間に 1 回のみ試用期間を約定することができる。 (f) 試用期間中の賃金は、当該雇用主の同一職位の最低ランクの賃金あるいは労働契約で 約定する賃金の80%を下回ってはならず、かつ、雇用主所在地の最低賃金基準を下回 ってはならない。 雇用主が違約金の規定を濫用することを防止し、労働者の職業選択の自由を保護するた めに、労働契約法は、2 つの状況についてのみ、雇用主が労働者による違約金義務を規定 することができるとしている。 (1) 研修及び服務期間協議に関する違約金 雇用主側が労働者のために特別の研修費用を提供して、労働者に対して専門技術 研修を行う場合、当該労働者と協議して、服務期間を約定することができる。労働 者が服務期間の約定に違反した場合、約定に基づき雇用主側に違約金を支払わなけ ればならない。当該違約金の金額は雇用主側が提供した研修費用を上回ってはなら ない。雇用主側が労働者に支払いを要求する違約金は、服務期間の未履行部分に分 担すべき研修費用を上回ってはならない。

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(2) 競業制限の協議に関する違約金 雇用主と労働者は、労働契約において、雇用主側の企業秘密及び知的財産権関連 の守秘事項を約定することができる。守秘義務を負う労働者に対して、雇用主は労 働契約あるいは秘密保持協議の中で、労働者と競業制限条項を約定し、労働契約解 除あるいは終止の後、競業制限期間内において、毎月、労働者に経済補償を支給す ることを約定できる。労働者が競業制限の約定に違反した場合、労働者は、約定に 基づいて雇用主側に違約金を支払わなければならない。競業制限される人員は、雇 用主側の高級管理職、高級技術者及び守秘義務を負うその他の人員に限られる。競 業制限の範囲、地域、期間は、雇用主と労働者との間で約定し、競業制限の約定は 法律法規に違反してはならない。労働契約解除あるいは終止の後、上述のように規 定される人員が当該雇用主と同類製品を生産あるいは従事しているか、もしくは同 類の業務に従事しており競争関係にある他の雇用主に勤務する場合、又は自ら開業 して同類製品を生産したり、同類業務に従事する場合、競業制限の期間は2 年間を 超えてはならない。 上記の2 つの状況を除き、雇用主側は労働者との間に、労働者が違約金を負担する約定 をしてはならない。ただし、労働契約法では、雇用主側による違約金の負担を禁止する規 定は定められていない。 労働法は、労働者が労働契約を一方的に解除する場合、雇用主に対し、30 日前迄に書面 による告知をするか、又は、随時雇用主に通知することができると規定している。労働契 約法は労働者側からの契約解除についてさらに以下のように規定している。 雇用主側が暴力、脅迫、あるいは不法に人身の自由を制限する手段により労働者に労働 を強制した場合、あるいは雇用主側が規定に違反して労働者の人身の安全に危険のある作 業を指示し、強要した場合、労働者は直ちに労働契約を解除することができ、雇用主側に 事前告知する必要はない。 労働契約法はまた、雇用主側が労働契約に約定する労働保護や労働条件を提供しない場 合、雇用主側が労働者のための社会保険料を法に定めるとおりに支払わない場合、雇用主 側の規則制度が法律法規の規定に違反し、労働者の権益を損なっている場合、労働者が労 働契約を解除できると規定している。 同法は、労働契約の終止に関する規定を以下のように改訂している。 労働契約の終止とは、雇用主側と労働者との間で同意が成立して終止するのではなく、 法が定める状況においてのみ終止する。労働契約は当事者の合意に基づき終止するのであ り、仮に労働契約に終止に関する規定があるとすれば、当該規定は無効である。法が定め る労働契約終止の状況には、労働契約期間の満了のほかに、次の各項が含まれる。 (a) 労働者が、法に基づき基本養老保険待遇の享受を開始した場合 (b) 労働者が死亡したか、あるいは人民法院により死亡宣告もしくは失踪申告がなされ た場合 (c) 雇用主側が破産宣告を受けた場合 (d) 雇用主側が営業許可証を没収されたり、閉鎖命令を受けたり、抹消されたり、ある いは経営期間満了前に解散を決定した場合

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また、労働契約の解除を制限する状況としては、労働組合法や職業病に関する法律の規 定に加え、労働者が当該雇用主の下で連続 15 年以上勤務しており、法定定年退職年齢ま で5 年未満である状況で、労働契約が満了する場合、雇用主は当該労働者との労働契約を 解除してはならないと規定している。 1.2.6 その他 新たに公布された中華人民共和国食品安全法では、食品産業においてB 型肝炎ウィルス 保菌者の雇用を禁止する規定が撤廃されている。 中華人民共和国食品安全法は、2009 年 2 月 28 日、第 11 期全人大常務委員会第 7 回会 議で審議され、可決された。同法第 34 条は、食品製造業における労働者の健康管理につ いて定めており、B 型肝炎ウィルス保菌者を、食品産業に従事することを禁止する者のリ ストからはずしている。食品安全法は、1995 年に採択された中華人民共和国食品衛生法を 基礎として公布された新法で、食品衛生法第26 条では、「赤痢、腸チフス、ウィルス性肝 炎あるいはその他の消化器系の伝染病に罹患している者(ウィルス保菌者を含む)、その他 食品衛生に不適切な疾病に罹患している者は、インスタント食品に接触する作業に従事し てはならない」と規定されていた。食品衛生法はB 型肝炎保菌者への重大な差別を含んで いると認識されてきたが、それは中国の食品産業で働く1 億 2,000 万人の HBV 保菌者の 権利に影響を及ぼすものであった。食品安全法は2009 年 6 月 1 日より施行された。

1.3 労使関係法令

1.3.1 労働組合 労働組合(中国語で『工会』)の中央組織である中華全国総工会は、1925 年 5 月 1 日に 成立した。労働組合組織に関する法律は中華人民共和国労働組合法(2001 年改訂)である。 2008 年 10 月 21 日に第 15 回全国総工会全国会議で採択された労働組合定款(修正案)で は、以下のように規定されている。 「中国における労働組合は、中国共産党の指導下にある、労働者の自由意志に基づく中 国人労働者層の集団組織である。労働組合は、党と労働者とを結ぶ架け橋であり、国権の 重要な社会的支柱であり、労働組合員や労働者の利益を代表する存在である。労働組合は、 中華人民共和国憲法を活動の根本準則とし、中華人民共和国労働組合法並びに労働組合定 款に則って、権利と義務を行使する」 労働組合の基本的な職責は、労働者の合法的権益の保護である。労働組合は、労働者に 働きかけ、労働者を組織して、建設や改革に積極的に参加させ、経済、政治、文化及び社 会建設の促進に努める。また、労働者を代表あるいは組織して、国家や社会問題の管理運 営に参画し、企事業体や機関の民主的管理に参加するほか、労働者を教育して、思想道徳 の資質や科学文化の資質を高め、理想を持ち、道徳的、文化的で、規律正しい労働者組織 を建設する。 社会主義市場経済の条件の下で、中国の特色ある社会主義労働組合の発展路線に向けて 組織と権利保護の活動方針を堅持し、労働者を中心とした合法的な科学的権利保護の観念

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を主導し、労働者の経済、政治、文化及び社会的権利を保護し、労使関係や社会的利益関 係の協調に参画し、調和のとれた労使関係の構築に努め、経済発展や社会の長期的安定を 促進し、社会を建設して、社会主義調和社会の実現に貢献する。 労働者層により指導され、労農同盟を基礎とする、人民の民主的独裁の社会主義国家権 力を保護し、人民政府の任務の実現に協力し、法に基づく民主的参画並びに社会監督の作 用を発揮する。 企業や事業において、企事業の発展を促進し、労働者の権益を保護する原則に基づき、 管理や運営をサポートし、管理権を行使し、労働者を組織して民主的に管理、監督し、管 理側との間に協商制度を構築し、労働者の合法的な権利を保障するほか、労働者の積極性 を引き出し、企業や事業の発展を促進する。 労働組合は、産業や地域と結合した組織指導原則を実行し、民主的集中制を堅持する。 労働組合は、大衆化、民主化を堅持し、組合員との間に密接な連携をとって、組合員に組 合活動の展開を委ねる。各級労働組合の指導機関は、活動の重点を基層組合に委譲し、基 層組合や労働者のために一意専心に任務にあたり、基層組合の活力を増強して、労働組合 が「労働者の家」になるようにする。 労働組合が興した企業や事業においては、改革開放や社会生産力の発展に対する奉仕の ほか、労働者層への奉仕や、労働運動事業の推進に対する奉仕を堅持する。 労働組合は、労農同盟を強固にし、また発展させ、愛国統一戦線を堅持し、香港特別行 政区の同胞、マカオ特別行政区の同胞、台湾同胞及び外国に在留する同胞を含む、全国各 族人民の大団結を強化して、祖国の統一や繁栄、富強の促進に努める。 労働組合は、国際的には、独立自主、相互尊重を堅持し、小異を残して大同につく精神 を固持し、協力を強化して、友好を増強推進する方針を貫き、独立、平等、相互尊重、内 政相互不干渉の原則を基礎として、国際的な組合組織や各国の労働組合組織との間に友好 的な関係を広範に構築し、全世界の労働者や労働組合と共同で、世界の平和や発展、労働 者の権益や社会の進歩のために努力する。 中華全国総工会、地方総工会、産業別総工会等の労働組合組織は、社団法人の法人格を 有する。 労働組合の主席、副主席の任期が満了していない場合は、独断で配置転換を行ってはな らない。業務の都合により配置転換が必要な場合は、同級の組合委員会と上級組合の同意 を得なければならない。 労働組合活動の資金源は以下のとおりである。 (a) 組合員が納付した組合費 (b) 企業、事業体、機関及びその他の社会組織が、従業員賃金総額の 2%の割合で組合 に拠出した活動経費あるいは組合設立準備金 (c) 組合が所属する企業、事業体が上納した収入 (d) 人民政府、企業、事業体、機関及びその他の社会組織からの補助 (e) その他の収入 中国には省級の労働組合(各省にある)が31 組織、全国レベルの産業別労働組合が 10 組織あり、産業別労働組合は、以下のとおり。

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・ 中国教育科学文化衛生体育労働組合(中国語表記:中国教科文衛体工会) ・ 中国海員建設労働組合(中国語表記:中国海員建設工会)、 ・ 中国エネルギー化学労働組合(中国語表記:中国能源化学工会) ・ 中国機械冶金建材労働組合(中国語表記:中国機冶建材工会) ・ 中国国防郵政通信労働組合(中国語表記:中国国防郵電工会) ・ 中国金融商業軽工業紡織煙草労働組合(中国語表記中国財貿軽紡煙草工会) ・ 中国農林水利労働組合(中国語表記:中国農林水利工会) ・ 中国民間航空労働組合(中国語表記:中国民航工会) ・ 中国鉄道労働組合(中国語表記:中国鉄路総工会) ・ 中国金融労働組合(中国語表記:金融工会) このほか、基層組合は132 万 4,000 組織(275 万 3,000 企事業体)あり、すべて中華全 国総工会(ACFTU)に属している。 1.3.2 労働争議解決システムに関する法令 労働契約法及び同年公布の中華人民共和国労働争議調停仲裁法の施行に伴い、労働争議 は全国で増加の一途を辿っている。この状況に対し、人力資源社会保障部は、2009 年 1 月1 日に労働人事争議仲裁事案処理規則を公布し、同日より施行した。この規則は、労働 争議調停仲裁法の合理的な実施を助けるものであり、全4 章 58 条項で構成されている。 第1 章は総則で、主として規則の法的根拠、受理する事案の範囲、争議解決の基本原則、 集団争議や集団契約の争議に関する特別規定等を含む総合的な規定が収められている。 第2 章は一般規定で、仲裁事案の取り扱いについて規定しており、主として当事者や管 轄権、申請の回避、証拠、期間、管理及びその他の関連要求等が収められている。 第3 章は仲裁の手順で、主として仲裁進行に関する規定が収められており、第 1 節で申 請と受理、第2 節で開廷と裁決について定めている。 第4 章は付則で、人事争議仲裁事案について明確にしている。 また、本規則には、現在急増している集団争議/集団契約に関する争議等に対応する特 別規定も収められている。 さらに本規則では、次のように規定している。 「権利や義務が明確で、事実がはっきりしている簡単な争議事案、あるいは当事者双方が 同意するその他の争議事案について、仲裁委員会は1 名の仲裁員を指定し、単独で処理す るよう任ずることができ、かつ、開廷の手順、事案の調査、仲裁文書の送達、裁決の方法 等を簡便にすることができる」

1.4 労働保険関係法令

中国は1984 年から 2008 年までに、社会福祉に関する政策をいくつも制定してきた。こ れにより、現在養老保険加入者は約2 億 1,900 万人、基本医療保険加入者は約 3 億 1,700 万人、失業保険加入者は約1 億 2,400 万人、労災保険加入者は約 1 億 3,800 万人、出産保 険加入者は約9,100 万人となっている。しかしながら、これまでこれらの各種保険は異な

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る規則や政策により規定されており、中国全体の社会保障制度を規定し、社会保障制度の 管理や運用を保護するための包括的な法律が欠如していた。明確な罰則も欠如していたた め、労働者の保険加入を拒否したり、故意に保険料を支払わなかったりする雇用主もあっ た。また、社会保障制度の不備は、合理的に移動して働くことをも阻害してきた。 これらの問題を解決するために、2008 年 12 月に、中華人民共和国社会保険法の草案が 第 11 期全人代(NPC)法制労働委員会により公布された。この草案では、都市部と農村 部のいずれもの住民の公民権を明確にし、養老保険、医療保険、労災保険、失業保険並び に出産保険の保険料支払いと保険待遇の享受について、規定している。最も重要な点は、 養老保険の移動方法や、国家で統一した養老保険制度の制定を明確にしているところであ り、これにより、中国の膨大な数の移民労働者の問題を処理できるであろう。社会保険法 (草案)は、養老保険の移動に関する問題を処理し、他の都市へも労働者と共に養老保険 を移動できるようにすることを目的としている。草案第17 条では、「個人が地区を越えて 就職する場合、その基本養老保険関係は本人と共に移転する。個人が定年退職した時、基 本養老金は、保険料を納付した各地の基本養老金の基準と納付年数に基づいて、各納付地 がそれぞれ計算し、定年退職した土地で統一して支払う」としている。現在、中国のほと んどの地区では、養老保険基金の管理が非効率的で、市のレベルで分配が行われているが、 近年は、基金運営のレベルを徐々に引き上げていく傾向にあり、草案では、「養老保険基金 は省レベルで統一して計画実施し(省レベルで統一して集金し、統一して基金を分配し、 納付の基数や割合の計算も統一する)、徐々に全国で統一して計画実施する」と規定してい る。基本養老保険基金の省レベルでの統一管理は、2009 年末の完成を目標とすると報告さ れている。評論家は、中国の社会保障制度は、政策規定の段階から法律のレベルまで引き 上げられてきたと語っている。 草案は、国家は基本養老保険の正常な調整メカニズムを構築し、物価上昇の状況等に基 づいて、適時基本養老保険待遇の水準を引き上げることを規定しているほか、社会保険手 続機関の義務についても次のように規定している。 「社会保険手続機関は、四半期ごとに社会保険監督委員会に社会保険基金の収支、管理 並びに投資運用状況を報告しなければならない。社会保険監督委員会は、会計士事務所を 招請し、社会保険基金の収支、管理並びに投資運用状況について年度会計監査や専門項目 の監査を実施することができ、監査の結果は社会に公開しなければならない」 さらに草案では、農村部の住民も社会保険制度の傘下に入り、社会保障の支援を拡大し なければならないとして、政府は、基金の不足を補うための補助金を拠出するほか、最低 生活保障を受けている者、労働能力を喪失した重度障害者、60 歳以上の老人等の低所得家 庭の保険料についても、助成を行うとしている。 社会保険基金は、人々の生活を守る保険であり、関連の機関や機構が随意に処理しては ならないことから、草案では、基金に対する厳格な監督管理についても明確にし、次のよ うに規定している。 「国家は、社会保険基金に対し、厳格な監督管理を実施する。国務院及び省、自治区、 直轄市人民政府は、社会各方面が社会保険の監督に参画することを奨励し、支持しなけれ ばならない。政府は、社会保険に参加する雇用主側の代表、個人の代表、労働組合の代表、 法律の専門家、保険計理の専門家等により組織される社会保険監督委員会を設置し、社会

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保険基金の収支、管理並びに投資運用の状況を把握、分析するほか、社会保険業務に対し て、コンサルティング意見や提案を出し、社会による監督を実行しなければならない。 中国は全国統一の標準社会保障番号制度や標準計算制度を構築する。各社会保険基金は、 社会保険の種類ごとに分けて台帳を作り、別々に計算するものとし、相互に不当に流用し たり移転させたりしてはならない。 法制労働委員会によると、草案は今後、公衆の意見を基にさらに改訂され、今年末頃に は法制担当者が第3 回検討に入るとのことである。 1.4.1 労働者災害補償保険 社会や経済が発展する中で、労災補償に関する規定や基本養老保険制度はまだ整備が進 んでおらず、改善が必要である。2009 年には、国務院法制弁公室が「労災保険条例の改訂 に関する国務院の決定(意見請求稿)」を公布し、社会に公開して意見を求めている。この 意見請求稿では、主として、労災認定範囲の調整、給付基準の向上、保険料納付の改善等 について規定されている。 1.4.2 年金 2009 年 9 月、国務院は「新型農村社会養老保険パイロットプログラムの実施に関する 指導意見」を公布した。新型農村社会養老保険制度の構築は、社会における公平性の確立 や都市と農村の格差を縮める上で重要な鍵であり、また、社会保障制度の改善、社会の安 定の維持、国内消費の促進等においても大切なことである。同意見によると、新制度は農 民個人が保険料を納付し、中央と地方政府の財政から補助金が出される。満 16 歳になっ た農村住民(学生を除く)は誰でも制度に加入することができる。新制度の下では、満60 歳になった農村戸籍の老人は、毎月当地の所得基準に基づき政府が定めた金額の養老年金 を受け取ることができる。 1.4.3 その他、独自の保険や基金に関する法令 労働保険に関する法律法規には、上記のほか、1994 年に公布された「企業従業員出産保 険施行弁法」がある。この弁法は、都市部や田舎の町部に所在する企業とその従業員に適 用される。出産保険は属地の原則に基づき組織され、企業がその賃金総額の一定比率に基 づき保険料を納付する。出産保険料の積立比率は、当地人民政府が計画出産人数や出産手 当、出産医療費等の項目の費用に基づいて確定し、費用支出状況に応じて適時調整を行う が、最高でも賃金総額の1%を超えない。企業が納付する出産保険料は、期間費用として 処理し、企業管理費用に組み入れる。 女性従業員は法律法規の規定に基づき出産休暇を享受し、出産休暇中の出産手当は、当 該企業の前年度従業員平均賃金に基づいて計算され、出産保険基金から支払われる。

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1.5 職業能力開発法令

1.5.1 職業能力開発制度 2007 年に公布された中華人民共和国就職促進法第 5 章では、次のように規定している。 国家は法に基づき職業教育を発展させ、職業訓練の実施を奨励し、労働者が職業技能を 高め、就職能力や創業能力を増強させることを促進する。地方の各級人民政府は、就職教 育の実施を奨励、支持し、失業者の就職技能の向上を助け、その就職能力や創業能力を増 強させなければならない。失業者が就職研修に参加する場合、関連規定に則り、政府から の研修手当を受けることができる。地方の各級人民政府は、効果的な措置を講じて、都市 部で就職しようとする農村労働者の技能研修への参加を組織して指導し、各種教育研修機 関が、都市部で就職しようとする農村労働者に対して技能研修を提供し、その就職能力や 創業能力を増強させることを奨励しなければならない。 また、雇用前研修を強化するために、中国は労働準備制を採用し、新規労働力に対して、 就職前研修制度を構築している。職業訓練網は都市部と農村部の両方を対象に実施されて おり、これにより都市部の新規労働者の多くは就職準備教育を受けることができ、農村部 の新規労働者、特に非就農労働者や都市部で働く移民労働者も徐々に労働準備教育計画に 組み込まれていく。 さらに、国家は既に「移民労働力研修計画2003∼2010 年」を実施し、移民労働者の質 や就職適性の向上を目的として、農村労働力のための職業訓練を改善し、就職指導や職業 技能教育を施している。

1.6 その他の雇用労働関係法令

1.6.1 職業紹介制度 就職促進法第 4 章第 35 条では、県級以上の人民政府は、健全な公共就職サービスシス テムを構築し、公共就職サービス機構を設立して、以下のサービスを無料で労働者に提供 しなければならないと定められている。 (a) 就職に関する政策法規のコンサルティング (b) 就職需給情報、市場の賃金指導価格情報や職業研修情報の公布 (c) 職業指導及び職業紹介 (d) 就職が困難な者に対する就職援助の実施 (e) 就職登記、失業登記等の事務手続きの実施 (f) その他の公共就職サービス 公共就職サービス機構は、サービスの質や効率を絶えず向上させなければならず、経営 活動に従事してはならない。公共就職サービスの経費は同級の財政予算に組み入れる。 また、同第39 条では、職業仲介活動に従事する場合は、合法的で、誠実信用を遵守し、 公平公開の原則に従わなければならないとされる。また、雇用主側は、職業仲介機構を通 じて人員を募集する場合、職業仲介機構に対し、募集する職位に必要な情報を事実のとお りに提供しなければならない。いかなる組織あるいは個人も、職業仲介活動を利用して労

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働者の合法的権益を侵害してはならない。仲介機構の設立に必要な条件は、同第 40 条の 規定によると、次のとおりである。 ・ 明確な定款や管理制度を有する ・ 業務の実施に必要な固定場所、事務施設及び一定額の開業資金を有する ・ 一定数の、相応の職業資格を有する専従業務人員を擁している ・ 法律法規が規定するその他の条件 職業仲介機構を設立する場合、法に基づき行政許可を得なければならない。許可を得た 職業仲介機構は、工商行政部門で登録しなければならない。法に基づく許可や登録を実施 していない機構は、職業仲介活動に従事してはならない。 1.6.2 外国投資法により進出した企業で、海外から招聘され就労する者の労働許可条件 関連の法律法規に基づき、中国における外国人の雇用の管理を強化するために、1996 年に「外国人の中国における就業管理規定」が公布、施行された。同規定は中国の領域内 で雇用される外国人並びにその雇用主側に適用され、雇用主側は外国人を雇用する場合、 当該人員のために就業許可を申請し、外国人就業証を取得しなければならない。 中国で就職しようとする外国人は、以下の条件に符合しなければならない。 (a) 満 18 歳以上で、健康であること。 (b) 就こうとする業務に求められる専門技能や職業経験を有していること。 (c) 犯罪歴がないこと。 (d) 明確な雇用主があること。 (e) 有効なパスポートあるいはパスポートに代わるその他の国際的な旅行文書を所持 していること。 中国で就職しようとする外国人は、入国に際して就労ビザを所持し、中国の領域内にお いて、外国人就業許可並びに居住証明を取得した上で初めて就職することができるが、以 下の条件に符合する外国人は、就業証や就労許可が免除される。 (a) 中国政府が直接出資して招聘した、外国人専門技術者及び管理者、あるいは国家の 機関や事業体が出資して招聘した、本国あるいは国際的に権威のある技術管理部門 もしくは業界協会により確認された、高級技術職称や特殊技能資格証書を有する外 国人専門技術者及び管理者、外国専家局が発行する『外国人専門家証』を有する外 国人。 (b) 『中華人民共和国で海上石油作業に従事する外国人の作業許可証』を持ち、海上石 油作業に従事し、上陸する必要がなく、特殊技能を有する外国人労務人員。 (c) 文化部が許可した「臨時営業演出許可証」を有し、営業性文芸演出を行う外国人。 1.6.3 その他雇用労働に関する法令 【北京、上海及びその他の地方政府における障害者就職促進の新たな政策】 北京市では、2009 年 4 月 1 日より、障害者を雇用する企業には補助金を支給する暫定 規定が実施されており、障害者雇用基金が利用されるとしている。障害者を雇用する企業

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に対し3 年間の補助金が支給される。さらに、障害者が全従業員の 1.7%を超えた場合、 障害者雇用1 名増加に付き 3,000 元が企業に追加支給される2。また、北京市政府は同日よ り、障害者の自営及び起業を支援する暫定規定に基づき、自営業を営むか又は自身で起業 する障害者に対し、金銭的あるいは物質的補助を支給することを明らかにしている。 上海では、福祉企業において雇用されている、規定の比率を超える障害者 1 人に付き、 一時金として3,000 元の補助金が支給される。また、市財政局は「政府調達において、福 祉企業の製品及びサービスの優先を実施することに関する指導」を出し、「政府調達におい て、調達者や授権された調達機関は、福祉企業の参加を除外したり制限したりしてはなら ない」、また、「同一条件下では、福祉企業の製品やサービスを第一に調達しなければなら ない」と要求している。 成都市政府も、「政府調達において、同一条件下では、福祉企業の製品やサービスを優 先しなければならない」と要求している。自営業を営む障害者には、市及び下属する県級 の障害者連盟から社会保障の20%の補助金が支給される。また、障害者に無料サービスを 提供する人材紹介会社には、当該サービスを受けて就職した障害者1 人に付き、最高 200 元の補助金が支給され、職業技能検定機関には、最初の検定を受けた障害者 1 人に付き、 120 元の補助金が支給される。成都市政府はまた、9 月 1 日を「障害者就職促進の日」と 宣言している。 蘇州市で独自のビジネスを起業する障害者には、蘇州市政府が採択した「障害者の起業 の支援に関する指導」に基づき、2009 年 1 月 1 日より、3,000∼5,000 元の助成金が支給 される。市級の起業モデルに選定された障害者には、最高 5 万元の報奨金が与えられる。 また、企業には、雇用した障害者1 名につき、一時金として 2,000 元の補助金が支給され る。 中国ではこのほか湖南省、天津、重慶やその他の地方都市でも、障害者の雇用や創業を 促進するために、同様の規定が実施されている。 【参考文献】 1. 厦門網. (2007).「新労働合同法」 http://www.xmnn.cn/zt/xldhtf/xgxx/200712/t20071226_416729.htm 2. 渉外律師網. (2006).「中華人民共和国安全生産法」 http://www.yanmon.com/swls/xgfg/flfg/200609/4343.html 3. 新華網. (2008).「解読新修訂的残疾人保障法四大亮点」 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-04/24/content_8044513.htm 4. 新華網. (2009).「労働人事争議仲裁弁案規則公布施行」 http://news.xinhuanet.com/legal/2009-01/09/content_10630599.htm 2 北京市政府は雇用主側に対し、障害者保護法が規定する障害者就職システムの割合に基づき、従業員総 数の1.7%を下回らない障害者を雇用するよう要求している。2007 年 5 月 1 日施行の障害者の就職に 関わる規則に基づき、福祉事業に従事する企業(又は、障害者を集中的に雇用している企業)は、全従 業員の25%以上、フルタイム労働の障害者を雇用しなければならない。

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5. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.). http://www.mohrss.gov.cn/mohrss/Desktop.aspx?PATH=rsbww/sy 6. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.).「境外人員入境就業管理」 http://w1.mohrss.gov.cn/gb/ywzn/node_5456.htm 7. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.).「国家政策法規」 http://w1.mohrss.gov.cn/gb/ywzn/node_5903.htm 8. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.).「国家政策法規」 http://w1.mohrss.gov.cn/gb/ywzn/node_5907.htm 9. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.).「最低工資規定」 http://www.molss.gov.cn/gb/ywzn/2006-02/15/content_106799.htm 10. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.).「未成年工特殊保護規定」 http://www.molss.gov.cn/gb/ywzn/2006-02/20/content_107414.htm 11. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (1994).「企業職工生育保険試行弁法」 http://w1.mohrss.gov.cn/gb/ywzn/2006-02/15/content_106772.htm 12. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (2006).「工資支付暫行規定」 http://www.molss.gov.cn/gb/ywzn/2006-02/15/content_106800.htm 13. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (2006).「中華人民共和国工傷保険条例」 http://www.molss.gov.cn/gb/ywzn/2006-02/15/content_106783.htm 14. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (2006).「中華人民共和国婦女権益保障法」 http://www.molss.gov.cn/gb/ywzn/2006-02/15/content_106771.htm 15. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (2006).「中華人民共和国労働合同法」 http://www.molss.gov.cn/gb/news/2007-06/30/content_184630.htm 16. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (2007).「中華人民共和国就業促進法」 http://www.molss.gov.cn/gb/zt/2007-08/30/content_197492.htm 17. 中華人民共和国中央人民政府. (n.d.). http://www.gov.cn/banshi/qy/ldbz.htm 18. 中華人民共和国中央人民政府. (n.d.).「行政法規解読」 http://www.gov.cn/zwhd/zcjd_xzfg.htm 19. 中華人民共和国中央人民政府. (n.d.).「中華人民共和国労働法」 http://www.gov.cn/ziliao/flfg/2005-08/05/content_20968.htm 20. 中華人民共和国中央人民政府. (2005).「中華人民共和国職業病防治法」 http://www.gov.cn/banshi/2005-08/01/content_19003.htm 21. 中華人民共和国中央人民政府. (2007).「職工帯薪年休假条例」 http://www.gov.cn/flfg/2007-12/16/content_835527.htm 22. 中華人民共和国中央人民政府. (2007).「全国年節及記念日放假弁法」 http://www.gov.cn/flfg/2007-12/16/content_835526.htm 23. 中華人民共和国中央人民政府. (2007).「中華人民共和国就業促進法」 http://www.gov.cn/flfg/2007-08/31/content_732597.htm 24. 中華人民共和国中央人民政府. (2009).「針対当前 5 大問題工傷保険条例公開征求意見」 http://www.gov.cn/jrzg/2009-07/24/content_1374339.htm

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