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Night Wear and t h e  Aged 

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(1)

要介護老人の衣生活

一一横浜市における寝衣の現状とその留め具の研究一一 渡 辺 玉 見 *

Night Wear and t h e  Aged 

一一一

A Case Study i n  Y  okohama‑

一 一

Tamami W a t a n a b e  

日本人の平均寿命は今年も又伸びを見せ,高齢化社会への進展は速度を増してきている。寿 命の伸びに伴い介護の必要な老人の数も増加し,寝たきり老人の衣生活についても介護しやすく工夫さ れた各種の寝衣が市販されるようになった。しかし加齢とともに身体機能の低下が見られ,着脱衣の自 立も困難になってくる。自立のためにより操作しやすい衣服の研究の必要性を感じた。要介護老人とい ってもそれぞれ症状に差があるので,在宅及び特別養護老人ホーム入間者の身体の状況と,箆用してい る寝衣についてデザイン・素材・価格などの調査をした。デザインについては着脱を考えると衣服の関 口部における留め具は指先機能が低下する老人には操作が容易であることが必要だと考え,留め具とし てボタン・スナップ・ファスナー・マジックテープ・アイディアホックの

5

種を痩用した寝衣を製作 し,開閉の実験を試みた。要介護者ではあるが障害の程度にも差があり,寵め具については一長一短の 結果が出た。短時間に操作で、きたから使用しやすい留め具だと断言できるものではなく,個人の症状に よっては使用しやすいと考えられる留め具も困難を伴う結果も出た。ボタンはしっかり留まって良いが かけにくい。スナップは開閉ともに容易であるが動きによって はずれやすい。ファスナーはオープン ファスナーの先端部があわせにくく開閉も盟難であり,箆用しにくいと全体的に評価が良くなかった。

マジックテープは開閉とも容易で、あるが皮璃に刺激を与えたり,洗濯時にも問題がある。アイディアホ ックは開くときやや力がかかるが使用しやすいとの評価であったが,着心地・耐久性など考

j

慈して使用 する必要がある。

I

a : : : l  

自本人の平均寿命の伸びは世界でも上位を占

8 0

才 を こ え る 老 人 が 急 速 に 増 加 し て お り , 将 来は世界で最も早い速度で超高齢社会になると い わ れ て い る 。 こ の 長 い 人 生 を 心 身 と も に 健 康 に 過 ご す こ と は 多 く の 人 の 願 い で あ る 。 し か し 高 齢 者 を 取 り 巻 く 生 活 全 般 に は 多 く の 問 題 が あ る。老夫婦の核家族化・独居の高齢者の増加・

介 護 を 必 要 と す る 在 宅 高 齢 者 に 対 し て そ の 看 護 者も高齢化してきている。同窟家族への負担も

*本学助教授被服構成学

(  7 7   ) 

多 く 経 済 的 な 問 題 が で て き て い る こ と ・ そ の 他 衣 食 住 に 関 し で も さ ら に 縮 か い 配 慮 が 求 め ら れ るなど種々の問題があげられる。

要 介 護 老 人 に つ い て は 衣 生 活 に 関 し て の 対 策 は 後 回 し に さ れ が ち で あ る が , 護 衣 に つ い て は 介護するものされるものの両者において,より 快適に生活するための工夫や改良で、きる点が多 くあると考えられる。寝たきり及び肢体不自由 者 の 寝 衣 に つ い て 横 浜 市 に お け る 現 状 を 調 査 し,着やすい着せやすい寝衣とはどのようなも のかを考えたい。又肢体不自由者の衣生活の自 立 の た め に は , 着 脱 す る 寝 衣 と そ の 開 口 部 に お け る 留 め 具 が 深 い 関 連 を も っ て い る 。 高 齢 者 の 寝 衣 に 関 す る 研 究 は す で に 多 く 報 告

1 )

2 )

されて

(2)

文 化 女 子 大 学 研 究 杷 要 第

2 3

いるが,それらはデザイン・素材を中心に研究

したものが多く,寝衣の形態‑開きの位置など に関するものが報告されている

2 )

。楳衣の関口 部に使用される留め具についての研究例は僅少 である。寝衣について各種の留め具の試着実験 を行ないどのような留め具が適切であるかを試 みたのでその結果を報告する。

宜 研 究 方 法

1.  横浜市における要介護老人の現状 横浜市における老齢人口の推移と要介護老人 の現状をみる。

2 .  

要介護老人の寝衣について 1)  要介護老人の寝衣の市場調査

要介護者で寝たきりの場合はその生活の大部 分が寝衣での生活である。高齢化社会への推移 に伴い最近デパートでも介護用品や各種の補助 具の販売やレンタルサーピス等を扱うコーナー も設けられるようになった。床ずれ予防マット や各種失禁用パンツやおむつ・消臭抗菌繊維を 使用したシーツや肌着・寝衣などが衣料品とし ては主な商品である。要介護者用の寝衣も工夫 されたものがデパート・描祉センター・福祉機 器 販 売 庖 等 で 販 売 さ れ る よ う に な っ て き て い

デザイン・素材・価格などについて市販され ているものを調査した。

要介護者用寝衣の市場調査

調査期間:平成元年

1 0

月 平成

2

6

調査場所:神奈川県福祉プラザ

横浜高

岡田屋モアーズ

介護用品の庖 あっぷる (槻竹虎

横浜そごう

東京都社会椙祉総合センター 調査内容:要介護老人向けの寝衣及び改良服

を中心にデザイン・素材・価格‑

サ イ ズ ・ 留 め 具 に つ い て 調 査 し

78 ) 

2)  要介護老人の寝衣の実態

在宅要介護老人及び特別養護老人ホーム入園 者を対象として日常生活活動及び現在使用して いる寝衣などについてアンケートによる調査を 行なった。

①調査目的:要介護老人の身体の状況と使用 されている寝衣のデザイン・素 材などについて実状を把握し市 販されている改良型のものがど の程度使用されているかを調査 した。

②調査対象:横浜市内における在宅要介護老 人及び特別養護老人ホーム入国 86

1 実験用寝衣

i 実験留め呉

留め具の種類 備 考 ボ タ ン 車径1.

5  cm

丸型

5

ス ナ ッ プ 直径0

. 8cm  5

オープンファスナー ビューロン

5 0  cm 

マジックテープ 直窪2

. 5cm

の丸

5

V

こカット

アイディアホッグ ボタンの中央を押倍 て開く

(3)

要介護老人の衣生活

2

のように区分される。

横浜市の総人口にしめる老年人口の割合はほ ぼ一貫した傾向を示しており,今後も高齢化は 更に速度を増し平成

1 2

年には

13.1%

になると予 測されている(表

3

)

要介護老人については介護が必要となった場 合,在宅介護及び養護老人ホーム・特別養護老 人ホームへの入園その他居宅訪問サービス等が 行なわれる

4 )

2 .  

要介護老人の寝衣について

1)  要介護老人の穫衣の市場調査の結果 日常生活において介護を必要とする高齢者も その障害の程度によって生活活動能力にはかな りの差がある。ほんの少しの介助で大部分の生 活活動は自立している者・全くの寝たきり 部介護が必要な者などさまざまである。横浜市 の場合,在宅の要介護老人については,生活全 般について保健所の保健指導員が直接にあたっ ている。改良型の寝衣の便利さや,それにより 介護者の負担を軽減できること,現在使用して いるものも少し手を加えることによって,使い やすくなる点なども紹介している。市場調査に 関しては東京の福祉総合センターで開かれた

「くらしと装い展」に出品された作品も参考に した。

高齢化社会の進展に伴い介護用品を扱う庖も でてきたが,大量に売れるとしづ商品ではない ため大型量販屈などには販売されていない。デ

③調査方法:質問紙法

④調査時期:平成 2 年 8 月 ~12月

⑤ 回 収 率 :

98% 

⑥分析方法:手集計による単純集計

3 )  

留め具についての実験

ラグランスリーブの前あき上衣(図

1

)を実 験服として

5

種の留め具をとりあげ、た。

①実験留め具(表1) 

②被検者

特別養護老人ホーム入園者

8

指先には特 に支障の無いもの,腕などに少し障害があるが 日常生活では衣服の着脱は自分でしているもの 年齢は

6 5

歳から

7 8

歳までである。

③留め具の開閉条件と測定

実験服を着用した状態で留め具についての実 験を開始した。留め具をかけ始めてから終了ま でを閉とし,はずしはじめてから全部はずし終 わるまでを開として測定した。

盟 結 果 及 び 考 察

1.  横浜市における要介護老人の現状 横浜市はわが国の高齢化の平均よりも更に早 し、速度で人口の高齢化が進むと予測されてい る 。 平 成

2

1

1

日 現 在 の 横 浜 市 の 人 口

3

1 9 6

239

人である

3 )

。年齢

3

区分別人口は表

2 年齢別・男女別人口構成比 (平成

2

I

1

日現在)

8 5 歳以上 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 1O ~14 5~9

。 ~4

6  4  2  0  ー

老年人口

生産年齢人口

年少人口 2  4  6 

3

高齢者人口の推移

300  高齢者人口

500 

千人

400 

2 0 0  

A U   A U  

‑ ‑

昭和初年

45 50  5 5   60

平成

2

7 1 2  

←ー推計一→

79 ) 

(4)

文 化 女 子 大 学 研 究 紀 要 第

2 3

4

ートでも横浜そごうが昭和

6 0

9

月に,横浜

高島屋が平成元年

7

月にヘルスケアコーナーを オープンしている。しかしいずれも種類サイズ などが少なく充分な品揃えとは言えない。福祉 プラザでは商品数は多いが各企業からの出品物 を展示して注文を取り扱うのみで即売はされな い。したがって購入希望の商品があっても入手 までには時間や手続き等が必要であり簡単に購 入できない。(図

2) 

要介護老人が実際に購入することはなく,介 護者及びその周辺の人々が購入にあたるので老 人の実状に却した衣服が身近な場所で、入手で、き るよう量販庖などでも取り扱いをして欲しい。

現在福祉機器については清報などが多くなって しるが,衣服に関しては情報も販売場所もとも に少ない。介護用の改良されたよりよい物品の 紹介が,市の中央部だけでなく全地域に実施さ れると利用しやすくなる。市販されている衣服 について(閣3)は色柄の種類が少なくもっと 明るく楽しい雰囲気のものが制作されることを 望む

5 )

。価格については和服一部式のガーゼの 寝衣

3

5 0 0

円を最低として

9

0 0 0

" ‑ ‑ ' 1 0

0 0 0

円以 上のものが多く,介護しやすいように改良され たものは

1 3

0 0 0

" ‑ ‑ ' 1 5

0 0 0

円である。特殊な衣 服で量産が出来ないこと ファスナーなどの付

2 福祉プラザの展示

属品も特注のためコスト高になり,それが商品 に加算されるので一般の衣服に対し割高の感は 免れない。

2 )  

要介護老人の寝衣のアンケート集計結果 要介護老人の身体状況及び寝衣について

1 0

目の質問を行なったので主なものについてのベ る。調査対象者は65歳以上の要介護老人86名で 男女の区分は表

4

に恭される。

6 0

代までは男女 ほぼ同数であるが80代以上になると女が 2倍近 くなり平均寿命から考えても高齢者問題は女性

4

謂査対象者の年代区分

: : : : ;   9 0

3 5 . 7  

︐ ︑ ︐ ︑ ︐ ︑ ︐ ︑

︑ ︐ ︑ ︐

︑ ︐ ︑ ︐

︐ ︑ ︐ ︑

︐ ︑ ︐ ︑

︑ ︐ ︑ ︐

︑ ︐ ︑ ︐

︐ ︑ ︐ ︑

︐ ︑ ︐ ︑

︑ ︐ ︑ ︐

︑ ︐ ︑ ︐

︐ ︑ ︐ ︑

︿

a 4 a

︑ ︐

︑ ︐ ︑ ︐

︐ ︑ . ︐

︑ ︐

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〆 ハ ︼

V

ひ っ 丘 町

︐ ︑ ︐ ︑

︐ ︑ ︐ ︑

︑ ︐ ︑ ︐

︑ ︐ ︑ ︐

︐ ︑ ︐ ︑

︐ ︑ ︐ ︑

︑ ︐ ︑ ︐

︑ ︐ ︑ ︐

︑ 5 3 . 4  

A U  

i

υ

円 ハ

U

5

日常生活動作の状況

。 5 0   100% 

.;'・.~.;.;.;,・';.;.;-;-;'・'

. . . .  ・ . . . . . ̲ . ̲ . ー 岳

移動

着脱

入浴

食事

i

できない日報ってもらう議自分でできる

(  8 0  ) 

(5)

要介護老人の衣生活

ガ ー ゼ ね ま き

│ 

二 部 式 ね ま き │ゆったりパジャマ Y 型 .O~思 上衣・下衣

サ エ

E 留 泣〉 L 

ぺ イ フ〈

i

よ留 浸 ヨ コ L 

r

イ Fぐ

(門) 

ひも フリーサイズ 綿(ガーゼ)

3

5 0 0  

リハビリねまき

管 戸

オープンブァスナー

M.L 

(ネル)

1 2

6 0 0  

ひも フリーサイズ 綿(ガ…ゼ・サッカー)

7

0 0 0  

抑制ねまき

オーブンファスナー

M

L

綿(ネル・サッカー)

9

0 0 0  

ホッグ 上衣ホック 下衣ファスナー

S.M.L.LL  S.M.L.LL 

綿・アクリノレ 綿・ポリエステル

S.M.L  9

6 0 0  

上衣

S4

, 

7 0 0  M 5

, 

2 0 0  L  5

, 

7 0 0  LL  6

, 

3 0 0   LL  1 0

8 0 0  

下衣

S4

, 

5 0 0  M 4

, 

8 0 0  L  5

, 

2 0 0  LL  5

, 

7 0 0  

おくるみねまき フドーねまき パンツスーツ

ブァスナ オープンブァスナ プンファスナー アイディアホック オ丈ック

ブリーサイズ

五 在 . L

M (オーダー可) 綿(厚地) 綿(厚地・薄地) 綿(厚地)

9

6 0 0  

厚地

1 3

0 0 0  

1 5

0 0 0  

薄地

1

 1

0 0 0  

3

市販寝衣の種類

問題であるといっても過言ではない。

介護期間を見ると

2

年 以 上

5

年 未 満 が

49%

占 め て お り 長 期 に わ た り 介 護 を 必 要 と し て い

生 活 活 動 に つ い て は 聴 力 は

59%

が 普 通 で あ

(  8 1   ) 

り,やや不能を加えると

96%

が何とか聴くこと ができる。

視 力 は

58%

が 普 通 と 答 え て お り , 半 不 能 者 を 加えると

93%

は見ることが可能な範間にある。

会 話 は

56%

が 普 通 , 学 不 能 を 加 え る と

83%

がな

(6)

文 化 女 子 大 学 研 究 紀 要 第

2 3

んとか意忠伝達能力があると考えてよい。視力

‑聴力に比較して会話の数値が低いのは痴呆状 態が起こっていることも考えられる。会話につ いてはコミュニケーションの機会が多いと機能 も正常を保つことが結果としていえる。生活の 自立の一端である移動・衣搬の着脱・入浴・食 事・排世などの活動に関しては個人差もある が,食事・排世・移動に関してはできるだけ自 立したい意志が感じられた(表

5

)。衣服の着 脱は一部介助をも含めて60%が自分で体を動か してできるが,それ以外のものについては寝た きりの状態が主なので護衣の工夫が必要であ る。入浴については44%が全くできない状態で あるがこの点については浴室設備との関連が深 い。従来の浴槽の周聞が高いものでは入浴が難 しく,床と間程度の高さで浅い浴槽だと高齢者 も入浴しやすく,介助程度で入浴は可能とな る。食事は約80%近くが介助をも含めて自分で できると答えており,機能的には十分で、はない が,時間をかけても自分でしょうと言う意志の 見られる項自である。排世についても同様であ り介護の手があれば付き添って便所に行くこと も可能であり,おむつを使用しなくてもすむ場 合もある。介護者にとって排、濫はやはり負控が 大きく要介護者もおむつは好まない。

以上介護のアンケート調査により在宅要介護 老人・特別養護老人ホームにおける生活状況お よび身体的機能の実状を見てきたが,身体的・

精神的機能の低下はあるが生活しやすい環境作 り・設備器具などの使用により少しの補助で十 分自立した生活を行なうことが可能である。寝 たきりよりもむしろ介護の手が十分で、はないた めに寝かせきりにしている状況が多いのが実状 である。

次に寝衣の質問について結果をみる。

寝衣交換のため必要と思う枚数については3

" ‑ ' 4

枚必要との解答が多かった。実際使用して いる枚数は

2

枚使用者もかなりあり多い方がし、

いと思っているが実状はそれほど多く使用され ていない。しかし病状によっても使用枚数は異 なり

4 " ‑ ' 5

枚を使用している家庭もある。

82 ) 

市販の寝衣を使用している場合が大部分であ るが,病状にあった寝衣が見つからなし やすいように改良した手作りを使用している併

もみられた。使用している寝衣のデザインにつ いては図

3

のノミンツスーツを除いた

8

種から該 当するものを選択しそれ以外の場合はその他 として記入する方式とした。使用されている 衣のデザインは洋服型ニ部式のパジャマタイプ が50%,和服型一部式の浴衣タイプのものが4

5

%でその他少数ではあるがおくるみタイプ・つ なぎタイプの抑制寝巻・和服型二部式のタイプ も痩用されている。抑制寝巻を使用しているこ とから痴呆性の要介護者もいると考えられる。

購入場所については,専門商・デパート・大型 量販屈の

I J

闘で,専門屈は衣料品専門屈が主で和 服型一部式のものは呉服賠‑寝具屈で購入され ている。介護用品専門庖はほとんど利用されて いない。抑制寝巻などはデパートの介護用品コ ーナーが利用されている。

介護用品専門庖は手近になく,福祉センター も郎購入できないので購入には不便といえる。

したがって少々着脱しにくL、点があっても近く にある衣料品結などで普通の寝衣を購入するこ とになる。販売ノレートなどもっと研究すれば改 良型の着脱しやすいものが消費者に購入しやす

くなる。

デパート購入者の場合は好みのデザインや素 材の寝衣があるが,価格が高いとの不満もあっ

7 こ 。

価格については市場調査の項で、のべたが量産 ができない・付属品が特注のためコスト高とな る。デザインも複雑で縫製に時間がかかるなど 各種の条件から考えると現在の価格では高いと は言えないと思う。

素材について一部回答の無いものもあったが 綿

100%

の製品が主で,最近ではアグリル・ポ リエステル混紡の製品も見られるようになっ た。織りについては洋服型二部式のパジャマは ニット(メリヤス)素材が最も多く,和服型一 部式はガーゼ・浴衣地が主でそれに続く。冬物

・つなぎ寝巻などには片面ネノレもあり,夏物で

(7)

要介護老人の衣生活 はサッカーが使用されていた。抑制寝巻につい

ては留め具なども大きいしっかりしたものが使 用されているため摩地木綿が大部分である。

寝衣について感じていることを述べてもらっ たが,着脱しにくい・ちょうどよいサイズがな いとしヴ不満が多かった。その他にも背中心に 縫い目がないものがよい・袖付け寸法が小さい

・縫い毘がほつれやすい・ボタンがかけにくい

・価格が高い等のデザインや縫製に関する問題 点も多くあげられている。

寝衣についてのアンケート結果からデザイン に視点をあて,その中の留め具について研究し てみることにする。要介護者が自主的に衣服の 着脱を行なうためには着脱しやすいデザイン・

素材が求められる。デザインについては関口部 の位置が着やすさと関連があり,又手に障害の ある場合には関口部の留め具についても 必要となる。

3 )  

留め具についての実験結果及び考察 高齢者は加齢とともに身体的機能が低下する と一般に考えられているが, 日常生活動作及び 生活環境や何らかの仕事を持って生活している 場合は生活の中において緊張感もあり,身体的 機能の低下も少ないのではないかと考えられ る。留め具については指先力が留め具の開閉に る。指先力は加齢とともに低下が認 められる。商品科学研究所の計測

6 )

によると第

4 ‑ 1

4

鴻定時の留め異の状況

4 ‑ 2

4 ‑ 4

(  8 3   ) 

1

指・第

2

指間の摘む力は男女差がかなりあ

4 0

歳代の女性の平均は

7 0 ' " " ' ‑ ' 7 4

才の男性の平 均より低い値のようである。男性についてみる

4 0

歳代に比べて

6 5 ' " " ' ‑ ' 6 9

歳で

77.9%

に低下して いる。女性についても

4 0

歳代に比べ

6 5 ' " " ' ‑ ' 6 9

歳で

86.3%

, 

7 0 ' " " ' ‑ ' 7 4

歳で

78.4%

7 5

歳をすぎると

72.5%

にと加齢とともに低下が認められる。こ のような点からも留め具についてはその形態の みならず扱いやすいもの・丈夫なものが必要で ある。市販されている寝衣をみるとファスナー を使用しているものがかなりある。特につなぎ タイプの抑制寝巻は大部分がファスナー開きで ある。介護者にとってはファスナーは扱いやす いが指先の機能が低下している高齢者にとって はかなり困難であり,特にオープンファスナー の先端部はなかなか扱いにくいものである。

5種の留め具(図 4)を実験したが介護者に とって扱いやすいもの,又自立しようとする要 介護者にとって着税しやすいものはないか実験 を試みた。

1.  ボタン

1. 5 

cm

の丸型のボタン

5

個を使用した。着 用した状態で上から!慣にボタンを留める(図

)。少し障害のある者(リュウマチ),片蘇痔 など障害の程度の差はあるが,時間を要しでも ボタン掛けは可能である。寝衣のボタンについ ては

1' " " ' ‑ '  

1. 

2  cm

程度のものが多かったが,被

4 ‑ 3

4 ‑ 5

(8)

文 化 女 子 大 学 研 究 紀 要 第

2 3

5

開閉テスト

検者の意見では1.

5  cm

のものが使用しやすい との評価であった。形においても伺の装飾もな し、丸味のあるものがかけやすい。ボタンホール にボタンを挿入する操作は指先の機能がかなり 必要であり,指先の不自由な人には困難であっ て,使用したくないとの評価が大部分であっ T

こ O

2 .  

スナップ

麗径

O.8cm

のスナップ

5

{屈を使用した。ブ ラウスなどで使用した経験年数が長いので手探 りの状態で、比較的上手に留められる。開く場合 は容易にはずすことがで、きたが,逆に言えば就 寝時に動作によってははずれやすいとも言え る。実験したスナップの大きさよりもう少し大 きいものをとの意見もあったが,大きくなると 留めやすい反面はずすのに指先の力が必要とな り,大きさについては更に検討が必要である。

3 .  

オープンファスナー

介護用寝衣にはオープンファスナーが比較的 多く使用されている。腕及び指先に障害のある 被検者には先端部の扱いが非常に罰難であった り,被検者

B.H 

(

6

)の場合は片麻興があ り不可能であった。実験に使用したものは介護 用の務歯の大きいものだったので動きがよく,

開く動作の場合は先端部分をあわせる必要がな いのでト短時間にで、きて簡単であった。 しかし被 検者からはオープンファスナーについては良い 評価は得られなかった。

84 ) 

4 .  

マジックテープ

洋服型二部式の上衣に多く見かけるマジッグ テープは被検者の日常着のブラウスなどにも使 用されていて扱し、はよく理解されていた。実験 結果では操作は簡単であり指先に障害のある場 合でも容易に使用できる。しかし一度留めると ボタンのような前端の動きがなく方向がはっき り決まるのでまがったまま着用する状態になっ たりする。きちんと着用するには少し時間がか かっ

7

力のかかる方向によってはやわらかし、テープ は剥がれやすく,テープの大きさ(面積)が十 分考意されなければならない。硬いテープを使 用すると接着力はあるが皮!曹を刺激して着心地 が良好とは言えない。テーフ。の接着力について みると告をい始めはしっかり留まるが,洗濯回数 が多くなると糸くずがからまったりして接着力 が弱まりはずれやすくなるとの意見もあり

7 )

,  耐久力の問題も考えなければならない。操作が 容易である点、は被検者には貯評であった。

5 .  

アイディアホック

おむつカバー及び痴呆性要介護者の衣服に多 く用いられているものでスナップのように上前 .下前の布を引くだけでははずれない構造にな っているホックである。日常の寝衣にはあまり 使用されていないので,実験前に使用方法を説 明し

2

回の開閉の経験をしてから着衣した。

閉じるのは容易であるが,開くときホックの 中央部をややカを加えて押さなければ開かない し,中央部の位置も適切で、なければ力を加えて も効果はない。指先に力の入らない場合には扱 いは国難となる。開閉のコツがわかれば扱いは 容易にできるようになった。ただー殻には市販 されていないので,馴染みも薄く普通の寝衣に はあまり使用されていない。やや時間はかかる が操作は複雑ではなく,被検者の評価は良かっ た。ホックの構造が複雑でありしっかり布地に 留めるため寝衣の前端の部分がやや硬くなるの で着心地の点で少し重い感じがあり工夫を要す る点である(表

6)

(9)

要介護老人の衣生活 留め具の開閉

6

(  8 5   ) 

U

2 0  

3 0   4 0  

4 0  

1 0   3 0   2 0  

3 0  

4 0   1 0  

1 0  

ク ア ブ

2 0   1 0  

4 0   2 0  

3 0   2 0   1 0  

スナッ︒フ

オープンファスナー

(10)

文 化 女 子 大 学 研 究 紀 要 第

2 3

会~

'

1 " 、 己

横浜市に於ける要介護老人の寝衣の実態を知 るため,在宅要介護老人及び特別養護老人ホー ムの入菌者について 身体的機能及び介護状況

‑現在使用している寝衣を調査し,寝衣の関口 部にあたる留め具についての実験を行なった。

被検者が高齢のため健康状態を考慮、しながらの 実験であり,被検者選びも困難であった。主な 結果は次の通りである。

(1)  要介護老人の範屈は広く きりで移動 が全くできない人・寝衣の着脱・食事などは自 分でできる人・便所に付き添ってもらえば排、准 は可能な人・身体的には障害はないが痴呆があ るなど個人差が大きく,対処の方法もそれぞれ の状況にあわせて工夫しなければならない。

( 2 )  

動作能力のある場合は介助することによ り自分の可能性を知らせ,残存能力を生かす方 法で衣服の着脱が少しでもできるようにする。

(3)  着脱を行なうことは気分転換になり生活 にリズムをつけるため,寝衣もできるだけ明る し、色・美しい柄のものを選ぶ必要がある。

( 4 )  

デザイン・縫製などについては症状の違 いによって工夫する点も変わるが,上下二部式 が着脱の点からも,汚れた時の洗濯も便利であ る。前開き・袖付けが広いものが着やすいこと はアンケート調査からも明らかである。

( 5 )  

留め具については指先の機能の程度によ り又身体の障害度によって差があるので

5

種 類 実験したが,優劣はつけがたく症状に合ったも のを選ぶようにする。ボタンは要介護者の場合 は,自分で着脱する場合は留めにくいが,介助 があればはずれにくいし着用状態は良い。スナ ップは開閉は容易であるが動きによっては,は ずれやすい。箆用部分が適切であればソフトで 良い。ファスナーはオープンの先端部分が留ま れば動きは良い。しかし務歯の大きいものは着

(  86 ) 

心地に問題がある。マジッグテープは自 脱するには良いが接着力の低下‑着心地など工 夫の必要なところである。アイディアホックは しっかりと留まるが構造から見てやや震い。開 閉には指先の力が必要だが,横れると扱いやす

以上の結果から個人の症状にあわせた留め具 を使用することにより,要介護老人の着脱衣の 自立も可能性がでてくる。特殊な障害の例が少 なかったので留め具の評価についてもあまり問 題はなかったが,色々な障害や能力の低下につ いても調査・研究しなければならない。「開き のない衣臓が最高ですjとの被検者の言葉が,

要介護老人の寝衣について多くの問題があるこ とを示唆している。開口部についてはデザイン とも関連があり,更に素材・色柄についても今 後研究の余地があると考える。

最後に本研究について御指導いただきました 中屋典子本学教授,又御関読の上御助言下さい ました飯沼守夫本学教授に深く感謝申し上げま す。調査と実験に際し御協力いただきました横 浜市港南保健所の保健指導員の皆様,特別養護 老人ホームさくら苑の皆様に深く感謝申し上げ

ます。

参 考 文 献

1)京極高宣・塩内芳子監修:介護措祉の基礎知識

ω

, 

3 3

1/

3 3 9  

中央法規出版

1 9 9 0  

2 )

水野上与志子:老年期の京生活,

39/48 

渓水

1 9 8 8

3 )

横浜市総務局事務管理部統計課:横浜市の年齢 別人口,

4 / 5  

(平成

3

年度版)

4 )

よこはましの福祉,

1 6

/1

(平成

3

年度版)

5 )

一 番 ケ 瀬 康 子 : 衣 生 活 通 巻

271

10/ 

1 4   1 9 8 7  

6 )

商品科学研究所:高齢者の身体機能の変化に対 応する商品の調査研究,

1 5   1 9 9 0  

7 )

福江昭子他:瑞穂短期大学紀要第

6

1 0 3 /  

1 0 9   1 9 8 9  

参照

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