熊本大学教育学部紀要,自然科学 第59号,57-66,2010
中学校理科生物新内容のための身近なシダ植物の教材資料作成
正元 和盛*・川越 靖子*・川内 淳奈*
ScienceTrachingMaterialsofPteridophytesfortheNewLearning UnitinLowerSecondarySchool
KazumoriMASAMOTO、YasukoKAWAGOE and JyunnaKAWAUCHI
(ReceivedOctoberL2010)
Anewleamingunitofnon-seedplantsofpteridophyteswasaddedtothethescienceleaminginlower secondaryschooLbecauseoftherevisionofthecourseofstudyin2008・TherefOrewedevelopedteaching materialsofpteridophytes,7Myprerjsacm"zj"αrα,MzWi"''0〃Upo"Jc川afieldhorsetailEl'LuML",zarve"se,a JapaneseclimbingfemムygM"腕ノapo"jc"mandハerjsdjWrwhichareoftenobservedinKumamoto prefecturePhotographsundermicroscopeofthosesporangia,sporesandprothallusthatwereculturedfOrone yearweretakenasteachingmaterialsfOrthelearningofthenon-seedplants、ThoseprothllluswerefOrmedin simpleliquidfertilizerwithinonemonthafterseedingthespores・Photosofvascularbundlesofthe pteridophyteswerealsotakenthroughroots,stemsandleaves.
keyword:Pteridophytes,Scienceclass,lowersecondaryschool,Tbachingmaterials.
の観察や前葉体の培養,生活環の観察,また維管束の 観察を行い,その資料を作成した
Iはじめに
陸上植物の中でコケ,シダの胞子植物は乾燥に伴っ て胞子嚢から胞子を飛散させ,生育分布域を拡大する.
また維管束植物として,シダ植物,種子植物が関連あ る系統として分類学上扱われる.学習内容の系統性を 重視する観点から,学習指導要領の改訂lI2)があり,
中学校理科生物領域では「植物の仲間」に「種子をつ くらない植物の仲間」として,「シダ植物やコケ植物 の観察を行い,これらと種子植物の違いを知ること」
と盛り込まれた解説では,「シダ植物は葉,茎,根 の区別があり,維管束があるが,コケ植物には葉,茎,
根の区別も維管束もないことを理解きせる.また,胞 子の観察を行うなどして,これらの植物は種子をつく
らず胞子をつくることにも触れる」と具体的な学習内 容が明記された.これまで,シダ植物やコケ植物の教 材特`性についての基礎的な資料やその授業実践は,身 近なシダ植物の数種についてなされており31.41,シダ 植物は培養が簡単]L4Is)なため,その生活環を実験に 取り入れることも可能である.本研究では,シダ植物 を教材として扱うときに必要な基礎データをさらに集 めるために5種類の身近なシダ植物について,胞子
Ⅱ材料と方法
(1)用いたシダ植物(資料1)
身近によく見られるシダ植物であるホシダ,イヌワ ラビ,スギナ,カニクサ,そして熊本に縁のある名を もつアマクサシダを使用した.アマクサシダは栽培し ていたものを,他の4種は熊本大学教育学部周辺で採 取したものを用いた.
1)ホシダルlyprerisac川"α、(図1-1)
ヒメシダ科.常緑性.明るい林縁や道端に生育する.
根茎は長く詞旬する.葉身は2回羽状中裂,長き約 35cm、胞子襄群は円く,包膜は円腎形.熊本大学構 内では,木の陰やあまり日が当たらないところに広く 生息する.
2)イヌワラビMjyrj""mjpo"jcL"〃(図2-1)
イワデンダ科.夏緑性校庭や人家の周辺,山地に 生育する.根茎はやや横に飼冨Iする.葉身は2回羽状 複葉,長さ約30cm、羽片は下方の1対を除いて互生 する.葉はやわらかい草質で緑色.胞子裏群は葉縁と
*熊本大学教育学部理科教育生物
(57)
58 正元和盛・川越靖子・)||内淳奈
軸の中間につく包膜は長い駒形か馬蹄形,線形のも
のが混在する熊本大学構内では,木の陰やあまり日 が当たらないところに生息する
3)スギナE9"jser"manwse(図3-1)
トクサ科.夏緑性日当たりのよい草地,道端,庭
などに生育する根茎は,地下深く葡旬する地下茎は栄養茎と胞子茎の2形.栄養茎は直立し長さ20~
40cm節には枝を輪生し基部には短い緑色の葉鞘 がある胞子茎は「つくし」と呼ばれ,淡紅色~褐色.
茎の先端に胞子嚢穂をつける胞子は緑色で寿命は短 い熊本大学近辺では,日当たりの良い川辺の士手に 生息する(白川土手・熊本市黒髪竜神橋付近)栄養 茎は校舎の軒下などにも見られる胞子茎は3月頃伸
び,3月中旬~下旬には緑色の胞子をまく栄養茎は3月中旬から伸びはじめ,4月中旬には緑の葉が生い茂
る.
4)カニクサL)′godil""ノ`JPO"jc雌"Z(図4-1)
フサシダ科.夏緑性日当たりのよい林縁や道端の
草木に巻きつくつる性のシダ植物で,地下に根・茎
があり,地上に出ているものは全て,1枚の葉となっている葉はつる状に長く伸び,左右に羽片をl対ず つ多数つけているように見え2m以上にもなる羽片 は2~3回羽状複葉.上部の羽片は縮れ,その部分に
胞子嚢がつく縮れた裂片には鱗状の偽包膜が2列に 並んでいる偽包膜の中にラグピーポール状の胞子嚢が1個入っている熊本大学構内では,日当たりの良
い場所で,植え込みなどに巻きついて生育する胞子 がついている葉は縁が縮れる5)アマクサシダP,erjsdjspa,(図3-1)
イノモトソウ科.常緑性根茎は短く斜上する葉
柄の基部とともに褐色で線形の全縁の鱗片をつける 葉柄は光沢のある赤褐色.葉身は2回羽状深裂,長さ
20~40cm中軸は赤褐色で光沢がある頂羽片は大きく,羽状全裂.側羽片は3-6対あって,羽状深裂.
後ろ側が前側よりやや幅広く,前I則の裂片の一部が欠
けることがある最下羽片の後ろ側に羽状全裂の小羽 片をつけるのがふつうである胞子嚢をつけない裂片 の辺縁や頂端付近には鋭く小さい鋸歯がある副v噸$畠鑓・G1l砕一時
プ
=
Ⅲ
写真1ホシダ地下茎写真2イヌワラビ地下茎
3)前葉体の培養3L5-71
胞子:成熟したものを採取し,1日間乾燥させる
培地:家庭園芸用液体肥料l/2500希釈.9cmプラス チックシャーレ(滅菌済み)に希釈液を12m]ずつ分 注する条件:蛍光灯下(2500~3500ルクス)25℃
4)維管束の観察
シダ植物の根,地下茎,葉柄,羽片の切片プレパ ラートを作成し,顕微鏡で観察する81.
5)シダ植物の季節変化
シダ植物の胞子体を栽培観察または野外観察し季 節ごとの変化を記録する.
Ⅲ結果と考察
(1)シダ植物の地下茎(写真1,2)
ホシダとイヌワラビの地下茎を観察した地下茎で つながっているものをはじめ,独立して複葉を伸ばす 幼いシダ植物も見ることができた.シダ植物は地下茎 を伸ばして殖えることもあれば胞子から発芽して殖 えることもある地下茎の観察は,この2通りの生殖
の仕組みについて,実感をもちながら理解できる効果 的な教材だと考えるまたシダ植物の茎と根は地下
にあり地上部はすべて葉であるということを実感をもって示すことのできる実,験教材であると考える
(2)胞子嚢と胞子の基礎資料(資料1)
種子植物は種子で殖えるがシダ植物は胞子で殖える という特徴がある種子を観察し発芽させ,栽培す ることは小学校から経,験しているが,胞子は見たこと
のない生徒が多い.胞子の観察を通して,種子と胞子 の違いを実感できると考えるまた十分に熟したも
のを用意することができれば,顕微鏡下で胞子嚢が破れ,胞子が飛び散る瞬間を観察することができる(写
真3)l)ホシダ(資料l図1-2~1-4)
胞子嚢群は円く,包膜は円腎形で,裂片に2列で規則
正しく並んでいる(図1-2)乾燥すると円形の包膜の
ふちの部分が裂けて外側から縮み,胞子嚢が出てくる (2)方法l)地下茎の観察
自生するシダ植物を掘り起こし(縦30×横50×深さ
20cm程度),地下茎を観察する
2)胞子嚢と胞子の観察
自生しているシダ植物を日々観察し胞子が成熟し
てきた頃にそれぞれ採取する採取後すぐに,顕微鏡
で羽片の裏,胞子嚢群,胞子を観察し写真を撮る(胞
子は光学顕微鏡)身近なシダ植物の教材資料作成 59
蕊
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写真3ホシダ胞子嚢の乾燥に伴う飛散.
バーは1mm
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写真4乾燥時(左)湿った時(右)のスギナ胞子/,饗さ(、F□・’ #9 ②。雫:≦
バーは05mm
刊山
先から偽包膜が縮み,成熟した茶色の胞子嚢が出てく
る(図4-3)胞子は,茶色でくり型をしており,ホシ
ダやイヌワラビと比べると大きい(図4-4)5)アマクサシダ(資料l図5-2~5-4)
胞子嚢ができ始めると,羽片の縁が丸まり偽包膜
ができる(図5-2)胞子嚢は円盤状で,側面に厚い細
胞壁(環帯)を持った細胞で囲まれ,柄が付いている (図5-3)胞子は四面体で,丸みを帯びた三角形に見 える(図5-4)胞子嚢は円盤状をしており,側面は厚い細胞壁を持っ た細胞(環帯)で囲まれている成熟する前の胞子は 薄黄色をしているため,胞子嚢は淡黄色に見える成 熟すると,胞子は黒色になり,胞子嚢は黒色に見える
(図1-3)胞子は,球をつぶした形をしており,表面 にとげのような凹凸がある(図1-41
2)イヌワラビ(資料l図2-2~2-4)
包膜は縦長の楕円状で,小羽片に2列で八の字状に 規則正しく並んでいる(図2-2)乾燥すると楕円形の 包膜が外側から縮み,胞子嚢が出てくるホシダと同 様に,胞子嚢は円盤状をしており,側面は厚い細胞壁 を持った細胞(環帯)で囲まれている成熟する前の 胞子は淡黄色をしているため,胞子嚢は淡黄色に見え る成熟すると,胞子は黒色になり,胞子嚢は黒色に 見える(図2-3)胞子は,やや細長く腎臓形で表面に 凹凸がある(図2-4)ホシダの胞子と似ている
3)スギナ(資料l図3-1~3-4)
胞子茎は淡褐色をしており,先端に胞子嚢穂をつけ る(図3-1)胞子嚢穂は六角形の胞子襄床が集まって できており(図3-2),胞子嚢床の裏には白色で袋状の
胞子嚢がふちに沿って8個並んでいる(図3-3)胞子
嚢の白い袋の中には緑色の胞子が入っている(図3-3)また,胞子嚢床には柄がついていて,傘のような形に なっている乾燥によって胞子嚢床の間隔が広がって くると胞子が見られるようになり,風によって胞子
を飛散させる胞子を落とした後,胞子嚢床は乾燥し
縮んでいくスギナの胞子は緑色をしており,胞子の 部分で十字に接合した2本の弾糸をもっている(図3‐4)弾糸は,乾燥した状態では伸び,湿らせると縮ん
で胞子に巻きつく(写真4)乾燥で弾糸が伸び,胞 子間に隙間ができることにより,全体の体積が増加し
胞子嚢が破れる4)カニクサ(資料l図4-2~4-4)
胞子ができ始めると,葉の縁に切り込みが入り,葉 の一部が偽包膜になる(図4-2)胞子嚢はラグビー ポール状で」つの偽包膜に1個の胞子嚢が入っている 胞子嚢は成熟する前は薄い緑色で、乾燥すると葉の
(3)前葉体の培養とシダ植物の生活環
])ホシダの生活環(資料2)
2008年10月より1年間かけて,ホシダの胞子から
前葉体,そして胞子体ができるまでの過程を観察した
胞子は2日目で発芽し始め,8日で原糸体,18日で前葉体,40日で造卵器・造精器ができた60日後,前葉
体から幼いホシダの根と葉ができ,90日後にはプレー ト-面に緑色の幼いホシダができたその後観察を続 け,9ケ月後には,自生のものと変わらないホシダの 胞子体になった2)シダ植物5種の前葉体培養(資料3-A)
(a)ホシダ(図6-1~6-3)
2009年3月16日に胞子を播いた7日後(3月23 日),いくつかの胞子から,発芽が確認された(図6-
1)18日後(4月3日)には,ハートの形をした前葉 体が見られた(図6-2)29日後(4月14日)には。前
葉体の細胞数がさらに増え,蝶形のものが多く見られ たまた仮根も出ているのが分かった(図6-3)(b)イヌワラビ(図7-1~7-3)
2009年11月14日に胞子を播いた9日後(11月 23日),数個の胞子から緑色の原糸体が出ていること
が確認された(図7-1)18日後胞子の集まった部分 から原糸体が出ており(図7-2)29日後には前葉体が
できた(図7-3)(c)スギナ(図8-1~8-3)
2009年3月16日に胞子を播いた.2日後(3月18 日)の胞子には,色の偏りが見られ,透明で胞子から 飛び出た部分が見られた(図8-1)18日後(4月3日)
いくつかの球体がはり付いたようなでこぽこした形
60
正元和盛・川越靖子・川内淳奈
をしていた透明の仮根が見られる(図8-2).29日後 (4月14曰),はっきり前葉体といえるものは見られな かったが,緑色の原糸体が出た胞子が-つあった(図 8-3).
(。)カニクサ(図9-1~9-3)
2009年3月16日に胞子を播いた.7日後,発芽は 見られなかったが(図9-1),18日後(4月3日),小 さなハート形の前葉体がいくつか見られた(図9-2).
29日後(4月14日),きれいなハート形をした前葉体 が見られた.数は少ないが,どれもきれいな形をして いる(図9-3).
(e)アマクサシダ(図10-1~10-3)
2009年3月18日に胞子を播いた4日後(3月23 曰),いくつかの胞子から,発芽しているのが確認さ れた(図10-1)16日後(4月3日),胞子が集まった ところから,原糸体が出ていた前葉体の形はまだ分 からない(図10-2).27日後(4月14日),ハート形 をしていない前葉体が多く見られたハート形をした ものも見られたが,数は少なかった(図10-3).
表1観察された成熟胞子の時期
ホシダイヌワラピスギナカニクサ 6月下旬~10月中旬
6月中旬~
11月中旬
3月中旬~
4月上旬
7月上旬~
11月中旬
(5)シダ植物の季節変化
大学構内で観察きれたシダ植物の胞子嚢が見られた 時期は表lのとおりであった.
Ⅳシダ植物の教材としての可能性
(1)シダ植物の特徴
シダ植物の学習では,種子植物との共通点として,
根,茎,葉の区別がある,維管束があるなどの特徴が あげられる.また,相違点としては,胞子によって殖 えるという特徴があげられる.
根,茎,葉の区別に関して,多くのシダ植物では茎 が地下にある(地下茎).このため,シダ植物にも根,
茎,葉があるということはイメージしにくいそこで,
まずはシダ植物がどんな姿をしているのか,掘り起こ して調べてみる.実際に掘り起こすと,地面の上だけ ではバラバラに生えているように見えるシダ植物が,
地面の下でつながっていることがよく分かる(写真1, 2).シダ植物は「地下茎を伸ばして葉(複葉)を増や す」ということも理解できると考える.これは種子植 物の「茎を伸ばして葉を増やす」ということと同じで ある.このような特徴から,シダ植物の地下茎が種子 植物の茎にあたる部分であるということへ理解がつな がることが期待される.
維管束に関して,シダ植物の根,茎,葉の横断切片 を観察してみると,種子植物の維管束と似て,シダ植 物にも木部と師部の集まった部分(維管束)が見られ る.なぜ,シダ植物にも維管束があるのかは,シダ植 物の形態から考えられるシダ植物の多くは地面から 離れたところまで葉をのばす.このため,水分を根か ら吸収し体全体へ運ぶためには,維管束が必要だった と考えられるこのような問いを考えさせることに よって,植物の体のつくりに関してより深い興味と理 解をもたせることができる.
相違点としては,種子植物は種子で殖えるがシダ植 物は胞子で殖えるという特徴がある.種子を観察し,
発芽させ,栽培することは小学校から経験している.
一方,胞子は見たことのない生徒が多い胞子の観察 や,前葉体の培養を通して,種子と胞子の違いを実感 できる.胞子の観察では,十分に熟したものを用意で きれば,顕微鏡下で胞子嚢が破れ,胞子が飛び散る瞬 間を観察することができる.また,前葉体の培養では,
(4)シダ植物の維管束の基礎資料(資料3-B)
根,地下茎,葉柄,羽片のどの部分でも,維管束,)
を観察することができた 1)ホシダ
ホシダの根の断面を見ると,中心部に維管束が集 まっている.地下茎には,中心部を囲むように3~5 個の維管束が並んでいる.地下茎の維管束は,根に比 べ,数が多く径も大きい.これは,根の維管束が地下 茎に集まるためと考えられる.葉柄は円柱状で,周囲 に繊毛が生えている.葉柄の中心部には楕円形の維管 束が2つ並ぶ.木部は,維管束部以外の細胞より大き な孔があいており,維管束の中心に集まっている.師 部は,小さな細胞が木部を取り囲むようにしてある.
羽片には,主脈や側脈の中心にそれぞれ維管束が2つ あり,「八」の字を逆ざにしたように位置する.
2)イヌワラビ
イヌワラビの根には,中心に1つの維管束があり,
木部の孔が5~6つ見られる地下茎(葉柄の基部)
は半円柱状をしており,2つの維管束が「八」の字状 に離れて並んでいる.木部の孔が10以上あいている.
葉柄は円柱状で表側の一部がへこんだ形をしており,
中心にハート形をした黒色の細胞層がある維管束は ハート形の細胞層の内側に2つ「八」の字状に並んで いる.羽片は主脈上の表側がへこんだ形をしており,
表に近い部分に葉緑体をもった細胞がある.維管束は
主脈や側脈の中心部にあり,葉柄と同様,ハート形の
黒色をした細胞層の内側に2つある.
身近なシダ植物の教材資料作成
61簡単な培養法で美しいハート形の前葉体を育てること ができる.顕微鏡下で見れば,前葉体の緑色が光でき らきらと輝く様子が観察できるこのような驚きや美 しさの感じられる段階を示すなど,興味を持ちやすい 素材を整える必要がある.胞子体まで栽培,観察する 場合は,ざらに継続的な観察となるので,興味をもっ て観察を続けられるように工夫していく必要がある.
シダ植物にはこのように様々な特徴がある.これら の特徴の1つ1つを実物で示していくことで,シダ植 物への理解がより深まるのではないかと考える.そし て,種子植物など植物全体の系統的理解につながると 考える.
謝辞
本研究は一部,文部科学省科学研究費補助金(課題番号 19500749,研究代表者正元和盛)によって行われた
参考文献
1)文部科学省:「中学校学習指導要領解説理科編」,P」4 pp66-67,大日本図書,2008
2)文部科学省:「中学校学習指導要領解説理科編」pp62- 63,大日本図書,1998
3)正元和盛・川内淳奈・楠本功一:「シダ植物とコケ植物の 教材化資料を用いた「種子をつくらない植物の仲間」の 授業実践」,熊本大学教育実践研究,第26号,pp97-109,
2009.
4)新井直志:「「シダ植物」の観察」,理科の教育,VOL52,
No.683,ppS4-57,2009.5)「新観察・実験大辞典」編集委員会:「新観察・実験大辞 典[生物編]①植物」,pp60-61,東京書籍,2002.
6)百瀬静男:「日本産シダの前葉体」pp」0-15,pp70-72,
pp123-l25,pp363-365,pp、498-499,東京大学出版会,
1967.
7)東京大学教養学部基礎生命科学実験編集委員会:「基礎生 命科学実験」,ppl96-197,東京大学出版会,2007.
8)川越靖子:「胞子植物などを用いた水と植物の教材化」,
平成21年度熊本大学教育学部卒業論文,2009.
9)福原達人:「福原のページ(植物形態学・生物画像集な (2)シダ植物の学習について
第1学年の「植物の仲間」の単元で,シダ植物を初 めて学習することになる.ここでは,シダ植物がどん な植物か知ってもらうために,根,茎,葉の区別があ ること,維管束があること,胞子でふえることなど,
シダ植物の体のつくりについて学習する.資料4に,
シダ植物を用いた学習指導案の例を載せる.シダ植物 の生活環は「理科学習資料」には載っているが,前葉 体の培養を行っている例は見当たらない.また,今回 作成した学習指導例ではコケ植物も取り扱った例を示 している.コケ植物に根,茎,葉の区別がないことや,
維管束がないことについて,どのように示すかが今後
の課題である. ど),植物形態学,狭義のシダ(1)ホシダ」,
http:"www・fUkuoka-edu・acjp/~fUkuhara/keitai/shida・html
資料l身近なシダ植物の胞子嚢と胞子
①四
アマクサシダスギナカニクサホシダイヌヮラピ
鱸
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64 正元和盛・川越靖子・)||内淳奈
資料3
アマクサシダ資料3弓A身近なシダ植物の前葉体の培養
ホシダイヌワラビ スギナ カニクサ
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資料3-B維管束の観察(シダ植物)
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身近なシダ植物の教材資料作成
65種子をつくらない植物の仲間学習指導案 資料4 1.単元について
平成20年度の学習指導要領の改訂により,「植物の仲間」の単元に,「種子をつくらない植物」が加わ った.ここでは,シダ植物やコケ植物の観察を行い,これらと種子植物の違いを知ることを目的としてい る.具体的には,維管束(シダ植物は葉,茎,根の区別があり,維管束があるが,コケ植物には葉,茎,
根の区別も維管束もない)や,胞子(シダ植物やコケ植物は種子をつくらず胞子をつくる)の観察を行う.
これらの観察学習を通して,植物全体への理解を育てたい.
2.学習のねらいと流れ
目標○シダ植物やコケ植物の観察を行い,これらと種子植物の違いを知る
○シダ植物やコケ植物は種子をつくらず胞子をつくることを知る.
準備く植物素材>ホシダまたはイヌワラピ
<器具等>スコップ,ルーペ,顕微鏡スライドガラス,カバーガラス,カミソリ,時計Ⅲピンセット,柄つき針 展開第一時
配当学習活動 指導・支援 備考
055555511 れすとえと区
⑩つ②介 13くく 5⑲くる の物せい
⑤種引 ⑥
く 17シダ植物やコケ植物ってどんな植物だろう?
シダ植物やコケ植物を観察して,種子植物との共通点・相違点を見つけよう.
シダ植物
.
ケ植物
●
●
●
●
(共通点)葉,茎,根の区別がある.
(相違点)胞子がつく.
(相違点)葉,茎,根の区BIがない.
(相違点)胞子がつく.
● 写真や実物
・スコツプ
・ワークシート
・ノレーハミ
66
正元和盛・川越靖子・川内淳奈
資料4 展開第二時
配当学習活動 指導・支援 備考
00055211
(1)前回学習したシダ植物やコケ植 物と種子植物との違いを思い出す.
(2)
(3)
い‘
て
(4) 葉
(5)
シダ植物●● (共通点)葉,茎,根の区別がある.
(相違点)胞子がつく.
コケ植物:(相違点)葉,茎,根の区別がない
(相違点)胞子がつく シダ植物やコケ植物の体のつくりをもっと詳しく見てみよう.
シダ植物と種子植物の共通点シダ植物と種子植物の相違点
●
葉,茎,根の区別がある.・胞子がつく.
・維管束がある.
コケ植物と種子植物の相違点
●
葉,茎,根の区別がない
・維管束がない.
・胞子がつく.
シダ植物は胞子でふえる.胞子は発芽して前葉体になる.
受精してさらに成長すると,胞子体ができる.
● 切片観察に使用す るシダ植物
・切片プレパラート
●顕微鏡
・ワークシート
●映像資料