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チペワイアンのトナカイ狩猟活動系 : 生態人類学 的視点から

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チペワイアンのトナカイ狩猟活動系 : 生態人類学 的視点から

著者 煎本 孝

雑誌名 国立民族学博物館研究報告

巻 5

号 3

ページ 642‑666

発行年 1981‑01‑20

URL http://doi.org/10.15021/00004514

(2)

チ ペ ワ イ ア ン の トナ カ イ狩 猟 活 動 系 生態人類学的視点か ら一

孝*

An Ecological Approach to the Chipewyan Caribou Hunting System

Takashi IRIMOTO

Field study in ecological anthropology was done among the Caribou-Eater Chipewyan of northern Saskatchewan, Canada.

Direct observation active participation was the methodology used for recording and analyzing their caribou hunting system. The subsistence activities of the Chipewyan are classified in this article and are recorded in terms of time-space use and• participant involvement. The five major categories of activities are :Food getting (FGA), food processing (FPA), sheltering (SHA), hide preparation (HPA) and manufacturing (MA). The three principles for structuring systems of activities on the basis of individual variations, particularly age and sex, are : temporal sequence of activities, allocation and combination of activities. The various categories of Chipewyan subsistence activities are organized into a system of activities, called here the Chipewyan caribou hunting system.

1.序  論

皿,研 究対 象 と調査 方 法 皿.チ ペ ワ イ ア ンの生 業 活 動  1.季 節的 移住 の型 と年 間活 動 空 間

2.生 業活 動 の分 類    (i}食 物 獲 得活 動    ㈹   食物 加 工活 動    ㈹  住 居 設 営 活動

    励   毛皮 加 工 活 動     (v)道 具製 作 活 動

  3.生 業活 動 の時 間一 空 間 利用 ・ W.チ ペ ワイ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動 系   1.活 動 の時 系 列

  2.活 動 の配 分 と活 動 の重 積   3.  トナ カ イ狩 猟 活 動 系

V.結

*国 立民族学博物館第1研 究部

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煎 本    チ ペ ワ イ ア ンの トナ カイ狩 猟 活 動 系

1.序

  Julian  steward[1955]の 多 系 進 化 に 関 す る先 駆 的 研 究 以 来㌧ 文 化 生 態 学 は 人 類 学 に お け る 一 分 野 と して 広 く認 め られ る に 至 っ た 。 しか し,こ の 分 野 に お け る 最 近 の 研 究 で は,む し ろ 生 物 学 を 重 視 す る傾 向 が あ り[RAPPAPoRT  1956,1967・; VAyDA  and RAPPAPoRT  l968],こ れ はStewardが 文 化 を 強 調 し た の と拮 抗 す る か に 見 え る。

現 在,文 化 生 態 学 の 分 野 に お い て,こ の 両 者 の 研 究 理 論 は 対 立 し な が ら,狩 猟 採 集 民 の 研 究 手 段 と して 用 い られ て い る と い う 状 態 で あ る[DAMAs(ed.)  1969a, ' 1969 b;

LEE  and  DEVoRE(eds.)1968]。

  し か し,ヒ トは 純 粋 に 文 化 的 存 在 で も な け れ ば,逆 に 単 な る 生 物 学 的 有 機 体 で も な い 。 ヒ トは そ の 活 動(Human  activity)を 通 し て,自 然 と の 間 に 相 互 関 係 を 形 成 す る 。

こ の ヒ トの 活 動 に つ い て は,文 化 人 類 学 の 分 野 で も,ま た 自 然 人 類 学 の 分 野 で も,十 分 に は 研 究 さ れ て は い な か っ た よ う に 思 わ れ る 。 こ の 意 味 か ら,人 類 の 生 活,あ る い は 人 類 の 自 然 誌[WATANABE(ed・)1977;伊 谷 ・原 子 編   1977]は,生 態 人 類 学 的 視 点 か ら の 研 究 対 象 と な る 。 著 者 は こ れ ら の 研 究 を ふ ま え な が ら,生 態 人 類 学 を 自 然 と 人 間 と の 関 係 の 研 究 と広 義 に 定 義 す る 。 そ こで は ヒ トの 活 動 に 焦 点 を あ て,ヒ トと 自 然 と の 間 の 全 体 的 関 係 を 体 系(System)と し て 捉 え る 。

  こ の 生 態 人 類 学 的 視 点 か らの ヒ トの 生 活 の 研 究 に お い て,従 来 見 落 さ れ て い た 重 要 な 研 究 対 象 は,人 々 の 日 々 の 活 動 で一あ る 。 長 期 間 に わ た る 野 外 調 査 に 基 づ い た 活 動 の 量 的 記 録 は ヒ ト の 活 動 の 体 系(活 動 系)を 明 ら か に す る た め 必 須 で あ る[IRIMOTO 1973,1977a,1977b,1977c,1977d]。 さ ら に,ヒ トの 活 動 系 の 研 究 に お い て は,個 と 集 団 と の 関 係 を ヒ トの 個 体 差 と い う点 か ら検 討 す る必 要 が あ る 。 ヒ トの 生 物 学 的 特 性 に 基 づ く 個 体 差 の 中 で も,性 差 ・年 令 差 は 基 本 的 な も の で あ る[YAPE  and BouRNE (eds・)1957]。 生 業 活 動 に お け る 個 体 差 に 基 づ く技 術 や 技 量 の 差 は,分 業 や 集 団 構 成 の 要 因 と 成 り得 る 。 分 業 の 問 題 は,従 来 か ら社 会 的,経 済 的 問 題 と し て 取 り上 げ られ て 来 て い た[DuRKHEIM  l 933;CHAPPLE  and  CooN  1947;HERsKovlTs  1952]

が,生 態 人 類 学 的 視 点 か ら は,分 業 を 個 体 差 に よ る 活 動 の 配 分 の 問 題 と し て 捉 え る こ と が で き る 。

  以 上 の よ う な 観 点 か ら,こ の 論 文 で は チ ペ ワ イ ア ン(Chipewyan)の トナ カ イ 狩 猟 活 動 を 中 心 と す る 諸 活 動 の 体 系 の 記 載,分 析 を 行 な う。

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豆.研 究 対 象 と調 査 方法

  新 大 陸 の 北 方 ア サ パ ス カ ン ・イ ンデ ィ ア ンに 属 す る チ ペ ワ イ ア ン の 研 究 に つ い て は, 既 に 著 者 に よ る 若 千 の 報 告 が あ る[IRIMoTo  1977e,1979a,1979b,1980]。 彼 等 は, カ ナ ダ 亜 北 極 圏 の 針 葉 樹 林 帯(タ イ ガ)に お け る大 形 獣 狩 猟 民 で,特 に 北 米 産 トナ カ イ(Rangzfer  articztS)を,生 活 の 基 盤 と して い る 。 彼 等 は 現 在,著 者 が レ31と 名 付 け る 居 住 地 一 こ こ に は 毛 皮 交 易 所,小 学 校,教 会,医 療 施 設 が あ る    を 季 節 的 移 住 の 根 拠 地 と し て 各 季 節 ご と に 森 林 の 中 の 野 営 生 活 を 送 る 。

  調 査 地 は 盾 状 地(Pre‑Cambrian  Shield)に 位 置 し,植 生 は 針 葉 樹 林 帯(タ イ ガ)と 凍 土 帯(ッ ン ド ラ)と の 間 の 生 態 的 移 行 帯 に あ た る 。 動 物 相 の 特 徴 と し て,夏 に は 凍 土 帯 へ,冬 に は 森 林 帯 へ と 季 節 移 動 を 行 な う トナ カ イ が あ げ られ る 。

  カ ナ ダ 政 府 イ ン デ ィ ア ン局 は,1975年 に お い て,292名 の 登 録 イ ンデ ィ ア ンを 居 住 地Ll‑31に 認 め る 。 しか し,こ こ に は さ ら に イ ンデ ィ ア ン 条 例 の 適 用 を 受 け な い57 名 の チ ペ ワ ィ ア ン が 居 住 して お り,彼 等 は 民 族 的 に は チ ペ ワ ィ ア ンで あ る が,行 政 的 に は イ ンデ ィ ア ン と し て の 条 約 的 地 位 を 持 た な い 。 し か し,こ の 論 文 に お い て は チ ペ ワ イ ア ン と い う 用 語 を 登 録 イ ンデ ィ ア ン,非 登 録 イ ン デ ィ ア ン両 者 を 含 め た 民 族 的 集 団 と し て 用 い る こ と に す る 。

  著 者 は,1973年12月 か ら1974年1月 に か け て の 予 備 調 査,1975年7月 か ら1976年10 月 に お け る 集 中 的 な 生 態 人 類 学 的 調 査 研 究 を 行 な った 。 調 査 期 間 は,15カ 月 間 で あ る。

こ の 間,L‑31居 住 地 に お け る 全 般 的 資 料 収 集 を 行 な い,そ の 後,実 際 の 狩 猟 活 動 を は じめ とす る 生 業 活 動 に 参 加 す る た め 季 節 的 野 営 生 活 を 彼 等 と共 に し た 。 こ こ で は, 個 体 追 跡 方 法,直 接 観 察 方 法 に 基 づ き,チ ペ ワ イ ア ンの 活 動 の 記 載,分 析 を 行 な っ た 。

皿.チ ペ ワ イ ア ン の 生 業 活 動

  居 住 地L‑31に お け る チ ペ ワ ィア ン に と って,こ の 居 住 地 は季 節 的移 住 にお け る 根 拠 地 とな る 。森 林 の 中の 野 営地 は,各 季 節 ご と にそれ ぞれ の生 業 活 動 を行 な うた め に設 営 され る 。夏 と冬 の野 営 地 は,二 つ の主 要 な 季節 的 野 営 地 で あ るが,前 者 にお い て は漁撈 活 動,ま た後 者 にお い て は トナ カ イ狩 猟 活動 と罠 猟 が 主 と して行 な われ る。

さ らに,期 間 は 短 い が,秋 の 野 営地 が冬 の 野営 地 の近 くに設 営 され,こ こで は漁撈 活 動 と小 形 動物 の狩 猟 活 動 が 行 な わ れ る 。 ま た,春 の 野営 地 は,罠 猟 と漁撈 活動 のた め

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煎本    チ ペ ワイ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動 系

に設 営 され る。以 下,チ ペ ワ イア ンの 生業 活 動 と季 節 的 移 住 につ い て記 載 す る。

1.季 節 的 移 住 の 型 と年 間 活 動 空 間

  チ ペ ワ イア ンの 季節 的移 住 を図1に 示 した 。彼 等 は年 間 少 な くと も3回 は,居 住 地 レ31に 戻 る。 それ らは降 誕祭(及 び新 年),復 活 祭,そ して イ ンデ ィア ン条 約 日で あ る。 降 誕 祭,復 活祭 に お いて は,ロ ー マ ・カ ト リック教 会 にお い て ミサ が あ り,'イ ンデ ィア ン条 約 日 には,政 府 イ ンデ ィア ン局 に よ る条 約金 の交 付 が行 な わ れ る。 ま た, 居住 地 に あ る毛 皮 交 易 所 で,チ ペ ワィ デ ンは 毛 皮 を売 り,季 節 的 野 営 生 活 に必 要 な物 資 を購 入 す る。

  図1に お い て,ト ナ カ イの 季 節移 動 を チ ペ ワ イ ア ンの 季 節 移 動 の上 に合 わ せ 示 した が,冬 期,こ の両 者 が重 な り合 う。 トナ カ イ の南 下 に合 わ せ て,逆 に チ ペ ワ イア ンが 北 上 す るの で あ る。 しか し,夏 期,彼 等 は 食 料源 を魚 と オ オ シ カ(Alces atces)に 依 存 す る。 商 業 的漁撈 活 動 は6月 か ら9月 にか け て 行 な わ れ るが,漁 獲 物 は居 住 地L‑31

に あ る魚 切 り身製 造 工 場 に運 ば れ るた め,夏 の 野 営地 は居 住 地 まで1日 以 内 の距 離 に 位 置す る。 居 住地 に お いて は定 住 化 の 傾 向 が観 察 され る が,小 学校 制 度 は そ の要 因 の 一 つ で あ る。冬期間,居 住地 において賃金労働の機会 は稀 であるが,政 府 による生活 保護,養 老 年 金 な どの経 済 的 援 助 が あ る。 学 校 制度,賃 金 労 働,そ の 他 の現 金 収 入 は, 彼 等 が居 住 地 に定 住 す る傾 向 の原 因 に な って い る。

図1  チペ ワイ ア ンの 季節 的 移 住型 。実 線 は 犬 ゾ リに よ る移 動,      破 線 は カ ヌ ー によ る移 動 を示 す

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 従 って,今 日の 居住 地 に お け る チペ ワイ ァ ンの季 節 的 移 住 は,森 林 の生 活 と居 住 地 の生 活 とい う両 極 の 間 に あ る。 居 住 地 の生 活 は そ こに多 くの 人 々が 集合 して い る故 に, 自然 的,超 自然 的 敵 に 対す る安 全 地 を 確 保 し,ま た食 料 不 足 の 際 の 分 配参 加 を可能 に す る。 しか し,他 方 で,居 住地 の経 済 は恒 常 的基 盤 を持 つ 食 料 生 産 に 支 え られ て はお らず,同 一 場 所 にお け る長 期 間 の定 住 は困 難 とな って い る。 従 って,定 住 は結 果 的 に 彼等 の間 に敵 対 的 な 関係 を生 じさせ る。 こ う して一 部 の チ ペ ワ イア ンは,森 の 中 の よ り静 粛 な生 活 を 求 め る。 トナ カ イ の群 れ が到 来 す れ ば 多量 の 肉を 得 る こ とが で き る。

森 の 中 で の活 動 は厳 しい が,居 住 地 に お け る人 間 関係 上 の闘 争 を 避 け る こと がで き る。

こ う して,そ れ ぞ れ の チ ペ ワイ ア ンは,経 済 的,社 会 的要 因 に基 づ き,各 々の季 節 に お け る季節 的移 住 の 型 を 決 定 す る。

 年 間 活 動空 間 とは,彼 等 が季 節 的 移 住 生 活 を 行 な うに際 して 利 用 す るすべ て の空 間 で あ る。 活 動空 間 とい う概 念 は他 の集 団 に よ る侵 略 に対 して 防 禦 す る必要 の あ る縄 張 りや 所有 権 の あ る土 地 とい う意 味 を含 ま な い。 居 住 地 レ31の チ ペ ワィ ア ンは 何 ら の 政 治 的 単位 を も形 成 して お らず,こ の居 住 地 は あ る一 定 場 所 に お け る人 々の集 合 で あ るに す ぎな い。

  さて,年 間 活 動 空 間 を 明 らか にす る に あた り,Saskatchewan州 政 府 に よ る ピー一バ 統 計 調 査,及 び,著 者 に よ り得 られ た 彼等 の季 節 的 活 動 に実 際 に利 用 され る空間 に 関 す る情 報 が 用 い られ た。 前 者 の 資 料 は,ビ ーバ の罠 猟 の 際 の獲 得 数 の制 限 枠 を決 め る た め に,州 政府 が チ ペ ワイ ア ンの 情 報 に 基づ いて 地 図 上 に ビーバ の巣 の地 点 を記 入 し た もので あ り,こ の地 域 は彼 等 が 罠 猟 を 通 して渉 猟 して い る範 囲 を示 す 間 接 的 資 料 に な る。 罠 猟 活 動 に つ い て は,州 政 府 に よ り区域 の規 制 が 設 け られ て い る。 しか し,彼 等 が実 際 に罠 猟 に 利 用 して い る空 間 は この規 制 区域 を越 え る。

 漁撈 活動,狩 猟 活 動 に利用 され る地 域 につ い て は規 制 は な く,彼 等 の活 動 空 間 は罠 猟 の た め の規 制 区 域 の外 に広 が って い る。 例 え ば,ト ナ カ イ狩 猟 活動 につ い て 見 れ ば, 彼等 は トナ カ イの 行 く所 に行 って そ れ を 狩 るの で あ る と い う考 え を持 ち,実 際 そ の活 動 空 間 は,Northwest準 州,あ る いは, Manitoba州 に まで 及 ぶ ことが あ る。 これ ら, 罠 猟 活 動,漁撈 活 動,狩 猟 活 動 に利 用 され る地 域 を 総合 して,年 間 の チ ペ ワイ ア ンの 活 動 空 間 とす る と,そ れ はNorthwest準 州 とManitoba州 を境 界 とす るSaskatc・

hewan州 北 東 部 とな り(1975‑1976年 にお い て,ト ナ カ イ の群 れ はSaskatchewan州 北 部 に 到 来 し,チ ペ ワ イ ア ンは 州 外 に まで 出 る必 要 が な か った),総 面 積 は,26,900 km2と な る。 従 って,年 間 活 動 空間 に お け るチ ペ ワイ ンア の人 口密度 は,0,013人/

km2と な る。

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煎 本  チペ ワイ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動系

 活 動 空 間 の季 節変 化 は 季節 ご との生 業活 動 の種 類 と関係 が あ る。 夏 期 の漁撈 活 動 に お い て,彼 等 は この地 域 に あ る大 きな 湖 と,そ こか ら流 出 す る川 を利 用 し,こ の 空 間 面 積 は,4,700km2で あ り,年 間 活 動空 間(冬 期 の 活 動空 間)の17.5%を 占め る。 冬 期 の 活 動空 間が 夏 期 の 活 動空 間 に く らべ て拡 大 す る のは,罠 猟,狩 猟 にお い て,湖 の 外 に 広 が る森 林 地 帯 が 利 用 され るか らで あ る 。各 季 節 ご との 野 営地 を 中心 とす る活 動 空 間 に つ い て は,活 動 の 種類 別,活 動 者 別 に,直 接 観 察 に基 づ い た資 料 に よ り後 に詳 細 に述 べ る こと にす る。

2.生 業 活 動 の 分 類

  チ ペ ワ イ ア ン の 生 業 活 動 の 分 類 は,実 際 の 活 動 の 観 察 に 基 づ い た 人 類 学 徒 の 分 析 的 概 念 で あ る 。 今 回 の 調 査 に お い て 以 下 の 諸 活 動 が 観 察 さ れ た 。 即 ち,食 物 獲 得 活 動, 食 物 加 工 活 動,食 物 消 費 活 動,住 居 設 営 活 動,毛 皮 加 工 活 動,道 具 製 作 活 動,探 査 活 動,育 児 活 動,儀 礼 活 動,遊 戯 活 動,睡 眠 お よ び 休 息 で あ る 。 これ ら諸 活 動 の う ち, 以 下 の 活 動 が チ ペ ワ イ ア ン の トナ カ イ 狩 猟 活 動 系 の 構 成 に 直 接 関 わ り 合 っ て お り, 従 っ て こ の 論 文 で は 特 に 詳 細 に 記 載,分 析 さ れ る 。 これ らは,食 物 獲 得 活 動(Food getting acti>ity:FGA),食 物 加 工 活 動(Food  processing  activity:FPA),住 居 設 営 活 動(Sheltering  activity:SHA),毛 皮 加 工 活 動(Hide  preparing  activity:HPA), 道 具 製 作 活 動(Manufacturing  activity:MA)で あ る。

(i)食 物 獲 得 活 動(FGA)

  食 物 を 獲 得 す る活 動 に は,狩 猟 活 動,罠 猟 活 動,採 集 活 動,漁撈 活 動 が 含 ま れ る。

狩 猟 活 動 は,徒 歩 あ るい は カ ヌー に よ る無 積 雪 期 狩 猟 と,カ ン ジキ(Snowshoes)あ るい は犬 ゾ リを使 用 す る積 雪 期 狩 猟 に 分 類で き る。 同 様 に,漁撈 活 動 も,異 な る季節 に よ る異 な る技 術 の 使 用 とい う観 点 か ら,夏 期 の水 面漁撈 と冬 期 の氷 下漁撈 と に分 類 で き る。

  無 積 雪期 狩 猟 は,積 雪 の な い地 上 を 徒 歩 に よ り行 な う狩 猟活 動 で あ るが,水 上 輸 送 手 段 と して カ ヌ ーが しば しば用 い られ る。他 方,積 雪 期 狩 猟 は カ ン ジキを 使 用 す る と い う こ とが特 徴 で あ り,こ の 時,輸 送 手 段 と して犬 ゾ リが 用 い られ る こと が あ る。 ト ナ カイ 狩 猟 活 動 は こ の積 雪 期狩 猟 活 動 の 一 つ と して最 も重 要 な もの で あ る 。

  狩 猟 活 動 は,戦 略 と しての狩 猟 方 法 と い う観 点 か らみ る と,粗 放 的 狩猟 方法 と集 中 的狩 猟 方 法 に分 け る こ とが で き る。 トナ カ イ狩 猟 活 動 に関 して い え ば,前 者 は 積 雪 の まだ 深 くな い 冬 の前 半,ト ナ カイ の群 れ が針 葉 樹 林 帯 を南 下 して い る時 に行 な わ れ る

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方 法 で あ る。 この 時期,ト ナ カ イの 群 れ の 移動 速 度 は 速 く,ま た,群 れの大 きさ も比 較 的大 きい(1975年 冬期 に お け る著 者 の 観 察 に よ る と,10頭 か ら100頭 の 群 れ に な っ

て い る)。 チ ペ ワイ ア ンは,犬 ゾ リの 使 用 に よ り,広 範 囲 に わ た り トナ カ イの 群 れ を 捜 索 す る。 トナ カ イ の群 れ の存 在 は 雪 上 の 足跡 に よ り確 認 す る ことが で き るが,ト ナ カ イ の移 動 速 度 が 速 い た め,チ ペ ワ イア ンは特 定 の群 れ を 森林 の 中 に追 跡 す る こ とは しな い。 彼 等 は逆 に,開 けた場 所 で トナ カ イの 群 れ に遭 遇 す る機 会 を狙 うので あ る。

この 時期 は,森 林 の 中 の 湖 や川 は既 に結 氷 して お り,雪 に覆 わ れ て い る。 トナ カ イの 群 れ は移 動 に際 して この 開 けた場 所 を通 過 し,ま た夜 間 は湖 上 に出 て 眠 る。

  トナカ イ の群 れ を 発 見 す る と,チ ペ ワ ィ ア ンは 射程 距 離 内 に接 近 す る。 森 にか くれ て 湖 上 の トナ カ イが 近 づ くの を 待 ち伏 せ す る こ と もあ る 。犬 ゾ リを 繋 ぎ,狩 人 だ けが 森 の 中 を通 って,湖 上 の トナ カ イ に近 づ くこ と もあ る。 射 撃 は,.30‑.30大 口径 小 銃 で 行 な わ れ る が,.22小 口径 小 銃 も使 用 され る こ とが あ る。 トナ カ イの群 れ は即 座 に は逃 避 しな い。 逆 に,雪 上 にそ の ま ま立 ち,狩 人 の 方 を 見 て い るだ けで あ る。 や がて, 次 々 に トナ カイ が倒 れ る とは じめ て,残 りの群 れ は森 林 の 中 に逃 げ入 ろ う とす る。狩 人 は トナカ イ の逃 げ る方 向 に犬 ゾ リを走 らせ 追 撃 を 行 な う。従 って,ト ナ カ イ狩 猟 活 動 それ 自体 は 困難 で は ない 。 しか し,ト ナ カ イの 群 れ と遭遇 す る の は機 会 に頼 らざ る を得 な い ので あ る。

  以 上 の こ とか ら,粗 放 的 狩 猟 方 法 の戦 略 は,ト ナカ イ を発 見 す る機 会 を 増加 させ る た め に犬 ゾ リの使 用 に よ り広 範 囲を 覆 う こ とで あ る と考 え る こ とが で き る。 さ ら に, 実 際 の活 動 の記 録 に よ る と,こ の方 法 に よ る狩 猟 活 動 は 罠 猟 活 動 と組 み合 わ され る こ と が多 い。 これ は,食 物 獲 得 の予 測 が 困 難 で あ る粗 放 的 方 法 に よ る狩 猟 活 動 と活 動 自 体 が 安定 して い る罠 猟 とを組 み合 わせ る こ とに よ り,活 動 全 体 と して の結 果 で あ る生 産 を保 証 しよ うとす る もの と考 え られ る。 な お,こ の現 象 は活 動 の 重 積 と して 捉 え ら れ るが,こ れ につ いて は後 に詳 し く述 べ る。

  粗 放 的 狩猟 方 法 とは 対 照 的 に,集 中的 狩 猟 方 法 は特 に冬 の後 半 に行 な わ れ る。1月 か ら3月 に か け て,ト ナ カ イ は小 さ な群 れ にな って森 林 の 中 に散 在 す る。森 林 の深 い 積 雪 は トナ カ イ の行 動 域 を規 制 す る。 森 林 帯 の雪 は,凍 土 帯 の硬 い雪 と異 な って軟 ら か く トナカ イ は 雪 に沈 み,そ こで の移 動 が 困難 にな るか らで あ る。 しか し狩人 は,カ

ン ジキ(Snowshoes)を 使 用 す る こ と に よ り 雪 面 上 の歩 行 が 可 能 で あ り,ト ナ カ イ に 時 には 数 メー トル の至 近 距 離 に まで 接近 す る ことが で き るの で あ る。 チペ ワイ ア ンは トナ カ イ の足 跡 を 見 つ け る と,そ の特 定 の群 れを 森 林 の 中 に ま で集 中的 に追 跡 し,殺 す 。積 雪 は トナ カ イの 行 動 に お い て負 の要 因 とな るが,カ ンジキ を 履 いた 狩 人 に と っ

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煎 本   チ ペ ワ イ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活動 系

て は,逆 に 正 の 要 因 と な る の で あ る 。

(ii)食 物 加 工 活 動(FPA)

  食 物 加 工 活 動 とは 食物 消 費 に先 立 つ 材 料 の処 理 で あ り,食 物 調 理活 動 と食 物 保 存 活 動 が 含 ま れ る。 食 物 調 理 活 動 とは,毎 日の 食 事 の準 備 で あ り,材 料 の加 工,食 品 の 準 備,後 片 付 けな どで,食 事 に 関す る一 連 の 活 動 で あ る。 これ に 対 して食 物 保 存 活 動 と は,将 来 のた め の 保 存 食料 の製 造 にか か わ る活 動 であ り,乾 燥 ・燃 製 魚 や乾 燥 ・蕉 製 肉 の製 造 が重 要 で あ る。 乾燥 ・憾 製 肉 は,さ らに斧 の 背 を 用 い て石 の上 で粉 砕 し,粉 にす る。 また,ト ナ カ イ の骨 か らの油 の 抽 出,骨 を 破 砕 して 骨髄 を取 り出 して お くこ

とな ど も,食 物 保存 活動 に含 まれ る。

㈹   住 居 設 営 活 動(SHA)

  住 居 設 営 活 動 とは,季 節 的 野営 生 活 にお け る天 幕,丸 木 小 屋 の設 営,維 持 の た め の 活 動 で あ る。 丸 木 小 屋 の設 営 は,秋 期 にお い て特 に重 要 な 活 動 で あ る。 彼 等 は 冬期 間, 帆 布 張 りの 天 幕 だ け で生 活 す る こ と も可能 で あ る が,冬 の 野 営地 に 丸木 小 屋 を 設 営 す る ことが しば しば あ る。 この 際で も,狩 猟,罠 猟 の途 中 で の 野 営 に は天 幕 が 用 い られ る。 不 時 露 営 に お い て は 雪 の上 に大 き な焚 火 が一 晩 中 作 られ,こ の周 りに針 葉 樹 の 枝 や葉 を敷 いて 帆 布 を 被 って 寝 る。 夏 期 にお け る狩 猟 活 動 の 途 中 で は,天 幕 は使 用 さ れ ず,露 営 で あ る。

  住 居 維 持 のた め の 活 動一と は毎 巳 の家 事 活 動 で あ り,こ れ一に は掃 除,洗 濯,水 汲 み, 火 起 こ し,火 の 管 理,犬 の餌 の投 与,薪 の 切 り出 し,薪 割 りな ど が あ る。 特 に冬期 間, 暖房 保 持 の 必 要 性 か ら薪 割 りや火 の管 理 を は じめ とす る家 事 活動 は彼 等 に と って 重要 な活 動 と な るが,後 述 す る よ うにす べ て の家 事 活 動 が 女 性 の仕 事 と な って い るの で は な い。

ttv)毛 皮 加 工 活 動(HPA)

  毛 皮 加 工 活 動 とは,動 物 の 毛皮 を揉 す 活 動 で あ る。鞍 し皮 は種 々 の道 具 を 製 作 す る た め の材 料 と して 用 い られ る こと に な る。毛 皮 加 工 活 動 は 次 に 述 べ る道 具 製 作 活 動 の 一 つ に加 え る こ と も可能 で あ るが,彼 等 の 活動 の 中で 時 間 的,労 力 的 に大 きな 役 割 り を持 つ と考 え られ るの で,こ の論 文 にお い て は独 立 した範疇 を設 け た。 毛 皮 加 工 活動 の特 徴 は,チ ペ ワイ ア ンの諸 活 動 に お いて原 材 料 の獲 得 活 動 か ら道 具 製 作 活 動 に移 行 す る時 間 的 中 間 段 階 を 形成 す るこ と にあ る。

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 原 材 料 と加 工 技 術 に 応 じて,毛 皮 加 工 活 動 は オ オ シカ皮 加 工 活 動,ト ナ カ イ皮 加工 活動,毛 皮 獣 の 皮 加 工活 動 に分 類 され る。 さ らに は じめの 二 つ に 関 して は,時 間 的 順 序 に 従 って,活 動 の 小 分 類 が可 能 で あ る。 即 ち,オ オ シカ皮 加 工 活 動 に お い て は,皮 を 水 に 浸 す こと,毛 の 除 去,木 枠 へ の 皮 張 り,内 皮(脂 肪)の 削 除,外 皮 の 削除,糠

し,蕉 し,柔 軟 化,乾 燥,憾 し(再 度)が 見 られ る。 トナ カ イ皮 加 工 活 動 に お いて は, 内皮,外 皮 の 削 除 の際 に,皮 を張 る木 を 必 要 と しな い。 これ は,ト ナカ イ の皮 の大 き さが オオ シカ よ り も小 さ く,ま た皮 の厚 さ も薄 い た め で あ る。 毛 皮 獣 の 皮 加 工活 動 に お い て は毛 皮 は 鞍 され ず,毛 を 残 した ま ま乾 燥 され 毛 皮 交 易 に供 され る。

(v)道 具 製 作 活 動(MA)

  道 具 類 を 製 作 す る活 動 に は 以 下 の もの が あ る。 皮,帆 布 を材 料 と して の 製 作 活 動 (皮紐,腱 糸,皮 袋,狩 猟 用 袋,犬 ゾ リにつ け る収 納 袋,猟 銃 袋,犬 の 首 輪,手 袋, 燃 し皮 靴,カ ンジキ の皮 紐),羽 を材 料 と して の 製作 活 動(寝 具 の 中 へ の 詰 め物),骨

を材 料 と して の 製 作 活 動(骨 製 削器),ビ ー ズ を材 料 と して の製 作 活 動,木 を材 料 と して の製 作 活 動(戸 外 の棚,韓 し用 テ ン ト,毛 皮 獣 の皮 乾 燥 用 木板,小 犬 の 囲 い,斧 の柄,犬 ゾ リ,カ ン ジキ の木 枠 な ど)。

  以 上,チ ペ ワイ ア ンの生 業活 動 の分 類 につ い て述 べ たが,そ れ ぞ れ の活 動 の時 間 一 空 間 利用 につ い ては 次 に記 載 す る。

3.生 業 活 動 の 時 間 一 空 間 利 用

 生 業 活 動 の年 間 の 時 間 利 用 は,活 動 の季 節 性,あ るい は活 動 の年 周 期 と して捉 え る ことが で き る。 そ こで,生 業 活 動 の季 節 的 変 化 に基 づ い て,一 年 を5期 間 に 区分 す る

(図1下 段 を 参 照)。

 期 間1は10月 一11月 初 旬 であ り,こ れ は夏 に お け る漁撈 活 動 の後,冬 の トナ カイ狩 猟 活 動以 前 の時 期 で あ る。 この 期 間 は,さ らに期 間Iaと 期 間Ibに 分 類 で き る。期 間Iaは,水 面漁撈 活 動 と小 形 動 物 の狩 猟 活 動 に よ り特 徴 づ け られ る。 そ して この 期 間 は,水 面漁 掛 活 動 の 終 了 を もって 終 わ る。 これ に対 して,期 間Ibは 結 氷 期 と重 な り,保 存 食料 へ の依 存 が そ の特 徴 とな る。 ま た,こ の時 期 には 氷下漁撈 の 開 始 が 見 ら れ る。 た だ し,氷 下 漁掛 は期 間Ibの 始 ま り と共 に 開始 され るわ けで は な い。 氷 の 状 態 の不 安 定 な結 氷 期 にお い て は,水 面漁撈,氷 下漁撈 共 に行 な う こ とがで き ない の で あ る。 例 え ば,1975年 冬期 に お け る最 後 の永 面漁 掛 活 動 は11月1日 に観 察 され た が, そ の後 二 日間 は漁撈 活 動 不 可能 で あ り,11月4日 に危 険 な氷 の 状 態 を お して氷 下 に網 650

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煎 本   チ ペ ワ イ ア ンの トナ カ イ狩 猟活 動 系

が設 置 され た。

 期 間 皿は,ト ナ カ イ狩 猟 活 動 の 開始 に よ り始 ま り,こ れ は11月 の一 部 と12月 に あた る。 この 時期,粗 放 的 方 法 に よ る トナ カイ狩 猟 活 動 を は じめ,罠 猟 活動,氷 下漁撈 活 動 が行 なわ れ る。期 間 皿 は1月 か ら3月 で あ り,こ の時 期 の 特 徴 は集 中的 方法 に よ る

トナ カ イ狩 猟 活 動 で あ る。 そ して,氷 下漁撈 活 動 の頻 度 は低 下 す る。

 期 間IVは 冬 か ら夏 へ の移 行 期 の4月 か ら5月 に あ た り,解 氷 期 と重 な る。 この 時期, 既 に トナ カ イの群 れ は北 方 へ 季節 移動 し,森 林 帯 か らは姿 を消 して い る。 しか し,小 さな 川 や湾 が 最 初 に解 氷 し始 め,こ こで水 面漁撈 を行 な うこ とが で きる。 さ ら に,南 方 か らの渡 り鳥 の 狩 猟,小 形 動 物 の罠 猟 や狩 猟 が行 な わ れ る。 また,食 物 保 存 活 動 と して,冬 に獲 った トナ カイ の 肉の 乾 燥 ・燃 製 肉製 造 活 動 が特 徴 的 で あ る。 最 後 に,期 間Vは 夏 に あ た り,6月 か ら9月 で あ る。 この時 期,湖 で の水 面漁撈 活 動 が主 に な る が,同 時 に,食 物 獲 得 活 動 と して オオ シカ の狩 猟 活 動 が 重要 な もので あ る。

  生 業 活動 の空 間 利 用 につ いて は,直 接 観 察,個 体 追跡 方法 に よ り得 られ た資 料 に基 づ い て 分 析 した。 そ の結果,活 動 空 間 は 野 営地 内域,野 営地 近 域,野 営 地外 域 の三 地 帯 に分 割 で きる こと が明 らか に な った 。 野 営地 内域 とは,野 営地 そ の もの で あ り,天 幕,丸 木 小 屋 が 設 営 して あ る森林 の 中 の開 か れ た 場所 で あ る。 野 営地 近 域 とは,地 図 上 で の 直 線 距 離 で 野営 地 か ら約1.0 km以 内の 地 域 で あ り,こ こは 野営 地 の外 で は あ る が,野 営 地 か ら近 距 離 に あ る地 帯 で あ る。 これ に対 して,野 営地 外 域 とは,野 営地 か ら1.0 km以 遠 の 地 帯 で あ る。 以下,そ れ ぞれ の地 域 で行 な われ る活 動 につ い て 記 載 す る。

  野 営地 外 域 で 行 な わ れ る活 動 は,狩 猟 活 動,罠 猟 活 動,漁撈 活 動 で あ る。 期 間1に お け る狩 猟 活 動 は徒 歩 に よる無 積 雪 期 狩猟 で あ った が,活 動 空 間 は50km2で,活 に 利 用 さ れ た最 も遠 い 地点 は 野営 地 の 北10.Okmで あ った 。 また,期 間 皿 に お いて は,犬 ゾ リが交 通 手 段 と して用 い られ,狩 猟 活 動,罠 猟 活 動 が 野 営地 外 域 で行 な われ た が,活 動空 間 は1,200km2に 拡 大 され た 。最 も遠 い 利 用地 点 は野 営地 の西11.Okm, 北 西36.8㎞,北50.5kmで あ った。 この期 間 は粗 放 的 方 法 に よ る トナ カ イ狩 猟活 動

に よ り,彼 等 が 広範 囲 にわ た る活 動空 間 を利 用 す る こと が,明 らか に な った 。   期 間 皿に お いて,活 動 空 間 は 野 営地 の北 西 部 か ら北 東 部 へ と移 行 した 。 これ は,期 間1rに お い て行 な わ れて いた 罠猟 が深 雪 のた め 不 可能 と な り,そ こで利 用 され て い た

野営 地 北 西 部 の 地 域 が利 用 され な くな った こ と,な らび に,ト ナ カイ の群 れ が 野 営地 北西 部 か ら移 動 して,北 東 部 に 出現 した こと に よ るた め で あ る。 この期 間 の活 動 空 間 は400km2で あ った 。 冬 の後 半 の 森 林 地帯 深雪 は,ト ナ カ イ とチ ペ ワイ ア ンの活 動

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空 間 を 制 限 し,期 間 皿 に 比 較 し て 利 用 空 間 の 減 少 が 見 え る 。 こ の 時 期,集 中 的 方 法 に よ る トナ カ イ 狩 猟 活 動 が 行 な わ れ た 。 活 動 の た め の 野 営 用 か ら の 最 遠 距 離 は,北 27.8kmで あ っ た 。

  野 営 地 外 域 で 行 な わ れ る 他 の 活 動 に漁撈 活 動 が あ る 。 期 間Vに お い て チ ペ ワ イ ア ン は 水 面漁撈 活 動 を 行 な う が,そ の 利 用 空 間 は800km2で あ っ た 。 こ の 時 の 最 遠 利 用 地 点 は 野 営 地 の 北 西25.0  km,南 東10.3km,南 西17.8  km,北 西4.8  kmで あ っ た 。

こ の 期 間,彼 等 は オ オ シ カ の 狩 猟 活 動 も 行 な い,野 営 地 外 域 が 利 用 さ れ る 。 しか し, 漁撈 活 動 は,野 営 地 外 域 で 行 な わ れ る だ け で な く,野 営 地 近 域 に お い て も行 な わ れ る 。 た と え ば,期 間Iaに お い て,漁撈 活 動 は 野 営 地 か ら200‑‑1,000mの 距 離 に刺 網 を 設 置 す る こ と に よ り 営 ま れ(図2),ま た,期 間Ib,皿 に お け る氷 下漁撈 活 動 に お い て,野 営 地 と 刺 網 設 置 地 点 と は50‑200  mの 距 離 と な っ て い た(図3)。 期 間 皿 に お い て 氷 下漁撈 が 野 営 地 外 域 で 行 な わ れ る 場 合,刺 網 は 狩 猟 活 動,罠 猟 活 動 の た め に 通 過 す る 地 点 に 設 置 さ れ,狩 猟 活 動 と漁撈 活 動 と の 重 積 を 可 能 に し て い る 。

  罠 猟 活 動 は 野 営 地 外 域 で 行 な わ れ る が,小 規 模 の 罠 猟 は 野 営 地 近 域 に お い て も行 な わ れ る こ と が 観 察 さ れ た 。 こ の 場 合,罠 は 徒 歩 に よ り設 置,点 検 され る 。 期 間Ia,

Ibに お い て,罠 猟 活 動 は し ば し ば 採 集 活 動 と組 み 合 わ さ れ,活 動 空 間 は 野 営 地 近 域

図2  秋期 野 営 地 にお け る野営 地 近 域 の空間 利用(1975年10月9日 一12日)       Hf:狩 猟 活 動(徒 歩/カ ヌー);Fw:水 面漁撈 活 動;

      Kc:住 居 維 持 活 動(ト ウ ヒ小 枝 採 取);Ki:薪 採 取 活動

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煎 本   チ ペ ワ イ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動 系

図3  冬 期 野 営 地 にお け る野営 地 近 域(お よび 野営 地 外 域 の 一部)の 空 間利 用       (1975年10月13日 一12月15日)

      Hf:狩 猟 活 動(徒 歩);且s:狩 猟 活動(カ ン ジキ/犬 ゾ リ);

      T:罠 猟 活 動;G:採 集 活 動;Fi:氷 下漁撈 活 動;Ki:薪 採 取 活 動

に 留 ま る 。 しか し,期 間 皿の よ うに罠 猟 活 動 が狩 猟 活 動 と組 み 合 わ さ れ る と,そ の 活 動 空 間 は 野 営地 外 域 に拡 大 さ れ る。

  野 営 地 近 域 に よ り行 なわ れ る他 の活 動 に は,ト ウ ヒの小 枝 採 取(天 幕 や丸 木 小 屋 に 敷 い て床 にす る),薪 の採 取 が あ る。 これ らは夏 の間,野 営地 の近 くで 行 な わ れ る(図

4)。 冬 の野 営 地 に お け る薪 の採 取 の た め に,チ ペ ワ イ ア ンは300‑500m離 れ た 山 火 事 跡 を 利 用 した。 冬 期 にお け る薪 の確 保 は,暖 房,食 物 加 工 のた め 必須 で あ り,冬 の 野 営 地 の位 置 は,山 火 事 跡 に近 く枯 木 を 確保 し得 る地 点 が選 択 され るので あ る。 毛 皮 加 工 活 動 の 際,毛 皮 を燻す の に用 い られ るカ ラマ ッの枯 木 も,野 営 地近 域 で 採 取 さ れ る。 丸 木 小 屋 や戸 外 の 棚 の 建材 に利 用 され る トウ ヒ も野営 地 近 域 で 伐採 され,野 営 地 に運搬 され る。

  野 営地 内域 は,食 物 加 工 活 動,毛 皮 加 工 活 動,住 居 設 営 活動,道 具 製 作 活動 の た め の利 用 空 間 とな って い る。

  以 上,チ ペ ワイ ア ンの生 業 活 動 の 時間 一 空 間 利 用 に つ い て述 べ た が,こ れ ら諸 活 動 の 間 の全 体 的 関 係,お よ び,そ の構 成 に 関 わ る個 体 の 性 的 一年 令 的 要 因 に つ い て,次 に 検 討 す る。

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図4  夏 期 野 営 地 に お け る野 営地 近 域 の空 間利 用(1975年8.月1日 一3日;

      8月7日 一17日)

        H:狩 猟 活 動(カ ヌ ー)lG:採 集 活 動;Fw:水 面漁撈 活 動;

        Kc:住 居 維 持 活 動(ト ウ ヒ小 枝 採 取);Ki:薪 採 取活 動

IV.チ ペ ワ イ ア ン の ト ナ カ イ 狩 猟 活 動 系

  ヒ トの 活動 は,個 体 の生 物 学 的側 面 と環 境 との 間 の仲 介 項 と して の み な らず,個 体 の 集合 で あ る集 団 と環境 と の間 の総 体 的 関 係 と して の意 味 を 持 つ 。 こ こで は,個 体 の 性 的一 年 令 的要 因 が 如何 な る原 理 に基 づ い て集 団 の活 動 系 の構 成 に 関与 して い るの か につ い て検 討 す る。 チ ペ ワイ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動 系 にお いて,活 動 の 体 系 を構 成 す る原理 と して,「 活動 の 時 系 列」,「活 動 の配 分 」,「活 動 の重 積 」 が 明 らか に さ れ る。

活 動 の 時 系 列 と は,時 間 的連 続 性 に よ る諸 活 動 の相 互 関連 性 で あ り,活 動 の配 分 と は, 諸 活 動 の 各 個体 へ の分 配,活 動 の重 積 とは,一 個体 に お け る異 な る諸 活 動 の時 間 的 一 空 間 的 重 ね合 わせ で あ る。 以 下 に記 載 す る よ うに,活 動 の 時 系 列,活 動 の配 分 と重 積 は,活 動 者 の個 体 差,活 動 の時 間 一 空 間 利 用 と関 わ り合 い なが ら集 団 の活 動 体 系 を 形 成 す る。

1.活 動 の 時 系 列

チ ペ ワイ ア ンの生 業 活動 に お け る分 類 に お い て,食 物 獲得 活動 は時 間 的 順 序 と して

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煎 本   チ ペ ワイ ア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動 系

食 物 加工 活 動 に先 行 す る。 例 え ば,ト ナ カ イ肉 の保 存 活 動 は,ト ナ カ イ狩 猟 活 動 が行 な われ,肉 が 野 営地 に運 び込 ま れ た後 に開 始 され る。 実 際,期 間 皿に お いて トナ カ イ 狩 猟 活 動 が始 ま った後,乾 燥 ・漁 製 肉製 造 活 動 が観 察 され,こ れ は次 の期 間 皿,Nに まで 継 続 的 に見 られ る。 特 に,春 の期 間IVに おい て乾 燥 肉 の製 造 活動 は多 くな るが,

これ は トナ カ イ肉 の 供給 の ない 夏 の期 間Vの た めの保 存 食 製 造 のた め で あ る。 同 様 の 現 象 は乾 燥 ・鷺 製魚 の製 造 に おい て も見 られ る。 この 活 動 は,特 に期 間Iaに 見 られ る が,こ れ は 次 の 期 間Ibに お ける漁撈 活 動 の不 連続 性(結 氷 期 にお け る水 面漁撈, 氷 下漁撈 の 不 安 定性)を 乗 り越 え るた め の戦 略 的 意 味 を 持 つ もの と して考 え る ことが で き る。

  食物 獲 得 活 動 は毛皮 加 工 活動 に先 行 す る。前 者 の 活 動 に よ り,食 物 の み な らず材 料 と して の動 物 の毛 皮 も獲 得 す る ことが で き るか らで あ る。 毛皮 加 工 活 動 の 後,こ こで 製 造 され た靱 し皮 を 用 い て 道具 製 作 活 動 が 行 な われ る。 手 袋,靱 し皮 靴 の製 作 活 動 が 完 了 す ると,次 に ビ ー ズを 用 い て刺 繍 が この 上 に施 され る。

  道 具 製作 活 動 は,さ らに次 の食 物 獲 得 活 動 の た め に行 な われ る もの で あ り,こ の こ とは 食 物獲 得活 動 へ の正 の制御 機 構 と して 考 え る こと がで き る。 例 え ば,期 間1に け る集 中 的 な道 具製 作 活 動 は,期 間 皿,皿 に お け る狩 猟 活 動,罠 猟 活 動 を 目的 と し, 時 間 的 順 序 と して これ に続 いて ゆ くもの で あ る。 この 時期 の道 具 製 作 活 動 に お い て は, 狩 猟 時 の 獲物 や 狩猟 具 の運 搬 袋,犬 ゾ リにつ け る収 納 袋,猟 銃 袋,ソ リ犬 の首 輪,手 袋,靱 し皮 靴 な ど,狩 猟 罠 猟 に必要 な道 具 が 製 作 さ れ る ので あ る。

  毛 皮 加 工 活 動 にお ける 一 連 の諸 活 動 の 時 間的 関連 性 につ いて は,生 業 活 動 の 分 類 の 項 で既 に述 べ た 。 この 毛 皮 加工 活 動 は,原 材料 の毛 皮 を鞍 した段 階 で 工 程 を 一 時 休 止 し,完 成 して い な い靱 し皮 を保 存 して お く こと も可能 で あ る。 例 え ば,1975‑76年 冬 に お け る トナ カ イ毛 皮 加 工 活動 に おい て,前 年 の冬 に靱 され て い た皮 が まず 取 り出 され,水 に浸 して 洗 わ れ,乾 燥 され,蕉 され る とい う工 程 を経 て,完 成 され た鞍 し皮 と され た。 そ して,こ れ が 前 述 した狩 猟 活 動 の た めの 道 具 製 作活 動 に用 い られ た の で あ る。 しか し,期 間 皿の 最 初 の トナ カ イ狩 猟 の 成功 後,新 し く獲 得 され た トナ カ イ皮 が その 材料 に な って,毛 皮 加工 活動 が行 な われ る ことが 観 察 され た。

  以 上 述 べ た よ うに,チ ペ ワイ ア ンの生 業 活 動 の分 類 に関 して い え ば,活 動 の時 系 列 は,食 物 獲 得 活 動 か ら食 物 加 工 活 動 へ,食 物(材 料)獲 得 活 動 か ら毛 皮 加 工 活動 と道 具 製 作 活 動 へ,さ らに道 具 製 作 活 動 か ら再 び食 物 獲得 活動 へ と続 い て い る こ とが 明 ら か に され た 。 次 に,こ の時 系 列 に沿 って,諸 活 動 が 如 何 に活 動 者 個 体 に 配 分,重 積 さ れ るの か につ い て 述 べ る。

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2.活 動 の 配 分 と活 動 の 重 積

  個 体 別 の 活 動 時 間 を 表1に 示 した 。 調 査 期 間 は1975年10月10日 か ら12月15日 ま で の 計68日 間 で あ り,こ れ は 期 間Ia,  Ib,皿 に 相 当 す る 。 調 査 対 象 は 冬 の 野 営 地 に お け る 総 成 員9名 で あ る 。 彼 等 に 関 して 食 物 獲 得 活 動(狩 猟 活 動,罠 猟 活 動,採 集 活 動,

漁撈 活 動),食 物 加 工 活 動,毛 皮 加 工 活 動,道 具 製 作 活 動 に お け る 時 間 利 用 が 個 体 別 に 記 録 さ れ た 。

  個 体101か ら 個 体105ま で は,Domestic  unit  Z‑101の 構 成 員 で あ る 。  Domestic unitと は 生 産 と生 殖 に お け る 基 本 単 位 で あ り,チ ペ ワ イ ァ ン のDomestic  ullitに い て は 種 々 の 親 族 構 成 が 見 出 さ れ る が,基 本 家 族(父 母 と そ の 子 供 た ち)が 基 礎 に な っ て い る 。 こ のDomestic  unitが 双 系 的 に 結 合 し て 形 成 さ れ たHunting  unit [c£ SHARp1973:151・‑163]は 異 な る 段 階 に お け る生 産 の た め の 共 同 単 位 に な っ て い る 。 Domcstic  unitお よ びHunting  unitと い う 生 業 単 位 と チ ペ ワ イ ア ンの 親 族 体 系 と の 関 係 に つ い て は,別 稿 で 詳 し く述 べ ら れ て い る[IRIMoTo  l979b:133‑206]。 個 体 101は 男 性 で あ り,1975年 に お い て 年 令71歳,個 体102は そ の 妻 で 年 令71歳,個 体103 は 養 子 で も と も と は 個 体102の 娘 の 息 子 で あ り年 令15歳,個 体104も 養 子 で あ り,も も と は 個 体102の 息 子 の 息 子 で あ る が,同 時 に 後 に 述 べ る 個 体301の 息 子 で あ り 年 令6 歳 で あ る 。 個 体105はDomestic  unit Z‑104の 成 員 で あ る が,当 野 営 地 に 滞 在 して い る 時 に はDomestic  unit Z‑101の 成 員 と し て そ の 経 済 活 動 に 参 加 して い る 。 彼 は 個 体102の 娘 の 息 子 で あ り,同 時 に 個 体103の 兄 と な っ て お り年 令17歳 で あ る 。 個 体201 はDomestic  unit Z‑102に 属 す る 男 性 で あ り年 令30歳 で あ る が,こ のDomestic  unit の 残 り の 成 員(妻,二 人 の 息 子,一 人 の 娘)は,こ の 野 営 地 で 生 活 を 共 に し て い な い 。 個 体201の 妻 は 個 体102の 養 女 で あ り,そ の 結 果,個 体102は 個 体201の 妻 の 養 母 と な

表1個 体 別 の 活 動 利 用 時 間     (1975年10月10日 一12月15日) 個体番号

活 動

HTA GA FA FPA HPA MA-1 MA-2

101102103104105201301302303x

226.0    4.0  174.0   ‑   4.5  2.5   7.0    1.0    7.5   ‑  39.0    ‑   2.0   44.0     ‑   ‑  41.0    ‑ 26.5    3.0   15.0

2.5

55.5225.0278●5

      2.5 13.5  23.5   8.0   ‑    3.0   77.0   ‑    2.0   54.0 1.5  12.5  66.0 8,0  .2◎.5   5.0

2.5 9.5

18.5

972.5 14.5 79.0 119.0 102.0 121.0 78.0

261.5  136.5  199.0 265  55.5248。034060212.5   2.5  28.0

1486.0

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煎本  チペワイアンの トナカイ狩猟活動系

って い る。 個 体301はDomestic  unit Z‑103に 属 す る男 性 で 年 令36歳 。 彼 は同 時 に個 体102の 息 子 で あ り,ま た個 体101は 彼 の義 父 に な って い る(個 体102の 前 夫 は 死 亡 し, 彼 女 は個 体101と 再 婚)。 個 体302は 彼 の妻 で 年 令24歳 で あ る。 個 体303は 彼等 の 娘 で あ り年 令4歳 。 な お 前述 した が,彼 等 の第 一 子 で あ る個 体104はDomestic  unit Z‑101 の養 子 とな って い る。

  冬 の 野営 地 にお い て 三 つ のDomestic  unit,計9名 の 構 成 員 が 生 活 を営 ん で い た が, 個 体 の 性差 に基 づ く活 動 の 配分 に関 し,表1の 結 果 か ら次 の 事 が 明 らか にな った 。狩 猟 活 動,罠 猟 活 動 は男 性優 占 的活 動 で あ る。 しか し,毘 猟 活 動 に お い て は女 性 が これ を 行 な う こと も観 察 され,こ の際,罠 猟 活 動 は採 集 活 動 と重 積 され て い る。 一 方,採 集 活 動 は女 性 優 占的 活 動 で あ る が,男 性 も これ を行 な う。漁撈 活 動 は,男 性,女 性 共 に見 られ る。 しか し,水 面漁撈 は主 と して 男 性 に よ り行 なわ れ,冬 期,男 性 が 狩 猟 活 動 の た め野 営地 を離 れ て い る時 に女 性 は氷下漁撈 を行 な う。 この 際,女 性 は氷 下 に 設 置 して あ る刺網 を氷 上 にあ げ,漁 獲 物 を 得 て,そ れ を野 営 地 まで 運搬 す る。 しか し, 最 初 に氷 下 に網 を設 置す るの は 男性 に よ り行 な わ れた 。

  食 物 加 工 活 動 は女 性 優 占的 活 動 で あ り,こ れ に は食物 調 理 と食 物 保 存 とが含 まれ る。

も っと も,個 体301は 彼 の妻 が 大量 の トナ カ イ肉 の乾 燥 ・漁 製 肉製 造 に忙 しい 時,数 時 間 で あ るが この食 物 保 存 活 動 を 行 な う こと が観 察 され た。 男 性 の チペ ワイ ア ンは保 存 食料 の乾 燥 肉,乾 燥 魚 を製 造 す るた め に必 要 な知 識 や技 術 を 持 って い るが,食 物 保 存 活 動時 間 は,女 性 と比較 す る とわ ず か で あ る。 毛 皮加 工 活 動 は女 性 優 占的 活 動 で あ

る。 しか し,毛 皮 に つ い て い る脂 肪 の制 除 の た め毛 皮 を木 枠 に張 るの は 男性 が手 伝 う。

また 脂 肪 の 削除 に おい て も,男 性 が 妻 を手 伝 って い る こ とが 観 察 さ れて い る。 家 事 活 動 は,掃 除,洗 濯,水 汲 み,火 の 管 理等 を含 む が,女 性 に よ り行 な われ る。 しか し, 最 初 に火 を 起 こす こと と薪 の伐 採 は,主 と して 男 性 に よ り行 なわ れ る。 も っと も,女 性 が犬 ゾ リを 使 用 して薪 を伐 採す る こと も,調 査 期 間 中,観 察 され た 。 チ ペ ワ イ ァ ン

の女 性 が 犬 ゾ リを使 用 す る こ とは ま れで あ るが,こ の例 に お いて 彼 女 は若 い時,父 親 が 怠 け者 で あ り,彼 女 自身 が 犬 ゾ リを使 用 して 薪 を 採取 す る こ とを 学 ん だ とい う。 野 営地 に お いて 薪 を 割 る仕 事 は男 性,女 性 共 に行 な うが,も し男 性 の成 員 が 野営 地 に居 れ ば,彼 等 に よ って行 な われ る。 家事 活 動 につ いて は,さ らに年 令 に よ る仕 事 の配 分 が 重 要 に な って くるが,こ れ につ いて は再 び後 で述 べ る。皮,羽,骨 を 用 い た道 具 製 作 活 動 は女 性 に よ り行 な わ れ る が,木 材 を 用 い た道 具 製 作 活 動 は男 性 に よ り行 な わ れ る。 た だ し,木 材 を 用 い て も蕉 し用 の天 幕 の設 営,小 犬 の た め の 囲 い作 りな ど は女 性 に よ って も行 な われ る。 他 方,皮 を用 い た道 具製 作 活 動 で も,犬 の首 輪 製 作 は 男 性 に

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よ り 行 な わ れ る。

  次 に,期 間 皿 に お け る 生 業 活 動 時 間 の 個 体 別 記 録 を 表2に 示 す 。 資 料 は1976年3月 3日 か ら3.月14日 ま で の12日 間 の 観 察 に 基 づ い た 。 こ の 期 間,前 記 と同 じ冬 の 野 営 地 に お い て 活 動 に 参 加 した7名 が 調 査 対 象 と な っ た 。Domestic  unit Z‑101の 個 体101, 102,103,104,とDomestic  unit Z‑103の 個 体301,302,303は 前 期 間 と 同 様 で あ る 。 しか し,Domestic  unit  Z‑102の 個 体201は 冬 の 野 営 地 を 引 き 払 い,同 様 に 個 体 105も 野 営 地 か ら居 住 地 レ31に 移 動 し,期 間 皿 に お け る 観 察 言己録 に は 現 わ れ て い な い 。 表2に 基 づ く と,期 間 皿 に お け る 生 業 活 動 の 配 分 に 関 し て 次 の 事 が 明 ら か に な る 。   狩 猟 活 動,罠 猟 活 動 は 男 性 優 占 的 活 動 で あ る 。 しか し,女 性 の 一 人 は 野 営 地 近 域 に お い て 罠 猟 活 動 に 従 事 し て い る こ と が 記 録 さ れ た 。 個 体103の 男 性 も 野 営 地 近 域 に お け る 罠 猟 活 動 を 行 な っ た が,こ の 時,薪 の 採 取 活 動 が 重 積 さ れ て い る 。 狩 猟 活 動 は, 期 間1,皿 と 同 様,男 性 の 特 徴 的 活 動 で あ る が,個 体101に よ る 狩 猟 活 動 期 間 が 表2 に は 見 出 さ れ な い 。 こ れ は,個 体101の 養 子 で あ る個 体103が トナ カ イ 狩 猟 活 動 に 出 か け,個 体101は 野 営 地 で 道 具 製 作 活 動(特 に カ ン ジ キ)に た ず さ わ って い た た め で あ る 。 期 間 皿 の は じ め で は,個 体101と 個 体103と は 共 に 狩 猟 活 動 を 行 な って い た 。 しか し,個 体103が 初 め て トナ カ イ の 狩 猟 に成 功 して 以 来,個 体101は 彼 に 単 独 で 犬 ゾ リの 使 用 を 許 し た の で あ る 。 そ の 結 果,期 間 皿 の 後 半 で は 個 体101は 野 営 地 に お け る道 具 製 作 活 動 に 集 中 し,こ れ に 代 っ て 個 体103が 単 独 で 狩 猟 活 動 に 従 事 す る こ と に な った の で あ る 。 こ の こ と は 年 令 に よ る活 動 の 配 分 と考 え る こ と が で き る 。

  食 物 加 工 活 動 は 期 間 巫 に お い て も女 性 優 占 的 活 動 で あ り,こ れ は 期 間Ia,  Ib,皿 と 同 様 で あ る 。 毛 皮 加 工 活 動 も女 性 優 占 的 活 動 で あ る 。 毛 皮 加 工 活 動 に 含 ま れ る 一 連 の 諸 活 動 は,そ れ ぞ れ のDomestic  unit内 で 行 な わ れ る 。 た だ し,鞍 し皮 を 漁 す 仕

表2個 体 別 の 活 動 利 用 時 間       (1976年3月3日 一14日) 個体番号1

FGA FPA HPA SHA MA-1 MA-2

101    102    103    104    301    302    303     x

8. 5

21.5

0.5  75.0 3.5    ‑ 6.0    ‑   ‑   6.5 10.5    ‑   ‑   5.0

一   40 .0    ‑ 一     一    4 .5

‑    ‑  10.0

‑    7 .5   12.5

一   22 .5

‑   8 .5

138.0   8.0

16.0 43.5 10.5 26.5

30.0   20.5   86.5 47。5  27.0

31.0 242.5

(19)

煎 本   チ ペ ワ イア ンの トナ カ イ狩 猟 活 動 系

事 に お い て,Domestic  unit Z‑101の 個 体102と,  Domestic  unit Z‑103の 個 体302と の 間 に 協 業 が 行 な わ れ た 。 即 ち,皮 が 相 方 か ら持 ち 寄 られ,同 じ憾 し用 天 幕 を 用 い て 皮 が 漁 さ れ る 。 ま た こ の 時,皮 燥 し に 先 立 っ て 皮 を 袋 状 に 縫 い 合 わ せ る 仕 事 は 個 体101 が 行 な い,カ ラ マ ツ の 枯 木 を 伐 採 し薪 を 作 る の は 個 体302が 行 な っ た 。 煙 を 出 す た め に 薪 の 上 に 苔 を 覆 い 被 せ る 方 法,煙 の 上 に 袋 状 に し た 皮 を 吊 り下 げ る 方 法 な ど は,個 体102が 個 体302に 教 示 し た 。 同 様 の 現 象 は,期 間1,● 皿 に お い て オ オ シ カ 毛 皮 加 工 活 動 の 際 に も観 察 さ れ た が,こ の 時 は,皮 の 削 除 に お い て 個 体102が 必 要 な 技 術,知 を 個 体302に 教 え た 。 具 体 的 に は,個 体102は,皮 の 異 な る 部 分 に お け る 異 な る 皮 の 厚 さ と,削 除 の 際 ど こ に 注 意 を 払 うべ き か を 個 体302に 教 示 し た の で あ る 。 実 際,個 302は 活 動 の 間,技 術 の 未 熟 か ら二 度 に わ た り 削 器 で 皮 を 破 い て い た の で あ る 。 同 様 に,オ オ シ カ 皮 の 柔 軟 化 の 仕 事 に 際 して も,個 体302が 個 体102の 指 導 の も と に 活 動 を 行 な っ て い る こ と が 観 察 さ れ た 。 皮 を 柔 軟 化 す る に は 身 体 的 な 腕 力 の み な らず 長 時 間 継 続 す る 体 力 が 必 要 と さ れ る が,個 体102は こ の 重 労 働 を 避 け,傍 で 個 体302の 仕 事 を 見 な が ら彼 女 に 指 示 を 与 え た 。 以 上 の 観 察 か ら次 の 二 点 が 指 摘 さ れ る 。 第 一 点 は,毛 皮 加 工 活 動 に 属 す る 一 連 の 諸 活 動 に お い て,年 令 に よ る 活 動 の 配 分 が 見 ら れ る と い う

こ と 。 即 ち,年 令71歳 の 個 体102は よ り豊 富 な 知 識 や 細 か い 技 術 を 要 す る仕 事 に 従 事 し,逆 に 年 令24歳 の 個 体302は よ り体 力 を 必 要 と す る 仕 事 を 行 な う 。 次 に第 二 点 と し て,協 業 を 通 じ て 特 定 の 活 動 に 関 す る 知 識,技 術 が 伝 達 さ れ て い る と い う こ と で あ る。

  年 令 に よ る 活 動 の 配 分 は,さ ら に 次 の 活 動 に お い て も認 め られ る 。 例 え ば,家 事 活 動 の 中 で の 水 汲 み,薪 割 り,火 の 管 理 等 は も し そ のDomestic  unit内 に 子 供 が 居 れ ば 彼 等 に よ っ て 行 な わ れ る 。 特 に チ ペ ワ ィ ア ン の 少 女 は 毎 日 の 種 々 の 家 事 活 動 を 助 け る。15歳 以 上 の 少 女 は,洗 濯 だ け で な く天 幕,丸 木 小 屋 の 掃 除 も行 な う し,ま た6歳 以 上 の 少 年,少 女 が 水 汲 み を 行 な う こ と は 頻 繁 に 観 察 さ れ る 。 こ の 意 味 で,特 に 住 居 設 営,維 持 活 動 に お け る 子 供 の 役 割 り は 重 要 で あ る 。

  表2に 示 さ れ て い る 道 具 製 作 活 動 は,皮 紐,手 袋,カ ン ジ キ(Snowshoes)の 製 作 を 含 む 。 皮 紐,手 袋 は 女 性 が 製 作 す る が,カ ン ジ キ の 木 枠 は 男 性 が 作 る 。 しか し,こ の 木 枠 に 皮 紐 を 張 る 仕 事 は 女 性 が 行 な う。 従 っ て,カ ン ジ キ 製 作 活 動 に 関 して は 性 に

よ る仕 事 の 配 分 が 見 ら れ,野 営 地 に お け る 観 察 に よ る と,個 体101と 彼 の 妻 で あ る 個 体 102の 問 で 見 ら れ た 。 さ ら に 興 味 あ る 事 実 と して,個 体103に お い て は 彼 の 年 令 が15歳 で あ る に もか か わ らず,カ ン ジ キ 製 作 活 動 に お け る 時 間 利 用 が 記 録 さ れ た 。 実 際 の 観 察 に よ れ ば,彼 は 個 体104で あ る 彼 の 弟 の た め に 小 さ な カ ン ジ キ を 製 作 し よ う と し た の で あ る 。 し か し,こ れ は 彼 に と り最 初 の カ ン ジ キ 製 作 活 動 の 試 み で あ っ た た め,木

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