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加藤 行男 麻布大学獣医学部公衆衛生学第二研究室

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Academic year: 2021

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第 86 回獣医学会講演要旨

本講演では,腸管出血性大腸菌感染症および動物 の咬傷による感染症として話題となったカプノサイ トファーガ感染症を中心にお話しする予定である。

(1)腸管出血性大腸菌感染症

4 月に富山県を中心とした焼肉チェーン店で発生 した腸管出血性大腸菌 O111 による食中毒(患者数 169 名,死者 4 名)が日本を騒がせている頃,ドイ ツにおいてスプラウト(新芽野菜)が原因食品と推 定されている腸管出血性大腸菌 O104:H4 による大規 模なアウトブレイク(患者数 4,137 名,死者 50 名)

が発生し,腸管出血性大腸菌(EHEC)が相次いで 脚光を浴びることとなった。

腸管出血性大腸菌は,ウシなどの反芻動物が重要 な保菌動物として知られ,ブタやニワトリあるいは イヌやネコからも分離されている。腸管出血性大腸 菌は,1977 年に Konowalchuk らにより Vero 細胞に対 する細胞毒(ベロ毒素,VT)を産生する大腸菌とし て報告され,1982 年にアメリカで発生したハンバー ガーが原因食で,出血性下痢症を主徴とした食中毒 事件の原因菌として注目され,その後,多くの国で 流行を繰り返している。

今 回 , ド イ ツ で 発 生 し た 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 O104:H4 は,腸管出血性大腸菌と言うよりも,腸管 凝集付着性大腸菌(EAggEC,EAEC)にベロ毒素を

産生する能力が備わり,毒性が強まった大腸菌であ ると報告され,EHEC と EAEC のハイブリッドとし て,ベロ毒素産生性腸管凝集付着性大腸菌などと呼 称している報告もある。

(2)動物の咬傷による感染症

イ ヌ な ど の 動 物 の 口 腔 内 に は , P a s t e u r e l l aStaphylococcus,Porphyromonas など様々な病原体が 常在している。ヒトは,これらの菌を保有している 動物に咬まれる等によって感染する。

カプノサイトファーガ感染症は,1976 年にアメリ カで最初に報告され,イヌやネコの口腔内に常在す る Capnocytophaga canimorsus あるいは C. cynodegmi による感染症である。主にイヌあるいはネコ咬まれ たり,ネコに引っかかれたりした場合に感染する。

日本国内におけるカプノサイトファーガ感染症は,

これまでに 20 名の患者が報告され,そのうち 6 名が 死亡し,死亡率が 30 %と非常に高いのが本症の特徴 である。患者の年齢は,20 歳代から 90 歳代と幅が あるものの,40 歳代以上に多い。患者は免疫機能を 低下させる基礎疾患がある場合が多いが,基礎疾患 がない患者もいる。国内死亡事例 6 名の年齢は,59 歳以上と高齢であり,高齢が最も重要なリスクとな っている。

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加藤 行男

麻布大学獣医学部公衆衛生学第二研究室

第 86 回麻布獣医学会 特別講演

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