営的事項」の一考察
著者 横山 光, 前川 洋
雑誌名 北翔大学教育文化学部研究紀要
号 5
ページ 145‑161
発行年 2020
URL http://doi.org/10.24794/00002978
北翔大学教育文化学部研究紀要 第5号 2020
の一考察
A Study about a Subject in Teacher Training Course "Social, Institutional or Managerial Matters Concerning Education"
横 山 光 前 川 洋
YOKOYAMA Hikaru MAEKAWA Hiroshi1.はじめに
文部科学省は,中央教育審議会(以下 「中教審」 という。)の答申
(1)を受け,すべての大学 の教職課程で共通に修得すべき資質能力を示すものとして2017年に「教職課程コアカリキュラ ム」
(2)を策定した。これを受け,教職課程を有する大学では,このコアカリキュラムの内容を 修得させることが求められている。また,上記答申を受けて,北海道教育委員会も「北海道に おける教員育成指標」
(3)を策定し,14の「キーとなる資質能力」を示した。14の資質能力のうち,
教職課程科目「教育に関する社会的,制度的又は経営的事項」に関するものとしては,学級経 営力や組織的・協働的な課題対応・解決能力,地域等との連携・協働力が示されている。
本稿では,コアカリキュラムや教員育成指標などを踏まえて,教職課程科目「教育に関する 社会的,制度的又は経営的事項(学校と地域との連携及び学校安全への対応を含む)」の授業 計画を作成するとともに,指導内容や方法等について考察することとする。
2.教職課程科目「教育に関する社会的,制度的又は経営的事項」の授業計画 本教職課程科目のコアカリキュラム
(2)は,図1のとおり,全体目標に基づき(1-1)~(1-3)及び(2),
(3)の5つのまとまりで構成されており,それぞれのまとまりごとに「一般目標」と「到達目標」
が示されている。本稿では,このコアカリキュラムに示されている5つのまとまりや目標に則して,
授業計画を表1のとおり作成した。コアカリキュラムでは,(1-1)~(1-3)のいずれか1つを習得 させることになっているが,教職を目指す学生にとっていずれも重要な領域であることから,本稿 では,3つとも授業計画に取り入れた。なお,2つ以上を習得させる場合は,それぞれの1)~3)
までを習得させればよいことから,本授業計画では,(1-1)の4)は省くこととし,(1-2)の4)は
教職課程科目「教育に関する社会的,制度的又は経営的事項」
の一考察
A Study about a Subject in Teacher Training Course "Social, Institutional or Managerial Matters Concerning Education"
横 山 光 前 川 洋
1 YOKOYAMA Hikaru MAEKAWA Hiroshi1 北海道立教育研究所
今日の教育制度を学び課題意識を持つことが重要であることから省かずに習得させることとした。
また,(1-3)の4)の「教職員や学校外の関係者・関係機関との連携・協働の在り方や重要性を理 解している。」については,(1-3)の1),3)及び(2)の内容と重複することから,「教職員との連 携・協働」については本授業計画の(3)のアとウで, 「学校外の関係者・関係機関との連携・協働」
については本授業計画の(4)の中で,それぞれ習得させ省かないこととした。さらに,コアカリ キュラムの(2)の2)にある「開かれた学校づくりが進められてきた経緯」は,1)の「地域との 連携・協働による学校教育活動の意義及び方法」より先に指導した方が効果的と考え,授業計画
図1 「教育に関する社会的,制度的又は経営的事項」のコアカリキュラム
(教職課程コアカリキュラム(2)より)
の(4)では,コアカリキュラムとは逆に,ア,イの順で指導することとした。
3.教職課程科目「教育に関する社会的,制度的又は経営的事項」の指導内容・
方法等
(1) 教育に関する社会的事項
ア 学校を巡る近年の様々な状況の変化
少子高齢化やグローバル化,情報化の進展のほか,社会の在り方そのものを劇的に変える可 能性のある人工知能やIoT等の先端技術の高度化など,社会は急速に変化している。このよう な中,学校では,学校が担う教育の肥大化や教職員の長時間勤務が課題となっており,教師の 働き方改革が進められている。また,親の所得や学歴が,子どもの学習環境に影響を与えるこ となどから,幼稚園や保育園,大学など,義務教育以外の無償化が進められているが,限りあ る財源の中で,教育機会の均等をどの程度まで図るかが課題と考える。ここでは,こうした社 表1 教職課程科目「教育に関する社会的,制度的又は経営的事項」(学校と地域との連携及び
学校安全への対応を含む)の授業計画
回 テーマ・指導事項
1 (1) 教育に関する社会的事項
ア 学校を巡る近年の様々な状況の変化
イ 子どもの生活の変化を踏まえた指導上の課題 2 ウ 近年の教育政策の動向
3 (2) 教育に関する制度的事項 ア 公教育の原理及び理念
イ 公教育制度を構成している教育関係法規 ア)教育関係法規の種類
4 イ)近代公教育の原理と教育関係法規 ウ)教育課程編成に係る主な教育関係法規 5 エ)教科用図書の使用に係る主な教育関係法規
オ)教職員の服務に関する主な教育関係法規 6 ウ 教育制度を支える教育行政の理念と仕組み 7 エ 教育制度をめぐる諸課題
8 (3) 教育に関する経営的事項 ア 学校経営の望むべき姿
9 イ 教育活動の年間の流れと学校評価(PDCA)
10 ウ 学級(ホームルーム)経営の仕組みと効果的な方法 11 (4) 学校と地域との連携
ア 開かれた学校づくりの推進の経緯
12 イ 地域との連携・協働による学校教育活動の意義と方法 13 (5) 学校安全への対応
ア 学校安全とは
14 イ 危機管理と学校安全の具体的な取組
15 ウ 学校をとりまく新たな安全上の課題への対応
会の変化に伴う学校をとりまく様々な課題について,ペアワークなどをとおして挙げさせ,具 体的に理解させることをねらいとする。
イ 子どもの生活の変化を踏まえた指導上の課題
いじめや不登校,ネットトラブル,児童虐待など,子どもをとりまく課題は様々ある。北海 道では,特に,家庭学習時間が少なく,テレビゲーム等をする時間が長いことを課題として
(4), 本道の子どもの生活習慣を改善するため,「早寝早起き朝ごはん運動」を推進している。ここ では,子どもの生活の変化をはじめ,こうした指導上の課題やその対応策(教育施策)等につ いて,ペアワークなどをとおして挙げさせ,具体的に理解させることをねらいとする。
ウ 近年の教育政策の動向
戦後の教育施策の多くは,中教審の答申を踏まえて推進されてきたが,高度経済成長期に噴 出した偏差値教育や校内暴力,登校拒否など,喫緊の教育課題に対し迅速な対応策を示すこと ができなかった。そのため,1984(昭和59)年に中教審を停止し,代わりに, 「臨時教育審議会」
を当時の総理府に設置して,政治主導で教育改革を行うようになった。この政治主導の流れは 平成に入って一段と強まり,2000(平成12)年には,首相の私的諮問会議である「教育改革国 民会議」が設置され,その提言に基づき,表2のとおり,教育基本法(以下 「教基法」 という。)
をはじめ,教育三法等の改正を伴う教育制度改革が行われた
(5)。さらに,2013(平成25)年に は,新たに首相の私的諮問会議である「教育再生実行会議」が設置され,今日まで,様々な提 言に基づく教育改革が行われている。ここでは,表2を参考に,こうした教育改革の動向を理 解させるとともに,英語を話せる人材の確保など経済界の意向を反映した教育改革が行われて いることにも,学生に気付かせることをねらいとする。
(2) 教育に関する制度的事項 ア 公教育の原理及び理念
公教育とは,個人や宗教組織などが行っていた教育(私教育)に対し,国又は地方公共団体 によって提供される教育のことであり,国公立の学校や国又は地方公共団体による社会教育が 含まれる。また,公教育を理念として捉えると,教基法第6条に 「法律に定める学校は,公の 性質を有するもの」 とあることから,公的な性格を持つ教育のことである。法律で定める学校 とは,学校教育法(以下 「学校法」 という。)第1条で定める,国公立及び私立学校(幼稚園,
小・中・高等学校,大学)のことである。したがって,一般に,公教育とは,私立を含む学校 教育及び社会教育と捉えてよい。ここでは,こうした公教育とは何かなどについて,グループ 討議をとおして学生に考えさせることにより,公教育の原理や理念を理解させるとともに,近 代公教育の原理である 「義務性」 「無償性」 「中立性」 に気付かせることをねらいとする。
イ 公教育制度を構成している教育関係法規 ア)教育関係法規の種類
国の法規には,憲法,法律,政令,省令,告示等がある。告示等には,告示,通達,訓令,通知,
指針等があり,通達・訓令は,通知と異なり,内容によって法的拘束力が生じることがある。
また,法規には上位法優位の原則があり,例えば,学校法【法律】-学校教育法施行令【政令】
-学校教育法施行規則(以下 「学校法施規」 という。)【省令】-学習指導要領【告示】の順で 表2 近年の教育制度の変遷(「平成29年度文部科学白書」
(6)より)
平成 教育制度等の改革 背 景 等
14年 ○学校教育法施行規則の改正 ・完全学校週五日制の実施
○小学校設置基準の改正 ・自己点検・評価の義務化
○「教育改革国民会議報 告-教育を変える17の 提案」(H12)(6)
18年 ○教育基本法の改正 ・教育の目標を明示
・義務教育,学校教育,教員等に関する規定の見直し ・教育振興計画の策定を規定
19年 ○学校教育法,学校教育法施行規則等の改正 ・各学校種の目的・目標の見直し ・学力の3要素の明記
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正 ・教育委員への保護者の選任義務化
○教育職員免許法,教育公務員特例法の改正 ・教員免許更新制の導入
○全国学力学習状況調査の実施 ○全国テストとしては43 年ぶり
20年 ○教育振興基本計画(H20~24)の策定 22年 ○公立高等学校の授業料無償化
25年 ○第二期教育振興基本計画(H25~29)
○いじめ防止対策推進法 ○教育再生実行会議提言
(H25)
27年 ○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正 ・教育委員会制度の改革(委員長と教育長の一本化等)
・「総合教育会議」 の設置
○教育再生実行会議提言
(H25)
28年 ○学校教育法等の一部改正 ・義務教育学校の制度化
○義務教育の段階に相当する教育の確保等に関する法律の成立 ・不登校児童生徒への支援の充実
○教育再生実行会議提言
(H26)
○教育再生実行会議提言
(H28)
29年 ○大学入学者選抜の制度改革
・高校生のための学びの基礎診断(H30運用開始)
・大学入学共通テスト(H32から実施)
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正 ・学校運営協議会(CS)設置の努力義務化
○公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する 法律の改正
・通級による指導のための教員の基礎定数化
○教育公務員特例法の改正
・教員の資質に関する指標及び教員研修計画の策定
○学校教育法施行令の一部改正
・体験的学習活動等休業日の創設とそのための休業日の分散化
○教育再生実行会議提言
(H25)
○教育再生実行会議提言
(H27)
○教育再生実行会議提言
(H28)
○教育再生実行会議提言
(H27)
○教育再生実行会議提言
(H29)
30年 ○公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律 施行令の改正
・公立高校における通級による指導のための定数加配
○第三期教育振興基本計画(H30~32)
○教育再生実行会議提言
(H28)
優位性が存在している。告示は法律の性格を持たないが,この学習指導要領のように,上位の 法律を補完する場合は, 「行政解釈としては,法規命令の性格を持つとされている」
(7)。ここでは,
教育小六法等を活用し,様々な教育関係法規があることをまずは理解させた上で,こうした法 の基本的な体系や学習指導要領の法的性格を理解させることをねらいとする。
イ)近代公教育の原理と教育関係法規
我が国においては,憲法や教基法などの教育関係法規で,近代公教育の原理である 「義務性」
「無償性」 「中立性(非宗教性,世俗性)」 を保障している。「義務性」 については,憲法第26条 第2項や教基法第5条第1項,学校法第16条において,子どもに教育を受けさせる保護者の義 務として規定されている。また,憲法第26条第1項で教育を受ける権利が保障されており,こ の権利を確実に保障するため,教基法第4条で教育の機会均等が,学校法第38条・49条で市町 村の小・中学校設置義務が規定されるなど,様々な法規で国及び地方公共団体の義務が定めら れている。また,「無償性」 については,憲法第26条第2項で 「義務教育は,これを無償とする。
」 とあり,国公立の義務教育については,教基法第5条第4項で「授業料を徴収しない。」と定 められている。「中立性」については,教基法第15条第2項で国及び地方公共団体が設置する学 校の宗教教育その他宗教的活動の制限が,教基法第14条第2項で政治的中立が定められている。
ここでは,こうした近代公教育の3つの原理を保障する教育関係法規を調べさせるなどして,こ れらの原理に基づき今日の公教育が成り立っていることを理解させることをねらいとする。また,
経済格差が指摘される中,義務教育の 「無償性」 が授業料と教科書に止まっている現状などに ついてグループ討議を行い,公教育の原理や理念を深く考えさせることも大切である。
ウ)教育課程編成に係る主な教育関係法規
小学校では,学校法施規第50条で教育課程を編成することが定められているが,小学校の目 的は学校法第29条で,目標は同法第30条で,授業時数は学校法施規第51条で規定されるなど,
編成に係る様々な教育関係法規が存在している。これは,他校種においても同様である。また,
小・中学校・高等学校学習指導要領
(8)に「各学校においては,教基法及び学校法その他の法令 並びにこの章以下に示すところに従い,・・・(中略)・・・適切な教育課程を編成するもの」
とあることから,教育課程編成の主体は,各種法規に従うものの,学校と捉えることができる。
また,小学校学習指導要領解説総則編
(9)では,「学校において教育課程を編成するということ は,・・・(中略)・・・,学校の長たる校長が責任者となって編成するということである。・・・
(中略)・・・,学校は組織体であるから,教育課程の編成作業は,当然ながら全教職員の協力 の下に行わなければならない。」とある。したがって,教育課程編成の権限と責任は校長にあ るが,編成の主体は学校であり,教員が協働して行うものである。ここでは,教育課程編成に 係る法規を校種ごとにまとめさせるなどして,教育課程編成の権限や責任,編成の主体,編成 の基準などについて理解させることをねらいとする。
エ)教科用図書の使用に係る主な教育関係法規
学校法第34条第1項では,「教科用図書」を使用する義務が定められているが,「教科書」の
用語はない。「教科書」 は,教科書の発行に関する臨時措置法第2条で定義されている。また,
教科書の採択権は,国立・私立学校を除き,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下
「地方教育行政法」 という。)第21条第6項で,学校を所管する教育委員会の職務権限の1つと して規定されている。図2は,教育関係法規に基づいて,北海道における教科書採択の流れを まとめたものである。ここでは,教科書及び教科書用図書の定義など,教育関係法規に基づく 教科書の基本的な事項について理解させるとともに,図2を参考に,教科書採択に関する法規 や校種ごとの採択の流れについて理解させることをねらいとする。
図3 北海道における一般行政(首長部局)と教育委員会 図2 北海道における教科書採択の流れ
ウ 教育制度を支える教育行政の理念と仕組み
戦後の我が国の教育行政は,国が強権的に管理する戦前の教育行政を反省して,1948(昭和 23)年に教育委員会法が定められ,「民主化」「地方分権化」「一般行政からの独立」へと転換 が図られた。「民主化」とは,教育の在り方を決めるのは国家ではなく国民であるという理念 であり,「地方分権化」とは,地方公共団体が自主性を発揮して教育に取り組むという理念で ある。また,「一般行政からの独立」とは,教育行政を首長部局から独立した合議制の教育委 員会に委ねるという理念である。しかし,1956(昭和31)年に教育委員会法が廃止され,地方 教育行政法が制定されると,教育委員の公選制の廃止や,指導・助言等をとおした国の権限強 化など,中央集権的な教育制度へと転換し3つの理念が弱まった。その後,2006(平成18)年 の教基法の改正に伴い,地方は国の基本的な方針を参酌して教育に関する総合的な施策の大綱 を定めることとなり,中央集権的な性格がさらに強まるとともに,図3のように地方公共団体 の長が総合教育会議を設置することとなり,一般行政からの独立の理念も弱まった。ここでは,
戦後の教育行政の3つの理念が揺らぎながらも,今日の教育制度の中に息づいていることを,
地方教育行政法や図3などを活用して理解させることをねらいとする。
エ 教育制度をめぐる諸課題
本稿3の(1)のウで述べたように,今日の教育改革の多くが政治主導で行われているが,
教育の「政治的中立性」や「地方分権化」などの観点から問題がある。また,前項のウで述べ たように,戦後の教育行政の3つの理念が弱まる傾向の教育制度改革にも問題がある。さらに,
インクルーシブ教育の推進や教員の時間外勤務の縮減,教育の無償化の推進など,我が国の教 育制度をめぐる問題は様々ある。ここでは,こうした教育制度をめぐる問題を,ペアワークを とおして挙げさせ,例示できるようにすることをねらいとする。また,グループ討議をとおし て,近代公教育の3つの原理や,戦後の教育行政の3つの理念から,教育行政はどうあるべき かなどについて深く考えさせることも大切である。
(3) 教育に関する経営的事項 ア 学校経営の望むべき姿
学校経営とは何かを説明できる教職員は多くなく,専門的な定義も分かりにくいため,本稿 では,「教育目標の達成に向けて学校をよりよくすること」と定義する。学校をよりよくする ため(学校経営のため)には,適正な組織が必要である。学校には,分掌,学年,委員会など の「教育指導のための組織」や,予算,給与,物品管理などを担当する「学校事務のための組 織」などがある。これらは,校務分掌組織と呼ばれ,教育目標の達成のために意図的に設けら れた組織である。学校をよりよくするためには,校務の分担・処理が適切に行われるとともに,
教育目標達成に向けて教職員の連携・協働が機能する組織でなければならない
(10)。また,組
織構成員を職位で並べると,学校は,指示・命令系統が単一(校長-教頭-多数の教諭)で管
理職以外が横一線に並ぶ「鍋ぶた(文鎮型)組織」になっており,一般企業のような「ピラミ
ッド型組織」にはなっていない。管理職と教員との意思疎通や組織としての機動性などに課題 があるため,2007(平成19)年に学校法が改正され,新しい職として副校長,主幹教諭などを 置くことができるようになった。ここでは,こうした学校の基本的な組織体系や新しい職など について,母校の教育計画などを参考に理解させることをねらいとする。さらに,よりよい学 校づくりを目指して,リーダーシップやコミュニケーション,共通理解,連携・協働など,組 織づくりに必要なことは何かを,グループ討議などをとおして考えさせることも大切である。
イ 教育活動の年間の流れと学校評価(PDCA)
学校評価のうち,自己評価は,1998(平成10)年の中教審答申
(12)を受け,まずは学校の努 力義務として導入された。その後,2007(平成19)年の学校法改正によって,表3のとおり,
実施義務に変わるとともに,学校関係者評価が新たに学校法施規で努力義務として定められた。
また,学校評価の目的は,文部科学省の「学校評価ガイドライン」
(11)で,①教育活動その他の 学校運営の組織的・継続的な改善,②学校の説明責任と学校・家庭・地域の連携・協力による 学校づくり,③設置者による教育の質の保証とその向上の3つとされている。学校評価ガイド ラインには,学校評価の具体的な方法なども示されているが,多くの学校現場では,表3の自 己評価や学校関係者評価の定義を含め,正しく理解されていない。ここでは,学校評価ガイド ライン
(11)や母校の評価報告書を活用して,学校評価の基礎的な理論とその重要性を理解させ ることをねらいとする。併せて,学習指導要領
(8)において,学校評価をカリキュラム・マネジ メントと関連付けて行うことが求められていることも理解させる必要がある。
継続的に学校をよりよくする(学校経営の改善・充実を図る)ためには,学校評価を,「Plan
(計画)-Do(実施)-Check(評価)-Action(改善)」のPDCAサイクルに基づき行うこ とが重要である。ただし,学校の教育活動は4月に始まり3月に終わるため,Planは前年度 の3月までに決めなければならない。学校では,年度末に(全てのDoが終わらないうちに),
Check,Actionを急ぎ行い,次年度のPlanを決めている。そのため,Check(学校評価)を半 期ごとに年2回行い,ゆとりを持って学校評価に取り組む学校もある。なお,道立学校では,
表3 学校評価と関係教育法規(学校評価ガイドライン
(11)より)
形 態 定 義 関 係 教 育 法 規
自己評価
各学校の教職員が行う評価 実 施 学校法第42条及び学校法施規第66条(実 施義務)
結果公表 学校法施規第66条(公表義務)
設置者への報告 学校法施規第68条(報告義務)
学校関係者 評価
保護者,地域住民などの学 校関係者等で構成される委 員会等で,主に自己評価結 果について行う評価
実 施 学校法施規第67条(努力義務)
結果公表 学校法施規第67条(努力義務)
設置者への報告 学校法施規第68条(実施した場合は,報告義務)
第三者評価 外部の専門家を中心とした 評価者により,専門的視点
から行う評価 法令上,実施義務又は努力義務は課されていない
3月に,教育課程表など次年度の教育計画を道教委に報告することとなっている。この教育課 程表に基づく使用教科書は,前年の6月中に選定するため,教育課程表というPlanは前年の 6月でも間に合わないことになる。このように,学校には,早い段階から検討しなければなら ないPlanが多いため,日頃から課題意識を持って改善策等を検討しておくことが大切である。
ここでは,こうした教育活動の年間の流れとPDCAサイクルの効果的な方法について理解さ せるとともに,学校評価とは別に,個々の教職員が教育実践を行いながら評価し直ちに改善を 図る形成的な評価が,学校改善や授業改善に有効であることも理解させることをねらいとする。
ウ 学級(ホームルーム)経営の仕組みと効果的な方法
学級(ホームルーム)は,明治時代の財政難と教員不足により,たくさんの子どもを1人の 教員で効率よく教育する仕組みとして導入されたものである。現在,小・中学校の1学級の児 童生徒数は,公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(以下「標準 法」という。)第3条第2項で,同学年の児童生徒40人を標準としている。また,教職員数は,
学級が学習指導や生徒指導を行う基本的な場であるため,児童生徒数ではなく学級数を基準と して算出することが,標準法第7条で定められている。ここでは,こうした学級の基本的な事 項を教育関係法規とともに,まずは理解させることをねらいとする。
学級経営の定義は,学校経営と同様に分かりにくいため,本稿では,「学級目標の達成に向 けて,学級をよりよくすること」と定義し,学級をよりよくするために学級単位で行われる全 ての教育活動及び学級担任として行う全ての業務の総称と考える。その活動や業務内容は多岐 にわたるが,学級経営の基本は,児童生徒一人一人にとって,学級が「心の居場所」となるこ とである。そのためには,児童生徒が自己有用感を感じたり,お互いを認め合ったりすることや,
協力して何かを成し遂げたりすることを,日常的に経験させることが必要である。また,学級 の問題を学級担任一人で抱え込まないことも大切である。そのためには,他の教職員との協働 を基本として,学校や学年全体と調和を図りながら学級経営を行うことが必要である。ここで は,こうした学級経営の仕組みや効果的な方法などを理解させることも必要である。また,グ ループ討議をとおして,学級の目標や決まりを校種ごとに考えさせるなどして,「北海道にお ける教員育成指標」
(3)が求める「学級経営力」を育成することが大切である。
(4) 学校と地域との連携
ア 開かれた学校づくりの推進の経緯
家庭や地域の教育力の低下により,それらに代わって学校が担う教育が肥大化するとともに,
校内暴力やいじめ,不登校など,学校だけで解決できない問題が数多く発生するようになった。
こうした中,1998(平成10)年の中教審答申
(12)において,地域住民の信頼に応え,家庭や地
域が連携・協力して教育活動を展開するため,開かれた学校づくりの推進や学校評議員制度の
導入などが提言された。さらに,2000(平成12)年の教育改革国民会議
(6)からは,学校評議
員制度の他,地域独自のニーズに基づき地域が運営に参画するコミュニティ・スクールの導入
などが提言された。こうした提言などにより,各学校において開かれた学校づくりが推進され るとともに,保護者や地域住民の学校運営への参画を促す学校評議員制度や学校運営協議会(コ ミュニティ・スクール)が導入されるようになった。ここでは,こうした開かれた学校づくり の推進の経緯やそのねらいを理解させるとともに,グループ討議をとおして,なぜ学校が閉鎖 的と言われるかなどについて,学生に考えさせることをねらいとする。
イ 地域との連携・協働による学校教育活動の意義と方法
開かれた学校づくりは,段階的に進められてきており,大きく3つの段階がある。第1段階 は,学校の教育資源の開放である。学校を地域に開く取組で,グラウンドなど学校施設を貸し 出す学校開放事業や,教員によるパソコン教室など学校の教育資源を地域住民に還元する学校 開放講座などがある。第2段階は,学校と地域との連携・協力である。地域の教育資源を活用 する取組で, 「総合的な学習の時間」等における体験的な活動や,インターンシップなどがある。
こうした取組は,保護者・地域住民等の協力が不可欠であり,特色ある学校づくりを進める上 でも重要である。また,いじめや不登校,児童虐待など,学校だけで解決できない問題に対応 するため,警察や児童相談所,スクールソーシャルワーカーなど関係機関や学校外の教育関係 者との連携・協力が,重要になっている。なお,第2段階の連携・協力は,地域全体で未来を 担う子どもたちの成長を支え,地域を創生するため,連携・協働へと発展することが求められ ている。例えば,小・中学校・高等学校学習指導要領
(8)では,よりよい学校教育をとおしてよ りよい社会を創るため,学校が社会と連携・協働により教育課程の実現を図っていくという,
「社会に開かれた教育課程」の実現を求めている。第3段階は,保護者・地域住民の学校運営 への参画である。児童生徒,保護者等の多様なニーズに応える取組で,学校評価(学校関係者 評価)や学校評議員制度,学校運営協議会などがある。こうした取組をとおして,信頼される 学校づくりが一層進むことになった。学校評議員は,学校の説明責任を果たす観点から設置さ れるものであり,校長の学校運営に関する権限と責任を前提に発言することになる。一方,学 校運営協議会は,学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議を行う機関であり,校 長は,教育課程編成などの基本的な方針について,協議会の承認を受けなければならない。こ こでは,こうした開かれた学校づくりの段階的な取組やそれぞれのねらいなどを習得させなが ら,学校と地域との連携・協働の意義や方法について理解させることをねらいとする。また,
開かれた学校づくりと信頼される学校づくりの違いを理解していない教員が多いことから,グ ループ討議をとおして,この違いを考えさせることが大切である。
(5) 学校安全への対応 ア 学校安全とは
学校安全とは、学校において安全を確保することであり,学校保健安全法第26条に「事故等
により児童生徒等に生ずる危険を防止し,及び事故等により児童生徒等に危険又は危害が現
に生じた場合において適切に対処することができるよう,・・・。(下線は,説明のため加筆)」
とあることから,下線で示した内容を学校において取り組むことである。学校安全のねらいは,
文部科学省の学校安全参考資料
(14)によると,幼児,児童及び生徒(以下「児童生徒等」という。)
が,自他の生命尊重を基盤として,自ら安全に行動し,他の人や社会の安全に貢献できる資質 や能力を育成するとともに,児童生徒等の安全を確保するための環境を整えることである。ま た,学校安全は,図4のとおり,学校健康教育の1つとして,生活安全,交通安全,災害安全(防災)
の3つの領域をもち, 「安全教育」「安全管理」「組織活動」の3つの活動で構成されている。「安 全教育」は,自らの行動や様々な危険を制御して安全に行動できたり,安全のために社会貢献 できたりすることを目指す活動であり,「安全管理」は,児童生徒等を取り巻く環境を安全に 整えることを目指す活動である。「安全教育」には,安全学習と安全指導がある。前者は,児 童生徒等が安全について適切な意思決定ができることを目指して,主に,小学校の体育科,中 学校・高等学校の保健体育科を中心とした関連教科や,特別の教科道徳などで行われる活動で ある。後者は,安全の保持増進に関する一層実践的な能力や態度,さらには望ましい習慣の形 成を目指して,主に,学級(ホームルーム)活動や学校行事などで行われる活動である。また,
「安全管理」には,児童生徒等の心身状態の管理と様々な生活や行動の管理からなる対人管理 と,学校の施設・設備等の管理である対物管理がある。「組織活動」は,教職員研修の実施や,
児童生徒等を含めた校内の協力体制の構築,家庭・地域社会との密接な連携など,「安全教育」
と「安全管理」の活動を効果的かつ円滑に進めるための活動である。ここでは,こうした学校 安全の目的や構造など基本的な事項について,図4などを参考に学校保健安全法と関連させな がら理解させることをねらいとする。また,学校が責任を負うべき安全確保の範囲はどこまで
図4 学校健康教育と学校安全の構造
(文部科学省資料(13)より改変)
かなどについてグループ討議を行い,学校安全の必要性について深く考えさせることも大切で ある。
イ 危機管理と学校安全の具体的な取組
危機管理のプロセスには,(1)事前の危機管理,(2)発生時の危機管理,(3)事後の危機管 理の大きく3つの段階がある
(14)。危機管理には,学校安全の他に学校の法令違反や不祥事な ども対象となるが,学校安全においても,この危機管理のプロセスにしたがって取り組むこと が必要である。また,危機が発生した時は,組織的で迅速かつ的確な対応により,危機発生時 の被害等を最小限に止める必要がある。そのため,学校においては,学校保健安全法第29条に 基づき,危険等発生時対処要領(以下「マニュアル」という。)を作成するとともに,マニュ アルに沿って研修や訓練を計画的に行っておく必要がある。なお,危機発生により学校の信頼 を損ねる場合があることから,安全確保の観点だけでなく,学校と児童生徒・保護者・地域社 会との信頼関係を保つ観点で対処することも必要である。ここでは,北海道教育委員会の「学 校における危機管理の手引」
(15)などを活用し,こうした危機管理の基本的な事項を理解させる とともに,実践的な能力が身に付くよう,登下校中の交通事故など発生頻度の高い事故を例に,
ケース・スタディーを行うことをねらいとする。
また,表4は,学校安全の具体的な取組を,学校安全の三領域ごとにまとめたものである。
学校においては,領域ごとに安全教育と安全管理を関連させるとともに,各領域の関連性も考 慮して取り組むことが大切である。さらに,児童生徒等である期間は,心身の発育発達の面で,
劇的な変化や特徴を見せる時期であることから,学校安全を進めるに当たっては,表5のとお り,児童生徒等の心身の発育発達の特徴に留意して,取組内容や進め方を工夫することが大切 である。ここでは,こうした学校安全の具体的な取組や発達段階に応じた進め方などを理解さ せることをねらいとする。また,ペアワークをとおして,学校保健安全法施行規則に基づく定 期及び日常の安全点検の項目を具体的に挙げさせるなどして,安全管理の実践的な能力を身に 付けさせることも大切である。
ウ 学校をとりまく新たな安全上の課題への対応
我が国においては,東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖地震以降,熊本地震や北海
道胆振東部地震,平成30年7月豪雨(西日本豪雨)など,大きな自然災害が続いており,登校
中の児童が地震の被害に遭う事故も起きている。さらに,スマートフォンやSNSの普及など
児童生徒等をとりまく環境の急速な変化に伴う危機や,テロの発生,学校を標的とした犯罪な
ど新たな危機も懸念されている。このような中,マニュアルの見直しは必要であるが,すべて
の危機に対してマニュアルを用意することは難しいことから,類似した危機に対するマニュア
ルを応用することで,安全を確保することが必要である。さらに,新たな危機においても,安
全管理の充実とともに、児童生徒等が柔軟に対応し命を守ることができるよう,自分の身は自
分で守るという強い意志や人と協力して判断し行動する能力などを身に付けさせる安全教育の
推進が必要である。また,このような学校をとりまく新たな危機を含む安全上の課題に対して
表4 学校安全(生活安全,交通安全,災害安全)の具体的な取組
(文部科学省「学校安全参考資料」より
(14))
領 域 安 全 教 育 安 全 管 理
生活安全
日常生活で起こる事故の内容や発生原因,結果と安全確 保の方法について理解し,安全に行動ができるようにする。
ア 学校(園)生活や各教科,総合的な学習の時間などの 学習時における危険の理解と安全確保
イ 児童(生徒)会活動やクラブ活動等における危険の理 解と安全確保
ウ 運動会,校内競技会等の健康安全・体育的行事におけ る危険の理解と安全確保
エ 遠足・旅行・集団宿泊的行事,勤労生産・奉仕的行事 等学校行事における危険の理解と安全確保
オ 始業前や放課後等休憩時間及び清掃時間等における危 険の 理解と安全確保
カ 登下校(園)や家庭生活などにおける危険と安全確保 キ 野外活動等における危険の理解と安全確保
ク 事故発生時の通報と応急手当
ケ 誘拐や傷害などの犯罪に対する適切な行動の仕方な ど,学校や地域社会での犯罪被害の防止
コ 携帯電話やコンピュータ等の情報ネットワークの活用 による犯罪被害の防止と適切な利用の必要性
サ 施設・設備の状態の把握と安全な環境づくり
ア 施設・設備,器具・用具 等の安全点検
イ 各教科,学校行事,クラ ブ活動・部活動,休憩時間 その他における学校生活の 安全のきまり・約束等の設 定,安全を確保するための 方法等に関する事項 ウ 生活安全に関する意識や
行動,事件・事故災害の発 生状況等の調査
エ 校内及び地域における誘 拐や傷害などの犯罪被害防 止対策及び緊急通報等の体 制に関する事項
オ その他必要な事項
交通安全
様々な交通場面における危険について理解し,安全な歩 行,自転車・二輪車等の利用ができるようにする。
ア 道路の歩行や道路横断時の危険の理解と安全な行動の イ 踏切での危険の理解と安全な行動の仕方仕方
ウ 交通機関利用時の安全な行動 エ 自転車の点検・整備と正しい乗り方 オ 二輪車の特性の理解と安全な利用
カ 自動車の特性の理解と自動車乗車時の安全な行動の仕 キ 交通法規の正しい理解と遵守方
ク 運転者の義務と責任についての理解
ケ 幼児,高齢者,障害のある人,傷病者等の交通安全に 対する配慮
コ 安全な交通社会づくりの重要性の理解と積極的な参 加・協力
ア 通学路の設定と安全点検 イ 通学に関する安全のきま
り・約束等の設定
ウ 自転車,二輪車,自動車
(定 時制高校の場合)の 使用に関するきまりの設定 エ 交通安全に関する意識や 行動,交通事故の発生状況 オ その他必要な事項等の調査
※ 通学に関しては,誘拐や 傷害などの犯罪被害防止と いう生活安全の観点も考慮 すること
災害安全(防災)
様々な災害発生時における危険について理解し,正しい 備えと適切な行動がとれるようにする。
ア 火災発生時における危険の理解と安全な行動の仕方 イ 地震・津波発生時における危険の理解と安全な行動の ウ 火山活動による災害発生時の危険の理解と安全な行動仕方 の仕方エ 風水(雪)害,落雷等の気象災害発生時にお ける危険の理解と安全な行動の仕方
オ 放射線の理解と原子力災害発生時の安全な行動の仕方 カ 避難所の役割と避難経路についての理解,避難の仕方 キ 災害に関する情報の活用や災害に対する備えについて ク 地域の防災活動の理解と積極的な参加・協力の理解
ケ 災害時における心のケア
ア 防災のための組織づく り,連絡方法の設定 イ 避難場所,避難経路の設
定と点検・確保
ウ 防災設備の点検,防災情 報の活用方法の設定 エ 防災に関する意識や行
動,過去の災害発生状況等 オ その他必要な事項の調査
※ 自然災害以外の火災や原 子力災害なども取り上げる こと
表5 発達段階に応じた学校安全の進め方
発達段階 心身の発育発達の特徴 学 校 安 全
具体的な進め方 留 意 点
幼 児
○危険や恐怖に対し非常に臆 病
○「怖いから危ない」という 感覚で危険を認識
○1つの事柄に注意や認知が 集中する(頭がいっぱいに なる)
○行動の抑制が難しく,衝動 的
○テレビの主人公のような現 実的でない万能意識を強く 抱く
○体形上,頭が大きく重い
・危険を理解させることで慎重な行動 をとらせる
・何がどのように危ないかを具体的に 示して理解させる
・隠れた危険を具体的に示し,認知・
予測させる
・危険行動を抑制する実体験を重ねる
・基本的生活習慣の形成に向けて,行 動を適切に抑制させる
・自己の行為自体が危険であることを 学ばせる
・転倒,転落,落下の事故防止を常に 心がけて活動させる
・危険や恐怖を強 調過ぎないこと
・具体を数多く示 すこと
・好奇心の発達と 行動抑制のバラ ンスが重要
・自他の区別を意 識させること
小学生
【低学年】
○見えない危険を安全と判断
○学んだ知識が行動に結びつ かない
【中学年】
○未知の場所での危険予測や 判断が難しい
【高学年】
○仲間への所属意識が高まる
・死角に存在する危険や,因果関係又 は事象の展開によって生じる危険に ついて理解させる
・実際的な場面の中で,具体的な題材 を用いて,知識と行動の両面から指 導する
・安全マップづくりを通して,普段経 験することのない場所や場面に潜む 危険を理解させる
・仲間の圧力(ピア・プレッシャー)
にどう対処して行動するか指導する
・類似の場面での 応用が利かない こと
・遠方の川・沼や,
増水した時の用 水路等を想定す る
中学生
○論理的に考える力が育ちつ つある
○自己との関与が希薄なこと に無関心
○仲間の圧力が行動を左右す る
(仲間はずれを酷く恐れる)
・必要なルールを遵守する意義や安全 な行動をとる理由等について,理に かなった指導をする
・生徒の関心事と関連性のあるテーマ や題材を用いて指導する
・自己管理の観点や社会全般の技能習 得という観点から安全教育を進める
・行動が左右される個々の状況の中 で,どのような行動が可能で,その うちのどの行動を選択することが望 ましいかを,具体的に判断させる
・「決まっているこ とだから」は通 用しない
・知識偏重のつま らない学習は避 けること
・一人で解決でき ない生徒のため の相談体制の充 実
高校生
○自分らしい生き方を模索す るが,自分の興味・関心,
利害に偏る
○二輪車や自動車などの運転 に強い興味や関心を持つ
・年少者の模範となることや社会に貢 献する経験などを通して,社会の一 員としての役割を意識させる
・自転車運転も含め加害者にならない 指導をする
・「どのように社会 の安全に関わる か」を意識させ ること