韓国におけるICCの犯行支配理論の意義
その他のタイトル Implication of "control theory" for Korea
著者 朴 美慶
雑誌名 政策創造研究
巻 9
ページ 203‑230
発行年 2015‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10112/8974
韓国におけるICC の犯行支配理論の意義 *
朴 美 慶
Ⅰ.はじめに
個人の国際犯罪に対する処罰が実行されたことは第 2 次世界大戦以降、軍事 裁判所での実行を契機として、アド・ホック(ad hoc)裁判所である ICTY(In
ternationalCriminalTribunalfortheformerYugoslavia)と ICTR(Interna
tionalCriminalTribunalforRwanda)、常設的な国際刑事裁判所である ICC
(InternationalCriminalCourt)で行われた。このようなそれぞれの国際刑事 裁判所は、管轄犯罪を犯した「個人の刑事責任」(IndividualCriminalResponsi
bility)に対する明示規程を有している。例えば、ICC 規程第25条1)である。上 記の規程は、犯罪を直接的に実行した者以外にも一定の者に個人の責任を負担 させている。各国の国内法でも認定されている幇助と教唆を含めて命令、扇動 などがそれである。実行を含めた幇助と教唆、命令などに対する責任追及も、
「個人の刑事責任」における個人に対する直接的な責任追及に該当する2)。 個人の刑事責任と関連する理論としては上官責任原則(Commander/Superior CriminalResponsibility)と共同犯罪集団(JointCriminalEnterprise:以下、
JCEと略記)理論3)、最近のICCの犯罪に対する支配/統制(controlovercrime)
理論(以下、犯行支配理論と略記)4)がある。ICC は ICC 規程第25条に規定され ている個人の刑事責任と関連した2012年
Lubanga
事件の第 1 審裁判部の判決5)を はじめとして、今までの一連の判例から明らかであるように、共同犯罪実行者(co-perpetrator)の責任を認定する際、ICTY の JCE 理論に従わず、「犯行支
配理論」に基づいている。特に、ICC の「犯行支配理論」は組織支配の構造の 特徴も反映して正犯の責任を追及するために積極的に上位者の責任を追及する ことができるだけでなく、ICTY より厳格な帰責判断を可能とする法理と評価 されている6)。本稿では ICC の「犯行支配理論」について概説し、このような 議論が韓国にどのような意味を持っているかについて説明する。
Ⅱ.「犯行支配理論」
「個人の刑事責任」原則を組織支配の構造の中でどのように置かなければなら ないかについては ICC でも重要な問題になった。最も責任ある者(thosewho bearthegreatestresponsibility)である国家や組織の指導者たちの訴追とその 有罪判決に人的・物的資源を集中する訴追などの戦略7)をとっている ICC では この問題がさらに重要な意義を持つこになるだろうと思われる8)。
1 .ICC での「個人の刑事責任」と「犯行支配理論」
第 2 次世界大戦後の戦犯裁判所から1990年代に設置されたアド・ホック(ad
hoc
)裁判所、ICC などの国際刑事裁判所では、高位指導者の責任を追及するた め、様々な理論を提示してきた。上官責任の原則や幇助・教唆罪を適用して、犯罪を実質的に犯した正犯より責任が軽減された共犯の形で責任追及をしたこ とがその例に属する。しかし何よりアド・ホック(ad hoc)裁判所は、高位指 導者に対する処罰が国際社会の重要な争点になったために JCE 理論を適用した。
アド・ホック(ad hoc)裁判所は JCE 理論を通じて、高位指導者を正犯と共犯 とに区別せず、包括的に責任を帰属させてきた9)。このような適用には高位指 導者に正犯責任を追及するために、「実行する」(commit)だけでなく、命令、
計画、扇動といった他の加担の形も指摘した多くの学者たちの努力も重要な役 割を果たした10)。このように犯罪と関連した参加形態が拡張され、責任概念も 拡張されており、こうした傾向はその後 ICC 規程第25条 3 項11)に正式に反映さ
れた。
「犯行支配理論」は
Lubanga
事件の予審裁判部の判決12)で初めて提示され、Katanga and Chui
事件の予審裁判部の判決13)によって発展された。この理論は 正犯の責任(principalliability)と共犯の責任(accessorialliability)を区別す るために「支配/統制」(control)の概念を活用した。Lubanga事件の予審裁 判部は正犯と共犯を区別する理論として、客観的アプローチ(objectiveapproach)、主観的アプローチ(subjectiveapproach)、犯罪に対する支配/統制(con
troloverthecrime)の 3 つのアプローチを提示した14)。ICC は、ICC 規程第 25条 3 項の解釈に基づいて、この 3 つのアプローチのうち被告人による行為に 対する支配/統制(control)が正犯としての責任を追及する際に必要と判示し、
「犯行支配理論」を採択した。「犯行支配理論」は被告人が犯罪実行において支 配的な役割をしているかが重要な基準に、共同実行と本質的な寄与がいなけれ ばならず、犯罪を実質的に犯した者である犯罪の客観的構成要件を実現した者 のほかにも、犯罪を実行するのに背後で指示した指導者を正犯として認めるこ とである15)。
2 .「犯行支配理論」に根拠した第25条 3 項の分析
「犯行支配理論」を適用すると、ICC 規程第25条 3 項が参加形態に対する階層 的構造(hierarchicalstructure)を持っていることを知ることができる16)。ICC 規程第25条 3 項は、正犯の刑事責任と共犯の刑事責任を負担する犯罪実行を命 令・勧誘した者、幇助者と教唆者、集団に寄与した者、ジェノサイドの扇動犯、
未遂犯と中止犯について規定している。第25条 3 項で問題となるものは、実行 者(perpetrator)が国際法のもとで犯罪を犯すための道具として他者を利用す る場合、すなわち、被告人が他者を通じて犯罪を犯した場合、ICC 規程第25条 3 項の下で刑事責任があるとすることができるかが問題である。参加者のこの ような形が発生することになっている根本的な理由は、正犯がこのような手段 を通じて実質的に犯罪の客観的構成要件を実行する者の意志を支配/統制して
利用する場合があるからだ17)。以下では「犯行支配理論」に基づき、正犯と共 犯を区別してその責任の内容を提示する。
⑴ 第25条 3 項⒜号: 正犯の責任
ICC 規程第25条 3 項は、正犯と共犯による刑の軽重を特段に規定してはいな いが、寄与の程度と加担の形が被告人の刑事責任を判断する時、一つの基準に なるということを提示している。ICC 規程第78条 1 項に規定された量刑基準の 構造にも、ICC 手続証拠規則の第145条 1 項⒞ 号によって、被告人の寄与の程 度を考慮されなければならない要素として明示されている18)。ICC 規程第25条 3 項⒜号の「実行」(commission)の概念は大規模の行為を含む国際犯罪の特 性を考慮しつつ、国際刑事法で広い範囲の概念で使用されている。また、他の 方法で犯罪の実行に寄与する複数の者の有罪を認定するための複雑な形態が含 まれていると解釈する19)。
Lubanga
事件とKatanga and Chui
事件の第 1 審裁判部は、第25条 3 項⒜ 号 が一般的に正犯についての 3 つの類型を規定しているものと解釈している。同 条 3 項は『いずれの者も、次の行為を行った場合には、この規程により、裁判 所の管轄権の範囲内にある犯罪について刑事上の責任を有し、かつ、刑罰を科 される』としながら、『単独で、他の者と共同して、又は他の者が刑事上の責任 を有するか否かにかかわりなく当該他の者を通じて当該犯罪を行うこと』の加 担の形を直接犯罪実行者(directperpetrator)、共同犯罪実行者(co-perpetrator)、間接犯罪実行者(indirectperpetrator)20)で区別している21)。間接共同 犯罪実行者(indirectco-perpetrator)の概念は
Katanga and Chui
事件で初め て言及され、Al Bashir
事件で適用された。共同犯罪実行者と間接犯罪実行者を 結合した間接共同犯罪実行者まで含めると、ICC の判例上に認められている第 25条 3 項⒜号の正犯の類型は最終的に 4 つだと判断される。このような 4 つの形態のうち、犯罪を直接実行した直接的な犯罪実行者、つ まり個人的に犯罪を実行した(commitsacrimeasanindividual)者は犯罪の
客観的構成要件と主観的構成要件をすべて履行したことを意味する22)。このよ うな者を処罰するのは、慣習国際法に該当するものと「個人の刑事責任」原則 上、当然の帰結である。しかし、ICC 規程の下ではどのような者であれ犯罪の 主観的構成要件をすべて実現しなくても、第25条 3 項⒜号で認める他の加担類 型を通じて犯罪実行に対する責任が認められることもある23)。以下では直接犯 罪実行以外の 3 つの加担類型の意義と構成要件について考察する。
1 )共同犯罪実行(co-perpetration)
共同犯罪実行者(co-perpetrator)の概念は ICTY と ICTR においては明文 規程もなく、判例上からも認められなかった。検察官は ICTY の判例で慣習国 際法上、共同犯罪実行者(co-perpetrator)の法概念が認められていないため 否定されたが、ICC規程は具体的に刑事責任の形態(modesofcriminalliability)
を規定しており、ICC 規程には共同犯罪実行の形態が提示されていると主張し た24)。ICC 規程には幇助と教唆、命令、計画その他のいかなる責任形態と区別 して共同犯罪実行の概念を規定している25)。したがって、もし国際法のもとで、
犯罪を実行するため数人が共に行動した場合、個別的に責任が認められるとい う慣習国際法によって第25条 3 項⒜号の規程に従って責任が追及される26)。
Lubanga
事件の予審裁判部は、共同犯罪実行に関して「該当犯罪の実行にお いて様々な不可欠な性質の寄与を通じて該当犯罪に対する共同の支配/統制が 行われること」と定義した27)。共同犯罪実行は客観的構成要件と主観的構成要 件が実現されなければならない。客観的構成要件は 2 人またはそれ以上の者の 間で、相互同意がなされた合意または共通の目的の存在である。共通の目的を 持ったすべての構成員を正犯として起訴できるだけでなく、本質的な任務が割 り当てられていなければならず、共通計画の実行に本質的な寄与28)をしなけれ ばならない。それゆえ、共同犯罪実行者は、犯罪の目的達成に必ず同意しなけ ればならない29)。共同犯罪実行の主観的構成要件は、それぞれの共同犯罪実行 者が、実行された犯罪に対する意図と認識が必要である。共通の計画を実行することとして犯罪の客観的構成要件が実現できるという相互認識である。これ は、共同犯罪実行の事件では、共通の計画への加担、または少なくとも支持が 存在しなければならないということを強調するものである。一定の合意(黙示 としても)を基礎に、他の者と協力した者がいないのであれば、個別的な実行 者として責任があっても共同犯罪実行者になれない30)。
このように、共同犯罪実行の典型的な構成要件は共同集団の計画に加担した 者の寄与、故意、全体的な成功に対する個人的認識と犯罪計画の成功において、
本質的な寄与をすることと犯罪の実際実行に寄与が近接しなければならないと いうことである31)。客観的・主観的構成要件の中で、どのような構成要件がよ り強く強調されなければならないかは、未だ議論の余地があるが、関連性ある 一連の他の考慮条件を認識するなら、これらの議論を合理的に導いていくこと ができるだろう32)。
ICC 規程第25条 3 項⒜号の文言に含まれている「犯罪実行に他の者と共同し て」つまり、共同犯罪実行(co-perpetration)の概念は、正犯と共犯を区別す る基準として ICC 規程が「犯行支配理論」を選択したことと適切な関連性があ ると判断される33)。そしてこのような共同犯罪実行の概念は実行行為を担当し た者の背後で、影響力を及ぼした高位指導者の起訴で JCE 理論と類似した役割 を負担することになった34)。
2 )間接犯罪実行(indirect perpetration)
実行の 3 番目類型である、他の者を通じた犯罪実行(commissionthrough anotherperson)は世界の主要法体系でほとんど認められている概念であり、
国際犯罪の実行のための道具として他の者を利用する場合を説明することであ る35)。Katanga and Chui事件の予審裁判部は「犯行支配理論」を前提に、Roxin が提唱した「組織的権力機構での意思支配に基礎した間接正犯」理論を全面的 に導入することにより、間接犯罪実行者いわゆる「正犯の背後の正犯」(indirect perpetrator、perpetratorbehindperpetrator)の概念を提示し、これを採択
した36)。
間接犯罪実行者について『正犯の背後の正犯である指導者は、自分の命令に 対する遵守を確保するため、犯罪を実行する機関に自分の支配/統制を使用し て組織内で自分の権限と権力を動員することを意味する』と説明している37)。 間接犯罪実行者の客観的構成要件では組織の内部に上下関係的な構造と実行者 である下位者の十分な人員確保が必要である。そして犯罪の実行命令がほとん ど機械的に履行されなければならない。機械的な履行の確保には道具としての 下位者の代替可能性という従来の基準とともに、厳しい訓練体制による命令の 履行確保が必要である。また、主観的構成要件としては、他の者を通じて行為 支配/統制を行使することに適した事実状況、すなわち組織の性質や組織内で の自分の地位または権力、自分の命令にほとんど機械的な服従の根拠になる事 実状況をそれぞれ認識していなければならない38)。「犯行支配理論」を適用した 間接犯罪の実行者の概念を通じて、組織における地位が高まれば高まるほど、
その組織に対する支配/統制が強く行われるという特性が反映され、それぞれ の加担者の責任をその実質的な寄与の程度によって詳細に配分することが可能 になった39)。
3 )間接共同犯罪実行(indirect co-perpetration)
間接共同犯罪実行は、間接犯罪実行と共同犯罪実行の概念が統合したもので ある40)。Katanga and Chui事件の予審裁判部の決定で初めて言及された以降、
Al Bashir
事件の予審裁判部の決定で確立された。このような責任の形が ICC 規程で絶対的に明確に提示されたこともなく、慣習法と法の一般原則によること もないため、特に
Katanga
事件の第 1 審裁判部の判決で被告人は間接共同犯罪 実行の法的性格と有効性について疑問を提示した41)。しかし、この概念について
Katanga and Chui
事件の予審裁判部は第25条 3 項⒜号の目的に合致される構成によって間接共同犯罪実行が有効な形であること を説明した。この裁判部は数人の間接犯罪実行者による共同実行が可能である
決した42)。つまり、間接共同犯罪実行とは、他の者を通じて共同犯罪実行をす ることで、共同犯罪実行者の全員が他の者を通じて共通目的を実現するために、
それぞれ本質的な寄与をすることを意味すると提示している43)。こうした間接 共同犯罪実行の概念は、高位の共同犯罪実行者たちが他の者を通じて犯罪を実 行し、結合する場合に適用することができるため、高位指導者たちの責任に対 する適切な判断が可能になったと評価されている44)。また、権限ある地位にあ る個人たちを加害者で起訴するために、非常に精巧化された推論の方法を採択 したと説明する学者の見解や45)、高位指導者たちの有罪に対する興味深く有益 な成果が行われた概念だと評価する見解もある46)。しかし、間接共同犯罪実行 については、多くの議論がある47)。
⑵ 第25条 3 項⒝号-⒠号:共犯の責任
同規程での共犯は、共同犯罪実行と比較すれば実行行為をしない48)。共犯理 論は共犯の従属性原理に立脚しているものと、惹起類型の共犯、援助類型の共 犯、寄与犯、扇動犯に分けられる。ICC 規程上正犯と共犯の区別を浮き彫りに しているのは、両者の共犯類型もドイツなど国内刑法で認められている「共犯 の従属性」の原理に基づいているという点である。
第25条 3 項⒝号は「実際に起きていたか着手された犯罪実行を命令・勧誘ま たは誘引した場合」に刑事責任を負担して処罰を受けると規定している。最初 の提示された共犯類型は命令犯である。この類型は犯罪実行を命令すること
(ordersthecommissionofacrime)と慣習国際法を具体化したことである命 令犯は他の者が犯罪を犯すようにするために、法律上の又は事実上の(de jure
or
de facto
)自分の権限を使用する。したがって、共犯の責任形を構成する命令は実行よりさらに低い責任の度合いを伴うことになる。二番目の共犯の類型 は勧誘犯及び誘引犯である。勧誘と誘引は権限ある地位を要求しない。犯罪が 完了していなければならないことを要求する ICTY と ICTR の扇動の責任とは 違って、主要犯罪を少なくとも試みることだけで十分である49)。第25条 3 項⒝
号に特別に列挙されている主観的構成要件はないが、ICC 規程第30条が適用さ れる50)。命令、誘引、勧誘は共犯の責任形態であるため、該当犯罪に必要な特 別な意図(specificintent)を有することを要求しない51)。また、特別な意図を 共有しなくても、実行者の特別な意図を知っていれば十分である52)。
第25条 3 項⒞号は「犯罪実行を容易にする目的で犯行手段の提供を含めて、
犯罪実行を幇助し、教唆し、又はその他の方法で援助する場合」には刑事責任 があると規定している。このような責任の形は ICTY の判決で明確化された53)。 同項⒞ 号で犯罪と認められる類型は「幇助者と教唆者」である。ICC 規程上、
幇助と教唆として認められるためには同号の(ii)で規定している「集団が、当 該犯罪を実行するという意図を認識して寄与が行われなければならない」は、
要件が満たされなければならないが、このような要件はアド・ホック(ad hoc)
裁判所の幇助と教唆には含まれない要件である54)。そのため、この点と関連す る ICC の今後の判例傾向を注視しなければならない55)。
第25条 3 項⒟号で規定している共犯の形は集団に対する寄与犯である56)。予 審裁判部では共同犯罪実行者として有罪判決を受けた Katanga が第 1 審裁判部 の判決では寄与犯として有罪判決を受けた57)。したがって、客観的構成要件は 集団によって国際法のもとで犯罪と認められる実行したり、試みたことである。
この時の「集団」(group)は共通の目的を増進するために、行動する少なくと も 3 人以上で構成された団体を指し、「その他の方法で寄与する」(inanyother waycontribute)ことは特に「教唆と幇助」以外の方法で寄与することを意味 する。そして、この時の寄与は資金調達も含まれ58)、犯罪に対する寄与が集団 の犯罪行為または共通の目的を促進させようとする目的で行われなければなら ない。しかし、このような寄与がどある特別な意図を意味するものではなく、
第25条 3 項⒟号の(i)と(ii)のジェノサイドの意図と同一した程度で十分で ある59)。
第25条 3 項⒠号は、「ジェノサイドと関連してジェノサイドを犯そうと直接 的にそして公然と他者を扇動した場合」刑事責任があると言うジェノサイドの
扇動犯について規定している。これはジェノサイド条約の第 3 条⒞の「ジェノ サイドの直接または公然の教唆」に由来したものである60)。
ICC 規程第25条 3 項⒡号は「実質的な措置により犯罪実行に着手する行為を することで犯罪実行を図ったが本人の意図とは無関係な事情から犯罪が発生し ない場合、しかし、犯行の実施を放棄したり、または違って犯罪の完成を防止 した者は、自分が犯罪目的を完全にそして自発的に放棄した場合、犯罪未遂に ついて同規程による処罰を受けない」と規定している。つまり、国際法のもと で犯罪を実行しようとする試みを不法化しており、慣習国際法を反映した規定 である61)。未遂犯として認められるための要件は「実質的な段階」(substantial step)での「実行の着手」(commencementofexecution)である。実質的な段 階は、実行者の目的が強化されたり、確定した場合、これを存在したものとみ なす62)。そして、未遂犯として認定するためには犯罪の意図だけでなく、どの ような実質的な措置による犯罪の開始で評価できるような行為が必要である63)。
Ⅲ.「犯行支配理論」の韓国に対する意義
法とは元々現時点だけでなく未来の時点でも、特定の事件が発生することに 対応して施行されることである。そのために国内法秩序で、国際刑事法を議論 する理論的価値を無視することはできない。特に、韓国が直面している地政学 的状況と国際関係などに照らしてみれば、国際刑事法の実践的価値も大きいも のとみられる64)。このような背景から国際刑事法上「個人の刑事責任」と関連 し、「犯行支配理論」と関連して議論した正犯と共犯の区別、間接犯罪実行、正 犯の背後の正犯理論と韓国刑法の立場を比較してみる。「犯行支配理論」と同一 の行為支配説(犯行支配説)を韓国刑法に適用する場合、最も問題になるのが 韓国刑法の第34条の間接正犯の規定との関係である。ICC は「犯行支配理論」
に根拠して間接的犯罪実行による刑事責任を正犯責任として認めており、正犯 の背後の正犯理論も導入して間接的犯罪実行の責任を追及している。しかし、
韓国刑法は、行為支配説を通説として認めながらも、行為支配説の適用によっ て発生する課題に対しては、ICC やドイツのように認めていない。つまり、韓 国では間接正犯の責任を正犯として認めておらず、組織支配による間接正犯を 含む正犯の背後の正犯理論も同様に否定する見解が通説である。
以下では韓国刑法上、間接正犯の成立問題、すなわち正犯性の認定と正犯の 背後の正犯理論に対する議論の内容を検討し、国際刑事法上のこのような議論 が韓国にどのような含意があるかどうかを考察する。
1 .正犯と共犯の区別
正犯と共犯の区別という言葉で、共犯は狭義の共犯、つまり教唆犯及び幇助 犯(従犯)を意味する。一方、単独正犯(直接正犯及び間接正犯)、共同正犯、
同時犯、必要的共犯65)などは狭義の共犯ではなく正犯である。刑法は共犯の従 属性を認め、原則的に正犯を罰し、共犯は正犯の処罰や成立に従属されるよう にしている。それゆえ、正犯か共犯かの問題は行為者の罪責と処罰に重大な影 響を及ぼしかねない66)。
韓国刑法で正犯と共犯の区別基準は、 3 つである。いわゆる客観説、主観説、
行為支配説(犯行支配説)がある。まず、客観説は行為者の主観的意思ではな く、客観的な行為を基準に正犯と共犯を区別する。第一に、形式的客観説は自 ら構成要件の実行行為の全部又は一部を遂行する者が正犯であり、構成要件の 実行行為以外の行為として構成要件実現に寄与する者を共犯という。制限的正 犯概念に立脚していて、共犯規定は実行行為をしない者を処罰することなので、
刑罰的拡張事由という。第二に、実質的客観説は因果関係に関する原因説のよ うに、原因と条件を区別して、結果発生に必要不可欠な条件、すなわち原因を 付与した者は正犯、結果発生に必要な条件のみを付与した者は共犯だという67)。 主観説は行為の客観的意味を考慮せず、行為者の主観的な意思を基準に正犯 と共犯を区別する見解である。正犯、共犯すべて犯罪意思があるという点で、
すべて正犯とする拡張的正犯概念に立脚している。主観説は意思説と目的説(利
益説)に区別される。意思説は正犯意思を持った者は正犯、他者の犯罪を行う 意思を持った者は共犯だという。目的説は自分自身の利益のために犯罪行為を 行った者は正犯、他者の利益のために犯罪行為を行った者は共犯だという。
行為支配説(犯行支配説)は、客観的要素と主観的要素をすべて考慮して、
正犯と共犯を区別することである68)。行為支配説は、客観説と比較する際、構 成要件の全部又は一部実現という客観的要素に執着しない。必ず構成要件の実 現を直接担当しなくても、犯罪実現を左右することができる決定的役割を担当 する者は正犯として捕捉される。また、この理論は行為者の意思のみに注目し ない。たとえ自分のために犯行に関与する者だとしても、犯罪実現に客観的な 寄与をしていない者は正犯として捕捉されていない69)。行為支配説は理論的・
実際的に正犯と共犯の区分において、最も説得力のある基準といえる70)。韓国 でも正犯と共犯の区別における行為支配説が妥当だというのが通説である71)。 判例も共同正犯については、機能的行為支配がいなければならないと判示して いる72)。
ドイツ刑法の第25条は、正犯の形を行為支配説に立脚して単独正犯(実行正 犯)、間接正犯、共同正犯の三つに明示している。ドイツのこのような提示は、
客観説と主観説の行き過ぎを警戒しながら、二つの立場の調和を試みた立法的 決断だと評価されている73)。韓国刑法は、ドイツ刑法とは違って、正犯概念に ついて、どのような基準を提示してはいないが、正犯概念の尺度について以上 のような学説が提示されている74)。特に、区別基準の中で韓国とドイツの通説 である行為支配説は、1975年ドイツ新型法の正犯概念がこの理論に基づくもの と評価され、信頼が非常に高い理論である。それで行為支配説が韓国の刑法学 界でも大きく支持を得ていることである75)。
こんなに理論的妥当性が認められた行為支配説は、前に述べたとおり、ICC 規程第25条 3 項⒜号の理論的根拠になった。同条は間接犯罪実行の概念を認め ており、特に ICC の
Katanga and Chui
事件の予審裁判部は、組織支配による 間接犯罪実行の「責任ある道具を利用する正犯背後の正犯」概念に根拠して被告人の責任を認めた。そして、同事件予審裁判部が間接的に犯罪実行を認める ために提示した条件も、行為支配説を創設した Roxin の組織支配説の内容と大 きな差がない76)。
2 .間接正犯の正犯性
韓国刑法上の通説である行為支配説の限界は提示する間接正犯との関係で一 層明確になる77)。韓国刑法の第30条は、共同正犯のみを「正犯として処罰する」
と明示している。ところが、韓国刑法は、間接正犯の場合にドイツや ICC との 違う立場を取っている。たとえ優越した意思支配が認められるとしても、間接 正犯を正犯として認めない78)。韓国刑法で間接正犯は他者を利用して犯罪を実 現する者を意味して、もともと教唆犯や幇助犯で処罰できない場合に対処する ための補完策として発展した概念である79)。そのために韓国刑法の第34条 1 項 は間接正犯を正犯として規定せず、教唆または幇助の例によって処罰している
80)。
しかし、韓国刑法の学界でも間接正犯をドイツ刑法の場合のように、「正犯」
に把握する見解が有力視されている81)。また、間接正犯を正犯として捕捉しよ うとする刑法の改正案が1992年と1996年、2011年に韓国国会に提出されたこと もしたが、いずれも会期満了で廃案になった。2011年廃案された刑法改正案を 見ると、間接正犯は教唆または幇助の例によって処罰される多数関与者の犯罪 の形ではなく、正犯として把握されている82)。ところが、このような改正案が 廃案されたために、間接正犯が教唆または幇助の例に処罰されるという基準は そのまま通用している。
けれども、間接正犯も他者を物理的な道具のように利用して自分が望む通り、
犯罪を実現させる者である。特に、間接正犯は道具として使われる被利用者に 対して、優越した意思支配を持って犯罪を実行する背後者である83)。それで犯 罪実行を実質的に左右する間接正犯/間接犯罪実行は直接犯罪を実行する直接 正犯と大差がないと見なければならない。見たとおり、いわゆる背後者は行為
支配説に基づき、正犯の責任を負担しなければならないというのが ICC の立場 である。特に、ICC は中核犯罪を犯した指導者を処罰するために行為支配説に 根拠した間接犯罪実行の概念を広範に認め、最高位職がなく下位の指導者にも 適用して刑事責任を認めている。
韓国刑法の第34条 1 項は、間接正犯について道具型・共犯型の二分設の共犯 型間接正犯の立場を取っている84)。共犯型間接正犯とは、極端的従属形式のた め教唆犯や幇助犯で処罰できないことが不合理だと判断される場合に、これを 正犯として捕捉するための認定された場合の間接正犯を意味する85)。正犯とし て捕捉するための理論を採択しているが、間接正犯という見出し語を使用して いることである。もちろん、条文の見出し語に規範力が認められておらず、間接 正犯という用語自体で正犯の法的根拠を導き出すのは無謀な試みでもある86)。 しかし、用語が実質を表示するための標札としながら、間接正犯を共犯と判断 するのは皮肉な部分があると考えられる。また、多数者が犯罪に加担する組織 支配に基づく犯罪では、その地位と役割などによる分類が非常に重要である。
特に背後者の処罰と関連のある間接正犯の場合には、その法律的評価が正確に 行われることが必要と思われる。
3 .正犯の背後の正犯
組織支配を利用した場合、間接正犯を認めるのかの問題と関連した根本的な 問題が、間接正犯の正犯性と連結されている「正犯の背後の正犯」理論である。
韓国でこれに対する議論は権力的位階秩序を持った組織を通じて行われた犯罪、
特に企業犯罪に適用できるかが問題となった87)。
韓国刑法の第34条 1 項は、間接正犯で被利用者の範囲を「ある行為によって 処罰されない者」と「過失犯で処罰される者」は過失犯にしか処罰されない者 として理解されている。それで広く見れば、「ある行為によって処罰されない 者」に含まれる。ところで被利用者が典型的な正犯として処罰される場合に、
被利用者を背後で利用した者をまた間接正犯として処罰できるかという問題が
ある。この場合、被利用者は「ある行為によって処罰される者」であるため、
韓国刑法の第34条 1 項が直ちに適用されるわけではない。もし、この場合に処 罰される者の背後者に正犯への処罰を肯定するなら、被利用者である正犯の背 後に他の正犯が存在することとなる。この場合、正犯である被利用者の背後に ある正犯を指して「正犯の背後の正犯」という88)。
もともと「正犯の背後の正犯」を認める理論はドイツから由来した。ドイツ 刑法の第25条 1 項は間接正犯を他者を通じて犯罪を実行したものと定義してお り、被利用者が正犯として処罰されることも、他者を通じて犯罪を実現させた ものと把握しているために間接正犯の事案と判断する89)。このような見解は、
ICC の間接犯罪実行と同様である。
韓国刑法の解釈論上では、正犯の背後の正犯という形を肯定する立場と否定 する立場がある。肯定説の立場では正犯概念の優越性に注目している。それで 背後にある者の間接正犯の成立可否は背後者に行為支配があったか否かを基準 に判断しなければならず、単に被利用者が処罰されるかどうかに左右されては ならない90)。否定論の立場では正犯の背後の正犯の概念を認めることが韓国刑 法の第34条 1 項の文言に反するだけでなく、韓国刑法上の間接正犯の規程が共 犯処罰の不備に対処するための補完策として設けられたという点を看過するこ ととする。また韓国刑法の第34条 2 項は、犯罪組織の背後で犯罪を実質的に操 縦する者を厳重に処罰するために特殊教唆・特殊幇助として加重処罰している。
従って、このような処罰が法論理的により妥当し、刑事処罰の範囲ももっと十 分に確保できると考える91)。「正犯の背後の正犯」理論は韓国刑法の学界の多数 見解で否定されている92)。上述のように韓国刑法上組織支配の例を検討するに あたっては、第34条についての考察が求められる。しかし、刑法の第34条は、
間接正犯の処罰と関連して「教唆または幇助による」と規定している。それゆ え、組織支配の例の背後者は教唆犯と見ている93)。
正犯の背後の正犯についても、現行刑法の解釈論を前提とした時に認められ ないということで、その理論的妥当性まで否定しなければならないのはないと
思われる。韓国刑法上、正犯の背後の正犯を否定する議論は上述のように、韓 国刑法がドイツと違い責任ある者を道具に使用した場合、間接正犯の成立を否 定しているという根拠を置いている。しかし、このような現行法の態度は明ら かに国際社会で現れている傾向とは相反するものである94)。
また、正犯の背後の正犯を否定するようになると、被利用者の行為が韓国刑 法の第34条の行為の類型に該当しない場合は、意思支配があるにもかかわらず、
優越した意思による支配を認められない反面、被利用者の行為が第34条の行為 類型に該当するということを理由に、間接正犯が成立するようになる不合理な 結果が発生することもできる。それゆえ、被利用者が誰かに焦点を当てるより は正犯概念の優位性により、背後者の犯行支配の特徴を重視しなければならな いという肯定説の見解を考慮する必要がある95)。
国内刑法上の犯罪と国際法上の中核犯罪は性格が異なる部分があるが、間接 正犯と正犯の背後の正犯という間接犯罪実行はともに組織的構造に基づいて犯 罪実行が行われる場合が多い。ICC で主に扱っている国家的に組織された犯罪 の場合だけでなく、国内法的には経済犯罪や組織犯罪の領域でも、正犯の背後 の正犯が問題となっている96)。また、この場合、組織の構成員たちはそれなり の独自性と組織に対する従属性を同時に持って行動することになる。
Ⅳ.結論
ICC が導入した「犯行支配理論」は、組織全体を政治・軍事組織の指導者の 道具として把握し、その道具を使用して犯罪を犯した者の責任を追究すること である。それゆえ、組織支配の構造そのものを個人の責任追及の直接的な根拠 とするという点で、組織性を特徴とする ICC の管轄犯罪などに効果的に対処で きる理論である97)。しかし同時に、政治・軍事組織の指導者が一定の支配/統 制の関係を持っていることが認められさえすれば、道具である部下が犯した犯 罪全体について責任を負担することができるようになるので、実質的には組織
責任を直接的に認める形になる98)。「犯行支配理論」と関連してはまだ判例が多 く蓄積されず、国際刑事法上もっと深層的な研究が必要な部分も多く残ってい る。特に、責任形が結合されている間接共同犯罪実行の内容と正当性について も明確にする必要があり、ICC 規程第25条 3 項の正犯と共犯の区別で発生する 様々な問題点も解釈論的な議論が行われなければならないと考える。
国内法の立場からも、上述した韓国の刑法学界は「犯行支配理論」を通説と して認めながらも、派生する問題については認めていないため、これに対する 議論も行われなければならない。韓国の最高裁判例の中には組織内の背後者に 対して、間接正犯としての責任を認めた例がある。企業の経営者の責任に関連 した事例として、経営者が製油会社の所属の職員らに国会議員が事実上の支配・
掌握している後援会に後援金を寄付するようにしたのである。この事例で最高 裁は経営者に、政治資金法違反罪の間接正犯が成立すると判示した99)。故に、
組織支配と関連された事例で正犯の背後の正犯を否定したとしても、これと関 連されている間接正犯として背後者の刑事責任が問題になる事例は存在し、正 犯の背後の正犯の責任追及で間接正犯の加担の形は、いかなる意味があると見 なければならないのである。犯罪について真に責任ある者の処罰という合理的 な結論の導出に向けては「正犯の背後の正犯」概念が一つの有用な道具になる 可能性もある100)。したがって、韓国刑法の分野でもさまざまな選択肢を置いて 議論する必要性もあると考えられる。
〈参考文献〉
木原正樹、「旧ユーゴ国際刑事裁判所判例上の共同犯罪実体と概念 ― その意義と問題点をめ ぐる議論を中心に ― 」松田竹男他(編)『現代国際法の思想と構造II』(東京:東信堂、
2012)。
後藤啓介、「日本刑法における共謀共同正犯と国際刑法における『正犯』概念に関する一考察
― 中核犯罪の『黒幕』とされる者は如何なる概念によって捕捉されるべきか」『法学政 治学論究』、第87号(2010)。
高山佳奈子、「国際刑事法をめぐる課題と展望」『刑事法ジャーナル』、no.27 (2011)。
多谷千香子、『戦争犯罪と法』(東京: 岩波書店、2006)。
古谷修一、「個人の国際責任と組織的支配の構造」『国際法外交雑誌』、第109巻 第 4 号
(2011)。
フィリップ・オステン、「国際刑事法における「正犯」槪念の形成と意義 ― ICCにおける組織 支配に基づく間接正犯槪念の胎動 ― 」、川端博他 (編)『理論刑法学の探究 3 卷』(東京:
成文堂, 2010)。
イ・ソンデ、「組織内の背後者の刑事責任と刑法第34条の再吟味」『刑事法研究』、第24巻第 2 号(2012)。
イ・ジュヒ、「組織支配による間接正犯の成立要件と適用限界」『清州法学』第32巻第 2 号
(2010)。
イ・ジングク、「国際刑法の国内の受け入れとその課題」『比較刑事法研究』、第14巻第 2 号
(2012)。
オ・ヨングン、『新刑法入門』(ソウル:博英社、2009)。
オ・ヨングン、『刑法総論』第 2 版(追補版)(ソウル:博英社、2012)。
キム・イルス・ソ・ボハク、『刑法総論』、第11版 (ソウル:博英社、2006)。
キム・ドンリュル、「不法体制の首脳部の処罰根拠として組織支配論」『刑事政策』、第25巻第 3 号(2013)。
キム・ホギ、「法人殺人罪に関する検討」『国会立法調査処 ― 専門家懇談会』(2014.06.13)。
キム・ヨンソク、『国際法』(ソウル:博英社、2010)。
シン・ドンウン、『刑法総論』、第 7 版、(ソウル:法文社、2013)。
ベ・ジョンデ、『刑法総論』、第10版 (ソウル:紅文社、2011)。
Bantekas, Ilias, International Criminal Law, 4th ed. (Oxford: Hart, 2010).
Cassese, Antonio,Acquaviva, Guido, Fan, Mary and Whiting, Alex, International Criminal Law-Cases & Commentary-(New York: Oxford University Press, 2011).
Damgaard, Ciara, Individual Criminal Responsibility for Core International Crimes (Berlin:
Springer, 2008).
Goy, Barbara, “Individual Criminal Responsibility before the International Criminal Court a Comparison with the Ad Hoc Tribunals”, International Criminal Law Review, vol.12
(2012).
ICC, The Office of the Prosecutor, “Report on Prosecutorial Strategy”, 14 September 2006.
Manacorda, Stefano and Meloni, Chantal, “Indirect Perpetration versus Joint Criminal Enterprise-Concurring Approaches in the Practice of International Criminal Law?”, Journal of International Criminal Justice, vol.9(2011).
Office of the Prosecutor, “Strategic plan June 2012-2015”, 11 October 2013.
Ohlin, Jens David van Sliedregt, Elies and Weigend, Thomas, “Assessing the control- theory”, Leiden Journal of International Law, vol.26, no.3 (2013).
Van der Wilt, Harmen G., “Genocide, Complicity in Genocide and International v. Domestic Jurisdiction: Reflections on the van Anraat Case”, Journal International Criminal Justice, vol.4. (2006).
Werle, Gerhard, in cooperation with Boris Burghardt et al., Principles of international criminal law, 2 nd ed., (The Hague:T.M.C. Asser Press, 2009).
Prosecutor v. Katanga and Ngudjolo Chui, ICC-01/04-01/07, Pre-Trial Chamber I, Decision on the confirmation of charges of 30 September 2008.
Summary of Trial Chamber II’s Judgement of 7 March 2014 Pursuant to Article 74 of the Statute in the Case of The Prosecutor v. Germain Katanga.
Prosecutor v. LubangaDyilo, ICC-01/04-01/06-749, Prosecution’s Document Addressing Matters at the Confirmation Hearing of 4 December 2006.
Prosecutor v. LubangaDyilo, ICC-01/04-01/06, Pre-Trial Chamber I, Decision on the confirmation of charges of 29 January 2007.
Prosecutor v. Lubanga Dyilo, ICC-01/04-01/06, Trial Chamber, Judgment pursuant to Article 74 of the Statute of 14 March 2012.
注
* 本稿は筆者が2014年 8 月に漢陽大学一般大学院に提出した博士学位論文の一部を学術誌 に適合するように再作成したものです。
1 )GerhardWerle,incooperationwithBorisBurghardtetal.,Principles of international criminal law,2nded.,(TheHague:T.M.C.AsserPress,2009),pp.168-169;ICC 規程第 25条は、「個人の刑事責任」というタイトルにもかかわらず、一人の個人が単に実行した犯 罪に制限しておらず、初めて正犯と共犯を明確に区別し、それぞれの形について詳細に規 定している。ICC 規程第25条 1 項は裁判所が自然人に対してのみ管轄権を持つことを規定 しており、法人に対する刑事責任はその対象ではないことを明示している。同条の第 2 項 は、管轄犯罪を犯した者はこの規程によって個人的に責任を負って処罰されて、裁判所の 管轄犯罪を犯した者の個人の刑事責任について明確に示している。それゆえ、手続き的な 面でも国際法を違反した個人を国際刑事裁判所である ICC で、そして国際法である ICC 規 程を適用して処罰するという点で「個人の刑事責任」原則の最も発展的な形態として評価 されている。ICC 規程第25条 3 項は「個人の刑事責任」の形態を詳細に規定しており、犯 罪の加担によっていろいろな形を区別している。同規程は、慣習国際法のもとで認められ
た加担の形を初めて体系化しており、慎重に補完されて修正されている状態である。
2 )多谷千香子、『戦争犯罪と法』(東京:岩波書店、2006)、p。101。
3 )JCE を「commoncriminalplan」、「commoncriminalpurpose」、「commondesignor purpose」、「commoncriminaldesign」、「commonpurpose」、「commondesign」、「common concerteddesign」として言及したりこともある。特に、第 2 次世界大戦の直後には「common purpose」で 使 用 さ れ た。CiaraDamgaard,Individual Criminal Responsibility for Core International Crimes(Berlin:Springer,2008),pp.130-131;JCE 理論に対しては竹村仁美、
「國際刑事法における JCE(JointCriminalEnterprise)の槪念⑴」『一橋法学』、第 6 巻第 2 号(2007)と「国際刑事法における JCE(JointCriminalEnterprise)の概念⑵」『一橋 法学』、第 6 巻第 3 号(2007)、木原正樹、「旧ユーゴ国際刑事裁判所判例上の共同犯罪実体 と概念 ― その意義と問題点をめぐる議論を中心に ― 」松田竹男他(編)『現代国際法の思 想と構造II』(東京:東信堂、2012)。佐藤宏美、「共同犯罪集團(JointCriminalEnterprise)
の法理と慣習国際法」『国際法外交雜誌』、第111巻第 4 号(2013)など参照。
4 )ICC の判例や外国文献などでは「controltheory」で略記している。JensDavidOhlin, EliesvanSliedregtandThomasWeigend,“Assessingthecontrol-theory”,Leiden Journal of International Law,vol.26,no.3(2013);しかし、この論文では「controlovercrime」の 意味をそのまま伝えするために「犯行支配理論」と翻訳した。この用語は韓国刑法上、正 犯と共犯の区別の基準の一つである「犯行支配説」で借用したものである。韓国刑法の「犯 行支配説」はドイツの理論を受け入れたものである。ICC の「犯行支配理論」もドイツの 理論に基づく正犯と共犯の区別基準で導出された法理である。
5 )Prosecutor v. Lubanga Dyilo,ICC-01/04-01/06,TrialChamber,Judgmentpursuantto Article74oftheStatuteof14March2012.
6 )高山佳奈子、「国際刑事法をめぐる課題と展望」『刑事法ジャーナル』、no.27(2011)、pp.4- 5;ICTY などで確立された法理として適用されてきた JCE 理論の代わりに、最近具体的な 事件の処理が行われている ICC では、「犯行支配理論」に根拠して起訴と処罰が行われてい る。ICTY は ICC 規程第25条の一部が JCE 理論を明文化したものだと主張したが、ICC は このような解釈を認めなかった。また ICC は直接犯罪の実行を含めて、ICTY が認めない 共同犯罪の実行と間接犯罪の実行も明文化して規定している。それゆえ ICC は、各加担者 の責任をその実質的な寄与の程度によって判断しているということである。
7 )ICC,TheOfficeoftheProsecutor,“ReportonProsecutorialStrategy”,14September 2006,p.5 ; OfficeoftheProsecutor,“StrategicplanJune2012-2015”,11October2013, p.6.
8 )古谷修一、「個人の国際責任と組織的支配の構造」『国際法外交雑誌』、第109巻第 4 号
(2011)、p。61。
9 )フィリップ・オステン、「国際刑事法における「正犯」槪念の形成と意義 ― ICC におけ る組織支配に基づく間接正犯槪念の胎動 ― 」、川端博他(編)『理論刑法学の探究 3 卷』(東 京:成文堂 ,2010)、p。113。
10)StefanoManacordaandChantalMeloni,“IndirectPerpetrationversusJointCriminal Enterprise-Concurring Approaches in the Practice of International Criminal Law?”, Journal of International Criminal Justice vol.9(2011),p.161.
11)ICC 規程第25条 1 項は「裁判所は自然人について管轄権を持つ」とし、 2 項では「裁判 所の管轄権に属する犯罪を犯した者は個人的に責任を取り、処罰を受ける」と規定するこ とで、国際法上「個人の刑事責任」原則を明確にしている。また、手続き的な面でも国際 法を違反した個人を国際裁判所である ICC が国際法である ICC 規程を適用して処罰すると いう点で、個人に対する刑事責任追求の原則に充実したものと評価される。キム・ヨンソ ク、『国際法』(ソウル:博英社、2010)p。244。
12)Prosecutor v. LubangaDyilo, ICC-01/04-01/06, Pre-Trial Chamber I, Decision on the confirmationofchargesof29January2007.
13)Prosecutor v. Katanga and Ngudjolo Chui, ICC-01/04-01/07, Pre-Trial Chamber I, Decisionontheconfirmationofchargesof30September2008.
14)客観的アプローチ(objectiveapproach)は犯罪に対する一つ以上の客観的構成要件を実 現することで、実質的に犯罪を実行した者だけを正犯として認めた。ICTY が採択する主観 的アプローチ(subjectiveapproach)は犯罪に対する寄与が行われた時の真の意図、すな わち精神状態を重視する方法で、寄与の程度とは関係なく犯罪を犯したい意図を共有して 寄与した者を正犯として認めた。Prosecutor v. Lubanga Dyilo, supranote12,paras.328-332.
15)Ibid.,para.331.
16)JensDavidOhlin、EliesvanSliedregtandThomasWeigend、supranote4、pp.725- 726;Fulford 裁判官はLubanga事件の 1 審裁判部判決の個別意見で ICC 規程第25条 3 項の 各号で現れた概念は、特定状況の適用において区別が困難な場合があるが、責任の様々な 形態の間の交差を確実に知ることができる程度に確実に設計しているために、第25条 3 項 はすべての可能性を包摂していると主張した。つまり、同項の⒜号、⒟号の下で可能とな っている実行の形は相互排他的でないと説明した。このような主張の根拠は明らかではな いが、ICC 規程の草案者が特定状況では第25条 3 項の一つを超過する責任の形が、適用可 能かも知れないということを予測していたとしてもこうした様々な形を定義しないでおく ことや、曖昧模糊な交差形式を使用して事件を裁判することを正当化されないだろう。Ibid., fn.21.
17)Prosecutor v. Lubanga Dyilo、supranote12、para.332.
18)フィリップ・オステン、supranote9、p。117。
19)Antonio Cassese, Guido Acquaviva, Mary Fan and Alex Whiting,International Criminal Law-Cases & Commentary-(New York: Oxford University Press, 2011), p.327.
20)間接犯罪実行者はローマ会議で「故意のない道具」などの利用に限定する案が提出され たが、現在のような定義に修正された。上述した通り、ICC 規程は間接犯罪実行者の概念 を明示的に規定した最初の国際条約だからこそ意義があると思われる。FlorianJessberger andJuliaGeneuss,“OntheapplicationofatheoryofindirectperpetrationinAlBashir:
German doctrine at the Hague?”,Journal of International Criminal Justice, vol.6 (2008), p.857.
21)フィリップ・オステン、supranote 9 、p。116。
22)GerhardWerle,supranote1,p.171.
23)Ibid.
24)Prosecutor v. Lubanga Dyilo ICC-01/04-01/06-749,Prosecution’sDocumentAddressing MattersattheConfirmationHearingof4December2006,paras.30-33 ; AntonioCas
sese、GuidoAcquaviva,MaryFanandAlexWhiting,supranote19,p.360.
25)GerhardWerle,supranote1,p.171.
26)Ibid.
27)同決定では、共同犯罪実行者(co-perpetrator)の概念を次のように説明している。犯罪 行為を協力して犯した 2 人以上の間には、犯罪実行のための本質的に重要な任務が分配さ れているという原理に起因した共同犯罪実行者は、犯罪に対して完全に支配/統制してい る実行者が存在しなくても、犯罪を実行するため、加担者らが相互依存しているため、結 局加担者の全員が支配を共有していると見ることができる。犯罪のすべての客観的構成要 件が実行された場合、連帯した複数の者たちの個別的な寄与が一緒に実施されるために、寄 与をしない者も、自分以外のすべての者の寄与に対して自己のものとする責任が負担する ことになる。Prosecutor v. Lubanga Dyilo, supranote12,paras.341-342.
28)Fulford 裁判官は、「本質的な」寄与を要求している点についてはあまりにも狭い基準と 批判している。Fulford 裁判官は、その代わりに共同犯罪実行のために、非常に単純な基準、
つまり「個人の寄与と犯罪実行の間に機能的な関連性(operativelink)」が存在しているの かを基準として提示した。Prosecutor v. Lubanga Dyilo supranote5,SeparateOpinionof JudgeAdrianFulford,para.15.
29)IliasBantekas,International Criminal Law, 4thed.(Oxford:Hart,2010),p.62.
30)JensDavidOhlin、EliesvanSliedregtandThomasWeigend,supranote4,p.732.
31)Ibid.,p.734.
32)Ibid.
33)Prosecutor v. Lubanga Dyilo, supra note12,para.340 ; 竹 村 仁 美⑵、supranote3、
p.1423.
34)竹村仁美⑵、supranote3、p.1423;第25条 3 項⒜号が「共同実行」(jointcommission)
の形態を規定しているために、JCE 理論と類似している点があると指摘する見解もある。こ のような立場を説明しながら「共同実行」と単純な犯罪「実行」(participation)は、主観 的な領域で最も大きな違いがあると説明される。「共同実行」で重要なことは共通の計画、
設計または目的であり、国際法に対する一つ以上の犯罪を実行しようとする目的がなけれ ばならないと説明している。GerhardWerle,supranote1,p.173.
35)AntonioCassese,GuidoAcquaviva,MaryFanandAlexWhiting,supranote19,p.327.
36)GerhardWerle,supranote1,p.178;同事件の予審裁判部はドイツにおける議論を明示 的に踏襲している。Prosecutor v. Katanga and Ngudjolo Chui, supranote13 para.496;
Roxin の理論は ClausRoxin,Täterschaft und Tatherrschaft(Hamburg:CramdeGruyter, 1963)参照;特に「正犯の背後の正犯」(TäterhinterdemTäter)理論は1960年代以降ド イツで発展した。特に、Roxin の行為支配理論(Tathert-schaft)に沿っている。すなわち、
直接正犯を「協議の行為支配」(Handlungsherrschaft)、共同正犯を「機能的行為支配」
(funktionelleTatherrschaft)、間接正犯を「意思支配」(Willensherrschaft)の概念でそれ ぞれ説明することで、この 3 つの正犯形式に「行為支配」という共通の指導原理を持って きた。また、Roxin は間接正犯について錯誤に陥っている者を利用したり、責任能力がない 者を利用した、つまり、古典的な間接正犯以外にも、イスラエルで裁判を受けたアイヒマ ン事件を契機として、ナチスの不法体制とソビエト連邦共和国の独裁体制を考慮するよう になった。最初は「組織的権力機構を通じた意思支配に基礎した間接正犯」(mittelbareTät erschaftkraftWillensherrschaftinorganisatorischenMachtapparatem)と提示されたが、現 在は「組織支配に基づく間接正犯」(mittelbareTäterschaftkraftOrganisationsherrschaft)
という理論で構築されている。その後、この理論の要件については議論されてきたが、「組 織支配に基づく間接正犯」理論自体は、ドイツの学説の中で好意的に収容されて通説にな り、BGH 判例でも認定された。またドイツ国内だけでなく、中南米国家の判例はもちろん、
ICC 予審裁判部でも採用されるに至った。後藤啓介、「日本刑法における共謀共同正犯と国 際刑法における『正犯』概念に関する一考察 ― 中核犯罪の『黒幕』とされる者は如何なる 概念によって捕捉されるべきか」『法学政治学論究』、第87号(2010)、pp。50-51。
37)Prosecutor v. Katanga and Ngudjolo Chui, supranote13,para.514.
38)Ibid.,paras.511-518.
39)このような支配/統制の有無という観点によって、JCE 理論と「犯行支配理論」の決定 的な違いが生まれるようになり、組織的の権力機構の構造内で幇助が存在し得るという理 論的説明も可能になった。後藤啓介、supranote36、p。52。
40)Ibid.,p.62.
41)Harmen G. van der Wilt,“Genocide, Complicity in Genocide and International v.
Domestic Jurisdiction: Reflections on the van Anraat Case”, Journal International Criminal Justice, vol4.(2006),p.312.
42)GerhardWerle,supranote1,p.180.
43)Prosecutor v. Katanga and Ngudjolo Chui, supranote13,para.537.
44)Ibid., para.492.
45)StefanoManacordaandChantalMeloni,supranote10,p.172.
46)HarmenG.vanderWilt,supranote41,p.312.
47)Wyngaert 裁判官はMathieu Ngudjolo Chui事件の第 1 審裁判部の判決の同意意見で、
Ušacka 裁判官はAl Bashir事件の予審裁判部の決定で違った考え方をしている。Prosecutor v. Mathieu Ngudjolo Chui, ICC-01/04-02/12, Trial Chamber II, Judgment pursuant to article 74 of the Statute of 18 December 2012, Concurring Opinion Judge Van den Wyngaert,para.59 と Prosecutor v. Omar Hassan Ahmad Al Bashir ICC-02/05-01/09-3, Pre-Trial Chamber I, Decision on the Prosecution’s Application for a Warrant of Arrest against Omar Hassan Ahmad Al Bashir of 4 March 2009, Separate and PartiallyDissentingOpinionofJudgeAnitaUšacka,para.104参照.
48)GerhardWerle,supranote1,p.180.
49)Barbara Goy,“Individual Criminal Responsibility before the International Criminal CourtaComparisonwiththeAd HocTribunals”,International Criminal Law Review,vol.
12(2012),p.57.
50)Ibid.
51)Ibid.
52)GerhardWerle,supranote1,p.182.
53)Ibid.
54)Ibid.
55)Ibid.
56)Ibid.,p.184.
57)Katanga事件の第 1 審裁判部が提示した共犯の要件は全部で 5 つである。第一に、管轄権
に属する犯罪を犯したか、第二に、犯罪を犯した者たちが共通の目的を持って行動する集 団の一部を形成したのか、第三に、被告人が犯罪実行に「重要な寄与」(significant contribution)をしたのか、第四に、その寄与が意図的だったのか、第五に、犯罪を起こす ための集団の意図を認識していたかどうかである。SummaryofTrialChamberII’s Judgementof7March2014PursuanttoArticle74oftheStatuteintheCaseofThe Prosecutorv.GermainKatanga,para.73.
58)GerhardWerle,supranote1,p.185.
59)Ibid.
60)Ibid.,p.281.
61)Ibid,p.230.
62)Ibid.
63)Ibid.
64)イ・ジングク、「国際刑法の国内の受け入れとその課題」『比較刑事法研究』、第14巻第 2 号(2012)、pp。454-455。
65)必要的共犯というのは一人の人間が単独で犯すことはできず、 2 人以上があってこそ行 い得る犯罪の形、つまり犯罪構成要件の内容から見て、犯罪成立に多数の者が必要な犯罪 の形をいう。多数説は必要的共犯を集合犯と対向法に分けている。詳しい内容は、オ・ヨ ングン、『新刑法入門』(ソウル:博英社、2009)、pp。162-164参照。
66)Ibid.,p.166.
67)Ibid.,pp.166-167.
68)Ibid.,p.167.
69)シン・ドンウン、『刑法総論』、第 7 版、(ソウル:法文社、2013)、p。564。
70)キム・ドンリュル、「不法体制の首脳部の処罰根拠として組織支配論」『刑事政策』、第25 巻 第 3 号(2013)、p。315。
71)オ・ヨングン、『刑法総論』第 2 版(追補版)(ソウル:博英社、2012)、p。559。
72)最高裁1989.4.11.宣告88度1247の判決;最高裁2003.3.28.判決2002も7477の判決など参 照。
73)シン・ドンウン、supranote69、pp。564-565。
74)Ibid.,p.562.
75)オ・ヨングン、supranote71、p.560;ベ・ジョンデ、『刑法総論』、第10版(ソウル:紅 文社、2011)、p。552;シン・ドンウン、supranote69、p。567。
76)Roxin は2007年、自分の論文で組織支配を認めるための条件として「背後者の指示権限」
または「著しく上昇された道具の犯罪遂行態勢」を提示している。これは同事件の予審裁
判部が提示した間接犯罪の実行の構成要件と実質的な意味で大きな差がない。キム・ドン リュル、supranote70、pp。325-326。
77)行為支配説にも限界は存在する。この理論で「行為支配」という事態の推移を左右しう る地位を言って、一定の事実状態が変化・発展していく犯罪類型で検索できる特性である。
このように事実状態の変化・発展過程で事態の進行を左右できる特性を持った犯罪類型を 支配犯という。ところで問題は、犯罪の特性が事態の進行にいるのではなく、一定の義務 の履行に置かれている犯罪類型、つまり義務犯も存在することにある。また、自首犯の場 合には犯人自らしか犯罪実現を左右することができる。義務犯や自首犯の場合から分かる ように、行為支配説がすべての正犯類型を欠かさず説明しないでいるのがその限界として 指摘されている。シン・ドンウン、supranote69、pp。566-567。
78)Ibid.,p.568.
79)現行刑法の故意犯は犯の罪悪性が否定される者と被利用者の範囲が制限されたのは、間 接正犯を一種の欠陥補充水と考えていた立法当時の状況に起因したものといえる。刑法を 制定する当時にさかのぼれば、共犯の成立と関連して極端従属説をとっていたために、被 利用者の可罰性が否定される場合、その背後にある利用者の可罰性も一緒に否定された。こ れによって発生する処罰の空白を埋めるために考案されたのが、現行刑法上の間接正犯の 規定である。こうした立法の背景は間接正犯において、被利用者の範囲を制限する結果を もたらした。イ・ジュヒ、「組織支配による間接正犯の成立要件と適用限界」『清州法学』第 32巻第 2 号(2010)、p。58。
80)オ・ヨングン、supranote71、p。654。
81)Ibid.,p.568.
82)Ibid.,p.624.
83)Ibid.,p.622.
84)韓国刑法は、間接正犯の本質について通説である正犯説、共犯説、道具型・共犯型二分 説の学説対立がある。Ibid.,pp.654-655;道具型・共犯型二分説は間接正犯の正犯性を認 めながらも、韓国刑法の第34条 1 項の間接正犯は教唆や幇助で処罰できない共犯の特殊な 形態として、「準道具性」の特徴を持った「共犯型間接正犯」を指すとする見解である。共 犯型間接正犯説によると、韓国刑法第34条は者を生ある道具に利用する形態の間接正犯で ある道具型間接正犯を規定したのではなく、教唆及び幇助犯で処罰できない形の犯罪を間 接正犯として規定したものとして、結局共犯型間接正犯を規定したものだという。これに よって優越した意思支配を認めることは難しく、道具に利用する性格よりは教唆および幇 助の性格がより強い知識欲のない故意ある者、身分のない故意ある者を通じて犯罪を実行 する場合を共犯型間接正犯に該当するとしてみなし、これを簡単かつ明瞭に解釈できると