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と追体験学習へのアプロ■ チ An Approach to the Method of Learning by Nacherleben through the

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(1)

家庭科 に,お ける体験学習の検討と追体験学習へのアプロ■チ

An Approach to the Method of Learning by Nacherleben through the

exa■

lination Of the MethOd Of Learning by Doing

吉 原 崇 恵

Takae YosHlHARA

(昭和 61年10月 11日受理

)

は ,じ

 

 

本報告の主題は

,家

庭科の目標達成にとって ,有 効な体験学習のあ り方について検討するこ とである。

従来 ,体 験的学習方法は家庭科の学習方法の特質 といわれてお り

,具

体的には ,実 験・実習 を重視するものである。それは ,教 授・学習における直観性の原理に通 じるものであ り ,現 代 の子 どもたちの生活経験の乏 しさもあいまって ,有 効な方法 と考えられてきている。その場合 において

,「

なすことによって学ぶ

(Learning by doing)J優

位性 を生か しながら

,系

統性 を強 化 し確実なものにするように価値づけられてきたといえよう。 (1)

本報告では ,ま ずブ家庭科における体験学習の現代的意義にっいて考察する。次に

,二

つの 実践例から ,体 験学習の必要性を検証する。二つの実践 とは ,生 活資料の加工技術の習得 と材 料認識をねらいとする学習 と ,生 活文化 としての知識や技術 を生み出した人間の力の存在を知 させる実践である。その中で

,生

活文化 を生み出 した人々の生 きた歴史的背景を理解 させる教 育課程を編成するための視点を追究する。一つの試みとして

,『

おばあさんの知恵』 をとり入 れた授業を考察 し実践研究を行 う。その実践研究は ,過 去の他人の体験を背景 となる諸事情の 理解 とともに体験 させることのできる教育課程をめざす ものである。とくに ,体 験学習を対 自 化するためには

,追

体験概念の教育課程への導入に意味があることを明ちかにする。

1日 家庭科における体験学習の意義

筆者は ,家 庭科で育てたい能力を「家族を中心 とした生命再生産過程

(以

下 ,生 活 とする )

についての科学的認識」 と「生活文化の伝承 と創造の能力」であると考えている。

小学校家庭科の食物領域を例 にあげれば

,「

なぜ

,な

にを ,  どのように食べるのか」 という 過程について ,ま ずは ,食 品 ,栄 養

,調

,と いう一連の科学的知識 と技術を習得させること をねらいとしているのである。そのねらいを達成させるための学習指導は

,子

どもたちに食事 調べをさせて ,食 品の分類をさせ

,そ

のバランスをみさせるという計画で行ってきている。が

,

しか し

,近

年では

,そ

のような展開は出来にくいという声がきかれるようになった。

子 どもたちは ,食 生活の乱れ

(た

とえば朝食を摂 らない

,間

食が多い )も さることながら

,

食品を分類 しようにも ,自 分達が何 を食べているのかを知 らないということである。というの

(2)

,子

どもたちは,ま ず ,食 品名を知らない

(た

.と

:え!キ

す .ヤ

ベ イと自莱 の 呼別 が

:夕

:),

原材料を知らない

(と

うふは大豆からつ くられる),ま た加工品

(ハ

ムやソーセージ ,調 理済 みのものなど

)を

利用することが多 く

,原

材料がわかりにくいなどの状況に当面するのである。

1977年

1978年

に改訂された現行教育課程では小

,中,'高

の各段階において

,勤

労にかかわ る体験学習が強調されている。小学校では「働 く│と の喜びを得させる」

,中

学校では「仕事 の楽しさや完成の喜びを体得させる」

,高

校では「正しい勤労観や職業観の育成」を重視し

,

実践的 ,体 験学習の必要性が唱えられてきた。それは ,著 しく進んだ生活手段の商品化によっ て子どもたちが ,生 活体験や労働体験の機会を失ってきた状況を反映しているものである。

静岡大学教育学部附属浜松小学校の岩井弘美子教論は ,家 庭科学習に ,次 にみるような「体 験的活動」を組み入れている。 (2)

①生活事象を見つめる活動

  

家庭生活を観察する ,試 行する ,見 学する ,こ れらを通 して 長い間に受けつがれてきた生活の知恵を見つけてい く。また生活事象に含まれている問題

に気づ いてい く。

②生活の科学 ,合 理性を追求する活動

  

資料 を見る ,実 験する

,調

査する ,試 食する

,:実

習する

,示

演する ,こ れらの活動を通 して ,比 べた り

,確

めたりするなかで「なぜ

,そ

するとよいのか」 という原理

,原

則がわか り ,生 活の合理性を見い出してい く。

③ 自分で創 り出してい く活動

  

製作する ,改 善する ,実 行する ,こ れらの活動を通 して

,

工夫を加え ,自 分で創 り出す喜びを味わうてい く。

     '

以上の考え方は

,か

つて牧野氏が ,家 庭科で育成すべ き能力構造 として論 じたもの と通 じる ところがある。 (3)

牧野氏の能力構造は

,生

活事象を見つめる能力を生活の現実認識 として

,生

活の科学性 ,合

理性を追求する能力は

,社

会科学的 ,自 然科学的認識 として ,自 分で創 り出してい く能力は

,

すなわち ,技 術・技能の習得 ,実 践力 ,生 活課題の自覚 と生活の変革力 として構想 したもので あった。

岩井氏の具体的な体験学習 と牧野氏の能力構造を対応 させてみると

,家

庭科で育成すべ き諸 能力を達成するために ,体 験学習は重要な学習方法 として多様な形で展開できることが うかが えるのである。

2ロ

ニ つ の実践例 に基 づ く体 験 的学 習 の必 要性 の検 証

(1)滝

口実践の場合

  

技術 と材料認識を主 とする例

滝口裕美子教論は

1954年

生 まれの東京の小学校教師である。滝口氏の教材づ くりの基本的な 考え方 と授業の実際をみてみたい。

なにしろ

,子

どもは食品そのものを知 らないので ,カ レーライスの材料が何であるのかが わからない。 もちろん食品群に分けることなどとうていできないのである。

(中

)

まず「食べ ものに作 りかえ

,お

いしく食べる」 ということが重要な問題なのである。だが 実は

,そ

れが食物学習の基本であるのではないかと思いついた。

(中

略 )

教材づ くりを考えるとき念頭においたことは

,「

個体発生は系統発生をくり返す」 という 言葉である。

人間の生存にとって基本 となり典型 となる食品は何か

,そ

してその食品で何 を考えるか

,

などを洗い出す作業を続けた。 (4)

(3)

家庭科 における体験学習の検討 と追体験学習へのアプローチ 213

以上に引用 したものは食教材についての考え方である。他の領域の場合 も同様に ,教 材の配 列にあたっては

,子

どもが「まずから´ だを使って布や食品などの材料に対する感性的な直接経 験

(5)を

重ねたうえで

,最

終的な教材で ,材 料についての認識を整理する」

(6)と

考えられている。

例 として

,教

材名「大豆を使って」 を組か くみると

,「

きな粉づ くり」「みそとみそ汁づ く り」

(7)「

とぅふ

,ゆ

ばづ くり」 「大豆のまとめ」 という教授項 目で構成

:配

列されている。

この指導計画は

,'大

豆が ,  日本人の食生活の中で ,穀 類たん自質の欠点であるリジン・ トリ プ トファンなどを補 うことのできるたん白質源 としての役割 を果 してきたす ぐれた食糧資源で あるとの教材観に基づいてつ くられたものである。

そして ,大 豆を ,火 や道具・機械を用いて加工 し ,き な粉

,み

,と うふを作る経験 を通 して ,次 に掲げることをねらいとしている。

(8)      .

イ :大 豆は食べにくい食品であるが

,そ

の欠点を道具や火を用いて有益な食品につ くりか えてきた人間の知恵や技術の存在 を知る。

口。大豆 という一つの食品からさまざまな加工食品が作 られていることを知 り ,自 分たち のまわ りにある加工食品に限を向けるようにする。

ノ ‐ ヽ .加 工上の共通性に気づ き

,そ

れが食品の特徴

(成

分上の特徴 を含めて

)に

もとづいて いることがわかる。

二。 日本の食物文化を代表する食品でありながら ,現 在では原料の輸入にたよっている事 実を知る。

      i

先にあげた ,  きな粉

;み

そ, とうふなどの教材は ,人 々が大豆の消化率を高めるために

,加

熱・粉砕・発酵・圧搾などの技術 をほどこしたことを理解 させるものであり ,配 列であること がわかる。そして

,子

どもたちに ,そ の都度

,消

化率の良さを理解 させることによって加工技 術の価値に気づかせ

,そ

れを生み出した生活の知恵

0に

注 目させている。

(2)林

実践の場合

  

人間の力の存在について認識 させる例

林信子教論は大分県宇佐市の小学校教師である。単元「先人の知恵に学んだおやつ作 り」は , 子 どもたちが買って食べるおやつは

,砂

糖が多 く入っているという状況に対する問題意識から 設定されたものである。 ほ ω

そ して

,家

庭科で育てたい能力は ,自 分で自分の体 を守れる力 ,生 活を切 り拓 く力であると 考えられてお り ,食 教材の場合ならば ,体 験を通 して食べ ものの本来あるべ き姿

(全

工程

)を

わからせたいと考えられている。全工程 とは ,生 産一加エー食べるの三工程のことである。林 実践では ,と くに

,「

労働」を体験させることによって

,

見えない部分 "を わか、 らせたいと表 現 されている。 まず

,

見えない部分 "と は

:体

を通 してわかること ,友 だちとの連帯す食べ ものの手に入る過程 ,労 働後の快感などがあげられている。そ して ,体 験 とはいわずに「労

働」を体験 させる。 。という時に

,「

友だちとの連帯」に象徴 されるように ,人 間の力の存在 に

注 目させたいというねらいが理解されるのである。

前述 した

,三

工程のうち「食べる」ことの学習において ,先 人の知恵を参考に実習が計画さ

れている。たとえば ,子 どもたちは実習を通 して ,麦 をよく噛んでみると

,歯

ごたえや自然の

甘みのあることを知 り ,昔 の人々がこの味を生か して

,い

ろいろの料理を工夫 して利用 してき

たことを知ることができる。また

,麦

から粉が作 られる工程で ,子 どもたちに石 うすをひくと

いう体験 をさせて

,石

うすの原理や工程の原理のすばらしさを見直させるような指導計画であ

る。

(4)

さらに

,名

産となっているうどんは ,地 元の自然が育てた麦を人々がその地の気候の特徴 を うまく利用 して

,加

工 していることを学ばせるための教材である。このように

,生

産二加エー 食べる ,と いう ,ど の段階において も先人の知恵

,い

わゆる人間の力の存在 を知 らせることに 注意を払った教育課程 として考えられているということができよう。

以上 ,滝 口実践 と林実践の中に占める体験学習のねらいを検討 してきた。いずれも食物教材 の例であったが

,滝

口実践における体験学習のねらいは ,加 工の技術 と材料認識を主 とするも のであった。林実践は

,人

間の力の存在を知るために ,体 験学習が位置づけられていた。そし て

,二

人に共通することは ,食 べるための材料に対する知識や加工の技術は ,人 間の食生活の 歴史の中で作 り出されたものとする認識である。

生活文化 としての知識や技術の習得のために体験学習が必要であるという例 をみてきたわけ であるが

,知

識・技術を生みだした人々の心情や

,そ

の時の諸事情を理解する必要はないのだ ろうか。

    │

人間たとりまく外的諸要因

(こ

れを環境という)と 人間の対応の仕方,ま た環境への働きか けの仕方

,な

どを学ぶことにおいて ,過 去の他人の体験に習うことは一方法として試みたいこ

とである。従 って過去の他人の体験 を

,生

活の歴史の領域 として とらえ

,体

験学習 を生活史的 視点で構想することの有効性 を考 えてみたい。

生 活 史 的体 験 学 習 の有効 性 とその実 践

生活文化 としての知識や技術 を過去の人々が生み出した歴史的・社会的・自然的背景 ととも に学ばせる学習を「生活史的体験学習」 と名づけた。

今回は ,1970年 代に出版 された『おばあさんの知恵袋』

0や

『おばあさんの引出し』

nの

などの 文献

(以

下 『おばあさんの知恵』

)を

取 り入れた授業を構想 し ,実 践を試みた。

①はじめに

前段でとりあげた滝口実践 と林実践における体験学習は ,子 どもたちが ,実 習や実験など ,

直接にモノに働 きかけるという意味で

,直

接体験の学習形態をとっていたも今回 ,試 みた実践 においては ,子 どもたちは直接体験の学習形態に加えて

,『

おばあさんの知恵』 を資料にする という

,い

わば間接的な体験をするものである。

本授業では

,一

つの教材につ き対照群クラスに対照案で ,研 究群クラスに研究案で ,実 践 し た。研究案が『おばあさんの知恵』の資料 を盛 りこんだオリジナル案である。授業 と教材の効 果を判定するためにプリテス トとポス トテス ト ,観 察者による評定尺度 ,合 評会などを行 った。

実施は

1981年12月

である。

まず

,『

おばあさんの知恵』に

,な

にゆえ注 目し ,ど のような文化的・教材的価値があると 考えるのか

,に

ついて ,次 のように規定 した。おばあさんの知恵 とは

,「

ひとりのおばあさん を通 してみることのできる ,人 々が長い年月をかけた生活の中で身につけている実践的な知識 や能力のこと」であ り

,「

背景には ,積 み上げられてきた貴重な歴史が存在する」 と考えた。

そこから

,『

おばあさんの知恵』 を教育課程の中に取 り入れることによる効果 を ,次 4点

と仮定 した。それらは ,イ .生 活活動に対する多方面からの興味づけを促すことができる。

口。生活活動に際する原理や本質が暗示される。ハ。現在では

3す

でに失われつつある風習や

文化を学ぶことができる。二。前時代の生活における不便や困難を知 り

,そ

こで培われたもの

を理解 して現代の生活全般を見直す視点を得る。というものである。

(5)

家庭科における体験学習の検討 と追体験学習へのアプローチ

とくに,ハと二について

,表

現 をかえれば,

すなわち,人間と環境 とのかかわ り方の関係認 ,生活の現実認識

,自

己の生活態度の省察な

どを導 き発展 させることを意味 している。

教材は ,衣 領域

(中

学二年用 )と 住領域

.(小

学五年用

)を

準備 し

,衣

生活ゃ住生活をサイタ ルとして とらえた中か ら

,「

収納・保管」 「掃 除・修理」を機能再生のための管理として位置 づけた。

(図1)

②授業の記録 と考察

a。

衣教材の場合―静

1岡

大学教育学部

1附

属静 岡申学校第 2学 年 1981年

12月 17日,授

業者

,

遠藤珠実

衣類の保管についての事前の調査を表

1の

形 で実施 した。対照群 も研究群 も同 じ傾向で ,

「長 く大切に着ていくことは衣生活の申で重要 なことだと思って」いるのだけれど

,「

衣類の 入れかえや収納を自分でや りたい」とは思わな

図‐衣生活および住生活のサイクル

いし

,「

家の人がどのように衣類の入れかえを行っているかを知 りたい」とは思わない。

すなわち ,保 管についてほとんど関心をもってはいないということがわかった。

対照群の授業の記録は表 2で ある。また ;研 究群の授業の記録は表 3で ある。

授業後のテス トは自由記述で行った。

以下に生徒たちの自

1由

記述の申から対照群 と研究群の特徴をあらわしているものを列挙する。

対照群

Pl衣

類の保管ということで授業をした。まずクリモグラフというので世界の気候の様子を 比べた。 日本の東京 と三都市。 り を例にあげる。それからわかったことは ,日 本は季節が はっきりしている。降水量が夏期は多い。それによって温暖湿潤気候 ということは湿度が 高い気候 ということだ。それから気温の変化 も大きいため衣服をかえる必要がある。する と着ていない服の保管をする。湿度が高いので保管の時

,工

夫 しなけれ

lゴ

ならない。その 工夫のしかたは

,し

まう時 よく乾燥させることによって

,虫

干 しをすること。それはカビ を防 ぐ。それと保管する時は

,名

札によって収納場所 をはっきりさせるということがわ かった。

P2衣

更えは

,す

ぐにできるように収納場所を考える。

P3私

の家では

,大

きいはこを使っているのですが,こ ういうのは虫がわくもとではないで しょうか。おまけに

,そ

のはこの中にパラゾール

(防

虫剤 )が ,た ったの 2つ しかはいっ ていません。ここらへんはかんがえたいです。また

,す

ずしい所におくということをゎす れていたようですので

,家

へかえったらまっさきにやりたいです。

P4今まで,お母 さん力朝民のかん りをやって くれたけれど,それには

,こ

んなに深いイ ミが あった。今 まで母に衣生活をまかせ きりだったが

,新

しい知識 を身につけたので

,少

しは 手伝 うことがで きる。

新 しい住まいと住まい方

(6)

衣類の保管についてのプ リテス ト形式

てい った らよいのか

以上

Pl〜 P4は

生徒 たちの心 に残 ったことが らを代表す るものである。Plは衣類 の保管 の 必要性 と方法について根拠 をもってわかっている といえよう。

P2は

,図

1に

示 した衣生活 の サイクルに気がついている。

'3は

,問題 を発見 し改善 していこうとする関心が深 まった。P4

,家

族の衣類 の管理 を担 っていた母 に気 がついて,自分 も手伝 うことがで きると見通 しを もっている。 '

いずれ も

,ク

リモグラフによる気候の特徴 を理解 したことによって気候 と衣更 えの必要,そ

れに伴 う保管の必要 とい う間の関連 をよくとらえている。

研究群

P5昔の人 と今の人の くらし方のちがいが衣服の着方やせい りによってわかるとは思 って もみ ませ んで した。家庭科 もふか くかんがえるといろんなことがわかるんだなあ と思い ました。      :

P6昔の人の知恵 は大 した ものだ。

P7世の中だんだん便利になってい きます力ヽ その反面

,昔

の人の知恵が失われてい くの はさび しいことだと思 った。

P8昔

の人たちはいろんな工夫をしてえらいと思いました。私はめぐまれているので

,そ

ういうふうに工夫することはありません

6そ

れに

,お

かあさんに大部分やってもらって いるので自分の服なら自分で整とんしたい。

P9こ のおばあさんのようにしっかり整理してきちんとした生活をしていきたいです。

P10こ

れからは衣類の管理をしっかりとして服を長持ちさせようと思った。ひとつの服 を大切に着たい。昔の人のように一つの服を最後まで大切に着たいと思います。

:強

く思 う ∵

    

思 う

     

思わ ない

H.衣服の管理、保存について思ったことを何でも書いて下さい。

(7)

217 W ♀

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聴朧 手  

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鞍  織臣

C 熙 榔唯

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(9)

家庭科における体験学習の検討 と追体験学習へのアプローチ

以上P5〜 P10は 研究群の生徒にみられた事項であるもP5は

,こ

の授業を単に (と表現 したわけ ではない力⇒ 衣服の着方や整理のしかたを学ぶ ものではな く,環境の変化 とくらし方の変化に関係 があることに気がついて,驚きをもっている。

P7, P8は

授業中の討論で出された「風習がなくな るのは寂 しいが

,そ

の分,他のことが便利になってきてj夏で も冬で も着れる衣服が出てきた り,

そういうふうになってきたのは逆に良いことだと思う」 という発言 と同様のものである。これらの 考えは

,資

'つ

の「いまは暖房完備なら冬に夏服 もよし……」をふまえたものである。そして,現

在の自分たちは,恵まれている, という受けとめ方に留まって しまっている。 しか し冷暖房の完備 した現代の室内環境の状況をとりあげながら

,な

おも

,人

間の体温調節機能の重要 さをおさえた り, あふれる衣料の収納に空間を占領されるという矛盾など,現代生活における衣更えや保管のあ り方 へ と発展させる教育課程が必要である。

対照群 と研究群の比較 をしてわかることがある。対照群 においては

,ク

リモグラフを資料 とした ことによって,季節や気候の変化に対応 した衣生活のあ り方を理解 している。この根拠 については 研究群では「なんとな く」に留っているが,衣更えや保管が人の手によってなされた事実を身近に 感 じているといえよう。そして「ひとつの服を長 く着たい」「 しっか り整理 してきちんとした生活を したい」 という羨望に似た気持を定着させることが必要である。そのためには「昔は大変だった」

という認識に留 らせず

,衣

類を大切にせ ざるを得なかった諸事情 を綿密な資料を提示 して理解 させ ることが必要になって くる。

いいかえれば,諸事情の もとでの くらし方の中に,生徒 を入 りこませ るようなす じ道。0を経て

「自分ならどうする」 と気をもむような状況をっ くり出せる時,昔の人々と共感するということが できる。そ して

,こ

の体験 を生かして,現在 はどうなっているのか

と認識が発展するための教育 課程編成に導いていきたい。

b.住

教材の場合一静岡大学教育学部附属小学校第

5学

 1981年

12月 18日 授業者 川本真由美

衣教材の場合 と同様に授業を行う前に

,子

どもたちの住居管理 として典型的な

,掃

除について表 4の 形で意識を調べた。

その結果

,掃

除について

,自

分が行 うことや家の人が していることに対する関心度において,対

照群はプラス傾向であ り,研究群はマイナス傾向であった。表

5,表

6は 各々

,対

照群,研究群の 授業記録である。以下

,授

業中の発言やポス トテス トの自由記述にあらわれた各々の群の特徴 を比 較 してみよう。

いずれの場合 も

,授

業展開の中に,ゴミを集めてそれを観察,分類 させる体験学習をとり入れて いる。④両群 とも共通 して,「ゴミはなぜ出るのだろう」 ということについて,「生活すれば自然に 出るごみ」 と「落 し物,失した物などゴミにしているもの」 とがあることを発見させている。さら

,両

群のちがいに注 目してみると,Oすまいと環境 との関係のとらえ方に関して,対照群では,

ゴミが処理されなかったら,「電球にゴミやほこりがつ くと部屋が暗 くなる」「海にゴミを捨てると 人間だけでな く魚が死んだ り自然にも害がある」などと考えた。研究群では

,資

l171か

,お

ばあ さんたち力゛くらした時代は,ゴミは「雨の日は泥

,乾

けば砂ぼこり」

,家

のまわりの様子は「一面に 田畑が広が り

,道

も舗装 してなかった」「ガラス戸 も小さく何枚 もはめてすき間がた くさんあった」

ことを読みとっている。さらに

,自

分達の教室で集めたゴミの観察,分類をして,昔のゴミと比較 して,「昔は砂ぼこり,泥などが多かったけど

,今

は工場で作 ったもの身のまわ りの もの」「化学繊 維やチ ョークとかビニール製品」「昔はどうしても自然に入って しまうゴミだったが今は人間が出す 219

(10)

ゴミが多い」「まだ工夫すれば使えるようなもの力゛ 多い」と思考が展開している。すなわち ,研 究群 の方は ,昔 と今の環境のちがいと住まいの申のゴミのちがいを関連づけることが出来たも昔は日に 二度も几帳面に掃除をする必要があったことを考える中で

,現

実の自分達は

,「

気をうければゴミに はしなくてすむ」はずだと自省 している様子がみられた。⑥健康で気持よく住まう方法とか ,だ れ がそれを担うのかということに関する記述では

,対

照群で「いつもざつにそうじをしていたけれど

,

そうじをしないと健康のために ,ま た体に害があることがわか りました」と自分をふりかえること ができている。研究群でも「お母さんは ,毎 日毎日そうじをしてくれて ,ふ けつなどにならないわ けがじゅう分わかりました。今までのことをふり返ってお母さん一人だと大変なので ,わ たしも手 伝います」と子どもは ,具 体的なお母さんの姿を思い起して ,さ らに自分を省みている。

こうしてみると,研究群は,授業前に対照群 よりも関心度がマイナス傾向にあったわけだか ら,

その変容がみられたといえよう。ゴミを少なくすることや

,そ

うじの工夫,実践 しょうとする気持 においてより具体的なイメージを伴っていることがうかがえるし,仕事の担い手を意識することが で きた点が特徴的だと思われる。

それは,『おばあさんの知恵』 を通 して

,お

ばあさんが生 きた環境 と自分たちが生 きている環境の ちがいとゴミや管理のしかたのちがいを関連づけて思考 し,発展 させたのだといえよう。その思考 の発展途上に現在の自分の姿がみえてきたのではないだろうか。

掃除についてのプ リテス ト形式

の よ に そ じしてヽヽるか

G。

そうじについて思ったことを何でも書いて下さい。

(11)

家庭科 における体験学習の検討 と追体験学習へのアプローチ

③まとめ

授業を実施するにあたって

,『

おばあさんの知恵』を教育課程の中に取り入れることについ て仮説にあげた効果の申で ,達 成できたと思われるものは

,「

前時代における不便や困難を知 り

,人

間と環境 とのかかわり方を理解 して

,I現

代の生活全般を見直す視点を得ることができる といえよう

:そ

の過程で子どもたちの中に「音の人は大変だった。偉かった」という感情が生 まれた。

・しかし

,問

題がないわけではない。 「今は楽になって良かった Jと 受けとめる場合 もあった。

この認識

│で

は ,生 活の現実認識や問題解決の思考の発展が期待できな くなるかもし

:れ

ない。と すると生活の改善やよりよい創造への態度 も生 まれにくいだろう。この点は教育課程の編成の 上でどうしても克服 したい点である。

『おばあさんの知恵』 を導入 した今回の生活史的体験学習の実践で得 られた成果は二点であ る。一つは

,「

前時代における不便や困難を知 り ,人 間と環境 とのかかわ り方を理解 して ,現

代の生活全般を見直す視点を得る」ことである。二つには ,他 人の体験を ,自 分の体験 として とらえることを押 しすすめる必要が明らかになって

,そ

の対 自化を行 うことのできる綿密な資 料の提示の必要性が鮮明になった。

4  体験学習の対 自化 と しての追体験 の意味

生活の知識や技術などの文化が生み出された諸事情を教育課程に組み入れた体験学習のあり 方を追究している目的は ,究 極的には

,子

どもたちが

,生

活の現実認識

│を

ふまえて,自 らを生 活文化の伝承と創造の担い手として白覚できるように育てるためである。

滝口実践では ,体 験学習を通して

,加

工技術や材料認識を育てようとしていた。

林実践では

,生

活の知識や技術が人間の手によってなされたことの認識をねらいとしていた。

また

,生

活史的体験学習としての今回の『おばあさんの知恵』学習では

,人

間と環境とのか かわり方を理解させ ,昔 の人に対する尊敬の合を引き出すことができた。

そして

,家

庭科の能力目標を達成するための体験学習

̀に

必要な視点が明らかになってきた。

自分ならどうする ,何 ができる,と いう思考の体験をさせるために ,生 活文化を創 り出して きた人々の努力や生き方を共感できるような

,当

時の事情の中に子どもたちを入 りこませてい くことである

:す

なわち

,当

事者性としての体験という意味で ,体 験の対自化を追究する必要 があり

,そ

れを容易にさせる教育課程のあり方を開発しなければならない。

そこで ,今,追 体験概念に注目してみたい。追体験 とは: もともとは臨床心理学の分野に あったものである。辞典類の規定は次のようなものである。

̀

他人の体験を自分の体験として生き生きと,と らえること l181 五   或る体験を自分のものとして体験すること は

"

iii 

他の人がとら

,え

た精神的体験を― 自分の体験のなかに取 り入れることである。ある人が 他の人の表情の意味をとらえたというような場合

,問

題なのは

,た

だ単なる表情の知覚 ではなく

,そ

の人の表情のうしろにあるかれの生活史的体験のなかに,自 分を没入させ

,

そして

,そ

れをとらえたといえるのである。その人の身になって感 じるのである。この ような場合

,了

解ということばも用いられる。芸術作品を鑑賞する場合にも,こ の追体 験や了解の働 きは必要であって

,こ

れがないと単なる形式の鑑賞だけに終って しま

ぅ。 (20)

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