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(1)

静岡大学教育学部研究報告 (人 文・ 社会科学篇 )第 号 (1996.3)219〜 231

大学生の非合理志向について

A study on irrationality-orientedness in university students

原 田   唯司

Tadashi HARADA

(平 成 7年

10月

2日 受理 )

Abstract

This study aimed at developing the scale to measure irrationality-orientedness in undergraduates, making clear about the structure of irrationality-orientedness, and ex-

ploring the relationships between irrationality-orientedness and some variables concern-

ing personality and cognitive charachteristics. A questionnaire including the 22-item Irrationality-orientedness Scale, subjective probability estimation toward 18 paranormal phenomena and 14 personality,/cognitive variables was administered to 193 university students.

Calculation of a coefficient and internal consistency indicated that the Irrationality-

orientedness Scale had highly reliable measurement trait. Pearson correlations between irrationality-orientedness and the subjective probabilities of several paranormal pheno- mena confirmed substantially high validity on the Scale. The result of principal compo- nent analysis revealed five diagonal factors which interpreted "Spiritualism", "Parapsy- chology", "Psi", "Superstition and Fortune-telling", and "Paranormal' Experience"

respectively.

Multiple regression analysis showed that the tentency to make a subjective boundary line between the scientific world and the antiscientific could explain the degree of irra- tionality-orientedness. That is to s&y, approval of the exsistence of a supernatural power such as inexplicable things in terms of the human reason ability or contem-

porary scientific technique and a belief in God and Budda had an effect to foster the

irrationality- orientedness.

(2)

近年 ,テ レビや週刊誌で超能力や超 自然現象を題材 とした特集番組や記事 が数多 く組 まれて い る。 と くに超能力を取 り扱 ったテ レビ番組 の視聴率 は若者を中心 につねに高 く ,一 部 の テ レ

ビ局 ではシ リーズ化 され るほどであ り ,一 種 の ブームともいえ る状況を作 り出 している .ま た ,

ここ数年 の間 ,若 い世代を中心 に占いやおま じないが流行 し ,ベ ンダ ン トや小 さな玉 ,鉱 物 の 飾 りのよ うな品物 が幸運 を呼ぶ ファッション・ グッズと して広 く受 け入 れ られ るよ うにな って きている .星 占いや血液型性格・ 相性 占いなどによる方向づ けに基 づ いて一 日の行動 を計 画 し た り ,他 者 との人間関係を結ぼ うとす るといった ことも実際 に行われた りしている .い わ ゆ る 新 0新 宗教 の多 くが ,  霊界 との対話 "や 空中浮揚 "と いった神秘的体験 や超能力を売 り物 に し ,巧 みなメデ ィア戦略 とも相 まって若者 を中心 に浸透 しつつあ るの も ,最 近 の若 い世代 の 超能力 や超常現象 に対す る興味・ 関心 の高 まりとは無縁 ではない .

このよ うに比較的若 い世代 を中心 に超能力や超常現象 に対す る関心 が高 まり ,そ うした現象 の実在 を信 じた り ,あ る場合 には自分の行動 の指針す ら求 めるといった傾 向 ,す なわち超 常現 象 の実在 を受 け入 れ る傾向が進んでいるよ うに思われ る。確か に ,未 来 ので きごとを予知 した り ,  気 "の 力 な るもので物体 を動 か した り ,死 者 と交信 したり ,あ り得ないものが写真に写 っ ていた りといった不思議 な現象がテ レビや雑誌 であたか も客観的 な 事実 "と して紹介 され て

いた とすれば ,特 別 な予備知識 がない場合 には ,そ の場 の瞬間的な印象 として単純 に興 味 を抱 くことは誰 にで も起 こり得 る .俗 にい う こわい もの見 たさ "の メカニズムが働 いて ,超 常 現 象 に興味や関心 を持続 させ ることもあろう .ま た ,  幸運 のペ ンダン ト "や 水晶玉 "を 身 に つ けた り ,星 占いで他者 との関係 の持 ち方 に気を配 った りす ることは ,一 面 では一種 の若者 文 化 の現 れ と見 なす ことが可能 であ るのか も知れない .こ のよ うに ,若 い世代がいわば単純 な動 機 や表層的 な理 由に基づ いて超常現象 の存在を受 け入れているとす るな らば ,流 行や ファッショ

ンを追 い求 めよ うとす る若者 らしい傾向の一つの現れ と解釈す ることも可能であ り ,取 り立 て て問題 にすべ きことが らとい うことにはな らないであろ う .

しか しなが ら ,客 観 的に存在が証明 されていないか らこそ科学的検討 の対象 とすべ き超常 現 象 を ,あ たか もアプ リオ リに実在 の ものであると見 な し ,科 学的検証 の必要性 を認識す る こと を捨 て去 ってそのままを無批判 に受容 しよ うとす る心 の働 きが こうした現象を受 け入れ る背後 にあ るとすれば ,こ の点 につ いて心理学的な検討を加え ることには大 いに意味があると考 え ら れ る .科 学的 な実在が現時点 では証明 されていない諸現象 を信 じ ,受 け入 れ る傾向が青 年 の間 で どの程度見 られ るのか ,ま たそ うした傾向にはどのよ うな心理学的要因が関与 しているのか を明 らかにす ることを通 して ,現 在社会 に生 きる青年 の心理的特徴 を把握す る 1つ の視点 が提 供 され ることにな るか らであ る .

もちろん ,各 個人が超常現象 に対 して どのよ うな態度を形成 し ,自 分 自身 の行動 がそれ らに どの程度影響 されて いると考 え るのか は ,い わば個人 の価値観 や信条の範疇 に属す ることで あ る .し たが って ,仮 に こうした現象 の存在を全面的に受 け入 れ る人物がいたと して も ,ま た そ

の正反対 に頭 ごな しに否定す る人物がいた として も ,そ の こと自体 につ いて は第二者があれ こ れ と価値判 断すべ きことが らで はない .超 常現象 につ いて どのよ うに考 え るのか は優 れて個 人 的価値観 の世界 ので きごとであ り ,そ の枠組 みの中の自由は認 めなければな らない .

本研究 において は ,青 年 の間で超常現象を信奉す る傾向が広 が っていることにつ いてあれ こ

れ と論評す るので はな く ,ま ず事実 としてそ うした傾向があるといえ るのか どうかを判断 す る

ための基礎 的なデータを提供す ることをめざ している .す なわち ,超 常現象を受 け入 れ る傾 向

(3)

を測定す るために妥当性かつ信頼性のある尺度を作成す るとともに ,そ の構造について一定 の 知見を加えること ,さ らに ,測 定 された傾向に寄与すると考え られるいくつかの心理学的要因 を取 り上げて双方の間の関連性の程度について明 らかにす ることを本研究の目的 とす る .

ところで ,超 常現象 (paranormal phenomena)と は , Tobacyk&Milford(1983)に

れば,(1)現代科学では説明不可能であること ,(a科 学の基本的な限界原理の改訂によってのみ 説明が可能になること,(3)現実についての通常の知覚 ,信 念 ,期 待 と両立 しないことの 3つ の 基準か ら定義 されるさまざまな現象を指す。彼 らは具体的には ,  宗教 ",  超能力 ",  オ カル ト ",  魔術 ",  迷信 ",  超 自然的で途方 もない ,地 球外部の生命形態 "が 超常現象

に含 まれると仮定 して ,お おむねこの分類に したがった因子構造を見いだす とともに ,新 たに 超常現象信奉尺度 (Belief in Paranormal Phenomena Scale)を 作成 して いる。 しか しなが ら ,こ の尺度 には宗教や迷信など現象 というよりは信念内容に関わる領域が含まれているので , 一括 して超常 現象 "と してまとめることにはやや疑間がある .む しろ ,こ こで取 り上 げ られ ている内容 は ,い ずれ もいまだ科学的・ 客観的に存在の証明がなされていない ,そ の意味で現 時点では非合理的な ものと見なす ことができる .こ こであげられたいくつかの現象 は非合理的 存在 という点で共通 していることに注 目し ,本 研究においては ,超 常現象を代表 とす る ,現 在 の科学が もたらす知見では非合理的と考えぎるを得ないものの存在を信 じたり ,受 け入れた り

す る傾向を非合理志向 (irrationality¨ orientedness)と 呼ぶ こととす る .な お ,本 研究 におい ては ,米 国 と我が国との間の宗教的土壌の相違 も考慮 に入れて ,あ えて 伝統的な宗教的信心 "

の次元を非合理志向の中に組み入れることは避 けることとした .そ の上で本研究ではまず第 1 に ,非 合理志向を測定する尺度を開発 し ,非 合理志向にどのような構造が見 られるかにつ いて 検討す る .非 合理志向測定尺度 は ,お そ らく非合理的なものに対する信念や意見 ,行 動 および 体験に関係す る項 目か ら成 り立つ ものと予想 される .そ こで第 2に ,そ れとは異なった視点か ら非合理的なものを受 け入れる傾向を測定するために ,非 合理的な ものの実在をどの程度信 じ ているかについての主観的な確率評定 も求めることとした .こ の結果か ら ,非 合理志向測定尺 度の妥当性の証拠が間接的に得 られることが期待 される .さ らに第 3に は ,非 合理的な ものを 受 け入れる傾向の背景 には ,科 学技術に対す る態度 ,思 考様式 ,人 間の理性・ 認識能力 に対す る態度 ,お よび人生観 0社 会観などが関係 していると考え ,こ れ ら 4つ の領域への評定 と非合 理志向 との間の関連性について検討を行 うこととす る .

1.非 合理志向測定尺度項 目の収集

超常現象 ,心 霊現象 ,超 能力などを題材 として取 り上げたいくつかの書籍 0雑 誌 の中か ら , こうした非合理 な現象を信 じたり ,受 け入れたりする内容を表す文章を選 び出 し ,で きるだけ

簡潔にまとめた .ま た , Eckblad&Chapman(1983)や Randall&Desrosiers(1980), Tobacyk&Milford(1983)で 使用 された超常現象についての信念を測定す る尺度項 目群を和 訳 した もの もい くつか含めた .さ らに ,中 島・ 佐藤・ 渡邊 (1993)で 作成 された超 自然現象信 奉尺度の一部についてはそのまま用いた .項 目を収集する際には ,黙 従反応傾向を避 けるため に ,非 合理的な現象を否定す る意味を表す項 目について もできる限 り含めることとした .こ

ように して収集 された項 目は全部で 30個 であった .

各項 目に対 して ,"あ てはまらない "  どちらかといえばあてはまらない "  どち らともい

方 法

(4)

えない "  どち らか といえばあて はまる ""あ て はまる "ま での 5段 階評定を求 め ,順 1か

ら 5点 を与 えて得点化 した .

2.実 在可能性の主観 的確率の評定

比較的知 られた現象 であ って ,被 調査者 にとってそれ らの内容 につ いての説明がある程度 可 能 であ ると思われ る超常現象 を関連書籍や雑誌 の中か ら 18個 選 び出 し ,そ れぞれの現象 が どれ くらいの確率で実在す ると考 えて いるかにつ いての回答を求 めた .選 択 された現象 は以下 の通 りであ る :  守護霊 "  幽霊 "  均い霊写真自動書記 "  エク トプ ラズム "  ポル ターガイ ス ト "  予知 "  テ レパ シー "  念力 "  透視 "  テ レポーテー ション (遠 隔移動 )"  霊 視

(リ ーデ ィング )"  チ ャネ リング ダウジング 臨死体験 "  睡眠 中 の体 外離脱 "  U FO"  気功 による病気治療 ".

それぞれの現象 が実在す る可能性 についての主観的確率を 0%か ら 100%ま で 10%刻 みで表 示 した選択肢 を用意 し ,そ の中か ら今の自分の考えに もっとも近 い確率を選択 させ , 0%か

順 に 0か ら 11点 を与 えて得点化 した .未 知 あるいは不確かな知識 しか持 たない場合 には ,無 回 答 を認 めた .

3.科 学技術 0人 間の理性 に対する態度 ,思 考様式および人生観・ 社会観 の測定

科学技術 に対す る態度 を測定す るために ,進 みつつある科学技術 に対 す る不信 や脅威 の念 ,

お よび現代科学技術 の限界 の認識 を表す項 目を用意 し ,同 時 に科学技術への信頼 を表す項 目 も 作成 した。それ らの項 目は以下 の通 りである . 科学技術 の進歩 に不信感 を感 じて いる "(不

信 ),  とめどな く進 む科学技術 に脅威 の念を覚え る "(脅 ),  科学 がい くら進 歩 した と して も ,科 学 の力 で説 明のつかない現象 は残 る "(限 ),  超能力 と呼 ばれ るもの も ,い

れ科学 の力 で解明 され るときが くると思 う "(信 ).

また ,人 間の理性 や認識能力 に対す る態度 を測定す るために ,人 間の認識能力 の限界 ( 人 間の認識能力 には限界があ り ,わ れわれはそれを超えた ものを認識す ることはで きな い "),

理性 を越 えた ものの存在 の肯定 ( 人間の理性で は説明で きない ものが この世 に存在す る "),

お よび人間の知識 の限界 ( 私 たちの知識 には ,原 理的 に言 って限界 とい うものがあ る ")の

3項 目を用 いた .

思考様式 に関 して は ,因 果関係思考 ( もの ごとがなぜ生ず るのか といった因果関係 につ い て考え るの は得意 で はない "<反 転項 目 >),思 考的衝動性 ( 目の前 の問題 を さ して確 か め もせず にそのまま受 け取 って しま うところがある 1),思 考的外向性 ( 思案す るよ りは活動 す る方 が好 きだ "),お よび短絡的判断傾向 ( もの ごとを短絡的 に見 る傾向がある ")の 4 項 目を用意 した .

さ らに ,人 生観 0社 会観 に関わ る項 目として ,運 命決定論 ( 自分 の運命 は神 や仏 によ って 決 め られて いると思 う "),努 力 による環境可変性 ( 自分 の努力 で回 りの環境 を変 え る こと がで きるはずだ と思 う "),お よび世界 の了解不能性 ( 世 の中の本 当の ことは誰 に も知 る こ

とはで きない ")の 3項 目を用意 した .

各項 目に対 して普段 の自分 の考 え方 に あて はま らない "  どち らか といえばあて はま らな い "  どち らともいえない "  どち らか といえばあて はまる "  あて はまる "ま での 5段 階評 定 を求 め ,順 1〜 5点 を与えて得点化 した .

4.被 調査者 と調査時期

国立大学教育学部 の 1, 2年 生合計 193名 (男 子 71名 ,女 子 122名 )を 対象 と して ,1994年

(5)

7月 に調査 を実施 した .被 調査者 の専攻 は ,文 科系か ら理科系 ,芸 術系 に至 るまでほぼ均等 に 分布 して いる .調 査 は講義時間を利用 して行 い ,回 答 は無記名で求 めた .

1.非 合理志向測定尺度の信頼性

非合理志向測定尺度の内的整合性を検討す るために ,以 下の分析を行 った .ま ず ,高 得点 で あるほど非合理志向が強 くなるように ,必 要な項 目については得点を反転 させて 30項 目の合計 値を算出 した .つ ぎに当該の項 目を除いた残 りの項 目得点の合計値 と個々の項 目得点 との間の 相関係数を算出 したところ ,  16か ら 。 602ま での範囲 にまたが って いて ,い ずれ も 5%水

準で有意な結果が得 られた .な お ,標 準化 α係数 は 。 858, Spearman¨ Brownの 折半法 によ る信頼性の値 は .784で あり ,充 分高いと考え られる .以 上か ら ,非 合理志 向測定尺度 は高 い 内的整合性を備えているといえる .

つ ぎに非合理志向測定のために用意 された各項 目の性質や特徴を明 らかにするために ,主 成 分分析を行 った .そ の結果 ,第 1主 成分の寄与率が第 2主 成分以下に比べて顕著に高い ことか ら ,本 尺度 は 1つ の有力な因子か ら説明 しうるものと解釈 された .し か しなが ら ,第 1主 成分 への負荷量が低い項 目がいくつか見つかったこと ,さ らに ,内 的整合性の検討を行 った際にも ,

他の項 目に比べてい くらか相関係数の値が低か った項 目も存在 していたので ,そ うした基準 に 当てはまる 8項 目を除 くこととして ,残 る 22項 目を非合理志向測定尺度 として以後の分析 で用 いることとした .

22項 目に したときの標準化 α係数および Spearman‐ Brownの 折半法による信頼性の値 はそ れぞれ 。 881,。 801で あり ,原 尺度に比べて向上が見 られた .ま た ,該 当項 目以外 の得点 の合 計値 と個々の項 目得点 との間の相関について も ,最 小の値が 。 324で あ り ,  もともとの30項 目 の場合に比べて大幅に上昇 した .以 上か ら ,22項 目か らなる非合理志向測定尺度 は十分 な信頼 性を備えているといえる .

2.非 合理志向の因子構造

非合理志向測定尺度 は顕著な 1因 子構造を示 していると考え られるが ,尺 度に含 まれる項 目 群がどのような領域か ら構成 されているかについて知 るために ,22項 目について再度主成分分 析を行 った .初 回の主成分分析の結果を参考 にして因子数を 4〜 6に 指定 して主成分分析 を繰 り返 したところ ,因 子数 5の 時が もっとも解釈可能性が高か ったので 5因 子解を採用 し ,  さ ら に斜交回転 (直 接 oblimin法 )を 施 した .そ の結果を Table lに 示す .第 1因 子 は 霊魂 の 不滅を信 じている ",  前世 というものの存在はあり得ない (逆 転項 目 )"な どの 7項 目か ら なり ,  霊的世界 "因 子 と命名 した .同 様 に して ,第 2因 子以下をそれぞれ 超心理学 ",

超能力 ",  迷信・ 占い "お よび 不思議体験 "因 子 と命名 した。

これ ら 5因 子の間の相関を見 ると ,  霊的世界 "と 迷信・ 占い "(。 294),  霊的世界

"

と 超心理学 "(.290),  超心理学 "と 不思議体験 "(。 267),  超心理学 "と 迷信 0

占い "(.255),お よび 迷信 0占 い "と 不思議体験 "(.231)と の間 に比較的高 い相関が 認 め られた。

22項 目それぞれへの評定値を単純加算 したものを非合理志向得点 とし ,性 別 と学年を独立変 数 とす る 2× 2の 分散分析を行 ったところ ,主 効果および交互作用はいずれ も見 られなか った

(Table 2)。 なお ,非 合理志向得点の可能な範囲は 22点 か ら 110点 までの間であるが ,実 際 には 果

(6)

Table 1  0blique rotated factor pattern matriЖ  of the items for the lrrationality― orientedness Scale

Item Fl   F2   F3   F4   F5   hi

霊的世界 9  霊魂の不滅 を信 じている

22a) 前世 "と い うものの存在は有 り得ない

28  たた り "や 呪い "が 本 当にあると信 じている 4a)死 後の世界な どあるはずがない と思 う

24  きつねつ き "の よ うな体験 をす る人は どこにで もいる

25  虫の知 らせ "は 誰 にで も起 こ り得 る

8  宇宙人 は地球 を訪れてい るはず だ と思 う 超心理学

15  超心理学に関す る本 を読むのが好 きだ

14  ノス トラダムスの大予言 "の よ うな本が好 きだ 7  ネ ッシーは実在す ると思 う

超能力

13a)念 じるだけでスプ‐ ンを曲げることな どできるはずがない

1  超能力は実在す ると思 う

3  超能力は世の中の役 に立つ と思 う

12  手か ざ しで病気 を癒す人がいて も不思議ではない 迷信・ 占い

21  手相や家相 といつた ものが気 になる 193)星 占いには関心がない

26a)姓名判断には興味がない

6  迷信 を信 じやすい

29  おま じないをよくす る 不思議体験

23  自分は誰かの生まれ変わ りではないか と考えたことがある

2  自分には何 らかの超能力があるか も知れない と思 う

.75 .11 ‑.03 .70 ‑.09  .12 .69   。 09   。

12

.64‑.03 ‑。 18 .57 .03‑。 10 .56 ‑.06 ‑.10 .44  .30 ‑.25 .20   。 84 ‑.36 .20   。 82 ‑。 06

.26 .53‑.01

.19  .03 ‑.78 .53  .40 ‑。 68

.33 .31‑.61

。 45  .39 ‑.52 .37  .36 ‑。 20

.・28  .26 ‑。

14

.29 .05‑.32

.36   。 46  .07 .08  .20‑.24

.00 ‑。 12  .60 .12  .11  .53 .20   。 07  .64

.00 ‑。 21  .48 .08  .21  .53 .02  .23  .44

‑.17  .09   49

.26  .05  .66 .23  .30  .65 .26  .37  .49

。 28  .21  .44 .74  .04   。 63

。 72  .36   。 56 .61 ..12  .46

。 60  .14  .53 .53  .45  .43 .18  .07  .71  .59

‑.25‑。 11 .67 .61

‑.04  .12  .45  .37

7   6   3 1 0 7 4 1 0

.20‑.02 .11  .06

‑。 15 .27 11  コ ック リさん に興 味が あ る

Contribution (%) 29。 3  7,7  6.3  5。 7  5。 1 54.1

e) Reversed item.

22〜 99点 の間 に分布 して いた .全 体 の平均 は 62.52で ほぼ中間点 に近 い .

また ,各 因子 ごとに項 目評定値の合計点を求 め ,性 別 ×学年 の 2要 因分散分析 を行 った と こ ろ ,  超能力 "因 子 で は学年 の主効果が有意 (F=4.40,p<。 05)で あ り , 2年 生 の方 が 1年 生 よ りも超能力 に関す る現象 を肯定す る傾向が強か った .ま た ,  迷信・ 占い "因 子 で有意 な

性別 の主効果 が見 いだ され (F=11。 79,p<.01),女 子 の方 が男子 よ りも迷 信 や 占いを よ り受 け入れてい ることが明 らかにされた (Table 2).

3.超 常現象実在の主観的確率

評定 を求 めた 18種 類 の現象 の うちで無回答率が 5%以 下 であ った 13項 目につ いて ,実 在 す る と思 う主観的確率 をパ ーセ ンテー ジの形で求 めた結果が Table 3で あ る .な お ,  この 13項 目 の うち 1つ で も無回答 の項 目があ った被調査者 11名 につ いて は ,分 析か ら除外 した .

まず全体 の傾 向を見 ると ,  テ レポーテー ション "と 透視 "が 実在す ると思 われて い る程 度 は他 の現象 に比べてやや低 いこと ,ま ,圧 倒的多数 が実在を信 じているよ うな現象 は見 当 た らない ものの ,か な り多 くの現象 において実在す ると考 え る主観的確率が 45%か ら 60%と い う中程度 の値 の中に収 ま っていることがわか る .

つ ぎに ,各 個人 につ いて これ ら 13項 目への主観的確率 の評定値 の平均 を求 め ,性 別 ×学年 の

(7)

Table 2  Means and SDs of the total and the subscale scores for the lrrationality― orientedness Scale

Tota1   lst gr. 2nd gr.

N=193    N= 94   N= 99

Male   Female      lst gr.

Male   Femalo N= 77   N=122   N= 37   N= 57

2nd gr.

Male   Female     F    p

N三

34  N=65  (Main Effect) 非合理志向

霊的世界 超 心理学 超能力 迷信・ 占い 不思議体験

62.52 60.83

(lb. o4) ") (Ls.7T)

g.26o' g. lB

( 0.86) ( 0.8e)

2.25 2.30

( 0.e5) ( o.ee)

2.9L 2.76 ,r

( 0. e5) ( r. oz)

2.98 2.87

( 0.88) ( 0.e0)

2.L3 2.08

( o.se) ( r.or)

64.12   60.04   63.96   60.41 61.11   59.65   66.46 (13.89) (14.87) (13.38) 3.20    3.12    3.46 ( 0.76) ( 0.88) ( 0.80) 2.30   2.15    2.24 ( 0.95) ( 0.92) ( 0。 93)

2.73    2.78    3.20 ( 0.93) (0。 77) ( 0.89)

2.97   2.67    3.28 ( 0.83) ( 0.83) ( 0.78) 2.02    2.29    2.11

( 0。 96) ( 1.01) ( 0.87) (14.21)

3.34

( 0。

83)

2.21 ( 0.92)

3.06 ( 0.87)

3.07 ( 0.84)

2.17

(0。 92) (16.74)

3.13

( 0。

97)

2.23 ( 0.99)

2.80

( 0。

98)

2.70 ( 0.92) 2.23 (1.05)

(13.83) 3.34 ( 0.78) 2.27

( 0。 93)

2。 98

( 0。 94)

* 3.14

( 0.82) 2.07 (0.91)

(18。 48) 3.15 ( 1.06)

.2.32 (1.06)

2.81 (1.15)

2.73 (1.00)

2.18

(1。 09)

2.600  。 077 2.052 .131

0。 292 .747 3.078 .048 (学

)

6.943 .001 (性 拐

1)

0.986 .394

Numbers in parenthesis indicate SDs.

All of the subscale means are replaced

00 pく

05 by means per 

teL

Tab1e 3 Subjective probability(%) of the existence for each paranormal phenonena, sex differences and Pearson correlations

with Irrational i ty-orientedness

No Item Total Male Female r

13予 知

1守 護霊

15 UFO 6臨 死体験

3気 功 による病気治療

16幽 霊

10心 霊写真

8テ レパ シー

2念 力

9睡 眠中の体外離脱

4霊 視 (リ ーデ ィング )

11透 視

5テ レポーテー シ ョン

56.48  62.79     。 60 **

54.00  63。

03 *  .65 **

63.66  54.59 *  .47 **

50.42  58.69    .57 **

55.35  55.20    .50 **

52.68  56.23    .64 **

48.59  58。 12 *  .62 **

48.87  50.41    .55 **

43.52  51.98 *   。 63 **

39。 27  50.00 *  .56 **

38.68  49。

40 *   。 65 **

32.82  40.57     。 54 **

16.76  20.99    .55 **

60.47

59。 74 57.93 55.58

55。 26

54。 92 54.61 49.84 48.85 46.16 45.46 37.72

19。 43

13項 目の平均評定 50.14  46.98  51.89     。 78 **

2要 因分散分析を行 ったが ,主 効果および交軍作用はいずれ も有意ではなか った .同 じよ うに して各項 目の主観的確率について も性別 ×学年の 2要 因分散分析を行 ったところ ,以 下のよ う な結果が得 られた .ま ず ,性 別・ 学年の主効果がともに有意であったのは 睡眠中の体外離脱

"

のみであった .男 子よりも女子の方が , 1年 生 よりも 2年 生の方が実在す る確率を高 く評定 し ている .ま た ,性 別の主効果が有意であったのは ,  守護霊 "  UFO"  均い霊写真 "  念力 "

睡眠中の体外離脱 "  霊視 (リ ーディング )"の 6項 目であり ,  UFO"以 外 はいずれ も 女子の方が実在を肯定す る割合が高か った .

Table 3に は ,非 合理志向得点 と超常現象実在の主観的確率 との間の Pearsonの 相関係数

(8)

Table 4 Attitudes style

toward science and tech■ ology, human reason and recognitive ability, cognitive and vlew of life and soc■ ety for each irrationality― orlented group

Item I(卜 50)Ⅱ (N44)  Ⅲ (卜 52) IV(卜 47)

科学技術 に対す る態度

科学技術 の進歩 に不信感 を感ず る 止 め どなく進 む科学技術 に脅威 を感ず る

い くら科学が進歩 して も説明できない現象は残 る 超 能力 も ,い ずれ科学の力で解 明 され る

人間の理性・認識能力 に対す る態度 人 間の認識能力 には限界がある

理性では説 明のつかない現象が この世に存在す る 人間の知識 には原理的に限界がある

認知様式

もの ごとの因果関係 について考 えるのは得意ではない て っと り早 く結論を求めたがる

思案す るよ り活動す る方が好 きだ もの ごとを短絡 的に見る傾 向がある 人生観 0社 会観

自分 の運命 は神や仏によつて定められている

自分の努力で回 りの環境 を変 えることはできるはずだ

世の中の本当のことは誰にも知ることはできない

2.98(1.33) 2.86(0.83) 3.06(1.57) 3.34(1.22) 3.84(1.35)4.18(0.87) 2.70(1.28) 2.91(1.22) 2.96(1.43) 3.20(1.05)

3.68(1.22)・

4.11(0.78) 3.76(1.36) 3.93(1。 13)

3.48(1.46) 3.41(1.13)

3。 96(1.12) 3.59(0.90) 3.50(1.33) 3.50(1.15) 3.48(1.18).3.50(1.00) 1.98(1.38) 2.20(1.15) 3.54(1.28) 3.52(1.17) 3.76(1.27) 3.77(1.05)

2.81(1.04)  0.66 3.06(1.36)  0。 41 4.66(0.67)  6.62 **

2.40(1.14)  1.68 3.06(1.33)  0。 33 4.70(0.51) 14.25 **

3.83(1.27)  0。

15

2.89(1.24)  2.31 +

4。 02(1.03)  1:95

3.49(1。 08)  0.82 3.32(1.02)  1.68 2.57(1.38)  1.76 3.96(1.00) 2.38 + 4.02(1.09)  1.69 3.10(1.12)

3.13(1.33) 4.46(0.83) 2.48(1.15) 2.98(1.36) 4.48(0.61) 3.86(1.22) 3.44(1.16) 3.65(1.15) 3,19(1.17)

3。 06(1.21) 2.25(1.20) 3.96(0.97)

3.50(1。 16)

Table 5 p statistics attitudes toward

+ "' p(. 10, :f '" p(. 05, *6'16 ''' p(. 01

between irrationality-orientedness and science and technology and other

Item

理性では説明のつかない現象がこの世に存在す る 自分の運命 は神や仏によつて定め られてい る い くら科学が進歩 しても説明できない現象は残 る ものごとの因果関係 について考えるのは得意ではない 自分の努力で回 りの環境 を変 えることはできるはずだ 世の中の本 当の ことは誰にも知 ることはできない

RZ    .31

を算 出 した結果 につ いて も記 してある .い ずれ もかな り高 い正 の値 を示 して いることか ら ,本

研究で作成 した非合理志向尺度 の妥当性を示す証拠 を提供 していると考 え られ る .ま た ,非 合 理志向得点 と 宗教 に関心がある "と い う項 目との間の Pearsonの 相関係数 は 。 154で あ り ,

5%水 準 で有意 であ った .こ の ことも非合理志向尺度の妥当性 の存在を示す傍証 であると考 え られ る。

4.非 合理志向と科学技術 0人 間の理性 に対する態度 ,思 考様式 ,お よび人生観 。社 会 観 との 間の関連

非合理志 向 との関わ りの強 さを検討す るために本研究 で用 い られた科学技術 に対 す る態度 , 人間の理性・ 認識能力 に対す る態度 ,思 考様式および人生観 0社 会観 に関す る項 目とい う 4種

類 の項 目群 それぞれ につ いて ,性 別 ×学年 の 2要 因分散分析 を行 ったが ,主 効果・ 交互 作 用 と もに見 いだ されなか った。

つ ぎに ,非 合理志向 とこれ らの要因 との間の関係を詳 しく検討す るために ,被 調査者 を非合 理志向を持 つ程度 によって 4つ の グループに分 けて ,科 学技術 に対す る態度 その他 の項 目へ の

.35 **

22 **

17 *

―。

14*

14*

.13*

(9)

評定値 の平均 を比較 した .グ ループは非合理志向得点の 25,50,お よび 75パ ーセ ンタイ ルの値 に基づ いて分 けた .す なわち ,25パ ーセ ンタイル値 (52点 )以 下 の者 を I群 (45名 ),25か ら 50パ ーセ ンタイル値 (53か ら 62点 )ま での者 を Ⅱ群 ,50か ら 75パ ーセ ンタイル値 (63か ら 72点

)

までの者 を Ⅲ群 ,75パ ーセ ンタイル値 (73点 )以 上 の者 をⅣ群 とした .

Table 4は ,各 群 の平均値を比較す るために一元配置の分散分析 を行 った結果 を示す .全 14

項 目の うちで有意 な主効果が認 め られたの は ,  い くら科学が進歩 して も説明で きない現象 は 残 る "と 理性 では説明のつかない現象が この世 に存在す る "の 2項 目であ り ,  もの ごとの 因果関係 につ いて考 え るのは得意 で はない "と 自分 の努力 で回 りの環境 を変 え ることはで き るはずだ "の 2項 目につ いて は ,傾 向が認 め られた .Duncanの 多範 囲検 定 の結 果 ,有 意 で あ った 2項 目で は ,い ずれ も非合理志 向が強 いグループほど得点が高 くなっていて ,科 学技 術 の限界や理性 を超えた ものの存在を明確 に認識す ることと非合理志向の強 まりとが結 びついて いることを示 している .ま た ,因 果関係思考 につ いてはⅣ群 と Iお よびⅢ群間 に 5%水 準 で有 意差 が見 られた .そ れ以外 の項 目につ いて は ,非 合理志向 との間 に体系的 な関連 は認 め られ な か った .

さ らに ,非 合理志 向の強 さにどのよ うな要因が どの程度寄与 しているのかを確かめるために ,

非合理志向を基準変数 ,科 学技術 に対す る態度 その他 の項 目を説明変数 として , stepwise方

式 による重回帰分析 を行 った (Table 5).そ の結果 ,説 明変数 として用 いた14項 目の うち 6 項 目で有意 な βが得 られ ,ま た重決定係数 (R2)の 値 は。 31で ,非 合理志 向を これ ら 6つ の質 問項 目で予測で きるのは約 3割 であることが示 された e Table 5か ら ,非 合理志 向 の強 さを 予測 で きる変数 として ,科 学技術 や人間の理性 の限界 を明確 に認識 し ,自 分 の運命す ら も神 仏 のよ うな自分 の力 の及ばない大 きな力 に決定 されていることを否定で きない心理学的傾向が関 与 して いることが うかがわれ る .し か しなが ら ,そ の反面 で は ,も の ごとが生ず る原 因 や結果 につ いて考 え ることが不得意 ではなか った り ,自 分 の努力 で環境 を変 え ることが可能 であ る と い う信念 や ,世 の中の真実を了解す ることの可能性を認 めるといった積極的 ともいえ る傾 向 も 非合理志向の強 さを予測す る要因 として考慮 に入れ る必要があるとい う結果 も示 されて い る . 非合理 な現象 を受 け入れ る心理的背景 は ,あ る種 の特有なパ ーソナ リティ要因や認知傾向によっ て単純 に説 明で きる ものではな くて ,い くつかの要因が相互 に絡 ま り合 って複合 した形 で影響

していることが示唆 されたといえよ う .

1.非 合理志向の構造

22項 目か らなる非合理志向測定尺度 は顕著な 1因 子構造を示 していたが ,各 項 目間の性質 の 違 いをより詳 しく知 るために主成分分析 0斜 交回転を行 ったところ ,  霊的世界 ",  超心理

学 ",  超能力 ",  迷信 0占 い "お よび 不思議体験 "と 命名 される 5つ の因子が抽 出 され た .こ の結果を代表的な 3つ の先行研究で得 られた因子構造 と比較 してみる .

Randall&Desrosiers(1980)は ,平 均年齢が 22歳 の ,ほ ぼ半数が大学生年代 であ る一般 サ ンプル 746名 に対 して 32項 目か らなる supernaturalism"尺 度を実施 し ,得 られた評定結果 の主成分分析を行 っている。その結果 ,第 1主 成分の寄与率が非常に高かったことに基づいて , 超 自然現象に対す る態度が 1因 子構造を持つと解釈 している .彼 らは quartimax法 による回

転の結果について も述べているが ,第 2因 子 として黙従反応傾向と解釈 される因子が抽出 され 察

(10)

て いた り ,最 大 の因子負荷量 を持 たない項 目を も組み入れてそれぞれの因子 の解釈 を行 って い るなど ,得 られた因子構造 の安定性 や信頼性 にやや難 があるよ うに思われ る .本 研究 で作成 さ れた非合理志 向尺度 とは ,顕 著 な 1因 子構造 を持つ点 では類似 して いるが ,見 いだ され た因子 の内容 につ いて は食 い違 いが大 きい点 が異 なっている .

一方 , Tobacyk&Milford(1983)は ,391名 Louisiana Tech大 学 の学生 (平 均年齢 20.

2歳 )に 対 して 61項 目か らなる超常現象信奉尺度 を実施 し ,主 軸法 による因子分析・ prOmax

法 による斜交回転 を行 った結果を報告 して いる。全部で 7因 子 までが解釈可能 とされ ,第 1因

子 か ら順 に ,  伝統的 な宗教的信心 ",  超能力の信奉 ",  魔術 ",  迷信 "。   均い霊主義 ",

超常 的生命体 "お よび 予知 "と 命名 され る因子 を見 いだ している。 ところで ,当 然 なが ら , それぞれの研究 で得 られた因子構造 は ,研 究 の背後 にある概念 の事前 に仮定 された構造 ,尺 度 が開発 された国の社会的 0文 化的背景 ,さ らには対象 とな った被調査者 の特性 に応 じて多様 で あ り ,い かに類似 した尺度名が与 え られていたに して も ,尺 度間を比較検討す る際 には十 分 な 注意 が必要 であ る .そ の点 につ いて押 さえた上で ,本 研究で得 られた因子構造 と Tobacyk&

Milford(1983)が 見 いだ したそれ とを比較 してみ るな らば ,宗 教的要素 の影響 が色濃 い 伝 統 的な宗教的信念 "と 魔術 "の 2つ の因子 を除 き ,本 研究の 霊的世界 ",  超能力 "お よ び 迷信・ 占い "の 各因子 はほぼ Tobacyk&Milford(1983)が 見 いだ した因子 と対 応 して いるといえよ う .残 る 超心理学 "と 不思議体験 "お よび 途方 もない生命形態 "と 予知 "

因子 に関 して は ,そ れぞれの尺度 に因子 の解釈 の方法や ,あ る次元 を測定す る項 目群 の間 に内 容的重複が観察 され ることについての若干 の疑間が存在す ることか ら ,直 接 の比較 は現時点 に お いて は可能 で はないと判断 した .

つ ぎに ,中 島・ 佐藤・ 渡邊 (1993)は ,私 立大学 の学生 194名 を対象 と して93項 目か らな る 超 自然現象信奉尺度 を施行 し ,主 因子法・ varimax回 転 を行 った結 果 ,  迷 信 ",  霊 ",

超能力 "お よび 超生命・ 超文明 "と 命名 され る 4つ の因子 を見 いだ している。本研究 で見 いだ された因子構造 との比較をす るな らば ,  迷信 ",  霊 "お よび 超能力 "と い う 3つ の 因子 に関 して はほどよい対応 を認 めることがで きるが ,そ れ以外 の因子 につ いて は重 な り合 う 部分 を見 いだす ことはで きなか った。 これ はおそ らく ,項 目選択 の方法や測定概念 につ いて想 定 された構造 の違 いが ,そ れぞれの尺度 で得 られた因子構造 の独 自な部分 と して表出 され たた

めであ ると考 え られ る .

測定対象 とな る概念 の定義 ,項 目選択 の基準 ,因 子分析 の手法 ,調 査時点 や被調査者 の特性 な どの相違 といった条件 の違 いによって ,完 全 に同一 の因子構造 の存在 が示 され ることは きわ めてまれな ことであ ると考 え られ る .し か しなが ら ,そ うした中で も ,本 研究で得 られ た因子 群 の うちであ るものは少 な くとも複数 の先行研究で見 いだ された因子 と共通 して いることが示 された ことは興味深 い .こ の ことが ,各 研究 と共通性が認 め られた 霊的世界 ",  超 能力 "

お よび 迷信・ 占い "の 各因子 が非合理志 向の中心的な次元 であ るとい うことを直 ちに意味す るわけで はないが ,少 な くともこれ らの 3つ の次元 は ,非 合理志向あ るいは超 自然現象 に対 す る信奉 とい った近接 した概念 の欠かせない構成部分であると考え ることは可能であろう .

2.超 常現象実在 の主観的確率

95%以 上 の被調査者 の応答が見 られた 13種 類 の超常現象 に対す る実在 の主観的確率 は平 均 し

て 50%ほ どであ り ,全 体 の傾向 と して はち ょうど中間的な位置であ った .個 々の現象 に対 す る

確率 の評定値 の平均 を見て も ,  テ レポーテーシ ョン "と 透視 "が やや低 い以外 は ,45%か

(11)

ら 60%と いう中程度の値の中に収まっていた .

本研究 と同様 にい くつかの超常現象について信奉する程度をたずねた中島・ 佐藤・ 渡邊 (19

93)の 結果の うちで本研究 と重複す る現象についての結果 と比較 してみると ,  予知 "(本

究 60.47%一 中島 ら 44.8%,以 下同様 ),  守護霊 "(59.74%‑32.1%),  気功 による病気治

療 "(55.26%‑45.0%),  幽霊 "(54.92%‑34.7%)お よび 念力 "(48.85%‑40.4%)で

は本研究の方が高 く ,逆 に テ レパ シー "(49.84%‑86.5%),  睡眠中の体外離脱 "(46.16

%‑53.6%),お よび 透視 "(37.72%‑42.0%)で は本研究の被調査者の方が低い評定を行 っ

ていた .超 常現象提示の方法 (現 象そのもの対文章項 目の一部 )と 評定方法 (実 在 の主観的確 率対肯定 ―否定の 5段 階評定 )が 異なるので厳密な比較 は困難であるが ,こ こで取 り上 げた現 象 について大学生 は全般 にある程度の確率で存在を信 じていると判断 してさしつかえないよ う

に思われる .

性差 に関 しては ,  UFO"の み男子が女子 よりも有意 に高 い得点を示 し ,  守護霊 "そ の 他の 5項 目については女子の方が高い得点を示 した (Tabe1 3).こ の結果 は ,  途方 もない 生命形態 "得 点で男女間に有意な平均値の差を見いだ した Tobacyk&Milford(1983)や T

obacyk&Pirttlia‐ Backman(1992)の 結果 と一貫 している . UFO"と の遭遇 や 雪男 "

の足跡の発見 といったできごとは ,  幽霊 "や 心霊写真 "な どに比べて ,科 学的探求心 をか き立てやすい題材である .本 研究ではそれぞれの現象群に対す る関心の程度の性差についての 資料を持たないので明確なことは述べ られないが ,男 子の方が科学一般 に対 して関心が高 いこ とに起因 している可能性を推測す ることはできる。

3.非 合理志向の程度に影響する要因

非合理志向を基準変数 ,科 学技術 に対する態度その他の項 目を説明変数 として重回帰分析 を 行 ったところ , TaЫ e 5に 示 したように ,  理性では説明のつかない現象 が この世 に存在す る "な 6項 目で有意な βが得 られ ,こ れ ら 6項 目で非合理志向の強さを説明で きる割合 は約

30%で あつた .当 初想定 していた 科学技術に対す る態度 "  人間の理性・ 認識能力に対す る 態度 "  認知様式人生観 0社 会観 "の 区分 とは系統的な関連性は示 されず ,有 意 な説明力 を示 した変数 はそれぞれの項 目群か らほぼ均等 に出現 した .こ のことは ,た とえば科学技術 に 対す る態度全般が非合理志向の強さに影響を与えているというよりも ,あ る特定の科学技術 に 対す る見解や評価の仕方が別のものとは独立 した形で非合理志向の強さを説明す る要因 として 寄与 していることを示唆する。同様なことは他の項 目群について も指摘できる .こ の点 を考慮 に入れて有意な説明力が認め られた 6つ の項 目の内容を吟味 してみると ,  理性では説明のつ かない現象 ",  神や仏の力 "や 科学の進歩によって も説明できない現象 "の 存在を認 める

ことによって ,科 学 として経験的に検証可能で ,客 観的・ 系統的に積み立て られた合理的知識 の体系 とその外 にある非科学的なものとの間に厳密な境界線を引 こうとす る考え方が背後 に潜 んでいるよ うに思われる .非 合理的なものを受 け入れる傾向が単純な科学あるいは科学的 な精 神の否定 と結 びついているわけではないことは ,  世の中の本当のことは誰 にも知 ることはで きない "や 因果関係について考えるのは得意ではない "と いう項 目が負の有意な説明力を示 したという点か らもうかがい知 ることができる . 世の中の本当のこと "を 科学の力 によ って

解明可能な領域であると考えるな らば ,こ れを知 ることを可能であると肯定す ることは科学 と

非科学 とを峻別す ることとは必ず しも矛盾 しない .し か も因果関係の思考が必ず しも不得意 で

はないとすれば ,科 学的な思考方法に不慣れであったり ,科 学的なものの見方が全 く育 って い

(12)

ないというわけで もない .し たがって ,問 題 は何を基準 として科学 と非科学 との間に線 を引 こ うとしているか ,さ らにそ うした態度を生み出す心理的メカニズムは何かである .

既存の科学的知識 と方法では解明できないか らといって ,超 能力や心霊現象を直ちに実在す るものと見な したり ,科 学の反対側 にあるものであって科学的知識の及ばないところに確か に 存在す るとの認識に直結 させるのは ,明 らかに論理の飛躍である .現 在の科学技術が万能 では ないことは自明の事実であり ,世 の中の自然 と人間をめぐって生ずる現象が余す ところな く解 明 されているわけではない .そ の意味では ,現 代科学の力を もって して も説明不能な部分 はつ ねに存在 し ,だ か らこそ未解明の現象を説明するための法則を発見 し ,場 合によっては既存 の 理論の修正や再構築をいとわずに現代科学 はたゆまない進歩を持続 させているのである .し た が って ,現 代科学がカバーできる領域には一定の範囲 というものがあり ,現 代科学の知識 と方 法を用 いて説明可能な現象 と説明不可能な現象 とを区切 ることは必ず しも不可能ではない .し

か しなが ら ,科 学の説明可能性の限界を認識すべきであるか らといって ,そ のことが直 ちに現 代科学で合理的に説明不可能な現象が実在する証拠 と見なせ ることにはな らないはずである .

に もかかわ らず ,科 学 と非科学 との間にあっさりと境界線を引 き ,科 学的認識の及ばない世界 でさまざまな非合理な現象の実在を信 じ込むのはなぜであろうか .

安斎 (1994)は ,非 合理な現象を信ずる原因となりそうな心理的メカニズムについて ,(1)

体験の絶対化 と他の体系的知識 との整合性の軽視ないし無視 ,(2)錯 誤 ,(3)不 可知論 の 立場の導入 ,(4)主 観的願望の優先 ,(5)信 頼すべき他者への判断の準拠 の 5点 を具体的 な例を挙げなが ら考察 している。必ず しも心理学的観点か らの言及ではないが ,科 学的 に実在 が確かめ られていないことが らをあたかも実在するかのように信 じ込む過程はまさに心理学で 取 り扱 うべ き課題領域であるので ,安 斎の指摘 はきわめて示唆に富む内容 となっている .た と えば ,  絶対化 ",  錯誤 ",  不可知論 ",  主観的願望 "や 判断の準拠 "と いった手が

か りとなる用語 に共通す る要素を仮に抜 き出す とすれば ,個 人が外部の情報を処理 し判断す る 仕方や思考の様式の個人差 といったことが らとしてまとめるのはあながち不可能なことではな い .同 じテ レビ番組の超能力特集を視聴 したとしても ,映 像に示 された 事実 "を 単純 にその

ものとして受 け入れて しまうのか ,そ れとも視聴率競争や や らせ "の 可能性 ,映 像の編集方 針 といった ,直 接 には映 し出された現象それ自体 とは独立 した関係にありなが ら ,実 際 には映 像 として示 された 事実 "を コントロール している要因の影響可能性にまで踏み込んで解釈 し

ようとす るのか ,さ らには ,見 たり聞いたりしたこととそれまでに蓄積 した科学的認識 との矛 盾を生 じさせた原因についてどれだけ多元的な思考ができるのか ,こ れ らの反応 は ,す べて 目 前に提示 された情報をどのように処理 し ,判 断 し ,解 釈するのかに関わる認知様式の相違 に関 係 している .本 研究で示唆 された ,非 合理志向と科学 と非科学の間の線引き傾向との間の関連 は ,認 知様式の個人差 という概念を導入することによって ,今 後新 しい枠組みの もとで検討 し 直す ことができるか も知れない .

文      献

安 斎育 郎  1994  科 学 と信仰 の 間 ―現 代 非 合 理 主 義 と教 育 ―   立 命 館 国 際 研 究 , 6巻 ,206‐

241.

Eckblad, M., & Chapman, L. 1983 Magical ideation as an indicatOr of schizotypy.

Jo r2α J O/CO nscJκ れ 屁ご

CJ力

jcα J Psycん ο Jogy,51,215‐ 225.

(13)

中島定彦・ 佐藤達哉・ 渡邊芳之  1993  超 自然 現象信奉尺度 の作成  Jo

α J o/ι んθ崚″観

Sλ 暉 jcs,2,69‐ 80.

Randall, T. M., & Desrosiers, M. 1980 Measurement oF supernatural belief: Sex differences and locus of contrOl.Jo

α J o/PcrSOttα κ″ y ASSassttθ πι ,44,493‐ 498.

Tobacyk, J。 ,(%Milford, G. 1983 Belief in paranormal phenomena: Assessment instru‐

ment development and implications for personality functions.Jo

rれ

α J o/PcrSOん α Jjly

飢 J Socjα J Psycん ο Jogy,44,1029‐ 1037.

Tobacyk,J。 ,1%Pirttlia‐ Backman, A‐ M. 1992 Pttanormal beliefs and their ilnplications

in university students from Finland and the United States.Jo rttα J o/CrOss‐ lgじ Jι じ raJ

Psycλ οJogy,23,59‐ 71.

Table 1  0blique rotated factor pattern matriЖ  of the items for the lrrationality― orientedness Scale Item Fl   F2   F3   F4   F5   hi 霊的世界 9  霊魂の不滅 を信 じている 22a) 前世 &#34;と い うものの存在は有 り得ない 28  たた り &#34;や 呪い &#34;が 本 当にあると信 じている 4a)死 後の世界な どあるはずがない と思 う 24
Table 2  Means and SDs of the total and the subscale scores for the lrrationality― orientedness Scale Tota1   lst gr. 2nd gr
Table  4  Attitudes style

参照

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