字□
文 一変イ
式
合の扱
の
活
用
いに関連 して 一
A Study on Using Letter Formulas Concerned with the Rate of Change
in Lower Secondary School
国 宗
進
Susumu KuNIMUNE
(平成7年10月 2日受理
)
I
研究の 目的文字 や文字式 を使 ってある命題 が成 り立つ ことを一般的に証明す る ことにつ いて の学 習 は、
中学校数学科 での学習指導 において、またそれ以降の学習指導 において、重要 な位置を 占めて いる。それは、中学校第2、 第3学年 での「 文字式 の利用」の項 で、文字式 によ り思考 を進 め て い く場面 で重点的 に取 り扱 われ、また、方程式や関数 の場面で も取 り扱 われ る。 この よ うな 学習指導 が総合的に行 われ ることによ って、子 ど もの文字式 の活用能力を育成す ることがで き
る もの と考 え られ る。
筆者 はこれまでに、 グループを組 んで「文字式 による論証」の場面での子 どもの文字式 の活 用能力 の育成 につ いて追究 して きた
1)。
その一つの発展 として、本稿 で は、関数学 習 の うち、特 に「 変化 の割合」につ いての学習場面 における文字式 の活用能力 について検討す る。
今 日、中学校第2学年 での
1次
関数y=ax+bに
つ いて の学習指導 で は、 その変化 の割合 が一定 であ ることを示す のに、定数a,bの数値が与え られて いる2, 3の関数 につ いて、 い くつかの具体的 な変域 の場合 にそれ らの値が一致す ることを調べて、帰納的に説明す るのがふ つ うである。また、第3学年 での関数y=ax2につ いて は、い くつかの具体的な変域 の場 合 に 求 めた変化 の割合 の値が一致 しないことを確かめて、一定 でないことを結論づ けている2)。
ここで、中学校第2学年 での学習指導全体 を眺 めてみ ると、「 文字式 による論証」 や「 図形 の論証」の学習では、ある命題が成 り立つ ことを主張す るには、どんな場合 で も一般 的 に成 り 立 つ ことを証明す ることの必要性 が強調 されている。だが、本稿 で取 り上 げる「
1次
関数 の変 化 の割合 は一定 であ る」 ことは帰納 的に確かめて、それでよ じと して いる。 この確か め方 の違 いは、一般的 に証明す るという数学 での議論の進 め方を身 につけ始 めた子 どもにとって、 どの よ うに映 るのであろ うか。「 一定である」 ことを結論づけるには、文字式を使 って証 明 しな く て はいけないのではないか、という疑間 は起 こらないのであろうか。また、上 で述 べたよ うな今 日の指導 によって、生徒 は
1次
関数 や関数y=ax2の 変化 の特徴を、変化 の割合 とい う観点か らどのよ うにとらえているのか、そ もそ も「 変化の割合」 を どの よ うに とらえて いるのであろ うか。
以上 のよ うな問題意識 に基 づいて、本稿 では、次の ことを 目的 とす る。
1)中学校数学科 における「 変化の割合」の取 り扱 いの歴史的変遷を明 らかにす る。
国 宗 進
2)「変化 の割合」が一定であることを証明す るのに、中学生 がどのよ うに文字式 を使 お う とす るか、また、「変化の割合」が一定ではないことを どのよ うな方法 によ って説 明 しよ うとす るか、その実態を調査 によって明 らかにす る。
3)2)の
調査結果 に基づ いて、中学生の「変化 の割合」についての理解 の様 相 を明 らか に し、指導上 の問題点を検討す る。Ⅱ 研究の内容
1
中学校数学科での「変化の割合」の取 り扱いの変遷ここでは、中学校数学科での関数学習における「変化の割合」の取 り扱 いの変遷 につ いて、
文部省学習指導要領や教科書での記述、および実践報告等に基づいて検討す る。
(1・
)学習指導要領の記述 昭和26(1951)年版このいわゆる生活単元の学習指導要領 (試案)3)での指導内容 は、指導内容一覧表 の形 で示 されていて、「生活経験」「理解および能力」「用語」の3点か ら記述 されている。そ こでの 関数指導に関連す る内容 は、次の通 りである。 (丸番号 は「生活経験」の欄、
0は
「 理解 および能力」の欄の記述である。)
第2学年
⑥ 自然現象や社会現象の中に比例の関係を見いだ したり、また、その関係を用いて、 日 常の問題を解決 したりする。
第3学年
③ 自然や社会における現象を理解 したり、問題を解決 したりするのに、比例や反比例 を 用いる。
O具
体的な事が らについて、比例す る変化の特徴を理解 し、これを用いる。・ 比例関係を式に表わ したり、その式を用いて問題を解いたりす る。
・ 比例定数 と、比例を表わす グラフの直線のこうばいとの関係を知 ったり、これを用 い た りす る。
⑦ 自然や社会におけるいろいろな現象を理解するのに、関係概念を用いる。
0具
体的な現象、あるいは量の変化を、他の一つの量 との関係において理解す る。・ 具体的な二つの変量 に関連 して対応の観念を理解す る。
・ いくつかの変化す る具体的な量の間に関係を予想 し、これを見 いだすために、 これ ら を表に表わ したり、グラフにかいたりす る。
O表
やグラフに表わされた二つの変化す る量について、変化の特徴や規則性を見いだす。0‑次式で表わされる関係をグラフに示す と、直線になることを知 り、 これを用 いる。
・ 関係ある二つの変数について、一つの変数がわずかに変化 した場合 に、他 の変数 は、
だいたい前者に比例 して変化することを知 り、これを用いる。
用語 としては、他の項 目で「一次式」「下次方程式」が示されているが、一次関数 は見 られ ない。
一覧表に続 く「第Ⅳ章中学校数学科の指導内容の説明」のⅡ.数量関係の「C.数量関係 の 指導」では、一次式で表 されるような関係については、次のようなことが理解 されれればよい
と して いる。
「(2)一次 の関係で は、変化率 が変 らないこと。
(3)一次 の関係 は、 グラフに表 わす と直線 にな り、比例定数 によ って、直線 の傾 きが決 ま ること。」
以上 のよ うに、 この試案 では、自然 や社会 における現象を理解す る もの と して関係概 念 を位 置付 けて いる。その対象 は
1次
の関係 までであ り、また、指導 に関連 して「 変化率」 とい う語 を明示 して説明 して いることが特徴的である。昭和33(1958)年版
このいわゆ る系統学習の指導要領で は、「C数量関係」の内容 と して次 のよ うに記述 されて いる。
第2学年
(1)座標 や式 の グラフの概念 を理解 させ、簡単 な関数関係 を グラフに表 わ し、関数 関係 を 明確 にす る。
ア
y=ax y=ax+bお
よびy=a/xの グラフ (数係数 の場合。)イ
グラフにおける式 の係数 の意味。
(2)比例関係および一次 の関係 の特徴を式 の形 や計算 を通 して明 らかに し、 これ を用 い る ことがで きるよ うにす る。
第3学年
(1)簡単 な二次関数 の グラフにつ いての理解を深 め、 これを用 いることがで きるよ うにす る。
ァ
y=ax2
ぉょびy=ax2+bの
グラフ。 (数係数 の場合。)イ
「 ア」の グラフの特徴 および係数 と形 との関係。
ウ
「 ア」に掲 げる二次関数 と一次関数 との値 の変化 の しかたの違 い。
工
「 ア」の グラフを用 いた二次方程式 の解法。
また、文部省指導書4)では、上 の第2学年 の
(1)イ
につ いて、次のよ うに述べて いる。「 aは直線 の方 向を決 め るもので、
aの
正、負 の種 々な値 に対 して直線 の向 きが どの よ うに変 るかを考 え させ ることも必要 である。また、y=aЖを比例 の式 とみれば、aはその 比例定数 であ り、 したが ってy=ax+bの場合 も含 めて、xの増加 に対 して、yがどれだけ増加す るかが、
aの
値か ら定 まることがわか る。」第3学年 の
(1)ウ
につ いて は、次 のよ うに解説 されている。「 一次関数 と二次関数 との値 の変化の しかたの違 いにつ いて理解 させ る。 この場 合 、 お もに、Xがいろいろな値を とったときの、yがとる値 の範囲 につ いての違 いや、Xが増 加
す るとき、yの増減 の しかたの違 いなどが考 え られ る。」
以上 のよ うに、一次関数 とともに二次関数 も考察 の対象 とな り、値の変化 につ いて は、Xの
値 が増加す るときのyの増加量 を調べ ることが明言 されている。だが、平均変化率 に関 す る記 述 は見 あた らない。
昭和44(1969)年版
いわゆ る現代化の指導要領では、「B関数」の内容 として次 のよ うに記述 されて いる。
第2学年
(2)一次関数 の特徴 につ いて理解 させ、それを用 いる能力を伸 ばす。
68 国 宗 進
ア
ー次関数 を表わす式 の形 と。グラフの特徴。
イ
対応す る変数 の とる値 の変化の割合 が一定であること。
ウ
事象 の中には、一次関数 を用 いて近似的 にとらえ られ るものがあること。
第3学年
(1)簡単 な二次関数 などの特徴 について理解 させ る。
ア
次 の式で表わ され る関数 の グラフの特徴。
y=ax2,y=aX3(数係数 の場合。)
イ
上記 アに示す関数 につ いて、対応す る変数 の とる値 の変化 の割合 が一定 にな らな い こと。
また、文部省指導書5)では、第2学年 の(2)イ について、次 のよ うに述べている。
「 変数Xの とる値 の変化 に伴 って、yのとる値 がどのよ うに変化す るかのとらえ方 として、
増加す るか減少す るかのほか に、対応す る変数 の とる値 の変化 の割合 について考察 させ る。
…、 この とき、変化 の割合 (y2 yl)/(x2 Xl)は 、常 に一 定 でaにな って い る ことが わか る。」
「 この ことか ら、Xの係数aは、変数Xのとる値が
1だ
け増加 した とき、yがどれだ け増加す るかを示 した ものであ り、さ らに、Xの増加 に対 して、yがどれだ け増加 す るか が、
aの値 を もとに して求 め られ ることを理解 させ る。」
以上 のよ うに、現代化指導要領 の もとで、「対応す る変数 の とる値 の変化 の割合」 とい う表 現 、および単 に「 変化 の割合」 とい う表現が、指導要領 に初 めて登場 して いる。X, yの増加
量 とともに、変化 の割合 に着 目 して値 の変化を とらえ ることが明確 に位置付 け られた とい うこ とがで きる。
昭和52(1977)年版、平成元 (1989)年 版
これ らの学習指導要領6)での変化 の割合 に関す る記述 は、現代化 の指導要領 でのそれ とほ と ん ど変 わ らない。現代化 の時の「 変化の割合」の位置付 けが、その後現在 まで続 いている。
(2)教科書 の記述 と実践事例
前項 で、「 変化 の割合」 は現代化 の学習指導要領以降、それを取 り上 げることが明確 に記述 され、現在 に至 って いることが明 らかになった。そ こで、 ここでは、その前後 の あ る教科書
7)
の記述、および過渡期 であ った現代化当時の実践記録 によ って、主 に「 変化 の割合」 の取 り扱 いにつ いて検討す る。現代化以前 の教科書 の記述
昭和37(1962)年度版 の教科書 は、第2学年 で、y=2x+3につ いて、「Xの値 が1増す と、
yの値 は、いつ も2だけ増す」 ことを確認 した後、次のよ うに記述 して いる。
「 もし、Xが 0から
kま
で増す と、yは、Xが0の
ときの値3か
ら、Xがkのときの値 2k+3まで増すか ら、yの増 し高/Xの増 し高=(2k+3)‑3/k=2と
なる。よ って、X の値 が1増
す とき、yの値 の増 し高 は、y=2x+3の Xの係数2に
等 しい。」Xの値 が
1ず
つ増加す る場合、およびXの値 が0か
らkま
で増加す る場合 の変化 の割合 を調 べて、Xの値 が1ず
つ増加す るとyの値 は2ずつ増加す るとま とめていることが特徴的である。文字kを使 って、少 しで も一般的 に記述 しよ うとす る意図が うかがえ る。
第3学年 での「 二次関数 と変化 の割合」で は、y=x2につ いて、「yの変化 とXの変 化 との
比 の値」を調 べた後、
「yの値 が増加す るところでは、yの値の変化 の割合 は正 であ り、yの値 が減少 す る と こ ろで は、yの値 の変化 の割合 は負である。」
とま とめて いる。さ らに、「y=3x2+12,y=3x2,y=3x2‑12に お いて は、Xの同 じ範 囲
の値 に対す るyの変化 の割合 は、いつ も等 しい」 ことを調べ、まとめて いる。
昭和30年代 の著作 であ りなが ら、文字kを使 って一般的な説明を している点、また、値 の変 化 を「 変化 の割合」の語 を使 って記述 している点が、大 きな特徴である。
昭和41(1966)年度版 の教科書 で は、第2学年での「 一次関数 の値 の変化 とグラフ」で、
「 一次関数
y=ax+b
では、xの値が1増
す ごとに、yの値 はXの係数 aだけ増 し、その グラフは直線 になる。」
とまとめて いる。第3学年 で も、選択 の内容で はあ るが、次 のよ うにま とめている。
「一次関数 で は、Xの値 が
1増
す ときのyの値 の増 し高 は、いつ も一定 であ るが、二 次 関 数 で は一定 でない。」このよ うに、Xの
1ず
つの増加量 に対す るyの増加量 が一定 であることを調べ るに とどま っ て いて、変化 の割合 に関す る考察 は全 くなされて いない。現代化 の学習指導要領 はまだ告 示 さ れて いない ものの、教育現場での現代化 の精神 に基づ いた実験的な実践が盛 んに行 われて いた 時期 の著作 であ るだ けに、前述 の昭和37年度版教科書 よ り後退 した記述 にな って いるの は解釈 に苦 しむ点 であ る。平均変化率 に関す る扱 いを どこまで記述す るかが模索 されていたが、 その 結果 なのであろ うか。現代化 当時の実践事例
ここでは、昭和30年代後半 頃の「 変化 の割合」の扱 いに関連す る実践事例をい くつ か取 り上 げ、変化 の割合 の取 り扱 いの程度 や位置付 けにつ いて考え る。
現代化 に先立 って、山梨大学附属中学校 で は、変化 の割合 を文字式 を使 って調べ るとい う授 業 を行 って いる
8)。
変化 の割合 につ いての帰納的な扱 いを越 えて、一般的に説明 して み よ うと い う授業者 の意図が現れている。だが、その実践 に対す るコメン トには、「y=axおよびy=
ax+bにお いて、
aを
ax2 aX1/x2 Xlや (ax2+b) (axl+b)/x2 Xlの よ うな一般 的 な形 で理解す ることは、普通 の中学生 には困難 な ことであろ う。 このよ うな場合 には、具体 的 な数値 を用 いて理解 させ ることが必要であろ う。」 とあ り、子 どもの理解度 という理由か ら、やや消極的 なま とめにな っている。
山崎昇 は、一次関数 に関す る学習内容 と指導上 の留意点 の 1つ と して、「 一次関数
y=ax+
bの性質 と して、変化率一定、aがその値 であることを理解す る。」 ことをあげてい る。 そ し て、それにつ いて、「 グラフと表か らXの増分、yの増分 の意味を理解 させ、それ らを求 め る 練習問題 を行 って、変化率=yの増分/Xの増分=一定
を理解 させ る。」 と して いる
9)。
第3学年 で、2次関数 の平均変化率を どこまで どのよ うに取 り扱 うか につ いての実験 的 な研 究 も、当時の文献 に見受 け られ る。
小野良高 は、2次関数 の グラフが曲線 にな ることを説明す るのに平均変化率が重要 であ る と し、「 また微分 につなが るために変化率を考え るときに も、極限に持 ってい く補助手段 と して も、重要 な性質 を もつ ものであ る」 と して いる。だが、その指導 の実際 は、Xの値 が具体 的 な 数値 の場合 の平均変化率 をい くつか計算 し、それを調べて い くとい うものである。また、平均 変化率 と同時 に「増分 の割合」 といういい方 もしている。。
国 宗
菱澄雄 は、中学校 での関数指導 の問題点を 5つ をあげ、その内の 1つ と して、「 関数 の変 化 の量的 な把握 は変化率を通 して、つ まり、変化率を関数指導の柱 に して中学校か ら微分 の指導 がで きれば、最大最小 の指導 も容易 にな って来 る。」 と述 べて いる。そ して、実際の指導では、
「
X,yの
変化量 と して記号 △x,Δyを導入 し、変化 の割合が平均 して △y/△xで 表 わ され ることを理解 させ、 これか ら △y/△x=平均変化率 の定義付づけを行 ない、・・・、平均変化率 の変化 の状態か ら、関数 の変化 のよ うすが数量的 に把握で きることを指導す る。」としている。また、平均変化率が曲線上 の2点を結ぶ直線 の傾 きを表 していること、第2階差が一定 で あ る も指導 して いる。。取 り扱 いの姿勢 が明確 でその程度 も高 いが、あ る性質 が成 り立つ ことを文 字式 を使 って一般的 に説明 してい くとい う扱 いは見受 け られない。
酒井昭夫 は、y=x2について、Xの値 が1,2,3,…か らそれぞれpだけ増加 した ときの平均 の変化 の割合 を計算 させた後、「Xがある値か らpだけ増 え るとき、平均 の変 化 の割合 は 2x +p」 であ ることを学 級全体 で確認 す るとい う授業 を報告 して い る。授 業後 の研究討議 で は
「pを固定 してた とえば 1に して、Xの値 がふえ るに したが って変化 の割 合 もふ え る」 とい う 程度 の扱 いがよいであろ うとまとめて いる②。
以上 のよ うに、当時 は「 変化の割合」をどのよ うに取 り扱 うか とい う議論 の中で、文字 式 を 使 って一般的 に説明す るとい う実践や、「 平均変化率」 とい う用語 を使 って調べ るとい う実 践 等 がいろいろ行 われた ことは明 らかである。だが、文字式 を使 って説 明す る ことにつ いて は、
子 どもの理解 が困難 であろ うとい う理 由で後退 し、また、平均変化率 の用語 は、議論 が形式 に 流 れ ることを危惧 した結果、「 変化 の割合」の語 がよ り広範 に使われ るよ うにな った もの と考 え られ る。なお、その表現 の仕方 につ いて は、植松茂暢が「Xが
Xlか
らX2ま で変化 す る とき のyの変化 の割合」、「Xのある区間でのyの変化 の割合を平均変化率 とい う。」。 とい うよ う に、明確 に述 べて いる。一方 、変化 の割合 の扱 い方 につ いて、平岡忠 は、「 なまの形で提示す るので はな く、 その必 然性 こそが問題 なのである。」 と指摘す る。そ して、「 要 は、最初 か ら △y/△xと い うわ り 算 で定式化 しないことである。」 と主張す るの。具体 を背後 に もたない形式的 な指導 に対 す る 警鐘 であ り、それ は今 日の実践 に もあて はまる指摘である。
現代化以後 の教科書 の記述
現代化 の学習指導要領 に基づ いて作 られた昭和50(1975)年度版 の教 科書 は、第 2学年 で、
「 一次関数 の値 の変化 とグラフ」のま とめ として、次 のよ うに記述 して いる。
「
1。
Xの値 が1増
す ごとに、yの値 はaずっ増す。2。
Xの値 の増 し高 に対す るyの値 の増 し高 の比 は一定で、aでぁる。3。
グラフは直線 にな る。」第3学年 で は、「Xの値が同 じ2だけ増す場合で も、Xがどの値か ら増すかによ って、関数
y=x2の値 の変化 の割合 は異 な る。」 ことを調べた後、次のよ うにまとめている。
「 一次関数y=axでは、yの値 の変化の割合が いつ も一 定 で あ るが、二 次 関数y=ax2,
二次関数y=ax3では、yの値 の変化の割合 は一定でな く、Xの値 と、 その値 か らのXの
値 の増 し高 とによって、いろいろに変わ る。」
当時の学習指導要領 に規定 されているか ら当然 の ことではあるが、「yの値 の変化 の割 合 」 とい う表現 によ って、値 の変化 を明確 に記述 している点が特徴的である。
基礎
0基
本 の指導要領 といわれ る昭和52(1977)年版での「 変化 の割合 」 の扱 いの程 度 は、現代化 の指導要領 と変 わ って いない。その もとで作 られた昭和62(1987)年度版 の教科書では、
第2学年 で、次 のよ うにまとめている。
「
1次
関数y=ax+bにおいて は、Xがどの値 か らどれだけ増加 して も、 その変 化 の割 合 は一定 であ り、aに等 しい。変化 の割合=yの増加量/Xの増加量=a」
また、第3学年 では次 のよ うにま とめている。
「 関数y=a x2においては、その変化 の割合 は、
1次
関数 の場 合 とちが って一 定 で はな い。」この教科書 で は、それ以前 までは「Xの値 の変化 に対す るyの値の変化 の割合」 とい う表現 を使 って いたが、 ここで初 めて単 に「 変化 の割合」 という表現が使われ、それ以降現行版 まで この使 い方 は変 わ らない。Xの変域 を ことさ ら記述す ることな く、「 変化 の割合」が多用 され て いる。
現行版教科書 の記述
現行 の平成5(1993)年度版教科書 につ いて は、すべての中学校数学教科書 6種 )の展 開 の
仕方を見 ることにす る。
6種中の
4つ
が、y=2x+3のよ うな関数 につ いて、Xの増加量 に対 す るyの増加 量 の比 の値 をい くつか調 べ、その後「 変化 の割合」を定義す る。次 に、
y=̲3x+2の
よ うにXの係数 aが正 の値 の場合 につ いて変化の割合 を調べて、「1次
関数 の変化 の割合 は一定であ る」 こと を ま とめ る、 とい う展開である。他 の 1つ のA教科書 で は、上記 の展開 に近 い ものではあるが、Xの係数aが負 の場合 を調 べ ることな しに
1次
関数 の特徴 をまとめている。残 る 1つ のB教科書 で は、最 もて いねいな記述 にな っている。まず、y=2x+3に つ いて変
化 を調 べ、問 いで
y=3x‑5,y=x+6,y=̲2x+4を
とりあげ、その後、Xの値 が1ずつ増加 す るときのyの増加量 がaでぁ ることをまとめる。続 いて、変化の割合を定義 し、さらに
y=
4x+3,y=̲3x+1に つ いて調べて、「
1次
関数 の変化 の割合 は一定 である」 ことを ま とめて いる。A教科書 では、Xの係数aが正 である
1次
関数 を2つ
だけ調べてまとめて しま って いる。 こ れに対 して、B教科書 では、6つ
の1次
関数 について調べて いるが、帰納的 に得 た結 果 を安易 に一般化す ることに対 して配慮 した結果 であると考 え られ る。以上 (1)で検討 して きた内容 は、次 のよ うにまとめることがで きる。
「 変化 の割合」の取 り扱 いに関 して は、主 に1970年代 にいろいろと議論 されたが、現 代化 の 学習指導要領以後、平均変化率ではな く「 変化 の割合」 とい う語を使 い、
1次
関数 や2次関数 につ いて変化 の割合 を帰納的 に調べてその結果 をまとめ、それを性質 と して使 ってそれ以 降 の 問題解決 に利用 して い くとい うよ うに定式化 されて きた もの と考 え られ る。このよ うに、「 変化の割合」はここ20数年間 ほど、関数 の値 の変化を とらえ る上 で中心 的 な 役割 を果 た して きて いるが、で は、それを生徒 はどのよ うに理解 して いるのであろ うか。次 の 項 で は、それにつ いての理解を、性質 を得 るのに文字 を使 って一般的 に説明 しよ うとして い る か とい う点 を中心 に、調査 を通 して検討す る。
国 宗 進
2
文字式 の活用能力 に関する調査(1)目的
「 変化 の割合」に関す る中学生 の文字式 の活用能力 につ いての現状 を明 らか にす る。
(2)方法
・ 調査対象
静岡大学附属中学校
1校
、第2学年生徒115名、第3学年生徒98名・ 調査時期
1995年
3月・ 調査方法
両学年 とも同一問題で実施、時間制限 は しなか ったがだいたい25分間で終 えて いる。
O調
査問題[問題
]変
化 の割合 につ いて、次 の[1],[2]に
答えなさい。ただ し、変化 の割合 とは次 の値 の ことです。
yの増加量 Xの増加量
[1]「
1次
関数y=2x+3で は、その変化 の割合 は一定であ る。」この ことが らが成 り立つ ことを証 明 しなさい。
[2]「関数y=3x2では、その変化の割合 は [一定である0‑定でない]」
(1)上の文で、 [ ]の中のどち らか正 しいと思 うほうに○ をつ けなさい。
[一定 であ る 。一定でない
]
(2)(1)の
よ うに判断 した理 由を説明 しなさい。0調
査問題作成 の意図[問題
1];1次
関数 の変化 の割合が一定 であることを、どのよ うな方法 によって示すか、特 に、文字式 を使 って一般的に説明 しよ うとす るかを とらえ る。なお、問題 文 で は意 図的 に「 証明」 とい う表現を使 っている。
[問題
2];関
数y=ax2では変化の割合 が一定で はないことを、どのよ うな方法 によ っ て示すか、特 に、反例をあげることによって説明 しよ うとす るかを とらえ る。[問題 1]と [問題2]の関連 ;一般的に説明す るには文字 が使 われ、成 り立 た な い こと を説明す るには反例 を 1つ あげればよいとい う、数学学習 にお ける推論 の進 め方 の原 理 を理解 して いるかを とらえ る。また、「 変化 の割合」の意味を的確 にと らえて い る かを とらえ る。
(3)結果 と考察
1)問題 1に ついて
[問題 1]に対す る生徒 の解答 を、次 のよ うに分類 した。
aタ イプ
文字式を使 って正 しく証明 しているもの。
さ らに これ らは次 の
3つ
の タイプに分類 で きた。al;問
題 に与 え られたy=2x+3を一般化 してy=ax+bと
し、 それ につ いて文字式 を 使 って正 しく証明 して いるもの。a2; Xの値 がpか らqま で変化す るとし、求 め る変化 の割合が2であ ることを一般 的 に導 いて いる もの。
(解答例
1)X=aの
ときy=2a+3, 文=bの ときy=2b+3,これか ら変化 の割合を求 めると、
2a+3‑2b‑3 2a‑2b 2(a― b)
a― b a― b a― b
よ って、変化の割合 は一定 (2)であることがいえ る。
a3; Xの値 がpか らp tt qま で変化す るとし、求 め る変化 の割合 が2であ ることを一 般 的 に導 いて いるもの。
bタ
イプ文字式を使 って証明 して いるが、文字式 の使 い方がやや一般性 に欠 けるもの。
(解答例2)Xの値 がpからp+1ま で (あ るいはpから2pまで)変化す る場 合 の変化 の割合を計算 し、それが
2で
あることを示 して結論 がいえた とす るもの。(解答例3)Xの値 がaからa+2ま で、
a+2か
らa+6ま で変化す る場合 の変 化 の割 合をそれぞれ求 め、それ らが等 しいことを示 して結論 がいえたとす る もの。Cタ イプ
い くつかの変域 について変化の割合 を計算 し、それ らが一定であることを帰納 的 に 説明 して いる もの。
(解答例4)X=1の とき
y=5…
①, X=2の ときy=7…
②… , X=10の ときy=23000③
①か ら②のとき、①か ら③のとき、②か ら③のときと変化の割合を調べ ると、
①か ら② 2/1=2,①か ら③ 18/9=2,②か ら③ 16/8=2
上のようにどれ も変化の割合が 2と なるので、「
1次
関数y=2x+3で
は、その変化の割合 は一定である。」 ことがいえる。
dタ
イプ Xの値が1ず
つ増加すると、yの値 は一定の数ずつ増加することによって説明 しよ うとしているもの。(解答例5)(対応表をつ くってXの値が
1ず
つ増加するとyの値が2ずつ増加す ること を指摘 した後)Xもyも
一定の割合で増えているか ら成 り立つとしているもの。(解答例6)(対応表をつ くった後)Xの値が
1ず
つ増加するとyの値が2ずつ増加す る ことを述べているだけの もの。eタ イプ 何 らかの説明を しようとしているが、不的確なもの。
fタ イプ 無解答の もの。
各 タイプ別の解答率 は、表 1の 通 りである。
表1 問題 1の タイプ別解答率 数値 は%
[問題 1]に対す る生徒 の解答か ら、
1次
関数 の変化 の割合が一定であることを説 明す る方 法 につ いて、次 の ことが指摘 で きる。ア)aタイプの解答 は、Xの変域を文字 を使 って表 し、その もとで変化 の割合 △y/△xの
値 を計算 して、それが定数 にな ることを示す ものであ り、文字式 の もつ一般性を使 った的確 な 証 明である。
この aタ イプの解答 は中
2で
はほとん どな く5%で、中3では29%がこの方法 によっている。今回の調査対象生徒 はいずれ も授業時 において、 この解答のよ うな文字式を使 った証明を と り 学年\ タイフ・ al a2 a3 b C d e 計
中2 中3
0 1
4 20
1 8
3 9
43 41
・8
・2 23
9 8 0
100 100
74 国 宗
あげて いるが、中
2で
は、 この方法を とることの意義が理解 されなか ったのであろ うか、 ほ と ん ど定着 して いない。 これ に対 して中3で
は、生徒 の約1/4がこの aタ イプの解答を している。文字式 による論証 や図形 の論証 の学習 によって、証明の もつ一般性 に着 目 してい る生徒が増 え て いる結果 であると考え られ る。
なお、 alタ イプの解答 はわずか 1名 であ ったが、初 めか ら考 察対象 の 1次関数 を一 般 的 な
y=ax+bと
して証明 し、その特別 な場合 と してy=2x+3に
つ いて もいえ る と して い る。与 え られた命題 につ いて証明す るにとどま らず、よ リー般的な場 で証明 してい こうとい う態度 が身 につ いていることの現れであ る。
イ)bタ イプの解答 には、文字式を使 って説明 しよ うとい う構 えがみ られ る。上 に示 した解 答例
2の
よ うに、Xの値がpから増加す ると したのは的確 であ るが、それがp+1, p+2や
2pまで変化す ると した点で、やや一般性 に欠 けた ものになっている。また、解答例 3のよ う に、文字 を使 って はいるが、 Cタ イプの帰納的 な説明 との折衷案 のよ うな もの もあ る。
この タイプの解答 は、 このよ うな不十分 さはあるものの、
1次
関数 の場合 はどこか らどれ だ け変化 して もその変化 の割合 は一定 であることの意味をよ り的確 にとらえれば、す ぐにで も a タイプの解答へ と高 ま ってい くもの と考え られ る。ウ)Cタ イプの解答 は、い くつかの具体的な変域 の場合 に変化 の割合 を計算 し、それ らが一 致す ることを調 べて帰納的 に結論づ けるものであ り、中
2の
43%,中3の
41%がこの解答 で あ る。中2の
教科書 での1次
関数 の変化の割合 の記述 はこのよ うにな っている し、中学校 で の関 数指導 のね らいか らすれば、 この Cタ イプの解答 で十分であると考 え る こと もで きる。 だが、その一方 で、「 文字式 による論証」や「 図形 の論証」の学習場面で は一般的に証 明す る ことが 強調 されて いる。同一 の学習者 にとって は整合性 の欠 けた もの と映 るので はなか ろ うか。帰納 的 な方法 によるこの解答 を大切 に しなが らも、 aタ ィプのよ うな文字を使 った解答 に も日を向 けさせ る必要 がある。
なお、 Cタ イプの解答を した生徒 が、い くつの変化の割合 を調 べて帰納的に結論 づ けて い る かを調 べてみ ると、表
2の
よ うになる。表2の *の
欄 は、Xの値が1ず
つ増加す るときの変 化 の割合、つ ま り、△y/△xの Δxが 1の 場合 の変化 の割合だけをい くつか計算 した ものを表している。
表2 Cタ イプの解答 の分類 数値 は
%
学年\個数 6 5 4 3 2 * 学年合計
中2
中3
2 7
3 8 8
10 15
3 3
13 11
3 1 4 4
2つ
の場合 について変化 の割合 を計算 し、それ らの値が等 しいことか ら、「y=2x+3で は、その変化 の割合 は一定である。」 と結論づ けて いるものが中
2で
10%,中3で
15%あ り、Cタ
イプの解答 の中では多 い。「1次
関数 では、Xの値が どこか らどれだけ増加 して も、 その変 化 の割合 は一定 である。」とい う命題 を真 と判断す るのに、わずか2つ
の場合 に等 しか ったか らと認 めて しま うことは、小学校 での算数学習 な らば ともか く、数学学習上大 きな問題 が あ る と 考 え る。
その一方 で、
3つ
以上 の場合 につ いて変化 の割合を計算 して結論づ けた解答が、中2で
17%, 中3で 12%あ った。 このよ うな解答を した生徒 は、2つ
の場合 だけか ら一定であ ると結 論 づ けることが不安 だ ったのであろ うか。
子 ど もは「 命題が成 り立つ ことを一般的に説明す ること」をどのよ うにとらえているのかを、
解 明す る必要 がある。
工)dタイプの解答 は、Xの値が一定量ずつ増加す るときのyの増加量 が一定 であ る ことは 指摘 しているが、変化 の割合 についての記述 が見 られない ものであ り、「 変化 の割合 」 が何 を 意味 して いるかを十分 に とらえていない もの と考え られ る。
なお、 この タイプには、Xの値 が
1ず
つ増加す るときの変化 の割合 を考 えて いて も、表 現 が 不十分 なために ここに分類 された解答 もあるであろ う。オ)eタイプの解答 は、中2で23%,中 3で9%あった。不的確 で はあるが説 明 しよ うと し て いる意欲 は十分 に評価す る必要がある。
この タイプの解答 の中 には、次 のよ うな ものが複数 み られた。
「 y=2x+3を y=2xと して考え る。y=2x→ y/Ж
=2,分
母Xがどれだ け増 えて も 分子yも
それ とともなって増 えてい くので変化 の割合 は一定 となる。」このよ うな解答 は、調査対象生徒 の授業者 の話か らす ると、
1次
関数 の グラフは比例 の グ ラ フを平行移動 しただ けの ものであ るとか、1次
関数 の式y=2x+3は y‑3=2xと変形すれ ば「y‑3は 2xに 比例 して いる」 とみ ることがで きる等 のよ うに、
1次
関数 と比例 関係 との共 通 性 を強調 した指導 の結果 であ るよ うに考え られ る。変化 の割合 を △y/Δxで はな く、y/Жととらえて いるもの もいる。
一方、次 のよ うに結果 だけを丸暗記 しているのではないか と考 え られ る解答 もあ った。
「 変化 の割合 は
y=ax+bの aに
あて はまっている数 と決 まっている。 この場 合 は2で、 その変化 の割合 は一定 になる。」「y=2x+3の 2が変化の割合 だか ら一定。」
「 グラフに表す と直線 になる。Xの係数
2に
等 しい。」「 グラフは直線。
1本
の直線 は変化 の割合 が一定 とい うことにつ なが る。」このよ うな解答を した生徒 には問題 の意味が伝わ らなか ったであろ う。「変化の割合」概念 の学習の難 しさが現 れて いる。
ここで、以上 のよ うな解答 の結果 を、筆者 らが設定 した「 文字式 による論証能力の発達段階」
に対応 させて考 えてみ る。
「 文字式 による論証能力 の発達段階」 は次の通 りであ る。
<水準0> 無解答、あるいは、問題文を繰 り返 していたり、説明になっていない。
<水準I> 文字式を使わずに、具体的な数値をあげたり、ことばで説明 しようとす る。
<水準 Ⅱ> 文字式を使 うが、不適切 な使い方をす る。
<水準 Ⅲ> 文字式を使 って正 しく説明す る。
これは「文字式による論証」に対する能力の段階 として設定 したものであるが、関数 の内容 に関す る上の [問題1]の解答に対 して、その段階判定の基準 (詳細 につ いて は文献0参照)
を援用 して考えてみると、以下のようにみなす ことができる。
aタ イプは水準Ⅲ, bタ イプは水準 Ⅱ,
C,d, eタ イプは水準I,
国 宗
これ に基 づ いて、 [問題1]の解答 の学年別、段階別分布 を調べてみ ると、表3を得 る。 ま た、その推移 を図で表す と、図 1を 得 る。
表3「論証能力」の学年別分布
数値は
%
学年\水準 Ⅱ Ⅲ
中2 中3
2 2 9 6
3 9
5 29
図1 発達段階別 の推移 表3から明 らかなように、中 2と 中 3と の分布の差には歴然 としたものがある。
「文字式による論証能力」に関す る既に実施 した調査結果めによれば、中
3の
半数以上 が水 準 Ⅱ以上であった。その段階判定のための調査問題 は、整数 に関す る問題 とカ レンダーの中の 数 に関す る問題か ら成 っていて、中2,中3で
学習する「式の利用」で扱 われ るものである。今回の [問題1]は関数 についてのものであり、それだけで難易度が増 していると考 え られ る か ら、その調査結果より正答率が低 くなるのは当然の結果である。それにもかかわ らず、水準
Ⅱ以上の中3生徒が40%近 くもいるのであるか ら、変化の割合に関 して帰納的な考察だけで終 えている現在の中2での学習指導のあり方を再考す る意義 はあるものと考える。
2)問題
2に
ついて[問題2]に対す る生徒の解答を、次のように分類 した。その内のA〜
Eタ
イプは [一定 で ない]と判断 したものである。Aタ イプ い くつかの反例をあげて説明 しているもの。
Bタ
イプ 変域の取 り方によることを、文字式を使 って説明 しているもの。(解答例1)Xの値がpからqま で変化す るとして、変化の割合を計算すると、
3q2̲3p2̲3(q2̲p2) q̲p q̲p
よって、変化の割合 はpゃ qの値によって変わるか ら一定でない。
Cタ
イプ グラフ上で説明 しているもの。Dタ イプ Xの値が
1ず
つ増加す るときのyの増加量が一定でないことを示 して説明 しようと しているもの。Eタ
イプ 意味不明の もの、または、一定でないことの理由が述べ られていないもの。Fタ
イプ [一定である]と判断 したもの。Gタイプ 無解答。
各 タイプ別の解答率 は、表4の通 りである。
表
4
問題2の
タイプ別解答率 数値 は%
学年\ タイプ
A
BC
D E FG
計中2 中3
23 2 1 31 17 49 32 6 7 2
・9
3 7 1
100 100
[問題2]に対す る生徒 の解答か ら、関数y=3x2では変化 の割合が一定 でない ことを説 明 す る方法 につ いて、次 の ことが指摘 で きる。
_ 3(q+pXq-p)
- g(p+q)
q-p
ア)Aタイプの解答 は、反例をあげて命題が成 り立 たない ことを示す ものであ り、 [問題
2]
の解答 と して最 も的確 な方法 として位置付 けることがで きる。 このタイプの解答 は中
2で
23%, 中3で49%あ ったが、その記述 には大 きな違 いがみ られ る。い くつの変化 の割合を計算 して反例 としているかを調べてみると、表
5の
よ うにな る。表5 Aタ イプの解答 の分類 数値 は
%
学年\個数 7 6 5 4 3 2 学年合計
中2 中3
2 2 4
2
4 13
・l M
23 49
最低限の反例 を挙 げて いる もの、つ ま り、
2つ
の変域 につ いてだけ変化 の割合を計算 し、 そ れ らの値が一致 しないことか ら「 関数y=3x2では、その変化 の割合 は一定でない。」 と結論 づ けて いる ものが、中2で11%,中3で 34%と
最 も多 い。また、
3つ
以上 の場合 につ いて計算 しているもの も、中2で12%,中3で 15%あ る。 中2では、わずかであ るが
7つ
の変域 につ いて変化の割合を調べた者 もいた。このよ うな解答 を した 生徒 の中には、2つ
の場合 に一致 しないことを示せば「 一定でない」ことが説明できたとわかっ て いて も、何 とな く不安 で、あるいは念 には念 を入 れて、さ らに もう1, 2の場合 につ いて調 べ た者 もいたと考え られ る。「 ある命題 が成 り立 たない ことを示す には反例 を 1つ 挙 げればよい」 とい う数学 での議論 の 進 め方 を、 もっと前面 に出 した指導 を明確 に位置付 ける必要がある。
イ)Bタ イプの解答 は、上 の (解答例 1)で示 したよ うに、Xの値がpか ら
qま
で (あ るい はpか らp+qま
で)変わ るときの変化 の割合が3(p+q)(あ るい は6p+3q)であ る ことを 示 し、それがpゃ qの値 によって変 わ ることを主張す るものであ り、中2では2%,中
3では32%がこの解答 である。 [問題 1]に対す る解答 と同様 にまず文字式 を使 って変化 の割 合 を計 算 して、一定 であ るか ど うかを判断 した もの と考 え られ るが、成 り立 たない ことを示す に は
A
タイプの解答 のよ うな反例を挙 げればよい とい う点 につ いて、的確 には理解 して いない者 もい ると考 え られ る。
この
Bタ
イプの解答 を さ らに詳 しく調べてみ ると、 これ ら中3生徒 の うちの38%(全体 の12%)は、文字式 を使 って説明す る一方 で、具体的な数値 で反例 を挙 げ る説 明 も併記 して い る。
これ らの生徒 の うち、計算 した変化 の割合 の個数が2個, 3個,4個であ った ものは、 それ ぞ れ
8%, 2%, 2%で
あ る。なお、
Bタ
イプの解答 を した中2生徒 が2%いたが、授業 に先行 して どこかで学習 して いた もの と考 え られ る。ウ)Cタイプの解答 は、 グラフ上 で直観的に説明 しよ うと しているものである。 この解答 の 中 には、 グラフ上 で変化 の割合 の意味を説明 しているもの、つま り直角三角形 をか いてXの増
加量 とyの増加量を示 しているもの と、単 に「 グラフが曲線 (放物線)だか ら」 と述 べ て い る だ けの ものがあ った。その割合 は、中
3で
それぞれ4%, 2%である。 このよ うな解答 は、 中2ではみ られなか ったが、まだ学習 して いなか ったか らであろ う。
なお、他 の タイプに分類 された解答 で はあるが、 グラフも使 って説明 していた者 が中2で14
%,中 3で30%いた。中3では、学習が進 み多面的な考察が可能 にな って いることを示 して い る もの と考 え られ る。