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有限要素による膜材の リンクリング現象評価

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Academic year: 2021

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(1)

有限要素 による膜材の リンクリング現象評価

遠藤典男 永谷秀樹 三井康司 笹川明

Numerical Evaluation of Wrinkling Phenomena 

on Membrane Structures Using Finite Elements Norio ENDOH Hideki NAGATANI Yasushi MITSUI and Akira SASAGAWA

Sorneoftheadvantagesofmembranestructuresarelightweightandcollaspsible and也ereforeasytotransportanderect.Fur仇em ore,membranestructureshavelow installationcost,andarepotentiallyrelocatable.

However,itisimportanttoconsider也epotentialoccurenceofnegativestressesin membranes.Becauseoftheirnegligblebendingresistance,membraneshavenegligible bucklingone.

In也isresearch,aspecialtensionfield仇eoryisusedtopredictextentsofwrinkled reglOnSandmagnitudesoftensionstressesforstaticproblems.Numericalevaluationis ca汀iedoutusingtwodimensionalfiniteelements.Toinvestigatetheefficiencyofthis numericaltechnique,afewsimpleexperimentsareperfom ed,whereaconcentrated forceisloadedatthecenterofthesquaremembranemodelwhichisuniaxialy prestressedandthen,wrinkledwavesareclearlyobserved.

1

.

は じ め に

近年建設工学の分野において巨大膜構造物が注 目されはじめている.例 えば,恒久的構造 としては,東京 ド∵ムに代表される室内競技場,また仮設構造物 としては,中電浜岡原子力 発電所工事に代表される,雨天対策 に対す る工事行程確保のためのエア ドーム等が目新 しい.

これ ら膜構造物 は,従来の重構造物 とは異なり,軽量かつ比較的簡便に建設並びに撤去が可 能である. このため, これ ら構造物の適用範囲は今後益々増加の傾向をた どるものと思われ

る.

●土木工学科助手

= 信州大学大学院

● = 信州大学工学部

(2)

66

遠藤典男 ・永谷秀樹 ・三井康司 ・笹川明

しか しながらこの建設気運の高まりにも関わ らず, これ ら膜構造物の確固たる建設,保守, 管理 に対する指針が確定 されていないのが現状である. .これ らは膜構造物を構成す る材料特 性,エアプレッシャー, リンク 1 )ソグ現象等,膜構造特有の要因が複雑 に影響を及 ぼしてお

り,従来の重構造物に対す る設計指針 と大 きく異 なっていることに起因す るものである.

本文 は, これ ら膜構造に対す る基礎的研究であ り, リンク リング現象のみに的を絞 って行 った ものである.すなわち,膜構造物の応力解析 において, リソク リングが順次発生 してゆ く領域の算定を有限要素を用いて数値的に評価す る妥当性を検証 したものである.

また, これ ら数値解析手法 との比較検討のため,簡単 な膜素材 モデルによる実験 も試みた.

2.

有限要素によるリンクリング現象の定式化

二次元直交座標系

ズー

クにおいて平面応力状態を考 える.一般的な弾性体 において,ひず み E x ,

,8,,I,y

x yは,,主 ひずみ 8 1 ,6 2 を用いて次のように表す ことがで きる.

ex‑

与(

1.P)el

帝 ( 卜

P)82

8,

‑i( 1 lP

)el

.I( 1 ・P

)C2 γx,‑Q(81C2)

( 1 )

ここ にP

,Q

p‑cos2α

包 二 包

el e2

Q=sin2a

‑A

el C2

であ り

i

は主ひずみのなす角である.また, リンク 1 ). /グの発生 した状態においても上式 が成 り立ち, さらに応カー ひずみ関係 においても通常の弾性体 と同様であると仮定す ると,

Ex‑去 (

qx ‑ 16 , )

8,

‑ 去( 6 ,

1qx)

l

yv=

(2)

(3)

ここに

,E,

,G

は,各々

ソグ率, ポア ソン比,せ ん断弾性係数を表す. さらに,膜構 造は引張応力 とせん断応力のみに抵抗 し, リンク リソグ発生後 の圧縮応力を無祝 した‑軸応 力状態であると考 えると,各有限要素の応力関係は次式で与 えられる.

o ・ 1 ‑E e l

,

6 2

‑0 0<e

la nd

t'sl<82

ただ し

,

t lは膜材本来のポアソソ比 ( 定数)である.

以上 より,ポア ソソ比 1は リンク リング発生後 において,主 ひずみの関数 として次 の よ うに表せ る.

1

=一旦

el (5)

この関係を用いると, リンク リング発生後 の応力マ トリクス

[D]

は以下 のよ うになる.

(6)

また, リンク リソグ発生後の応カーひずみ関係は次式のように表せ る.

q x

‑ i (

1

.P

) Ee l

q , ‑

I (

1

lP

) EE I

・ x , ‑

I

Q

Eel

(7)

(4)

68

遠藤典男 ・永谷秀樹 ・三井康司 ・笹川明

しか しながら,式 ( 4 ) では ^ ≧ 1 とい う可能性が生 じるため [ D] の変形が必要 となる.そ こ でいま

,[D]

を以下のように仮定す る.

] tJ 〜

)

′ナノ

g

t3一∂tJ

L]

D[

ただ し

,a, b,

C

,d, e

,f は未定係数である.

ここで,一般的な応カーひずみ関係をマ トリクス表示す ると

(i)‑lD](e) (q)‑(

ち,0 ・ ,

, Tx

,

)T

(el

( E .

,

6 , ,

rv)T

(8)

(9)

となる.式( 8) ,( 1 ) を式( 9 ) に代入 し,式( 7 ) の関係を満足 させ ると,以下の関係が得 られる.

(1+P)(1‑P) 2Q

0 0

0

(1‑P)(1+P) ‑2Q

0I O

0

O ( 1+

P)

0

(llP) 20 0

0 (1‑P)

0

(1+P) ‑20

. 0 0 0

(1+P)

0

(llP) 20

0

0

(1‑P)

0

(1+P) 12Q

α

b

C

d e

(1+P)

0 .

(llP)

O

Q

O・

(10)

しか しながら,左辺の係数マ トリクスは行列式が 0となる場合が生 じるため

, b‑0

なる条 件 の下で未定係数を決定す ると,

a ‑

iE(

1・P) ・ : d ‑

iE(

1‑P)

C ‑ e ‑

iE Q :I

iE

(ll)

(5)

となる (C‑e なる条件で も同様 の結果が与 えられ る). C‑0 ならびに e‑ 0なる条件 の 下では,未定係数が不定 となるため最終的な応力マ トリクス [ β] の成分 は,式(

ll)

となる.

最後 に,膜 の応力状態は主ひずみに応 じて次の

3

種類 に分類 される.

1

) Slack

‑‑・ ・ 圧縮応力のみが発生 し要素の剛性 はない状態 ‑

2) Wrinkled ‑

‑ リンク リングが発生 している状態 ,

3) Taut

・ ・ ‑‑・ ‑圧縮応力が発生 していない状態 解析時 における, これ らの判定条件 を以下に示す.

D‑

Dl:

E.

8

2≦0 (slack)

L

h.'0< C1 and I,el<C2

(

Wrinkled)

A

;otherwise (Taut)

ここで

,D

l を解析時の便宜上

Dl

‑α哉 ( α< 1 ) と近似 している.

3.

数値解析例および実験結果

先 に示 した数値解析手法の妥当性を検証す るために,簡単な膜素材 を用いた実験を試みた.

本実験 で使用 した供試体 は,ポ 1 )エステル基布 に

PVC

= r‑テ ィングを施 した膜厚

t‑1 mm

の膜材であ り, これを大 きさ

80cmx80cm

の正方形に切断 している. また,膜材 の材料 定数は表 1 に示す通 りである. この膜材の中央に集中荷重を作用 させ, これを順次増加 させ た ときのしわの発生状況を観測す る.

図 1 に有限要素による離散化状態を示す.

節点数 8 1 ,要素数 は 1 2 8 であ り, これを三 角 形一定要素を用いて離散化 している.境界条 件 は膜材上部で

x,y

拘束,下部 で は Ⅹ方 向 を拘束 している. プレス トレス■ トとして膜材 下部 に

2kg

の荷重を作用 させている. また, 膜構造物の外力 に相当する荷重 は,供試体 中 央の◎に作用させ る.

こ /グ 率 :Ep =5 0 0

kg/cm2

ポアソン比

y‑0.25

1

膜材の材料定数

\ \

/

\ \ \ /

/

\ /

preStreS8ed

1

要素分割図

(6)

7 0 遠藤典男 ・永谷秀樹 ・三井康司 ・笹川明 図

2

は,本手法 を用いて供試体モデル

を解析 した ときの変位図である.集中荷 重 は,上か ら順 に

3, 6, 9kg

と増加 させている.ただ し,実際 の変位 の 2 0 0

倍 を二点破線によ り図示 してい る.集 中 荷重が載荷 されている中央付近 の節点変 位 は他に比べ大 きく,荷重増分 と共に順 次増大 してゆ く様子がわかる.

写真 1は,上 か ら順 に 3,6

,9kg

における膜材の リンク リングの発生状況 を撮影 した ものである. ここで,写真 が 小 さいために,細部でのしわの発生状況 は見に くい ものとなっているが,荷重 の 増加 に伴い載荷点 より上部境界左右端 に 向 うリソク リングの発生が確認 できる.

また,荷重載荷点 の下側 においては,面 外変形が生 じてお り, これ も一種 の リン

ク リングに相当す るものである.

3

は,本手法 により解析 した各荷重 段階における リンク リソクの発生予想図 である.荷重段階は,写真 1 と同様,上 か ら順 に

3, 6, 9kg

であ る.図中, 塗 りつぶされた要素は リンク リングが発 生

(Wrinkled)

,あるいは圧縮応力のみ が発生 している

(Slack)

領域 であ り, 白い要素は,圧縮応力が発生 していない ( Taut )領 域 で あ る. ここで,荷重 戴 荷点 よ りも下側では,左 の写真 に比 し, かな り多 くの リソク リングが確認 され る が, これ は

Slack

状 態 で あ り,写責 で は確認できないような微少 な面外変形が 生 じているためである. このことを考慮 す ると実験結果 と解析結果 はよ く一致 し ていると思われる.

/

\ /

ト l ≡. l l bク' ㍉ j l・ qt : I : ク t : グ \● lヽ; l

「一 一

● ク′ l ' ク' . I ′ l \● lー「 、■

ぎ \ l グ' I S F' \ も7 ミ ク● ■ グ′ ̀ ヽ ク ′ ̲ ㌔ 、 、

グ' S、 も グ̀ ■ 、 勺 ク ′ 、 勺 ク. 、 \ グ̀ 、 勺 グ●L ㌔ ク̀ ' ヽ

/

図 2 変 位 図

(7)

′ \ ′

/ . 丁、\ヽ

1

/ ' l 1 l B ヽ ㌔.

\ 、 i / 一寸. / ノヽ ̲̲ . ヽ 1 \ ヽ′ . 千 / ′

\ 一 ′ \.

/ I Fぐ

/ ヽ ̲ /

l∵ ー \ ̲ 」 レ \ \ I∫

\ / 卜 \レ / く ̲ ′ . ′ \ . ㌔

J J 二 二 〜. ‑ 三言 ノ ∴ ‑ . i P

l i

二 ′ i ゝ p , ̲ . : ̲ .

レ \」 預.. ∠

/ T

\ \ / f \ :p 写真

1

実験 に よる リソク

リソグの発生状 況

l

】 I

I; ー 1‑

ヽ E J l

3

有 限要素解析 に よる

リソク リソグ発 生予測

(8)

7 2 遠藤典男 ・永谷秀樹 ・三井康司・笹川明

4.

ま と め

本文で示 した リンク リソグ現象を考慮 した膜材の有限要素による定式化 において得 られた 結論 としては,

1 ) 膜構造物の リンク リソグ発生後の剛性評価 は,実験値 と数値解析 による リンク リング発 生過程が よく一致 してお り,本手法の妥当性が確認できた.

2)

リンク リソグ発生時の主応力状態を数値解析するため,微少な リンク リング ( 面外変形 も含む)の予測が可能である.

とい う 2 点である.なお,今回は‑軸的なプレス トレス トを膜材に作用 させただけであっ たが

,2

軸的なプレス トレス ト,並びにエア ・ビーム ( 円筒上の閉膜材に内圧を作用 させ, 剛性 をもたせた構造物)等の立体的な構造物に対する発展が今後必要 となるであろ う.

謝 辞

供試体の提供 に御配慮いただいた㈱太陽工業に深 く感謝いた します.

参 考 文 献

( 1 )

M.Stein,J.M.Hedgepeth:Analysisofpartlywrinkledmembranes,NASATND813,1961 (2)M.M.Mikulas,Jr.:Behavoirofflatstrechedmembranewrinkledbytherotationofan

attachedhub,NASATND・2456,1964

(3)R.K.Miller,J.M.Hedgepeth:An algorithmforfiniteelementanalysisofpartlywrinkled membranes,AIAA∫.20,17611763,1982

( 4

)R.冗.Miller,∫.M.Hedgepe

t

九Ⅴ..Weingarten,P.Das&S.Kahiay:FiniteElementAnaly sisofPartlyWrinkledMembranes,Computer

&

Structuresγol.20,Nol

3,1985

( 5) 0. C.ツイエソキーダイッツ著,吉粒雅夫,山田嘉昭 訳 :マ ト1 )クス有限要素法,培風館,昭 和

59

(6)

鷲津.宮本,山田,山本,川井 編 :有限要素法′ 、ソドブック,培風館

,1981

( 7 ) 山田嘉昭 :塑性の有限要素法,科学技術出版社,昭和

63

参照

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