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図 4-1 検討の手順 86

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4. 事業継続を行うために必要となる

原材料在庫の確保手法の検討

4.1. 検討の目的と概要

4.1.1. 検討の目的 諸外国からの輸入に依存する原材料については、当該地域における新型インフルエンザ 等新型感染症の発生状況の影響を受けるほか、国内においても物流事業者等の事業継続状 況の影響を受ける恐れがある。こうした中、食品産業事業者等においては、新型感染症の 発生時においても原材料在庫を確保する手法を検討・実施することが求められる。 こうした状況を踏まえ、事業継続を行うために必要となる原材料在庫の確保手法の検討 を実施した。 4.1.2. 検討の概要 事業継続を行うために必要となる原材料在庫の確保手法の検討にあたっては、図 4-1 の 手順で実施した。なお、図中「1. 食品産業事業者等の原材料在庫の確保方法の検討」にお ける食品産業事業者に対する調査は、前章の「サプライチェーンにおける事業継続計画の 実証及び改善」と対象業種が一部共通するため、該当する企業については、ヒアリング調 査を同時に実施した。

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4.2. 食品産業事業者等の原材料在庫の確保方法の検討

4.2.1. 検討の概要 新型感染症発生等の非常事態時においても食品産業事業者において確実に原材料を確保 する方法としては、食品産業事業者自らが恒常的に原材料在庫を積み増しておく対策が考 えられる。また、原材料の調達先の分散化や、外部事業者との非常事態発生時に備えた優 先供給契約の締結などにより、原材料の調達が困難になった場合に対応可能な体制を整え ることも考えられる。 しかしながら、新型感染症等まん延時において原材料を備蓄や特別な契約等により確保 する対策を検討・実施している食品産業事業者は少ないと考えられる。 一方、新型感染症まん延時には比較的日持ちし、かつ、手軽に食べることが出来る食品 への需要が高まることが想定されることから、備蓄適性の高い食品の供給にかかわる事業 者へのヒアリング調査等を実施し、食品産業事業者における原材料確保の現状を把握し、 食品原材料の確保に資する方法と課題に関する検討を行った。 【1】前提条件 検討の前提条件として、検討の対象とする食品及び業種を以下のとおり設定した。 (1)対象食品 新型インフルエンザ等の感染症発生時において需要の高まりが想定される食品であり、 かつ、原材料が多岐に亘る食品を選定することにより、幅広い原材料について調達課題等 を検討することができるため、インスタントラーメン(カップ)及びレトルトカレーを選 定した。なお、これらの主な原材料は表 4-1 に示すとおりである。 表 4-1 対象食品と主な原材料 食料 主な原材料 インスタントラーメン(カップ) 小麦粉、油脂、でん粉、食塩、醤油、香辛料、豚肉、 卵、えび、ねぎ レトルトカレー じゃがいも、にんじん、小麦粉、牛肉、油脂、砂糖、 香辛料、ヨーグルト (2)業種 原材料を確保する必要がある主体として、製造事業者(一次加工、二次加工)及び卸売 業者(商社)を対象として設定した。基本的に製造事業者における原材料確保を想定した

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が、卸売業者のうち特に商社は、原材料を海外から輸入する入口として大きな規模を占め ており、ここで物流が途絶しないことが、製造事業者が加工を行うための大前提となるた め、調査対象業種に加えた。 【2】調査の方法と対象 加工食品原材料の輸入を営む商社及びインスタントラーメン(カップ)、または、レトル トカレーの製造事業者に対するヒアリングにより、各社における原材料調達の現状と課題 等に関する調査を行った。ヒアリングの実施企業を表 4-2 に示す。 表 4-2 ヒアリング実施企業 企業名 業種 調査実施日 丸紅株式会社 卸売業(商社) 2010 年 12 月 3 日 株式会社日清製粉グループ本社 (日清製粉株式会社) 製造業(一次加工) 2011 年 1 月 28 日 日清食品ホールディングス株式会社 (日清食品ビジネスサポート株式会社) 製造業(二次加工) 2011 年 1 月 25 日 エースコック株式会社 製造業(二次加工) 2011 年 2 月 2 日 株式会社中村屋 製造業(二次加工) 2011 年 2 月 16 日 ハウス食品株式会社 製造業(二次加工) 2011 年 3 月 4 日

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4.2.2. ヒアリング調査結果 【1】丸紅株式会社 (1)事業概要 丸紅は、食料を初めとして繊維、エネルギー、プラント、鉄鋼など幅広い商品を取り扱 う総合商社である。中でも食料セグメントの売上総利益は約 1,088 億円にのぼり、同社全体 の売上総利益(約 4,917 億円)の中でもっとも規模が大きい(2009 年度)。 (2)原材料調達の現状と課題 インスタントラーメン(カップ)について、商社における原材料調達の現状をヒアリン グした。 インスタントラーメン(カップ)を想定した場合、丸紅の取り扱い品目の中では、重要 な原材料として小麦や油(菜種油、オリーブ油、パーム油など)が挙げられる。 小麦は、食品メーカーが商品の仕様により小麦の質について規格を設けている。また、 規格を満たす小麦の生産地は限られ、調達先の分散等によるリスクヘッジにも限界がある ため、産地での天候不順等が発生した際には調達が厳しくなることも考えられるが、特に 対策は講じていない。 小麦やトウモロコシなどの加工食品の原料は、ユーザー側の規格が大きく異なることは 無いため互いに融通を利かせることは一部で可能な場合もある(あくまでも個社(もしく は従業員個人)どうしの関係に基づいて行われるものであるため、実際には、競合関係に ある企業同士で融通しあうというシステムはあまり機能しない)。なお、商社業界では、協 議会や業界団体を通じて問題意識を共有する場は構築されている。 【2】株式会社日清製粉グループ本社(日清製粉株式会社) (1)事業概要 日清製粉グループ本社は、2001 年に会社分割により当時の日清製粉株式会社から移行し た持株会社である。現在の日清製粉株式会社では、日清製粉グループにおける小麦粉、ベ ーカリーミックス等の製造・販売事業を担っている。 日清製粉グループ本社の事業は、製粉事業、食品事業、その他事業の各セグメントから 構成されている。なお、食品事業セグメントは、加工食品、酵母・バイオ、健康食品の各 事業から、また、その他事業セグメントは、ペットフード、エンジニアリング(プラント 建設など)、メッシュクロス2 の各事業からなる。 2 通気性を高めたり不純物をろ過するためのフィルターのようなもの。日清製粉グループ本 社の子会社である株式会社 NBC メッシュテックでは、製粉用にとどまらず、半導体やコン デンサ製造用のメッシュクロスなどを生産している。

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同社では、パスタ等の付加価値の高い食品事業や冷凍分野、チルド分野等への多角化を 推進しつつも、製粉事業は現在も中核事業であり続けており、その売上高は、約 1,794 億円 (2009 年度)と、全体の売上高(約 4,437 億円)の 40%超を占めている。なお、日清製粉 の小麦粉販売国内シェアは、全体の 4 割近く(国内 1 位)を占めており3 、日本国内におけ る小麦粉供給における重要な位置を担っている。 (2)原材料調達の現状と課題 2010 年 10 月の即時販売方式 4の導入を踏まえつつ、原材料備蓄の現状についてヒアリン グを実施した。 日清製粉では、現在、国の制度に基き、2010 年 10 月の即時販売方式の導入を踏まえ、2.3 か月分小麦の備蓄を行っている。また、強力粉や薄力粉、一等粉、二等粉や末等粉等の種 類別に、販売量とのバランスを考慮して製品在庫を保有するようにしている。なお、自社 独自には、新型インフルエンザ等の緊急事態発生に備えた備蓄や在庫の積み増しは行って いない。 【3】日清食品ホールディングス株式会社(日清食品ビジネスサポート株式会社) (1)事業概要 日清食品ホールディングスは、2008 年に会社分割により当時の日清食品株式会社から移 行した持株会社である。インスタントラーメンの製造・販売事業は、持株会社への移行に 伴い新設された現在の日清食品株式会社を中心に行っている。なお、日清食品と同じくイ ンスタントラーメンの製造・販売を手がける明星食品も、2006 年末より日清食品ホールデ ィングスの傘下企業となっている。 日清食品ホールディングスの事業は、即席めん及び付随する事業およびその他の事業の 2 つのセグメントから構成されており、即席めん及び付随する事業は、即席袋めん類、カッ プめん類、チルド・冷凍食品からなっている。中でも、カップめん類の売上高は、約 2,188 億円(2009 年度)と、全体の売上高(約 3,712 億円)の約 59%を占めている(即席袋めん 類およびカップめん類の合計では、売上高約 2,776 億円/売上高比率約 75%)。 (2)原材料調達の現状と課題 日清食品ビジネスサポート株式会社に対して、日清食品グループの即席めん製造事業(特 にカップラーメンの製造)における原材料の調達の現状と課題について、ヒアリングを実 3 日清製粉グループ本社,2010,「製粉業界の現状」(2010 年 10 月 8 日決算説明会時配布資 料)(http://www.nisshin.com/ir/reference/presentation/pdf/p101108_d.pdf)。 4 従前においては政府が備蓄していた 1.8 ヶ月分の小麦在庫を、製粉企業が日常の操業のた めに保有していた約 0.5 ヶ月分の小麦在庫と一本化し、製粉企業が 2.3 ヶ月分の在庫を備蓄 することになった。政府は、従前の政府備蓄水準に相当する 1.8 ヶ月分の保管経費を製粉企 業に助成する。

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施した。 同社の主力商品であるカップヌードルの原材料と主な原産国は、表 4-3 に示すとおりで ある。 表 4-3 カップヌードルの原材料5 主な原材料 原材料の主な原産国 最終加工地 めん 小麦粉 オーストラリア、アメリカ、日本、 カナダ 日本 フライ油 マレーシア、インドネシア、タイ 日本 スープ 香辛料 インドネシア、マレーシア、アメリ カ、インド 日本 醤油 大豆 中国、インド、アメリカ、日本、カ ナダ 日本 小麦 日本、アメリカ、カナダ 日本 具材 (かやく) 味付豚肉 豚肉 日本、デンマーク、中国、タイ 日本、中国、 タイ 味付エビ エビ インド、ミャンマー 日本、インド、 中国 ねぎ 中国 中国 味付卵 卵 アメリカ、カナダ、日本、EU、イン ド、中国 日本 原材料の中でも、具材(かやく)は、「留め型品」と呼ばれ、味や形など細部に至るまで 決められており、製品にそのまま投入可能な状態(フリーズドライ)で納入されている。 たとえばエビは、主にインドなどから調達し、国内の一時加工業者で加工されてから日清 食品グループの各カップラーメン製造工場に運ばれている。 調達面では、小麦粉やパーム油は毎日納入されており、複数調達先からの調達も可能で ある。また、具材(エビ、ネギ、卵など)は基本的に複数調達先からの調達はしておらず、 各々別の一次加工業者から納入されているため、製品製造に必要な原材料在庫は 1 週間程 度常時確保されているが、納入時期が異なるため具材によって在庫にバラつきがある。な お、一日あたりの生産量が莫大であるため、原材料の備蓄や、最終製品在庫の積み増しは コスト的にも物理的にも難しい。 5 日清食品カップヌードル公式サイトより (http://www.cupnoodle.jp/product/cupnoodle/index.html)。

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スープについては、グルタミン酸ソーダは複数の調達先から調達できるものの、独自の 調合を必要とする濃縮エキスは、開発したメーカー1 社からしか調達できないため、濃縮エ キスの納入先代替には課題が残る。 また、当社においては、年間 200~300 種類の製品を売り出しているが、小麦粉、パーム 油、ネギやキャベツなど各製品に共通する原材料は除き、具材やスープは基本的には製品 ごとに異なるため、製品間で具材を融通することは不可能であり、自社製品間の原材料代 替も難しい。 以上のことから、現状で非常事態が発生し具材の調達が不可能になった場合は、1 週間程 度の原材料在庫による製品製造と最終製品の流通在庫の出荷により対応することになる。 ただし、国からの生産要請があれば、自社製品間の原材料代替による生産も不可能ではな いが、この場合、製品への原材料表示等についてクリアすべき事項が存在する。 【4】エースコック株式会社 (1)事業概要 エースコックは、1954 年設立(1948 年創業)の即席めんメーカーである。50 年近い歴史 をもつロングセラー商品である「即席ワンタンメン」のほか、大盛りカップラーメンの「ス ーパーカップシリーズ」、低カロリーの「はるさめヌードル」などの商品を展開している。 株式非上場のため詳細なデータは公開されていないが、売上高は約 838 億円(2009 年度) となっている。 (2)原材料調達の現状と課題 エースコックの即席めん製造(特にインスタントラーメン(カップ)の製造)における 原材料の調達の現状と課題について、ヒアリングを実施した。 同社の主力商品であるスーパーカップ 1.5 倍(しょうゆラーメン)の原材料は、表 4-4 に 示すとおりである。

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表 4-4 スーパーカップ 1.5 倍(しょうゆラーメン)の原材料6 分類 原材料 めん 小麦粉、植物油脂、食塩、たん白加水分解物、鶏・豚エキス、しょうゆ、 砂糖、野菜エキス スープ 鶏油、しょうゆ、食塩、砂糖、たん白加水分解物、鶏・豚エキス、豚脂、 香辛料、発酵調味料、オニオンパウダー、でん粉、酵母エキス、植物油 脂、加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい かやく 焼豚、コーン、ねぎ、メンマ その他 カラメル色素、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、ビタミ ン B2、ビタミン B1 生産品目の原材料は、定期発注の形をとっており、製造計画をベースに調達計画を立て、 1 ヶ月程度前に契約業者に必要量を知らせている。なお、契約業者が製造している一次加工 品のほとんどは当社専用に加工されたものであるため、急に増産が必要になった場合でも 増産は可能であり、翌々日には入荷することが可能である。 平時においては製品在庫管理が厳しいため、作り溜めするなど、在庫を厚めに持たず、 最終製品の適正在庫は 3~5 日程度としている。これは、カップラーメンの賞味期限は一般 的に 6 ヶ月程度であるが、卸売業者からの出荷がなく 2 ヶ月ほど経ってしまうと、卸売業 者から購入を拒否されてしまうため。このような事情もあり、注文を受けると翌日には製 造して即出荷するという体制をとっている。 原材料・資材は、小麦粉、粉末スープ、具材(かやく)、カップ、ふた、段ボールが挙げ られる。いずれの原材料・資材も原則として、東京工場・関西の工場(関西滝野、兵庫) ともに 2 社以上の企業から調達することを絶対条件としている。なお、スープ以外は東京 の工場向けの原材料・資材を関西から調達することは行っていない(逆も同様)。 具体的には、まず、小麦粉(オーストラリア産)は近隣の 2 社以上の製粉メーカーから 仕入れている。また、カップとふたは、凸版印刷や大日本印刷など 3~4 社の地方拠点から 調達している。 かやくの原材料は、中国からの輸入品であるが、契約栽培で生産した野菜を調達してい るため、感染症が流行した場合であっても他業者に販売されてしまう懸念はない。加工プ ロセスは、中国から九州にあるかやくメーカー(一次加工業者)にフリーズドライ加工と 6 エースコック公式サイトより (http://www.acecook.co.jp/products/detail.php?jc=4901071236199&bId=brnd001)。

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パッキングを委託。なお、かやくメーカーでは相当量の在庫を持っている。 スープの調達は、味ごとに特定の会社(1 社)からの調達に限られており、これについて は、関西から東京工場向けに、関東から関西の工場向けに調達しているものもある。この ような状況から、スープの調達が一番の課題となる。万が一、すべてのスープが調達でき なくなれば、普段契約していない業者にスープのレシピを開示して委託することも考えら れるが、最高機密情報であるため、できる限り回避したい。 いずれにせよ、自社工場にはほぼ原材料在庫は有していないとはいえ、小麦粉以外の材 料は、自社製品向けに加工・製造されており、その保管費用も含めて代金を支払っており 完成製品の所有権も自社にあるため、自社在庫同等のものと考えている。物流さえ機能す れば、新型インフルエンザの流行期間は操業継続できると考えている。 【5】株式会社中村屋 (1)事業概要 中村屋は、1901 年創業、1923 年設立の菓子・パン・食品のメーカーである。同社では、 和洋菓子、菓子パン、中華まん、レトルト・缶詰のカレーを製造・販売しているほか、菓 子店やレストランの営業も行っている。レトルトカレーのみの売上高は開示されていない が、業務用カレーおよび市販カレーを製造・販売する食品事業の売上高は、約 72 億円(2009 年度)と、全体の売上高(約 409 億円)の約 17.5%となっている。 (2)原材料調達の現状と課題 中村屋のレトルトカレー製造における原材料の調達の現状と課題について、ヒアリング を実施した。 同社におけるレトルトカレーの商品のひとつであるチキンカレーマイルドの原材料は、 表 4-5 に示すとおりである。なお、中村屋のレトルトカレーは、他の一般的なレトルトカ レーとは異なり、小麦粉をほとんど使用していないことに特徴がある。同社では、これを 「インド式」と呼んでいる。

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表 4-5 中村屋チキンカレーマイルドの原材料7 分類 原材料 具材 野菜(玉ねぎ、にんじん、にんにく、しょうが)、鶏肉 ルー トマトペースト、食用油脂(大豆油、ラード)、カレー粉、ココナッツミ ルク、バターオイル、チキンブイヨン、砂糖、ポークブイヨン、食塩、 小麦粉、コーンスターチ、果実調味料、香辛料、調味料(アミノ酸等) 中村屋のレトルトカレーの重要な原材料としては、カレー粉、豚肉、鶏肉が挙げられる。 これらの原材料は、国内・海外の双方から調達しており、その調達比率は国内が 3 に対し て海外が 1 である。 原材料が突然調達不能になる事態を想定した対策として、主に調達先の分散による備え を行っている。ただし、これを開始するきっかけとなった具体的な事案があるわけではな い。一方、原材料によっては、恒常的に在庫を多めに保有している。方法としては、外部 の倉庫事業者への委託により行われている。 【6】ハウス食品株式会社 (1)事業概要 ハウス食品は、1947 年設立のカレールーを中心とした食品メーカーである。同社で製造・ 販売されている食品は、香辛食品類(カレールー等)、加工食品類(シチュー等)、調理済 食品類(レトルトカレー等)、飲料・スナック類他(飲料・健康食品等)から構成されてお り、飲料類の規模も大きいのが特徴である。なお、レトルトカレーの売上高は、約 142 億 円(2009 年度)と、全体の売上高(約 2,206 億円)の約 6.4%となっている。 (2)原材料調達の現状と課題 ハウス食品のレトルトカレー製造における原材料の調達の現状と課題について、ヒアリ ングを実施した。 ハウス食品では、レトルトカレーの主力商品である「ククレカレー」をグループ会社の サンハウス食品株式会社(愛知県江南市)で、また、ククレカレーより廉価な「咖喱屋カ レー」をハウス食品静岡工場で生産している。 ククレカレー(中辛)の原材料は、表 4-6 に示すとおりである。これらの原材料の中で も、特に香辛料、油脂、小麦粉、砂糖は、すべてのレトルトカレーの核となる重要な原材 7 中村屋チキンカレーマイルド製品パッケージによる。

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料として位置づけられている。 表 4-6 ククレカレー(中辛)の原材料8 分類 原材料 具材 野菜(じゃがいも、にんじん)、牛肉 ルー 小麦粉、牛脂豚脂混合油、砂糖、りんごペースト、ソテーオニオン、カ レーパウダー、食塩、トマトペースト、香辛料、酵母エキス、バターミ ルクパウダー、でんぷん、ヨーグルト、調味料(アミノ酸等)、カラメル 色素、酸味料、香辛料抽出物、香料 ハウス食品では、原材料が突然調達不能になる事態を想定した対策として、すべての原 材料について複数購買を行っている。これは、平時からの安定供給確保のため、10 年以上 前から行っているものであるという。 また、原材料によっては、数週間分の在庫をもっているものもある。なお、完成品在庫 については、賞味期限等の問題から卸売業者等への販売に支障が出ることから、あまり保 有しないようにしている。 8 ククレカレー(中辛)製品パッケージによる。

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4.2.3. 原材料調達の現状と在庫確保方法の課題 【1】小麦 食品用小麦については、国内でも生産されているものの、全需要量に占める割合は少な く、そのほとんどが海外からの輸入に頼っている状況にある。 輸入は、国家貿易(一部は民間貿易)により輸入されており、食品用小麦の輸出国で新 型インフルエンザが発生した場合には、一時的に輸入が滞る可能性もある。しかしながら、 製粉企業において 2.3 ヶ月分の在庫が備蓄されていることもあり、新型インフルエンザの流 行期間として厚生労働省などで想定されている 2 ヶ月間の需要には対応できる現状にある。 なお、より万全の体制を期すためには、製粉企業において独自に備蓄を増量させること が考えられる。 【2】小麦粉 小麦粉は、主に海外から輸入された食品用小麦を製粉企業が加工することにより製造さ れている。製粉の工程は、麦のサイロ出しから粉の小袋詰めまで、ほとんどが自動で行わ れているため、小麦粉の生産が滞る可能性は低いと考えられる。そのため、製粉企業側で は、卸売事業者へ小麦粉の完成品を配送するまでの流通面の問題が残る。対策としては、 製品在庫の積み増しや物流機能の確保が考えられる。 製品在庫の積み増しについては、主に保管コストの問題から、製粉企業において積極的 に実施する意向は持っていない。一方、物流機能については、物流子会社を持つ製粉企業 も少なくない。親会社である製粉企業が中心となって BCP の策定・運用を展開することに より、新型インフルエンザ等の感染症発生時においても、安定供給を行うことが期待され る。 また、小麦粉を購入するインスタントラーメン(カップ)やレトルトカレー等の加工食 品製造事業者においても、小麦粉の在庫はほとんど保有しておらず、毎日あるいは数日に 1 回程度、製粉業者から調達している現状にある。対策として、原材料を備蓄することが考 えられるが、今回ヒアリングを行った企業では、保管スペースや管理コストの問題から積 極的に備蓄を行うことは難しい状況にある。 【3】油脂 油脂については、東南アジアを中心とした海外からの輸入に頼っている現状にある。イ ンスタントラーメン(カップ)やレトルトカレー等の加工食品製造事業者では、製油企業 や専門商社を通じて調達している。 今回、製油企業等に対してはヒアリングを行っていないが、インスタントラーメン(カ ップ)やレトルトカレー等の加工食品製造事業者では、小麦粉と同様におおむね毎日ある

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いは数日に 1 回程度の調達を行っている現状にある。そのため、基本的に備蓄は実施して いない。また、企業によって多少の違いはあるものの、複数の契約先企業から調達を行っ ており、国内物流面でのリスク分散は行われている現状にある。 対策としては、製油企業等における備蓄や調達先の国・地域の分散を行うことが期待さ れる。加工食品製造事業者では、小麦と同様、自社工場での備蓄は保管スペースや管理コ ストの問題から、積極的に備蓄を行うことは難しい状況にある。 【4】野菜類 野菜類について、今回ヒアリングを実施したインスタントラーメン(カップ)の製造事 業者では、海外の契約企業から直接調達するか、あるいは国内の契約工場等を契約して調 達している。いずれの方法でも、製品のカップにそのまま投入可能なフリーズドライの状 態で納入されている。一方、レトルトカレーの製造事業者では、海外の契約企業から冷凍・ 加工された状態で調達している。 インスタントラーメン(カップ)向けの野菜類は、各製造事業者がその仕様を厳格に定 めていることから、調達先の分散化は行われていない。一方、レトルトカレーについては、 個社ごとに若干の違いはあるものの、調達先の分散化が行われている。原材料在庫を確保 する方法として、製造事業者自身の工場はすでにスペースが逼迫している状況にあり、自 社で備蓄を行うことは難しい。 これらを踏まえ、今後の対策としては、特にインスタントラーメン(カップ)の製造時 業者において、調達先の分散化を行うことが求められる。調達先の分散化にあたっては、 調達コストの増加は避けられないものの、複数の一次加工業者に対して野菜の加工に関す る仕様を開示し、同一製品の製造を依頼することは不可能ではないと思われる。 【5】魚介類 魚介類は、個別の製品にもよるが、今回ヒアリング調査を実施した中では、インスタン トラーメン(カップ)にエビが含まれている。調達経路としては、インドやミャンマーな ど海外産の魚介類を日本あるいは海外の契約工場等でフリーズドライ加工し、製造事業者 の工場に入荷している。今回ヒアリング調査を実施した企業では、魚介類(エビ)の備蓄 は行われていなかった。また、調達先の分散化については、調達先の国・地域については 複数化されているが、加工に関する仕様が厳格に定められていることもあり契約先企業は 分散化されていない現状にある。 魚介類の原材料在庫を確保するために考えられる方法は、基本的に野菜類と同様である。 魚介類の備蓄はフリーズドライ加工がなされた状態であっても、スペース面や保管コスト の面から困難である。ただし、調達先の分散化については、複数の一次加工業者に対して 魚介類の加工に関する仕様を開示し、同一製品の製造を依頼することにより、リスクの低

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減を図ることが可能であると考えられる。 【6】包装資材 包装資材については、食品製造事業者が国内大手の印刷会社から調達しているケースが ほとんどである。今回ヒアリングを実施したいずれの製造事業者においても備蓄は行われ ていないが、事業者によっては調達先企業やその地域を分散化させている。 今後の対策としては、調達先の分散化を促進することが期待される。備蓄については、 インスタントラーメン(カップ)の容器は、その嵩が大きくスペース上の問題から備蓄は 困難であると想定される。また、レトルトカレーのレトルトパウチについては、嵩は大き くないものの、衛生管理に特に留意する必要があり、これに対応できる環境をもつ備蓄庫 を整備することはコスト面の問題から敬遠されることが考えられる。一方、調達先の分散 化については、実際に調達先を分散化させている製造事業者が存在することから、複数の 印刷会社と契約し、その調達先拠点も分散化させることが可能であると考えられる。

図  4-1  検討の手順

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