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沖縄県地方における地震危険度について: University of the Ryukyus Repository

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Title

沖縄県地方における地震危険度について

Author(s)

天野, 輝久

Citation

琉球大学工学部紀要(48): 19-30

Issue Date

1994-09-01

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12000/1428

Rights

(2)

琉球入学工学部紀要第48号,1994年 19

沖縄県地方における地震危険度について

天野輝久率 OntheSeismicHazardmOkinawaArea TeruhisaAMANO* Abstract TheraUonalapproachtotheaseismicdesignforbuildingsandstructureshastobe bascdonLheseimlichazalrdintheareaconcerned、Thispaperdealswiththeseismicity irlOkinawaareabyusingthedataforintensitjesofearthquakesobservedineight n「IetGoro10gicalstations,andmagnitudesalldseisnliccentersofearthquakescaused annualmaximumearthquakemotjonsTheadequacyofthe、zonefactor,intheaseismic designcodeisdiscussedbytheestimatedmaximumaccerelationongroundsurface afterKanarsformula・ ItisfollndoutthattheseismisityinMiyakoandYaeyama,amongmanyislandsof OkinaWa,istobGcomparativelyhighTheprobabilitydistributionofthelogarithmof annualmaximumaccelerationisweIl-fittedbyGumbel,sthirddistributionfunctiom

ThcexpectedannualmaximumaccelerationoDgroundsurfaceinreturnperiodoflOO

yearsisestimated60to90galforOkinawamainislandareaand90tol40galfor

MiyakoandYaeyamaarea・Itisconcludedthattheapplicationofthedifferent、zonefac

torp,i、e、,0.5forOkinawamainislandarea,0.7forMiyakoandYaeyamaexcluding

YonaguniislaTldand0.9forYonaguniislandismoreadequate・insteadofappli、90.7

inc(〕nventionalcodeovertheentireareaDfOkinawaPreIecture.

Keywords:SeismichazardSeismicity1Seismiccenter1Magnitude、Intensity・Return

period,AseismicdesigLZonefactor 1.はじめに 我国における上水・建築構造物の構造設計のH標が 地溌時あるいは強風時における構造安全性の確保にあ ることは瀞うまでもない.沖縄県の位置する南西諸島 付近は,周知のように,台風の常襲地帯であり,発達 中あるいは蝋盛期の台風が年間3-4個接近する.こ の為,合理的な耐風設計、とりわけ風速の再現期待値を

考慰した確率論的な耐風設計が極めて重要であるI〉.

一方,地震については有名な八重山地震津波2)(1771

年M=7.4)や石垣島北東沖地震(1958年M=7.0)

などの他に,久米島沖群発地震(1980年)や最近の西 表島の群発地震(1991~93年)などが知られている. しかし.顕著な被害が殆どないことから,沖縄県は地 受理:1994年5月17日 学内発表(平成6年5月18p)

*琉球大学工学部環境建設工学科DepLofCivilEng,andArchitecture,Fac、ofEng.

(3)

天野:沖縄県地力における地震危険度について 20 麓に対しては比較的安全な地域だと考えられてきた. 太平洋プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む 運動によって起こる関東以北の地溌と同様に,南西諸 島付・近に生じる地震も,フィリピン海プレートが琉球 海簿付近からユーラシアプレートの下に沈み込む運動 と関連している.したがって,沖縄県地方の構造物の 耐震安全性を考える上では,地震の規模や震源分布等 のいわゆる地震活動度を光分に調炎し,地震危険度(あ る再現期間内に個々の地点で予想される最大地震動の 期待値)を適切に評価すること力極めて重要である. そこで,本研究では県内8ヶ所の気象宮署における 震度の記録と,主として気象庁によるマグニチュード と地震の観i1l資料を用いて,沖縄県地方の地震活動度 についてその将徴を明らかにするとともに,iIIj純県各 地における地表liiiの年鹸大加速腱の榔現期待値を極値 分布理論にもとづいて推定した.これらの地震危険度 に関する検討を通して,本論文では「新耐震設計法」 における地域係数の妥当性について論じた. 1とされ,「新耐鍵設計法」とよばれる新しい耐震設計 法が1981年(昭和56年)4月に施行された.「新耐震」 では,従来の許容応力庇設計法を1次設計と呼び,建 物の耐用年限内にl~2度起こるような中地震に対し ては,建物に損傷を生じさせないことを目標とし,他

方,2次設計では極めてまれに起こる大地震に対して,

構造物の変形が塑性域に及ぶことを許容するが崩壊や 転倒は防ぐということを目標にしている.1次設計と 2次設計とでそれぞれ想定する地震動の強きやその11} 現期間については必ずしも明らかではないが,大崎は 中程度の地震とは『低嚥の建物に0.2G穏度の弾性応 答を生じさせる地震で概ね80-100gal程度の地震」 とし,また,人地震とは『関東大地震クラスの強さの 地震で300~400gal程度の地鰹』である3)としている. 「総合技術開発プロジェクト(総プロ)」と呼ばれ た地震危険腱に関する調査研究いが,昭和47年から5 年間にわたって建設省建築研究所で行われた.地麓危

険礎のマップに関する既往の12例の研究が集められ,

それらの加重平均と標準偏差とから新しい危険度マッ プが作成された.図-1は100年期絲位に標(ii偏鑛の 2倍を加えたものを,殿も大きい彼が1.0になるよう に正規化した地域係数の詳細なマップである.|Xl-2 に示した「新耐震」の地域係数はこの成・采にもとづい 2.新耐震設計法と沖縄の地域係数 2.1新耐震設計法

周知のように,十勝沖地震(1968年)や宮城県沖地震

(1978年)の経験を経て,いわゆる「0.2震度法」が廃

刑日田細部Ⅲ

a2

図-1「総合プロ」の正規化された地域係数`)

図-2「新耐震設計法」の地域係数

(4)

琉球大学:工学部紀要第48号.,1994年 21 2.2沖縄の地域係数 表-1は沖縄県における耐麓設計の変通についてま とめたものである.本土に復帰する以前の第1期は, 戦前の「市街地建築物法」の考え方に準じて,建築基 蝶法施行規則(1953年琉球政府規則第24号)により, 水平震度0.1を採用していた.「物法」では材料の許容 応力度が現在の1/2に抑えられていたので,正確には 「水平繊度0,1」でなく,「永平鰹度0.2Jを地域の実 情を考慮して二分の一を減じて0.1とする」と言い表 すべきであるが,当時の沖縄は米国の施政権下にあり, SEAOC(StructuraIEngineersAssociationofCalifbrnia) の規程6)でベースシェアー係数が0.10-0.12となって いたのが影響した可能性もある.本土復帰以後の第Ⅱ 期は,1日・建築基準法施行令第88条第5項の規程によ り,『過去の地腱の記録に基づく震害の程度および地 震活動の状況により水平震度を二分の一に減じる」措 置がとられ,第1期と同じく水平鍵度は0.1とされた. そして錆Ⅲ期は「新耐震」の時代である.図-1に 示した「総プロ」では沖縄県の地域係数は0.2程度と 極めて小さい値になっているのに対し,「新耐震」で は0.7と3倍以上の値に設定された.実際には,当初 案で0.8であったのが,設計規範の連続性を訴える地 域の要請がなかば受け入れられて数値自体は0.7に落 ちついた.いずれにせよ,このように大きな値が設定 されたのは『計算による値が小さい区域でも大地震の

発生による壊滅的な被害が生じないように,地域係数

にあまり差をつけない方が良い」5)という慎重な判断

があった為である.北海道の一部や九州西部の離島に

0,2の地域があるが,これらの地域に隣接地域と異なっ

た値を設定するのはためらわれるが,沖縄のように地

理的に遠くはなれた地域に対しては,過去の経緯など

別の判断も必要だったように思われる.なお,もう一つ

nIlI 。 100.

図-3加速度の100年再現期待値5)

て決められた.iihiUX1を比較すると,図-1で0.8以上 の地域は図-2でZ=1.0に,0.5-0.8の地域はZ= 0.9になっている.そして,0.5以下の地域はZ=0.8で, 沖縄県だけ0.7となっている. ところで,図-2で地域係数1.0の地域は,図-3 の極値分布に基づく再現期間100年の地表面加速度 マップ易>と比較すると,東北地方から北海道にかけて

は300-400galの中'1M値以上の地域に,また,近畿・

東海地方では200~30013alのLli間値以上の地域に対応 している.前述の大崎の見解と合わせて考えると,地 域係数1.0の地域とは,汀現期間100年の期待値が概ね 300gal以上の地域と考えてよいものと思われる.

表-1沖繩における耐震設計の変遷

期 期間 水平鰹度又は地震層せ ん断力係数 地域係数 関連法令 I ~lw2[~本土復帰] 0.10 05

「市街地建築物法」の思想を受け継ぎ「建築基

準法施行規則第76条」で「0.1震度法」を採用 Ⅱ 1972~1181[本土復帰~新耐震] 0.10 0.5 「|日.建築基準法施行令第88条第5項」の但し露により水平涯度を二分の一に減ずる Ⅲ 1981~[新iil震~] 0.14 0.7

「新・建築基準法施行令第88条(新耐溌設計法)」

(5)

天野:沖縄県地方における地溌危険度について 22 の問題として指摘しておきたいのは,「総プロ」でも「新 耐震」でも,沖縄本島付近のみが表示され,先島地方 については全く触れられていないことである 表-2震度別の地麓回数(那瑚)

年最大震度の回数 3.沖縄県地方の地震 3.1各地の震度の記録 表-2は沖縄気象台(那覇)で1952年から1992年ま での41年間に観測ざれた有感地震の回数を震度別に示 したものである.1987年までは文献7)の資料を用い, それ以降は沖縄気象念地震津波火'11監視センターの速 報によった.那鰯での有感地溌は職も多い年で17回あ り,平均すると7Iil/年となっている.震度Ⅳの地礎 は1950-60年代に偏っているが,この41年間に4回あ り,平均すれば10年間に-.度の頻度で発生している. また,那職では溌畷V以上の地震の絲験はない. 沖縄県には8ヶ所の気象符磐がある.各気象宮署に おいて,観測を開始した年から1992年までに,それぞ゛

れの年で股も大きかった震度(以後「年最大震度」と

呼ぶ)の回数を震度別に示したの力譲-3である.沖

縄諸島では,観測期間の短い名護を除けば,最も大き

い震度がⅣ(中震)であるのに対し,宮古列島および

八重山列島ではV(強度)である.しかも,石垣島で

は過去96年間に6回もあり,おおよそ15年に一度の頻

度で発生している.このように沖縄本島付近と先島地

方とでは発生する地襲の強さにかなりの差があること

が判る.なお,南大東島では有感地震は殆どない.

3.2震源分布

図-4は各気象宮署で年餓大震度を記録した地震の

震源分布を示した.マグニチュードおよび麓源はJM

A(気象庁)震源とISC(IntematjonaISeismological

Cemer)震源を利用した.更に,1988年以降について

は,観測体制が強化きれた11'1'繩気象台による盗料(「沖

表-3各気象宮署に おける 西暦 震度 I Ⅱ 、 Ⅳ V 有感地震 合計 1152 1 1 2 53 2 3 3 8 54 1 2 3 5s 1 1 1 3 56 4 1 1 6 57 8 8 1 17 58 4 1 4 9 59 6 7 2 1s 1960 4 2 2 8 61 2 4 2 8 62 6 3 2 1 12 63 11 1 12 “ 7 2 , 缶 2 2 1 5 66 B 3 1 14 師 3 5 8 68 7 6 1 14 51 4 1 1 5 1970 2 Z 4 71 2 2 鬼 3 1 1 5 ” 5 1 1 7 74 Z 1 1 4 7s 6 6 76 6 1 7 万 5 Z 7 78 4 4 79 4 1 5 1980 3 2 5 皿 2 1 3 82 1 1 2 田 5 1 84 Z 1 3 寵 5 2 7 86 Z 2 87 Z Z 88 13 1 3 17 81 6 1 1 8 1”0 , 4 1 14 91 4 2 6 92 6 TOnAL 176 方 期 4 羽9 地壊 観測地点 位置 緯度(N) 経度(E) 観測 開始年 年数観測 0 I年籏大農度の回数Ⅱ Ⅲ 】V V Ⅵ 沖縄諸島 名霞那覇 久米島 26.35.7' 26.13.0’ 濁゜20.2 127OS8.4’ 127.41.0’ 1頭。48,4’ 1172 1952 195, 21 41 34 7 1 6 0 皿 12 13 8 11 13 4 1 大東諸島 南大東島 25°49.7 131014ユ’ 19s, 勢 26 6 2 宮古列島 宮古島 2404704 125.1607' 1938 弱 1 3 11 33 6 1 八重山列島 石垣島 西表島 与那国島 課。20.0 24゜30.0 課。27.7 124.10.0' 123゜“.l’ 123.0.7’ 1817 19輿 1957 ” 。, 36 7 0 8 30 8 , 4s 19 12 8 10 4 6 2 1

(6)

琉球大学」二学部紀要第48号,1994年 23 地震津波の震源とされる石垣島の南方に空白域が見ら れるが1行」舟々に比較的近い位置で数多く発生してい る.特に,iHi表島と与那国島との間には多数の震源が あり,また,与那国島の西側で台湾に近い所での地震 が極めて多い.琉球海榊は台湾の東岸を走る横ずれ断 尉に接続している8)と言われており,この付近ではマ グニチュード7以上の地震が過去30年間に2回発生し ている.石垣島での観測が開始きれた1897年まで遡る と13回も秘録されている. これらの地麓について,琉球海瀞から震央までの距 離と震源の深さの関係を図-5に示した.琉球海溝の 位置は図-4のAO32oE,28.N),B(126゜E, 23゜N)およびC(123°E,23.N)の3点を結ぶ 線で代表きせた.側から判るように,各地域とも浅い 地震と琉球海獅から離れるに従って深くなる深発地震 とがある.雌も深い地鍵は深き250kmで起こっている. 深発地震は,特に沖縄本島付近では,震源が上下の2 つの層に介在しているように見える.八重山列島付近 では深い地震あまりない. 純L/Aによる鰹源」と呼ばれる)を)|Iいた.対象とした jU11lUは得気象1ミイ署で統一・がi1.能で,かつ,iihi料の欠落 が飴どない1963年から1992イドの30イ|是MHを選んだ.年股 火淡度とliilじ震度の地蕊がliiトイ|{に複数同生起した場 合には,次漱で述べる方法によって求めた地表Ini力Ⅱ速 度が雌も火きい地震のみを擁)|Iした.以後,この地震 を「年lijlr大震度を記録した地鰹」と呼ぶことにする. |xl-4によれば過去30年間に年岐大慶度を記録した 地臘の震源は,琉球i臓|fの束i1Wi側にはなく総て北西'11リ にあり,↑'11純県地力の地鰹がフイリピン海プレートの 逃動と11M逃していることが1111る.沖縄本島付近では本 島の北西側に多くあり,木崎に近い所とi''1繩トラフの 周辺部に多い.しかし,久米職'11群発地震のように1111 縄トラフ|人1の浅発地旋(深き約20km)もある.また, i(|,純本脇の南方には艇源がiiLj録されておらず鰻白域と なっている.沖縄本島付近ではマグニチュード7以上 の人地礎は起こっていない. 一刀,宮古島付近では烏からあまり遠くない位憧で の発生が多く見られる.八噸['1ダリ島付近では,八通'11 )。 「 〕。 Ⅱ

図-4「年最大震度」を記録した地震の鍵源分布(1963~1992)

JLIiiMhUlIi;iiiiflI

(7)

天野:沖縄県地方における地震危険度について 24 4.年最大加速度の再現期待値と地域係数 4.1極値分布と再現期待値 一般に,極値に関する確率分布はGumbelの第1分 布(二麓指数分布),第Ⅱ分布(Frechet分布)および 第Ⅲ分布(Weibul分布)のいずれかに当てはまると されている.年股大風速は第1分布に適合するj;騎合が 多いが,地震動では上限傾を持つ第Ⅲ分布で近似する ことができれば物理的にも都合が良い.実際に,年殿 大震度/は鯖Ⅲ分布唖の,

w,…(-'幾1)”,

に良く適合する9).ここに,ノハハノ1,,hは震度の上限値,

特性鹸大値および指数である.震度ノと加速度a(gal) との関係を表した河角式10)

α=OL街×ノ00.ゴノ

(2) を用いれば(1)式は

。(…l-I鵜))’3’

のように変形される.ここにαM、α,,、力は加速度の 上限値,特性般大値および指数である上式のldi辺の 対数を2回とれば直線関係式 γ=k(x+b) (4) 力縛られる.ここに, 琉球海溝からの距離R〔kMZ麺屏爾司

1-ル

100 0 00 4 300 j 深さ冊““叩 0 1 200 300 琉球海瀞からの距離R(ぬ)盾調 j 深さ冊“伽 0 ・・I 200

i三lIiiMi測

ところで,再現期間をT年とすると,の(α)は年 最大加速腿の非超過確率であるから,で年11)現期待 値αrとでとの関係は

ノーの(αJ=〃r

すなわち

②(q)臺旱

となる.なお,実|祭のデータをH1いてlMi率紙jzにプロッ トする際には,(6)式に代えて,Ilazenの力法と呼

Q、=-フ77

が採)Wされることが多い.ここにⅣは観測年数,噸

は小さい順に数えた順位であり,の榊は経験的非超過 確率と呼ばれている. 300 琉球海溝からの距離R(k・)ロ壷颪1厩EES!

図-5震源の深さと琉球海瀧からの距離との関係

(8)

琉球大学:工学部紀要第48号,1994年 25

鰄豈Hliil鰍|“

表的な地盤である第2種地盤のγc=0.60秒を用いた. 4.2年最大加速度の確率分布 ia)上134値の決定 第、分布には3つのパラメータが含まれており,殿 小二乗法を適用するにはハ,を試行錯誤的に決める必 饗があるそこでWii単のため,表-3に示した年最大 震度の記録を用いて,(1)式による当てはめを行っ てみた.図-6は1Mを変化きせた時の縦方向および 横方向の残差を示したものである特定のノハ,で残差 が股小となるものと,fvが大きいほど残差が小さい, いわば第Ⅲ分布に近いものとがある.表-4には残差 の殿も小ぎい1Mと,(2)式より求めたα》,とが示し てある.宮古島と西表島では1000gal程度で物理的に も妥当だと考えられるが,名護,那覇および久米島の 沖縄諸島については30-110galで,上限値として採 用するには小さすぎると言える.そこで,般近, 1000galに近い加速度の記録が得られた広尾7111地腱 (1993年)の例'1)なども参考にして,各地点とも“, を1000galに固定することにした. (b)地表面の肢大加速度 地震が発生した時,ある地点での地震動の強さを予 測する式を減衰1111線と呼んでいる.金井'2)によれば, マグニチュードをM,溌源距離をγ(k、)とすれば,卓 越周期が7。(秒)の地盤の地表面の股大加速度α画鋤 は(8)式で与えられる地盤の卓越周期については,代 ×10.1 6 345678910 鰹度の上限値(1N) 図-6震度の上限値と残差の関係 表-4腱度および加速度の上限値 地域沖縄諸島大東諸島宮古列島八重山列島 観測地占名護那覇久米島南大東島宮古島石垣島西衷島与那国島 67B5 8978 表-5震源およびマグニチュード観測資料の有無 J83326462 %4m弱卵⑬⑩西型 く 計1mm釦刎佃Ⅲ8

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島 国 ! 罰 。◆ 地域 沖縄諸島 大東諸島 宮古列島 八重山列島 観測地 名護 那覇 久米島 南大東島 宮古島 石垣島 西表島 与那国島 1M 3.6 4.8 4.2 6.8 6.7 8.6 aM(gal) Z, 113 57 1130 1007 8978 地域 観測地点 観測年数 資料あり 0 I Ⅱ Ⅲ Ⅳ V 計 資料なし 0 I Ⅱ Ⅲ Ⅳ V 計 欠落率 (%) 沖縄諸島 那覇名護 久米島 21 41 34 1 4 11 7 11 8 16 11 Z 20 29 22 7 Z 1 5 Z 3 2 2 1 1 12 12 4.8 21.3 35.3 大東諸島 南大東島 34 4 4 26 2 2 30 88.2 宮古列島一 宮古島 55 1 1 6 17 5 1 31 2 5 16 1 24 43.6 八重山列島 石垣島 西表島 与jI1l国鳥 96 39 36 2 7 14 8 , 四 14 9 4 5 Z 6 2 1 49 29 28 Z 1 1 16 狸 5 3 4 5 Z 佃 10 8 49.4 25,6 222

(9)

天野:沖縄県地方における地震危険度について 26 α(gal) α(gal) ]5010020030U )1002UU30C 「(年) 200 100 50 00 21 5 2 丁(年) 200 100 50 005 21 2 「1 J X=-1,(1,(αⅡ/α)} X=-1,(1,(all/α)) 図-7a年最大加速度の確率分布(沖縄諸島および大東諸島) 0 0 3 0 0 2 0 0 1 0 5 0 1 1 0 0 3 0 0 2 0 0 1 0 5 0 1 1 0 5 ● 0 O L 5 1 0 2 0 5 0 0 ● 1 5 0 1 0 ● 2 5 ■ 65432101654321012- (eロヨー)宮「lⅡ夛 一『 (eロ[I)回「IⅡエ ・一』 『色 』● ⑪● ●』 C●■ ■ロロ▲ の●■。 。●■●■ 00■■000 ■ ●●0●006 1 ■ ■ ▲ の ● の 句 ■ ● ウ ■ 《 ▲ 一一■ ・ ・ ■ 。 ■■ 。 ご』』 ⑤。■ 』C ■■

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□■■■和訓□戸

南大東島

(10)

琉球大学l:学部紀要第48号,1994年 27 α(gal) α(gal) 6 5 4 (。■【l)宮【IⅡ夢 丁(年) 200 100 50 3 2 1 0 16 5 4 (e■[-)官「IⅡ夛 20 10 5 2 「(年) 200 100 50 32101 20 10 5 2 -2 -2.5-2.0-1.5-1.0-0.50-2.0-1.5-1.0-0.50 X=-1,(1,(αロ/α))X=-m{1,(αロ/α)) 図-7b年綬大加速度の確率分布(宮古列島および八重山列島) 11050100200300110Rolonlnn9nn 〃 。△ ■■■●■・・--■-, こ●---■DC■'C=-0 - C l 。■ ■ ●0 。 ■ □ □』 一・■P■一宇い』 ■■●⑤ ●●●C OCD① ●■■。 シ■

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(11)

天野:沖縄県地方における地震危険度について 28 設計で300galと考え,また,それぞれの押現期間を 20年および'00年として,地震危険度を地域係数を評 価することにより検討してみた.表-6に検討結果を 示す.先ず,2次設計に対する地域係数について見て みると,沖縄諦鳥では0.20-0.30であり,図-1の「総 プロ」の衡科とたいへん良く一致する.一方,・与那国 島を除く先腸地力ではこれよりやや火きく0.25~0.35 である.そして,与那国島では0.45である.このよう に2次設計に対する地域係数は現行の0.7に比べれば かないI、さく,弾塑性設計が本質的に必要となるよう な地麓は,沖縄県地方では与那国島を除いて殆ど起こ (c)確率分布 以上述べた手法にもとづいて,沖縄県各地について 年最大加速度の確率分布の当てはめを行った.年最大 加速度を記録した地震について,(8)式により年般大加 速度を求めた.但し,表-5に示したように,特に 1962年以前については,マグニチュードと震源の記録 が欠落していることが多い.そこで,そのような場合 は,資料を有する同一溌度の地震の年最大加速度の平 均値で補い,同一鍵度の地震がない場合には(2)式に よって推定した値を用いた. 各観測地について確率分布をプロットしたのが図一 7aおよび図-7bである.確率紙上へのプロットは (7)式のhazenの方法によった.図中の実線は縦および 横方向の残兼を雌小とする鰻小二乗法によって求めた 直線である.那柵lと久米島については強い地灘のデー タに若きl:のばらつきがみられるが)その他は各地とも たいへん良く直線に乗っており,第Ⅲ分布によく適合 していることがわかる. 200 ([句、)己 150 。,▲。 。■$

100 4.3再現期待値と地域係数 前節で得られた適合直線から求めた沖縄県各地の溌 大加速度の再現期待値を図-8に示す.3章の考察か

P予想されるように,沖縄本島地方と先島地方とでは

最大加速度の期待値に差が認められ,先島地方の方が かなり大きくなっている.20年期待値は沖縄本島地方 で30-40gal,先島地方で40-70galである.また, 100年期待値は沖縄本島地方で60-90gal,先島地力 で90-140galとなっている.南大東島では期待値は 非常に小さい. そこで,2章で辮述したように,地域係数1.0の地

域における地鰹勤の強さを,1次設計で80gal,2次

50 名那久南宵石pIi与大火船 那 阿 脇 IIi ljb 米 魑珊島 jli U6 淡陶 |xl-8職大加速度の71}現期待値 表-6般大加速度の再現期待値と地域係数 地域 観測地点 再現期待値(α『gal) α10 α20 α50 α100 α200 地域係数(Z) ZI(=α20/80) ZⅡ(=α100/300) 推奨値 沖縄諸島 大東諸島 名護 那覇 久米島 南大東島 18 22 23 4 27 32 37 6 43 50 61 11 58 68 86 17 77 88 11s 24 0.34 0.40 0.46 0.08 0.11 0.23 0.29 0.06 0.5 宮古列島 八重山列島 宮古島 石垣島 西褒島 与那国島 27 33 34 46 41 47 51 67 63 72 80 102 85 95 108 135 111 121 140 172 0.51 0.60 0.64 0.84 0.26 0.32 0.36 0.4s 0.7 0.,

(12)

琉球大学:工学部紀要第48号,1994年 29 らないとiirっても過jiPではない.肘に,現行の地域係 数0.7の地震,すなわち,簸大加速度が210galの地溌 の再現期間を求めてみると,那嚇では約4000年,石垣 脇では1500年となり,常識をはるかに超えた長い年数 となる.股も短い与那国島でも400年である. エカ,1次識iilにズケする地域係数は沖縄諸島では 0.35-0.45であり,光島地力では与那国島を除いて 0.50~0.65となっている.そして,与那国島では0.84 とかなり大きい.このように1次設計に対する地域係 数は2次設計に対するものと比べて大きくなってお り,2次設計で想定するような地震が殆ど起こらない とすれば,1次殻i汁に対する地域係数の方が重要に なってくる.「総プロ」では,再現期間50,75および 100年で危険度マップにあまり差がないとして,1次 および2次設計に対する地域係数を区別せずに決めて いるが,もっと短い再現期間に対する検討も行ってい れば,十河とは異なった結果が得られたかもしれない. 以上の考察から総合的に判断すると,沖縄県全域に 錐に「0.7」を孫)|Iする現行の地域係数は改める必 要があるものと思われる.すなわち,上述した1次股 iilに対する値を参考・にして,ii1l1縄本島地力については 「鮒耐鰹」以diiの仙である「0.5」にもどし,与那瞳| 川を除く先ノル地ノノについてはB1jTの「().7」をそのま ま川いるのが適切である.そして,7那国fliについて は「0.9」に期やすことが必要であると思われる. 0.35と極めて小きく,弾塑性設計を前提とする2 次設計で想定するような地鍵は沖縄県地方では与 那国島を除いて殆ど生起しないと考えてよい. iv)1次設計と2次設計に対する地域係数は異なり, 1次設計に対する値の方が大きいので,沖縄県地 方の地震危険度を判断する上では1次設計に対す る地域係数の方が重要である. v)沖縄県全域で地域係数を一律に「0.7」とするの は不適当であり,沖縄本島地方(大東諸島を含む) を「0.5」に,与那国島を除く先島地方を現行通 り「0.7」に,与那国島を「0.9」にそれぞれ改め るべきである. <謝辞> 本研究を行うに当たり,建設工学科卒論生(平成5 年度)屋比久修君の協力を得た.沖縄気象台・地震津 波火山監視センターの上地清一氏には資料の収集でお 世話になった.また,宮平建築設計事務所の大嶺政一 氏には沖縄の耐震設計の変遷について貴重なご意見を いただいた,股後に,大学院生の水旧和宏君と学部学 生の福島弘志君には図面作成を手伝ってもらった.こ こに諸氏に厚く感謝します. <参考文献> 5.結論 本价究ではi''1繩UIL地ノノの地震1β劾度の特性を明らか にするとともに,槻Iil〔分イIjI1K論にもとづいて年岐人力'1 速度のlIj現10Ⅱ洲|(〔を推定し,「新耐震設計法」におけ る地域係数の妥当ヤkについて考察した.本研究によっ て明らかになった事項を列記すれば以下の通りであ る. i)沖縄本島地力と先島地方とでは地震活動度にかな I〕の策があり,先脇地方では琉球海簿と関連する 地震の他に,台湾lkh&を走る断牌の影郷もあって, M1雌のin山マグニチュードの大きい地腿が多い. ii)地衣lIIiのイ川上ノU」Ⅱ幽史の20年期待{11(はi1l1純本j;;地 力で3()~4()蝉,1,光咄地力で40-70galであり, 10()年101iIiIII〔はi`|'純水鳥地.〃で60~90gal,光烏 地ノノで9()~M()陣,1であI),いずれも光)(&地力の ノノがかなり入きい. iii)2次l没,ilにX`)する地域係数は,i'''1iilMxK6地プノで ().2(>~().3(),’j・Ilil1K1llMjを除く先脚地ブノで0.25-1)天野柳久;沖縄県地方における強風の再現期待値 について,琉球大学工学部紀要第19号pp,55-62, 1980年3月 2)牧野清;八重山の明和大津波,昭和56年11月 3)大崎順彦;建築物の耐震設計法,pp31-32,コロ ナ社,昭和56年7月 4)建設省建築研究所編;地盤種別地鍵入力の実験解 析一H本付近の地震危険度に関する考察-,昭和 52年3月 5)日本建築学会編;地震荷璽一その現状と将来の展 望,pp、87-89,昭和62年11月 6)StructuraIEngineersAssociationofCalifOrnia: ReconumendedLateralForceSRequirementsand CommentaTy、SEAOC,1960 7)沖縄§(鰻台;沖縄における地震・津波・火山噴火 衡料,11鰍163年3月

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天野:沖縄県地方における地震危険度について 30 和52年 11)鹿嶋俊英,北川良和j釧路地方気象台の強震記録 の特憐日本建築学会大会学術錆滅梗概集H〕(欄 8)笠原順三i田中一実;見る地震一コンピュータグ ラフィックス'二よる日本の地鍵J東大fH版会, 1986年1月 9)越間博仁;南西諸鰯付近における地溌活動腱につ いて,琉球大学:I:学諦卒業論文,昭和57年3月 10)字瀧徳治;地漉学ipplll-1]3Ⅱ共立全諜,昭 造I),ppjl-12,1993年9月、 12)金)|:i11$;地鍵工学.p、96共立lLII版,昭和44‘|:

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