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多重磁極マグネトロンスパッタ法を用いて作製したFeおよびFe-N系薄膜の磁化特性および表面構造

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(1)

多重磁極マグネトロンスパッタリング法で作製した

Fe-N 薄膜の磁化特性と膜構造

Magnetic Properties and Film Structure of Fe-N Films prepared

by Multipolar Magnetic Plasma Confinment Sputtering Method

河合

克浩, 川畑 敬志

*

,本多

茂男

島根大学, 島根県松江市西川津町 1060(〒690-8504)

*広島工業大学, 広島県広島市佐伯区三宅 2-1-1(〒731-5193)

K. Kawai, K. Kawabata

*

, and S. Honda

Shimane Univ. 1060 Nishikawatsu, Matsue, Shimane 690-8504

*Hiroshima Institute of Tech. 2-1-1 Miyake Saeki-ku, Hiroshima 731-5193

Thin films of Fe and Fe-N have been prepared using an rf magnetron sputtering system equiped with multipolar magnetic plasma confinement (MMPC), which is efficient for preparation of ferromagnetic thin films at low pressures. For sputtering with 150 W rf-power, the deposition rate of Fe film is 12 - 14 nm/min, which is three times larger than that of conventional planar magnetron sputtering system. Iron nitride films

have been sputter-deposited in an Ar-N2 gas mixture at

several pressures, Psp, of 5 - 0.6 mTorr and the gas flow

ratio, fN2 = N2/(Ar + N2), of 0 - 0.6. The crystalline and

morphological structures, the nitrogen content in the

film, and the resistivity depend strongly on Psp and fN2.

These dependences are explained by the energy of sputtered particles reached at the film surface. In particular, the films prepared at 0.6 mTorr, which is realized by MMPC method, exhibit the crystalline

structures of Fe, Fe4N and Fe3N phases depending on

fN2, and show the very high purity.

Key words: Fe-N films, magnetron sputtering system, plasma confinement

1.はじめに

従 来 の 高 周 波 マ グ ネ ト ロ ン ス パ ッ タ リ ン グ (Conventional Magnetron Sputtering: CMS) 法では,タ ーゲットが強磁性体のとき磁束の大部分はターゲット内 を通り,ターゲット表面上の磁束密度が減少するため非磁 性体ターゲットの場合に比べてスパッタリング圧力(Psp) を低くすることや,スパッタリング速度を高くすることが 困難である.最近, Kawabata ら1) は多重磁極をスパッ タリング槽の周囲に配置することによるプラズマ封じ込 め 効 果(Multipolar-Magnetic-Plasma- Confinement : MMPC)を利用した高周波多重磁極マグネトロンスパッタ リング (MMPC-MS) 法を提案し,低圧力での強磁性体薄 膜の作製に有効であることを報告した.特に,Fe をこの MMPC-MS 法で作製した場合,膜構造や磁気特性におい て興味ある結果が得られている2). 一方,Fe-N薄膜は種々の結晶相をもち3),4),特に, Fe16N2は巨大飽和磁化を持つことから5),多くの研究が行 われてきている.Fe-N 薄膜はAr と N2 の混合ガス中で 反応性スパッタリングを行うことにより作製することが できる.反応性スパッタリングの場合,反応ガス分圧が高 くなるとスパッタリング速度が小さくなることが知られ ている6). このとき,膜の堆積速度が小さくなるので,膜 生成中に膜表面の原子がスパッタリング真空槽内に残留 した酸素などの反応性ガスと反応することなどにより,膜 中に不純物が混入する恐れがある.これを避けるためには, できるだけ低いPsp で成膜を行い,さらに堆積速度を高く す る こ と が 重 要 で あ る こ と か ら , 新 し く 開 発 し た MMPC-MS 法が有効であると考えられる. ここでは,このMMPC-MS 法を用いて Psp = 5 – 0.6 mTorr,種々の窒素流量でFe-N薄膜を作製した生成膜へ の酸素混入量や構造に及ぼすPspおよび窒素流量との関係 を報告する. 2.実験方法 FeおよびFe-N薄膜は,Fig. 1 に示すようにターゲッ トの周囲にSm-Co永久磁石を配置した MMPC-MS法で作 製した.排気系はロータリーポンプ,ターボ分子ポンプお よび液体窒素トラップで構成されている.基板電極は接地 してあり,ターゲット-基板間は40 mmとした. ターゲ ットにはFe (純度 99.99 %,直径 100 mm,厚さ 5 mm) を 用い,基板にはCorning社の 7059 ガラスおよび熱酸化Si ウエハを使用した.槽内の到達圧力を 3.5×10-7 Torr 以 下とし,成膜の前に Ar ガス圧 1 mTorr,高周波(RF) 電力 150 Wで 30 分間プリスパッタリングを行った後,Psp

Fig. 1 Schematic diagram of a multipolar magnetic plasma confinement sputtering system.

(2)

を 5,1,および 0.6 mTorrとし,Arガスに対するN2ガス の流量比 (fN2= N2/(Ar+N2)) を 0 から 0.6 まで変えて 150 Wの RF 電力でスパッタリングを行い,200 ℃の基 板上に薄膜を堆積させた.作製した薄膜の組成,結晶構造 および表面構造は,それぞれX線光電子分光法 (XPS, MgKα= 1253.6 eV),X線回折法 (XRD,CuKα: 40 kV, 20 mA)および原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価した.抵 抗率(ρ)と磁気特性は室温でそれぞれ四探針法および試料 振動型磁力計(VSM)を用いて測定した.

20

3.結果と考察 Fig. 2 に Fe ターゲット表面から高さ 5 mm の位置で の磁束密度の水平成分を示す.ここで,横軸はターゲット 中心から半径方向への距離である.MMPC-MS 法の場合, 磁束密度は中心から30 mm の位置で約 14 mT の最大値を 示した.これはCMS 法の場合の約 12 倍であり,磁束密 度が著しく増加していることが分かる. Ar ガスおよび Ar-N2 混合ガス中でFe ターゲット を150 Wの RF 電力でスパッタリングを行ったときの堆 積速度を,それぞれの Psp に対しfN2 の関数として Fig. 3 に示す.ここに, Psp = 1 mTorr でCMS 法を用いてスパ ッタリングしたときの値も示している.MMPC-MS 法の 場合わずかに Psp 依存性があるが,fN2 = 0 のとき 12 – 14 nm/min で,CMS 法の 4 nm/min の約 3 倍の速度を 有することが分かる.CMS法ではターゲット表面の磁束密 度が低下するためにターゲットのエロージョン領域が減 少し,生産性の低下を招くだけでなく,ターゲットの寿命 が著しく低下する.一方,MMPC-MS法ではFig. 2 に示す ようにターゲット表面の強い水平磁束密度によりエロー ジョン領域が拡大し,効率良く薄膜を作製することができ る.窒素混入により,MMPC-MSおよびCMS法ともに堆 積速度は大きく減少している.この主な原因は,ターゲッ ト表面が窒化することによりスパッタリング効率が減少 するためと考えられる5).しかしながら,窒素流量の最も 多いfN2 = 0.6 においても,MMPC-MS法の堆積速度は 4 – 4.5 nm/min で, CMS 法の 1.8 nm/min の 2.2 – 2.5 倍 である.このように,MMPC-MS 法は反応性スパッタリ ングに対しても有効であることが分かる.以上の理由から, 以下では,MMPC-MS 法を用いて Ar + N2 ガス中で作製 した膜についてその特性を評価した結果を考察する. 作製した試料の組成比(N/(Fe + N)) および抵抗率 (ρ)とfN2との関係をFig. 4(a), (b) にそれぞれ示す.組成 比はXPSスペクトルの面積強度と,光イオン化断面積7) ら求めた.Psp = 0.6 mTorr の場合,上述のようにfN2 = 0.1 で堆積速度は大きく減少し,ターゲット表面で既に窒化が 生じていると推察されるにも関わらず, fN2 = 0.1 で堆積 した薄膜の窒素含有量は殆ど 0 である.このとき,Fig. 4(b) に示すようにρは約 10 µΩcmで,純鉄のバルク値 9.5 µΩcm8) に近い値を示した.これは,後述するように低い Psp では基板に到達するスパッタ粒子のエネルギーが比較 的高いので,スパッタ粒子が成膜表面を衝撃し,表面に付 着あるいは反応した N を解離することによるものと考え られる.これは,ちょうどバイアス・スパッタリング法の 場合,膜中に混入する酸素の量がバイアス電圧とともに減 少することと対応している9).fN2 = 0.2 で N 組成が急激 に増大し,その後,fN2 とともに増え,fN2 = 0.6 において 約30 at.%になる.このとき,ρは組成比と平行して変化 し10 µΩcmから 90 µΩcmまで増加する. 一方,Psp = 5 mTorr の場合は,fN2 = 0.1 においても 約7at.%のNが取り込まれている.これは、後述するよう にスパッタ粒子のエネルギーが比較的小さいのでスパッ タ粒子の衝撃による N の解離効果が小さいためと考えら れる. fN2 = 0.4 まではPsp = 0.6 mTorr の場合と同様に N 組成は fN2 とともに増加する.しかし,fN2 = 0.6 で大 きく減少している.他方,ρはこのとき逆に増大している. これについては後で考察する.Psp = 1 mTorr の場合,fN2 = 0.4 および 0.6 のρはPsp = 0.6 mTorr の値より大きく なっているが,逆にN 組成は小さくなっている.後で考察 するPsp = 5 mTorr の fN2 = 0.6 の場合と同様の理由が考 えられるが,現在のところ明らかではない.

Fig. 2 Horizontal magnetic flux density at 5mm height from Fe target surface as a function of the distance from the target center.

Magnetic Flux D

ensity (mT)

MMPC Magnetron Sputtering Conventional Magnetron Sputtering

15

10

5

0

0

-50

-25

25 50

Distance (mm)

Fig. 3 Deposition rate for Fe-N sputtering at different

total gas pressure and N2 gas flow ratio. Here, the data

(3)

Fig. 5 X-ray diffraction patterns for sputter-deposited Fe and Fe-N films with different gas flow ratios at

Psp=0.6 mTorr. Here, the film thickness t is indicated.

Table 1 Relative intensities of main XRD peaks Ir and

the grain sizes estimated from their peaks in the film

prepared at 0.6mTorr with fN2 = 0.2 and 0.4.

fN2 = 0.4 fN2 = 0.2 Fig. 5 にPsp = 0.6 mTorrで種々のfN2で作製した試料 のX線回折図形を示す.図中 t は,測定に用いた試料の膜 厚を示す.ここでミラー指数は現在までに報告されている 文献10),11) を用いて同定した.fN2 = 0 および 0.1 では,安定 相であるα-Fe (110) のピークが強く現れ,Fig. 4(a) の結

果と良く対応している.Fig. 4 に示すように fN2 = 0.2 以 上でN 含有量が増えることと対応して,α-Fe 以外のピー クが現れる.fN2 = 0.2 では弱いFe4Nおよびα-Feのピーク が観測できる.fN2 = 0.4 および 0.6 では,Fe4N のピーク が消失し,非磁性のFe3Nに対応する強いピークが現れる. このように,fN2 の増加とともに Fe3N相への遷移がみら れ,α からα+γ’,そしてα+εへと変化する.二元状 態図12) によると300 ℃ で, Fe4Nは 19.3 – 20.0 at.%N, Fe3Nでは 15 – 33 at.%Nの組成をもつ.作製した薄膜の組 成は,Fig. 4 に示すようにfN2 = 0.2,0.4,0.6 でそれぞれ 約15,25,30 at.%N であり,得られた回折ピークは現在 までに報告されているFe-Nのピーク位置10),11) とよく対応 している. fN2 = 0.2 および 0.4 の主だったピークの位置,相対 強度およびSherrer の式から求めた粒径を Table 1 に示 す.この表から,Fe4N および Fe3N の粒径は 20 nm 前 後の値を示し,純鉄に比べて膜面垂直方向の結晶成長が N unknown のピーク強度が全体の 50 % 以上であること が分かる.以下で示すように飽和磁化は1500 emu/cm によって抑えられることを示唆している.fN2 = 0.2 の場合, 0.6 mTorr,fN2 = 0.1 の試料の面内磁化曲線は,保 磁 では,上述のようにFe4N の成長により飽和磁化はわずか 3 純鉄の 88 %以上の値である.この事を考慮するならば, このunknown ピークは非磁性ではなく磁性を有するもの であり,bctFeであるか11)unknownピークの粒径が 27nm であることから,20 nm 前後の粒径をもつ Fe4Nから Fe3N相への遷移過程にある相であると推測される. fN2 = 0.4 のとき,Fe3N の強度が Fe の約 5 倍になり,飽和 磁化は殆ど 0 になる.なお,データは示していないが, Psp = 1 および 5 mTorr の場合は,fN2 = 0.2 のときにも Fe4N のピークは殆ど確認できず,Fe3Nの強いピークが現 れる. Psp = 力が約 25 Oeで純鉄のバルクとほぼ同等の約 1700 emu/cm3 の飽和磁化をもつ角形性の良い磁化曲線を示す. これは, Fig. 4 および 5 に示すように N 組成は殆ど 0 で,ρが純鉄のバルク値と近いこと,およびα-FeのXRD ピークのみが現れたことと良く対応している. fN2 = 0.2

Fig. 4 (a) Compositional ratio N/(Fe+N) and (b) the resistivity of the films sputtered at 200 ℃ as a

function of gas flow ratio fN2=N2/(Ar+N2) for various

pressures.

Grain Size (nm) Grain Size (nm)

2θ (deg.)

I

r

I

r 60 Fe (110) 44.5 63 23 32 20 Fe4N (111) 38 36 100 19 Fe3N (101) 42.6 43.8 100 27 unknown

(4)

に減少し約 1500 emu/cm3 で,保磁力は大きくなり 115 Oeを示す.また,角形比はわずかに悪くなり 0.63 となる. このヒステリシス曲線を Fig. 6 の (a) で示す.Psp = 1 お よび 5 mTorr の試料のヒステリシス曲線をそれぞれ (b), (c) に示す. 保磁力は殆どPsp に依存せず,約 115 Oe で あった.これは,後述のFig. 8 に示すように,fN2 = 0.2 の とき,薄膜組織が同程度のコラム径を示すことに関連して いると考えられる.対照的に,飽和磁化はPsp に大きく依 存する.Psp = 1 mTorr のとき約 700 emu/cm3 ,Psp = 5 mTorr では約 250 emu/cm3 に減少した.このような飽和 磁化の減少は,Fig. 4 で述べたように,Psp の増加ととも に N を解離する効果が小さくなり,生成膜の窒化が進み Fe3N の強いピークが現れることと密接に関連しているも のと考えられる.本研究では,巨大磁化は得られなかった が,今後は基板温度などの関数として詳細に研究する必要 がある. Fig. 7 は,Psp = 1 および 0.6 mTorrで作製した試料 のAFM像を

Fig. 6 Hysteresis loops for the films deposited with

fN2=0.2 at several pressures.

P

sp

= 1 mTorr

P

sp

= 0.6 mTorr

示す.fN2 = 0.1 の場合,(a) および (a’) に示 すよ 約 5 減 の 度 的 面内方向の結晶成長が促さ

f

N2

= 0.1

0 0

f

N2

= 0.2

f

N2

= 0.6

(a’)

(b’)

(c’)

(a)

(b)

(c)

1µm

うに Psp = 1 mTorr では先端の尖ったコラムが形成 されている.一方,低圧力の 0.6 mTorr では凹凸は見ら れるが,表面は滑らかでコラムの形成が確認されない.こ のようにコラムが形成されていないことによって Fig. 4(b) に示すようにバルク材料に近い抵抗率が得られたも のと考えられる.Psp による膜構造の差異は,基板に到達 するスパッタ粒子のエネルギーが異なることに起因する ものと考えられる13).篠木は14), Ar ガス中で Ti をスパッ タリングしたときのスパッタ粒子のエネルギーを計算し ている.それによるとターゲットから 40 mm 離れた点に おけるエネルギーは,Psp = 10 mTorr のとき 8×102 K で あり,Psp = 5 mTorr のとき 4×103 K で,実に5倍の差 がある.即ち,Psp = 0.6 mTorr でスパッタリングした場 合,基板に衝突するエネルギーはPsp = 1 mTorrのときと比 較して数倍の差があり,生成膜表面における原子のエネル ギーが高く,原子の移動または拡散を容易にし,コラムの 生成が抑えられ緻密な構造が得られたものと推測される. 一方,Fe4N が形成される Psp = 0.6 mTorr, fN2=0.2

の場合 [Fig. 7(b’)],Fig. 7(a) と同様に円錐状の平均直径 0 nmのコラムが形成されている.これは,N が混入 されることにより原子拡散が抑制されたことに起因する と考えられる.この円錐状の表面構造と関連して印加磁場 が小さいとき膜表面の磁化の方向が分散することにより, Fig. 6 (b) に示すように磁化曲線の角形性が劣化したもの と考えられる.また,円錐状になっているため表面での磁 壁移動が妨げられ,保磁力が増加したと考えられる.他方, Psp = 1 mTorrでは, fN2とともに N 含有量が増え原子の 拡散抑制効果が増大し,(b),(c) に示すようにコラム径は 少し,(c) では針状で疎な構造になっている.しかし, Psp = 0.6 mTorr, fN2 = 0.6 では,(c’) に示すようにコラム が成長し密な構造を示している.これは,Psp = 0.6 mTorr 場合,スパッタ粒子のエネルギーが大きいことと堆積速 れることに起因するものと考えられる. 0 0 0 0

1µm

1µm

1µm

1µm

1µm

Fig. 7 AFM es sh topog of the

film surfaces p imagrepared at 1 anowing the d 0.6raphymTorr with

が fN2 の増加とともに減少することから,膜表面の実効

温度が fN2 とともに増加し,

several N2 gas flow ratios; (a)(a’):fN2 = 0.1, (b)(b’) : fN2

(5)

AFM 像から見積もったコラム径と fN2 の関係を Psp = 1 mTorr および Psp = 0.6 mTorr で作製した試料に つい の 5 mTorr と 0.6 mTo ,コラムが形成されず密な 構造 もに堆積速度が低下し, 極マグネトロンスパッタリング法を用 いてPsp = 0.6 mTorrの低 e-N薄膜が高速に作製 でき 積速度は約 12 nm/min とな

1) K. Kawabata, T. Tanaka, A. Kitabatake, K. Yamada, Y. Mikami, H. Kajioka and ac. Sci. Technol. A19, 1438 (2001).

3 (1990).

: J. Appl. Phys., 79, 4869 akahashi: Appl. Phys. Lett., 20, 492 Vossen and J. J. Como: “Thin Film Processes” ed. J. L.

Fig. 8 Column diameter as a function of fN2 for the films

prepared at 1 and 0.6 mTorr.

て Fig. 8 に示す.上に述べたように,Psp = 0.6 mTorr 場合,fN2 = 0.1 では殆どコラムが観察されないが,fN2 = 0.2 でコラム構造が確認され fN2 の増加とともにコラム径 は増加し,fN2 = 0.6 で平均 140 nm程度になる. 一方,1 mTorr の場合fN2の増加とともにコラム径は減少し, fN2 = 0.6 で平均直径は約 25 nmとなり,疎の針状構造とな る. スパッタ膜においてコラムが成長することは一般に よく知られており13), そのコラム形状は基板温度,スパッ タリングガス圧,基板バイアス電圧,および膜組成などに 強く依存する13)-15) .Fig. 8 において,コラム径は,両 者の Psp で全く逆の fN2 依存性を示す.この差異は,上述 のように基板に到達するスパッタ粒子のエネルギーが異 なることに起因するものと考えられる.即ち, Psp = 0.6 mTorr でスパッタリングした場合,基板に衝突するエネル ギーはPsp = 1 mTorrのときと比較して数倍大きく,生成膜 の表面を強く衝撃し表面に付着または化学的に反応した N を解離することや,表面の原子の運動エネルギーを増大 させ原子拡散を起こさせることが考えられる.一方,高い 圧力の場合は,この効果は小さくなり,N 含有量の増加と ともに拡散が抑制されコラム成長が抑えられることによ り針状構造になるものと考えられる. 上述のスパッタ粒子の衝撃効果を考慮することによ り,Fig. 4 の N 組成とρのfN2依存性が をとる.fN2 が 0.2 以上では原子の表面拡散が抑制されコ ラムを形成する.fN2 の増加とと rr で異なる理由が説明できる.Fig. 4 において,特 に Psp = 5 mTorrで fN2 = 0.6 のとき,N 組成が減少しρ が著しく大きくなっていることは注意するべきである.こ のとき,XPS 測定において Psp = 0.6 mTorr の試料では 検出されなかったO1s の強いピークが現れ,約 20 at.% の 酸素が膜中に混入していることが分かった.即ち,高いρ の値は,Fe の酸化によるもので,その結果 N 組成が減 少したものである.酸化の理由として,Fig. 3 に示すよう に fN2 = 0.6 において堆積速度が減少するため,Psp が大 きいときは真空槽内に残留している酸素と膜表面の Fe とが膜堆積中に反応し膜中に取り込まれた可能性が高い. また,Fig. 7(c) に示すように fN2 = 0.6 では疎の針状構造 であるため真空槽から大気中に取り出した後にコラム境 界が酸化した可能性が考えられる.これに対し,Psp が低 い 0.6 mTorr のときには,Fig. 3 に示すようにfN2 = 0.6 での堆積速度はほぼ同じであるが,排気速度が大きいので 槽内の残留酸素が少ないことや,たとえ堆積中に膜表面が 酸化されたとしても,上述のスパッタ粒子の衝撃効果によ り酸素が除去される可能性が高く酸化が抑制される9).更 に,Fig. 7 から分かるように Psp = 0.6 mTorr で作製した 試料は密な構造をしているので大気中での酸化は殆ど無 視できるものと考えられる. 以上のように,Psp が低く,fN2 が 0.1 以下の場合は スパッタ原子の表面拡散により をとり,磁化および抵抗率はバルクとほぼ同程度の値 それに伴ってコラムが成長しコラム径が大きくなる.また, スパッタ粒子の衝撃効果によりFe の窒化および酸化が抑 えられ,fN2 を変えることにより純鉄から Fe4N および Fe3N の結晶相を形成することが可能になる. 4.まとめ 高周波多重磁 圧力下でF ることが確認された. Ar ガスを用いて高周波電力 150 W で Fe ターゲッ トをスパッタリングした場合,堆 り,従来の高周波マグネトロンスパッタリング法と比 較して約3 倍の値を得ることができた. Fe-N薄膜の結晶 構造はスパッタリングガス圧 (Psp) およびガス流量比 (fN2 = N2/(Ar + N2)) に強く依存し,Psp = 0.6 mTorr のと き,Fe, Fe4N および Fe3N 相を形成することができた. 特に,fN2 = 0.2 のとき約 1500 emu/cm3 の飽和磁化をもち, 酸素を殆ど含まないFe-N薄膜が作製できることが分かっ た.また,生成膜はコラム構造をもち,その直径および膜 中に混入する窒素量や抵抗率はPsp および fN2 に強く依 存する.その原因は,基板に到達するスパッタ粒子のエネ ルギーで説明された. References K. Toiyama: J. V 2) K. Kawabata et.al.: unpublished.

3) L. J. Heyderman, J. N. Chapman and S. S. P. Parkin: J. Appl. Phys., 76, 661

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Vossen and W. Kern (Academic Press, New York, 1978), pp. 48-50.

(6)

7) Shimazu, “ESCA850manual”, appendixA-1.

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2004 年 4 月 15 日受理,7 月 20 日採録

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Fig. 1 Schematic diagram of a multipolar magnetic plasma confinement sputtering system
Fig. 2 Horizontal magnetic flux density at 5mm height from Fe target surface as a function of the distance from the target center
Fig. 5 X-ray diffraction patterns for sputter-deposited Fe and Fe-N films with different gas flow ratios at
Fig. 7 AFM es sh topog  of the
+2

参照

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② 

単に,南北を指す磁石くらいはあったのではないかと思