木質バイオマスボイラー導入診断
調査内容説明書
なぜバイオマスなのか?
地球温暖化防止における役割として、自ら化石燃料削減のモデルとなることが求められきて います。また、石油は高騰を続けており、施設経営を圧迫しつつあります。バイオマスボイラ ーを導入することにより二酸化炭素排出量の削減ができるだけなく、工夫次第で燃料費の削減 が可能となります。さらに、地域資源の活用により地域活性化にも貢献することになります。 このため、今バイオマスボイラーの導入が、全国的に広がりつつあります。 ■ 木質バイオマスボイラー導入による 3 つの効果 第1 の効果:二酸化炭素(CO 2)排出量の削減 最大の環境問題ともよべる地球温暖化問題がいよいよ顕在化してきております。京都で定 めた「気候変動に関する国際連合枠組条約」は、既に発効しておりますが、我が国において は、いまだに二酸化炭素排出量が増大しております。地域の二酸化炭素削減にとって各々 が排出抑制のための施策を実施すると同時に、自率先垂範してモデルを示すことが求めら れております。 第2 の効果:燃料コスト削減 現在、化石燃料価格が高騰を続けており、国際需給状況からみて、今後も下がる見込みは ありません。このため、化石燃料を大量に消費している施設では、燃料費が増大し、経営を 圧迫するようなケースが多くみられます。そのため、温浴施設や温水プールなど、通年需要 があり、規模も大きな施設では、木質バイオマスに転換することにより、大幅なコストダウンを 達成できる可能性があります。 第3 の効果:地域活性化 木質資源は、地域に豊富に存在する循環資源であり、植林・育林・利用といった適正管理を 行うことで半永久的に持続的な利活用が期待できます。永続的に活用できる地域資源を活 かすことが、地域産業活性化の重要な条件です。また、これまで外部資源に頼っていたから 外に払っていた燃料代を地域内で回すことになり、地域内経済の流動化に貢献します。さら に、災害などの有事の際にも、地域資源は途切れることなく供給でき、地域の安全保障にも 役立つことになります。 ■株式会社森のエネルギー研究所からのご提案 「バイオマスボイラーは高いのではないか?」「どのような手順で設計をしたらよいか?」「どのような 機種を選択したらよいか?」といった疑問から、「よいことはわかっているのだが…」と躊躇されるご担 当者もいらっしゃることと存じます。そこで森のエネルギー研究所では、木質バイオマスボイラー導入 の簡易診断を行って、最適化のための経済性シミュレーションをご提示し、同時に、さまざまなご相談 にお応え申し上げることで、木質バイオマス導入の判断材料をご提供いたします。森のエネルギー研 究所が専業会社として、これまで培ってきたノウハウがお役に立てれば幸いです。1. 調査方針
1.1 木質バイオマスボイラーを導入するための課題 木質バイオマスの利用が環境的にいくら良いものであっても、その設備等の導入に対して費用対効 果、経済性を無視することはできません。 たとえば、ボイラー設備は一般的に化石燃料ボイラーの設備初期導入費は安価で済み、木質バイ オマスボイラーは高額なものとなります。 しかし、対象施設に十分な熱需要(化石燃料から木質燃料への代替量が多いこと)があり、木質バイ オマス燃料が安価に入手できる等の条件が整っている場合には、中長期的にみて毎年ランニングコス トは化石燃料ボイラーを導入するよりも(初期導入費を含めて)有利となることがあります。 ◆化石燃料ボイラーよりバイオマスボイラーが経済的に有利になる条件◆ ① ボイラー導入施設に十分な熱需要(化石燃料から木質燃料への代替量多いこと)がある ② 木質バイオマス燃料が安価に入手できる 図表 化石燃料ボイラーと木質バイオマスボイラーの比較 項目 化石燃料ボイラー 木質バイオマスボイラー 資本費 初期導入費用 (減価償却費) 安価 高価 燃料費 (熱単価) 高(上昇中) 入手価格による (要調査) ランニング コスト 維持管理費 安価 安価 (化石燃料ボイラーと同程度) 設備の耐用年数 短い 長い 日常管理の手間 ほとんどない (自動無人運転) 少ない (自動無人運転可能)※ ※木質バイオマス燃料特有のものとして、灰の掃除があります。 ◆木質バイオマスボイラーを導入する場合における重要必須事項◆ ・安価なバイオマス燃料を調達する(体制をつくる) ・バイオマスボイラーの導入費用を可能な限り低減化 ・最大限の化石燃料使用量を代替できるような、最適設備規模の選定1.2 ハイブリッド型最適システムのご提案 木質バイオマスボイラー導入の課題を克服するために、株式会社森のエネルギー研究所では木質 バイオマスボイラーと化石燃料ボイラーを組み合わせて利用する『ハイブリッド型最適システムの検 討』を行い、コストパフォーマンスの高いシステムのご提案をしています。 木質バイオマスボイラーは化石燃料ボイラーに比べて… ◎ 依然として高価であるため、既存システムと同規模のものを導入 した場合は、高額な導入設備費が必要。 ◎ 瞬間的な熱需要の変動に対するレスポンスが遅い。 ・ベース需要を木質バイオマスボイラーでまかなう。 ・ピーク需要は化石燃料ボイラーとの併用で対応。 コストパフォーマンスの高い最適規模のシステムをご提案 株式会社森のエネルギー研究所では、木質バイオマスエネルギー利用機器を導入するにあたって、 各施設に適合する設備規模や燃料供給方式の検討を行います。これは従来の化石燃料利用機器の 場合はピーク負荷に対応できるように余裕を持たせて熱源の設定を行いますが、木質バイオマスエネ ルギーの規模はこれに必ずしも合わせる必要はなく、ピーク時の負荷対応には化石燃料ボイラーと併 用使用するなど、化石燃料ボイラーと木質バイオマスボイラー双方の特性を活かしたハイブリッド型の システムが合理的と考えられます。 そこで、今回の調査では、各施設の設備概要、燃料消費量、設備稼働パターンに関するデータをも とに、木質バイオマスボイラーの導入規模を変動させた場合の年間収支シミュレーションを行い、コス ト的に最も有利な導入最適規模を算定します。
株式会社森のエネルギー研究所からのご提案
2. 調査内容
2.1 調査の目的 本調査では、木質バイオマスエネルギー利用機器を導入するにあたって、各施設に適合する設備規模 や燃料供給方式の検討を行います。 2.2 調査の方法 各施設の設備概要、燃料消費量、設備稼働パターンに関するデータを基に、木質バイオマスボイラーの 導入規模を変動させた場合の年間収支のシミュレーションを行いコスト的に最も有利な点を導入最適規模 として算定します。 2.3 調査フロー 木質バイオマスボイラー導入最適規模の選定シミュレーションフローを以下に示します。 ※コスト算出方法として、CO2(二酸化炭素)排出削減効果が最も高い導入規模の選定という観点から CO2を 1t 排出削減するのに要するコストを以下の式によって求めます。 CO2排出削減コスト (円/t-CO2) 木質バイオマスボイラー導入にかかる新たな費用 = 木質バイオマスボイラーに変更することで削減できる CO2排出量 バイオマスボイラー設備調査 ・ 初期導入費 ・ 維持管理費 ・ ユーティリティ費 1 2 CO2排出削減コスト(※)が 最小となる規模を選定 4” 収支黒字が最大となる設備 規模を選定 4 どの規模を選定しても 赤字収支になる場合 既存施設調査 ・既存施設概要調査 ・既存設備調査 ・施設熱需要調査 化石燃料が高くバイオマス燃料価格 が低いため収支が黒字になる場合 設備導入規模を変動させた場合の年間収支シミュレーション 32.3.1 既存設備・施設熱需要調査 既存化石燃料ボイラと木質バイオマスボイラのハイブリッドシステムの最適化を検討するために必 要な施設の概要、既存熱利用設備、熱需要量・熱需要パターンについて把握する必要があります。 (1)施設調査内容 ①施設名称 : ②所在地 :〒 ③回答ご担当者 所属 : 氏名 : TEL/FAX : E-mail : ①敷地面積(㎡) ②建屋面積(㎡) ②延床面積(㎡) ③建屋の構造(建物構造、階数、特徴等) 例 : 鉄筋コンクリート造、地上2階建 ④使用用途: 例 : 主に昼間のみ使用している事務所、ほぼ毎日使用している高齢者福祉施設等) ⑤周辺の特徴(都市計画上の土地利用区分等) 例 : 第 2 種住居専用区域、商業地域、準工業区域等 (2)温熱設備(ボイラ等)・冷熱設備(冷凍機等)の設備調査内容 【温熱設備:ボイラ等】 設備の種類 例:温水ボイラー ① ② ③ (kW/台) 300 出力 (kcal/台) 使用用途 暖房・給湯 使用燃料 A 重油 定格燃料消費量 25L/h L/h L/h L/h 設置年 平成 5 年 年 年 年 年間燃料消費量 100,000L L L L 1日の設備使用時間 10 時間 (9 時~20 時) 時間 ( 時~ 時) 時間 ( 時~ 時) 時間 ( 時~ 時) 年間設備使用日数 約 180 日 円 円 円 年間燃料費 (万円) 300 万円 円 円 円 年間維持費 (万円) 60 万円 円 円 円 【冷熱設備:冷凍機等】 設備の種類 例:吸収式冷凍機 ① ② ③ (kW/台) 200 出力 (kcal/台) 使用用途 冷房 使用燃料 A 重油 定格燃料消費量 25L/h L/h L/h L/h 設置年 平成 5 年 年 年 年 年間燃料消費量 100,000L L L L 1日の設備使用時間 8 時間 (9 時~18 時) 時間 ( 時~ 時) 時間 ( 時~ 時) 時間 ( 時~ 時) 年間設備使用日数 約 90 日 円 円 円 年間燃料費 (万円) 280 万円 円 円 円 年間維持費 (万円) 60 万円 円 円 円
既存設備の熱需要特性について、直近年度における月別の熱需要及び代表的な 1 日の時間変 動について詳細に調査し、シミュレーションを行うための資料とします。 項 目 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 合計 燃料消費量 CO2排出量※ 1 熱供給量※2 熱需要量※2 月別 入場者数 時間変動 施設のエネルギー需要特性により季節別(夏季・冬季・中間期)or 休日/平日別 or 繁忙期/ 閑散期などの別により、複数の代表的な時間変動を把握します。 ※1 CO2排出係数×化石燃料消費量 ※2 熱需要量=熱供給量×ボイラー稼動効率 図 経済性試算のための前提条件 2.3.2 施設熱需要調査 経済性の試算をするにあたり、想定する前提条件を調査します。以下に前提条件(例)を示します。 経済性試算のための前提条件 事業費 事業費=バイオマスボイラー導入規模(kW)^x+a 減価償却費 プラント設備、残存価額:1 円、償却期間:*年 資本費関連 固定資産税 固定資産税=残存価額(建設費総額-その年までに計上した減価償却費)の 1.4% 人件費 人員:メーカー提示を基準に修正を追加 バイオマスボイラ *時間稼動時:*交代作業*人=*人/年 ユーティリティー費 メーカーからの提示値 メンテナンス費 メーカーからの提示値 燃料購入費用 運転維持費 関連 化石燃料削減費 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 A 重油消 費量 (k L ) 0 2 4 6 8 10 12 入場 者数( 千人) A重油消費量 利用者数 時 0 0 20 60 50 40 30 100 90 80 70 20 22 15 17 23 24 19 21 16 18 10 4 6 8 2 3 1 5 14 9 7 11 13 10 12 負 荷 率
年間削減コス トによる比較 0 50 100 150 200 250 300 350 100 200 300 400 500 600 700 (千円) 既存の化石燃料ボイラーに対してバイオマスボイラーの導入規模をいくつか想定し、年間収支や CO2排出削減量のシミュレーションを行います。このシミュレーション結果をもとに、コスト的に最も有利 な点を導入最適規模として算出します。また、ボイラー規模ごとによる採算分岐におけるバイオマス燃 料価格を求めます。これによりバイオマスボイラーの導入対象施設への適正なボイラー規模について 選定をします。 年間収支シミュレーション 試算例 既存重油ボイラー規模 kW 698 年間稼働時間 h/年 7,300 重油消費量 L/年 114,600 チップボイラー導入規模 kW 100kW 300kW 360kW 450kW 700kW 稼働率 % 90 45 38 32 21 チップ必要量 m3/年 1,244 1,866 1,891 1,991 2,032 重油削減量 L/年 70,874 106,311 107,728 113,398 114,600 チップボイラー導入費 千円 41,194 56,344 60,192 65,637 79,388 補助率 % 50 50 50 50 50 <費用増分> 減価償却費 千円 1,236 1,690 1,806 1,969 2,382 支払金利 千円 329 450 481 525 635 人件費 千円 0 0 0 0 0 チップ燃料費 千円 2,489 3,733 3,783 3,982 4,065 保守管理費 千円 300 300 300 300 500 消耗品費 千円 200 200 200 200 200 ばい煙測定費 千円 0 250 250 250 250 費用計 ( ① ) 千円 4,553 6,623 6,819 7,226 8,031 <収入増分> 重油削減費 千円 4,607 6,910 7,002 7,371 7,449 収入計 ( ② ) 千円 4,607 6,910 7,002 7,371 7,449 年間削減コスト(①-②) 千円 53 286 182 144 582 CO2排出削減量 t-CO2/年 192 288 292 307 311 CO2排出削減コスト 千円/t-CO2 - - - - 1.9 木質燃料の採算分岐価格 千円/m3 2.04 2.15 2.09 2.07 1.71 上記試算例では、300kW のバイオマスボイラーを導入 することで、(既存化石燃料ボイラーに比べ)約 30 万円/ 年ほどコストを削減でき、他の規模に比べて最も経済的な 規模と言えます。